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Prins Thomas - 5 (Prins Thomas Musikk:PTM 001 CD)
Prins Thomas - 5
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ニューディスコの隆盛の中で特に影響力の大きいノルウェーから一派であるPrins Thomasは、その中でも多くのEPやアルバムを送り出しMIXCDも手掛けるなど、アーティストとしてもDJとしてもこのムーブメントを引率する一人だ。アンビエントへと向かった傑作の『Principe Del Norte』(過去レビュー)から早1年半、早くもリリースされたニューアルバムは原点であるニューディスコへと回帰しているが、それは単にルーツへ戻るだけでなくそこにはクラウトロックやテクノにエクスペリメンタルやアンビエントにアシッドなどが存在しており、ニューディスコを軸にその深みを醸したような円熟味のあるアルバムになった。"Here Comes The Band"の正にバンド的な生音が主張する生き生きとしたディスコ・サウンドから始まり、ブリブリとしたベースラインが躍動感を生みコズミックな上モノが広がるバレアリック系の"Villajoyosa"、眠気を誘うような朧気な電子音が揺らめくアンビエント寄りの"Bronchi Beat"と、アルバムの冒頭からニューディスコを軸に多方面への拡張を行っている。アルバムの多様性を特に示すのが"Æ"で、何かをとち狂ったかのようなネトネトした粘性の高く暗くミニマルなアシッドは普段のThomasからは予想も出来ない作品だが、決してそれがアルバムに組み入れられた事で雑然とした雰囲気にはなっていない。また最もドラマティックに盛り上がり多幸感に包まれる"Lunga Strada"は、様々な打楽器が鳴るパーカッシブなイントロから輝かしいシンセが伸びながら徐々にギターも入ってくるコズミック・ディスコで、艷やかな光沢感は眩しくもある。ニューディスコらしく心地好い陶酔感のあるアルバム、しかし瞬発力やアッパーな曲調は後退し寧ろ全体のムードとしては地味でさえある程に落ち着きある内容だが、だからこそ逆にしっかりと噛み締めて味わいたくなる良く練られた作品だ。



Check Prins Thomas
| HOUSE13 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Deep Encounters Vol. 1 (Bucketround:Bucketround 009)
Various - Deep Encounters Vol. 1

Manuel Costelaが主宰するスペインのBucketroundからの新作は4アーティストによるコンピレーション作だが、そこに連ねる名前を見れば例えレーベルには疎くとも少なからず興味を惹かれるのではないか。Manuel Costelaを筆頭に日本からはTominori Hosoya、スイスからはAllstarr Motomusic、スペインからはJesus Gonsevと雄大で綺麗めのディープ・ハウスに関しては誰もが一目置かれる存在であり、本作に於いても現在形のモダンなハウスを存分に発揮している。4アーティストが集まりながらも各々が繋がりを持った関係であり、だからこそコンピレーションとしての纏まりもあり、単に知名度だけに頼った纏まりのないコンピレーションとは一線を画している。Gonsevは滑らかで流麗なシンセのコード展開を軸にキレのある4つ打ちのハウスグルーヴで疾走し、スポークンワードを効果的に用いて壮大な空の広がりを感じさせる"Terminal 5"を提供しており、清々しく爽快なハウスを聞かせる。そしてHosoyaによる"Strider Practice"は彼らしい透明感のあるシュワシュワとしたシンセが何処までも伸び、爽快な効果音やポコポコとした抜けの良いパーカッションによって大空へと上昇気流に乗って飛翔するような展開で、優雅に空の中を舞い踊る。対して裏面の2曲は内向的でアンビエントな趣きもあり、Allstarr Motomusicの"Pulsate"はコズミックなシンセが小刻みな揺れ動きながら幻想的なパッドで包んでいく微睡みのディープ・ハウスで、ぐっとテンポを落とした事で深い瞑想の中へと誘い込まれていく。そして主宰者であるCostelaが手掛けた"Mind Purveyor"はカラッとしたパーカッションが鳴りながらも隙間を活かしたすっきりした作風で、薄っすらと情緒的なシンセで繊細なメロディーをなぞり淡い夢の中を彷徨うような甘い陶酔のディープ・ハウスで、少ない音数で上手くメランコリーを引き出している。弾けてアッパーな曲からダウナーな曲までどれもこれも淡くも心に沁みる情緒を含んだディープ・ハウスは一聴して耳を惹き付ける程の魅力があり、本作によって彼等の実力を伝えるには十分な内容で、素晴らしいレーベル・コンピレーションと言えよう。

| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent - Dancin' Remixes (Headphoniq:Q-013)
Ron Trent - Dancin Remixes

シカゴ・ハウスのレジェンドであるRon Trentの新作は、4曲全てがリミックスの異色作。元々はシカゴ・ハウスのレーベルであるHeadphoniqから2014年にリリースされたコンピレーションの中の1曲として発表されたものを、この度レーベル側の人選だろうか、シカゴからは若手のEd NineとベテランであるJordan Fields、そして日本からは著しく評価を高めているTominori Hosoyaの変名であるTomi Chairと日本のハウス・ミュージックの大ベテランであるToru S.らによってリミックスを行い、それらを一枚のEPとして纏めたのが本作だ。"Ed Nine Remix"は一番オリジナルの雰囲気に近いだろう、流麗なパッドのコード展開やシンセストリングスをそのまま前面に打ち出しつつ、幾分か優しく滑らかに研磨したようなスムースなビートへと作り変えて、上品でエモーショナルなディープ・ハウス性を表現している。一方で"Jordan Fields Remix"は上モノの音を削りながら、リズムは逆に粗く太く逞しくと骨太さを打ち出して、仄かに情緒的な部分は残しつつも全体の雰囲気としてはシカゴ・ハウスの荒削りな面を強調したファンキーなハウスになっている。オリジナルから完全に自身の個性に塗り替えているのは"Tomi Chair Remix"で間違いなく、天井から降り注ぐような神聖なピアノの響きや透明感のある伸びるパッドで多幸感を発しながら、軽やかなパーカッションも加えて浮遊感のあるトライバル・ビートで疾走するディープ・ハウスは、正にHosoyaの作品である事を強く宣言している。そして"Toru S Remix"も繊細に響く綺麗なヴィブラフォンの旋律を加え優雅に雰囲気に変化させつつ、スムースで柔らかいビート感によってしっとりしたハウスへと生まれ変わらせており、こちらもリミックスの技が存分に発揮されている。4リミックスの中では日本人アーティストによる2曲がリミックスとしての面白み、そして曲そのものの出来としても秀でており、フロアを幸せな気持ちで満たす事が出来るだろう。



Check Ron Trent
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Midnight In Tokyo Vol. 1 (Studio Mule:Studio Mule 1 CD)
Midnight In Tokyo Vol. 1
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日本発のレーベルでダンス・ミュージックの業界で最も知られているレーベル、おそらくそれはMule Musiqである事に異論を唱える者は少ないであろう。国境を越えて日本を含む世界各国から知名度だけに頼らず確かな才能を持ったアーティストの作品を送り出し、レーベルの成長の過程で音楽性によってEndless FlightやMule Electronic等にも分岐しながら、今や世界的に見てもトップレーベルの一つになっている。そんなレーベルの新たな試みが現在のダンス・ミュージックにこだわらないStudio Muleという姉妹レーベルで、初めは日本の昔の音楽に焦点を絞っているそうだ。レーベル第一弾である本作は7〜80年代の日本産ブギー&ディスコがコンセプトで、当方には知らないアーティストの作品が名を連ねているものの、だからこそ逆にそのどれもが懐かしい響きと共に新鮮な音楽に聞こえてくる。オープニングはハーモニカ奏者の八木のぶおによる"Mi Mi Africa"、土着的なパーカッションの導入からファンクなベースにゴージャスなブラスやハーモニカが入ってきて、情熱的なアフロ・ファンクを聞かせる。続く清水信之による都会的でレトロ・モダンな雰囲気のあるシンセ・フュージョンの"Silver Top"、Piperによる爽やかな風が吹いてくるメロウなAORの"Samba Night"など、当時の時代の空気を含んだ懐かしさがいっぱいながらも色褪せないメロウネスには潤いが感じられる。こちらも輝かしい光沢のあるブラスやシンセに装飾された高村亜留による和風ポップスの"Koi Wa Saikou (I'm In Love)"、愛らしくキュートな歌も相まってもうメロメロだ。KraftwerkやYMO辺りに触発されたようなHonma Expressのポップなエレクトロ・ビートが聞ける"What The Magic Is To Try"は、テクノポップという表現がぴったりだ。同様に少女隊 & Red Bus St Projectに"Electric City"もエレクトロニックなビート感を前面に、刺激的なニューウェーブ感も盛り込んで刺々しさが格好良い。またミニーによる"Rocket 88"は随分と哀愁が漂っており何だか昔のアニソンのような雰囲気もあるが、感情を熱くするボーカルやベースやシンセが躍動するシンセファンクな曲調によって、ぐっと盛り上がる一曲。和モノを軸にしっとりメロウから肉体の躍動感までバランス良く選曲されており、外れなしの間違いないコンピレーションは流石Mule Musiqだ。第二弾も既にリリース間近と、世界的に盛り上がる和モノの中でもこのシリーズもきっと存在感を強めるに違いない。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yasuo Sato - Assorted Sunlights (2phonic Recordings)
Yasuo Sato - Assorted Sunlights

過去にはKeith Worthyによるデトロイト・ハウスのレーベルであるAesthetic AudioやLogos Recordings等から作品のリリース歴があり、近年の活動では湯WIRE等のパーティーにもレギュラーで参加しているYasuo Satoが、スペインはマドリッドの2phonic Recordingsから配信でニューアルバムをリリースした。本人の公式によればデトロイト・テクノに出会ってダンス・ミュージックを作るようになったと記載もある通り、シンセがしっかりと鳴って色彩も豊かなメロディーを武器に叙情性やポップな感覚などを打ち出したトラックメイクが特徴で、テクノともハウスとも隔たり無くしっかりと耳に入ってくる丁寧な曲調のダンス・ミュージックは一聴して馴染みやすいものだ。アルバムタイトルである『Assorted Sunlights』は盛り合わせになった太陽光とでも意訳すればよいのだろうか、確かにその表現通りに本作は色々な色彩が溶け合ったような明るい曲調でとてもポジティブな内容だ。冒頭の"2chords Disco"からシンセが層になるように鮮やかな響きをしており、ポコポコとした軽快なパーカッションが爽やかに響く中をエモーショナルなシンセのメロディーが舞い踊るディスコでポップなハウス・ミュージックは愛くるしい。続く"Blue Monday"はあの名曲と曲名は同じではあるものの、曲調は軽やかな4つ打ちのハウス・グルーヴに陽気に弾けるようなシンセが乗って、月曜の陰鬱な朝の空気を振り払うかのような明るさだ。デトロイト・テクノ好きだから"Detroit One"なんてタイトルもあるも、特にデトロイトを意識した感はなく美しく透明感あるリードシンセとリフで引っ張っていくダンサンブルなこの曲も底抜けに明るい。光沢のある艷やかなシンセのメロディーから哀愁が滲み、4つ打ちではなく崩れたビートによってぐっと溜めを作る"Electric Ocean"も、4つ打ち中心のアルバムの中で良い表情を見せている。そして"Cosmic Dream"、もこもことした空気感のあるシンセの中からエモーショナルなメロディーも浮かび上がってきて、キラキラと星が輝く宇宙を散歩しているようなドラマティックなハウスは、正にタイトル通りな世界観。アルバムは基本的には星の煌めきのような美しいシンセサウンドがリードし、機能性重視のクラブ・ミュージックにありがちな地味で淡白とは真逆の豊かな色彩感覚によって嬉々とした感情が通底している。キーボードを楽しく演奏しているアーティストの姿が浮かんでくるような、ポップでポジティブなハウス・ミュージックに何だか癒やされる。



Check Yasuo Sato
| HOUSE13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ghost Vision - Shakuhachi (Love On The Rocks:LOTR017)
Ghost Vision - Shakuhachi
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TelephonesやFantastic Manもカタログに名を連ねる新世代のニューディスコ/バレアリック系レーベルであるLove On The Rocks、その新作はGhost Visionなる聞き慣れぬユニットによるものだ。実はPsychemagikのDanny McLewinとUKのThomas Gandeyによるユニットで、このリリースの直後にもKompaktから作品をリリースしたりと、デビュー直後ながらも注目を集めるには十分な存在だ。タイトルが「尺八」にもかかわらず音源に尺八が使われているようでもなければ、和風な音楽性でもなく、曲自体は非常にLove On The Rocksらしい豊かでポジティブな雰囲気のあるブギーなニューディスコ系で、彼等のデビューを華々しく飾っている。オリジナルの"Shakuhachi"は突っかかりのあるディスコなリズムを刻み、そこに煌めくシンセを配しながら優美に伸びるロマンティックなパッドやシンセボイスがメロディーを作り、そして官能的な吐息を時折挿入して、80年代シンセ・ポップなの明るい雰囲気もあるディスコサウンドが実に懐かしく心に染みる。オリジナルの素晴らしさと共に2曲のリミックスもまたそれぞれ個性があり、Innervisionsの活躍も懐かしいTokyo Black Starによる"Shakuhachi (Tokyo Black Star Atlantis Remix)"は直線的な4つ打ちに変更しつつすっきり音を削ぎ落として、その分だけ低音の躍動的なベースが浮かび上がってDJツールとしての機能性を高めたリミックスに仕上がっている。逆に普段はテック・ハウス寄りなAl Kassianによる"Shakuhachi (Al Kassian Remix)"は、原曲のアタック感の強さはそのままに中毒的なアシッド・ベースのずぶずぶした要素を追加し、派手さを活かしながらディスコとレイヴが鉢合わせした享楽性の中にメランコリーを持ち込んだフロア受けの良さそうなリミックスを行っている。パーティーの早い時間帯からピークタイム、そしてアフターアワーズまで、3つのバージョンそれぞれに合う時間がありそうで、流石Love On The Rocksらしいハッピーでディスコティックな作品だ。



Check Ghost Vision
| HOUSE13 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Scott Gilmore - Another Day (International Feel Recordings:IFEEL 069)
Scott Gilmore - Another Day
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好調な活動を続けるバレアリック・ミュージック筆頭格のInternational Feel、2018年の初作品はロスアンゼルスのScott Gilmoreによるもの。2017年には同レーベルよりアルバムをリリースしているものの、他には殆ど作品が無く詳細については分からないが、そのアルバムを聞く限りではチープな録音マシンやHammond 102200など古いシンセやリズムマシンを用いて宅録を行うDIYアーティストのようで、確かにレーベルのリラックスした開放感はありながらもまた今までのレーベルのアーティストとは異なる音楽性も含んでいる。本作でもその宅録な雰囲気ははっきりと感じられ、"Electric Gestures"からほのぼのとしたシンセで和みの旋律を描きつつ臨場感ある安っぽいリズムが爽やかなグルーヴを刻み、その力の抜けきったリラックスした雰囲気は正に海沿いの景色が広がるバレアリックではあるのだが、根源は何だか70年代のサイケデリック・ミュージックやプログレ等からの影響が感じられる。"Things Forgotten"は哀愁染み出る味わい深いギターと豊かなシンセストリングスによるAOR風で、やはりInternational Feelの他のダンス系のアーティストとは異なる方向性からレーベルの音楽性に適合している。"Lately"はエモーショナルで色鮮やかなシンセがリードしつつ、バックではか弱くギターカッティングがしみじみとした味わいを付け加えるビートレスなAORで、ぼんやりと夕暮れの景色を眺める郷愁ムードだ。そしてタイトル曲の"Another Day"、うきうきとノリの良いリズムが入り妙に光沢のある多層のシンセが多幸感を生むコズミックかつポップな曲で、やはり太陽の日が燦々と降り注ぐ野外の開放的な雰囲気はダンス・ミュージックの枠には当て嵌まらずともInternational Feelが示すバレアリックな方向性と一致する。どれもコンパクトに纏まった構成でDJMIX向けではないかもしれなが、曲そのもののリスニングとしての質の高さは保証されており、快適な時間を提供するホームリスニングとして素晴らしい。



Check Scott Gilmore
| HOUSE13 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Theo Parrish - Preacher's Comin (Sound Signature:SS071)
Theo Parrish - Preachers Comin

Theo Parrish率いるSound Signatureから2018年最初のリリースは、Parrish自身による新作だ。ここ2〜3年はレーベルに新風を吹き込むように積極的に外部の、特にデトロイトという地域性をも越えたアーティストを招いて音楽性の拡張を行っていたが、何だかんだ言ってもやはりParrish自身の作品が期待されてしまう。ハウスからジャズ、ファンクやソウルなどどんな音楽でも彼の手にかかれば、それは音の彫刻として削り出されてParrishの個性に染まってしまうが、それが本作ではジャケットからも分かる通り「手拍子」をコンセプトにして実践されている。A面に収録された"Preacher's Comin (In Memory Of Jerome Parrish)"は相変わらず粗悪な録音風な荒々しい音質を強調しつつ、軽快なハンドクラップに合わせてジャズ風なピアノのコードやガヤガヤとした環境音やボイスサンプルを散りばめた騒がしい雑踏の音楽といった趣きで、ハウス・ミュージックと言うよりは何か忙しない生活の中から生まれたファンクネス溢れるダンス・ミュージックに感じられる。だがより強烈な個性が際立っているのはB面の方で、こちらにはJovia Armstrong, Keith Beber, Carolyn Ferrari, Craig Huckaby, Theo Parrishの5人によるハンドクラップと入れ替わり登場するスピーチのみでリズムを走らせる"Gullah Geechee (Original)"が元になり、更にそれをParrishがプロデュースした"Gullah Geechee"でParrishらしいドープなブラック・ミュージックへと深化する。蠢く地響きのような分厚いベースが加わり、錆び付いたハイハットが鋭利なリズムを刻み、途端にドロドロとした黒いビートダウン・ハウスへと様変わりし混沌としたファンクネスが湧き出てくるのだ。家の中で聞いているだけでもParrishが真っ暗闇のフロアでこれをプレイしている姿が目に浮かぶような、つまりは彼らしい削り出されたような粗くも激情が渦巻くダンス・ミュージックなのである。



Check Theo Parrish
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
AD Bourke & ROTLA - RAW (includes Ron Trent Remix) (Far Out Recordings:JD42)
AD Bourke & ROTLA - RAW (includes Ron Trent Remix)
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1992年に設立されたFar Out Recordingsはブラジリアン音楽に於いては名門と呼べる老舗レーベルであり、ジャズやボサノヴァだけでなく例えテクノやハウスのリリースに於いてもブラジルの要素を含んだ音楽性での一貫性があり、そんな事もあってジャンルによらず多くの確かな才能が集まっている。そのレーベルの新作にはイタリアのモダンディスコを手掛けるMario PierroことRaiders Of The Lost ARPと、そして同じくローマのAdam Bourkeによるコラボ作品で、Far Outからのリリースはやや意外かと思う点もあるが実際に作品を聞いてみれば成る程と納得させられる。お互いがディスコやファンクにフュージョンといった音楽に対して理解を示していたのは過去の作品からも分かってはいたものの、ここでは二人が出会う事でその音楽性はより強くなり、"RAW (Original LP Mix)"では強烈で生々しいドラムが叩き出され大胆に躍動するエレピやシンセソロがエモーショナルな旋律を刻み、ブイブイとしたベースも動き回り、まるで目の前でブラジリアン・バンドが生演奏を繰り広げているかのようなライブ感が表現されている。コズミックなシンセの使い方なんかはROTLAのデトロイト・テクノからの影響も感じられ、ブラジルの爽やかな風が吹きつつも宇宙の壮大な世界観もあったり、今後予定されているアルバムに期待が寄せられる。そして本作では何と最早説明不要なシカゴのディープ・ハウスのレジェンドであるRon Trentがリミックスを提供しており、"RAW (Ron Trent Remix)"では新たなパーカッションやキーボードも付け加えて原曲よりもアッパーで力強いハウスグルーヴを刻み、そしてTrentらしい流麗でスペーシーなシンセが空高く舞い上がっていくような開放感を生んで、メロウでエモーショナルなクロスオーヴァー系のハウスへと仕上がっている。



Check AD Bourke & Raiders Of The Lost ARP
| HOUSE13 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jon Dixon - Fly Free EP (4EVR 4WRD:4EVR-002)
Jon Dixon - Fly Free EP

レーベルであり共同体でありユニットでもあるデトロイトの神格化されたUnderground Resistanceは、しかし近年は他のデトロイト勢と同様に決して活動が著しく盛んというわけでもなく、特にその中心人物であるMad Mike Banksの動きが少ないとどうしても停滞している雰囲気は否定出来ない。しかし決して活動が完全に停止したわけではなくそんな共同体の中から新世代の台頭もあり、例えばURの別名義であるTimelineの一員としても活動するキーボーディストのJon Dixonもそんな一人だ。2011年以降はTimeline名義でのEPの制作に加わったりもしていたが、本作がソロアーティストとしては初の作品となり、自身のレーベルである4EVR 4WRDからのリリースとなる。過去にはソロ作品が無い事からアーティストとしての素質は未知数だったものの、本作を聞けば確かにDixonがTimelineの一員になった事、そしてURの新世代である事も確かにという納得させる程の音楽性があるのを理解出来る。A面にはUR一派のベテランであるJohn Collinsがエディットした"John Collins Edit"が収録されているが、幸せな気持ち溢れるポジティブなピアノや伸びやかなシンセ・ストリングスを用いて宇宙へと飛翔する、つまりはTimelineやGalaxy 2 Galaxyを喚起させるジャズ色もあるハウス・ミュージックで、ブレイク後からのソウルフルなボーカルが入ってきて熱くなる流れもあって特にパーティーでも皆の心が一つになって盛り上がれるエネルギッシュなエディットだ。B面には異なるエディットが2曲、その内の1曲はデトロイトのアーティストであると思われるAl Esterがミックスを行った"Al Ester Mix"があり、こちらは前半はややダブ処理がなされて美しいシンセのリフを聞かせつつも落ち着きのある時間が続き、中盤からは一気に雲が晴れて明るさの中に飛び込んでいくような耽美なエレピが効いたソウルフルなミックス。そして最後はDixonのオリジナルである"Jon Dixon Edit"で、序盤から弾けるパーカッションに加えキーボードによる細かい旋律による装飾がなされ、そしてDixonによる温かみのあるキーボードのソロも入ってくれば途端にジャジー・ハウスな雰囲気を増す未来へのポジティブな思いが馳せるTimeline路線で、音楽性としては正にMike Banksを継承しているのが感じられる。勿論まだBanks程の神々しいまでの存在感は無いにしても、しかしこのようにそれを継承する後継が育っているのも確かであり、これからが楽しみな存在だ。



Check Jon Dixon
| HOUSE13 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |