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2019/2/9 NUTS @ Grassroots
東高円寺の音楽酒場であるGrassrootsでは複数のレギュラーパーティーが開催されているが、その一つがNehanが主宰するNUTSだ。かつてはUnit等幾つかのクラブにて開催されていてたARTEMISのメンバーでもあるNehanが、2015年頃から新たに自身の表現の場として立ち上げたパーティーであり、またゲストには有名無名に限らず実力ある国内の、そして音楽的な繋がりのあるDJを迎えて、不定期ではあるもののGrassrootsの看板の一つとして地道に開催を続けている。今回は同じくGrassrootsで長くレギュラーパーティーを持つKabuto、そしてDessous Recordingsからも作品をリリースし作曲家としてもDJとしても評価を獲得しているIori Wakasaをゲストに迎えており、今年初のNUTSは盤石の布陣をもって開始する。
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| EVENT REPORT7 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Calm - By Your Side (Music Conception:MUCOCD-030)
Calm - By Your Side
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名は体を表すという諺があるが、Calmと名乗るそのアーティストが2018年にリリースした本作はその諺通りの音楽性を端的に示している。Calm=穏やかな、平穏なという意味を持つアーティスト名で活動する深川清隆は、元来からダウンテンポやディープ・ハウスにアンビエントといった要素を交差させながら、ダンスフロアに足を踏み入れながらも徹底して胸の奥を締め付けるような切なく叙情的な音楽を尊重していた。その意味でCalmの音楽活動は一本筋がずっと通っておりそのCalmという言葉通りの音楽を深掘りしていたが、本作はそれがより際立って強くアーティスト性を主張している。前作『From My Window』(過去レビュー)ではMoonage Electric & Acoustic Ensembleという他アーティストも招いたある種バンド的な制作だったが、本作では再度一人での制作に戻った事がよりパーソナル性を強めた事も落ち着きのある作風に影響しているだろうし、何と言ってもバレアリック・ミュージックが溢れる現在のシーンに自然と馴染む本作はCalmが元々持っていたバレアリック性を改めて提示もしている。アルバムの幕開けは"Space Is My Place"、美しいシンセのコードに合わせてCalm自身の清らかな歌や綺麗に舞うシンセのメロディーが穏やかにゆっくりとしかし雄大に展開し、後半から感傷的なギターやシンセコードへと切り替わって深い叙情を増すこの曲は、これから待ち受けるであろうドラマの始動に相応しい。そしてその曲名通りに夕焼けの中に星が現れてくるような"Afterglow And First Star"、しっとりとしたダウンテンポのリズムに輝かしいシンセが瞬きながら、湿っぽく感傷的なオルガンのソロが闇が深くなりつつある中に切なさを落とし込む。続く"Ending Of Summer, Beginning Of Autumn"はビートが入らないアンビエント色強めな曲だが、アナログシンセの引き締まって光沢感のある音が続く中に咽び泣くように切り込んでくるギターやほのぼのとしたシロフォンがしっとりした情緒を生み、深く心に潜り込んでいく内省的な雰囲気が強い。"Sky, Color, Passing"や"Shade Of Tree"のように活動初期のニュー・ジャズの系譜に連なる作風もあり、ざっくりとして生っぽいジャジーなビート感が大らかに揺蕩いながら、そこに無垢なシンセのレイヤーや素朴な歌が清らかな空気を持ち込こんで、落ち着いたムードながらも心の奥底から喜びが溢れ出すその世界観はバレアリックと共振している。そしてアルバムの最後を飾る"You Can See the Sunrise Again"も繊細でジャジーなリズムを刻んでおり、そこに一寸の曇りもないポジティブなシンセのメロディーやコードを重ねて、シンプルな作風ながらも心を開放するリラックスした雰囲気はアルバムを締め括るのに相応しい。全体として真夜中のクラブ/ダンスフロアよりも、静かに時が始まる早朝から長閑な昼を過ぎてオレンジ色に染まる夕暮れ時の時間帯という印象で、熱狂的な興奮よりも聞いていて心が穏やかに安堵するその音楽は、最早クラブ・ミュージックのリスナーだけで聞くのは勿体無いくらいだ。Calm流のバレアリック・ミュージックは、これまで以上にメロディアスでポップとして通用する。



Check Calm
| ETC4 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Domenique Dumont - Miniatures De Auto Rhythm (Antinote:ATN044)
Domenique Dumont - Miniatures De Auto Rhythm
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ほのぼのとした牧歌的な色彩感覚ながらも何かおかしな世界観のジャケット、ポップでもあり少し捻れた感もあるその雰囲気は音楽がそのまま投影されているようだ。近年のバレアリックやシンセウェイヴのムーブメントと共振するフランスのAntinoteから2018年9月にリリースされた本作は、2015年に同レーベルより謎のフランス人プロデューサーという紹介でデビューしたDomenique Dumontによる2枚めのアルバムだ。作品数が少ない事もあり今も尚謎多きアーティストだが、実はラトビア共和国のArturs LiepinsとAnete Stuceによるプロジェクトと判明した。とは言っても両者に関してそれでも尚謎多き存在である事に変わりはないが、しかしそんな霧に隠れたような知名度ながらも音楽そのものは闇を燦々とした光で照らし出すが如く抜群に魅力的なものだ。シンセ・ポップやバレアリックにトロピカルといった要素が含まれているがしかしどれか一つに当て嵌めるのは難しい音楽、陽気で牧歌的なムードと共に爽やかなダンスでもありリラックスしたリスニングでもあるそれは、とにかく愛くるしいポップ・ミュージックなのだ。急ぎ足のように、しかし軽いドラムが走る"Le Debut De La Fin"はほのぼのとしたシンセのコードに愉快で爽快なギターが切り込んできて、そして透明感のある歌も加わって実にフレッシュな空気が弾けるシンセ・ポップだ。続く"Quasi Quasi"もチープなリズムマシンのような素朴なビート感が辿々しくも新鮮で、そこに朗らかで愉快なシンセやキュートな歌が目まぐるしく展開して、一点の曇りも無いピュアな世界観はバレアリックとも共振する。この後の"Faux Savage"はちょっとした小休止のダウンテンポ調で、奇妙な弦楽器や打楽器がごちゃごちゃと鳴って異国情緒もありながら、哀愁あるフォーキーなギターが切なくもある。そんなカントリーなりフォークなりの雰囲気がより強く現れたビートレスの"Ono Mambo Haiku"、それは素朴なギターによるものだけでなく淡い色彩感覚のシンセによるほのぼのとしたメロディーが枯れた味わいも生み出していて、肌にしんみりと染みていく感覚のあるインストルメンタルに安静を覚える。"Sans Cesse, Mon Cheri"では再び軽くレゲエ寄りなアフタービート調のリズムに開放感を生むパーカッションも入ってきて、そこにまろやかでドリーミーなシンセに哀愁爆発なギターが加わって、南国の極楽ムードなトロピカル・シンセ・ポップを聞かせている。その南国ムードをはっきりと感じさせる"Message Of The Diving Bird"では、鳥のさえずりをバックにどこどことした土着的な打楽器と訝しいフルートの響きによって、深い亜熱帯の森林の中に誘い込まれていく。一体何処の国だろうかと思う程に、エキゾチックの原始な風景であったり長閑な田園風景だったりと曲によって異なる雰囲気があるが、しかしそのリラックスして開放感のある響きに共通するのはバレアリックという感覚だろう。それも大らかで陽気なポップ・ミュージックなのだから、愛らしく聞こえるのも当然だ。



Check Domenique Dumont
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Chateau Flight - Dam House EP (Versatile Records:VER123)
Chateau Flight - Dam House EP
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フレンチ・ハウスの代名詞でもあったVersatile Recordsの中枢を成しその先駆者として活動を行っていたのが、Gilbert CohenことGilb'R & Nicolas ChaixことI:CubeによるChateau Flightだ。近年はフレンチ・ハウス自体が以前程には賑わっていないという状況も関係があるのか、それぞれソロ活動はしながらもChateau Flightとしての活動は全く音沙汰が無い状況で一ファンとしては残念な思いであったが、何と2018年に4年ぶりとなる新作EPがリリースされた。元々フレンチ・ハウスの中でも耽美なだけでなく癖のあるストレンジ感を持ったユニットではあったが、随分と久しぶりとなる新作においてもその性質に更に磨きをかけており、ダンスとしての機能性の中にユニークな特異性を潜ませてChateau Flightとしての存在感を強烈に発している。"Crazy"は特に今までの作品と比べても異質なビートレスなアンビエントの形をしており、闇が這い出てくるダークな幕開けに耽美で繊細な電子音を散りばめて静かに朽ちていく退廃美を感じさせ、そこからも不気味なクレージーという呟きやトリップ感のある音響が飛び交い、美しさと狂気が混在する彼等なりの芸術作品なのだろうか。そんな曲をダンス・トラック化した"Crazy (House Mix)"は弾力のあるキックが軽快なリズムを刻んだハウストラックになっており、揺らめくトリッピーな音響の中により優美でお洒落な上モノを活かしてメランコリーな空気も携えて、マッドなフレンチ・ハウスは快楽的だ。特に不思議な鳴りをしているのは"Lo"でミッドテンポな安定感のあるリズムで始まり、何処の国とも分からないエキゾチックな笛の音やレイヴ風なシンセ、ぐるぐると回転するような木琴のような奇妙な音階などが風景が切り替わるように現れて、終始じわじわとした低空飛行のグルーヴながらも摩訶不思議な世界観でトリップさせる。そして"Sargan"は10分にも渡る強烈なテクノで、骨太ハードではないが膨張したベースラインと切れ味のあるリズムで疾走感を出しながら、明確なメロディーはない奇妙な鳴りの電子音を散らしながらサイケデリックな空気で包み込む。短いインタールードも含めて5曲のEPながらも、ボリュームは十分にありそしてどれも過去の作品以上に優美ながらも奇天烈なサウンドでぶっ飛んでおり、Chateau Flightの復活の狼煙をあげるには相応しい作品だ。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Salsoul Sounds Familiar (Re-Edits, Remixes And Remakes From The Sounds Familiar Crew) (Sounds Familiar:SALSBMG16LP)
Various - Salsoul Sounds Familiar (Re-Edits, Remixes And Remakes From The Sounds Familiar Crew)
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その後はハウス・ミュージックの萌芽へと繋がっていくなど現在のダンス・ミュージックに非常に強い影響を与えたディスコ・ミュージック、その音楽の中でも伝説的レーベルとして名を残すのがNYのSalsoul Recordsだ。The Salsoul OrchestraからDouble ExposureやLoleatta Holloway、SilvettiにFirst Choiceなどを始めとしてディスコという枠組みにおいて欠かす事の出来ないアーティスト/バンドを多く抱えるレーベルであり、サルサ+ソウルの混合を発展させてラテン・ファンクな豪華かつソウルフルな響きを用いて、70〜80年代を席巻した重要レーベルだ。本作はそんなレーベルがイタリアのディスコ・レーベルであるSounds Familiarとコラボレーションし、現在のダンス・ミュージックとして生まれ変わらせた企画盤であり、ディスコから派生したハウスへとより接近させてDJ仕様な手を加えている。作品の多くは原曲の雰囲気を壊す事はなくSalsoulの優美さを残しており、例えばDJ Spinnaによる"Chicago Bus Stop (Ooh I Love It) (DJ Spinna Refreak)"はゴージャスなオーケストラ・サウンドやトランペット等の優美な響きはそのままにリズム感を滑らかなハウス・ミュージックのそれに置き換えた上で、派手さをコントールして全体を綺麗に洗練させてより大人びたムードが加わっている。TwiceとVolcovによる"Stimulation (Twice & Volcov Edit)"やSpecterによる"Latin Lover (Specter Edit)"は至っては正にエディットなので音的には原曲との差が無く、DJとして使いやすようにシンプルな構成を反復させる事で、ドープさを増してズブズブと嵌めていくエレクトロニック・ファンクの前者、メランコリーなハウス調の後者へと、それぞれがDJ仕様になっている。如何にもなりミックスと言うならば名曲"Thousand Finger Man"をGe-ologyがハウス・ミュージックに仕立てた"Re-Fingered With Love"で、上モノのピアノやシンセの旋律はおおよそ原曲そのままだが跳ねて疾走するリズムは明らかにハウス・ミュージックのそれであり、ドタドタとしたバンド・サウンドな原曲と比較するとこのリミックスは現在のダンス・ミュージックとして成立している。また元々は4分にも満たない曲だったものがKai Alceが手を加えた"Salsoul Rainbow (Kai Alce NDATL Edit)"は9分にまで尺が伸ばされ、土臭くファンキーなベースやドラムのリズム帯に合わせてゴージャスなオーケストラが組み合わさった優美なサウンドによるドラマティックな展開を、これでもかと言う程に堪能出来る。どれもこれも見事なまでにSalsoulの華々しいディスコ・サウンドそのままでその意味では基本リミックスではない為に大きな驚きはないが、名曲ばかりなのでSalsoulやディスコへの足を踏み入れていく為の入り口として捉えても価値はあるだろう。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |