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Vintage Future ft. Vann Johnson and Syndicate Of Swing - Sweet Love (Elypsia:ELY07012)
Vintage Future & Johnson, Vann & Syndicate of Swing  - Sweet Love
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元々は1995年に設立されたElypsia Recordsは一時の休眠を経て、2017年に復活を果たすと以前にも増してデトロイトという地に根ざした音楽に力を入れ、デトロイトのアンダーグラウンドな方面のアーティストの新作を送り出している。2019年初頭にリリースされた本作を手掛けているのはVintage Future、つまりUnderground Resistanceのメンバーであり、そして現在はModel 500のライブメンバーでもあるMark Taylorだ。決して多作でもなく活発な音楽活動を行っているわけではないが、過去にURからリリースしたデトロイトを象徴するダーク・エレクトロや、Model 500のメンバーにも抜擢された事なども鑑みれば、確かな実力を持ったアーティストである事は明白で、特に活動が停滞しているベテラン勢から新作が出るだけでも喜ばしいものだ。本作ではアメリカの歌手であるVann Johnson、そしてノルウェーのジャズバンドであるSyndicate Of Swingをフィーチャーしており、過去の無骨で攻撃的なエレクトロではなく、ディスコやP-Funkにソウルといった要素が強く打ち出たルーツ回帰性の強い音楽性で、しかしこれもデトロイト魂が強く表現されている。"Conceptions Inspirations"は比較的デトロイト・テクノ色が強いだろうか、ファンキーなベースラインが蠢きながらも未来的なパッドがすっと伸びて軽やかに叙情性を広げ、そしてコズミックな電子音も随所にロケットに乗って宇宙旅行に繰り出すような高揚感。ソウルフルなコーラスワークも加わると何だか情熱的なハウス風にも聞こえたり、中盤からは優美なエレピに彩られてエレガントなジャジーハウスな雰囲気もあったり、鍵盤奏者らしい豊かな展開を持つ音楽性だ。一方"Sweet Love"の方はより熱く煮え滾るようなP-Funkやディスコのコテコテかつ熱量の高さが打ち出されたライブ感があり、ドタドタしたドラムワークにディスコによく使われるSE、そして太く重く躍動するベースサウンドに熱い感情を吐露する歌など、歌手やバンドを起用した成果が反映されている。UR自体がテクノやハウスだけでなくエレクトロなファンクにも力を入れていたし、ここでもそういった黒人音楽のファンクごった煮なパーティー感が表現され、熱い感情が溢れ出している。久しぶりに姿を現したVintage Future、このまま継続的な活動を期待したい。



Check Vintage Future
| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | - | |
Folamour - Re-Interpretations #1 (Classic Music Company:CMC276)
Folamour - Re-Interpretations #1
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フランスはリヨンから台頭する新世代のBruno BoumendilことFolamour、ジャズやソウル・ミュージックを根底に持つ生々しいディープ・ハウスは、例えばClassic Music CompanyやChurchといったレーベルからも作品をリリースしたのも納得で、ハウス・ミュージック好きであれば当然注視すべき存在だ。本作は2017年にリリースされたアルバム『Umami』収録曲をリミックスしたEPで、これがThatmanmonkzやByron The AquariusにAustin Atoと音楽的にはファンキーなディスコやジャジーなハウスといった点で共鳴するアーティストが参加しているのだから、相性も悪いわけがなくファンが期待するであろう内容となっている。"Y'all Right (thatmanmonkz 8 Minutes Of Funk Remix)"はヒップ・ホップ風のダウンビートだった原曲に比べると、よりバウンシーなハウス・グルーヴを活かして小気味良いビート感を刻み、ブルージーな木管楽器の音色や優美なシンセの音色によってソウルフルで温かみのあるハウス色へと塗り替えて、躍動感を打ち出したリミックスになっている。"Look At Me Or I'll Steal Your Eyes (Byron The Aquarius Remix)"はキーボーディストであるByron The Aquariusらしさが如実に発揮されており、ジャジーで耽美なエレピの使い方とムーディーで叙情性のあるコード展開によってしっとりと艶めかしいジャジー・ハウスに仕立てており、フラットで心地好いハウスのグルーヴを活かしながら綺麗な展開によってエモーショナル性が抜群だ。パーティーのピークタイム中に盛り上がるリミックスならば"Ivoire (Austin Ato Remix)"が一番だろうか、毒々しく攻撃的なベースラインと太いキックの厳ついビート感、そして煮え滾るような熱さを含むサックスのメロディーに先導されるフィルター・ハウス風のこのリミックスは、反復性も強調され特にDJ仕様な面が強い。どれもそれぞれのアーティストが反映された素晴らしいリミックスなのだが、アナログ盤には収録されたSession Victimのリミックスが、何故か配信盤には収録されていないのが惜しい。



Check Folamour
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Lamellen - Monty Roberts EP (Dekmantel:DKMNTL061)
Lamellen - Monty Roberts EP
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今や世界随一のフェスティバルから更にレーベルとしても確かな地位を築き上げたDekmantel。その看板はブランド的でもあり多くの才能が集まってくるが、そんなレーベルから2019年2月にデビューしたこのLamellenも大きな期待を感じさせる素晴らしい音楽性を盛っている。ニューカマーかと思いきやオランダのRimer LondonとLyckleの二人によるユニットで、それぞれ既に経歴の長いベテランアーティストなのだから、このデビュー作も出来が良いのは当然か。基本的にはスローモーなニューディスコ路線ではあるが、そこにはイタロやバレアリックな成分もあり、緩くも楽天的な世界観には穏やかさが溢れている。生っぽくロウなドラムマシンに合わせてメランコリーで繊細なピアノを被せた"Horse Message"、ピコピコとした可愛らしいシンセのアルペジオも加わり、実に甘美な夢の世界へと誘うスローモー・バレアリックで白昼夢へと落ちてしまう。一方、デケデケとして強烈なベースラインが打ち出された"Spider"はイタロ・ディスコ寄りの曲で、ゴージャスなピアノのコードやトリップ感のある電子音を散りばめて、中盤には破壊的な打撃音が炸裂するブレイクも織り交ぜて盛り上がるノリの良いダンストラック。そこから再度スローモーなビート感に回帰した"Oyster"、透明感のある清純なパッドと光沢感のあるシンセファンクを用いて、開放感と清涼感のある穏やかなバレアリックの世界を展開する。そしてドタドタとしたリズムマシンがディスコ的な"Railrunner"、軽く爽やかに響くギターや生っぽいベースの効果でディスコのファンク感もありつつ、爽快なパーカッションや不思議なSEのおかげで南国のビーチを思わせるトロピカルなムードもあり実に楽天的だ。全曲外れ無し、ニューディスコやバレアリック好きなら間違いなく魅了される緩くもドリーミーな音楽性は、時間の短いEPではもったいなく是非ともアルバムのリリースを期待してしまう。



Check Lamellen
| HOUSE14 | 08:30 | comments(0) | - | |
Cosmic Garden - Rhythm Of Life (Hot Haus Recs:HOTSHIT044)
Cosmic Garden - Rhythm Of Life
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何だかポジティブな多幸感が伝わってくるCosmic Gardenというアーティスト名、新作はバレアリック・ハウスなムードもあり試聴して直ぐに魅了され購入。手掛けているのはイタリア人アーティストであるNicola Loporchioで、10年程前にはMinimorph名義でディープかつミニマルなテクノも手掛けていたようだが、ここ数年はCosmic Rhythmを主宰し(そのレーベルからリリースされているB.U.M.、Loss Of Gravity、Rydm Sectorsも彼のプロジェクトである)、このCosmic Gardenではシカゴ・ハウス風な安っぽいオールド・スクールなビートと多幸感のあるピアノを用いた古典的なイタロ・ハウスに取り組んでいる。本作は過去の作風よりも一層その煌めきが増しているのは、南国はバリで制作された影響もあるのかもしれないが、そのバレアリックな雰囲気はタイトル曲の"Rhythm Of Life"で顕著に示されている。透明感と爽快感のある大らかなシンセの伸びの導入から、軽やかでフラットな4つ打ちを刻み初め、そこにチャイムのような電子音のループや輝かしく優美なピアノのコード展開が入れ替わりで楽天的なムードに染める。そして高らかに希望を歌い上げるようなトランペットの響きも加われば、それは完全に夢のようなリゾート地帯が広がるバレアリックな世界観で、イタロのドリームハウスだ。"High Life"はズンズンと力強いキックが大地を打ち太さも見せるが、そこに清純でハッピーなパッドのコード展開とトリッピーなシンセが色彩豊かに装飾し、体の内側から喜々としたエレネルーが溢れ出すハウス。一方土着的なパーカッションが軽やかに弾けブレイク・ビーツにリズミカルに揺さぶられる"Infinity"や、ラフな音質のドラムマシーンのリズムにぼんやり物憂げなパッドと切ないピアノがメロウさを醸す"Mood Changes"と、ここら辺の安っぽく乾いた音質のビートはシカゴ・ハウスからの影響も匂わせる。しかしこのEPのムードはやはりバレアリックが先ず第一にあり、"Experience"にしてもゆったりと弛緩したブレイク・ビーツと綺麗に輝くようなシンセによって、何処までも果ての見えないビーチの長閑な開放感が生まれ、無駄の無いシンプルな作風から豊潤な響きが発せられている。どれも先進とは逆にオールド・スクールな響き、複雑ではなくシンプルに磨きを掛け、しかし夢のような楽園的な快適性にうっとり陶酔してしまう。



Check Cosmic Garden
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
D.K. - Mystery Dub (Second Circle:SC009)
D.K. - Mystery Dub
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アンビエント/ニューエイジの急先鋒となったMusic From Memory、そこからもう少しダンス方面へと意識を向けた別ラインがSecond Circleだ。とはいっても単純にハウスだとかテクノに収束せずにワールド・ワイドな雰囲気を持ちユニークな音楽性を残す点ではMFMの系譜である事を示しているが、本作はそんなSecond Circleからの2018年作。手掛けているのはパリジャンのDang-Khoa ChauことD.Kで、幾つか持つ名義の中でもこのD.K.の初期活動ではAntinoteからのバレアリックなアルバムやMelody As Truthからは更に穏やかなアンビエントへと向かったりと、比較的ダンスフロアからは意識的に距離を置いた作風が彼のトレードマークになっていたように思う。ところが2019年以降のAntinoteからの複数のEPはどれもニューエイジな性質もあるハウスへと舵を切ってリスナーを驚かせたが、その予兆は既に本作の時点で見受けられる。4曲の内2曲は完全にハウスのビートを刻んでおりダンスを意識しているのは明白で、そこに桃源郷の風景が浮かび上がるバレアリック/ニューエイジ性を組み込んで、現実と空想が交錯するメランコリーな音楽を聞かせる。快活なハウスのビートにエキゾチックなパーカッションを組み合わせ、残響が微睡みを誘う美しいシンセのレイヤーが広がる"Stick To The Rules"は、そしてチャイムの催眠的な反復や朗らかなピアノやシンセのコード展開も用いて、豊かな叙情性となって押し寄せて、EPの中で一押しのバレアリック・ハウスだ。タイトル曲の"Mystery Dub"は柔らかいマリンバのフレーズと土着的なビート感が印象的で、熱帯の深い密林を思わせる豊かな色彩とミステリアスでトリッピーな響きによって、南国へと旅へと誘われる。残りの2曲は従来のアンビエントやバレアリックの成分が満ちたリスニング志向で、ダビーに揺らめくシンセのレイヤーとトライバルなリズムが未開の秘密めいた森林奥地の雰囲気を有むバレアリックな"Rebound"、鳥の囀りのサンプルや原始的なパーカッションを用いて更にスピリチュアル性を増して亜熱帯の土着感を創造するニューエイジ調の"Wise Bird"と、本作ではやたらと大地と共鳴するネイチャー志向が強く伝わってくる。ダンスとリスニングに跨る辺りもSecond Circleらしく、D.K.とレーベルの親和性は抜群といった趣きで、この方向性で同レーベルよりアルバムもと期待したくなる。



Check D.K.
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Toto Chiavetta - Underground Mental Resurrection (Innervisions:IV74)
Toto Chiavetta - Underground Mental Resurrection

2017年秋頃リリースと紹介のタイミングは遅くなってしまったものの、イタリアのToto Chiavettaによる本作が素晴らしいので、今更ながら紹介したい。ベルリン屈指のディープ・ハウス/テクノのレーベルであるInnervisionsは多くのタレントを抱えながらもアルバムがリリースされる事は稀であり、その意味では本作はレーベル側はダブルパックEPとしてリリースしているものの、その実アルバム級のボリュームでありレーベルとしても一押ししているであろう雰囲気が伝わってくる。過去にはYoruba RecordsやIbadanからも作品を出している事からも分かる通り、エレクトロニックながらもアフロ・スピリチュアル性もあるブラックな音楽性もあるが、近年はInnervisionsへの参加が増え硬質でエレクトロニックな響きを強めている。本作はその流れの発端であり、Innervisionsらしい闇の中に花弁が開くような妖艶な美しさとドラッギーな覚醒感がある音楽によって、ChiavettaがDJよりはアーティストして才能が光っている事を証明するようだ。オープニングの"Hand Made"は比較的テクノ的な硬いビート感を刻み、そして恍惚な電子音のアルペジオに引率されながら不気味な効果音のループも用いてじわじわと盛り上がる構成だが、何度か訪れるブレイクも用いて壮大な演出も待ち受けている。タイトル曲の"Underground Mental Resurrection"はぎくしゃくとしたリズムが特徴で、余りメロディーを主張せずにミニマルな持続感とトリッピーなループを活かしたDJとしての機能性を重視した曲で、しかしこういった曲でも魅惑的なサイケデリアが充実している。リリース前からDixonが積極的にプレイしていたという"Analog Suite"は、控えめなリズムトラックやパーカッションの代わりにドラッギーな上モノが強烈な覚醒感を煽るサイケデリック・ハウスで、次第に硬いリズムも加わってダンスの狂乱へと突入する正にキラートラックだ。一方では動物の雄叫びから始まる"Nothing Really Matters"は原始的なパーカッションや太鼓系のリズム、そして艶めかしい弦楽器風のループやアフロな打撃音の連打など真夜中のジャングルを彷徨っているようなアフロ・スピリチュアルな方向性へと向かい、途中でも興奮と不安に包まれるめくるめく展開が待ち受けるなどChiavettaのブラック志向が強く発揮されたハウスだ。テクノからハウスにアフロまで、そのどれもに複雑で緻密な音の構成による単調に陥らないストーリー性のある展開があり、実に良く練られた音楽性とダンス・トラックとしての機能性が伴っている。2018、2019年もInnervisionsからリリースを継続しており、これからのレーベルを引っ張っていく存在に成り得る才能だ。



Check Toto Chiavetta
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Jex Opolis - Earth Boy (Dekmantel:DKMNTL064)
Jex Opolis - Earth Boy
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今や世界でもトップクラスの注目を集めるに至ったフェスティバル・Dekmantel、いつしかレーベル運営にも乗り出しヒット作を生み出す人気レーベルの一つとなっており、Dekmantelの名を冠すればその知名度の高さもあってある種のお墨付きを貰っているものだろう。そんな事もあって知らないアーティストだったもの手を出したのが本作、カナダ人プロデューサー/DJのJex Opolisによる2019年作。この名義以外にもDVASやConga Radio含めて多数の活動を、そして2000年過ぎからは作品をリリースしていたようだし、自身主宰のGood Timin'からはディスコ〜イタロ〜エレクトロな作品を多く手掛けており、もう十分にベテランのアーティストだ。本作も過去の音楽性に倣ったイタロ・ディスコやエレクトロといった快楽バリバリで俗世的な内容で、このブレなさには安心を覚える。"Earth Boy"のチージーなリズムとピコピコシンセはエレクトロ経由のもので、ビキビキしたシンセベースに弾けるようなスネアやハンドクラップからは古典的な雰囲気が漂い、しかし胸を締め付けるような切ないシンセのメロディーやスペーシーなSEがポジティブに未来を切り開いていく。一方、鞭を打ち付けるようなエレクトロニックなシンセドラムが印象的な"Desolation (Vocal)"はイタロ・ディスコ寄りで、快楽的な8ビートのシンセベースのシーケンスが疾走感を生み出しながら、そこにマッチョ性を感じさせる男性ボーカルも相まって汗臭い肉体性を獲得し、ボディ・ミュージック的に思われる性質もある。そしてインストバージョンである"Desolation (Dub)"は、DJ向きである事を前提としつつよりトラック自体の切なさが浮かび上がってくる点で、Opolisが良いメロディーを書くアーティストである事を実感させられる。シンセを多用したイタロやディスコ好きなら、間違いなく一発で魅了される事間違いなし、これは本当に格好良い。



Check Jex Opolis
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Mangabey - Try To Chill (Toy Tonics:TOYT092)

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先日Toy TonicsからのKapoteを紹介したので、関連して同レーベルから作品をリリースするJose FehnerことMangabeyを紹介。フランス出身のアーティストで2013年頃からDJとして活動を始め、2017年に作品をリリースするようになると、ジャズやブラック・ミュージックに影響を受けたファンキーなハウスはToy Tonicsの音楽性にばっちりとハマり、新鋭として注目を集める存在の一人だ。如何にもToy Tonicsらしいディスコやファンクの要素を織り交ぜた直球ハウスは分かり易いダンス・グルーヴが強く、フロアを簡単に沸かせてしまうに違いない機能的なダンスだ。しかし驚いた事に公式の説明ではMangabeyは殆どサンプリングを用いずに自分で演奏しているとの事で、この新作も一聴してディスコ・サンプリングな作品だなと思っていたので、その演奏の表現力に驚かずにはいられない。"Just Luv Machine"は軽快でカラッとしたパーカッションを用いたハウスの4つ打ちから始まり、そしてサンプリングだと勘違いしてしまうようなジャズ/ディスコを思わせるキーボードやピアノにベースや管楽器が加わってくると、煌めくディスコ・ハウスの姿が現れてくる。陽気で希望を高らかに歌い上げるような歌も相まって、非常にハッピーでかつ肉体感のある骨太なハウスは、何か新しいサウンドというわけではないがクラシカルな作風さえ漂う芯の強さが感じられる。"My Saxophone"はそのタイトル通りなサクソフォンを用いたハウスで、しかし序盤の優雅な佇まいのあるピアノコードとしっとりと艶めかしいベースからうっとりムーディーさが漂っており、そして哀愁漂うサクソフォンが加わってくると更にしっとり情緒性を増してジャズ・ライブを聞いているかのようにも錯覚する。そして滑らかなビートを刻む"Try To Chill"では控えめながらも耽美なキーボードのコードで引っ張りつつ、チャカポコとした弾けるパーカッションを用いて実にリズミカルに展開するディープ・ハウス調、盛り上がりとムーディーな瞬間の切り替わりもあり沸かせる術を心得ている。またそんな曲をデトロイトからのRick Wadeがリミックスを行った"Try To Chill (Rick Wade Remix)"は、こちらはより太いキックが打ち付けるモロなデトロイト・ハウスで、より幽玄でしとやかなな鍵盤ワークによって上品な色っぽさや優美さを纏い、ガツガツと力強いグルーヴを刻みながらもエモーショナル性を打ち出している。新しさよりはむしろ古典的な感もあるハウスだが、それにしてもどれも出来が良くクラシカルな雰囲気さえも。



Check Mangabey
| HOUSE14 | 20:00 | comments(0) | - | |
Kapote - Brasiliko (Toy Tonics:TOYT089)
Kapote - Brasiliko
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破竹の勢いという表現が相応しいベルリンのジャズやファンクを咀嚼した現在系のハウスを量産するToy Tonics。2012年頃に設立ながらも既にカタログナンバーは100を越えるなど、兎にも角にも凄まじい勢いで新作をリリースし、レーベルの作品はレコード屋の新譜として見かけない時期はない程だ。そのレーベルを引率するのがMathias ModicaことKapoteで、比較的若手のアーティストかと思っていたら、Munkを含めた複数の名義で2000年頃から活動していたようなので最早ベテランの域にいるアーティストだったわけだ。この2019年作もフロア即戦力なファンキーなハウスで、ブラジル音楽を意識したのかもしれない"Brasiliko"は生っぽくタフなベースラインを前面に出しつつ、麗しいフルートと耽美なエレピとストリングスで気品良く仕上げながらもライブフィーリングと骨太感もあるハウスで、一聴して耳を惹き付ける魅力がある。"Salva Tion"の方はねっとりしてスムースなグルーヴ感を保ちつつ、不思議なボーカル・サンプルとダーティーなベースサウンドの蠢きによって不良っぽくワイルドなファンキー・ハウスで、毒々しささえ感じられる。そんな原曲に負けじと素晴らしいリミックスが2曲も収録されており、イタロ・ディスコ系のGiovanni Damicoとキーボーディストとして人気上昇中のByron The Aquariusが、それぞれの個性を表現している。どちらも原曲のイメージを壊す事はないが、"Brasiliko (Giovanni Damico Remix)"はドタドタとしたマシンビートがイタロ・ディスコ調で疾走感を獲得しながらエレクトロニックな分厚いシンセも鮮やかに彩る快楽性の強さを表現し、一方"Brasiliko (Byron The Aquarius Remix)"の方は抜けの良いパーカッションを用いたジャズ・フィーリングによってエレガントかつソウルフルな如何にもByron The Aquarius的な内容と、期待に応えたリミックスだ。全4曲ともフロア仕様なモダン・ハウスで即戦力間違いなしと、Toy Tonicsというレーベルの勢いが現れたナイスなEP。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Satin Jackets - Diamonds Are Forever (Pole Jam Vinyl:PJV007)
Satin Jackets  - Diamonds Are Forever
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まだまだ熱いニューディスコ界隈で近年頭角を現したのが、ベルリンのプロデューサーであり制作を担当するTim BernhardtとDJ側を担当するDennis HurwitzからなるSatin Jacketsで、2010年頃から積極的に配信において多くの曲をリリースしていたようだ。その人気を決定付けたのは2016年の初アルバムである『Panorama Pacifico』(過去レビュー)で、ゴージャスなシンセ・ポップな音や蜜をぶちまけたような甘ったるいボーカル、そしてレトロ・フューチャーな世界観は、ニューロマンティックの現代版と呼んでも過言はないだろう。そんな彼等の過去の作品は今や入手が出来ない物もあったのだが、2018年に本人らによってそんな作品を纏めたのが本作。かなり初期の曲を中心に集められているのでこれこそSatin Jacketsと呼べる音楽性、そして初期ベストと呼べる位に魅力的な曲が揃っており、アナログでは4曲ながらもどれもフロアでのキラートラックと成り得る可能性を秘めている。ぼんやりとしたシンセの持続音から始まる"Latin Jackets"、ダビーで爽快なパーカッションやポップなメロディーも加わりそしてズンズンとした安定感のある4つ打ちが入ってくれば、モダンで快楽的なニューディスコへと入っていくこの曲からして、Satin Jacketsらしいシンセの魅力が感じられる上に豊かなバレアリック性もある。よりディスコ的な生っぽいリズムやギターカッティングらしい音、そしてしっかりと底辺を支えるベースラインがファンキーさを生む"Got To Be Love"は、もう少し古典的なディスコの雰囲気を纏っていて、そしてゴージャスなシンセストリングスや華麗なピアノのコードも加わってくると、ディスコの人間臭さとハッピーな空気が溢れ出す。歌モノのニューディスコとして秀逸なのが"Hollywood"で、切ないギターカッティングや物哀しいピアノのコードでシンセバリバリなサウンドは懐かしさ満載で、そこに甘過ぎてメロウなエフェクトを掛けた歌が更に郷愁を誘うニューロマンティックそのもので、コテコテ濃密な甘さに胸が締め付けられる。"Olivia"も同様に女性を起用した歌モノで、こちらは美しくしなやかに伸びる光沢感のあるシンセやズンズンと安定感あるディスコなリズムによって、雄大にスケール感大きく展開するバレアリックにも寄り添った曲で素晴らしい。尚、配信ではリミックス含め3曲追加となっているが、このリミックスも完全にSatin Jackets色に染まったゴージャスなシンセを打ち出した懐メロ系で、お薦めである。



Check "Satin Jackets"
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |