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Max Graef - Rivers Of The Red Planet (Tartelet Records:TARTALB003)
Max Graef - Rivers Of The Red Planet
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才能ある新鋭はいつだって突然に舞い降りる。ベルリンと言えばテクノ/ハウスが猛威を振るう中で、まだ20歳の正に新鋭と言う表現が相応しいベルリン出身のMax Graefは、音楽性を何でも取り込むように雑食性の高い豊かなビートメイクを披露する。2012年のデビューから2013年には数枚のEPを手掛け、デビューから僅か2年にしてアナログ2枚組のアルバムを完成させ(しかもCD盤は無しと気合充分)、性急な勢いながらも既に注目の存在に成長している。先ず以て述べておくと本作が革新的だとか前衛的だとか誇張する気持ちは全くないが、ハウスやディスコにジャズやソウル、ヒップホップやフュージョンなど多様な音楽の要素を、この若さで一つのアルバムに違和感溶け込ませているセンスは評価するに値する。しかしリスナーからすればアーティストの年齢など評価には関係がなく、結局はそういったセンスを元に自由を謳歌するようなビートとスモーキーな音像が遊び心に溢れており、心がウキウキと湧き立つようなアルバムである事がMaxの評価を高めている。アルバムは - 正にアルバムらしく - DJの為だけの作品ではなく礼儀正しい順序で、フルートやサックスに生ドラムなどを使用したふざけたような即興演奏的なイントロから始まり、続いて優雅なローズ使いがありながらも訝しさが漂うビートダウン・ハウス"Itzehoe"へと雪崩れ込む。かと思えばスクラッチを導入したヒップ・ホップの"Superswiss"で小休憩を入れ、そこから光沢のあるフュージョン的なシンセ使いが豪華なダウンテンポ"Running"でぐっと色気を増す展開が待ち受けている。その次の"Jazz 104"では怒涛のジャズ・ドラムのビート攻め、そして"Tamboule Fudgemunk"では不明瞭で荒々しいまるでデトロイト・ハウスを思わせるスモーキーな音が…と、一息入れる展開ながらも雑種な音が怒涛の勢いで迫り来る。確かに考える暇を与えないような多種多様な展開ではあるが、そのフリーダムな音楽には肩の力が抜けたノスタルジーと渋味のあるエモーションがあり、とっちらかった印象よりもブラック・ミュージックとしての統一感に染まっているのだ。この耽美なメロディー、キレのあるビート、齢20歳にしてここまで聞かせるかと称賛の言葉しか見つからない。2014年のベスト・アルバムにランクイン入りするか?



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kuniyuki Takahashi - Remix Collection (Mule Musiq:mmd45)
Kuniyuki Takahashi - Remix Collection
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DJではなくアーティストとして自身で様々な楽器を演奏し、有機的な音色からディープ&スピリチュアルな世界を奏でる高橋クニユキ。トラックメーカーとしての素質は日本のみならず世界からも評価されており、その結果として様々なアーティストからリミックス依頼があり、成果として多数のリミックス作をアナログに残してきた。勿論相当なファンでもない限りそんなアナログを集めるのは困難であるが、日本盤のみでそれらの楽曲を纏めた高橋クニユキによるリミックス・コンピレーションが発売されている。DJ SprinklesやMr Raoul K、Lord Of The IslesやP'taahと言った海外の著名なアーティストから、サカナクションやNabowaからMarewrewにMarterら日本勢までのリミックスを収録した本作ではあるが、単なるリミックスアルバムではなくもはやこれは高橋クニユキの個性が光るオリジナルアルバムと言ってもよいだろう。筆者がオリジナル作品を熟知しているわけではないのでクニユキの手が加わった事による変化を知る由もないが、しかしディープ・ハウスのみならずジャジーな作風やトライバル系、果ては現代音楽な曲調までバラエティーには富んだリミックスを披露しつつも、そのどれもにクニユキらしい奥ゆかしくも人肌の温もりを感じさせる包容力に溢れた音が通底している。DJ Sprinklesの慎ましい美しさを保ちつつ、より自然の生命力を吹き込んだ"Brenda's $20 Dilemma (Kuniyuki Dub Remix)"、 Mr Raoul Kによる呪詛的な訝しい曲に脈動するアフロビートを持ち込んだ"Africa (Kuniyuki Main Remix)"など、アーティスト間での相性の良さが引き出されたリミックスは期待通りだ。それとは逆に意外な組合せが面白い作品もあり、エストニアの伝統音楽をリミックスした"Sampo Tagumine (Kuniyuki Remix)"では既存のダンス・ミュージックの殻を破る神々しさがあり、アイヌの伝統歌を歌うMarewrewをリミックスした"Rera Suy (Kuniyuki Remix)"では、祈りを捧げるような歌に研ぎ澄まされたピアノや弦楽器を重ねて宗教的な雰囲気を持たせていて、どんな作品でもクニユキ色に染められる事を証明している。そして感動の瞬間はラストに待ち受けている。Nabowaの"Ries (Kuniyuki Remix)"はジャジーテイストに味付けしながらアコギやストリングスが美しく伸びるインスト曲だが、徐々に光り輝く空の中へと飛翔し消え行くような清涼感に満たされていて、心が綺麗に洗われる感動の1曲だ。様々なアーティストの曲をこうまでもクニユキらしいオーガニックな世界に落とし込み、様々なスタイルとして昇華するリミックス、やはり高橋クニユキはDJではなく音楽家なのである。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lifetime Boogie Initiation (Lifetimeboogie:LTBCD-002)
Lifetime Boogie Initiation
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インド出身のロシア人アーティストIgnat Karmalito。彼は世界各地を旅しながら人間が太古から受け継ぐ原始的な胎動を体験し、それを国籍と言う境目を超越しながら現在のダンス・ミュージックへと反映させたプロジェクトであるCitiZen of Peaceを立ち上げる。2012年にはデビュー・アルバムも完成させCitiZen of Peaceは注目を集めるが、そこから更に発展したのが本作だ。リミキサーには高橋クニユキ、DEEP COVER(沼澤尚×森俊之)、井上薫、CD HATA(from Dachambo)、Calmらが参加しているが、Ignatの民族音楽の感性とリミキサー陣のオーガニックな音楽性やトランス感と言う視点からの相性は見事な相乗効果を成していた。冒頭を飾るクニユキによる"Heart Dance(Kuniyuki Remix)"からして12分の大作であるが、クニユキらしい温かいピアノや民族的なパーカッションが入り混じりながら、青々しい木々が茂る深い森へと誘われるスピリチュアルなディープ・ハウスを展開している。ファンクバンドのプレイヤーとして活動する沼澤尚×森俊之は、人力による演奏を中心にメロウながらも揺るぎないパワーを秘めたファンクへと塗り替えた"Shore 2 Shore (DEEP COVER Mix)"を披露。そして民族音楽と言う繋がりで言うと最も相性の良い井上薫は、"Skyboat (Sky Is No Limit Version)"として異国情緒の空気を漂わせながらも清々しいまでのトランス感が迸るテック・ハウスの味付けをしている。CD HATAによる"i.M.U (CD HATA Sparkling Mix)"は広大な大草原を駆け抜けるようなトライバルなテクノになっているが、大地を揺らす原始的なグルーヴは全身から喜びを発するようで、これも爽やかなトランスを誘発する。そしてラストでは、Calmによる慎ましくも人間の生命力が鼓動するダウンテンポな"Humanature (Cosmic Blessing Version)"が。他にも井上薫によるAurora Acousticとの共作や、CitiZen of Peaceの自然との調和を成すファンクな未発表曲など、そのどれもが力作揃い。国境を超えたナチュラル・トランスとでも言うべきか、快楽的ながらも大自然と共鳴するオーガニックな香りが素晴らしい。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ian O'Brien - Understanding is Everything (Octave Lab.:OTLCD1965)
Ian O'Brien - Understanding is Everything
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UK屈指のデトロイト・フォロワーであり、そしてフュージョンやジャズをこよなく愛するIan O'Brien。テクノと呼ばれるダンス・ミュージックから始まり、遂には本物のジャズにも匹敵するエモーショナルなクラブ・ジャズやフュージョンのスタイルを確立し、00年代前半には音楽家として春を迎えていた。しかしそこから長い沈黙の期間が続く事となり、その間にMIXCDやコンピレーションの制作、他のアーティストとの共作などで時折表舞台には現れたものの、このニューアルバムのリリースまでに12年もの時間を要す事となった。その間にもクラブシーンは目まぐるしく変わり新しいジャンルが生まれては消え…しかしIan O'Brienは全くブレる事なくルーツに対して正直に、彼にとっての代表作とも言える"A History Of Things To Come"(過去レビュー)を継ぐ作品として新たなるマスターピースにも成り得る素晴らしいアルバムを完成させた。本人が述べるように若かりし頃に影響を受けたデトロイト・テクノ的な作風は封印され、エモーショナルな要素を長く熟成させ豊潤な音色を打ち出した、つまりは前作のジャズ/フュージョン路線を更に推し進めている。何と言ってもHerbie HancockやLonnie Liston Smithと言ったスピリチュアル・ジャズの巨匠の作品を臆する事なくカヴァーし、Innerzone Orchestraの"Bug In the Bassbin"をリミックスするなど、自分のルーツを隠さずに誠実かつ真摯な思いで音楽と向き合っている事から、Ianがどれだけ本気なのかも伝わる事だろう。DJではなくアーティストとして才能を持つ彼らしく、ヴィンテージなアナログ・シンセやローズ・ピアノ、ギターやパーカッションにドラムまで殆どの楽器を彼が演奏しているのだが、電子音と生音の選び方がとても自然でゴージャスなのに嫌らしさが全く無く、温かく豊かな感情のみが強調される事に成功している。少しだけ足が地面から浮くような心地良い浮揚感にピュアな気持ちだけが残った透明感、最初から最後までエモーショナルでポジティヴな感情で満たされており、安らぎの世界が地平の先まで広がっている。この新作までに随分と待たされてしまったが、その空白期間を埋めるには十分過ぎる名作である。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kentaro Iwaki - Less Is More (Resonance Records:RESO-CD-01)
Kentaro Iwaki - Less Is More
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オジリナルアルバムとしては5年ぶり、岩城健太郎の本名名義では初となる本アルバム。なんだか久しぶりに彼の名を聞いた気もするが、現在は富山に自身のアトリエを構えてグラフィック活動を行いつつ、日本各地を彷徨うようにジプシースタイルでの音楽活動を続けていた。Dub Archanoid Trim名義ではその名の通りダブ感覚を打ち出した音楽性が特徴だったが、時代が移ろい世の中の音楽が変化を遂げた中でも、この新作にあるダブ感覚は然程変化を感じさせない。ジャズ、ダブ、ハウス、ヒップホップ、アンビエント、ブレイク・ビーツ、一見纏まりがないような幅広いスタイルの曲が詰め込まれているが、ぼやけて抽象的なカバー写真のように淡い心象風景をキャンバスに描写したようなアーティスティックな侘び寂びが効いている。”Less Is More”のタイトルが指し示すのは不要な音や要素が間引かれ身軽になった曲が持つ自由な創造性であり、確かに分り易いフロア向けのトラックは殆ど無いのだが、フロア向けに限定しない事がアーティストの内面をより深く掘り下げた芸術性の高い作品へと転換されているのだ。1曲1曲はミニマルな作風ながらもアルバムを通して風景がゆったりと多様に変化する旅路のような描写は、繊細かつ慎ましい空気が満ちながらも可変的な自由度は高い。エレクトリックとアコースティックが抽象的に絡み合いながら、空気のように日常的に存在する音楽として自然な存在感を漂わせており、岩城健太郎の新たなる音楽の旅の始まりを予感させている。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
John Beltran - Amazing Things (Delsin Records:98dsr)
John Beltran - Amazing Things
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デトロイトのミスター・ロマンティシストと言っても過言ではないJohn Beltran。正直なところ派手な作風でもなければ、使い易いダンストラックを作るトラックメーカーでもない為に、20年と言う長い音楽活動に対してその存在自体が秀でて目立つわけではない。がデトロイトの熱狂的な信者に対しては取り分け信頼されているだろうし、部屋に篭ってメランコリーに浸れるダンスに偏らないアンビエントテイストな音楽は、流行と言う濁流からは外れたタイムレスな存在だろう。本作はオリジナルアルバムとして実に7年ぶりとなる作品だが、本格的にソフトウェアを導入して制作した事や、00年代前半に傾倒していたラテンやブロークンビーツから初期のアンビエントへと回帰したなど、幾つかの変化が聴き取れる。ソフトウェア制作がベースとなった影響なのか少々小ぢんまりとし硬さも残るように感じるが、その分音はより研ぎ澄まされ清流のように癒しの音が溢れ出し、昼下がりの白昼夢に入り浸れるようなニュー・エイジ感覚さえも生まれている。相変わらず俗世的で体を激しく揺さぶるダンストラックが無いのは当然だが、しかしそうだとしてもピュアで一点の汚もれない音はパーティー後の疲労が蓄積した身体に優しく作用するであろうし、精神的にも全くの嫌味の無さは清々しく爽やかだ。アルバムに対するコンセプトは特に無かったそうだが、この7年の間に父親となったJohnの二人の子供への愛で、つまり沢山の愛によって制作された作品であるそうで、確かにここには夢見がちな甘いノスタルジーが待ちわびている。デトロイト・テクノを好きな人ならば当然として、忙しない毎日に忙殺されている人にとっても癒しの音楽として最適だろう。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Louie Vega Presents Elements Of Life - Eclipse (Fania Records:UPC 8 46395 08021 6)
Louie Vega Presents Elements Of Life - Eclipse
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ラテン・ハウス界の帝王であるLouie Vegaのよるプロジェクト・Elements Of Lifeが、なんと9年ぶりに新作を、それも2枚組と言う大ボリュームで完成させた。Masters At Work時代からDJとして、トラックメーカーとして徹底的に現場主義の活動で経験を蓄えてきた彼が、それまでのクラブミュージックやハウスと言うスタイルに囚われずに、更なる飛翔を遂げる為に結成した大所帯バンドがElements Of Lifeだ。前作ではラテンと共にまだまだハウス色を色濃く残していたものの、この新作ではレイドバックしたフュージョンやボサノヴァなどを強く打ち出して、クラブミュージック以外のリスナーにも強く訴えかける作品となっている。クレジットを確認するとUrsula Rucker、Josh Milan、Anane、Luisito Quintero、Monday Michiru、その他大勢のアーティスト/プレイヤーが制作に加わっており、Louieはコンダクターとしてバンドを率いているのだ。本人が演奏をする事は殆ど無いが、しかし的確なセンスを以ってしてバンドを掌握し、プログラミングは最小限に抑えつつ多くを人の手による演奏によって作られた曲群は、生命の芽が出始めるような温かさが満ちている。基本はラテンなので複雑に形成されている爽やかなパーカッションが心地良く体をすり抜けて行くが、エレピやオルガンにアコギなどの郷愁たっぷりな切ないメロディーが通底しており、じっくりと聴けるリスニング指向として幅広い音楽ファンが満足出来る作品だと思う。また輸入盤の2枚目には12楽章に渡って繰り広げられる33分の大作"EOL Soulfrito"も収録されているが、これを聴くとライブプレイする事を前提とした一大絵巻が広がっており、バンドのリーダーとして出来る事をやり切っている印象だ。勿論DJとしての経験を生かして2枚目にはLouieによるハウスミックスも複数収録しており、体を自然と揺らすハウス・ミュージックのグルーヴ感を再認識させられる結果となった。アルバムだからこその全体を通して聴く楽しみがあり、ツールを前提としたクラブミュージックではないトータルで完成の高い作品として成り立っている。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Chari Chari - Snaker 002 (Snaker:SNAKER 002)
Chari Chari - Snaker 002

COS/MESの5iveとTraks BoysのK404が主宰しているライブラリー・レーベル「Snaker」の新作は、井上薫ことChari Chari名義の編集盤だ。敢えて井上薫の名前ではなくChari Chari名義となっているのは、ここに収録されている作品が現在の作風である電子と野生が融合したダンストラックではなく、殆どが2000年以前に制作された氏のルーツでもあるオーガニックでワールドミュージック色を打ち出した作品だからだ。今となっては廃盤となっているEPや色々なコンピレーションに収録されていた曲に恐らく未発表作と思われる曲も纏められており、ファンにとってもこう言ったレアな作品が一つのアナログで聴けるのはアーカイブとして確かな価値を持っている。目玉は2001年のスプリット盤に収録されていた"Calling"改め"Calling Spirit"だろう。タイトル通りに眠りから覚醒させるように野性的なパーカッションに呼び起こされるが、しかし揺蕩うチルな空気感がなんとも程良いリラックスした朝焼けの美しさを喚起させる。原始的な人の雄叫びに始まり虫の鳴き声による静かな胎動がざわめきだし、朝靄の中で清々しい一日が始まる。他の曲にしてもフロアに直結する快楽的なダンストラックは皆無だが、現代的な忙しい生活からは解放された民族的なゆったりしたムードに包まれながらも、人間の中に太古から存在する原始的な生命力を呼び覚ますビート感があるのだ。まだ現在の彼程には完成されてもおらず懐かしさもある作風だが、井上薫名義とはまた別のChari Chari名義によるエキゾチック感は十分に体験出来る。本人による曲解説も記載してあるので、それを読みながら聴くと一層ワールドミュージックを理解出来るだろう。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Vakula & Kuniyuki - Session North #1 (Soundofspeed:sosr 011)
Vakula & Kuniyuki - Session North #1

ジャズ/ファンク/チル/アンビエントと言った要素をダンス・ミュージックとして解釈し、国内外問わずに良質なアーティストの作品を粛々とリリースしている日本のSound of Speed。カタログにはEddie CやJimpsterも名を連ねているが、本作は過去にもレーベルから作品をリリースしているVakulaと高橋クニユキによる音楽性豊かなコラボレーションだ。両者ともツールとしてではなく音楽として作曲能力の高い事から、本作でもその絡みは上手く作用し生演奏のフィーリングを活かした作風となっている。面白いのは二人で2曲を共作し、それらの曲を各々がリミックスをする事で両者の違いを聴ける事だ。太くうねるベースラインとざっくりと生々しいハウスのグルーヴは力強いが、透明感のあるキーボードや爽快なカリンバ風のメロディーが清々しく、途中から入るピアノがクニユキらしいスピリチュアルを生み出す"Session North #1 (Kuniyuki Version)"。対してVakulaによる"Session North #1(Vakula Version)"もカリンバ風のメロディーを使用しているが、グルーヴがよりジャズを匂わせる有機的な躍動があり上モノはスペーシーで、全体としては優雅なフュージョンテイストになっている。また"Passage To The Moon"も両者のバージョンが収録されており、特にVakulaによるバージョンは複雑に入り組んだリズムトラックはジャジーだが、ロマンティックなシンセやエレピの使い方はうっとりする甘美で、中盤以降は広大な宇宙の無重力空間へと放り出されるドラマティックな世界が広がっている。EPで2曲だけのコラボレートでは本当にもったいない、そんな気持ちになる素晴らしい1枚だ。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Nature - Return Of The Savage (Golf Channel Recordings:Channel 024)
DJ Nature - Return Of The Savage
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Massive Attackの母体となり所謂ブリストル系へと繋がるきっかけとなったThe Wild Bunch。そのメンバーこそNellee Hooper、Daddy G、Robert Del Naja、Andrew Vowles、そしてDJ MiloことDJ Natureであった。残念ながらメンバーの分裂によりユニットは解散してしまうもののNellee Hooperは表舞台のプロデューサーとして、そして残りの三人はMassive Attackとして華々しい活躍を見せたが、最後の一人であるDJ Natureは長らく陽の目を浴びる事はなかった。いや地味には活動をしていたようではあるし、02〜03年にはMIXCDやDJ Milo名義でのアルバムもリリースをしていたが、決して元The Wild Bunchとしての風格を見せつけるまでではなかったと思う。転機はおそらく2010年にGolf ChannelやJazzy SportからDJ Nature名義でのリリースを始めた事だろうが、そこではハウスにディスコ/ファンク/ジャズと言った様々なブラックミュージックの要素を溶かし込みより生っぽくとロウな質感のDJ的なトラックを披露していた。2年に渡り9枚ものEPをリリースしそのどれもが正統な評価を得たが、ようやく完成したアルバムは全曲が新曲と言う意欲作だ。これは初期のMassive Attackが持ち合わせていた黒さやスローなビートを同じく含んではいるが、表向きは敢えてMassive Attack程の整ったプロダクションは聴かせず、わざとざっくりとした質感を残す事でアルバム・タイトルである"野蛮人の帰還"へと繋がっているようだ。全体的にスローに絡み付くビートを張り巡らしながら、ピアノ/オルガンと言った鍵盤系からトロンボーン/サックスのホーン系に美しいストリングスなどこれでもかと生っぽくコラージュし、その上を官能的なボーカルで黒く紫煙で染め上げていく。そして基本はハウスの4つ打ちではあるがその中にもルーツを感じさせるブラックミュージックの咀嚼があり、過去を振り返りつつも今のアンダーグラウンドなクラブミュージックへと至る流れがしっかりと感じられるのだ。何というかとても人間臭い音楽で、そして包容力のあるダンス・ミュージックであると思う。ちなみにCD/アナログどちらもダウンロード・コード付きなので、是非アナログで買うべきだろう。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |