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As One - Communion (De:tuned:ASG/DE029)
As One - Communion
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なんと2006年の前作から13年ぶりとなる本アルバムをリリースしたAs One。UK屈指のデトロイト・テクノ信仰者であり、そしてジャズやフュージョンへの造詣も深く、エレクトロニクスとアコースティックを匠に操るKirk Degiorgioが抱える多くのプロジェクトの内の一つでるAs Oneは、90年代初頭のベッドルームに電脳世界を創出するようなインテリジェンス・テクノの代表格だ。事実彼の初期活動においてはB12やPlanet Eからのリリースもあり、正にダンスに依存せずに知的さを感じさせる未来的なテクノ・ソウルがAs Oneの個性であった。本作のリリース元であるDe:tunedは2019年の間はそういった90年代の音楽の名作を10枚の『DE』シリーズで復刻していたのだが、復刻だけに飽き足らずにまさかAs Oneにインテリジェンス・テクノの最新系を表現する場を用意したのだから感心せずにはいられない。As One自体は実は2000年前後においてはブロークン・ビーツやジャズのオーガニック路線へ傾倒していたものの、しかしこの最新作は90年代初頭のファンが最も好むであろうエレクトリック・ソウル路線のテクノを表現しており、特にデトロイト・テクノの影響大なクラシカルなコード展開やシンセサウンドがそこかしこに存在している。始まりの"Absorption Spectra"はまるでオーケストラのような重厚感と華やかさがあるシンセと繊細な電子音が揺らめき、ビートレスな構成もあってアンビエント的だが、SF感のある未来的な感覚がインテリジェンス・テクノと呼ばれる所以だろう。続く"Downburst"は力強く弾けるベースと複雑なブレイク・ビーツに拘りのあるテクノだが、次第に幽玄なパッドも加わると途端に叙情性に包まれて、宇宙空間を遊泳するような感覚に陥る。柔らかくしなやかなビート感に望郷への思いが馳せるようなデトロイト系のパッドを重ねて、慎ましい思慮深いテクノの"Irimias"、そして動きの多い重層的なシンセのメロディーと有機的なブロークン・ビーツを合わせてジャジーな"The Ladder"など、正に初期As Oneの音楽性そのものな曲もある。"Aimpoint"も特に過去のAs Oneの最良の瞬間を思い起こさせる曲で、ジャズの要素もある変則的なリズムに幻夢のように惑わせる浮遊感あるシンセは深いインナートリップを体験させ、強迫的なダンス・グルーヴで踊らせるのではなく想像力を刺激するような瞑想音楽的だ。これらはそれまでのダンスフロアに依存した強烈なグルーヴではなく、4つ打ちを逸脱した自由なリズムと情緒豊かに揺らめくような上モノを用いたテクノで、ダンスとしてではなく電子音楽の無限の可能性を広げる事に寄与している。アルバムの最後も1曲目と同様にビートレスな"Emanation"で、美しいシンセストリングスを軸に夢幻の電子音響で儚さを演出しながら静かにその世界を閉じていき、アルバムの構成/流れも見事でAs Oneの中でも最高傑作と呼んでも過言ではない程だ。激しくタフなツール特化型のテクノが猛威を奮う現在において、再びインテリジェンス・テクノが注目を集めるかどうかはさておき、流行り廃りとは無縁の深遠なる世界が広がる本作はタイムレスだ。



Check Kirk Degiorgio
| TECHNO15 | 17:30 | comments(0) | - | |
Various - The First Circle (Neroli:NERO 050)
Various - The First Circle

かつてイタリアのブロークン・ビーツのシーンを引っ張ってきたのはArchiveというレーベルであるのは間違いなく、その主宰者であるVolcovはそこからよりハウスへと傾倒したレーベルとしてNeroliを立ち上げて、現在もソウルやファンクにフュージョンといった音楽性を咀嚼した先鋭的なハウスをリリースし、確実な評価を獲得している。そんなNeroliの発足20周年、そしてカタログ50枚目の記念として制作された本作は、レーベル名の元となったBrian Enoの『Neroli』にインスピレーションを得たそうで、ドラム等のビートが強調されたものではなくメロディーや雰囲気を尊重した内省的な音楽を参加アーティストに依頼したそうだ。そのアーティストとはUKからはデトロイトの魂を受け継ぐIan O'BrienやKirk Degiorgio、そしてブラック・ミュージック性を前面に出すDegoやLinkwood、更に新世代のK15、USからはデトロイトのPatrice ScottにGerald MitchellやPirahnahead、人気絶頂のFred P.、そして変則的なリズムを得意とするAybeeらであり、確かに皆ダンスミュージックを作りながらもDJ視点の単なるツールではなくメロディーやハーモニーを大切にするアーティストとしての面が強い人達が揃っている。だとしても本作ではリズムに頼る曲は少なくメロディーと雰囲気で繊細に聞かせる曲が大半で、ともすればアンビエント的な感覚さえも少なからずあり、そのリスニング志向なコンピレーションに驚かずにはいられない。K15の内省的で切ないエレピが主導するメランコリーなモダン・ジャズ風の"Disillusioned"で始まり、Kirk Degiorgioの宇宙の無重力空間を感じさせるスペーシーなエレクトロニック・アンビエントの"Leave Everything Behind"を通過し、Patrice Scottの"Untitled"もディープな空間の広がりを感じさせる音響を用いつつも途中からは切れ味鋭いブレイク・ビーツも入ってくるが、リズムよりも繊細なピアノが情緒的な雰囲気を作っている。叙情性のある曲調であればIan O'Brienは最適だろう、ピアノやストリングスを用いて切ない心象を吐露するような静謐なコンテンポラリー・ジャズの"Music Comes From Within"を提供している。一方Gerald Mitchell+ Volcov+Pirahnaheadによる"Snow"は、厳かなパッドと静かにビートを刻む上に咽び泣くように咆哮するギターが炸裂する激情溢れるセッション風の曲で、ダンスではないものの非常に熱量の高さが溢れている。またDegoは分厚いシンセメロディーが優雅なフュージョンを思わせる"31 Losses 31 Wins"を聞かせているが、Fred P.はビートが入っていれば普段のテクノと大きな違いは然程無い深遠な世界を覗かせる"Star Crossed"を披露しており、しかしアンビエントなムードによってアルバムの一片としてはまっている。普段はブロークン・ビーツやハウスを基調にしたダンス・ミュージックを手掛けるNeroliからこういったリスニング志向なコンピレーションがリリースされるのは意外だが、前述の音楽性からダンス成分を削ぎ落としつつ情緒豊かにメロディーとハーモニーを丁寧に聞かせる作風にアーティストの個性も見受けられ、結果的には各々の内なる深い精神世界が広がる素晴らしいコンピレーションになっている。



Tracklistは続きで。
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| ETC5 | 12:00 | comments(0) | - | |
Luca Lozano, Telephones - Double Vision EP (Klasse Wrecks:VVIISSIIOONN1)
Luca Lozano, Telephones - Double Vision EP

Luca LozanoとMr. Hoが主宰するKlasse Wrecksからの新シリーズは、「1 Record, 2 Artists, 4 Trax」をコンセプトにした「Double Vision」なるもので、二人のアーティストがそれぞれ新曲を1曲提供しつつ、それらをお互いがリミックスするというもの。その立ち上げに抜擢されたのはLuca本人と、Full PuppやSex Tags UFOにLove On The Rocks等からバレアリックなハウス名作を送り出している新世代のTelephonesで、個人的にはTelephonesに魅了されているのでそれを目的に購入。先ずはLucaによる"Ibiza Bullshit Necklace"だが、曲の雰囲気自体はレトロなオールド・スクール感が滲み出ているクラシカルなハウスで、安っぽく素朴な音質のキックによるブレイク・ビーツ気味なリズムが跳ねつつ、オルガン風のミニマルなコード展開を軸に時折アシッド・ベースを用いたレイヴ調な流れもあったりと、90年代の無邪気で享楽的な空気が溢れるハウスは懐かしくもある。それをTelephonesが味付けした"Ibiza Bullshit Necklace (Telephones Remix)"は完全に彼の清らかな湧水が溢れ出すようなエモーショナルなディープ・ハウスに染まっており、芯のある太いキックとパーカッションによるタフなグルーヴ感を刻み、そこに綺麗で透明感のあるシンセを被せながら多幸感の螺旋階段を上り詰めていく高揚感があり、フロアを感動に包み込むであろう情熱性と機能的なグルーヴを伴う完璧なりミックスだ。一方Telephonesによる新曲"Tonya Vs Nancy"は、躍動感のあるベースが主張しつつ上モノはややトロピカルな陽気さもあるシンセや清流が流れるような綺麗なシンセストリングスを合わせて、木々や生命の営みが感じられるような大自然の中の開放感のあるバレアリック・ハウスといった趣きで、非常に賑やかで陽気な世界観だ。それをLucaがどうのように手を加えるのかと思いきや、"Tonya Vs Nancy (Luca Lozano Remix)"はエレクトロ風なファンキーなリズムに毒気のあるアシッド的なベースを前面に出して地べたを這いずり回るような重心の低いハウスで、チージーで荒っぽい音質の効果もあってファンキーさを獲得した名リミックスだ。それぞれの新曲と手を加えたリミックス、互いの音楽性の違いが明確に現れているがどちらもフロア即戦力である事も間違いなく、シリーズ開始としては成功だろう。が2018年9月のリリース以降、このシリーズの続編は未だにリリースされていない。



Check Luca Lozano & Telephones
| HOUSE15 | 12:00 | comments(0) | - | |
Akufen - My Blue House (Quartet Series:QSB04)
Akufen - My Blue House
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2019年リリースなので今更ではあるものの、アーティストにとって第二の春を迎えている位に高品質なハウスなのでこれは紹介せねばならない。マイクロ・ハウスまたはマイクロ・サンプリングなるスタイルの個性確立により高い評価と人気を獲得したMarc LeclairことAkufen、決して多作とは言えないもののそれだけに一枚一枚の作品の品質は高く、近年はとりわけマイクロ・サンプリングの技術を前面に出すよりはそれを用いつつもオーガニックな音との調和によって、温かくもディープでファンキーな音楽性に傾倒している。そしてこの最新作、特にタイトル曲となる"My Blue House"を聞けば、まさかのGalaxy 2 Galaxyに触発されたようなハウスに驚かずにはいられない。シャッフルし跳ねるリズム、そこにオプティミスティックなピアノのリフと美しいストリングスが希望を謳い上げるように加わりつつ、細かく配置された電子音はファンキーなアクセントとなる。すっきりと身軽な構成を保ちながら爽快に飛翔するコズミック・ハウスはURよりは展開を抑えてもう少しツール性が強いが、やはりマイクロ・サンプリングに頼らないクラシカルな作風を意識しているように感じられる。"Forever In Love With You (To Camille)"も同様にマイクロ・サンプリング路線ではなくG2G的なジャジーで優美なエレピやオルガン、エモーショナルに艷やかに伸びていくストリングスを用いており、すっきりしたハイハットやハンドラクップを用いた揺蕩うビート感で気持ち良く揺れるファンキー・ハウスは、足の裏が地から離れる得も言われぬ浮遊感でドリーミーだ。昔のAkufen好きにとっては"You Look Delicious"がしっくりと来るだろうか、マイナー調のコードにジャジーな鍵盤ソロに呟きサンプルやぶつ切り風の音を合わせて、童心のような遊び心とフロアのダークな雰囲気を調和させている。そして「Play」というボーカル・サンプルに肉体的なベースと切れのあるエレクトロ風なリズム感、そこに高揚感を増していく鍵盤コードでポジティブな雰囲気を保ちファンキーさを奏でる"Play (Never Work Till Monday)"、何だかAkufenの音楽性が以前にも増して人間的な熱量を帯びてきているように思われる。フロアでの爆発力だけで評価するのであれば過去のド派手なサンプリング路線の方が求められるのは間違いないが、この新作のアーティストとしての円熟味を得た上での生々しいファンクネスも素晴らしく、自身が積み重ねた殻を破りながら更なる進化を遂げる点から今後も期待せずにはいられない。



Check Akufen
| HOUSE15 | 13:00 | comments(0) | - | |
Satoshi - Semi-Vintage (Sound Of Speed:SOSR025)
Satoshi - Semi-Vintage

CZ-5000というカシオのレトロなシンセサイザーを用いた音楽がyoutube上で公開されていたのだが、それを目にしたYoung Marcoはその制作者に連絡を取り、結果的にはMarco主宰のSafe Tripから2017年に『CZ-5000 Sounds & Sequences』(過去レビュー)で世界デビューを果たしてしまうとは、きっと本人達もそんな未来は全く予想していなかったに違いない。勿論それは非常にラッキーな事であったのは間違いないが、そんな気運を引き寄せたのは90年代からずっと制作を継続し続けていたSatoshi & Makotoの不屈の意思があったからこそで、そしてCZ-5000への探求が彼等の音楽性を独自なものへと昇華していたからこそだ。新作はそんな二人の内のSatoshiソロとなるEPで、リリースは東京の信頼に足るレーベルであるSoundofspeedからという事もあり、情報公開後からずっと期待して待っていた作品だ。レーベルインフォに依れば過去の作品と同様にCZ-5000をメインに用いて制作されたそうで、ソロとなっても音楽的に大きな差はないだろうのだろうが、前述のアルバムが牧歌的でアンビエントやバレアリックが前面に出ていたのに対し、本作はハウスなリズム感も獲得して少しだけクラブ的な側面も見受けられる。可愛らしいシンセのコード展開と優美に舞うようなシンセの重層的な構成、そして静かに淡々と刻まれるハウスの4つ打ちと、落ち着きのあるダンストラックとしても聞ける"New Dawn"から始まるが、切なさを歌い上げるようなシンセの響きが何だか懐かしくさえあり琴線に触れるメランコリーな世界観だ。"Mabuquiri"では笛を吹くような軽やかなメロディーと軽快なパーカッションが印象的で、キックは入ってないものの動きのあるシンセのおかげもあってビートが感じられて、浮遊感と躍動感を獲得している。"β-Wave"ではぐっと抑えた生っぽいドラムマシンがリズムを刻みダウンテンポ調だが、ここでも艷やかで大らかに包み込むようなシンセがぐっと情緒的に迫り、過去のクールな作風よりぐっと熱量が高まっている。勿論、牧歌的なシンセのシーケンスを活かしてフラットな心地好さが広がっていくドリーミー・アンビエントな"Capricio"は、前のアルバムの路線を踏襲しておりこういった作風も素晴らしい。計5曲のみだが外れ無しの充実したEPは、ややダンスフロアからの影響も意識した面もありつつ、やはり昨今のアンビエントやニューエイジの文脈の中でも輝く音楽性があり、郷愁を呼び起こすエレクトロニック・ミュージックである。



Check Satoshi
| TECHNO15 | 12:00 | comments(0) | - | |