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Fabrice Lig - Galactic Soul Odyssey (Planet E:PLE65376-2)
Fabrice Lig - Galactic Soul Odyssey
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完成した作品の評価を確認する為にCarl Craigに作品を送ったところ、その内容の素晴らしさに惚れ込んだCarlが自身が主宰するPlanet-Eからのリリースを決めてしまったと言う、そんなエピソードがあるのがこのアルバムだ。そう、デトロイト病に冒された一人でもあるFabrice Ligにとって4年ぶりとなるアルバムは、デトロイト・テクノを熱心に追求してきたその結果として更に先祖返りを果たしてしまったような、Carlが魅了されるのも極自然な音楽性だ。元々デトロイト・テクノに影響を受けながらより洗練された欧州的な味付けをしたテクノを手掛けながらも、その中にはファンクやジャズの要素も含ませて、ソウルを奏でる者としての立ち位置を築き上げていたFabrice。しかし本作ではその方向性は堰を切ったように深化して、デトロイト・テクノのルーツの一つでもあるPファンクへと片足を突っ込んだような…いや、もうほぼPファンクへと身を捧げたような印象さえ残す異色な出来となっている。アルバムの冒頭を飾る"Dwarf 2703"からして派手で動きの多いブギーなシンセのメロディー、そして4ビートのベースライン、そしてブレイク・ビーツを組み合わせて、フューチャー・ファンクとでも呼びたくなる実に熱狂的な魂が弾けるような曲だ。"Born To Be Wise"はミニマルなシンセのリフとビートが強調され比較的テクノ色の強い曲だが、しかしフュージョン感覚のある煌めくシンセが入ってくると途端にファンク化する。"No Judgment"ではAnn Saunderson、"Celestial Love Rising"ではHard Tonをフィーチャーし歌物も手掛けているが、ここではビートにキレはありながらも熱く感情的なボーカルを用いる事で実にソウルフルなハウス・トラックとして成立させている。アルバムのハイライトは間違いなく"Superstring Theory"だろう、Fabriceお得意のコズミックなシンセと麗しいフュージョンのようなコード展開を用いて、ディスコやファンクをも飲み込んだテクノとしてデトロイト精神が爆発したような壮大な曲だ。アルバム全体に豊潤なシンセやスラップベースが多用されコテコテな作風は正にPファンクであり、底抜けにポジティブで一点の曇りもない希望に溢れたその音の前に、にんまりと笑顔が浮かんでしまう。



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| TECHNO11 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Joris Voorn - Nobody Knows (Green:GR106CD)
Joris Voorn - Nobody Knows
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誰が呼ぶのかオランダのテクノ貴公子とも称され、若くしてスターダム路線を歩むJoris Voorn。2004年にリリースした"Incident"は数年に渡り多くのパーティーでプレイされるアンセムとなり、またその後のディスコ・ハウス路線となった"Sweep The Floor"や"The Secret"も大箱受けする作風が注目を集め、優秀なトラックメーカーとしての評価を獲得している。また"Future History"や"From A Deep Place"の2枚のアルバムではストーリー仕立てのような壮大な展開と、メロディアスかつソウルフルなテクノの音によって、単なるクラブ向けのトラックを手掛けるだけではないアーティストとしての深みを披露した。そこから7年、遂に待ちに待った3枚目のアルバム"Nobody Knows"が完成した。この間にJorisはイビサなどの享楽的な大箱などの場所でもプレイするようになり、そしてフロアでこそ映えるような機能性重視のトラックを量産してたが、新たに到着したアルバムは恐らく大方の予想を裏切るようなリスニング重視の音楽性となっている。アルバムの冒頭を飾る"The Monk"からしてサウダージを匂わせるスパニッシュギターの響きと物哀しくもあるシンセが情緒を感じさせる、まるでサウンドトラックのようなアンビエント系の曲で、この時点で驚きを隠さずにはいられないだろう。続く"A House"ではKid Aなるアーティストを採用し歌モノを披露しているが、最早テクノと言うよりは電子音楽によるバラードと言った趣さえも発し、かつてない程のエモーションを滲ませる。"Homeland"でようやくビートが入ってくるがここでもMatthew Dearをボーカルに起用しているが、決して激昂させるようなビートはなく甘く切ない空気を発し、フロアの喧騒からは遠く離れた安堵に包まれた場所へと誘われる。このようにアルバムはアンビエントとエレクトロ・ポップを中心にテック・ハウスの要素を少々と、彼がEPで手掛けていたパーティーで映えるような曲とは対照的な、実にしっとりと聴かせる要素が前面に出ている。アルバムの中盤ではかつてのJoris Voornのエモーショナルな要素とフロアでの機能性が打ち出た"Ringo (Album Version)"や"Mugged"が用意されており、決してダンス・トラックも無い訳ではないが、いわゆる享楽的なムードとは無縁の位置にあるだろう。しかし、彼が何故にこのようなアルバムを製作するに至ったのか。瞬く間にスターダムへとのし上がり、余りにも大きく享楽的なクラブやフェスティバルでプレイをする喧騒にまみれた生活からの反動だったのだろうか、本作での過剰なメランコリーには全く疑問を感じない訳ではない。勿論Joris Voornらしいメロディーやコードを丁寧に聴かせる音楽性は変わっていないし、作品が決してつまらない音楽でもないのだが、何か期待していた方向から外れていると言う事も否定は出来ないのだ。



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| TECHNO11 | 13:00 | comments(2) | - | |
Barnt - Magazine 13 (Magazine:MAGAZINE 13)
Barnt - Magazine 13
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ドイツはケルン出身のDaniel Ansorgeは、2010年に芸術と音楽に関するレーベルであるMagazineを他のメンバーと共同で立ち上げた。レーベルとしては彼等自身の作品をリリースするために設立されたようだが、その後はThe Fieldの別名義であるLoops Of Your HeartやWolfgang Voigtの作品もリリースし、単なるテクノではないドイツ発祥のジャーマン・プログレやクラウト・ロックの要素も取り込んだ音楽性が注目を集めている。そして、遂にDaniel AnsorgeのプロジェクトであるBarntによるアルバムも完成したのだが、以前にMule MusiqからリリースしたEPに比べるとその奇才な音楽性はより際立ってきている。アルバムの冒頭を飾る"Wiggett: So we know that hexog****"からして既にモダンなテクノに当てはまる事はなく、無加工で剥き出し間のあるハイハットから始まりふにゃふにゃとした複数のシンセのメロディーが絡み合い催眠術のように効いてくるトラックは、決してダンス・ミュージックの機能を失っている訳ではないが、その鉛のような無機質な存在感が異彩を放っている。続く"22:25"では鬱蒼とした重苦しさを放つシンセが奥底で鳴っており、それに合わせて寂れたアナログシンセから発せられたような不安げにさせるような複数のメロディーが突き刺さるように現れ、快楽とは無縁の容赦無い冷めたテクノだ。10分以上にも及ぶ"Cherry Red"でも壊れたリズムマシンが執拗にビートを刻む展開から始まり、まるでリズムだけで展開を作っていくミニマル・テクノのような展開もあるが、そこにヒプノティックなサウンドが入ってくると途端にジャーマン・プログレのような実験的かつユーモアのある曲へと変わり出す。アルバムは幾つかのインタールードを挟む事でサウンドトラックのような趣もあるが、全体のイメージとしては非常に閉鎖的で陰鬱とした空気で満たされており、快楽的に向かい過ぎた現在のダンス・ミュージックに対するアンチテーゼにも思われる。




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| TECHNO11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Recondite - Iffy (Innervisions:IVCD08)
Recondite - Iffy
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ここ10年の間でInnervisionsはドイツおけるディープ・ハウスの最先端を進んできた。音楽のみならずアートワークやパーティーなどその全てにおいて高い質を保ち続け、様々なアーティストを世に送り出し、今も尚レーベルはトップレーベルとして君臨している。そんなレーベルはEPとして単にフロア向けの作品を手掛けるのみならず、アルバムとして豊かな音楽性を披露する事にも注力しているが、このReconditeによるニューアルバムはどうだろうか。Reconditeは過去にアシッド・サウンドをアシッド・サウンドらしく聞かせないアルバムである"On Acid"や、ディープながらもクラブ・ミュージックから離れた静謐な電子音楽である"Hinterland"など、その作品毎に柔軟にスタイルを変化させながら評価を高めてきた。その流れはこのアルバムでも同様であり、自らをInnervisionsの音楽性へと当て嵌めるように荘厳なディープ・ハウスを披露している。実に、正に、Innervisionsらしい闇の中で密かに感情を燻らせるようなダークなのにエモーショナルなハウスが中心で、音は研ぎ澄まれされ最小限の構成でミニマルかつシンプルな作風は、地味ではあるがじんわりと染み入るようなシリアスな静謐な趣がある。派手ではないものの大箱でも受けるようなドラッギーな恍惚感や妖艶なメロディーから発せられる色気など、Innervisionsがこれまでも放ってきたトラックをなぞるようにフロア受けする要素が盛り込んでおり、レーベルの作風に自然と馴染んだアルバムだと思う。しかし、Reconditeとしての魅力はどうだろうか。Innervisionsという偉大なレーベルを前にして、アーティストの個性は萎縮してしまったのだろうか、レーベル性に沿う事を気にしすぎてしまったような印象が拭えない。そんな中で"Steady"や"Jim Jams"のような物哀しいダウンテンポな作品などはReconditeらしい繊細さがあり、やはりダンス・ミュージックにこだわらない方が彼らしいのではと思わせられる。




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| TECHNO11 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lawrence - A Day In The Life (Mule Musiq:MULEMUSIQ CD 46)
Lawrence - A Day In The Life
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ヨーロッパのLarry Heardとも称されるハンブルグで活動するPeter KerstenことLawrence。Smallville RecordsやPampa Records、そして自身で主宰するDial Recordsなどから実に慎み深く内向的なテクノ/ハウスを世に放っているが、彼の音楽の一部としてアンビエントな要素も特筆すべきだろう。この新作は予てから付き合いのあるMule Musiqを主宰するToshiya Kawasakiと、アートワークを担当したStefan Marxとの10年にも及ぶ交流の結果として生まれたそうで、アンビエント・ミュージックとアートワークに対する愛情を示した作品だとLawrenceは述べる。そう、このアルバムはアンビエント・ミュージックに焦点を当てた作品であり、一切のビートは入っていない。元々の作風としてビートが入ったものでも柔らかく穏やかな音色や落ち着いたテンションが特徴だったので、ではビートが一切入ってないからといって特に違和感がある筈もなく、Lawrenceらしい音楽性が見事にアンビエントに溶け込んでいる。タイトルである"日常のとある一日"、正にその通りなリラックスした穏やかな音色の浮き沈み、いつの間にか空気に溶けこむような意識させない展開は、日常の中に常に気付かずにいながら存在するようなBGMのようでもある。もしくは宇宙における無重力空間でひっそりと瞬く星のように、ひっそりとした空間からぼんやりと浮かび上がる音の粒は、もはやアンビエントという枠を越えて沈深なサウンド・スケープだ。一切の棘もなく静かに体の隅々まで染み渡るような無垢なサウンドは、感情の揺らぎをも生じさせずにただただそこに存在するだけのような、正に日常を感じさせる。決して快楽的なり明るい音楽性ではないが、むしろ真夜中にひっそりと聞きたくなるような鎮静作用のある幽玄なアンビエントとして、ベッドルームで静かに流していたい。



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| TECHNO11 | 17:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
O.Utlier - Genesis EP (Soul People Music:SPMB005)
O.Utlier - Genesis EP

NYから生まれた新世代のアンダーグラウンド・ハウスの中でも特にその才能が光っているFred P.。自身が主宰するSoul People Musicから自身の作品と共にこれからを担うであろうアーティストも掘り起こしているが、そんな彼が2013年から新たに始めたシリーズがBoardsであり、今までにもNaoki ShinoharaやBrendon Moellerらの作品を送り出している。そのシリーズの新作にはO.Utlierなるアーティストの名が刻まれている。ロンドン出身のアーティストでそれ以外のプロフィールが公開されていない正体不明の存在となっているのだが、Boardsシリーズの一環となれば注目をしておいて損はないだろう。何といっても先ずはA面の"Ecstasy Of The Center"だろうか、チリチリとしたノイズが背景に鳴る中から断片的な語りのボイス・サンプルに導かれ、そして徐々に薄っすらと何処までも伸びるような幻想的なパッドが浮かび上がる。大海原を漂うなゆったりとしたビートに揺られ、遠くで聞こえるようなダビーなSEも織り交ぜられ壮大なサウンド・スケープを織りなすディープな曲調は、Fred P.直系の叙情系テクノだ。裏面には"Weavers Dawn"はよりディープな質が強調されており、もやもやとした不鮮明なパッドが空間の奥でミステリアスな存在感を示しながら崩れたビートは奥深さを生み出す残響を鳴らし、太陽の光を浴びる事のない暗いアンビエント・ハウスのようだ。"Raise"は曲尺は短いながらも柔らかく舞うような薄いシンセのサウンドが快適で、そこにダビーなパッカーションが弾ける事で浮遊感を伴う穏やかなダブ・ハウスになっており、もはやアンビエンスと呼んでも差支えはない。Fred P.が掘り起こすだけありまだ素性の分からないアーティストではあるものの、その音楽性は保証されている。



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| TECHNO11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Livity Sound Remixes (Livity Sound:LIVITYCD002)
Livity Sound Remixes
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UKのアンダーグラウンドなダブ・ステップを進化させたブリストル発のPunch Drunkの存在感は言うまでもないが、レーベルを主宰するPeverelistがその音楽性をテクノ/ハウスという性質を伴いながら拡張させるべく2011年に設立させたのがLivity Soundだ。それはレーベルでもあり、また同郷のAsusuとKowtonも含むライブ・ユニットでもあり、ダブ・ステップやベース・ミュージックの最新系と呼んでもよいだろう。2011〜2013年までの間に同レーベルからこの3人がソロ、または共同で楽曲制作を行い数枚のEPをリリースしていたのだが、2014年にはそれらを現在旬のアーティストにリミックスしてもらいEP化していた。本作はそんなリミックスEPを纏めたコンピレーションで、ここにはインダストリアルを軸にしながらもダブ・ステップへの理解もあるSurgeon、オランダのダブ・ステッパーである2562ことA Made Up Sound、長らくPanorama Barでレジデントを務めていたNick Hopper、Workshopでの作品が評価の高いKassem Mosse、前述のPunch DrunkやR&Sからも作品をリリースする新星・Tesselaなどがリミックスを提供しており、ダブ・ステップにそこまで思い入れのない人にとっても食指を伸ばさせるような名前が連なっている。また、元々Livity Sound自体がハイブリッドな音楽として成り立っているが、本作では様々なリミキサーを起用する事でより多様性を含みながら、UKダブ・ステップの未来を示唆する点に注目だ。Mix MupとKassem Mosseによる"More Games (MM/KM More Names Remix)"は、硬質なキックを用いてダブ・ステップの変則的なビートを刻んではいるが、ひんやりととしたブリープ音を用いてインダストリアルな質を打ち出している。インダストリアルといえばSurgeonだろう、彼による"Raw Code (Surgeon Remix)"は厳つくゴリゴリとしたビートで押し通す強硬な面もあるが、その中に情緒的なパッドも薄っすらと配置しハードな中にもエモーショナルな要素を同居しているのだ。新興勢力であるTesselaは"Aztec Chant (Tessela Remix)"において、その若きエナジーを発散させるようにオリジナル以上に荒れ狂うリズムを叩き出して、獰猛なビートのテクノへと改革を果たしている。どれもクラブでの即戦力と成り得るダブ・ステップの重低音と激しいリズムを打ち鳴らしつつも、テクノが秘める未来的なヴィジョンを投影させた作品群は、間違いなくこれが現在の音である事を主張している。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
JP Enfant - Echoes Of You (a.r.t.less:A.R.T.LESS 2189)
JP Enfant - Echoes Of You

ドイツのMojuba Recordsはディープ・ハウスを手掛けるレーベルであるが、平行してa.r.t.lessというサブ・レーベルも運営されている。そのレーベル名通りにシンプル、ナチュラルをテーマにしながらデトロイトとベルリンの系統にあたるディープでソウルフルなテクノを追求している。本作はそんなレーベルからオランダはアムステルダム出身のJP EnfantことJean Pierre Enfantによる初の作品になるが、これもまた流石a.r.t.lessらしい目利きのある内容でレーベルの確かな嗅覚を証明している。"Echoes Of You"は音自体はモダンな感覚があるものの、90年代にUKで流行っていたArtificial Intelligenceの系譜に連なる知的な作風で、電子的なメロディーの絡みが未来的なSFの世界を喚起させる。冷たくも幻想的なサウンドが薄く伸びる中、胎動のように生き生きとしたビート感が蠢き、無機的ながらも何処か漂う近未来の終末観には儚ささえもが付随する。一方"Artefacts"も薄っすらと浮かぶ透明感のあるサウンドに同じような未来的な感覚はあるものの、インダストリアルなSEも入れながら4つ打ちのリズムを刻む事で、最近のヨーロッパでのディープなテクノとの相性も良いのではと思う。裏面の"Serque"はポコポコと安っぽい音質のビートがシカゴ・ハウスを思わせるが、ふわふわと舞い踊るようなシンセのリフと透明感のあるパッドの絡みが優美でさえもあり、90年代のインテリジェンス・テクノの空気を見事に現在へと持ち込んでいる。JP Enfantにとっては初の作品となるものの今後にも期待を抱かせるには十分過ぎる内容で、最近は余り聴ける事のないインテリジェンスな方向のテクノに再度関心を持つ契機になるであろう。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nightmares On Wax - Aftermath (Ricardo Villalobos & Max Loderbauer Remixes) (Warp Records:WAP368)
Nightmares On Wax - Aftermath (Ricardo Villalobos & Max Loderbauer Remixes)
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UKにおけるダウンテンポの先駆者であり、ダブ/レゲエサウンドを極めるGeorge Evelynによるユニット・Nightmares On Wax。革新的な電子音楽の開拓をし続けるWapr Recordsの古参でありながら、レーベルの中でも周りの動向に左右される事なく、マイペースにメロウなダウンテンポの制作に邁進する。とは言いながらも1990年はUKにてブリープ・テクノが全盛の時代、Nightmares On Waxはブリープ・テクノも手掛けながらダウンテンポの可能性を探っていたのだが、その成果としてブレイク・ビーツも取り入れた"Aftermath"はクラブ・クラシックとして今も尚高い評価を得ている。それから24年、そんな名作を現代に蘇らせたのが近年タッグを組み続けて奇抜なリミックスを披露するRicardo Villalobos & Max Loderbauerだ。とにかくこの二人が揃えば一般的なダンス・ミュージックからは想像出来ないような不思議な音響テクノを生み出すのだが、"Aftermath"もその例に盛れず原曲の影も残さない彼等のカラーに完全に染まっている。原曲は6分にも満たない曲だったのだが、"Ricardo Villalobos & Max Loderbauer Dub"では18分越えの大作へと生まれ変わっており、もはやここまでになるとリミックスと言うよりは彼等のオリジナルと呼んでも過言ではないだろう。元々あった硬いブレイク・ビーツは見る影もなく、その変わりに湿ったポチャポチャとしたキックやパーカッションが催眠的な効果を生み出し、呻き声のような不気味なボイス・サンプルも加えられ、微細な変化を伴いながら20分にも及ぶミニマルな展開が迷宮に迷い込んだようなトリップ感を誘発する。"Ricardo Villabobos & Max Loderbauer Electric Jazz Version"も16分を越える壮大な展開ではあるのだが、こちらはより変化に富んでいてガムランのような民族的な打楽器やバックには微かに生っぽい弦楽器の音も入ってきて変則的なリズムに惑わし、エキゾチックで雑食性の高いワールド・ミュージックのような趣がある。既にクラブ・ミュージックの粋を越えて彼等のサウンドとしか呼べない位置にまでその個性を磨きあげているが、しかしその個性の強さ故にこういったトラックがどんなパーティーでプレイされるのだろうかという疑問さえも生まれてくる。



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| TECHNO11 | 19:00 | comments(0) | - | |
Matom - Love Mistakes (Planet E:PLE65371-2)
Matom - Love Mistakes
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久しぶりにPlanet Eからリリースされたニューアルバムは、聞いた事のないMatomと言うユニットのデビュー作であるが、実はRadio SlaveことMatt EdwadsとThomas Gandeyによる新プロジェクトによるものだ。このプロジェクトはベルリンにある著名なスタジオである「ハンサ・スタジオ」を祝う為に、ライブ用に1時間の音楽を手掛ける事で発足し、それが発展してこのアルバムへと繋がったとの事。ライブユニットとしてモーグ・シンセサイザーやフェンダーローズにRolandoのドラムマシン、更にはギターも導入してシネマティックなサウンド・スケープを手掛けているが、Radio Slaveで聴けるようなフロア向けのダンス・トラック中心の作品ではない。アルバムは8曲収録と一見コンパクトな内容に思うが、其の実各曲は10分前後の大作で瞑想的な深い世界が広がっている。始まりである"Crossroads"からして既に無重力の宇宙を遊泳するかのように、ビートレスなアンビエンス空間の中でフェンダーローズが陰鬱な動きを見せ、この時点でインプロビゼーションを思わせる電子楽器と生演奏の張り詰めたセッションが繰り広げられる。"Experiment 1 Variation 3"では奥深い空間を創出するダビーなドラムやパーカッションに先ず耳を奪われるが、キューバン・ピアノ風な即興のフレーズがシリアスで張り詰めた雰囲気を発し、大きなうねりとなって揺らぐ空間を作っていく。続く"Hansa"ではフィールド・レコーディング風な音響をバックに様々なSEを散りばめ、神妙な雰囲気の中でいつしか美しいディープ・ハウスへと変化する。彼等がコンクレート・ミュージックなどに影響を受けたと述べる"Zazu"では、再度ビートレスなアンビエントへと戻るが、電子楽器のモジュラー・シンセと生演奏によるフェンダーローズの複合的なメロディーの絡みが、深遠から何かが生まれるような有機的な響きを聞かせる。テクノと言うよりはジャズやアンビエントに現代音楽といった音楽を、電子楽器で自由な創造性で解釈したような音楽で、ダンス・ミュージックでは評価の高いMatt Edwadsのファン層だけでなくもっと多くの人にも興味を抱かせる事を可能とする。



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| TECHNO11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |