CALENDAR
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
GIGI MASIN FOR GOOD MELLOWS
GIGI MASIN FOR GOOD MELLOWS (JUGEMレビュー »)
V.A.(監修・選曲:橋本 徹)
橋本徹によるGood Mellowシリーズに現代耽美派のGigi Masinが登場。メロウな選曲には定評のある橋本チョイスなので、間違い無し。4/19リリース!
RECOMMEND
VERSUS [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC546)
VERSUS [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC546) (JUGEMレビュー »)
CARL CRAIG,カール・クレイグ
Carl Craigの名曲がクラシックで蘇る。アレンジはフランチェスコ・トリスターノ。4/28リリース!
RECOMMEND
プレスクリプション:ワード、サウンド & パワー
プレスクリプション:ワード、サウンド & パワー (JUGEMレビュー »)
ロン・トレント,RON TRENT
Ron TrentによるPrescriptionからリリースされてベスト盤が2枚組でリリース。シカゴ・ディープ・ハウスの壮大な深さを体験。3/15リリース!
RECOMMEND
RECOMMEND
 (JUGEMレビュー »)

故ヨコタススムの初期名義、RingoのPlantationがリイシュー。ポップでテクノでハウシーな作品。3/27リリース!
RECOMMEND
HARMONIES (ハーモニーズ)
HARMONIES (ハーモニーズ) (JUGEMレビュー »)
LORD ECHO,ロード・エコー
ラヴァーズ・レゲエユニットのロードエコーによる3枚目のアルバムが到着。ファンキーでメロウなアルバムは4/7リリース!
RECOMMEND
Providence
Providence (JUGEMレビュー »)
Nathan Fake
Border CommunityからNinja Tuneへ移籍したNathan Fakeのニューアルバム。より変態的なサウンドに変化するのか?3/10リリース!
RECOMMEND
Selectors 002
Selectors 002 (JUGEMレビュー »)
Young Marco
Dekmantelのコンピレーションシリーズ第二段はYoung Marco。単なるレア盤にならない普遍的な作品を集めた内容だそうな。3/10リリース!
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
Sauce81 - Make It Move (Endless Flight:ENDLESS FLIGHT 73)
Sauce81 - Make It Move
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)

若く新しい才能を育てる事を目的として設立されたRed Bull Music Academy、そこには勿論日本人も抜擢され世界へと羽ばたいて行ったDJもいる。そして2008年の卒業生の中には、ファンクやソウルなどをライブフィーリングたっぷりに披露する仮面を被ったN’gaho Ta’quiaとして、またはブラック・ミュージックを元に自由な形を見せる77 Karat Goldというユニットの一員として、そしてこのソロユニットであるSauce81として、様々な名義を用いての活動が花開いたアーティストである日本人のNobuyuki Suzukiがいる。Sauce81名義では2008年にコンピレーションに曲が収録されたのをきっかけに、それ以降はWonderful Noise ProductionsやCatuneにEglo Recordsなど注目すべきレーベルからもソロ作品をリリースし、そして今度は日本が世界に誇るEndless Flightからの新作となれば注目を浴びる事は必至だろう。Sauce81も基本的にはブラック・ミュージックが根底にあるのは変わりはないが、方向性としてはハウスやディスコなどより直球ダンス的な要素が強いだろう。耽美なエレピやストリングスにうっとりと陶酔する"Faithless Egos"は、しかし弾けるベースやブギーなリズム感が肉体的な躍動を含んでおり、ヒップ・ホップやジャズの感覚を匂わせるハウスでいきなり耳を惹き付けられる。今年のEndless Flightのコンピレーションに収録された"Make It Move"は、雑然としたガヤ声や引っ掛かりのあるスラップ・ベースを用いる事で黒さ滲むファンキーさが強調され、そこに端正なシンセのコードも交えて滑らかなビートで闊歩するようだ。そしてもはやハウスと言うよりはバンド演奏らしさを発するファンクかフュージョンか、鮮烈なシンセの響きが前面に出つつローリングするベースラインに揺さぶられる"Dissonance In Control"、またグッとテンポを落としたメロウなトラックに熱い感情を吐露するような歌が挿入された真夜中のソウルである"Nothing Solved"と、クラブ・ミュージックにリンクしながらもボーカリスト/演奏者としての手腕が活きた作風は見所だ。



Check "Sauce81"
| HOUSE12 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Recloose - Honey Rocks EP (Aus Music:AUS1697)
Recloose - Honey Rocks EP
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
デトロイトの才人であるMatthew ChicoineことRecloose、何と2年半ぶりとなる新作は今までに関わりのなかったAus Musicからとなるが、近年のReclooseらしさは変わらずフュージョン・テイストを含む煌きのあるサウンドをここでも鳴らしている。かつてデトロイトからニュージーランドへと移住したばかりの頃はやけに生音志向への拘りを見せ、クラブ・ミュージックらしさを失いファンの心は離れていたように思うが、昨今のRush Hour RecordingsやDelusions Of GrandeurからリリースしたEPにおけるハウスへの帰還は初期以上の素晴らしさがあったと思う。そしてニュージーランドでの生活を終えて2014年にはいつの間にかNYへと移り住んでいたようで、それ以降に作られた本作も初期にPlanet-Eからリリースした頃の未来感を含みつつエレクトロニック性も高めたハウスとなっており、期待を裏切らない作品になっている。正に未来的な電子音がピコピコとなるイントロから複雑で躍動的なパーカッションと弾けるハンド・クラップの勢いに乗り、そしてしなやかな柔軟性と光沢感のある優美なシンセのコード感による煌きを発する"Honey Rocks"は、最早Reclooseの十八番と呼んでも良い作風だろう。ファンキーなボーカル・サンプルを用いた"On & On"は、浮遊感のあるシンセがすっと伸びつつ跳ねるリズムのおかげで軽くて爽快な雰囲気があり、途中で聴ける眩いばかりの光を放つような歌がフュージョンらしさを匂わせている。対してB面の"Sidewalks"はねっとりと絡み付く重心の低いビートダウン的なグルーヴが目立っており、そこにダビーな音響の効いたボーカル・サンプルや音を散りばめて、サンプル・ループ重視のディスコ・ハウスなノリでじわじわと攻める異色の作風だ。本作を含めここ何年かの内にリリースされたEPでReclooseの個性は完全に確立され、デトロイト・テクノの枠だけには括られない耽美なフュージョン・ハウスの音楽性の素晴らしさは言うまでもないが、あとはこの路線でのアルバムが制作される事だけが待ち遠しくなる。



Check "Recloose"
| HOUSE12 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nebraska - Soften The Wireless EP (Heist Recordings:HEIST017)
Nebraska - Soften The Wireless EP
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
2015年に続き2016年も絶好調、Rush Hour RecordingsやMister Saturday NightにDelusions Of Grandeurといった旬のレーベルからヒット作を量産するNebraska。ディスコ・テイスト溢れるファンキーさとブギーなノリで煌めくハウスがNebraskaの持ち味で、そこに昨今のロウ・ハウス的な剥き出し感のある質感も取り入れるなど、流行も自然に取り込み現在のハウスシーンをリードする一人であるのは間違いない。新作はこれまたブギーなハウスでは業界をリードするDetroit Swindle主宰のHeistからとなり、音楽性の相性の良さからして間違い無しと期待せずにはいられないだろう。先ずはA面の"Khan’s Bargain (Tom Noble remix)"だが、ファンキーなホーンのサンプルや図太いベースが脈打ち強い光を放つような煌きに満ちており、ノリノリなグルーヴで自然と体が揺れる実にNebraskaらしいディスコ・ハウスになっている。それをTom Nobleがリミックスした"Khan’s Bargain (Tom Noble Remix)"はシャリシャリしたハイハットやダビーな音響が際立ち、より湿っぽく生っぽさが前面に出る事で古き良き時代のディスコへと先祖返りを果たしているようだ。B面に移るとハンドクラップで始まる"The Blues"は直ぐに膨張するようなベースが現れ、雄叫びのようなボーカルや単純なシンセのフレーズがループするハウスへと突入する。音の隙間さえも目立つ非常に簡素な作風は、地味ながらも特にツール性が磨かれている。一方で"It Won’t Be Long "は爽快なパーカッションやメロディアスなシンセが鳴っており、より豊かな色彩感を纏った煌きもありつつメロウーなムードが味わい深い。それぞれの曲で異なる持ち味を出しつつNebraskaらしいディスコ・ハウスをベースとした作風は確立され、更なる人気の獲得に繋がる事を予感させる。



Check "Nebraska"

| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
FP-Oner - 6 (Mule Musiq:MUSIQ 055CD)
FP-Oner - 6
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
自ら主宰するSoul People Musicからは自身の作品のみならず才能ある新鋭の作品をも送り出し、また自身はAnomalyやBlack Jazz Consortiumなど多数の名義を用いてエモーショナルかつハイテックなディープ・ハウス〜テクノを量産し、今やUSハウスシーンのトップにまで上り詰めたFred P.。2015年には新たなる名義であるFP-Onerの新シリーズの門出となる『5』(過去レビュー)を制作し、Fred P.の特徴でもある幻想的なアンビエンス感をふんだんに取り込んだ情緒的なディープ・ハウスを聞かせ、ダンスとリスニングの釣り合いが取れた絶妙なアルバムを披露した。それから一年、続編となる本作もやはり一連のシリーズであるからして、音楽性に目を見張るような変化は見られない。だからこそだろう、自身の揺るぎない音楽性が確立されているが故の安定感があり、アルバムの始まりである"Awakening Co Creator"は朝靄の中にいるような微睡みのアンビエンスが通底するディープ・ハウスで、穏やかな情景が目の前に広がるようだ。続くのは爽快さ抜群のパーカッションが刻む中を豊かな音色が発色するパッドが突き抜ける"Kundalini Rising"で、一気にスピード感を増したテック・ハウス気味の世界へと進む。中盤にもアフロなパーカッションやうねるようなベースラインが耳を惹き付けつつ、しかし幻惑的なシンセがアンビエンス感を纏った"New Life Form"や、芯のあるキックが正確な4つ打ちを刻み地底から情緒ある芳香が湧き立つようにパッドが迫り上がってくる"Adjusted Perception"などがあり、体感的なダンス・トラックとして体裁は保ちつつも意識に働きかけるようなメロディアスな作風は十八番だろう。勿論"Learning Process"のようにフロアの闇に溶け込むような疾走感に満ちたテクノ色強い曲もあるが、それすらも大らかなパッドに覆われて仄かな情緒が匂っている。特に秀逸なのが"Reap Love"で、コズミック感あるシンセを散りばめつつメランコリーなシンセによる情緒爆発なしんみり系テック・ハウスによって、切なさが本作の中でピークへと達する瞬間を作っている。そしてアルバムの最後(前作は渋谷をテーマにした"Sleepless In Shibuya")前作同様にアンビエント色を前面に打ち出した"Vision In Osaka"で、大阪らしいかはさておき神秘的な空気を生む瑞々しいシンセが浮揚し、霧の中へと溶け込んで消えるように儚い終焉が待ち受けている。あっと言わせる驚きはない、寧ろ電子音による穏やかな神秘性をこれでもかと演出した本作は、じっくりと耳を傾けて夢想に酔いしれるべき作品だ。Fred P.による深い精神世界へ旅がここにある。



Check "Fred P."
| HOUSE12 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Nomad (Utopia Records:UTA - 003)
Lars Bartkuhn - Nomad

ドイツから本場NYへディープ・ハウス攻勢をかけたNeeds、その元メンバーであるLars BartkuhnもNeeds解散後はフュージョンやバンド・スタイルでの音楽に取り組んでいたが、2015年末には久しぶりとなるEPの「Music For The Golden Age」(過去レビュー)をリリースし、ディープ・ハウス路線に於ける復活の狼煙を上げた。そして更なる新作はPhonica Recordsから派生した新興レーベルのUtopia Recordsの第2作目となり、前作と同様に優雅なフュージョンの音楽性も取り入れつつハウス・ミュージックへと戻り、かつてのNeedsにも劣らない素晴らしい煌きを放っている。タイトル曲である"Nomad (Full Experience)"はBartkuhnの豊かな音楽性が示された曲で、耽美なエレピの旋律や朗らかなアコギのコードに希望に満ちたフルートの音色、そしてアフロなパーカッションやジャジーなグルーヴが走り、Bartkuhn自身による歌が芳醇さを醸し出す。様々な楽器が渾然一体となり色彩豊かな響きへと繋がり、ミュージシャンとしてのバックボーンを持つBartkuhnらしい広がりのある展開が、ダンス・ミュージックとして以上のフュージョンやジャズをも含んだ洗練された音楽性を聞かせている。そして"Nomad (Reprise)"はビートを排しつつアコギやキーボードの旋律を浮かび上がらせる事で、その繊細な旋律や響きがより伝わる事で、Bartkuhnのメロディーメーカとしての才能を強く体験出来るだろう。そして本盤での目玉は"Tokyo Burning"である事に間違いはない。UR、更に言うならばGalaxy 2 Galaxyの系譜にあるハイテック・ジャズ路線と言うべきか、コズミックな輝きのある電子音が飛び交いジャジーグルーヴが跳ね、希望に満ちたシンセのコード展開がポジティブな気持ちを湧き起こす。古典的なデトロイト・テクノ/ハウスにも似た未来感がありながら、しかしBartkuhnの感覚によりモダンな雰囲気も持ち合わせたピークタイム向けの曲に仕上がっている。Needs時代に彼等の音楽に魅了された人も、そしてまだBartkuhnを知らない人にとっても、彼の耽美で優雅なフュージョン・ハウスにきっと魅了される事だろう。



Check "Lars Bartkuhn"
| HOUSE12 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deep House Japan (Loft Soul Recordings:LSR-003CD)
Deephouse Japan
Amazonで詳しく見る(日本盤)

「日本のディープ・ハウス」…これ以上にない程に分り易い直球タイトルの本作は、その名の通り日本人DJ/アーティストのディープ・ハウスを収録したコンピレーションだ。手掛けたのはRhythm of Elementsとしても活動する内川マサヒコで、80年代からクラブでDJ活動をしている大ベテランだ。そんな風に日本でも長い経験を積んだ現在形のDJは増えており、尚且つ海外はディープ・ハウスの隆盛の中にある状況ながらも、日本にも素晴らしいDJ/アーティストは居るにもかかわらず日本のディープ・ハウスは一体何処に?とそんな思いに応えるような本作には、岩城ケンタロウや高橋邦之にHideo KobayashiやYoshi Fumi(Satoshi Fumi+Yoshi Horino)など既に貫禄ある実力者から、新鋭のIori Wakasaに若手のYusuke Hiraokaまで収録し、「日本人のアイデンティティによって生まれたハウスミュージック」をテーマに掲げている。流石の貫禄を発揮しているのはKuniyukiで、大気の振動さえも感じさせるトライバルなパーカッションに有機的なシンセや静謐なピアノを用いて神々しささえも含む"End Of Night"は、Kuniyukiという個性を象徴するディープ・ハウスだ。黒さ滲むファンキーなハウスも得意とするIori Wakasaは、声ネタのサンプリングやヒプノティックなシンセをループにさせ、どっしりと鈍重なグルーヴからねっとりと黒さが放出するディスコティックな"Toy Box Disco"にてディープ・ハウスの解釈をしている。NYハウスやテクノまで手掛けるHideo Kobayashiは、逆に長閑なアンビエンスさえ感じさせる開放的な"Your Aias"を提供しているが、一見ふっと脱力する浮遊感がありながらも深みもあるのだ。アルバムの中でも情緒的な世界観が強いのはYusuke Hiraokaによる"Sunrise"と、そしてKay Suzuki x Leonidasによる"Interstellar Vibraions"だろうか。滑らかなハウスビートに乗せて温かみのあるメロディーをしっとり聞かせる前者、ビートを落としてファンキーなベースやダビーなパーカッションを加えつつ大らかな電子音に包み込んでスケール感を強調した後者、それぞれテンポやグルーヴ感に差異はあれどこれらも広義な意味でディープ・ハウスだろう。また内川自身もMirugaとの共同制作で"Wild Ones"を提供しており、アシッド・ベースを用いながらも都会のナイトクラブの興奮や陶酔感のある洗練されたディープ・ハウスを鳴らし、アルバムの開始を高らかに宣言している。本作は日本的な…という音のディープ・ハウスではないかもしれないが、少なくともここに収録された曲のそれぞれは決して海外にディープ・ハウスに劣る物ではなく、やはり日本のそれも世界に通用する事を伝えている。古い和製ハウスを掘り下げる外人も多いからこそ、今こそ今の時代の和製ハウスが世界に発信されるべきだ。

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Modeight (Modernista:modeight)
Yuri Shulgin - Modeight
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
今年の初頭にリリースした「Polyphonic Mind」は生演奏主体のジャズ×ハウス(にアシッドを少々)な作品で、それはどちらかと言うとかつてのMistanomista名義を思わせる音楽性だったが、この新作は逆にローファイーなアシッド・ハウスなのは面白い。当ブログでも何度も紹介しているYuri Shulginはロシア系のアーティストで、2011年にはEthereal Soundからもジャジーなディープ・ハウスをリリースするなど、ロシアン・ハウスが盛り上がる中で頭角を現した一人だ。デビューからEPのみしか制作していないものの、当人が演奏家でもある事もあってかその作風は表現力に富んでいる。いきなりカタカタとした安っぽいキックやハイハットにハンドクラップのビートで始まる"East West Connection"は古き良き時代のアシッド・ハウスを思い起こさせるが、豊かな色彩と動きのあるメロディーや差し込まれる奇妙な電子音が何ともユーモラスで、安っぽい味わいの中にもダイナミックな音楽性が閉じ込められている。"Nervous Arp"はよりコズミック感のある電子音を用いて穏やかに宇宙遊泳をするようなディープ・ハウスで、その煌きのあるメロディーは時にアシッド風にエグくなったりエモーショナルになったり変調するが、終盤は崩れるように混沌へと突入する作風が面白い。"Morning At Home"はより艶かしいフュージョン的なシンセの旋律がジャズ・ハウス色を強くしているが、下で刻んでいるビートは初期シカゴ・ハウスのそれでチープ感が発せられており、爽快な多幸感の中にもアシッド・ハウスの毒を忍ばせている。前作に収録されていてもおかしくない"Modular"は、生演奏主体のジャズ・ファンクのグルーヴに覚醒的な電子音のメロディーを被せ、セッション性の強いMistanomista初期作品のアップデート版にも感じられる。とつらつらと書いていると、結局は「Polyphonic Mind」と同様にアシッド・ハウスとジャズが下地にある事に気付いた訳だが、単にアシッド・ハウスの焼き直しではない所にShulginのマルチ・プレイヤーとしての才能が現れているのだ。



Check "Yuri Shulgin"
| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kez YM - Prop EP (4 Lux Recordings:4LUX1602)
Kez YM - Prop EP
Amazonで詳しく見る(MP3)

ベルリンへと移住してからのDJとしての活動は日本に居た頃よりも広がっており、のびのびと更なる躍進を続けているKez YM。本作は2016年では2枚目となるEPで、2008年にデビューを飾った4 Luxへと帰還しての作品となる。だからと言って何ら特別な変化がある訳ではなく、Kez YMというアーティストの個性は余りにも確立されているが故に、本作も今までの作風を踏襲し迷いの無いサンプリングベースのデトロイト・ハウスやブラック・ミュージックを貫いている。ざらついたハイハット、やや暗めのコード展開のシンセの奥に密かにガヤ声をまぶした"Throwback"は、時折現れる妖艶なサックスが訝しい黒っぽさを匂わせ、官能とメロウネスが同居するハウスだ。"Turns Me Off"は往年のKDJを思わせる雑音のサンプリングを用いつつ、ソウルフルな歌や耽美なエレピ・サンプルのループ、そしてしなやかに跳ねたリズムを組み合わせたこれぞデトロイト・ハウスな作品で、熱量の高くなっているフロアにすんなりとハマるのは間違いない。対して裏面の"Repair My Head"はしっとりと微熱を帯びたメロウで落ち着きのあるディープ・ハウスで、ループやボイス・サンプルを用いて反復性を強調したツール的な要素が前面に出ている。最後はファットなキックと刺激的なパーカッションが爽快に疾走する"Force Carrier"で、アフロで土着的な匂いを発してKez YMらしい飛び跳ねるような肉体的なグルーヴが爆発している。余りにもKez YMというアーティストの音楽性が完成しているが故に、作品毎の個性を決して強く発揮するわけではないものの、だからこそダンスフロアでは安定して機能するであろう性質があり、音楽性にブレは全くない。



Check "Kez YM"
| HOUSE12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - Donna (Aus Music:AUSCD007)
Cassy - Donna
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
伴侶や友人との分かれや、音楽制作に対する苦痛などの逆境の中から生まれたアルバムだと本人は言う。その人こそ現在はロサンゼルスに拠点を置くCassyで、周知の通り過去にはPanorama BarやRexでもレジデントを持っていた生粋の女性DJ/アーティストだ。公式リリースでは Panorama BarやFabricに関連する4枚ものMIXCDをリリースしており、DJとしての素質に疑いようはないわけだが、実はアーティストとしても長いキャリアを持っている。だからこそアルバムがリリースされてようやくかという思いである訳だが、全面的に共同制作に加わったKing Brittの影響もあってか、アルバムは思っていた以上に決して明るくはないもののソウルフルな内容にはなっている。ややダブ・ステップやR&Bを思わせる崩れたビートとしっとり艶のある歌もの"This Is How We Know"でアルバムは幕を開け、続く"Feel"では滑らかで繊細な4つ打ちに合わせて包容力のあるボーカルも導入され穏やかなディープ・ハウスを聞かせる。かと思えば次の"Back"では乾いてチープなリズムに夜中の官能を演出するピアノを交えたハウスを披露し、ぐっと妖艶さを増していく。かと思えば音を間引きロウな質感を打ち出した"All I Do"ではコズミックな電子音やブイブイとしたシンセベース主体のディスコ風な音を聞かせるなど、アルバムはおおよそ統一性とは反対の多様性を打ち出した内容になっている。事実、レイドバックしたメロウなヒップ・ホップ風の"Strange Relationship"にゴージャス感のあるポップなR&B影響下の“You Gotta Give”、そしてボサノヴァ風の軽やかなパーカッションが心地好い"Cuando"まで、アルバムに何か統一性を見つけ出すのは難しいが、敢えて言うならばどんな曲であっても感情的な面を押し出してきている。そして最もフロア受けするであろう"Keep Trying"は覚醒感のある、半ばトランシーでさえある電子音を用いた勢いのあるテック・ハウスで、闇夜に染まりつつCassyによる甘い歌が問い掛けるような官能的な曲だ。もう少しこの路線が多かったならばという思いもあるが、彼女の個性を全て曝け出そうとしている意図があるのだとしたら、アルバムのフォーマットを活かしてそれは達成されているのだろう。



Check "Cassy"
| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Barrott - Sketches From An Island 2 (International Feel Recordings:IFEEL055CD)
Mark Barrott - Sketches From An Island 2
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
今やバレアリック・ミュージックの筆頭と呼んでも偽りはないInternational Feelは、世界各地のベテランから新鋭まで掬いあげながらレーベルの開放的で輝かしさに満ちたサウンドを確立させ、バレアリックシーンの中で確固たる地位を築き上げた。それもひとえにレーベルを主宰するMark Barrottの献身的な活動方針や音楽に対する審美眼に依るものだが、レーベルオーナーとしてだけではなくアーティストとしての才能も一流である事は、2014年にリリースされた『Sketches From An Island』で証明済みだ。本作はそのシリーズの続編となるアルバムで、緑の木々が茂る中にカラフルな小鳥が息づく風景を描いたジャケット、そして「とある島(イビサ島の事だろう)のスケッチ」と言うタイトルからもイメージ出来るように、音楽も正しくバレアリックな世界観を表現している。とは言ってもイビサの観光地らしい享楽的なイメージとは真逆の、Barrottが住んでいるという島の北部の自然に恵まれた田園地帯の平穏な日常に存在するようなダウンテンポが中心で、熱狂的なクラブと言うよりは開放的な野外で鳴る事が適切だろう。気の抜けたギターと優雅なストリングスが爽やかさを演出する"Brunch With Suki"は、確かに落ち着いたブランチという日常を感じさせ、アルバムはリラックスしたムードで開始する。可愛らしいマレットが小刻みに動き、透明感のあるストリングスが広がる"Over At Dieter's Place"は、カラフルでトロピカルな風景を描くようで白昼夢に引き込まれるようだ。そして残響が層になって伸びるギターやコズミックなシンセを用いた"Winter Sunset Sky"は広大な空の広がりを感じさせ、しんみりとした夕暮れ時の切なさを表現している。逆に不安気なギターの奥から土着的なパーカッションや笛の音が響く"Distant Storms At Sea"は、ニューエイジのような宗教的な重苦しさを匂わせ、深い瞑想へと誘うだろう。重苦しい世界観から一転、スペーシーで美しいシンセとミニマルなマリンバが孤島のエキゾチック感を演出する"Cirrus & Cumulus"は、途中から小鳥のさえずりのSE等も導入されてアルバムを象徴するであろうビートレスで美しい曲だ。アルバムの最後はコズミックなシンセが香り立つように湧き上がり、耽美なピアノが滴るような旋律を奏でる"One Slow Thoughtで"、オーガニック感もありつつ自然の中に消え入るような美しさはラストに相応しいアンビエントだ。アートワークや曲のタイトル、そして音楽とどれもが結び付きアルバムのコンセプトを的確に表現した内容で、これぞInternational Feel、これぞバレアリックである事に異論は無いだろう。蒸し暑い真夏にぴったりな涼しげでドリーミーなサマーブリーズ、ただただ素晴らしい。



Check "Mark Barrott"
| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |