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I:Cube - Double Pack (Versatile Records:VER 120)
I:Cube - Double Pack
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フレンチ・ハウスの老舗レーベルであるVersatile Recordsは今でこそ多彩なアーティストを擁しているが、そのレーベル発足時から活躍するのがNicolas ChaixことI:Cubeだ。レーベル運営を行うGilb'RとのユニットであるChateau Flightでの活躍も華々しいが、このソロ活動ではフィルター系のまんまフレンチ・ハウスではなくより自由なエレクトロニック・ミュージックがベースにあり、特に作品を重ねる毎にその奇抜で変幻自在な音楽性は拡張を成しており、ベテランだからと言って全く落ち着くどころか尖った個性をより尖らせている。新作はアナログではダブルパックでのリリースでミニアルバム的な扱いだろうか、その分だけ収録曲も多くその多彩性は富んでいる。初っ端はアフロ・トライバルな抜けの良いパーカッションが乱れ打ちつつ、そのタイトル通りにミニマルな旋律のフルートが密林の奥の怪しい祭事かのような雰囲気を醸す"Flutes Souterraines"で、エキゾチックな効果音も入る事でより催眠的な効果を強くしている。"Troglo Dance"もエキゾチックな感覚はあるものの、アタック感の強いドラムと光沢感のあるシンセリフから感じられるのはディスコの系譜で、野暮ったくも簡素な味わいが逆に新鮮に聞こえる。一方で眠気を誘うようなぼんやりとしたシンセがにうっとりさせられ繊細な電子音も組み込まれたディープ・ハウス性の強い"Bifurque"や、アシッドなベース音が膨張しながらも壮大でゴージャスなシンセが感動的に展開する真夜中の雰囲気たっぷりなバレアリック・ハウスの"Ramurc"と、どちらも大らかな作風の中に美しいメロディーを活かした曲だ。そして奇抜性が特に発揮されている"La Nuit Des Rats"、変則的なブレイク・ビーツと民族的なパーカッションが生み出す不気味なグルーヴは黒魔術か何かの儀式か、何かが生まれる胎動らしき原始的なエネルギーがほとばしりトランス感覚を誘うこの曲は、ジャンル分け困難なダンス・トラックだ。ひとえにフレンチ・ハウスと言っても単純なものではなく、流石ベテランらしくその底深さを教示する如く様々な要素を披露しているが、実験的だけでなくどれもにI:Cubeらしいメランコリーがあるのも素晴らしい。



Check I:Cube
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andrew Soul feat. Robert Owens - Slipping Into Darkness EP (Vibraphone Records:VIBR013)
Andrew Soul feat. Robert Owens - Slipping Into Darkness EP
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シカゴとデトロイトのハウスに触発され、イタリアはローマからアンダーグラウンドなハウスを1992年頃に7枚のみ残したVibraphone Recordsは、恐らく忘れさられていたレーベルであろう。しかし2015年に失われた名作の復刻を機に特にイタリアのアーティスト推しでレーベル運営を復活させ、今ではオールド・スクールなハウス・ミュージック好きな人であればきっと注目するであろう存在として、再度輝きを放っている。そのレーベルからの新作はやはりイタリアの比較的若手でもあるAndrew Soulによるもので、シカゴ・ハウスの伝説的ボーカリストであるRobert Owensをフィーチャーしている事、そしてシカゴ・ハウス黎明期から活動するVincent Floydやイタリアからシカゴ・ハウスへの妄信的な愛を示すNick Anthony Simoncinoをリミキサーと迎えているのだから、それらの名前を見ただけでも反応する人は少なくないだろう。実際に作品を聞いてみれば期待通りのボーカル・ハウスが収録されており、"Slipping Into Darkness"では自己陶酔系の甘く呟くようなOwensの歌は健在で、そこに控え目な響きながらもしっとり情感漂うピアノと鈍いアシッドベースが弾ける官能的なディープ・ハウスのトラックが合わさっており、古き良きハウス黄金時代を思い起こさせる。それをFloydがリミックスした"Slipping Into Darkness (Vincent Floyd Remix)"はTR系の安っぽく乾いたパーカッションと透明感ある伸びるシンセによってメロウな方面のシカゴのハウス、つまりはLarry Heard直系のシンプルな構成ながらも感情に訴えかけるエモーショナル性を掘り起こした作風になっており、未成熟な初期衝動を残しながら実に味わい深さがある。対して"As You Are"はより硬いキックとアシッドの攻撃性をそのまま打ち出した骨太なハウスで、音の隙間を残した簡素な構成ながらも跳ねる肉体的なグルーヴが迫り、Owensによる歌も深い陶酔感を引き出している。それをSimoncinoはフラットに均したビート感に作り変えた"As You Are (Nick Anthony Simoncino Remix)"を披露しており、魔術的な歌やより音を絞り込みながら初期シカゴ・ハウスの悪っぽさや暗い雰囲気を強調した点は、原曲よりも更に先祖返りしていてSimoncinoのシカゴ・ハウスへの忠実さが際立っている。どのバージョンも最新のと言うよりは8〜90年代の時代性が強い懐古的な意味合いは強いものの、そこはシカゴ・ハウスへの理解が深いアーティストだからこそ、本物のシカゴ・ハウスを提唱している点で評価すべき作品だ。



Check Andrew Soul
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Trinidadian Deep - Organic Roots EP (deepArtSounds:dAS 021)
Trinidadian Deep - Organic Roots EP

もはやRon Trent直系で愛弟子という売り文句も説明は不要であろう、トリニダード・トバゴ出身で現在はニューヨークを拠点に活動するTrinidadian Deepは、アフロで爽やかなパーカッションと流麗なシンセやオルガンを前面に出した壮大なディープ・ハウスにおいては群を抜いており、非常に多作なリリースながらもどれも高い品質を保って信頼足るアーティストの一人だ。本作は前述のTrentやAnthony NicholsonにGlenn Undergroundらもシカゴ勢も積極的に手掛けるdeepArtSoundsからのリリースで、そういった意味ではレーベルとの相性の良さは言うまでもないが、当然の如く普段の彼らしい澄み切った空気が広がる清涼なディープ・ハウスをここでも聞かせている。ボーカルにSarignia Bonfaをフィーチャーした"I Need You"はエレガントなシンセ使いで優雅さを振りまきつつポコポコとした響きのコンガ系パーカッションで弾けるようなグルーヴを生み出し、そして甘く問いかける歌が官能的でありながらダビーな残響を伴って大空の中へと消えていく清々しいロマンティックさを感じさせ、いきなりTrinidadian Deep節全開なディープ・ハウスを披露。そして"Fusion"も序盤はゴージャスな響きのシンセで綺麗なメロディーを展開し、金属的なパーカッションや軽やかな4つ打ちで軽やかに身体を揺さぶるハウスだが、中盤からは衝動のあるがままにキーボードを演奏したような必殺のオルガンソロが炸裂して輝かしい太陽光を全身で浴びるようなポジティブな雰囲気に包まれる。続く"Future Funk"も同じタイプな耳に残るシンセリフとエモーショナルなオルガンソロ、そしてチャカポコした抜けの良いアフロ・パーカッションで軽やかさを生むハウスで、金太郎飴的な作風ではあるもののここまで徹底されると何か自然と笑みがこぼれてしまう。そして以前にTrinidadian Deepがリミックスを行った事で絡みもあるAllstarr Motomusicが、ここでは逆に"I Need You (Allstar Motomusic Remix)"としてリミックスを提供しているが、原曲の優美な雰囲気はそのままにビート感は滑らかに整え、フュージョン風な豊かなシンセソロも加えて艶やかさを増した上でアンビエント性や浮遊感も盛り込んで、しっとりとした落ち着きを持ったハウスへと生まれ変わっている。いつものTrinidadian Deepらしい開放感の中で大手を振って舞い踊る躍動感に溢れたディープ・ハウスが並んでおり、完全に我が道を突き進む活動にブレは無い。



Check Trinidadian Deep
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Tominori Hosoya - Winter EP (Night Vision Records:NV030)
Tominori Hosoya - Winter EP
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キャリア初となるアルバムが待ち構えているTominori Hosoya、またTomi Chairとしても東京を拠点に活動する生粋の作曲家は、今アーティストとして春を迎えている。deepArtSoundsやSoul Print Recordingsを始め世界各地のレーベルから引く手数多の存在と言っても過言ではなく、耽美なピアノや水しぶき弾ける爽やかなシンセの叙情感に爽快なパーカッションを用いたリズムから生まれるロマンティックなディープ・ハウスは、彼の音楽を象徴する個性となっている。そんな音楽性に魅了されたのだろうか、デトロイトの重鎮の一人であるOrlando Voornが主宰するNight VisionからHosoyaの作品がリリースされようとは、まさか誰も予想出来た者はいないだろう。レーベルの音楽性としてはややハードで無骨なテクノが多いのでHosoyaの音楽性の親和性という点では未知数なところもあったのだが、もしエモーショナルや叙情性という言葉で現される心を突き動かす要素という面から捉えれば、全くずれているわけでもないのだろう。タイトル曲となる"Winter"は正にHosoyaの音楽性そのものであり、天井から降ってくるような清々しく美しいピアノのメロディーとモヤモヤとしながらもエモーショナル性の強いシンセストリングスの融和を用いており、そこに軽く浮遊する如く爽快な4つ打ちのハウスビートを走らせて、空へと舞い上がって大空で遊泳を楽しむドラマティックな世界観は底抜けにオプティミスティックだ。そこにVoornが手を加えた"Winter (Orlando Voorn Mix)"は神秘的な女性のコーラスや内向的なシンセのリフも加え、何処か宗教的というか神秘的で謎めいたテック・ハウスへと生まれ変わっており、デトロイトのエモーショナルという共通項を残しながらも滑らからに研磨されたビート感が心地好い。"06 March 2015"もタイトル曲と同様で動きのあるシンセとキレのあるパーカッシヴなリズムで疾走するように引っ張りながら、中盤から入ってくる身体を洗い流す如く降り注ぐピアノの粒が滴り落ちてくると途端に抒情性を増し、清涼感溢れるピュアな空気に満たされる。そしてラストは彼のアンビエント/チルな方向性が打ち出された"Reminiscence (49 Days Later)"で、ダビーで爽快なパーカッションで奥深い空間を創出しながらしっとりした重心の低いビート感でしっかりと地を掴み、オーロラのような幻想的なシンセを伸ばして情緒深さで空間を埋めていく流れは、パーティーの朝方のフロアを癒やす時間帯にもはまりそうだ。どの曲もやはりピアノの旋律やシンセの美しい響きが際立っておりメロディーを大切にしているのが率直に伝わってくるが、その上でフロアの中で全身で浴びても爽快なビート感も共存しており、心から素敵な曲を作るアーティストだと思わずにはいられない。



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Detroit Swindle - High Life (Heist:HEISTCD01)
Detroit Swindle - High Life
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次世代ハウス・ミュージックの先鋒の一つであるHeist Recordingsは、ベテランではなく若手の強力なアーティストを多く起用しディスコ/ジャズ/ファンクといった要素をブレンドしたハウスを武器にしたレーベルで、そんなレーベルを主宰するのがオランダのLars DalesとMaarten Smeetsのから成るDetroit Swindleだ。彼等自身は2012年にDirt Crew Recordingsからデビュー以降、Freerange RecordsやTsuba Records等の著名なレーベルからも作品を出して着実に評価を高め、2014年には初アルバムであるハウスを軸にクロスオーヴァーな方向性を見せた『Boxed Out』(過去レビュー)で彼等の評価を決定付けていた。あれから4年、彼等にとって2枚めとなるアルバムは自身のホームであるHeistにとって初のアーティスト・アルバムとなり、またDetroit Swindleの音楽性を更に拡張させる事に成功した素晴らしい作品となっている。オープニングには幕開けに相応しいノンビートの"Ketama Gold"で耽美なエレピやファンキーなベースラインを活かしたインスト曲で、ビートは無いながらも洗練されたモダンソウルを感じさせ、落ち着きながらもしかし高揚感を刺激する。その流れから続くタイトル曲の"High Life"で輝きを伴う優雅なストリングスが映えるブギーなハウスへと突入し、大胆に動くファンキーなベースラインやざっくりしながら跳ねるようなリズム感は躍動的で、清々しく喜びに満ちたハウスを展開する。"Call Of The Wild"ではパーカッションやジャンベのリズム帯、サックスやトランペット等に演奏家を起用して、アフロなグルーヴ感やジャジーなムードが入り乱れて、徐々に熱量を高めて情熱的に盛り上がっていくソウルフルなハウスを聞かせる。ギターやボーカルにTom Mischを起用した"Yes, No, Maybe"はリラックスしたビート感の気怠さにMischの飄々とした歌も加わってウキウキとノリの良いブギーな曲で、フューチャー・ソウルとでも呼びたくなる明るくもエモーショナルな面が際立っている。そしてインタールード的なロマンティックなシンセの響きを聞かせる"The Girl From Shiraz"を挟み、Seven Davis Jr.をフィーチャーした"Flavourism"で情熱的な歌と光沢感あるシンセのリフでぐっとエモーショナル性とファンキー性を強めたディープ・ハウスで、アルバムの中でピークタイムを作り上げる。その後には一転して毒々しいアシッド・ベースを用いたダークさと厳ついビート感を打ち出したテクノ寄りな"Freeqy Polly"、レイヴ調のブレイク・ビーツで切り込んでくるような攻め方の"Ex Machina"とフロアを強烈に揺らすトラックが続き、ラストには眠りに落ちていくような甘いアンビエントの"Lucky Number 13"で、徐々に心を落ち着かせて長いパーティーの終わりを迎えたようにアルバムは閉じられる。起承転結で纏まったアルバム構成、また一曲一曲のリスニング性とフロアの機能性を両立させた出来と、文句の付けようのない完成度だ。ジャズ、ファンク、ソウル、ブギー等多彩な要素も飲み込んでハウスとして展開する作風は正にHeistというレーベルを象徴するようでもあり、流石レーベルのボスとしての音楽性を発揮している。



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Theo Parrish, Paul Randolph, Kathy Kosins, John Douglas, Amp Fiddler, Ideeyah - Gentrified Love Part 4 (Sound Signature:SS070)
Theo Parrish, Paul Randolph, Kathy Kosins, John Douglas, Amp Fiddler, Ideeyah - Gentrified Love Part 4

Theo Parrish率いるSound Signatureにて2016年から続く『Gentrified Love』シリーズ、その第4弾が到着。元々はParrish自身の音の彫刻を成す為のレーベルとしての意味合いが強かったものの、しかし近年は積極的にデトロイト、いやそれ以外の地方からも積極的にアーティストを招き入れ、他アーティストの後押しやコラボレーションを行うなど、Parrishに通じるブラック・ミュージックのラフなソウル感は共通項としてありながら音楽性の拡張を行っている。本作もParrish単体の作品ではなく、他アーティストのリミックスやコラボ作が収録されており、ある意味ではレーベル・ショーケース的でもある。"Be Like Me (SS Translation)"は元々はKathy Kosins & Paul Randolphが外部のコンピレーションに提供した"Could You Be Me?"があり、それをParrishがリミックスした作品だ。原曲はパーカッションが効いたバンド演奏性の強いアフロでモダン・ソウルな音楽性だが、"SS Translation"となれば当然の如くしっとりヌメッとしたビートダウン・ハウスのグルーヴに生まれ変わる。深い闇の中で美しい旋律を刻むピアノやトランペット、そしてKosinsの歌が落ち着きながらも実に感情的で燻るような熱量のソウルを生み出し、平坦なハウスのビートに均されながらもソウルやファンクの要素もあるねっとり粘性の高さはParrishが解釈するブラック・ミュージックなのだろう。"Leave The Funk To Us (Full Mix)"は元々は『Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now』(過去レビュー)に収録されていた作品で、本EP内ではフルミックスというバージョンで原曲とはがらっと姿を変えている。原曲は金属が錆びついたような鈍く色味の薄いミニマル性の強いロウ・ハウスと言った印象だが、ここでは熱量を増してソウルフルな空気を纏い4つ打ちをベースにしたファンクかつビートダウン・ハウスへと生まれ変わる。とは言っても音の隙間が目立つラフな構成はそのままにDouglasのトランペットやFiddlerのピアノ等の生演奏が即興演奏的に掛け合いのように繰り出され、乾いたハンドクラップやずっしりしたキックが野太いグルーヴを生み出しており、そしてIdeeyahによるスキャットのような掴みどころがない官能的な歌も加われば、まるでジャズかファンクのバンドのようなライブ感が迫ってくるようだ。たった2曲のみで既発のバージョン違いと思うなかれ、濃密なソウル/ファンクが渦巻くParrishの新作と呼んでも過言ではない位だ。



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| HOUSE13 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pepe Bradock - #12"@Last (Atavisme:ATA017)
Pepe Bradock - #12@Last
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アルバムは制作しないわ、このご時世に一切のデータ配信もしないわと、DJ以外にとってはなかなか作品を手に入れ易い環境を作る気が全く感じられない奇才・Pepe Bradockが、しかしその偏に余りにも個性的かつ独創的なコラージュ音響ハウスによって聞く者を魅了し、孤高の存在と化しているのは言うまでもない。自身で主宰するAtavismeから淡々と年に1〜2枚のEPをリリースし続けており、その意味では高い品質を保ちながら安定供給を可能とする作曲家の一人ではあるのだが、この2017年作もやはりそのぶっ飛んだ世界観のハウス・ミュージックは一聴して彼の音楽であると認識出来る程だ。いつも通りと言えばいつも通りのコラージュ的な作品ではあるものの、"Tresors"は潰れたようなキックの4つ打ちがいつもよりは力強いビート感を刻んでおり、そこにぼやけたて微睡んだようなシンセのメロディーから鈍く歪んだコラージュのようなメロディーへと変化する上モノ、その裏には繊細な効果音による音響を控え目に持ち込んで、音の隙間を活かしながらメロウネスとファンキーさを共存させたハウスを展開している。また体感的にはジャジーなグルーヴもあったり、そしてラストのビートが消えてからの様々に入り組んで混沌としたコラージュ風な構成は、非常にBradockらしくもある。逆サイドの"Tsundoku"は更に肉厚で太いキックが大地に突き刺ささり重低音のベースラインが蠢くハウス・グルーヴで、彼にしては随分とずっしりマッチョなビート感だ。しかし酩酊したようにふらふらした掴みどころのない上モノや時折奇妙な効果音が顔を出しフィルターで変化を付けて展開する構成は、フロアを揺さぶる機能的なダンストラックではありながらも、幻惑的なトリッピーさも伴っておりやはりBradockの個性が光っている。この狂ったのか酩酊しているのか壊れたようなハウス・ミュージックは、その崩れ行く様の中にも退廃美が存在している。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Zodiac - True Places (Carry On:Carry On 009)

Black Zodiac - True Places
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ドイツのCarry OnからリリースされたBlack Zodiacなるアーティストの初作品、何の情報も無い中でリミキサーに名を連ねているDream 2 Scienceの記載を見れば、オールド・スクールなハウス好きな人にとっては多少なりとも食指が動くのではないだろうか。Ben CenacとGregg Foreから成るDream 2 Scienceは90年頃に僅かな作品を残しただけではあったが、しかしアンビエント性もある懐かしみのあるディープ・ハウスでカルトな人気を博し、その成果として2012年には時を越えてRush Hour Recordingsより旧作が復刻されるなど、その短い活動以上の高い評価を獲得したユニットだ。さて、Black Zodiacについては全く情報が無いので単にトラックに対してのみの言及となるが、何でも発掘されたデモトラックだと言う"True Places"は確かに90年台のアーリーハウスの懐かしい雰囲気が満載だ。緩やかで肩の力が抜けたスムースな4つ打ちのハウスビートが貫く中で、懐かしみのある綺麗なシンセのコード展開やTR系の乾いたパーカッションが爽快に響き、アシッディーなベースラインが曲にメリハリを付けるように引っ張っていく。すっと浮かび上がってくるアンビエント性もあるメランコリーなパッドでしんみりとした感情を誘発され、9分にも渡って滑らかに展開を繰り返すディープ・ハウスは徹底的に情緒的だ。そして"True Places (Dream 2 Science Remix)"はと言えば元の世界観にやらためったら手を加えて壊す事はなく、リズムをより弾けるようにパーカッシヴでダンサンブルに変化させつつ、ドリーミーで透明感のあるパッドを伸ばしたり動きのあるシンセの旋律で滑らかな躍動感を生み出している。中盤からのヴィブラフォンらしき柔らかい音色のメロディー、または終盤で入ってくる大胆なシンセソロなど盛り上がる展開も盛り込みつつ、全体としては大人びて洗練されながらも懐メロ感あるディープ・ハウスへと生まれ変わっており、Dream 2 Scienceの新作と言われても違和感を全く感じないだろう。Black Zodiacという謎のアーティストへの興味を抱かせるには十分な作品だが、Dream 2 Scienceのリミックスも素晴らしく、やはり古典的なハウス・ミュージックのファンならば一聴して損はないだろう。



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2018/9/14 solfa 10th Anniversary ”DAY 1” @ Solfa
2008年9月に中目黒という場所にオープンしたSolfaも今年で10周年。決して周りにクラブが多いわけでもなく環境的に優位でもないにもかかわらず、知名度だけではない確かな国内外のアーティストのブッキング、そしてまた都会的で洗練された内装等を売りに、堅実に10年の間運営を続けている。そんなクラブの10周年パーティーは4日間に渡って開催されるが、その初日は今や世界的アーティストであるGonnoやKuniyuki Takahashi、ベテランであるMoodmanやDr.Nishimura、そしてYou ForgotやNuboによるライブユニットのUnconscious Fusion OrchestraとBOW & SISINOBUと若手までフィーチャーし、中規模のクラブでありながらその内容はそれ以上と非常に楽しみに一夜だ。
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| HOUSE13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Max Essa - Han Zon Roc EP (Hell Yeah Recordings:HYR7181)
Max Essa - Han Zon Roc EP
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イギリス出身で日本在住で活躍するMax Essaは、長い活動的を持ちながらも現在のバレアリック隆盛の中に自然と馴染んでいる。穏やかで包容力のあるバレアリックな彼の音楽性が過去から変わったのではなく、回り巡ってきた今という時代がようやく彼の音楽性にもシンクロするような自然な共鳴が、より彼の音楽性を際立てているようにも思われる。そして2017年にはイタリアン・バレアリックの先鋒であるHell Yeah RecordingsからEPをリリースしたが、そこでの相性の良さが証明されたのだろうか、続く新作である本作も同様に同レーベルからとなった。僅か3曲ではあるが彼の魅力を堪能するには十分過ぎる内容で、特に12分にも及ぶ大作の"Han Zon Roc (Midori Coup)"はストーリーを展開するサウンド・トラック的な構成も素晴らしい。ぼんやりとした幻想的なドローンから始まり煌めくシンセや繊細で哀愁あるギターが入ってくるノンビートの長いオープニングから、4分程経過するとようやくドラムの柔らかいリズムが入ってくるが、それと共にエグいアシッドもうねり出すという意外にも快楽的で恍惚の中盤、そこから微睡んだピアノの和音で朗らかに切り替わる流れなど長い尺を活かした展開の豊かさが突出している。そしてまた終盤、輝かしい光に包まれるような美しいシンセが放射されて次第にビートも消えていき、心地好い余韻を残して終わるドリーミーなバレアリック・ハウスは夏の終わりの寂しさを埋めるには十分だ。"How You Showed Me Everything"は肩の力が抜けたダウンテンポのスタイルで、ブルージーなギターが咽び泣くように響きコズミックな光沢感じさせるシンセが色鮮やかに鳴り、オーガニックな響きも相まってしみじみとした哀愁が込み上げる。そしてラストはアタック感の強いスネアやタムを用いたヒップ・ホップ調な"Rain Bird's Alfalfa Jam"だが、ここでもギターが存分に唸り動きのあるベースがうねり、バレアリック・ファンクとも呼べる開放感ありながらファンキーさが際立ったダンス・トラックに仕上がっている。どれも緩くありながら優しくエモーショナルな世界観に心も癒やされ、是非ともこの流れでHell Yeahからこの流れを踏襲したアルバムをリリースしてくれたらと切に願う。



Check Max Essa
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |