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FRKWYS Vol.15: serenitatem
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Max Essa - Themes From The Hood, The Cad & The Lovely (Deconstructed By Balearic Demand) (Hell Yeah Recordings:HYR7183)
Max Essa - Themes From The Hood, The Cad & The Lovely (Deconstructed By Balearic Demand)
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イタリアから現行バレアリックを先導するHell Yeah Recordings、そこから2017年にリリースされたMax Essaによる『Themes From The Hood, The Cad & The Lovely EP』はレーベルオーナーのMarco Peedooをして「これまでにリリースした中でも最もバレアリックなレコード」と言わしめた作品だ。英国生まれ日本在住のEssaはBear FunkやIs It Balearic?からも作品をリリースするなど、現在のバレアリック隆盛以前からその音楽性をハウスに取り込んで開拓してきたアーティストで、特にここ数年はその音楽性は豊潤さを増している。その決定打とも呼べる作品が前述のEPなのだが、そこから更に「バレアリックな需要に合わせて解体された」という作品が本作だ。元々は12分にも及ぶ「Themes From The Hood, The Cad & The Lovely」がここでは4つへのパートで計17分への作品へと生まれ変わっており、曲そのものは殆ど変わっていないものの曲を分割する事でバレアリック向けのDJに使いやすいように編集したというところか。ベルや笛に弦楽器らしき音などを用いてどこか和のスピリチュアル感もある始まり方の"Setting Sail"、重厚で美しいシンセストリングスも入ってきて深い瞑想を誘うニュー・エイジ/アンビエントなスタイルのパートで、終盤では繊細ながらも悲哀のムードを注ぐピアノが感傷的だ。そこに続く"Gold Hush (Part 1)"で軽くビートも入ってきて視界も開けたように清々しくクリアなバレアリック性が湧き出し、大海原をヨットに乗ってクルージングするような大らかで爽やかな世界へと出航する。"Dance Indigo"はおそらくニューパートだと思われるが、前のパートの雰囲気を引き継いだダウンテンポで、透明感のあるパッドやディレイするシンセで空間の広がりを作りながら、微かにしっとり切ないピアノの用いて叙情をもたらす。そして最後の"Gold Hush (Part 2)"で清らかでメロウなピアノのコード展開を続けながらまた静けさが漂う凪の状態へと戻りながら終息するなど、4つのパードで構成された組曲は薫風がそよぎ燦々と太陽の光が降り注ぐ大海原やビーチを思い起こさせる真夏のバレアリック・ミュージック。これからの季節にもぴったりなスローモーバレアリック、季節感があって実に素晴らしい。



Check Max Essa
| ETC4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
John Beltran - The Season Series EP Autumn
John Beltran - The Season Series EP Autumn

今だからこそ正直に言えるがここ数年の作品はエレクトロニカやニュー・エイジ、または優しく包み込む有機的な響きの作風を軸にしたアンビエント作が多く、予てからファンであった人にとっては物足りなさがあったのも否定は出来ないだろう。デトロイト・テクノ第2世代のJohn Beltranは90年代前半から活躍するベテランであり、そしてその世代の中では数少ない今も尚新曲を作り続ける貴重な存在だ。だからといって手放しに全ての作品を称賛出来るわけでもなく、近年はややリスニング志向になり過ぎていたと思う。変化の兆しは2017年リリースの『Moth』(過去レビュー)位からだろうか、アンビエントな雰囲気の中に明確なダンスビートが現れるようになり、ファンが期待しているであろう音楽性が戻ってきたのだ。そして2018年、更に復活を決定付ける動きがあったのだが、それこそ秋から始まり一年の中に流れる各季節をコンセプトにしたシリーズで、その第1弾は秋。幕開けとなる"Lustrous Orb"からして初期の躍動感溢れるグルーヴとセンチメンタルなメロディーが広がっていくアンビエント・テクノな作風で、ファンからガッツポーズをしたくなる程の期待に応えた曲だ。この曲はキックは入ってないものの荒々しい質感のスネアがけたたましくビートを刻み、そこに重層的なシンセがデトロイト・テクノばりばりな叙情的な旋律を描き出して、じわじわと感傷的なムードを高めていくドラマティックな流れで、特に中盤以降の美しいシンセの絡みはこの上ない至福の世界だ。"Beautiful Things Cry"も全くキックは用いずにハイハットやスネアの軽やかなビートを活かしつつ、弦楽器らしき音のミニマルなリフに透明感のあるシンセの上モノを被せて、清涼感たっぷりに浮くような感覚で快活に疾走する。キックを用いないのは本作の特徴だろうか、"Pumpkin Skies (Jordi's Song)においても同様でその代りにブレイクビーツ風なスネアが軽快に躍動感あるビートを叩き出し、多層的に覆い被さっていくような朗らかなメロディーによって淡くドリーミーな世界観を演出する。"Autumn's Key (What Will You Be)"も作風としては前述の曲と一貫しておりスネアやハイハットの爽やかなビート感があり、そしてディレイも用いた清涼な上モノによって開放感を打ち出したメロウなアンビエント・テクノで、遂に最後の"Lose You"は完全にビートレスになり振動するように細かいシンセが躍動して壮大さを生むパッドと相まって物静かに感動を高めていく。秋の雰囲気の一つに哀愁があるが、正にそんな季節に思いを馳せる切ないアンビエント・テクノはコンセプトを的確に表現している。自身のBandcampのみで販売されている事からも分かる通りパーソナルな作品でもあり、非常にBeltranのエモーショナルな性質が打ち出されたこのシリーズ、ファンならば必聴だ。



Check John Beltran
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rick Wilhite - The Godson IV (Mahogani Music:MM-42)
Rick Wilhite - The Godson IV
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デトロイト・ハウスの重要レーベルであるMahogani Musicと言えばKenny Dixon Jr.が率いるだけあり、何はともあれどんなアーティストによる作品だろうと最新のリリースはひと目置かれるが、2018年8月頃にリリースされた本作は特に注目せずにはいられない作品だ。手掛けているのはDixonらとも3 Chairsを結成していたりしたデトロイト・アンダーグラウンドのベテランの一人であるThe GodsonことRick Wilhiteで、所謂スローモーで重心の低いデトロイト・ビートダウンを広めた立役者の一人でもある。本作はアナログではダブルパックながらも4曲のみ、つまりは片面1曲のみと気合の入った構成で、その上Moodymannのかつての名曲"Technologystolemyvinyl"のリミックスも収録されているのだから、是非ともアナログで入手して頂きたいものだ。"Xanadu 3.0"は典型的なビートダウン・ハウスと呼べるだろうか、淡々と刻むキックは錆び付いたような響きでローファイ感があり、そこにジャジーでくぐもったエレピ風のコードを展開するが、大きな衝動を生む事もせずクールな空気感でただただマシンビートが虚空に響く。"Sonar Funk"は呻き声のようなサンプリングから始るが、直ぐに金属が錆びてざらついたキックやハイハットが走り出し、そこに闇の中で蠢くようなキーボードがぼんやりと情緒を添える。奥底では鈍い電子音が微小な音量でループしておりヒプノティックな感覚も加えて、すっきりしながらも荒々しいグルーヴと合わせて燻りながら熱くなるファンキーなハウスを聞かせる。目玉はやはり"Technologystolemyvinyl (Godson's Cosmic Soup Mix)"だろう、キーボードにAmp FiddlerやトランペットにPitch Black Cityらのデトロイトのアーティストを迎えるなど、豪華なアーティストが揃ってのリミックスだ。オリジナルはサンプリングを駆使しながらも生々しくファンキーなジャズ・ハウスであったが、このリミックスではその音楽性を継承しながらも生演奏中心で再現する内容で、けたたましく野性的ながらもジャジーなドラミングと優美なエレピの装飾、そこに熱く咆哮するトランペットも加わって衝動的かつライブの創造性に満ちたジャム・セッション版ハウスを構築している。そして最後はデトロイトのユニットであるFolson & Tateの曲をリミックスした"Is It Because I'm Black (Godson's Flip Mix)"、スカスカな音の構成ながらもどっしりと重いビート感とゴスペル・ハウス風な歌も一緒くたになりP-FUNK風なノリもあるが、このプリミティブなファンク感は正にデトロイトという地から生まれた音楽で、Mahogani Musicからのリリースも納得の出来だ。どうせならこの流れでアルバムのボリュームで作品を聞きたくなる程だが、一先ずはここに収録された曲はどれもDJがフロアでプレイしても盛り上がるであろう内容で、ビートダウン先駆者としての貫禄が発揮されている。



Check Rick Wilhite
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tominori Hosoya - Moments EP (Lights:LIGHTS 01)
Tominori Hosoya - Moments EP

2018年はキャリア初のアルバムをリリースするなど、今まで以上に躍進を果たしたのがTominori Hosoya。Tomi Chairの変名も含めれば随分と長い活動歴を持ち、ここ数年はTH PressingやTC Whiteなど自身のレーベルも立ち上げて、自身の作品をリリースする傍らでは音楽性に共感するアーティストの作品も送り出したりと、音楽に対する熱意は高い状態を保っている。そして2018年に新たに立ち上げられたレーベルがLightsで、他のレーベルとの違いについては把握していないものの、音楽性自体はHosoyaらしい透明感や爽快感にエモーショナル性が込められたテクノ/ハウスとなっており期待を裏切らない内容だ。本作は実は既発の曲も含まれているのだが、2017年に配信で他のレーベルからリリースした作品が、しかしそれらはレーベルの消滅と共にオンライン上から失われてしまったそうで、そんな曲のアナログとしての形での復活に加え未発表バージョンや新曲も収録する事で、新たな一枚として完成した。"Midnight Drive On St. Valentine"はその失われた1曲で、叙情性豊かなシンセのメロディーとパーカッシヴなグルーヴで快活に走り抜けるディープ・ハウスは爽快感抜群で、底抜けに青い大空へと吸い込まれていくようだ。コンガらしきパーカッションが心地好く空を抜ける"Palm Springs (Pure Memory Version)"も安定感あるビートが続きながら疾走するハウストラックで、エモーショナルで澄み切ったシンセの美しさはあるもののしかし空間を埋め尽くされないように音を選んだすっきりした構成で、そのおかげかより疾走感が活きている。"Mother's Pride"は失われたもう1曲、どっしりと重いキックが安定したグルーヴを刻みそこにアトモスフェリックな上モノが覆い被さっていくアンビエント色強めなディープ・ハウスでだが、薄っすらと情緒を発する中に入ってくる豊かな色彩感のあるメロディーによって壮大な景色が広がっていく。最後の"Slow Growth In Womb"は新録で水蒸気に満たされたようなしっとりとしたアンビエントの雰囲気に中にキレのあるハイハットやずっしりしたキックがリズムを作り、シュワシュワと情緒が溢れ出してくる上モノのシンセが持続する曲は、しかし他の曲に比べるとやや密閉されたフロアで鳴るテクノ的な印象を受ける。野外の開放感、または暗き闇が支配するフロアなど曲によって受け取る雰囲気は異なるが、しかしどれにもHosoyaらしい情感豊かなシンセによる耳を引き付けるメロディーが魅力的に存在しており、エモーショナルな響きが体の隅々まで伝わってくる。



Check Tominori Hosoya
| HOUSE14 | 18:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
S3A - Sydmalaide EP (Local Talk:LT090)
S3A - Sydmalaide EP
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日本のハウス・パーティーでもありレーベルでもあるEUREKA!でお馴染み、そしてSoundofspeedやQuintessentialsといった人気レーベルから作品をリリースするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する新生代ハウス・アーティストであるS3A。Sampling As An Artを称するその音楽性は勿論サンプリングを武器にジャズやファンクにディスコを咀嚼したクロスオーヴァーなハウスで、エネルギッシュに弾けるグルーヴと陽気かつエモーショナルなムードに染めながらご機嫌なパーティー感覚に包み込む。新作はスウェーディッシュ・ハウス代表格であるLocal Talkからとなればお墨付きを頂いたようなもので当然外す事はないのだろうが、それでも期待を裏切らずに見事な曲を揃えている。冒頭の"Premiere Rexidence"からしてファンクかディスコをサンプリングしたであろうその手腕が映える作風で、流麗なキーボードのコード展開に対して魂を吐き出すような熱い歌やギターカッティングがファンキーで、派手派手しくも優雅さも兼ね備えたファンキー・ディスコ・ハウスはS3Aに期待する音楽そのものだ。"End Track For A DJ"は更に手数が多くイケイケアッパーなハウスで、ゴリゴリと骨太で荒いビートを叩き出しつつゴスペル風の雄叫びやボイス・サンプルをたんまりと織り交ぜ、そして分かり易いシカゴ・ハウス風なピアノのコードや麗しいストリングスの装飾なども現れて、これ以上はないという位にポジティブなエネルギーが爆発するピークタイム仕様だ。また光沢感を発するような輝かしいディスコ・フィーリングに溢れた"Searching Force"はエフェクトをかけて展開する懐かしくもあるフィルター・ハウスで、作風としての目新しさはないものの優美なピアノやストリングスのサンプリングネタのセンスが断然に素晴らしく、フロアを盛り上げる術を熟知したと言っても言い過ぎではない。最後の"Deep Mood Vol.4"はそれまで上げ上げだった曲への反動という事でもないのだろうが、パーカッションは弾けながらも重心の低いベースラインとマイナー調のコード展開による訝しいディープ・ハウスで、このぼやけた黒さはデトロイト・ハウスの系譜上にあってもおかしくはない。単にアッパーに盛り上げるだけではなく雰囲気を持続させるための曲でも才能を発揮するS3A、そこに懐の深さを見出だせるのだ。EP単位では文句無しに魅力的な作品をリリースし続けているので、そろそろ総括としてアルバムも期待したいところだ。



Check S3A
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |