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Earth Patterns - First Light (Utopia Records:UTA 006)
Earth Patterns - First Light

Soichi Teradaの名作の再発やModajiやLars Bartkuhnなどのジャジーヴァイブス溢れる作品、そしてギリシャの現代音楽家であるVangelis Katsoulisのアルバムまでもリリースするなど、時代やジャンルを超越しながら質の高い音楽のみを提供するUtopia Recordsは新興レーベルながらも特別な存在感を示している。そのレーベルからの見知らぬ名義・Earth Patternsのミニアルバムがリリースされたが、これもレーベル買いしては損はしない作品だ。実はVoyeurhythmやDelusions Of Grandeurからの作品で頭角を現しているBen Sunによる変名で、メローな旋律とサンプリングのディスコ・ハウスからブギーなハウスまで展開する実力派であり、この新作では一転してLarry Heard辺りを意識したリスニング向けのピュアなハウスに挑戦している。冒頭の"Sunflower"からして完全にHeardの影響下にあるディープ・ハウスで、透明感あるシンセの流麗なメロディーを武器にコズミックな音響も加え、そして圧力には頼らずにメロディーを支える端正で軽快な4つ打ちのビート、一切の余計な音は加えずにシンプルな構成ながらもエモーショナル性を追求した作風はクラシカルな趣きさえある。より温かみのあるパッドを用いて穏やかさが打ち出た"Horus Rising"では心地良く抜けるパーカッションも効果的で、開放感や爽快感を感じさせるハウスだ。更にテンポを落としたダウンテンポ調の"Fourth Axis (Instrumental)"でもピアノの可愛らしい旋律や子供の歌声らしきものが朗らかなムードに繋がっているが、Ben Sun名義のブギーな音楽性に通じる所もある。裏面は内面の宇宙へと潜っていくようなアンビエント性の高い"Transit Pan"で始まるが、これもHeardの深遠なる世界観を思い起こさせる。そしてアフロかエキゾチックなのか国籍不明な不思議な感覚のあるプロト・ハウス風な"After The Rain"から、最後は光沢のあるシンセから始まるも分厚いアシッド・ベースが加わって最もダンスフルなハウス・グルーヴの"Eight Circles"でアルバムは幕を迎える。ハウス〜アンビエント周辺をうろつきつつどの曲にも言える事は、やはり慎ましく穏やかなメロディー、それは控えめに美しく情緒を含むものでしっとりと肌に染みていくという表現が相応しい。素晴らしい作品なのでミニアルバムなのが勿体無い位なので、是非ともこの名義には再度期待したい。



Check Ben Sun
| HOUSE13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Villa H2H - Villa H2H Villalobos Remix (Perlon:PERL113)
Villa H2H - Villa H2h  / Villalobos Remix
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2017年5月にはリリースされていたので紹介するのも今更な1枚ではあるが、ミニマル・ハウスのアンダーグラウンドを地で行くPerlonからとは言え、更に奇跡的なコラボレーションによって完成した作品を紹介せずにはいられない。それこそシカゴのディープ・ハウスのレジェンドであるChez DamierとBen VedrenによるユニットのHeart 2 Heartに、ミニマル・ハウスという枠組みさえ越えて神格化されているRicardo Villalobosが合流したプロジェクトであるVilla H2HによるEPであり、話題性だけでも魅力的な作品である事は言うまでもないだろう。何だか異色の組み合わせにも思うかもしれないがVillalobos自身は自らが制作する音楽をハウスだと認識しているのだから、それを知っていればあながちこのプロジェクトは意外でもない。収録された内の"No More (Ricardo Villalobos Remix)"はHeart 2 Heartの未発表音源をVillalobosがリミックスしたもののようだが、これは完全にVillalobosの持ち味が全開になった湿り気を帯びたキックによるスカスカのグルーヴにゆらゆらと酩酊させられるミニマル・ハウスで、断片的に差し込まれるピアノは不協和音の如く不安を煽り、そしてDamierによる呪詛のような不気味なボーカルも加われば妖艶さがどこまでも増して形容のし難い魅力を放つ。他3曲はベルリンにおいて3人がセッションをして完成したバージョンの異なるもののようで、これらの方はVillalobosらしさに加えDamierやVedrenのよりハウシーなリズム感やパーカッションも活きている。酩酊感たっぷりにふらふらとしたDamierの呟きにかっちりしたハイハットやキック、そして奇妙なに蠢くベースラインが走る"Conspiracy One"は、スカスカの間を活かした疾走感のあるミニマル・ハウスで軽快さがある。よりリズム感が直線的なハウスへ接近し微かに浮かぶテッキーな上モノを用いてテック・ハウス感の強い"Conspiracy Two"、Villalobos色が打ち出て奇妙な金属パーカッションやぬるぬるとしたグルーヴによるドープにはめる"Conspiracy Three"と、それぞれ異なるタイプの3バージョンあるもののどれもフロアでミックスされてこそ効果を発揮する機能性を追求したミニマル・ハウスは、重鎮が揃ったという話題性に負けない内容がしっかりとある。面白い組み合わせではあるので、折角ならばこの面子でアルバム制作も期待したいものだ。



Check Ricardo Villalobos, Chez Damier & Ben Vedren
| HOUSE13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pharaohs - In Oeland (International Feel Recordings:IFEEL067)
Pharaohs - In Oeland
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ここ数年はバレアリック・ミュージックの中心的存在でもあるInternational Feelは、フロアを賑わすダンス・トラックを手掛ける事は当然として、その一方で落ち着きを持ち音楽的な豊かさのあるライブラリーミュージック的なミニ・アルバムのシリーズにも力を入れており、今までにも人気アーティストがシリーズに参加している。その新作はロスアンゼルスのユニットであるPharaohsによるものだが、過去の作品を聞いてみるとアシッドやディスコにエキゾチックやバレアリックなど、焦点を絞らせない多方面な音楽性がユニークだ。元メンバーにはバレアリック方面で注目を集めるSuzanne Kraftが居たものの、現在はDJ/エンジニアのAle Cohen、サーファーのSamuel Cooper、サックス奏者のStellar Rahimの3人のユニットなっており、メンバーの個々の趣向が各曲に反映されているのだろう。本作はサーファー・ジャーナリストが南太平洋を旅行した時の話を記した本にインスパイアを受けて制作されたそうで、その為か随分と陽気でトロピカルな響きが強い。1曲目の"Muddy Middle Of Nowhere"にはキーボードでKraftがゲスト参加しており、ニュー・エイジ風で酔ったようなシンセと郷愁を帯びたサックスが絡み合い、そしてジャングルの中の祭事らしきトライバルなパーカッションが炸裂する秘境のダンス・ミュージックだ。"Oelan Gunda"もやたらと手数が多く忙しないパーカッションが乱れ打ち、マリンバ風の可愛らしいメロディーや戯れるような無邪気な子供の声も聞こえるトロピカル色強い曲で、ここまでは躍動感も溢れている。そして"Invisible Mile"では一転して泣きのギターや淋しげなシンセに黄昏時の海が頭に浮かぶフォーク風味で、しんみりと落ち着いたムードで瞑想的。裏面へと変わると風に乗って大海原を疾走するような爽やかで軽快なバレアリックを演出する"Air Kiribati"、忙しく転がり回る打楽器と耽美なシンセ・リフに体もウキウキと振動するトロピカル・ダンスな"Coral Heads"、そして生っぽいリズムとオーガニックで素朴な上モノによって青々しい新緑が茂るような清々しさが広がる土着ハウスの"Energy"と、表向きは異なるジャンルが入り混じっているもののどれも素朴さと牧歌的な多幸感に満たされている。レーベルの中でも一際特異な音楽性を持ったユニットではあるが、これもInternational Feelが提唱するバレアリックに包括されるのは、それがジャンルではなくスタイルであるからどんな音楽もバレアリックに成りうる可能性があるからだろう。



Check Pharaohs
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Needs - Walkin' Thru Circles (2017) (Needs Music:NE-GE01)
Needs - Walkin Thru Circles

Yannick ElverfeldとLars & Marek Bartkuhn兄弟の3人によるディープ・ハウスのプロジェクト、それが1999年にデビューを果たすやいなやシーンの注目の的となったNeedsだ。やりたい事ではなくやらなくてはいけない音楽、それはリズムやグルーヴという機能性よりもムードや響きによる感情に訴えかける要素を重視し、豊かなコードやハーモニーによって鮮やかな色彩とソウルフルな音を鳴らすディープ・ハウスであり、その素晴らしい楽曲性に多くのDJが惚れ込んだ。00年代半ばには残念ながら空中分解してしまったものの、それ以降はLars一人でフュージョン寄りのバンドスタイルでの活動なども続いてはいたが、やはりファンとしてクラブ・ミュージックとしてのNeedsを期待していたのが本音だろう。そして近年になりかつてのNeedsを思い起こさせるディープ・ハウスへと回帰していたLarsだが、それが完全な形として成したのが本作だ。これは2001年にリリースされたNeeds名義では5作目のシングルのリイシューとなるのだが、リマスターだけではなく今の時代に合わせた新たなバージョンも収録され、Needsの復活の狼煙を上げる作品と捉える事が出来るだろう。"Walkin' Thru Circles (Thump Mix)"はオリジナルに収録されたバージョンの一つで、もはやこれ自体がクラシックと呼ばれるべき優美なディープ・ハウスで今も尚色褪せず、がっつりと芯の太い4つ打ちに合わせて優雅に登り詰めるようなシンセの重層的なコードやエモーショナルなソロが展開され、濃密な程に繊細な音が編み込まれた事でゴージャス感がありながらもモダンに洗練された名曲だ。そんな原曲を今のLarsの感性で解釈し直したので"Walkin' Thru Circles (Full Expansion)"で、プログラミンは用いながらもギターやベースにドラム、パーカッションやサクソ等の生演奏もふんだんに取り入れて、登り詰める多幸感と言う点では全く変わらないものの全体的に柔らかい音質が打ち出された事で穏やかな情感や温かい感情性が増し、爽やかなパーカッション弾けるコズミックなフュージョン・ハウスへと生まれ変わっている。Larsのジャズ/フュージョンへの造詣がディープ・ハウスへと自然と取り込まれ、ライブバンドが目の前で演奏しているかのようなライブ感さえ纏っているが、かつてのNeedsが時を経て円熟味を増した結果だろう。クラシックは時を超えても色褪せないからクラシック、その意味ではこれは正にそんな曲なのだ。



Check Lars Bartkuhn
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Crackazat - Rainbow Fantasia (Local Talk:LTLP007)
Crackazat - Rainbow Fantasia
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Mad Mats主宰のスウェーデンのハウス・レーベルであるLocal Talkは比較的新しいレーベルではあるも、ハウスのみならずテクノやブレイク・ビーツにジャズなど幅広い多様性を展開しながらそれに合わせて数多くの多彩なアーティストを抱えており、今非常に勢いがあり信頼のおけるレーベルの一つだ。その中でも特に活発な活動をしているのがブリストルの元ジャズ・ミュージシャンでもあり、現在はダンス・ミュージックのDJでもあるBenjamin JacobsことCrackazatだ。2015年にはレーベル初となるアルバムの『Crescendo』(過去レビュー)をリリースもしており、期待の星と言える存在は確かにヒップ・ホップやジャズやブロークン・ビーツ等の要素を含んだハウスを展開し、レーベルを象徴するような音楽性を持っている。そしてこの2ndアルバムのタイトルは「虹の空想世界」と名付けられているが、その表現も全く嘘偽りではなくフレッシュで弾けるような色彩感と陽気でポップなサウンドが徹頭徹尾鳴っている。アルバムは正に幕開けを祝福するかのようにスポークン・ワードから始まり極彩色のシンセや鍵盤が飛び弾ける"Welcome Speech"で始まるが、途中からジャジーな切れのあるビートも加わり溜まったエネルギーが爆発する如く極彩色の旋律を聞かせる。続くのは耽美なシンセのコードに装飾されファンキーなベースが弾ける"Called My Nameh"、感情を吐露するような情熱的なボーカルも加わり切なくもドラマティックな盛り上がりを見せる。そしてアルバムタイトルでもある"Rainbow Fantasia"はぶつ切りボーカル・サンプルも交えてマイクロ・サンプリング的なファンキーさもありつつ、やはり肉厚なハウスのキックとキラキラとしたシンセやホーン系の音を用いてド派手に弾けるハウスで大いに盛り上がるだろう。逆に"Midnight In Sector Seven"のようにビートレスな構成に情熱的なトランペットや控えめに優美なシンセのみで引っ張り、優しく耳にメランコリーが入ってくるリスニング系の曲ではよりCrackazatのミュージシャンとしての才能が活きているように思う。そしてゴージャスなピアノコードが眩い光を発し力強い4つ打ちに揺らされ、賑やかでお祭り騒ぎなディスコ・ハウスの"Sundial"で再度盛り上げ、最後はアンビエント的に美しいシンセのリフで微睡ませる"Spirit River"ですっと消えるように余韻を残しながら落ち着きを取り戻す流れで、アルバムとしての構成も山あり谷ありで起承転結を成しておりバラエティー豊かだ。これぞLocal Talkらしい嬉々としたポップで弾けるダンス・ミュージックで、ハウスを軸に目まぐるしくジャズやディスコにフュージョンを展開する様は、虹の如く豊かな色彩感覚を持つ。



Check Crackazat
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Recloose - Spirit Knows EP (Aus Music:AUS109)
Recloose - Spirit Knows EP
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一向にアルバムをリリースする気配はないが2010年以降のRush Hour RecordingsやDelusions Of Grandeurからの作品で再度評価を高くしているデトロイト出身のMatthew ChicoineことRecloose。最初期のジャズやブロークン・ビーツにハウスやデトロイト・テクノを交差させた音楽性が特別な注目を集めたのは昔の話、現在はハウス・グルーヴに優美なフュージョンやブギーな要素を持ち込みつつより機能的性を意識したフロア・トラックへとシフトしてきているが、その音楽性も完全に板に付きReclooseの個性として成り立ってきているように思われるここ数年。2016年の"Honey Rocks EP"(過去レビュー)に続きAus Musicからは2作目となる本作も、路線の変更はないがリスナーが期待しているであろう音楽性を踏襲しており、優美さとエモーショナル性を兼ね備えたフュージョン・ハウスはしなやかで美しい。ソウル・シンガーであるMara TKをフィーチャーした"Spirit Knows"は正しくエモーショナルな歌モノ・ハウスで、弾むようなしなやかさとソリッドな切れ味あるビート感と抜けの良いパーカッションで疾走感を出しつつ、光沢感あるシンセのメロディーが舞い踊りファンキーな太いベースがうねる。ソウル・シンガーを起用した事でハウスのトラックにネオ・ソウルの今っぽさも加わり、洗練されたモダン・フュージョン・ハウスと呼んでもよいだろう。"No I Don't"はどっしり安定感のあるリズムと楽天的なボーカル・サンプルを軸に管楽器風のリフや明るい電子音を用いて、Reclooseらしいブギーで陽気な雰囲気が満ちたハウス・トラックだ。一方で女性ボーカルや男性のポエトリーを用いた"Ezrakh-Geomancer"はその歌の影響もあってしっとりと官能的なムードもあり、繊細なピアノによる情緒的なコードも展開しつつ湿った音質のリズムも相まって、本EPの中では最も熱い感情性が強い。どれもこれもReclooseらしく豊かな感情性と耽美な響きがありもうEPに於いては駄作を出す事はないのは分かったが、後はこの路線でアルバムを聞きたいものだ。



Check Recloose
| HOUSE13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Edward - Giigoog (Giegling:giigooog)
Edward - Giigoog

もはやテクノやハウスと言った枠組みの定形には収まらず、そしてフロアを激しく揺らす事もからも開放され音楽を芸術的に捉えているようにも思われるドイツのGieglingは、特に奇才が集まるレーベルの一つだ。その中心に居る一人が Oskar Offermannとのタッグでの活躍も目を見張るEdwardだ。ディープ・ハウスらしさを残しつつもエレクトロやダウンテンポの要素に、そして表現のし難い音響を持った不思議な音楽を手掛けるアーティストは正に奇才と言う他に無いが、この新作はやはり奇妙なエキゾチック感がありつつも比較的フロアでもハマりやすそうな作品が収録されている。A面に収録された12分にも及ぶ"Bebe"はFrancis Bebeyによるアフリカン音楽である"Forest Nativity"を大胆にサンプリングしており、キックレスな状態ながらもそのネタである歌を執拗に反復させる事で呪術的な魔力を引き出し、一見激しさは全く無く弛緩した状態から体を揺らすグルーヴを生み出している。乾いた土着的なパーカッションや繊細で効果音的な電子音を散りばめながら、殆ど展開という展開は作らずにある意味ではミニマルらしい構成でサイケデリックな感覚が侵食するこのトラックは、フロアに於いても気が抜けつつも奇妙な高揚感を生み出すに違いない。"IoIo"も同様にサンプリング・ベースの曲で、ここではFrank Harris With Maria Marquezの"Canto Del Pilon"を用いて原曲からそれ程乖離しない作風を見せている。祈りにも似た女性の歌から始まり爽やかなハンドクラップも加わり少しずつ熱量が高まり盛り上がっていくエキゾチックな曲で、中盤以降はやっと原始的なリズムに加え様々な動物の鳴き声も導入され雑然とした生命力が溢れてくる。"Bongo Herbaoe"も恐らくサンプリングによる曲なのだろうが、こちらは元ネタは不明。土着的で濃密なアフロ・グルーヴの下地から幻惑的なシンセがうっすらと浮かび上がってきて、肉体的な躍動が溢れるこのダンス・トラックは太古の祭事のような訝しさに満ちている。どれもこれも太古の大地から鳴り響くような原始的な感覚があり、エキゾチックな要素を活かして肉感溢れるグルーヴへと変革させた異形のハウス(?)は、Edwardの個性的な音楽性が見事に反映されている。



Check Edward
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Spuma - Orme (International Feel Recordings:IFEEL066)
Black Spuma - Orme
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バレアリック・シーンを引率するInternational Feelが才能あるアーティストを多数擁しているのは言うまでもないが、その中でも特に底抜けな明るさを見せるイタロ・ディスコ的な音楽性を持つのがBlack Spumaだ。実はTuff City Kids名義でも活動するPhillip Lauerと、バンドや変名でも活動するニュー・ディスコ系のFabrizio Mammarellaによるユニットなのだから、イタロ・ディスコやニュー・ディスコといった要素が長い経験から得た確かなセンスをもってInternational Feelのバレアリック性へと融合し、Black Spumaの音というモノを形成している。現在は年に一枚のペースとのんびりとした活動ながらもどのEPも間違いのない豊かな響きと多幸感を含み、そしてそれは3枚目のEPとなる本作でも全く陰りを見せていない。特に彼等の音を特徴付ける要素の一つがアシッド・サウンドであるが、"Orme"でも透明感と輝きに満ちたシンセのメロディーに合わせてアシッド・ベースを軽くうねらせて、毒っぽい効果ではなく爽快にさえ感じられる清々しい空気を発するように用い、快活なイタロ・ディスコを鳴らしている。"Ceephab"も清々しく優しげなシンセのメロディーが広がるがリズムは力強く跳ねていて、そしてここでもアシッド・ベースは用いられているがやはり多幸感を誘発し色彩を鮮やかにするような使い方で、一切闇の無い太陽の下に響き渡るバレアリック・ハウスは開放感に満ちている。一方で"No Cube"は奇妙な声のようなメロディーと凛としたピアノ、そしてどっしりした4つ打ちで快活に闊歩するニュー・ディスコで、心地良いアシッドも弾け周る事で随分と陽気なムードだ。最後はエレクトロ色のあるベースラインが鈍くうねる"Presidential"、スローなテンポながらも叩き付けられるハイハットや刺激的なスネア等などが強烈で、激しくはなくともじわじわとくる攻撃的なトラック。過去の作品から全くテンションは落ちる事なく、バレアリックかつイタロなサウンドの中にアシッドという毒っ気を陽気に用いて開放的な音を鳴らしており、完全にBlack Spumaの個性は出来上がっている事は明白だ。後はこの勢いに乗ってInternational Feelらしくアルバムを期待したいものだ。



Check Black Spuma
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Theo Parrish, Amp Fiddler - Gentrified Love Part 3 (Sound Signature:SS066)
Theo Parrish, Amp Fiddler - Gentrified Love Part 3

2016年には様々なアーティストの曲を収録した『These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now』(過去レビュー)で、Sound Signatureに更なる拡張性をもたらす事に成功したTheo Parrish。元々レーベルの殆どの作品がTheo自身によるものだったのだが、こういった外部から新たにアーティストを招き入れる事は本人にとっても刺激になるのだろうか、Theoによる『Gentrified Love』シリーズの第三弾では以前にTheoのバンドにも参加したIdeeyahとデトロイトのファンク・アーティストであるAmp Fiddlerとの共同作業になっている。"Trust (SS Translation)"はAmp Fiddlerが作曲したものを恐らくTheoが更にリミックスを施したと思われる曲。Ideeyahの官能的ながらも切なさも込み上げる歌を軸に、ブギーでノリの良い4つ打ちのリズムはざらついて艶かしく如何にもTheoの音だが、点々と滴るように鳴るピアノやじとっとした湿度の高いキーボードはAmp Fiddlerによるものだろうか。元々P-Funk軍団の一員であった事もあってTheoのリミックスが施されながらもブギーな感覚も残っており、両者の持ち味が活きている。全体的にくぐもったように処理された鈍い音響の中から、黒光りする妖艶な美しさが出現するTheo流のブラック・ミュージックである。一方で"My Soul"の方はよりTheoの変異体ハウスの性質が打ち出された個性的な曲で、ジャズなのかブロークン・ビーツなのかも形容し難い強烈なドラム・ブレイクがけたたましく響き、そこに不気味な電子音が蠢きながら控えめに優美なエレピ等を配してソウルフルかつミニマルに展開する。中盤には一気に転調してスローなブレイクを挟む驚きの展開も用いつつ、そこから再度ざらついたドラムが激しく打ち鳴らされる曲で、最早ハウスと言うには異形なスタイルだがこれもTheoによるブラック・ミュージックの一つなのだ。どちらも10分近くある大作で、勿論DJとして使えるような機能性にも優れている。



Check Theo Parrish & Amp Fiddler
| HOUSE13 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Young Marco - Selectors 002 (Dekmantel:DKMNTL-SLCTRS002)
Young Marco - Selectors 002
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Dekmantelが企画するコンピレーションシリーズの「Selectors」、第一弾はDanilo PlessowことMotor City Drum Ensembleが担当し注目を集めて企画としては成功を収めており、その勢いに乗って第二弾が登場。担当はオランダからバレアリック/イタロ・ハウスの深掘りをYoung Marcoで、何でも「高価盤やレア盤の寄せ集めにならないように選曲した」そうで、第一弾が今では高価になってしまったレアなハウスをふんだんに使用していたのとは対照的にも感じ取れる。勿論Plessowも単に高価な曲の寄せ集めではなく手に入りずらい素晴らしい曲をDJとして使用して欲しいという意図も込められてはいたので、その意味ではこのMarcoの選曲も前者と大きく外れている事はない。本作について言えばハウス・テイストもあるものの、もう少しディスコティックやシンセポップ等のプロト・ハウス的な音楽性が中心で、レトロな世界観に懐かしさを感じる事だろう。同郷オランダからはDanny Boyの僅かに発表された作品の一つ"Diskomix (Disko Version)"があり、1983年作と言う事を考慮してもネオンライトをイメージさせる光沢感あるシンセ使いが懐かしく思われるシンセ・ポップな作品は、「アチョー」という声やロボットボイスの影響で中華テイストが面白く聞こえる。続くGerrit Hoekemaもオランダのアーティストで、実はコンピ等への曲を提供するのみでソロ作品をリリースした事はない点で非常にレア度は高いのだが、"Televisiewereld"はプロト・ハウスとでも呼ぶべきいたないビート感が味わい深く、奇妙な効果音がよりユニークさを強めている。勿論正統派ハウスな作品もあり、それこそシカゴのディープ・ハウス伝道師であるLarry Heardによる"Dolphin Dream"で、Heardらしい無駄のないエレガントな響きとチルアウトな感覚のある慎ましいハウスは素朴でもあり他の曲との調和を崩す事はない。現在形のアーティストであるWolf Mullerは未発表曲を提供しているが、"Pfad Des Windes"はジブリの名曲をカバーした異色作。ジブリらしい懐かしい田舎風景のムードがありながらも、エキゾチック・ディスコな響きはやはりレトロ調の味わいがある。他は90年代の作品が多く、シカゴのFrank Youngwerthによる90年前半の"Whirr"はやけに軽快なパーカッションが弾むヒップ・ハウス調で、非常に時代の空気が強い。Green Baizeの"Spick And Span"は90年代初期のイタロ・ハウスで、シカゴやデトロイトからの影響も感じさせるチージーな響きの中にエモーショナルな感情を込めた作品だ。全体を通してモダンとは対照的なレトロ調のバックトゥルーツな意図が感じられ、時代の幅やジャンルの差はあれど全体の空気の統一感として全く違和感無く纏められている。単なるレアな曲の寄せ集めでは当然なく、ミックスせずともYoung Marcoのバレアリックやイタロな音楽性を投影した世界観は、部屋を彩る素晴らしい音楽集になるだろう。勿論DJにとっては使い勝手の良い武器になるに違いない。



Check "Young Marco"

Tracklistは続きで。
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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |