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Flod Aka Flavio Lodetti - Want Eat Arancina (Frabon Recordings:FRABON RECORDINGS 010)
Flod - Want Eat Arancina

イタリアのFrabon RecordingsからリリースされたFlodことFlavio Lodettiの新作は、このアーティストの事を全く知らなくともしかし参加しているリミキサー陣を見れば、多少なりとも興味が湧くであろう。ドイツからはモダンハウスで人気を博すSis、日本からDJのみならずアーティストしても知名度を上げているIori Wakasa、そしてUKからは若手のTommy Vercettiと人気や将来性の面から期待出来る人選だ。さて、FlodについてはFrabonを運営していたものの自身の新作としては2010年以来となる久しぶりのリリースだが、"Original Mix"はトライバルなパーカッションを用いたリズムにボーカル・サンプルを乗せながらも、メロディー等の展開を繰り広げる事はなく徹底的にグルーヴ重視で引っ張っていくテック・ハウスで、逆にそのスカスカな構成の中で効果的に入るボーカルがファンキーさを生んでいる。一方で"SIS Rmx"は幻惑的なリフを導入しながら夜の艷やかさがある特徴的なメロディーを用い、すっきりしたグルーヴを保ちながらも官能的なモダン・ハウスへと生まれ変わらせている。そして"Iori Wakasa Rmx"も非常に彼の個性が打ち出されたディープなテック・ハウスで、リズムは繊細に落ち着かせた上で奥深い音響の電子音を配しながらくっきりとしたボーカル・サンプルを浮かび上がらせる事で、ふらふらとした酩酊感に包む心地良いリミックスになっている。そして"Tommy Vercetti Rmx"はリズムをシャッフル調に跳ねさせ、ボーカルもぶつ切りサンプリングにした事で、より弾けるようなファンキーなハウスへと仕上がっている。基本的にはどの曲もフロア対応を前提とした機能性が重視されているが、それぞれに異なる個性があり使い方も色々あるだろう。



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| TECHNO13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deetron - DJ-Kicks (!K7 Records:K7359CD)
Deetron - DJ-Kicks
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3台のターンテーブルを駆使してヒップ・ホップ上りのミックステクでハード・テクノなDJをしていたのも今や昔、制作するトラックもいつしかメロウでソウルフルな感情性豊かな作品へと移行し、上手く時代の波に乗って進化を遂げてきたDeetron。マイペースで作品をリリースしアーティストとしての確かな評価を獲得しつつ、『Fuse』や『Balance』に『Fabric』等の名物MIXCDシリーズにも抜擢されてきたDJとしての手腕もあり、かつてのハードテクノ勢の中では面白い変化を見せながら独自の音楽性を確立しているが、遂にこの『DJ-Kicks』にも参戦とはやはり海外での評価は日本よりも確かなようだ。本作でも分かる通りテクノ〜ハウスの境目を融かすように混在させる選曲の審美眼、ダンスとリスニングの親和性、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのクラシックからモダンな時代の曲までと、どれにも偏らずに一つの流れへと組み込んでいくバランス感は比類なきモノで、80分34曲に渡るシームレスなミックスは優雅でさえある。オープニングからしてCarl Craigのガラス細工のような繊細な美しさを発する"Goodbye World"で始まり滑らかにビート入りの曲がミックスされ、古き時代の変異体ディスコの"School Bell / Treehouse"でアクセントも盛り込みつつ、シカゴ・ハウス名作の"Waterfall (Deetron's DJ-Kicks Version)"で垢抜けないながらも原始的なソウルの感情性を高めていく。そこからもジャズ・ファンク色なBurnt Friedmannからインテリジェンス・テクノな趣きのSpacetime Continuum、変異体テクノのMorgan Geistなどジャンルはばらばらなれどエモーショナルな共通項で雰囲気を作っていく。中盤ではDJ Kozeの甘美なサイケデリアの"Let's Love"からRon Trent & Chez Damierの幻想的でディープな朝方をイメージする"Morning Factory"へと繋がる瞬間が得も言われぬ程に素晴らしく、そこからはややテクノ寄りにグルーヴ強めの流れへと入り、リズムの崩れたダブ・ステップや逆にソウルフルなボーカル曲も用いて後半に向けて盛り上がる。そんな中にも古き良き時代のAIテクノのBlack Dog Productionsによる"Flux"を聞くと懐かしさが込み上げたりもするが、DeetronやDJ Boneによる骨太で激しいテクノもミックスしながら突入するFloorplanからTerraceにDerrick Mayのデトロイト系繋ぎの流れは非常にドラマティックで、非常に押し引きが上手い。そして混沌としたベース・ミュージック風な"Old Fashioned"から一気にテンションが落ちて、レフトフィールドなポップソングの"Strange Emotion"で今までの喧騒から解放される静謐な閉じ方は心残り無く綺麗に音が消えていく。いまいち日本に於いてはその実力に対しての正当な評価を獲得しているようには感じられないが、本作はそんな評価を覆すには最適なMIXCDで、Deetronのエモーショナルな音楽性を十分に堪能出来る事だろう。



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Tracklistは続きで。
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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fabrice Lig - Purple Raw Vol. 3 (Systematic:SYST0117-6)
Fabrice Lig - Purple Raw Vol. 3
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ベルギー屈指のデトロイト・テクノのソウルを受け継ぐFabrice Lig、数年前には遂に本家Planet-Eからも作品をリリースする等、そのマシンソウルを伴う才能はデトロイトからも正当に評価されている。勿論単にデトロイト・テクノの模倣ではなく、彼の音楽を聞けば分かる個性を持ったユニークな存在で、ヨーロッパ的な洗練されたテクノの要素を込めてデトロイトを再解釈したような音楽性が特徴だ。本作はVo.3というタイトルから分かる通り2008年に始まった『Purple Raw』シリーズの3作目となるが、余りシリーズ毎の脈絡というものはに受けられないので気にする必要はないだろう。本作で特筆すべきはテクノでは大人気アーティストになったJoris Voornが元々はVol.2に収録されていた曲をリミックスしている事で、"Gravitational Voyage (Joris Voorn Edit)"ではエディットの体の為大きくはいじられていないが、やや過剰さもあった原曲を丁寧に研磨してよりシャープなテクノへと生まれ変わらせている。元々かなりデトロイト・テクノ色が強くメロディーも大胆な動きを見せてエモーショナルではあったものの、ここでは機能性が重視されてひんやりとしたテクノの質感が打ち出されている。"Returnelle"の方がFabriceらしい個性がより強く感じられるだろうか、錆びたアシッド感もあるコズミックなアルペジオが大胆に躍動しながら金属がひしゃげるようなエフェクトも加えて、ロウで粗い攻撃性が肉体に突き刺さるような激しいテクノは真夜中のダンスフロアでも個性的に鳴るだろう。同様に"Dark Commodore"もアシッドというかブリープ音というか独特なシンセを効果音的に用い、背景からは薄っすらと情緒的なパッドが現れてきて徐々に恍惚の高みへと上り詰めていくような展開のある大仰なテクノだが、黒人のファンクネスとはまた別のファンキーな要素を感じ取る事も出来るだろう。Jorisの正に"デトロイト"なエディットも良いが、Fabriceらしい個性という物は残りの2曲に端的に現れている。



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| TECHNO13 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Masanori Nozawa - III (Medium Music:MECD-02)
Masanori Nozawa - III
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「宇都宮から生まれ出た眩い輝きを放つ星、Masanori Nozawaの初のアルバムはテクノが感情的である事を証明する。」

宇都宮を拠点として活動するMasanori Nozawaは元々は配信で攻撃的なテクノ中心にリリースを行っていたアーティストだが、2014年にMedium Musicを立ち上げて以降の音楽性ではよりエモーショナルな方向へと進み、深く胸に突き刺さるような感情性はテクノソウルと呼ぶべきものになった。そして2017年末、遂に初のアルバムである本作のリリースへと至ったのだが、何とその内容はオリジナル音源とそれを実力派アーティストがリミックスした2枚組となっており、初のアルバムにしては果敢な挑戦にも思われる。今回幸いにも野澤氏から声を掛けられてアルバムのライナーノーツを書かせて頂いたが、そちらはオリジナル音源について言及しているので是非とも作品を購入された方は読んで頂ければと思う。ここではリミックス音源について紹介させて頂くが、参加しているアーティストからしてXTALやHiroshi Watanabeと言った名を馳せている人、アンビエントに造詣の深いInner ScienceやMatsusaka Daisuke、元Mexicoとして活躍したjunyamabe、そしてKEITA YANOやHironori TakahashiにYuuki Horiらまで邦人のみにもかかわらず実に期待せずにはいられない面子だ。それぞれのリミックスには当然アーティストの個性が反映されているのだが、特に面白いのは"Felt The Sphere(junyamabe Remix)"で、ノンビートで壮大なアンビエンスを発していた原曲から一転してアンビエントの側面は残しつつも抽象的な音像で覆い尽くした作風は厳寒の雪が吹き荒れる真っ白な世界のようで、アブストラクトな音響によって深みへと誘われる。同様に金属がひしゃげるような奇怪な音を付け加えて実験的な面もある"Unknown Ruins(KEITA YANO Remix)"も面白いが、一方で雰囲気を変化させずに図太いリズム感で強固さを増した"Chrono (Hironori Takahashi Remix)"はテクノらしい硬い力強さの安定感がある。元々はアルバム中でも最も色彩豊かでエモーショナルな曲だったものの、"Iridescence (Yuuki Hori Remix)"はぐっと感情を内面に押し込めたようにソウルを燻らせる引き算の美学的な作風で、これもリミックスの妙技が感じられる。"The Orb of Day feat. shiba @ FreedomSunset (XTAL Remix)"は原曲のイメージを損なわずにXtalらしいニューディスコ風でアーティスト性が感じられ、そして濃霧に包まれるような音響の中にエレクトロニカらしいリズム感を得た"Beatific Planet(Matsusaka Daisuke Remix)"はアンビエントに対しての深い愛が伝わってくる。リミックスの中で最も情熱的だったのは当然と言うべきか、Kaitoによる"Mercury Breath(Hiroshi Watanabe aka Kaito Remix)"で、壮大なシンセストリングスと力強いビート感を伴って完全に彼の熱き感情が込み上げる世界観へと上塗りされており、輝かしくも激情が展開するテクノだ。最後はこれまたアンビエントでは独特の個性のある"Return to The Galaxy(Inner Science Remix)"で、豊かで色とりどりの音の粒が湧いてくる心地良いアンビエント・トラックは実に可愛らしい。それぞれのリミックスにそれぞれのアーティストの個性が確かに反映されており、リミックスとしての面白みは十分な事は間違いく、初のアルバムながらもリミックスも盛り込んだ事は野澤氏の本作に対する意気込みの強さが伝わってくるだろう。オリジナル音源、リミックス共にこれぞテクノソウルと呼びたい感情性豊かな音楽で、何度でもリピートして聞いている自分がいる。



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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Vince Watson & Kirk Degiorgio - Rise EP (Suara:Suara 295)
Vince Watson & Kirk Degiorgio - Rise EP
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ダンス・ミュージックを愛する者ならばデトロイト・テクノに対し畏敬の念を持つ人は少なくはないだろうが、それを代表するようなアーティストとして挙げるのであればVince WatsonとKirk Degiorgioは真っ先に来るに違いない。前者は「俺はデトロイト・テクノのフォロワーじゃない」と述べつつもPlanet-Eからのリリースもあったり、後者はデトロイト・テクノのコンピレーションである「The Electric Institute」(過去レビュー)を監修したりと、両者とも明らかにそこからの多大な影響を受けている事は明白だ。そんな二人が手を組んだのであれば当然ハイテック・ソウルなテクノが出来上がる事は明白で、"Rise (Original Mix)"は叙情的なパッドを軸に用いた典型的なデトロイト・スタイルではあるが、そこにブリーピーなサウンドや快楽的なシンセのリフを配しつつ弾けてエネルギッシュな4つ打ちを合わせて、彼等にしては幾分か攻撃的な側面が強くなっている。ただ決して古臭い作風を感じさせる事もなく全体的な響きは今の時代感にも適合しており、ドラマチックに盛り上がっていく展開はフロア映えも良さそうだ。また本作では現在のテクノシーンを盛り上げる3アーティストによるリミックスも素晴らしく、パーカッシヴにリズム感を強めた上にシャープなグルーヴ感を得つつエモーショナルな旋律を付け加えてより叙情性を増した"Variable Slope (Marquis Hawkes Remix)"は何となくWatson風なリミックスだ。一方で"Variable Slope (Voiski Remix)"はハイハット等金属的な響きを強調しより凍てついた質感を打ち出し、そして旋律はトランシー的な快楽さを引き出して、ディープかつ機能性重視な作風は最もモダンなテクノの印象を受ける。そして"Rise (Lake People Remix)"は原曲の直線的な構成とは異なりブレイク・ビーツへと変化させ内向的な叙情性を強めており、90年代のインテリジェンス・テクノの系譜上にあるようなリミックスで、そしてデトロイトらしくもある。オリジナルは期待通りの作風だが、リミックスでは元の良い所を活かしつつ更にそこからそれぞれ異なる特徴をしっかりと表現されており、外れ無しの一枚だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
JP Enfant - Virtus EP (a.r.t.less:A.R.T.LESS 2183)
JP Enfant - Virtus EP

ベルリンのディープ・ハウス深層に属するMojuba Records傘下で、比較的クラシカルなデトロイト・テクノにも接近するa.r.t.lessの最新作は同レーベルからは2枚目となるJP Enfantによるもの。JP EnfantことJan Pieter Kindは1989年生まれ、つまりまだ28歳程の比較的若手アーティストではあるものの、2014年のデビュー作である「Echoes Of You」(過去レビュー)からしてレトロなインテリジェンス・テクノやオールド・スクール性に凍てついたインダストリアル感も含めたテクノで、期待十分な存在感を放っていた。その後自身でLET Recordingsも立ち上げ作品をリリースしていたが、3年ぶりにa.r.t.lessへと帰還した本作はやはりJP Enfantに期待する音楽性が発揮されている。特に"Fadings"は無機質かつ金属的で冷えた4つ打ちのビートが淡々と刻みながらも、ヒプノティックな上モノや電磁波のような電子音を反復させる中からモヤモヤとした幻想的な霧のようなサウンドが広がっていく流れは叙情的なアンビエント性もあり、硬派なテクノのグルーヴと合わせて美しくエモーショナルな音響美が映えるデトロイト影響下な秀作だ。一方でインテリジェンス・テクノの影響が色濃く出た"Virtual Midnight Drama"は美しいシンセの旋律をぼかしなら展開し、変則的で崩れたリズムと繊細な電子音を散りばめながら、未来的なSFの世界観が広がっていくテクノで想像性を刺激する。そして最も攻撃的なトラックの"Virtue Of Generosity"は前のめり気味な勢いで激しくリズムが叩き付けられるが、空間の奥底で不気味な電子音響が牙を剥きつつアンビエント的な夢想も同居し、ハードな流れながらもドラマティックだ。レトロ・フューチャーな趣き、そしてフロアで機能するハードなグルーヴ感、デトロイト・テクノ好きも間違いなく魅了する一枚だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy & Demuir - Please Me - Fred P Reshape Project (Kwench Records:KWR002)
Cassy & Demuir - Please Me - Fred P Reshape Project
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アーティストとしてはもう15年以上もキャリアを持ち、そしてPanorama BarやRexでもレジデントを担当するDJとしての手腕を認められているCassyが、2017年に立ち上げたレーベルがKwench Recordsだ。本作はそのCassyとNite GroovesやYorubaからもリリースをするカナダのDemuirのレーベル第一弾である共作で、そこに収録されていた"Please Me"を現在のUSテック・ハウスのトップアーティストであるFred P.が3バージョンに渡ってリミックスを行なった、つまりは完全にFred P.の作品と呼べるシングルだ。原曲は荒々しくロウな質感もあるリズムが弾けややアシッディーな感覚もあるパワフルなハウスだったが、このリミックスに於いては完全にFred P.のエモーショナルで幻想的な空気に満たされた流麗なテック・ハウスへと生まれ変わっており、最早これはFred P.による新作と呼んでも差し支えない程の素晴らしいリミックスを披露している。A面には10分超えの大作となる"Journey Mix"を収録しているが、ここに原曲の面影すら見る事は難しい程に滑らかでうっとりとした叙情性が充満した作風へと上書きされており、抜けの良いパーカッションが乱れ打ちつつもスムースに流れる柔らかいビート感やふわっと広がるようなパッドの使い方はFred P.らしいコズミックな浮遊感を生んでいる。機能性という意味では全く失われているものはないが、エモーショナルな成分が十分に添加されパーティーの朝方、つまりはアフターアワーズの淡く夢と現実の狭間の寝ぼけ眼の心地良い状態に持っていくようなテック・ハウスで、疲労の溜まった心身を浄化するような感覚さえ伴っている。それよりももっとしっかりと杭を打ち込むようなビート感重視のテック・ハウスに仕上がっているのが"Fixation Mix"で、流麗なパッドのコード展開による幻想的な世界を繰り広げるデトロイト・テクノ的なエモーショナル性は、最もFred P.らしくあり得も言われぬ恍惚状態を引き起こす。そしてタイトル通りにやや崩れたビート感で厳つさを演出した"Broken Vibes Mix"は3つのリミックスの中では最も骨太さが現れており、Cassyのボーカルも他のリミックスよりも強めに用いてはいるが全体的にやや暗めの色調にする事で、変則的なリズムによるグルーヴ重視な内容だ。どれも元の曲をイメージ出来ない程に新たなる個性で上書きされたリミックスは、しかしそれぞれに異なる雰囲気や機能が発揮されており、パーティーの時間帯それぞれで効果的な演出をする事が可能だろう。Fred P.の才能が光る一枚だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Yoshimura - Music For Nine Post Cards (Empire of Signs:EOS01LP)
Hiroshi Yoshimura - Music For Nine Post Cards
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2017年に再発された『Pier & Loft』(過去レビュー)も予想以上に人気を博し直ぐに売り切れ続出となったのは記憶にも新しいが、それに続き1982年に制作された本作もほぼ同時に再発されたのは運命的と言うべきか。昨今世界的に著しく注目を集める過去の日本の音楽に於いてアンビエント・ミュージックも例外ではなく、本作を手掛けた吉村弘もダンス・ミュージック側のリスナーからも少なからず新たなる再評価を獲得しているようだ。吉村は日本の環境音楽の第一人者であるそうで、例えばBrian EnoやErik Satieらを発祥とするアンビエント・ミュージックからの影響を強く受け、音を空間の一部としてみなしたサウンド・デザインを主に行っていたアーティストだ。本作も原美術館のために提供された環境音楽であり、そしてまた9枚のポストカードに記した最少の音の構成を核に変化と反復によって拡張されたコンセプチュアルな作品でもあり、そういった点からも実に興味を引くに違いない作品だ。基本的にはフェンダー・ローズとオルガンやキーボード等数少ないシンプルな楽器で制作された本作は、全体を通して飾り気の無い音の単純な響きや持続の変化によって構成されており、その意味では装飾ではなく引き算の美学にも思われる静謐なアンビエントだ。本人の説明では「静かな音風景、水墨画のような色調」を表現したかったようで、確かにゆったりと波紋が広がっていくような静かな動きや混じりけのない色彩感覚が通底しており、寧ろ音の間の静寂が空間演出にもかっているようである。無駄を削ぎ落としたミニマルな構成は淡白と表現するよりは単に意味を込めないと言うか、連なりであるメロディーではなく音一つ一つの響きと間に意識を向かせ、単なるBGMとは異なる空間の一部へと昇華される。空間と同化する音、空間に溶け込む音、正に環境音楽であり生活の一部で鳴っていてもおかしくないような日常感がある。ただただ静謐で美しく、フラットな感覚が心地良い。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trap10 - Three EP (a.r.t.less:A.R.T.LESS 2182)
Trap10 - Three EP

2015年にベルリンのディープ・ハウスを先導するレーベルであるMojuba傘下のa.r.t.lessよりデビューを果たしたJanis & FabianのコンビによるTrap10は、生粋のライブアクトかつ制作者だ。年に一枚程度のゆっくりとしたペースではあるが新作をリリースして近年のa.r.t.lessを代表するアーティストにまでなっているが、レーベル自体がデトロイト・テクノの音楽性を継承している事と関連し、彼等も90年代のデトロイト・テクノの叙情性を吸収しつつ更にハードな側面も含む音楽性によって、現代のシーンにも適合したテクノを開拓している。本作は前述のa.r.t.lessから彼等にとって3枚目のEPとなるが、ここでもフロアを激しく揺らす鋭く攻撃的なテクノ性は全く変わっていない。それは特にA面に収録された"VLV"で顕著で、図太く冷気を帯びたハードな4つ打ちのキックや荒々しいハイハットが押し迫る激しいビート感の中に幻想的なパッドやエモーショナルなリフを執拗にループさせて、単純な流れながらもスピード感ある勢いと美しい叙情性で押し切るピークタイム向けの仕様になっている。リズムやシンセの音からは90年代のオールド・スクールながらもハイエナジーなレイヴ感も漂っており、懐かしく感じつつもデトロイトに影響を受けた新世代としての視線もあるだろう。"ABV"はよりレイヴ色が強いと言うか、強烈で荒々しく揺れるブレイク・ビーツはダブ・ステップのようにも思われるが、毒々しく禍々しいベースラインが点々と刻むのとは対照的に上モノは流麗で叙情感さえもあるメロディーを展開し、自然と体をグラグラと揺さぶりつつ深く精神にも作用するエモーショナルなテクノだ。"DST"は反復する鈍い響きを持ち催眠的なアシッド・ベースが特徴的な4つ打ちテクノで、その上をリヴァーブの効いたシンセが疾走り切れのあるハイハットが疾走感を生みながら持続感を含む機能的なツール色が強い。どの曲もひんやりとした質感や響きを持つアンダーグラウンドなテクノではあるが、一方で淡白にはならずに耳を引き付ける魅力的な旋律やリフで引っ張っていく音楽性はデトロイト的で、十分にフロアで心も体も震わすダンス・トラックの制作者として期待は高まるばかりだ。



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| TECHNO13 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Transport (Remixed) (Tresor Records:Tresor.298)
Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Transport (Remixed)
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デトロイト・テクノの生みの親であるJuan Atkins、そしてミニマル・ダブの求道者であるMoritz Von Oswald、その伝説的な二人によるデトロイト×ベルリン同盟の夢のタッグがBorderlandだ。単発的なプロジェクトで終わる事なくアルバムも2枚リリースする等、ベテランによるテクノへの飽くなき情熱は今も尚続いているが、そこに更に絡んできたのはデトロイト・テクノを躍進させたCarl Craigだ。ここ最近はリミックス中心で新作は以前に比べると少なくなっているものの、デトロイト・テクノのアーティストの中では特に制作に秀でている事は間違いなく、ここではアルバム『Transport』(過去レビュー)に収められた「Transport」に対しオリジナルに負けず劣らずの未来的な響きと重厚感溢れるリミックスを施している。オリジナルはリズムは控えめながらも電磁波が空間に散乱して間を体感させる見事なミニマル・ダブ×デトロイトな作風だったが、Craigは上モノに大きく手を加える事はせずに重厚感を引き継ぎつつ、20分という長尺を活かして上モノを焦らすように展開させながらじわじわと快楽へと上り詰めていく壮大なスケール感を生み出している。遠くで微かに聞こえる電子音や繊細なリズムを導入し、途中からは圧力のある太いキックによる角ばったリズムが入ってくる事で大胆なうねりを引き出し、電子音が入り乱れる混沌とした流れも通過しながら電子狂想曲とも呼べる圧倒的な音響空間を旅する20分は、どこを切っても全く隙きが無い。本作では更に面白い事に前述の曲をDJ DeepとRoman Poncetが手を加えた"Transport (Carl Craig Remix - DJ Deep & Roman Poncet Rework)"が収録されている事で、こちらは近年のDJ Deepの作風であるベルクハイン系の硬質で凍てついた温度感のハードな4つ打ちテクノへと生まれ変わっているが、単にハードなだけでもなく音の隙間を残しつつ切れ味を磨いた鋭さがあり、ピークタイム向けなテクノとして肉体を震撼させる機能性がある。尚、アナログだとCraigのリミックスは10分程にエディットされているものの、DLコードが封入されており完全版がダウンロード出来るので、是非ともアナログをお勧めしたい。



Check Juan Atkins & Moritz Von Oswald
| TECHNO13 | 12:01 | comments(0) | trackbacks(0) | |