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Theo Parrish, Amp Fiddler - Gentrified Love Part 3 (Sound Signature:SS066)
Theo Parrish, Amp Fiddler - Gentrified Love Part 3

2016年には様々なアーティストの曲を収録した『These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now』(過去レビュー)で、Sound Signatureに更なる拡張性をもたらす事に成功したTheo Parrish。元々レーベルの殆どの作品がTheo自身によるものだったのだが、こういった外部から新たにアーティストを招き入れる事は本人にとっても刺激になるのだろうか、Theoによる『Gentrified Love』シリーズの第三弾では以前にTheoのバンドにも参加したIdeeyahとデトロイトのファンク・アーティストであるAmp Fiddlerとの共同作業になっている。"Trust (SS Translation)"はAmp Fiddlerが作曲したものを恐らくTheoが更にリミックスを施したと思われる曲。Ideeyahの官能的ながらも切なさも込み上げる歌を軸に、ブギーでノリの良い4つ打ちのリズムはざらついて艶かしく如何にもTheoの音だが、点々と滴るように鳴るピアノやじとっとした湿度の高いキーボードはAmp Fiddlerによるものだろうか。元々P-Funk軍団の一員であった事もあってTheoのリミックスが施されながらもブギーな感覚も残っており、両者の持ち味が活きている。全体的にくぐもったように処理された鈍い音響の中から、黒光りする妖艶な美しさが出現するTheo流のブラック・ミュージックである。一方で"My Soul"の方はよりTheoの変異体ハウスの性質が打ち出された個性的な曲で、ジャズなのかブロークン・ビーツなのかも形容し難い強烈なドラム・ブレイクがけたたましく響き、そこに不気味な電子音が蠢きながら控えめに優美なエレピ等を配してソウルフルかつミニマルに展開する。中盤には一気に転調してスローなブレイクを挟む驚きの展開も用いつつ、そこから再度ざらついたドラムが激しく打ち鳴らされる曲で、最早ハウスと言うには異形なスタイルだがこれもTheoによるブラック・ミュージックの一つなのだ。どちらも10分近くある大作で、勿論DJとして使えるような機能性にも優れている。



Check Theo Parrish & Amp Fiddler
| HOUSE13 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Young Marco - Selectors 002 (Dekmantel:DKMNTL-SLCTRS002)
Young Marco - Selectors 002
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Dekmantelが企画するコンピレーションシリーズの「Selectors」、第一弾はDanilo PlessowことMotor City Drum Ensembleが担当し注目を集めて企画としては成功を収めており、その勢いに乗って第二弾が登場。担当はオランダからバレアリック/イタロ・ハウスの深掘りをYoung Marcoで、何でも「高価盤やレア盤の寄せ集めにならないように選曲した」そうで、第一弾が今では高価になってしまったレアなハウスをふんだんに使用していたのとは対照的にも感じ取れる。勿論Plessowも単に高価な曲の寄せ集めではなく手に入りずらい素晴らしい曲をDJとして使用して欲しいという意図も込められてはいたので、その意味ではこのMarcoの選曲も前者と大きく外れている事はない。本作について言えばハウス・テイストもあるものの、もう少しディスコティックやシンセポップ等のプロト・ハウス的な音楽性が中心で、レトロな世界観に懐かしさを感じる事だろう。同郷オランダからはDanny Boyの僅かに発表された作品の一つ"Diskomix (Disko Version)"があり、1983年作と言う事を考慮してもネオンライトをイメージさせる光沢感あるシンセ使いが懐かしく思われるシンセ・ポップな作品は、「アチョー」という声やロボットボイスの影響で中華テイストが面白く聞こえる。続くGerrit Hoekemaもオランダのアーティストで、実はコンピ等への曲を提供するのみでソロ作品をリリースした事はない点で非常にレア度は高いのだが、"Televisiewereld"はプロト・ハウスとでも呼ぶべきいたないビート感が味わい深く、奇妙な効果音がよりユニークさを強めている。勿論正統派ハウスな作品もあり、それこそシカゴのディープ・ハウス伝道師であるLarry Heardによる"Dolphin Dream"で、Heardらしい無駄のないエレガントな響きとチルアウトな感覚のある慎ましいハウスは素朴でもあり他の曲との調和を崩す事はない。現在形のアーティストであるWolf Mullerは未発表曲を提供しているが、"Pfad Des Windes"はジブリの名曲をカバーした異色作。ジブリらしい懐かしい田舎風景のムードがありながらも、エキゾチック・ディスコな響きはやはりレトロ調の味わいがある。他は90年代の作品が多く、シカゴのFrank Youngwerthによる90年前半の"Whirr"はやけに軽快なパーカッションが弾むヒップ・ハウス調で、非常に時代の空気が強い。Green Baizeの"Spick And Span"は90年代初期のイタロ・ハウスで、シカゴやデトロイトからの影響も感じさせるチージーな響きの中にエモーショナルな感情を込めた作品だ。全体を通してモダンとは対照的なレトロ調のバックトゥルーツな意図が感じられ、時代の幅やジャンルの差はあれど全体の空気の統一感として全く違和感無く纏められている。単なるレアな曲の寄せ集めでは当然なく、ミックスせずともYoung Marcoのバレアリックやイタロな音楽性を投影した世界観は、部屋を彩る素晴らしい音楽集になるだろう。勿論DJにとっては使い勝手の良い武器になるに違いない。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Azymuth - Fenix (Ron Trent Remix) (Far Out Recordings:JD39)
Azymuth - Fenix (Ron Trent Remix)
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フュージョンに詳しくない人でも名前位は聞いた事があるかもしれない、ブラジルのジャズ・ファンク/フュージョントリオの至宝であるAzymuth。1970年代から活動する大御所でありブラジル音楽の伝統を継承しながら麗しいサウンドを奏でる彼等の音楽は、クラブ・ミュージックのアーティストからの人気も集めダンス・ミュージック側からのアプローチもあるなど、活動は長くとも決して懐古的なトリオではなく現在系のアーティストだ。しかし2012年にメンバーの一人が亡くなった事で活動の存続が危ぶまれたものの、2016年には新メンバーを加えての復活のアルバム『Fenix』をリリースし、ファンを安心させた事だろう。本作はそのアルバムからのシングルカットで、何とシカゴ・ハウスの重鎮であるRon Trentがリミックスを提供しているのだから、ならば当方のようなクラブ・ミュージックのファンが注目するのは当然だ。先ずはオリジナルである"Fenix (Album Version)"、実はこれ自体もIncognitoの中心であるJean-Paul’Blueyの息子であるDaniel MaunickことDokta Venomがプロデュースを行っている。Venomと言えばブラジル音楽をディープ・ハウスに落とし込んだ作品を作ったりと、ダンス・ミュージックにおいて活動するアーティスト/エンジニアであり、ここで起用されたのもAzymuthが現在形のダンス・ミュージックを意識している現れだろう。けたたましく野性的なラテンのドラム、激しく弾けるスラップベース、そこにオルガンやエレピ等のキーボードプレイも加わり、1曲の中で爽やかな涼風を吹かせたり黄昏時のしんみりしたメランコリーも聞かせたり、そしてディスコなグルーヴからファンクやフュージョンまで包括する音楽性が違和感無く同居している。そして"Fenix (Ron Trent Remix)"、Trent自身によってキーボードやパーカッションにオーバーダブ等を加えているそうだが、原曲の雰囲気を壊す事はなく丁寧なリミックスを施している。Trentらしい開放感溢れるアフロなパーカッション使いは軽快さを生み、ややハウス・ミュージック寄りになった4つ打ちの流麗なリズムが疾走り、アンビエント的な浮揚感のあるダビーな処理が心地良い。ガラッと変わったリミックスではないがAzymuthらしさとTrentらしさが同居した丁寧な作風で、ハウス〜ディスコ〜ファンク等をクロースオーバーする事でフロアに対する適応力も高い。勿論、部屋でのリスニングとしても和やかなムードに溢れていて最適だ。



Check "Azymuth"
| HOUSE13 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Amp Fiddler - So Sweet (Mahogani Music:M.M. 40)
Amp Fiddler - So Sweet
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2016年の暮れには『Motor City Booty』(過去レビュー)をリリースし、デトロイトの熱きソウルを表現したAmp Fiddler。元々P-Funk軍団の演奏者でもありアーティストとしての経験に裏打ちされた音楽は、ハウス・ミュージックを軸にファンクやディスコにソウルといった要素も混在化しており、感情的・情熱的な熱く猛るソウルが込められている。曲によってはもう完全にPファンクまんまな物もあり、デトロイト勢の中でもルーツへと先祖返りを強く見せるアーティストだ。そして新作はMoodymann率いるMahogani Musicからとなるが、実は過去にもAmp Dog Knight名義で同レーベルから作品をリリースしており、この帰還には期待せずにはいられないだろう。新作は今後リリース予定のアルバム『Amp Dog Knights』からの先行シングルの位置付けだがオリジナル楽曲は収録されずに、Masters At WorkのLouie VegaとデトロイトのアーティストであるWaajeedによるリミックスを収録している。10分にも及ぶ大作の"So Sweet (Louie Vega Remix)"は完全にLouie Vegaの作品と呼んでも差し支えない程にソウルフルな作風に染まっており、優美なエレピの旋律と渋い男性ボーカルと情熱的な女性ボーカルの掛け合いに耳を奪われるハウス・ミュージック。デトロイトではなくNYスタイルへと生まれ変わり、スムースで流れるような4つ打ちと流麗なキーボード使いによってクラシカルな作風に添いつつ、終盤に現れるブリブリとしたシンセソロがファンキーさを演出するぐうの音も出ないリミックスだ。"It's Alright (Waajeed Conant Garden Mix)"は原曲のヒップ・ホップなテイストのあるPファンク尊重しながらもよりスモーキーによりメロウに、粘着性の高いヒップ・ホップにする事でMahogani Musicらしいドープな音楽性が強くなっている。またこのインストメンタルバージョンも収録されているが、やはりAmp Fiddlerの甘く囁くようなボーカルが聞けるバージョンの方が映えているように思われる。アルバム前の先行EPがリミックスのみ収録と焦らされるような作品だが、逆にこの後のアルバム自体への期待も高まる素晴らしいリミックス作品だ。



Check "Amp Fiddler"
| HOUSE13 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Junyamabe - Serenade EP (Junyamabe:jnymb-2)
Junyamabe - Serenade EP

元Mexicoというプロジェクトの時代から見ればベテランの域にいるJun Yamabeは、2001年に日本のテクノ黎明期のレーベルとして名を馳せるFrogman傘下のU.S.B.と言うハウスレーベルからデビューを果たしている。繊細な響きや素朴な雰囲気のダンストラックは熱狂的ではなく、どちらかと言えば部屋に篭って耳をしっとり傾けたくなる淡い情緒が広がるハウシーな音楽で、それは幻想の中に存在するロマンティックな風景画のような物だった。期待される日本の新鋭として注目している人は少なくなかったと思うが、00年代後半に入ると活動はほぼ見られなくなり、時折単発での新作や未発表曲をリリースする位で一線からは退いていたように見受けられる。が2015年の暮れ、突如として自身のレーベルであるJNYMBを立ち上げて『slowdowndown/slowslowdown』をリリースし復活の狼煙を上げた。それは過去の既発曲と未発表曲を纏めた内容で、今考えれば再出発の意思を込めた作品だったのかもしれない。そして本作へと繋がりここに於いては完全に新作となる3曲を収録しているが、これが今までよりも非常にダンサンブルで眼差しはフロアを向いているように思われる。しなやかで太く弾けるようなリズムトラックによって疾走感を得た"Sail Away"、しかしながら繊細で透けるような上モノや霧の中に消え行くようなか弱い電子音の響きを用い、これまでと変わらない淡い情緒も含んだ幻想のテック・ハウスはYamabeらしくもありフロアのエネルギーと言うか骨太さも獲得している。よりキックが太くベースが重い"Let's Show Them!"は疾走感よりも地に根を張った安定したグルーヴ感があり、美しいシンセのコード展開を用いてスムースな流れを作っている。厳寒の中で幻想的な雪景色を見せるような美しさを持っているのは"Hakuei (No One There)"か、カラッとした乾いたパーカッションが弾ける中にうっすらと耽美なピアノの調べやか細いウィスパーボイスが現れるロマンティックなこの曲は、初期Mexicoの繊細さと優しさに満ちた世界観を思い起こさせる。確かにフロアに適合した揺れるテック・ハウスであり、そしてまたMexicoらしい素朴な情緒も変わっておらず、過去の作品からアップデートして現在へと辿り着いたYamabeの音楽そのものだ。この勢いに乗ってアルバム制作もと期待せずにはいられない。



Check "Jun Yamabe"
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |