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Future Beat Alliance - Collected Works 1996-2017 (FBA Recordings:FBA21)
Future Beat Alliance - Collected Works 1996-2017
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1996年から活動を始めたUKのMatthew PuffettことFuture Beat Allianceは、活動の初期にはDelsinやFeloxにArchive等のレーベルから作品をリリースしていた事からも分かる通り、デトロイト・テクノに強く影響を受けた叙情性に加えビートにも拘りを持ったテクノを展開し、正にアーティスト名が示す「未来ビート連合」たる存在感を持っていた。その後もVersatileやTresorにRush Hour等のレーベルにも見初められ未来派志向のテクノをリリースし、単なるデトロイト・フォロワー以上の存在感を放つまでになる。尚、後で知った事だが近年はUNKLEのメンバーとしてアルバム制作に於いてプログラミング/エンジニアリングを行っていたようで、その作業も一段落した所で20年にも及ぶ活動の編集を行ったのが本作だ。20年の中からバランス良くどの時代の作品も収録している為、時代に合わせて多少の変化も見受けられるのだが、やはり面白いのは初期活動の頃の作品だ。"Intruder"は1997年の作品で、複雑に入り組んだ切れのあるブレイク・ビーツと透明感のあるデトロイト的なパッドが薄っすら持続するテクノで、SFの近未来的な映像が頭の中に浮かび上がる世界観が特徴だ。2001年作の"Almost Human"もブレイク・ビーツ風な繊細で変則リズムを刻み、柔らかみのあるシンセの幻想的なメロディーやコズミックなSEを織り交ぜたエモーショナル性の強いテクノは、UKからデトロイトに対する回答か。2000年の"Eon Link 500"、2002年の"Head Ways"等もやはりリズムは4つ打ちから外れた変化球的なもので、そしてしなやかで慎ましく浮遊感もあるようなシンセの鳴りを基調にした曲で、FBAに対するイメージはそこら辺までの時代におおよそ完成している。2009年の"Dark Passenger"は正確な4つ打ちとひんやりとしたテクノの雰囲気を纏い、シンセの使い方も派手になりながらもスペーシーな壮大さを増しつつある等、多少の変化も見受けられる。それが決して悪い事ではなく2010年にTresorから発表された"Cross Dissolve"は、もはやレトロなデトロイト・テクノの叙情性はほぼ失われているが、しかしタフなグルーヴ感と神々しくヒプノティックなデジタルシンセの音が反復するDJツール性にも寄り添った音楽性を新たに獲得。他にもVersatileからリリースされた"Fake Love"と"Lumiere"はハウシーなグルーヴ感と優美なシンセの煌きや捻れて癖のある電子音を導入したりと、Versatileというレーベルのユニークな音楽性と共鳴している点も興味深い。インテリジェントなリスニング系からフロア揺らすダンス・トラックまで時代と共に変化をしているものの、FBAの豊かで美しいコードを鳴らすシンセサウンドと言う点に於いては変わらず、タイムレスなベスト盤と言えよう。



Check Future Beat Alliance

Tracklistは続きで。
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| TECHNO13 | 12:00 | comments(1) | trackbacks(0) | |
Radioactive Man - Luxury Sky Garden (Asking For Trouble:AFT001)
Radioactive Man - Luxury Sky Garden
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Andrew Weatherallとのエレクトロ・ユニットであるTwo Lone Swordsmenとして、またそれ以外にも大量の変名を用いてWeatherallのサポートを行ってきたKeith Tenniswood。そんな彼のソロ活動の場がRadioactive Manであるが、一般的な知名度で言えばWeatherallの影に隠れがちなTenniswoodではあるが、Radioactive Manの音楽を聞けばそれが間違いである事に直ぐに気付く事が出来る。今までに複数のアルバムをリリースしているが、パンキッシュなエレクトロからディープな音響、または鋭利なブレイク・ビーツやポップな感覚など、つまりはTwo Lone Swordsmenの多様性はRadioactive Manにも継承されており、Tenniswoodもやはりユニットの一員としての音楽的なセンスを担っていたのは言うまでもない。そして5年ぶりのアルバムであるが、これは歴代最高傑作と呼んでも間違いではない程に素晴らしい。スタイルで言えばテクノにエレクトロ、ブレイク・ビーツやインテリジェンス系にアシッドなど様々な面が見受けられるが、それらは纏めて全てエレクトロ・パンクと呼ぶべき刺々しいサウンドが痛快だ。アルバム冒頭の"Steve Chop"からして素晴らしく、ドラム・サンプルだろうか生々しいブレイク・ビーツと酩酊感あるアシッド・ベースがうねり、非常にライブ感あるファンキーで毒々しいレイヴ・サウンドに魅了される。と思いきやディープ・スペースな空間に掘り出される無重力エレクトロな"Deep Space Habitat"は、例えば真髄であるデトロイトのエレクトロを思わせるSFの世界観が広がっている。鋭利なリズムが切り込んでくるスタイルの刺々しいエレクトロの"Ism Schism"、コズミックな電子音が反復しながらも生ドラム風なリズムの響きが強調された"Bonnet Bee"など、やはり何処かロック・テイストなりパンキッシュな味があるのは彼の持ち味だろう。更にジューク/フットワークにも似て早いビートとゲットー的な悪っぽい雰囲気がある"Jommtones"、そんな小刻みなビートのジュークっぽさにデトロイト・テクノの叙情性が加わった"Serving Suggestion"など、多方向に枝分かれしながらもそこには一貫してベースとなるエレクトロが存在している。DrexciyaやUnderground Resistanceが根付かせたエレクトロを、同じ時期からUKに於いて今までやってきただけあり、その才能はやはり本物だ。刺々しく荒々しいリズムに自然と体が痺れてしまう。



Check Keith Tenniswood
| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
サワサキヨシヒロ and NGEO - Electrospout! (Naturally Gushing:NGD002)
サワサキヨシヒロ and NGEO - Electrospout!
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2016年、タイトル通りに『Sawasaki Is Back!』(過去レビュー)で復活を果たしたサワサキヨシヒロ。過去にはR&S傘下のApollo RecordsやSublime RecordsにTransonic Recordsなどから底抜けにオプティミスティックなテクノ/アンビエントをリリースし、日本のテクノの創世記を担った一人である。2000年以降の活動は断続的だったが、その一方で偏執的な温泉愛は音楽と映像による温泉布教活動であるNaturally Gushingへと発展するなど、クラブシーンからはやや距離は置きつつもサワサキの緩く無邪気なアンビエントは密かに続いていた。本作は復帰2作目となるが、温泉プロジェクトの発展系であるNaturally Gushing Electric Orchestra名義での作品であり、サワサキが監督となり複数のアーティストによる(作曲も含め)制作となっている。アルバムの幕開けは「シロクニゴッタオンセンガスキナノ」というバーチャルボイスで始まる"Sulfur"、直ぐにフワフワとした明るい電子音が浮遊するように旋律を奏で気の抜けてリラックスした空気が満ちていく様は、確かに温泉に浸かってほっこり夢現な気分と似ている。続く"The Steam Paradise"ではエグいエレクトロニック・サウンドが脈打ちつつも、陽気なトリップ感が広がっていくエレクトロ風味で、鮮やかな電子音に彩られている。"Dig It"ではモジュラー・シンセだろうか奇怪な電子音が散りばめられた音響系で、ユーモアと自由さに溢れている。再び温泉気分な"Love Onsen"、甘く語りかけてくるボイス・サンプルとドリーミーな電子音の連なり、そしてリラックスしたハウス・ビートで温泉の中の無重力感が心地良い。ビートレスでアンビエントに振り切れた"EMS Onsen"、この無意味な電子音による無邪気なオプティシズムは昔のサワサキを思い起こさせたりもする。一方でエグミのあるアシッド・サウンドと力強いキックによる4つ打ちが前面に出た"Carbonic Acid"は、アナログ機材やモジュラー・シンセを用いた制作による人力的なラフ加減があり、何だか肉体性を伴うようだ。電子音への探求はPCは極力使用せずにヴィンテージなアナログ・シンセやモジュラー・シンセなどを用いる事になり、その結果として電子音楽ながらもElectric Orchestraの名通りにライブ感のある音楽になったのだろう。音そのものに意味を込めずひたすらオプティミスティックな響きに向かった、つまりはサワサキらしいナチュラルなアンビエント性があり、昔からのファンも納得のアルバムだろう。



Check Yoshihiro Sawasaki
| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Denis Mpunga & Paul K. - Criola Remixed (Music From Memory:MFM023)
Denis Mpunga & Paul K.  - Criola Remixed
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時代の狭間に埋もれてしまった音源を偏執的に掘り起こす究極的なディガー・レーベル、それがアムステルダムを拠点とするMusic From Memoryだ。2013年発足ながらもジャンル問わずに名盤からカルトな作品まで多くの作品の復刻に勤しみつつ、更にはそんなアーティストの新作発表へ繋げる事に対し寄与したりと、過去と現在と未来を繋げる重要なレーベルへと成長したのは誰も否定出来ないだろう。本作はベルギーとコンゴの混血ディオが1984年から1987年に発表した奇作を、そんなレーベルがまた掘り起こして纏めた『Criola』を更に、現代のアーティストにリミックスさせる事で時代を繋ぎ合わせた作品だ。オリジナル音源については購入はしておらず少しだけ試聴した限りでは、安っぽくも電子音によってアフロな音を鳴らした土着的なファンクだったが、ここでは現行アーティストが手を加える事で現代的なダンス・ミュージックらしさも浮かび上がっている。とは言っても一般的なダンス・ミュージックのアーティストが参加するでもなく、MFM関連のアーティストやバレアリック系にオルタナティブな電子音楽系の人までが参加しており、オリジナルの奇抜さを残した摩訶不思議な音楽が鳴っている。"Kwe!! (Prins Emanuel Remix)"はリズムは軽快に連打されながら疾走するエキゾチックながらも比較的まともなダンス・ミュージックだが、全体的に素朴と言うか安っぽい電子音や生演奏によるアフロ・ディスコな趣きだ。何だか民族的な祭りのようなグルーヴィーなリズムと懐かしさを誘う笛の音に引っ張られる"Intermezzo B (Dazion's Turtle Maraca Remix)"も面白いが、"Funyaka (Androo's Romantic Dub)"のプロト・ハウスらしくある垢抜けない響きのリズムに、すかすかの間の中からはファンクやアフロが融解した雰囲気に加えサイケデリックな幻想が広がっている。土着的なドラムは気が抜けてもさっとしながらもニューウェーブらしいギターやベースから退廃感もある"Veronika II (Tolouse Low Trax Remix)"、更にポリリズムで奇怪なリズムが打ち鳴らされる中で嘆きのような歌が繰り返される"Veronika II (Original Mix)"、何処か廃れた感が気持ち悪さと酩酊の狭間を彷徨う。より原始的でアフロかつダブなリズムが強調された"Intermezzo II (Interstellar Funk Remix)"は毒気付いた電子音がうねりながらシタールらしき旋律がエキゾチック感を誘発し、芯のある4つ打ちが刻む事でテクノらしさも纏った辺境のダンス・ミュージックだ。どれもこれも一筋縄ではない異形のダンス・ミュージック、古き失われた音楽が現在形の形で今に蘇った。



Check Denis Mpunga & Paul K.
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tomi Chair - Music Is My Life (Gabcat Records:GABCAT 009)
Tomi Chair - Music Is My Life
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日本よりも海外で評価された事で逆輸入的に日本でもその知名度を高めているTominori Hosoya、その音楽性は清涼で透明感ある美しいシンセワークを軸に無限の空の如く開放感ある世界観が特徴で、機能性に収束するのではなく響きの豊かさに秀でたディープ・ハウス〜テクノによって聞く者を魅了する。実際にここ2〜3年のリリースペースは鰻登りで海外のレーベルから作品を出す機会は増えているが、この新作もドイツの新興レーベルであるGabCat Recordsからとなり日本に居ながらにして海外に於いて音楽的に確かな評価を獲得している事を示唆している。本作にはオリジナルが2曲、そして他にKaito名義でも活躍するエモーショナル・テクノに於いては随一のHiroshi Watanabe、そしてBPitch Control等で活動するフィンランドのKikiがリミックスを提供しているが、どれも非常にエモーショナル性が強いのは当然として更にトランシーな感覚がある点が特徴だ。タイトル曲の"Music Is My Life"は正にHosoyaの個性が現れており、モヤモヤとしながらも透明感のあるシンセや空へと抜けていく爽快なパーカッションを響かせ、軽快に疾走するディープ・ハウスの中にアンビエント的な流れも挿入され、優美な空気を纏って空高く飛翔するような清々しいエモーショナルな曲。そして"Music Is My Life (Hiroshi Watanabe a.k.a Kaito Remix)"では独自に薄く伸びていくパッドやシンセのリフで光を纏う装飾を行い、また激しさも伴うハイハットなどでリズムも力強さを増し、全体として清々しいトランシーなサウンドを強めてKaitoらしい激情的な展開を繰り広げるリミックスへと生まれ変わっている。一方で"Autumn"は抜けの良いパーカッションが鳴りながらもどっしりとしたリズムが地に根を張るように安定感のある4つ打ちを刻み、じわじわと底から盛り上がってくる持続性のあるディープ・ハウスだが、徐々に視界が開けるような爽やかなシンセのメロディーが入ってくれば途端にHosoyaのエモーショナル性に染まっていく。面白いリミックスになったのは"Autumn (Kiki Remix)"で、鈍いパーカッションを用いながら躍動感や疾走感のあるリズムで心地良いが、上モノは相当に快楽的でトランス要素が前面に出ており、やや暗い雰囲気から妖艶な覚醒感を発するテクノへと一変している。Hosoyaらしさが存分に発揮されたオリジナルも、ドラマ性やトランス感を更に獲得したリミックスも、どれも豊かな響きを持ったダンス・トラックでフロアをきっと鮮やかに照らしてくれるに違いない。



Check Tominori Hosoya
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Bola - D.E.G (Skam:SKALD034)
Bola - D.E.G
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エレクトロニカという音楽のジャンルが生まれた時期について明確なデータはないものの、おそらく1990年代の中盤以降であった筈だ。2000年前後のエレクトロニカ流行は日本に於いてもバブル的な盛り上がりを見せたが、盛り上がったモノは衰退するのも世の常、シーンから消え去ったアーティストも少なくはない。ここに10年ぶりに届けられたニューアルバムはエレクトロニカの老舗レーベルであるSkamの中心的存在であるDarrell FittonことBolaによるもので、1995年頃から作品を発表していた事を振り返ればエレクトロニカの始祖と呼んでも過言ではない。10年間一体何をしていたのかは知る由もないが、つまり10年間音沙汰がなくてもまた戻ってくる辺りにオリジネーターとしての責務や意地、いやあるいは彼にとってのライフワークなのだろうと感じずにはいられない。10年経過し随分と音楽の流行も変わってしまったが、しかしBolaは基本的には変わらずにシリアスで深遠なるエレクトロニカを展開する。重厚なオーケストラ風の電子音の中でひっそりと瞬く繊細な音響が美しいシネマティックな"Fhorth"から始まり、鈍い金属音やグチャッとした音質の変則的なリズムが鼓動しつつ催眠的な電子音が反復する"Herzzatzz"はこれぞエレクトロニカだと呼べるもの。"Avantual"はややニューエイジを思わせるシンセのメロディーから始まるが、そこから徐々に無重力な電子音響空間へと入っていき繊細でハウシーなリズムが心地良く、ミステリアスな美しさに魅了される。"Evensong"は珍しく歌モノだがトラック自体は緻密な電子音響で、メランコリーな歌と幽玄なトラックが組み合わさりひんやりとした温度感ながらも非常に情緒性が強い。そこから一転して暴れるような荒削りなビートとビキビキとしたブリープ風な電子音が刺激的な"Landor 50X2"は、ややレトロで時代感を感じずにはいられないがエレクトロニカの拡張性を示す曲だろう。最後はアコギ?のメロディーが爽やかなフォーキーな長閑さもある"Maghellen"と、歪で奇妙なダンス・トラックからマシーナリーながらも美しいアンビエントまで揃っており、そのどれもにBolaらしい巧みな電子音響を見つける事が出来るだろう。アルバム・ジャケットには旧来から点字シールも張ってあり、こういった点からも時代が移り変わってもこの音楽を貫き通す意思が伝わってくる。



Check Bola
| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ross 154 - Fragments (Applied Rhythmic Technology:ART-EL1)
Ross 154 - Fragments
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Kirk Degiorgio主宰のApplied Rhythmic Technologyから再発されたのは、オランダのビートダウン・ハウサーのJochem PeteriことNewworldaquariumことRoss 154による一番最初の作品だ。元々は1993年にStefan Robbersによるポスト・デトロイト的なEevo Lute Muziqueからリリースされていた作品で、そのレーベルは本家デトロイトを意識したようにその当時一斉を風靡したインテリジェンス・テクノな作風もあったのだが、それを思い出せば同年代から続く正にインテリジェンス・テクノを代表するARTから再発されるのも全くおかしくはない。勿論Ross 154と言えば迷宮に迷い込んだアブストラクトなビートダウン・ハウスに象徴される煙たい音像が特徴ではあるが、この作品は最初期の作品と言う事もあってまだまだ荒削りなテクノな要素が打ち勝っている。それでも尚その後の片鱗も覗かせる"Hybrids I"はうっすら情緒も漂うアンビエントではあるが、続く"Fragments"では膨らむ重低音のベースとかっちりとした硬い明瞭なリズムのビートに攻められながらも、ミステリアスな上モノによって覚醒感を煽るようにドープに嵌めていく構成は何処かCarl Craigの作風を思わせる点もある。再度インタールードとして挿入された"Hybrids III"は、朗らかな雰囲気のあるアンビエントで先程の喧騒が嘘のようだ。"Remembrance"は当時の時代性が反映された荒々しいブレイク・ビーツが耳に付くが、朧気で抽象的な上モノが浮遊しておりその後のNewworldaquariumの音楽性が萌芽している。裏面に続いてもインタールードが挿入され星の煌きの如く美しい音響を奏でる"Hybrids II"から、これぞインテリジェンス・テクノと言わんばかりの複雑なリズムとSFの世界観が浮かぶパッドを用いて近未来を投影した"Mayflower"へと繋がれ、ラストは歪んだドラム・マシーンによるねっとりしたダウンテンポにトリッピーな電子音を被せていく"Within You"はThe Black Dogの作風にも近い。1993年作だから時代の空気を含んでいるのは当然であり、音自体は古臭くもありつつもこの原始の胎動があるテクノは、UKからデトロイトに対する回答として捉える事が出来る点で評価すべきだろう。この後のPeteriは更にディープな方向へと深化していったわけだが、その原点としてこんなテクノもあったのかと感慨深い。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DeepChord - Auratones (Soma Quality Recordings:SOMACD117)
DeepChord - Auratones
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デトロイトから執拗にミニマル・ダブの探求をライフワークとするRod ModellによるDeepChordは、その完成された音楽性が故に最早大きな革新や変化は見受けられない事から金太郎飴的な制作活動になっているが、オリジネーターであるBasic Channelが築き上げたミニマル・ダブに更にアンビエント性も加えて純度を高める事で、追随を許さない程に自分達の音を確立している。近年は定期的にアルバムをUKはグラスゴーの名門テクノレーベルであるSoma Recordingsよりリリースしており、本作で同レーベルより通算5枚目となる事からその実力を買われているのは間違いないだろう。前述したように本作でも作風に変化はなく、アルバムはドローンによる深い霧の中で虫の鳴き声が響くフィールド・レコーディングらしき"Fog Hotel"から始まる。そこから物静かにしっとりしたキックが入ってくる"Moving Lights"に繋がると、幻惑的な作用を生むダビーな上モノも加わって、引いては寄せる波のような残響が心地良いミニマル・ダブの世界へと突入する。これ以降はチリチリとしたヒスノイズ、蠢くように揺らぐ残響、ミニマルの一定間隔を守る4つ打ちのグルーヴといった要素を軸に、全ての曲はミックスされる事でライブ感を打ち出しながら催眠的に作用する。基本はミニマル・ダブと言う作風ではあるが、曲によってはミニマル・テクノの収束性やレゲエのリズム、ダブな残響にアンビエントの雰囲気といった要素のどれかに振れながら、単調になりがちな音楽性に変化も加えてアルバムの統一感はありながらも飽きさせない展開で持続性を持たせているのだから覚めない夢の心地良さが続くようなものだ。淡々としたキックが持続する中に官能的に揺らぐ残響に陶酔してしますダンス色強いミニマル・ダブの"Underwater Galaxies"から、一転してビートは一気に消失しオーロラのように豊かな色彩を見せながら羽ばたく上モノが広がるドローン・アンビエントの"Roca 9"への切り返し、そこから再度薄いドローンと爽やかに残響が広がる大らかなダブ・テクノの"Azure"でビートが走り出す流れ等もあり、金太郎飴的な音楽性が強いDeepChordとは言えども決してアルバムが単調で間延びすると言う事はない。精神の深層世界の探検を促すように瞑想状態を誘発するダブ/ドローンの効果は、全編に作用しながらリスニングとしてもダンスとしても満足させるアルバムになっているのだ。



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| TECHNO13 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pop Ambient 2018 (Kompakt:KOMPAKT CD 142)
Pop Ambient 2018
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シリーズ物としては長い歴史を誇るKompaktが手掛ける『Pop Ambient』シリーズもこの2018年を冠した本作で18作目に突入。アンビエント・シリーズとしては最高峰に属するのは言うまでもないが、それもKompaktの元頭領であり現在は芸術的に音楽を追求するWolfgang Voigtがこのシリーズに限ってのみ監修をしているからこそで、昔よりはやや商業的な動きもあるKompaktの中でもこのシリーズのみはVoigtの審美眼によって純粋にアンビエントの追求を継続している。例えば日本からは過去のシリーズにも登場しているYui Onoderaが本作にも(しかも2曲も)起用されていたりと、他のアーティストもそうだが単に知名度を優先したような選び方でない事は明白だ。またVoigtが来日した際に制作を依頼されたと言うHiroshi WatanabeことKaitoもシリーズ初参戦を果たす等、Voigtのネットワークが有効に働いているのだ。アルバムはKompaktの中では新世代に属するFresco & Pfeifferの"Splinter"によって幕を開けるが、凍えきった厳寒の空気が広がる冬景色の中でか弱い灯火で暖を取るようなアンビエントは、静けさの中に優しさが溢れている。そしてYui Onoderaによる"Prism"は彼らしい荘厳なドローンと弦の音色を用いて大人数の演奏によるクラシックを聞いているかのような重層的な響きがあり、ゆっくりとした流れの中に生命の胎動にも似た動きが聞こえる。レーベル初登場となるカリフォルニアのChuck Johnsonは、薄いパッドを静けさを保ちながら伸ばしてその中に悲哀を醸すペダル・スチール・ギターを鳴らし、夢と現の狭間に居る心地良い"Brahmi"を提供。そしてダンス・ミュージックだけでなくアンビエントに対しても造詣の深いKaitoには当然注目で、アコースティック・ギターの和んだメロディーとしなやかに伸びるパッドで広がりのある大空へと浮かび上がっていくような開放感ある"Travelled Between Souls"を提供しており、幻想的なトランス感を誘発する。Kompakt組として常連のThe Orbはやはり普通のアンビエントをやる事はなく、ややダブ/レゲエの音響やリズムも匂わせコラージュ的な捻れた世界観のある"Sky's Falling"はアーティスト性が出ていて面白い。同様にレーベルの古参のT.Raumschmiereは雪が吹き荒れる厳寒のような重厚なドローンによる"Eterna"において、大きな動きはないものの圧倒的なドローンの重厚さの中にロマンティックな響きを閉じ込め、ただただその壮大さに圧倒される。他にも同シリーズには常連のKompakt組がいつも通り静謐で美しいアンビエントを提供しており、シリーズの長さ故に金太郎飴的な点もありつつも他の追従を許さないレベルの高さを誇っている。凍える冬に温まるBGMとして是非利用したいアンビエント・アルバムだ。



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Laurent Garnier - Tribute EP (Kompakt Extra:KOM EX 95)
Laurent Garnier - Tribute EP
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フランスのテクノ…いや、ダンス・ミュージックに於ける伝道師のLaurent GarnierはDJとしては超一流である事は間違いなく、ジャンルに束縛されずにその垣根を飛び越えながらフロアを揺らすスタイルが彼の武器になっている。その一方でアーティストとしての側面もあるものの、やはりDJ気質な故かその作品の出来にはムラっ気があるのも事実だ。そんな彼の2年ぶりの新作はKompakt系列のKompakt Extraからとなれば当然の如くツール性も意識してフロア向けの作品となっており、どちらも10分以上の長尺の構成を活かしてじわじわと盛り上げていくピークタイム使用な出来だ。"1-4 Doctor C'est Chouette"はフランスからデトロイト・テクノへの回答とも呼べるクラシック"Man With The Red Face"を思い起こさせるエモーショナルなトラックだが、テクノだけではなくエレクトロやアシッドにプログレッシヴ・ハウスといった要素が混在する作風で、それはさながら彼が一晩で様々なジャンルをプレイするダンストラックを凝縮したかの様でもある。締まったキックによるミニマルな4つ打ち、覚醒感を煽る鈍いベースラインから始まりぼんやりと浮遊する電子音を散らして疾走しながらもじわじわと侵食する序盤、それはまるでピークタイムに向けてエネルギーを溜めているのか。そして遂にピコピコとしたシーケンスとアシッド気味のエグいメロディーが出現し暴走気味になる中盤以降のピークタイム、真っ暗な宇宙空間を高速で飛んでいくロケットのような危険と隣り合わせながらもドラマティックな展開は、フロアでも特に盛り上がる時間帯に完全にハマるだろう。もう1曲の"From The Crypt To The Astrofloor"も壮大な展開を繰り広げるが、ギャラクシー空間の惑星間を擦り抜けていくような鬼気迫る雰囲気はRed PlanetやUnderground Resistanceのコズミック色の強いテクノへのGarnierによる回答と勝手に解釈してしまう程だ。分厚く鈍いベースがウネリながらプログレッシヴかつスペーシーなシンセが伸びていく中で、鋭利なハイハットや叙情性の強いパッドが現れ精神波らしくディープに作用する曲調は、一触即発な危うさと共に劇的なエネルギーを放出する。どちらもGarnierの強烈なダンス・グルーヴとロマンティックな世界観が投影されたピークタイム向けの大作で、何だか聞いているだけで彼が熱狂的なダンスフロアの中でプレイしている様が目の前に浮かび上がってくる。



Check Laurent Garnier
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |