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So Inagawa - Airier EP (Cabaret Recordings:CABARET 014)
So Inagawa - Airier EP

dj masdaとSo Inagawaによって運営されるCabaret Recordingsは、配信は一切行わずにアナログのみのリリースにもかかわらず特にヨーロッパでは高い評価を獲得している日本のレーベルだ。今時のご時世に於いても早々と売り切れになりリプレスを重ねるなど、アナログのみという方針が上手く作用しているレーベルだと思う。そんなレーベルはディープ・ミニマルなInagawaの作品が当初は中心だったものの、レーベルは次第にエレクトロの復権を目指すかのように現代版エレクトロとでも呼ぶべき音楽性に移行し、更なる個性を獲得して今に至る。その間一切リリースが無かったInagawaとレーベルの音楽性の関係は気になっていたが、結局この新作でInagawaはInagawaとぶれる事はなく彼らしい音楽を披露し、やはりレーベルの中枢である事を示唆している。膨張するベースライン、ぼんやりと浮かび上がる優しいパッド、一定間隔に淡々と刻まれるハウシーな4つ打ちの"Airirer"は、無味乾燥とした雰囲気を見せつつも断片的で奥底に微かに聞こえるボイス・サンプルや幽玄なシンセのディレイが入る情緒的な流れもあり、実に慎ましく穏やかなミニマル・ハウスは華麗さを纏っている。すっきりとしながらもスムースに走り跳ねるようなグルーヴの"Petrichor"も、ミニマル的に収束する構成ながらも朧気で幻想的な上モノが舞いながら繊細な音響を発揮し、空間性を感じさせる無駄のないディープなハウスだ。一方で引き締まったエレクトロ的なリズムの感覚もある"Head Over The Clouds"は最近のCabaretらしさも何となく感じ取る事が可能で、チョップされたボイス・サンプルや引き締まったリズムはファンキー色が強いが、勿論Inagawaらしい幻想的な美しさに魅了される上モノのコードが慎ましくも豊かな色彩感覚をもたらしている。レーベルがエレクトロの方向を探る中で自身の道を貫くようにエレガントなミニマル・ハウスを提唱したInagawa、今後もこの路線を求道的に進んで欲しいと願うばかり。

Check So Inagawa
| HOUSE13 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Braccio D'Oco - Ata Zero : Baby Steps (Atavisme:ATA 00 BS)
Braccio DOco - Ata Zero : Baby Steps
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Pepe Bradock主宰のAtavismeから2017年にリリースされたBraccio D'Ocoなる正体不明のアーティストによる作品、実はBradock本人による変名活動である。コラージュらしい摩訶不思議なジャケットと同様に彼の音楽もコラージュ風に奇怪なサンプリングを用いて幻惑的なハウス・ミュージックの世界が広がっており、そのユニークな世界観は唯一無二である事に異論はないだろう。A面に収録された"Will Play A Song 4 U"からして既にその得体の知れない、もはやハウスともテクノとも呼べないような捻れた世界観のダンス・ミュージックは、確かにBradockにしか成しえないものだろう。ある程度明確なテッキーな上モノの反復はありながらも、不協和音のようなストリングスや不気味な効果音がそこかしこから浮かんでは消え、軽快なシャッフルするジャジー・グルーヴが淡々と走る捻れまくった世界。その尖ったユニークさはダンス性を損なう事もなく、リスニングとダンスの共存を成している事はBradockのセンスの賜物だろう。がB面は完全に捻れた方向性に振り切れた曲が収録されており、ここまで来るともはや爆発した芸術性のようなものさえ感じられる。"KM Zero"は全くビートの入らない構成だが、そのおかげで奇妙な電子音響やトリップ感のあるメロディーがより強く耳に響くコラージュ音楽で、DJとしてどう使えるのかは想像出来ないが宇宙の未知なる生命体と遭遇したような奇妙な邂逅だ。もはやタイトル自体が意味不明な"@#&$* Square Tones"は国籍不明なダンスビートを刻みつつチョップされたボイス・サンプルも配置して、そして曲の途中でビートや世界観も一気にガラッと変化する展開も繰り広げるなど、ナンセンス極まりないコラージュ・ダンスだ。そして比較的ダンスとしての体裁を残した"Pepe XXX"も、陽気でトリッピーな上モノを散らしながら不気味な呻き声や呟きが導入され、様々なネタを切り貼りする事で異次元空間へと迷い込ませるBradockの狂った音楽観が爆発。敢えてBradock名義ではなくBraccio D'Oco名義でのリリースという事で、普段よりも更に実験性は増しておりクラブ・ミュージックという枠組みを果敢に越えていく作品だ。



Check Pepe Bradock
| HOUSE13 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pablo Valentino - My Son's Smile (MCDE:MCDE 1215)
Pablo Valentino - My Sons Smile
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MCDE主宰、自身としてもCreative Swing Allianceの一員として活動しフランスのディープ・ハウスにおいて前線に位置するPablo Valentino。ジャズやファンクにディスコといった音楽を咀嚼して、実にエモーショナルなハウスを聞かせる音楽性は、だからこそMotor City Drum Ensembleと共鳴するのも納得だ。さて、ソロ名義では実に4年ぶりとなる新作は、EPのタイトルからも分かる通り彼の息子へと捧げられている。タイトル曲の"My Son's Smile"は正にレーベルの音楽性が発揮されており、優美でしとやかなフェンダー・ローズのメロディを用いつつディスコを思わせる効果音やファンキーなベースを挿入した味わいのあるディープ・ハウスになっているが、息子の笑い声もサンプリングに用いて雰囲気作りに一役買っている。一方で"Atlantic's Calling (One For Portugal)"はデトロイトのビートダウン・ハウスにも接近したスローモーで重心のどっしりした作風で、ざらついたビートが生々しさに繋がりつつも華麗なエレピがしっとりと情緒を付け加えていて、ゆっくりじわじわと染みるエモーショナル性がある。そしてざっくりとしたメロウなヒップ・ホップの"Good Ol' Days"においてもValentinoのエモーショナル性は際立っているが、これもジャズやファンクのみならず黒人音楽というものに対しての造詣があるからこそで、懐の深さは流石MCDEを主宰するだけある。またタイトル曲をSound Signature等でも活躍するNYのアーティストであるGe-Ologyが"My Son's Smile (Ge-ology 'Teach The Babies' Remix)"としてリミックスしているが、オリジナルのフェンダー・ローズから透明感のある綺麗なシンセに置き換え、またリズムは跳ねるような躍動感を獲得してオリジナルよりも綺麗で流麗なテック・ハウスへと変化し、素晴らしいリミックスを披露している。レーベルとしてのMCDEに期待している音楽性がここにはあり、やはりMotor City Drum EnsembleのみならずValentinoも要注目なアーティストである事を証明している。



Check Pablo Valentino
| HOUSE13 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Pierre - Wild Pitch : The Story (Get Physical Music:GPMCD174)
DJ Pierre - Wild Pitch : The Story
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RolandのAIRAシリーズの発売の影響も少なからずあるのだろうか、積極的に刷新された名機を用いて現代版とも言える音楽が生まれているアシッド・ハウスのムーブメントは、オリジネーターさえも刺激したに違いない。アシッド・ハウスの元祖である"Acid Tracks"を生み出したPhutureの一員であるDJ Pierreも、近年はPhuture名義でライブを積極的に行いオリジネーターとしての存在感を放っているが、その勢いに乗って遂にキャリア30年の中で初のソロアルバムを完成させた。レーベルの案内に従えばオリジナルとリミックス、そして新旧の曲を収録している事から完全なオリジナル・アルバムではないものの、DJ Pierreによるアシッド・ハウスの魅力は当然としてNY系のソウルフルなハウスまで網羅されており、正にタイトル通りにWild Pitchスタイルの物語を聞く事が出来る。最初にセットされているのはBlunted Dummiesによる1993年作をDJ Pierreがリミックスした"House For All (DJ Pierre Wild PiTcH Mix)"で、オリジナルのソウルフルな雰囲気をいじらずに音質をクリアにしながら、その意味ではモダンさも意識したNY系ハウスになっている。そしてDJ Pierreによる新作である"MuSiQ"も官能的に囁くような女性ボーカルと切ないエレピのメロディーを用いたソウルフルなハウスだが、それは彼が単にアシッド・ハウスの開拓者である事だけでなくハウス・ミュージックに対して求道者である事を示しており、アシッド・ハウス方面しか知らない人にとっては新鮮味もあるかもしれない。序盤はそのようにクラシカルである意味ではこてこての熱量高いハウス・ミュージックが多いが、中盤になると"My Warehouse (DJ Pierre's Wild Pitch Remix)"のように控えめなアシッド・サウンドとギラギラとしたメロディーを武器に、所謂DJ Pierreらしい不気味で妖艶なハウス性が現れてくる。シカゴ・ハウスのレジェンドであるMarshall Jeffersonとの共作である"House Music"も不気味な男性の呟きや暗いベースラインによる催眠的な効果があり、ドラッギーなシカゴ・ハウスにはベテランとしての貫禄も滲み出ている。面白いのはクラシックをアシッド解釈したカバーも手掛けており、メロウなガラージ・クラシックに陽気なアシッドも加えながらも原曲の雰囲気を忠実に守った"Thousand Finger Acid"、快楽的なシンセベースのシーケンスとアシッド・サウンドが絡んで多幸感を増した"I Feel Love (1979 Disco Club Mix)"と、普遍性を損なう事なくアシッドの魅力も盛り込んでいる。最後は1994年の名作"What Is House Muzik"をオリジナルのままに収録しているが、跳ねながらタフなリズムを刻むドラムと覚醒的でアシッディーなメロディー、エネルギーが溢れ出す勢いのあるグルーヴと堂々たるハウスのクラシック的な佇まいがあり、何だかんだでアルバムの中でこの曲が一番カッコイイのは少々悩ましくもある。しかし、アシッド・ハウスが再燃している中でのパイオニアによる初のアルバムと言うだけでも、十分に魅力的な作品である事に変わりはない。尚、アナログは一部の曲しか収録されていないため、本作は絶対にデータでの購入がお勧めである。



Check DJ Pierre

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| HOUSE13 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jun Kamoda - Misty Funk EP (Steel City Dance Discs:SCDD005)
Jun Kamoda - Misty Funk EP

2016年にMister Saturday Night Recordsからのリリースを皮切りにUKはブリストルのBlack Acreからも作品をリリースするなど、今注目を集めているJun Kamoda。またの名をイルリメと名乗る邦人アーティストは、そのイルリメ名義ではヒップ・ホップのラッパーとして、そしてTraks Boysのメンバーと組んだポップス・バンドである(((さらうんど)))の一員としても活動しているが、このJun Kodama名義ではハウス・ミュージックが基軸になっている。Jun Kamoda以前の活動は個人的な好みには合わず全く追っていなかったものの、Mister Saturday Nightからの本人名義でのデビューはそれまでフォローしていなかった当方にとってもサンプリング重視でファンキーながらもユニークなハウスが出てきたなという驚きがあり、それ以降は新作を聞きながら注視をしていた。そして現時点での最新作、こちらがオーストラリアの新興レーベルであるSteel City Dance Discsの第5弾とし2017年の終盤にリリースされたものだ。Jun Kamodaの音楽は例えばUSのソウルフルなハウスとも、欧州の洗練されてディープなハウスとも異なり、何処か遊び心さえも感じられるのはイルリメと同一人物である事が影響しているのは少なくないだろう。軽快に闊歩するような颯爽としたリズム、そしれ切り刻んだようなシンセのポップなメロディーが印象的な"Flaming Flamingo"は、トロピカルの陽気なムードや童心の無邪気さも感じられ、圧力のあるグルーヴやミニマルな構成に頼らない豊かな響きによって楽しませるトラックだ。よりざっくり生っぽいリズム感がファンキーさにも繋がっている"Misty Funk"にしても、嬉々としたポジティブな感覚が強く豊かな色彩を放つシンセが開放的に躍動し、ラフな響きも相まって手作り感のあるハウスは素朴ながらも生き生きとしている。裏面ではスネアのアタック感が強い"The Fine Line"において奇妙な電子音の響きと楽しげなメロディを交差させ、レトロなディスコ感を現在へと復刻させたようなポップな曲も。そしてそれをメルボルンのアーティストであるNite Fleitがリミックスした"The Fine Line (Nite Fleit Remix)"は、麻薬的なシンセベースのラインが暗く惑わせるエレクトロの味付けを行い、原曲とは逆方向に進んだような真夜中のダンス・トラックになっている。どれもこれもまさかイルリメの時には全く予想だに出来なかったユニークなハウス・ミュージックは、またこれもJun Kamodaの新たなる個性となるには間違いなく、新人ではないものの非常に面白いアーティストが出てきたなと思わせられる。



Check Jun Kamoda
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Japanese Boogie & Disco Volume 2 (Black Riot:JBVOL2)
Japanese Boogie & Disco Volume 2
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公式やブート含めディスコ・リエディットの熱が続くダンス・ミュージックの業界で、その中でも一際注目を集めているのは和物である事に異論はないだろう。外国人にとっては日本語という独特の響きが新鮮に聞こえる事もあるのだろうが、またディスコやポップスの色褪せない良質な音楽が日本にもあったおかげで、それらが国内外のDJ/アーティストによって手を加えて掘り起こされている。特に私もそうだが古い時代のジャパニーズ・ポップス等には造詣が無い者にとっては、リリースから数十年を経て現代へと蘇る曲は新鮮に聞こえるわけで、懐かしい響きと共に新しい出会いとなるこういった動きは歓迎したい。本作はYam Who?が運営するロンドンのBlack Riotからリリースされたリエディット集で、名目上は第二弾と謳ってはいるものの第一弾は存在しない。Yam Who?以外は比較的若手のアーティストが参加しているようだが、どれも元々の曲の魅力が十分なせいもあるのだろうがリエディットも強烈なディスコ作品となり、フロアを鮮やかに彩るダンス・グルーヴの機能も伴ったものになっている。大貫妙子の"Carnaval"をエディットした"Kannushi"は、強烈なシンセベースのシーケンスが加わっているのが特徴で、更に過激なフィルター使いで盛り上がる展開も誘い、これぞ現代版ニューディスコだ。松原みきによる熱量の高いファンクやソウルの要素を含んだ"One Way Street"は、ここではボーカルは最小限に用いられる事でミニマル・ディスコといった趣きに変化。スローで甘く誘うようなポップスの松任谷由美「影になって」のリエディットの"Tepumashin No Dabumikkusu #1"は、正に広がりのあるダブ・ミックスが施され、原曲のアンニュイなムードを活かしながらダブ感が心地良い。そしてCosmosによるブギー・フュージョンな"Midnight Shuffle"をYam Who?が手を加えた"Mono Drive"は、原曲からの大きな変化はないもののドラム等が芯の詰まった音質へと入れ替えられ、やや落ち着いて穏やかなムードが強くなっている。どれもDJが使用するにはうってつけなジャパニーズ・ディスコ盤であるが、リスニングの観点からも曲の良さに魅了されてオリジナル盤にも手を出したくなる魅力を持っている。尚当方はアナログ盤を購入したが、配信では14曲収録とそちらの方をお勧めしたい。

| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kuniyuki & Friends A Mix Out Session - Mixed Out (Soundofspeed:SOSR023)
Kuniyuki & Friends A Mix Out Session
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)

ここ数年、DJ NatureやVakulaにJimpsterなど著名なアーティストと積極的にコラボレーションを行い、プレイヤー/アーティストとしての手腕を発揮しているKuniyuki Takahashi。一連のシリーズとして続いたそのラストはロンドンの気鋭アーティストであるK15とのコレボレーションだが、K15と言えばWild Oatsからの作品を始めとしてオーガニックで情熱的な響きを打ち出してハウスのみならずブロークン・ビーツやダウンテンポやジャジーなものまで巧みに披露するアーティストで、そういった素養があるからこそKuniyukiとの共同作業は当然の如く相乗効果として働くに違いない。ここでは二人で制作した楽曲をそれぞれが解釈したバージョンで収録されているが、"Moving Minds (Kuniyuki Version)"はKuniyukiらしい人情味溢れる作風なのは当然としてフュージョンらしいの光沢のシンセが躍動し優美なエレピでしんみりムードを強めつつ、軽快ですっきりしたジャジーなマシン・ビート感で肉体を程良く揺らす。ジャズのスウィング感と呼んでも全く違和感はなく、Kuniyukiらしい熱き感情を誘発する作風が発揮されている。一方"Moving Minds (K15 Version)"も艶と温かみのあるシンセのメロディーで引っ張る点は変わらないが、全体的に慎ましくスピリチュアル性を増したモダン・フュージョンで、内面へと深く潜っていくような繊細なディープ性が際立っている。そして本作には過去にリリースされたJimpsterとの共作をTerre ThaemlitzことDJ Sprinklesがリミックスした"Kalima's Dance (Sprinkles' Deeperama)"が収録されているが、ある意味ではこれもリミックスという作業を通してのコラボレーションと解釈するのもありだろう。ジャズやファンクの要素に華麗な雰囲気もあった原曲から一転、DJ Sprinklesらしく無駄な脂を落としたつつ乾いたパーカッションも加えて枯れた侘び寂びの世界観を演出したディープ・ハウスは、全く派手な瞬間はないものの深い残響を活かしたアンビエント性によってしみじみと心に染み入る彼の作風へと生まれ変わっている。どれもアーティストの誠実さが伝わるような素晴らしい作品だが、特にDJ Sprinklesの枯れた中に存在する退廃的な美しさは圧巻だ。



Check Kuniyuki Takahashi & K15
| HOUSE13 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jouem - Episodes 5/8 - The Edict Of Restoration (Mojuba:mojuba jouem 5)
Jouem - Episodes 5/8 - The Edict Of Restoration

2012年に開始したJouemの「Episodes」シリーズも5年をかけてようやく5枚、つまり平均すると1年に1枚のペースなので合計8枚を予定している事から残りは3年。随分と長い時間をかけて完結に至るこのシリーズは、8枚のEPのジャケットを合わせると1枚のアートワークが完成するというコンセプチュアルな内容だ。手掛けているのはMojubaを代表するアーティストの一人であるSven Weisemannで、複数の名義を用いて活動している事もありこのシリーズとしては実に2年ぶり。少々時間は空いてしまったもののSvenらしい繊細な美しさや叙情性の強いムード、そして深いダビーな残響を活かした作風に変わりはなく、ダンスからリスニングまで作風はありながら深遠な世界を覗かせる。A面にまるまる収録された"Anomalous Diffusion"はテンポよく心地良い4つ打ちを刻むダンス・トラックではあるが、ぼやけた男性声のサンプリングや紫煙のように抽象的なアンビエントな上モノを用いて幻惑的な揺らぎを生みつつ、スモーキな音像の中に反復する電子音が道を指し示すようで、ヒプノティックな性質が強い。よりアンビエントなりディープな要素が強い"Kazumi Cycle"は湿り気を帯びながらも無感情に淡々とした4つ打ちがJouemらしく、底から浮かび上がってくるパッドは薄く薄く伸びていく中にひんやりとしたパルスも織り交ぜ、感情を排してアンビエントの霧の中を突き進む。隙間の目立つ緩やかなブレイク・ビーツを刻む"Contagion"は異色さに面白さを感じるが、悲壮感漂う繊細なピアノの美しさや変則リズムから広がっていく残響が奥深さへと繋がっており、ダブ・テクノの深遠さを特に物語っている。毎度の事ではあるがこの幻想が広がる残響の中に情緒性も交えたWeisemannの作風は、その強い個性が故に逆にレーベルに対してのイメージも植え付ける程で、Mojubaを代表すると言っても過言ではない。とアーティストとして非常に才能があるにもかかわらず、ここ何年も来日が無いのは至極残念である…と思っていたところ、当記事執筆中に来日が決定したようだ。



Check Sven Weisemann
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Norm Talley - Norm-A-Lize (FXHE Records:FXHE NT#1000)
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作曲家としてデビューは1997年と決して彼の周辺のアーティストに比べると早くはないため知名度では及ばないものの、80年代からDJとして活動をしているデトロイトの古参の一人であるNorm Talley。2000年代に入ってからはビートダウン・ハウスの盛り上がりの中でDelano SmithやMike Clarkと組んだThe Beatdown Brothersなる活動等で注目を集め、特に2010年以降は積極的に楽曲制作を行いミニマルな機能性からソウルフルな感情まで持ち込んだハウスをリリースし、停滞するデトロイト勢の中でも息巻いている一人だ。さて、デビューから20年を経て初めてリリースされたアルバムは、同じくデトロイトのOmar Sが主宰するFXHE Recordsからだ。レーベルとしては粗い音質のロウ・ハウスから感情性を込めたビートダウン・ハウスにディスコ・サンプリングなモノまで扱っているが、このアルバムにはそれらの要素がみな詰まっていて、そして何よりも長いキャリアを経てリリースされただけに円熟味なり安定感を含んだ完成度だ。アルバムの始まりは恐らくサンプリングを用いたであろう"Get It Right"で、凛とした輝きのあるピアノコードや女性のボーカルに引っ張られるディスコ・ハウスでファンキーだ。続く"Seneca St. Gruv"は鋭いハイハットが切り込んできて機能的なミニマル性もあるハウスだが、しっとりエモーショナルなシンセのコードがいかにもデトロイトらしい。そして底からもりもりと盛り上がってくるようなビートダウン風な"Dub Station"は、そこまでは遅く粘性のあるスタイルではないものの反復する上モノの覚醒感で深みにはまる。ディスコ・ハウス路線が爆発した"Alright"はアルバムの中でも特に耳を惹き付ける曲で、同郷のL'Reneeをフィーチャーしてファンキーな歌を聞かせつつ図太いキックの4つ打ちやサンプリングによる金属的な上モノの派手な響きもあり、肉体は激しく揺さぶられる。かと思えばざらついたフィルター処理で訝しい黒さに染まるビートダウン・ハウスの"No Need 2 B"、デトロイト・テクノのハイテックな感覚を持ち込んだ疾走感のあるテクノの"Cause I Believe"、アルバム中最も激しくひしゃげたようなリズムを刻むテクノともディスコ・ハウスともとれる強烈なダンス・トラックの"The Body"、そしてリズム重視でひんやりとした温度感のミニマル・テクノな"The Rise"と、様々な曲調が収められた本作は長いキャリアに於ける集大成と捉えられるだろう。決して作品として纏まりが無いようには全く感じる事はなく、色々な要素は確かにありつつもそれもデトロイトのアーティストが実践しているものであり、長年の経験に裏打ちされた音楽性がここに集約されているのだ。



Check Norm Talley
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Walter Jones - Instant Gratification (Whiskey Pickle:WPW002)
Walter Jones - Instant Gratification

デトロイトにも同姓同名のアーティストがいるので紛らわしいが、こちらはニューオリンズ出身のWalter Jonesによる2017年作。2003年にWestbound Musicから初リリースしたのをきっかけに、それ以降もCisco InternationalやDFAにPermanent Vacation等から数える程の僅かな作品数ではあるもののリリースしており、コズミックなシンセ使いで煌めくようなディスコ〜バレアリックなハウスが彼の個性として定着している。本作はアナログでは3年ぶりとなる新作ではあるが、おおよそ作品的には大きな変化は無くファンの期待に沿った内容だ。流麗なシンセのコードと星の煌めきのような電子音を散りばめた"Razzamatazz"は特に彼らしさが感じられるオールド・スクールなハウスで、その哀愁のある世界観や安定して落ち着いた4つ打ちのリズムからはややディスコティックな雰囲気もあり、大きな揺さぶりは無いがすっと肌に馴染むエモーショナル性が心地良い。対照的にダーティーで暗めのシンセベースが浮かび上がる"Harmonic Urgency"は、更に捻れたようなアシッド・サウンドも加わって次元を歪めるようなサイケデリアがあり、中毒的なディープ・ハウスになっている。作品中最も弾けて躍動するグルーヴが感じられる"The Grinder"では爽快なシンセをコード展開しつつディスコティックな眩い煌きが現れ、そしてラストの"Making Love"ではビートは入らず鳥の囀りやスポークンワードから始まり壮大なシンセによるアンビエント的な展開が素晴らしく、どの曲に於いてもやはり輝きを含んだシンセ使いによる装飾が映えている。斬新性や革新的ではなくクラシカルなハウス性だからこそ質が重視され、耳を惹き付けるそのメロディーセンスは確かなものだ。なればこそ、その構成力は是非ともアルバムでと期待してしまう。



Check Walter Jones
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |