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Saint Paul - Escape From Dimension EP (Moonrise Hill Material:MHM011)
Saint Paul - Escape From Dimension EP
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2015年にフランスはリヨンに設立されたMoonrise Hill Materialは、今や人気アーティストとなったFolamourを始めとして複数のアーティストによって立ち上げられたハウス系新興レーベルだが、その運営の一人がSaint Paulだ。Paul自身は2017年に同レーベルからアーティストデビューし、ここ3年程精力的に作品をリリースしフランスの新興勢力として名を挙げているが、本作は2019年の中頃にリリースされたEPだ。レーベルインフォではファンクやジャズ、ソウルにヒップホップ、そしてハウスミュージックを混合して、Paulの多様な音楽に影響を受けた結果が反映されているとの事だが、実際に5曲それぞれに異なるジャンルの要素が込められており、それらが小手先にならずに自分にしっかりと馴染ませた感がある点は評価すべきだろう。"I Really Wanna Get To You"はファンキーに弾けるベースとディスコ・サンプリング的な上モノを用いつつ、優美でソウルフルな歌も加わって光が溢れ出すような煌めくディスコ・ハウスで陽気な雰囲気に盛り上がらずにはいられない。"Funky Cruisin'"は透明感のある薄いシンセコードに流麗な笛の旋律が被さり情緒豊かに展開するが、下部では生音強めでジャジーなリズムがしなやかに走り、EPの中では特にエレガンスな一曲。"Body & Soul"も同様に緩やかに揺れるジャジー・グルーヴを刻みつつ、熱き感情を吐露する歌と耽美で繊細なエレピやストリングスが湿っぽく装飾し、ソウル×ジャズ×ハウスで色っぽささえもある。そして海鳥の鳴き声や波の引いては寄せる音から始まる"Pecheur de la Lagune"はそこから澄んだ上モノの爽快な音や軽快で心地好い4つ打ちによる90年代風というか古典的なハウスを聞かせ、最後はぐっとテンポを落としてヒップ・ホップなねっとりしたリズムを刻み、華麗なエレピや笛のサンプリングによって甘ささえも感じさせるメロウな"Smooth Wit Da Ruffness"で閉幕。これだけの説明だと何だかとっ散らかった印象を受けてしまうかもしれないが、実際に聞いてみると何ら違和感はなく味わいのあるメロウな世界観で自然と統一されており、リスニングに耐えうる楽曲性は今後アルバムという形で聞いてみたくなる。



Check Saint Paul
| HOUSE14 | 21:00 | comments(0) | - | |
E. Live - Boogie For Life (Star Creature:SC1223)
E. Live - Boogie For Life

2019年のGiovanni DamicoやLiquid Pegasusによる色彩豊かな感覚に満たされるシンセ・ファンク〜ブギーなアルバムが素晴らしく、レーベルの音楽性に魅了させられたのがシカゴのStar Creatureだ。2016年頃に設立されたまだ新興レーベルのようだが、ブギーやディスコにファンクやR&Bといった音楽を纏め上げモダンに聞かせる過去から未来への視点を持っており、キラキラとした都会的な感覚が特徴だ。そんなレーベルの新作がEli HurwitzことE. Liveによるミニアルバムで、レーベルを代表するアーティストの一人だけあって前述のレーベルの音楽性を象徴していると言っても過言ではない程に、本作のライブ感溢れるシンセバリバリでファンキー&ブギーな作風はポップさ弾けて爽快な風が吹き込み楽天的な太陽の光が射すようだ。アルバムジャケットのポップな色使い、そして都会のビル群とビンテージシンセを題材した内容からしてもう完全にシンセ・ファンクが想像され、聞く前から何処となく心がウキウキしてこないだろうか。タイトル曲からして素晴らしく、シャキシャキとしたドラムに合わせて透明感のあるスペーシーなシンセとキレのあるギターカッティングがファンキーなビートを叩き出す"Boogie For Life"、懐メロのような心に染みる複数の音色のシンセが代わる代わる登場し、これでもかとメロウに展開するブギーな幕開け。からっと乾いたパーカッションが空に向かって響く涼し気な"Sunny Side Up"は、流麗なピアノコードや生音強めにうねるベースから始まり、中盤では光沢感のあるシンセがキラキラと眩しいように響いて、ライブ感溢れるジャズ・ファンクと呼べかよいか。ずんずんとノリの良い4つ打ちのドラムがディスコ風な"Rolling Steady"は、ここでもエレクトロニックな響きの複数のシンセがお互いを刺激するように盛り上げているが、ポップでスペーシーな感覚に満ちたシンセの響きは憂いと共に儚くもある。"Brazao"はブラジル音楽を意識したようでチャカポコとしたパーカッションのリズムが前面に出ており、そこに艶めかしいベースやギターカッティングを被せて腰にくるファンキーさを出しつつ、そしてやはり分厚く煌びやかシンセのうねるメロディーが郷愁を誘う。扱っているジャンルとしては古典的というか新しさは無いのだろうが、しかしそんな音楽に全く古さを感じさせない澄んで綺麗な音の聞かせ方やこれ以上ない位にエモーショナル性の強い旋律やコードの表現など、古い音楽を咀嚼した上でモダンに昇華している点が素晴らしい。僅か6曲のミニアルバムだが、しかしそこには近未来のモダンブギーが詰まっている。



Check E.Live
| HOUSE14 | 07:30 | comments(0) | - | |
改良湯
改良湯1

都内では連日のように古くからある銭湯が廃業しており、銭湯文化も先細り感が否めないものの、しかし中にはリニューアルをする事によって新たな魅力を携えて、新たな客層を獲得する事も最近は珍しくない。今回紹介する改良湯もその一つで、渋谷駅と恵比寿駅の両者の中間にあり決して交通の便が良いわけではないが、創業100年を超える老舗が2018年12月に新装開店する事により、今では20〜30代の客も来るようになったようだ。銭湯の一般的なイメージは煙突だったり破風屋根だったりするが、改良湯はご覧の通り住宅街の中に建っているビルの中に存在する。ビルの側面には鯨の大きな壁画が描かれており一見銭湯らしくないものの、こういったアートもこれからの銭湯の形になっていくのではないだろうか。
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| FOOD,TRAVEL,HOT SPRING,ETC4 | 18:30 | comments(0) | - | |
Edward - Underwater Jams (DFA:DFA2618)
Edward - Underwater Jams
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古くはWhiteの主力アーティストとして、その後はGieglingでもレーベルを代表する繊細な音響美を追求するディープ・ハウスの音楽性で注目を集め続けるEdwardが、2019年には意外にもニューヨークのパンキッシュなダンスレーベルであるDFAからEPをリリースしている。正直言ってしまうとDFAの音楽性との関連性は殆ど感じられず、実際にこのEPにおいても繊細な音響を大切にしたEdward節というか、2017年のEP『Giigoog』(過去レビュー)の路線を踏襲してポリリズム感のある土着ミニマル・ハウスで緻密な構成を組み上げ、ダンストラックとしての機能性を得ながらも非常にアーティスティックな作風を披露している。どちらもパーカッショニストのGeronimo Dehlerをフィーチャーする事でいつもより即興的なライブ感が活きているが、"The Lagoon"は揺蕩うような緩いグルーヴが流れる上にカラッと乾いたパーカッションが大地の芳香を漂わせており、そこにモジュラーシンセや奇妙な電子音を配しながら自由気ままに旅するかのように展開する。定形の無い電子音の使い方はジャーマン・プログレかニューエイジかのようにエクスペリメンタルな要素を含んで、勢いではなく雰囲気によってトリップ感を生み出していて、得も言われぬ酩酊感が11分にも渡って持続する。15分にも及ぶ"Mental Dive"は勢いのあるダンストラックになっており、同様にアフリカンで土着的なパーカッションがライブ感溢れるグルーヴを刻みつつ不気味なうめき声がより怪しさを増長し、中盤には怒涛のアフロ・トライバルなパーカッション乱れ打ちな時間帯もあって、終始生々しく胎動するリズムに引っ張られるこの曲は深い密林奥地の儀式のようだ。どちらも不規則なパーカッションが非常に印象的な響きとなって曲と特徴付けており、Edwardの曲の中では異色作ではあるものの、個性が尖りながらもフロアに直結した作風でDJ仕様として抜群であろう。



Check Edward
| HOUSE14 | 18:30 | comments(0) | - | |
John Beltran - The EP's & Singles Vol.1 (Blue Arts Music:BAMCD007)
John Beltran - The EPs & Singles Vol.1
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所謂ベテラン達が新作をなかなかリリースしない事もあり業界的にはかつての求心力を失いつつあるテクノの聖地とまで呼ばれたデトロイトだが、だからといってデトロイト・テクノの魅力が失われたわけでもなく、例えばここ日本は福岡のレーベルであるBlue Arts Musicはその音楽の復権を後押しするように、積極的にデトロイトに関連する音楽のリリースをしている。2019年の上半期にはデトロイト第二世代の中でも特に美しいアンビエント性を武器とするJohn Beltranのアルバム『Hallo Androiden』(過去レビュー)をリリースし、そのアーティストにとっても第二の春を迎える如く素晴らしい音楽を知らしめたが、2019年末もレーベルの勢い止まずBeltranのコンピレーション・アルバムをリリースしている。00年代初期から2019年のEP、またはコンピレーション・アルバムからの曲を集めたタイトル通りの内容で、その間にはややオーガニックな路線へ向かったり迷走していた感も無かったわけではないが、ここでは比較的フロアに根ざしたビートを刻むテクノ寄りの曲を纏めており、その意味では初期の幻想的なアンビエントとしなやかなリズムを刻むテクノが一体となった彼の十八番とも呼べる作風が発揮されている。冒頭の"Israel"は2016年作、全盛期の作風が戻ってきた頃の曲で、ざくざくとやや生っぽいリズムは刻むもののダンスフロアに根ざしており、そこにぼやけた水彩画の色彩のような幻想的なパッドを重ねて、アンビエンスな感覚もある叙情的というかエモーショナル性で包み込んでいくドラマティックな曲だ。続く"Norita"も同じように滲んだようなシンセや美しいストリングスを用いているが、チャカポコした抜けの良いパーカッションが爽快なビートを叩き出し、一時期Beltranが傾倒していたラテンな感覚もある。Indioでリリースされた"Winter Long"は爽快なラテン・パーカッションとブレイク・ビーツ風のリズムが力強く躍動するダンス・トラックだが、そこに物哀しいメロディーが加わってくると途端に情緒的なアンビエント性も出てくるなど、このダンスとリスニングのバランス感覚は流石だろう。"Safardic"も跳ねるような4つ打ちを終始刻みつつ夢のような幻想的な上モノで覆い尽くして甘い世界観のテクノながらも、中盤のブレイクを挟んでからはデトロイト・テクノお約束のシンセストリングスの感情的な旋律が浮かび上がり、これでもかと切ない心情を刺激するエモーショナル過ぎる一曲だ。流石にEP等から選りすぐりの曲が纏められているだけあり、捨て曲は皆無でこれ以上ない位にBeltranの素朴でセンチメンタルなテクノ×アンビエントを体験出来るアルバムとなっており、まだBeltranを見知らぬ人にとっても是非ともとお薦め出来るアルバムだ。

Check John Beltran
| TECHNO14 | 21:30 | comments(0) | - | |