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Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part One / Two (Sound Signature:SSCD 09)
Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part One Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part Two

今も尚デトロイト・ハウスを引率し続ける鬼才・Theo ParrishによるSound Signatureは、近年は自身以外の作品も積極的にリリースするようになり、そのブラックネス溢れる音楽性をより豊かに実らせている。そして本作はそんな流れを含むレーベルコンピレーションであり、タイトルが示すように本来はレコードでリリースされる事を望んでいたであろう作品集だ(CDから後にアナログカットが始まっている)。曲を提供しているのはTheoを筆頭にHanna aka Warren HarrisやAlton MillerにMarcellus PittmanやKai Alceといったハウス側のベテラン、そして新世代を代表するKyle Hall、TheoによるバンドのThe Rotating AssemblyからJohn Douglasといった演奏者、過去にSound Signatureからもリリース歴のあるDuminie DeporresやAndrew Ashong、デトロイトのソウル・シンガーであるMaurissa Rose、Theoと共演したTony Allenら、Theoと関連性のあるアーティストが集まっておりレーベルの作品集として正しくあるべき姿での内容だろう。ただし参加アーティストは公表されているものの誰がどの曲を手掛けたかは記載されていないが、それこそただ音楽を感じ楽しめばよいというような意志の現れなのだろう。アルバムは恋焦がれるような熱い女性ボーカルとピアノ演奏によるソウル・トラックの”Somewhere Inbetween"で始まり、錆び付いたロウ・ビートと黒光りする官能的なピアノによるサイケデリック・ジャズな"Whachawannado (Instrumental)"、鈍く響く歪なビートがミニマルに展開し闇の中から色気も滲み出てくるTheo作の"Faucet"など、Part Oneからして間違いなくSound Signatureのレーベル性に違わない音楽性だ。また"Pure Plastic"は透明感のある優美なコード展開と軽快でジャジーなグルーヴが心地良く、Millerによる"Bring Me Down"もスムースな4つ打ちとソウルフルなボーカルにうっとりさせられ、時代に左右されないクラシカルなハウスも収録されている。Tony Allenが参加した"Wayshimoovs Rx"はやはりというか艶かしいアフロ・ビートが息衝いており、Theoのブラックネスをより濃厚にする個性を付加している。最後は2015年にEPでリリース済みのThe Unitによる"Ain't No Need (Live - Version 2)"で、原曲の優しさで包み込むディスコ感を損なわずに、肩の力が抜けたセッションをするジャズ・ファンクへと生まれ変わらせ、ルーツへの意識も忘れない。ハウスを軸にソウルやファンク、ジャズやヒップ・ホップなど黒人音楽を咀嚼し、メランコリーからサイケデリアまで表現するSound Signatureの作品集は、当然の如くそれらにはどれもTheoの濃密な黒さが投影されており、単なるダンス・ミュージックではないレーベルの強い個性を主張している。





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| HOUSE12 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII (Vega Records:02VEG04)
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII
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Kenny Dopeと共に結成したMasters At Workに於けるハウス・ミュージックへの功績はもはや説明不要であろうが、ジャズやラテンをハウスに落とし込んだ特異性だけでなく、大勢のアーティストを起用し大規模な共同制作によってプログラミングだけに頼るのではなく生演奏の魅力も打ち出したセッションの高い音楽は、もはやハウス・ミュージックの枠に収まりきるものではなかった。Vegaは同様の手法をElements Of Lifeプロジェクトによる『Eclipse』(過去レビュー)でも用いたが、その延長線上としてソロ名義では初となる本アルバムでも多くのアーティストのとのコラボーレションを行う事で、ハウスの枠組みの拡張とソウルフルなハウスの再確認を同時に行っている。アルバムの始まりはFunkadelicとのコラボレーションと言うか、リミックスである"Ain't That Funkin' Kinda Hard On You? (Louie Vega Remix)"で、ねっとり熱量の高い原曲のP-Funkをラフな質感は残しつつも颯爽としたハウス・ビートへと生まれ変わらせ、出だしから軽快ながらもソウルフルな歌の魅力を発揮させている。続くは3 Winans Brothersの"Dance"のリミックスだが、ざっくりとしながらも軽快なラテンビートと怪しげなオルガンにリードされながらもコーラスも加わったボーカルにより、これぞNYハウスらしい温かみに溢れたクラシカルなハウスになっており、今の時代に於いても歌の重要性を説いているようだ。女性シンガーのMonique Binghamを迎えた"Elevator (Going Up)"は、舞い踊るピアノと甘くもキリッとしたボーカルが軽やかに疾走し、南アフリカのシンガーであるBucieをメインに、そして制作にBlazeのJosh Milanを迎えた"Angels Are Watching Me"はモロにBlazeらしいメロウかつ耽美なエレピや爽やかなコンゴが響き渡る歌モノハウスで、期待通り以外の何物でもないだろう。そして本作では所謂古典と呼ばれる名作のカバーも収録しており、Convertionによる”Let's Do It (Dance Ritual Mix)”やBobby Womackによる”Stop On By”、そしてStevie Wonderによる"You've Got It Bad Girl"まで、ハウスにR&Bやヒップ・ホップにファンク等の要素を自然に溶け込ませてクラシックを現在の形へと生まれ変わらせている。CD2枚組計28曲の大作が故に全てが完璧とは言えないものの、過去の作品への振り返りにより現在/未来へと良質な音楽の伝達を行い、そしてボーカリストに演奏者らアルバムの隅々まで数多くのアーティストの協力を得る事で、本作はハウス・ミュージックの一大エンターテイメントとでも作品である事に異論は無いだろう。ソウルフルで、古典的な、そして歌モノのハウスのその魅力を再度伝えようとしているのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gerd Janson - Fabric 89 (Fabric:fabric 177)
Gerd Janson - Fabric 89
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今年9月に薬物により若者二人が亡くなった事が原因で閉鎖へと追い込まれたUKは名門Fabric(その後、再開が決定している)は、暗雲立ち込めるクラブの状況とは異なりレーベルとしては安定した軌跡を辿っている。名のあるベテランからこれからをリードする若手までMIXCDシリーズのFabric/Fabric Liveに起用し、数多くの名作と呼んで間違いの無い作品を残してきた。さて、そのFabricシリーズの89作目は今をときめくRunning Backを主宰するGerd Jansonが担当しているが、Running Back自体がニューディスコからディープ・ハウスにテック・ハウスまで手掛ける掴み所のないレーベルだけに、このMIXCDもそんなレーベル主として音楽性を主張するように実に手広くジャンルを纏めあげている。いきなりトリッピーな電子音に惑わされる"Snooze 4 Love (Luke Abbott Remix)"で始まり、"Voices (Fabric Edit)"や" Love Yeah"等の控え目に美しさを放つ平坦なハウスを通過し、じわじわと引っ張りまくる危うい雰囲気のアシッド・ハウスの"Severed Seven"から一転して"Apex"では光に満たされるコズミック・ディスコへと展開し、激しいプレイではないもののじっくりと山あり谷ありの流れだ。中盤の耽美なエレピのメロディーが反復するメロウなディープ・ハウスの"Mess Of Afros (Glenn Underground Remix)"、そこに繋がる情熱的なピアノのコードが炸裂するデトロイト・ハウス的な"MoTP"の流れは、本作の中でも特に熱量が上がる瞬間だろう。そこからも弾ける高揚感のアシッド・ハウスやダーティーながらも黒さ滲むディープ・ハウス、そしてコンガやハイハットのアフロなリズムだけで繋ぐ"Rhythm"を通過し、終盤は落ち着きを取り戻すようにScott Groovesによる穏やかでメロウなディープ・ハウスの"Finished"から摩訶不思議な電子音が飛び交うコズミック・ディスコの"Sun (Prins Thomas Diskomiks)"でドラマティックに締め括られる。確かに色々と詰め込み過ぎているようにも感じるかもしれないが、比較的近年にリリースされた曲を用いた事による時代性があり、そして短い時間でパーティーの一夜を再現したような展開の大きさは、十分に濃縮される事でJansonの音楽性が表現されたのではないだろうか。



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| HOUSE12 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The People In Fog - Higher EP (Sound Of Vast:SOV007)
The People In Fog - Higher EP

2015年にアーティスト名非公開でSound Of Vastより限定100枚でリリースされていた謎の作品、実は先日正式リリースとなりその詳細がDJ Sodeyamaの変名であるThe People In Fogによるものである事が判明した。過去にThe People In Fogとして2014年には同レーベルより「Deep EP」がリリースされており、DJ Sodeyamaのテクノ性よりはディープかつファンキーなハウス性を打ち出していたが、新作も更にルーツを掘り起こすような内容だ。レーベルの案内によれば「彼のルーツである90年代のオールド・スクール・ハウス色が前面に押し出された」そうで、"Higher"は正しくオールド・スクール感爆発の野暮ったくも弾けるようなリズムや、気の抜けたようで怪しげで色っぽくもある歌がファンキーな効果となって迫るシカゴ・ハウスの系列にあり、剥き出しのグルーヴ感と言うべきか荒々しい質感が特徴だ。本場のシカゴ・ハウスに混ぜ込んでも全く違和感を感じさせないルーツへの接近、しかし今聞いても古ぼけないナウな時代感、これは間違いなくフロアを盛り上げるだろう。そして正規リリースとなった本作には喜ばしい事に近年リバイバルで俄然注目を集めている寺田創一が"Higher (Soichi Terada Remix) "を提供しており、90年代に欧米で評価されたベテランによるハウス・リミックスはその当時の空気を今蘇らせるようでもある。ボーカル・サンプルはそのまま引用しつつ太くも滑らかな質感のキックが力強い4つ打ちを刻み、寺田の作風である可愛らしいキャッチーなシンセによるメロディーも追加して、オリジナルのラフな曲調とは異なるポップな感覚さえ漂わせている。また"Higher (Dub Mix)"はブレイク・ビーツ気味なリズムが更に強調される事で何だかレイヴらしい悪っぽい雰囲気を纏い、ドタドタとしたビートが肉体をより振動させるバージョンとして優れている。それぞれスタイルの異なる作風だが、どれも素晴らしくフロアで是非とも聴きたい一枚だ。



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| HOUSE12 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Takuya Matsumoto - Sweetrainsuite (Iero:i12)
Takuya Matsumoto - Sweetrainsuite

いつの間にかもう日本国内の評価に留まらず、むしろ海外でこそ知名度を得ているのでは?と思わずにいられない存在になっているハウス・プロデューサーのTakuya Matsumoto。2015年はFina RecordsとMeda Furyから2枚のEPをリリースし、そのどちらも高い評価を獲得しアーティスト活動は堅実に成果が実りつつある。流麗なエレピ使いやエモーショナルな世界観、ジャズやフュージョンからの影響によるグルーヴ感などがMatsumotoの音楽性としてあるが、特にメロディーの耳に残るキャッチーさは特筆すべきだろう。さて、この新作は古巣である新潟のインデペンデント・レーベルのIeroからの久しぶりの作品となるが、今までの作品よりも爽やかで晴々しい感覚に溢れている。足取りは軽く弾けるリズム感の"Storm"はカットアップした感覚もあり、そこに転がり落ちるような軽快でキャッチーなメロディーと子供のようなボイス・サンプルがポップな音像を描き出す。真夜中のクラブの雰囲気とはまるで真逆の太陽の下で踊るような、そんなうきうきした開放的な青々しさが満ち溢れている。次のつんのめる鋭角的なリズムが特徴の"Rainy Day Drive"は、夢の中で鳴っているような幻想的なボーカルや切なく染みるメロディーがメロウな感覚に繋がっており、雨の中の憂鬱なドライブ感といったところか。"Red Radio"も女性ボーカルの呟きが繰り返し用いられており、落ち着いた安定感のあるハウスの4つ打ちとパキッとしたシンセの反復で昔の思い出を掘り起こすように郷愁を誘い、溜めのあるブレイクで感情の昂ぶりを作るディープ・ハウスになっている。最後の"Yellow Ambrella"はMatsumotoのギャラクティックな面が強く打ち出た曲で、夜の大空に瞬く星の光のようなシンセやコズミック感溢れるパッドが舞うフュージョン・テイストもあり、そして変化球的なリズムが大胆なグルーヴを生んで非常にポジティブなダンス・ミュージックだ。旧来からのMatsumotoらしいメロウな作風に、そして童心のような遊び心や可愛らしさも備わった本作はより身近で親近感を覚えるに違いなく、優しくリスナーの耳に届くだろう。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tominori Hosoya - Love Stories EP (Minuendo Recordings:MND35)
Tominori Hosoya - Love Stories EP

Tomi Chair名義でも活動するTominori Hosoya、彼自身が今年最も楽しみにしていたという作品が本作で、「愛」の記憶や想いからインスピレーションを得て作成されたと述べている。Hosoyaは元々デジタル配信によってリリースを続けていたが、2014年からは自身の運営によるTH Pressingを立ち上げてからはアナログへと媒体を移し、それ以降はdeepArtSoundsやMixx Recordsといった著名なレーベルにも才能を認められ作品をリリースするなど、今注目を集めているアーティストの一人になっている。大雑把に言えばディープ・ハウスのジャンルに括られるのであろうが、耽美なピアノの使い方や清涼感や透明感のある響きは彼の武器でもあり、新作を出す毎に個性に磨きを掛けている。そして本作でもそれは同様で、"We Wish 2 Cherry Trees Bloom Forever"ではうっとりと酔いしれるような耽美なピアノの旋律が天上から降り注ぐようで、そこに透明度の高い優雅なパッドを被せてこれでもかとピュアな響きを聞かせ、爽快な水飛沫を上げるような弾けたリズムと相まって軽快に疾走する。その異なるバージョンとして"We Wish 2 Cherry Trees Bloom Forever (Spring version)"はリズムを抜く事でよりピアノやシルクのような滑らかな音響が際立ち、体の隅々まで清流が染み渡るようなアンビエント感覚が発揮されている。"End Of One Love"も同様にビートレスの作風で、神々しい女性のボーカルも用いる事で天上へと迷いこんだ如く神秘的な空気を帯びたアンビエントで、何処までも美しいサウンド・スケープが広がっている。裏面は幾分か圧倒的な神々しさは抑えて控え目ではあるものの、太く安定したキックとコンガらしき豊かなパーカッションが爽快なグルーヴを生むすっと伸びるディープ・ハウスの"Kiss & Wine"、もう少し硬めのパーカッションを用いて弾ける感覚と甘く夢のようなピアノのリフレインですっと白昼夢に溺れる"First Love"と、これらは目立ちすぎる事なくよりフロア向けに他の曲と馴染むだろう。余りにも美しい本作の曲はやはりパーティーの朝方、フロアが光を帯び始める時間帯に聴くのが良いだろうか、きっと満ち足りた至福の時間帯を作り出す事だろう。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
PBR StreetGang - Shade EP (Crosstown Rebels:CRM 166)
PBR StreetGang - Shade EP
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ロンドンを拠点とするCrosstown Rebelsは節操がない位に様々なDJ/アーティストの作品をリリースし、テクノ/ハウス構わずに大量のカタログを所有する名門レーベルの一つだ。そんなレーベルの新作はイギリスはリーズのユニットにであるPBR StreetGangによるもので、今までにもWolf Music Recordingsや20:20 VisionにToy Tonicsなどから作品をリリースするなど何処かのレーベルを拠り所とする事ない事もあってか、作品毎にテクノ~アシッド・ハウス〜テック・ハウス〜ニューディスコと多様な姿を見せている。本作ではハウス寄りながらもダークでアンダーグラウンドな匂いを発する作風が強く、タイトル曲でもある"Shade"では地べたを這いずり回るような低いアシッド気味なベースラインとざっくりしたリズムを強調し、そこにスカスカの上モノが幻惑的な作用を引き出すように使用され、隙間を活かす事で軽快な走りを見せながらツール的な機能性を高めて汎用的な使い方の出来るトラックに仕上げている。A面のもう一つの曲である"Reading"も作風に差はなくハンドクラップを用いる事で弾けるようなリズム感がありながらも、やはりアシッド気味なベースラインと小刻みに揺れ動くヒプノティックなシンセを配置し、展開は極力抑えながらもちょっと悪っぽくて危ういムードがフロアの深い闇に似合っている。どちらも派手な作風ではないものの、展開を抑える事でじわじわと神経を侵食するような効果が持っているだろう。そしてB面にはフレンチ・ハウスの大ベテランであるI:Cubeが"Shade (I:Cube Remix)"を提供しており、原曲からの雰囲気をがらっと変えたアーリー・ハウス/ブレイク・ビーツ色を強めてレイヴの雰囲気にぴったりなリミックスを披露している。大波に揺られるような崩れ気味のビートに耽美なピアノの旋律やスクリュー音のようなSEも加えて、闇の中に美しさが舞う荘厳な世界観を展開し、アンダーグラウンド性はありながらも大箱のピークタイムに合う派手目の仕様だ。そしてその後にはクレジットにはないものの、この曲の後にはおそらく"Reading"の別バージョンも収録されており、計4曲どれもフロア即戦力となるであろう充実のEPだ。



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Kim Brown - Wisdom Is A Dancer (Just Another Beat:JAB 12)
Kim Brown - Wisdom Is A Dancer
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Kim Brownというソロワークっぽい名前なものの、実はJi-Hun KimとJulian Braunの名前を拝借したそのまんまのユニットである二人組は、ベルリンの柔らかめのディープ・ハウスを得意とするJust Another Beatの主力アーティストの一人だ。ちなみに同レーベルには他にSven WeisemannやProstituneも作品を提供しており、決してメインストリームを歩むような派手さはないものの、ベッドルームにも耐えうるリスニング性の高い音楽性で統一感を持っている。Kim Brownも2013年に同レーベルより初のアルバムである『Somewhere Else It's Going To Be Good 』(過去レビュー)をリリースしており、柔らかく繊細な電子音によって洗練された気品と淡い情緒を溶け込ませたディープ・ハウスを聞かせ、新人ではありながら流行に左右される事のないクラシカルな存在感さえ発していた。それから3年、ようやく2枚目となるアルバムが到着したが、良い意味で前作から変わりがなく、羽毛のような軽く柔らかさを持った電子音による穏やかなディープ・ハウスを鳴らしている。始まりの"Rehearsed Engineering"では変化球的なリズム感につんのめりつつも、清流が湧き出すような透明感のある上モノがゆっくりと流れ、じわじわと仄かな情感が溢れ出す事でアルバムの開始を告げる。続く"Optionism"は刺激的なハンドクラップと柔らかいキックが端正な4つ打ちを刻み、幾分か夜のダンス的なムードが現れるも、揺らめく上モノの電子音は官能的でしっとりとした質感を含む。やはりアナログ感のある4つ打ちのキックを刻む"Everything But A Piano"は電子音の奥にはピアノ等の有機的な音色が密かに隠れており、実は動きのあるベースラインとも相まって落ち着きながらも躍動を伴うディープ・ハウスだ。特にピアノの音色を強調した"Millions"や"Transparent "はクラシカルで気品が漂い、音の隙間を強調するようなシンプルな作風だからこそピアノの旋律がより際立ち、波が引いていくような余韻を残す。終盤の"We Are Elementary"ではクラシック的なストリングスが美しく伸びて、生っぽいキックやスネアとの相乗効果で人肌の温もりが伝わってくるようだ。何処を切り取っても真夜中の興奮を誘うダンス・ミュージックらしさはなく、昼下がりから夕暮れ時のうたた寝してしまう時間帯にぴったりな穏やかで物静かな響きが心地良く、前作に続きノスタルジーに包まれる良作だ。本作も以前と同様にアナログ盤にはダウンロード・コードが付いてくるのも、非常にありがたい。



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L.U.C.A. - I Semi Del Futuro (Edizioni Mondo:MNDCD02)
L.U.C.A. - I Semi Del Futuro
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2013年にイタリアに設立されたEdizioni Mondoは60年代のモンド映画にインスパイアされ、有機的なハウス・ミュージックにダウンテンポやバレアリックなどの要素を持ち込んだ音楽を送り出しており、Music From MemoryやInternational Feel辺りを好む人とも共振するようなレーベルの一つだ。そんなレーベルを立ち上げたのがイタリアのDJ/プロデューサーであるFrancesco De Bellisで、Raiders Of The Lost ARPとして活躍するMario PierroともユニットであるJollymusicやMAT101としても活動をしたりと、イタリアのハウス/イタロ系としてはそれなりの経験を持つベテランだ。本作はそんな彼がL.U.C.A.名義でリリースした初のアルバムであり、この名義ではイタロ系と言うよりはレーベルを重視してサウンド・トラックやバレアリック性を重視しており、家の中で心を落ち着けて耳を傾けて聞きたくなるリスニング・アルバムとなっている。事実、L.U.C.A.の曲は橋本徹(SUBURBIA)が選曲したコンピ『Good Mellows For Seaside Weekend』(過去レビュー)にも収録されるように、大らかで瑞々しい有機的なサウンドとメロウな旋律はひたすら爽快で心地良い。本作の始まりとなる"In Principio"でも生のベースやギターをフィーチャーし、鳥のさえずりもサンプリングしながら如何にもなバレアリックな空気を放出しているが、ハウスともディスコとも異なる感覚は言葉に表すのが難しい。そこに続く"Il Valzer Del Risveglio"では優美なストリングスに豊潤なオルガンの響きと共に祝福の雄叫びも交えしっとりとした郷愁を誘い、"In The Sun"ではそのタイトル通りに燦々と日が降り注ぐ下で大海原の航海に出るようなオーシャン・フィールに溢れた清涼感があり、アルバムの雰囲気は野外や自然を強く匂わせる。滝のイメージかどうかはさておき、しなやかなストリングスに乗ってシタールらしき弦の音が幻惑的に響く"Niagara"はエキゾチックかつサイケデリックで、異国情緒の中にメロウネスが存在している。最後の"Plancton"に至っては完全にビートは消失し幻想の中に消え入るようなドローンが持続するアンビエントだが、テクノのアンビエントとは異なる生っぽさは特徴だろう。何か特定のジャンルに属すのではなく、モンドやサイケロックにディスコやハウスが融和して映画のような風景を喚起させる音楽と言うべきで、特に肉体を突き動かすのではなく心に染みるメロウな感覚はEdizioni Mondoというレーベル性を主張している。



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STEREOCiTI - Lost Land (Mojuba Records:mojuba lp 5)
STEREOCiTI - Lost Land
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良質なテクノやハウスが大量に生まれるドイツはベルリン、その中でも美しいメロディーや奥深い音響にデトロイトやシカゴの叙情を盛り込んだ音楽を武器とするディープ・ハウスの深層部であるMojuba Records。そのレーベルに唯一所属する日本人DJこそ神奈川出身のKen SumitaniことSTEREOCiTIで、2014年初頭には長く活動した日本からベルリンへと移住し、現在のダンス・ミュージックの中心的な場所で経験を積みつつ制作を続けている。2011年にリリースされた『Kawasaki』(過去レビュー)では既にベテランとしての貫禄のあるディープ&ダビーな音響に仄かな情熱を含ませて、荒くれた情景の奥に繊細な響きが鳴るいぶし銀的なディープ・ハウスを完成させていた。それから数年はMono Village名義でのシカゴ・ハウスやMojubaからは2枚のEPを出したりとゆっくりとではあるが成熟するような深化を見せていたが、前作から5年をしてベルリンでの活動や経験から生まれた2ndアルバムが完成した。前作と同様に大きなクラブにおけるやたらめったらに刺激するようなダンストラックは無く、やはり厳かで慎ましささえ伴うミニマルなディープ・ハウスは、ベルリンの影響なのか前作以上に内向的で闇に落ちていくような微睡む感覚を発している。ミステリアスな雰囲気を誘う揺蕩う上モノ、少々ヒプノティックでアシッドなベースラインに導かれる"Rouse Out"は、微かな残響が引いては押し寄せる波のように揺らぎを生み出し、軽快なグルーヴで闇の中に進み出す。続く"Initial Assumption"ではほっと空気は弛緩し温かみのあるメロディーにはデトロイト・テクノような叙情も感じられ、すっきり洗練はされているのに何だかオールド・スクールな懐かしい感覚も。シカゴ・ハウスの荒ぶるファンキーさを打ち出した"Kraken"は、しかしハイハットの繊細な強弱や段々と連なる残響に入念な音響への拘りが感じられつつも、粛々と叙情を放出するフロアに即したダビー・ハウスだ。より鈍くも地味なアシッドのベースラインを強調した"Interstellar Substance"、ゴリゴリと破壊的なリズムと覚醒的な上モノが退廃的な"D.W.D.P."にしても、さりげない残響は闇の深遠さを体感させ深い処まで魂が吸い込まれるようだ。またブレイク・ビーツ気味のトラックに懐かしさ溢れるメロディーが心地良い"Lost Land"は、90年代のAIテクノや初期デトロイト・テクノに投影する人もいるかもしれない。アルバムにおいて何かキラートラックと呼べる物はないかもしれないが、寧ろアルバム全体の纏まりや一つの世界観を尊重しているのだとすれば、通して聴く事で喚起される風景の移り変わりのようなサウンド・スケープが感じられる丁寧な作品だ。そしてそこにはSTEREOCiTIの内に秘めたる静かなソウルがあり、低温で燻るような火が灯っている。



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