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Bell Towers - My Body is a Temple (Unknown To The Unknown:UTTU 090)
Bell Towers - My Body is a Temple
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元々のお目当てはオーストラリアはメルボルンを代表するまでのアーティストとして評価を獲得しているAndras FoxことAndrew Wilsonのリミックスで気になっていたのだが、話題のDJ Hausが主宰しているUnknown To The Unknownの新作であり、そして本作を手掛けているBell Towersの作品自体も面白いダンス・トラックなので是非紹介したい。Towersは現在はベルリンで活動しているもののAndrasと同じくメルボルン出身だそうで、過去の作品を聞く限りでは快楽的なイタロ・ディスコや肉体感溢れるエレクトロニック・ボディ・ミュージックの音楽性が強く、一歩間違えれば今ではダサいと認定されるスレスレを行くような印象を受ける。本作もやはりその路線と言うべきか、しかし"My Body Is A Temple"のブイブイとした魅惑的なベースラインと辿々しい質素なキックが疾走りイケイケなグルーヴを生み出すこの曲はダサくもハイエナジー、そして何か無機質でしゃがれたような歌い方はEBMのそれである。しかし、薄っすらと浮かび上がってくる叙情的なパッドが入ってくる瞬間はぐっとエモーショナルな雰囲気に変化したりと、けばけばしく快楽的なイタロ・ディスコの中にもコズミックな感覚があるというか。似たようなタイトルをした"My Body Is A Tempo"は別バージョンと思われ、よりニューウェーブやEBMを意識したように音の隙間が目立ちながらよりリズムは重厚で攻撃的、ノイズや電子音を用いたダンサンブルなグルーヴなのに汗臭ささえも感じられるような肉体感に迫力が感じられる。そして注目すべきはAndrasによる"My Body Is A Tempo (Andras Remix)"、様々なスタイルや表情を持つAndrasがここではダンスの機能性に磨きを掛けており、原曲を研磨したように滑らかなキックに差し替えつつ上モノの動きも抑え目にミニマルな流れを生み出し、そしてキックが消えた瞬間に現れるアンビエント感溢れるメロディーのブレイクでぐっと情感を高める流れはドラマティック。Andrasによるリミックスはイタロな雰囲気もありながらよりモダンに洗練されており、こちらは硬派なテクノセットの中に組み込んでも違和感は無い出来だ。勿論Towersの野暮ったいディスコな作風も愛着があり、収録曲全てそれぞれ魅力的である。



Check Bell Towers
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Waajeed ft. Ideeyah - Strength EP (Dirt Tech Reck:DTR14)
Waajeed ft. Ideeyah - Strength EP

かのJ Dillaもメンバーであったデトロイトのヒップ・ホップ集団であるSlum Villageの元メンバー、そんな肩書きを持つRobert O'BryantことWaajeedはヒップ・ホップを嗜む人にとっては知っていて当然の存在なのだろうが、そうでない当方にとっては馴染みは薄い。しかし近年Sound SignatureやPlanet Eといったデトロイトの大御所レーベルからのリリースやAmp Fiddlerへのリミックスの提供もあり、ハウス・ミュージックの方面からも目に付くようになっていたが、自身が主宰するDirt Tech Reckからのこの作品を聞いてWaajeedはハウスへと傾倒している事を確信している。本作はリリースされたばかりの『From The Dirt LP』の先行EPだが、特筆すべきは同じデトロイトから新世代として頭角を現しているJay DanielやUR一派のJon Dixonをリミキサーに起用している事で、もしWaajeedを知らない人にも興味を抱かせるような人選となっている。勿論オリジナルの曲もソウルフルなハウスとして素晴らしく、Ideeyahの優しく包容するような感情豊かな歌、そしてカラッと乾いたパーカッションが爽快に響き優美なピアノのコード展開やコズミックな電子音が飛び交う"Strength (Original Mix)は、じんわりと低温状態から温まっていくような渋い流れがある。そしてWaajeedによるもう一つのバージョンである"Strength (Waajeed’s String Mix)"は同様に抜けの良いパーカッションが爽快に弾けながらより強い4つ打ちで疾走し、エモーショナルなシンセストリングスが躍動的に展開するややゴージャスな作風で、デトロイト・ハウスのポジティブな方面に属す希望を高らかに歌い上げる曲だ。面白いリミックスとなったのは"Strength (Jay Daniel Remix)"で、エッジの効いた硬いヒップ・ホップのリズムへと塗り替えつつそこにデトロイトらしい叙情性のあるパッドを配し、フュージョン風な煌めくシンセの旋律で豊かな味付けを加えている。最もデトロイト・ハウスらしい雰囲気があるのは"Strength (Jon Dixon Remix)"で、オリジナルの作風を大きくいじる事はせずにリズムをややかっちりと硬く強調し、そしてドラマティックな展開を生むデトロイトよろしくなシンセストリングスを用いて壮大にポジティブな光で包み込んでいく作風は、正にUR一派らしいHi-tech Jazzの延長線上といった作風だ。デトロイト好きにとっては堪らないリミキサーの起用でそれぞれが期待通りのリミックスを披露しているが、オリジナルの2曲もアルバムへの布石という点で十分に聴き応えがあり、Waajeedのハウス・ミュージックの方面での評価を上げる事は間違いないだろう。



Check Waajeed
| HOUSE13 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steven Legget - Bathhouse (Firecracker Recordings:FIREC024)
Steven Legget - Bathhouse

UKはエジンバラのミステリーレーベルであるFirecracker Recordingsから、また気になるアルバムがリリースされている。手掛けているのはSteven Leggetなるアーティストで、この名義での作品は殆ど無いものの過去にはFour HandsというユニットでClaremont 56から幻想のアンビエントを、また2017年にはArtwhoreというユニットでもノイズ混じりのドローン中心なアルバムをリリースしていたりと、過去作からはアンビエントやレフトフィールドな音楽性を持ったアーティストである事を伺える。Firecracker自体もテクノ/ハウスの型に嵌まる事なくフィールド・レコーディングも用いた辺境的な音楽性もある事から、レーベルとLeggetとを結び付ける共通項は十分にありこの度アルバムのリリースに至ったのも自然な流れなのだろう。本作は嘘か真かUKのトルコ式バスで演奏された音源を元にしているそうだが、アルバムのオープニングである"Siga-Siga"は引いては寄せる波の音や虫の鳴き声などのフィールド・レコーディングの環境音で構成された短い曲で、そこから途切れる事なく重厚で美しいチェロやぼんやりとした電子音のドローンによるサウンド・トラック的な"Forte"へと続き、深く深く心の中を潜っていくようにイマジネーション溢れる大らかな世界観。森の中に居るような微かな鳥の鳴き声の環境音の中から、落ち着きのある静謐な弦楽器のメロディーが浮かび上がる"Low"も、ミステリアスな雰囲気はありながらも楽園的な優美な美意識があり、安堵の時間を与えてくれる。そしてしとしとした雨音の中でやはり弦楽器がドローン的に用いられる陰鬱な"Still"、そこから途切れずに繋がる"Swivel"では一転して微かな生物の営みの音をバックに凛とした気品のある弦楽器が軽やかに躍動し陽の中に戻って行く。アルバムの後半はどちらかというと電子音の性質が強いか、"Golden"では繊細なピアノの点描をバックに神秘的な電子音の効果音や薄いドローンが貼られ静謐な佇まいがあり、眠気を誘うような心地好い電子音の流体的なドローンでアンビエント性を鳴らす"River"や、遠くでフィールド・レコーディングが鳴りつつハートビート風な4つ打ちを刻みながら不鮮明なガスが満ちるようなドローンで覆われる"November"と、そこら辺はダンス・ミュージックの音楽性にやや接近している。とは言っても全編通して享楽的なダンス・ミュージックとは無縁で、景色を喚起させるような正に想像力を働かせるサウンド・スケープといった趣きで、現代音楽や電子音響等のエクスペリメンタル・ミュージックとしての範疇だろう。



Check Steven Legget
| ETC4 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Ostati (Organic Analogue Records:OA 008)
HVL - Ostati

2013年頃からリリースを開始し、特に深い音響ディープ・ハウスを得意とするRough House Rosieの中心的アーティストとして頭角を現した東ヨーロッパはジョージアのGigi JikiaことHVLが、待ちに待ったキャリア初のアルバムを完成させた。活動初期からの不鮮明な音像の中から現れるアンビエント性を含む作風から、近年はKiyadama名義でのTB/TR系の音質を打ち出したオールド・スクールなアシッド・ハウスまで手を広げているが、そのどれもが空間性を感じさせる音響の美意識が通底しており、正にディープという表現が相応しいテクノ/ハウスの現在形のアーティストである。今までにリリースされたEPはどれも評判となっておりその才能は疑うべくもないが、このアルバム『Ostati』とは彼の生まれ故郷であるジョージア語では「自分たちの技術を習得した人」を意味するそうで、つまり自身の音楽の芸術的な面での完成をこのアルバムで成したと言う意味も込められていると当方は解釈する。ノンビートの状態に朧気で不鮮明なドローンの中から90年代レイヴ風なブレイク・ビーツが差し込んできて、幕開けに相応しくじわじわと高揚感を作っていく"Shesavali"で始まり、続く"Sallow Myth"では早速快楽的なアシッドが牙を向きヒプノティックな効果音が飛び交うトリップ感の強い世界を展開するが、それも途中から幽玄なパッドが入ってくるとうっすら情緒も帯びて洗練されたディープなテクノを形成する。続く"Daisi"はTR系の乾いて安っぽいリズムがころころと転がるように刻みオールド・スクール感がありながらも軽快に走るが、逆に"Under Libra"は鈍く蠢くアシッド・ベースを用いながらも弾力のあるドラムや軽い残響の効果によって地から足が離れるような浮遊感のあるダブ・ハウスを展開する。また"Askinkila"のチージーな音質で鋭く切り込んでくる厳ついビートはデトロイト・エレクトロの系譜だが、そこに続く"Sinister Sea"は全くビートが無く暗い闇底で朧気なノイズが歪むダーク・アンビエントになるなど、アルバムの中でも各曲がそれぞれ音楽的個性を持ってバラエティーは豊かだ。ラスト2曲は特にパーティー向けの盛り上がる曲で、アシッド・トランス気味な享楽的な雰囲気と流麗で荘厳なパッドの伸びやかな広がりが交じる"Futuro"から、浮遊感のあるパッドに覆われながら疾走する4つ打ちのテック・ハウス気味な"When Rivers Flow"はコズミックなメロディーも展開しながらエモーショナルなフロアの高揚感の中で鳴っているようだ。アルバムは今までのEPから更に拡張を成し遂げながらも、しかしHVLらしい夢幻のアンビエント性や隙間を活かしたディープな空間の構成から成り立っており、高い期待をも超えてきた素晴らしい完成度だ。アナログ販売に拘りを持つOrganic Analogueも当初はそれのみのリリースだったが、販売と同時に即座に完売してしまった本作への反響の大きさ故かBandcampでの配信へと至った事が、それだけの充実した内容である事を証明している。



Check HVL
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jonny Nash / Lindsay Todd - Fauna Mapping (Island Of The Gods:IOTG003)
Jonny Nash Lindsay Todd - Fauna Mapping
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)

ニューエイジの再評価が著しい昨今の中で、その要素の一つであるスピリチュアルな癒やしを体現する作品がリリース。リリース元はインドネシアはバリの新興レーベルであるIsland Of The Godsからで、「Island Explorer Series」ともう安直以上の何物でもないシリーズ(レーベル名もだが)の一環となっているが、それを手掛けているのが現行バレアリックを代表するMelody As Truthを主宰しMusic From Memory等からも作品をリリースするJonny Nash、そしてエジンバラの秘境レーベルであるFirecrackerを運営するLindsay Toddの二人だ。そんな二人が揃えば当然現実から逃避したミステリアスな辺境音楽が繰り広げられるのも自然な事だが、その上本作は2016年12月にバリにてセッションを行い録音されたと言う内容で、その島に息衝く生命の響きも含まれるフィールド・レコーディングを用いてこの上ないニューエイジを展開している。アルバムは便宜上各曲はタイトルは分けられているが基本的には一つの連なりとして聞ける持続性があり、バリという島の秘境めいたエキゾチック性が続く。原始的な打楽器の訝しい響きや水しぶきらしき音の静かな胎動から始まり神々しい電子音が入ってくると、途端にスピリチュアル性を増す"The Gecko That Wore Its Skin Inside Out"で開始し、土臭いパーカッションや不思議な木製の打楽器の響きが絡み合い未開の森の中を彷徨う"Dengue"、深い残響のダブ・パーカッションが広がって大気が振動するような"Pigeon"と、バリ島とは言っても観光向けのバカンスな海ではなく人の手が入っていないような生命力に溢れた緑が茂る森のムードだ。フィールド・レコーディングや電子音や交えてごちゃごちゃと音が混沌とした"Fauna Mapping"は、その不鮮明な音像の中から生命の胎動にも似た動きが感じられるだろう。そして沼地を歩くズブズブとした環境音で臨場感を生む"Petrol & Nag Champa"を通過し、桃源郷へと辿り着いたのか美しいパッドが伸びる夢現なアンビエント"Kokokan (Heaven Herons Of Petulu)"に安堵する。しかしそこから不思議な民族系打楽器や笛の音色に環境音が気分を高揚させる"Pipe To Pipe Bushment"でビート感を獲得し、宗教的なガムランと鳥や蛙の鳴き声による"A Series Of Small Frogs"で深い瞑想へと誘われ、最後の"Mushroom Omelette"ではオーガニックな響きと合わさった牧歌的な電子音のドローンによって内面を探るアンビエントへと振り切れる。フィールド・レコーディングを大量に用いた事で神秘的な森の中の生命力がリアルに迫ってくるような臨場感が生まれ、そしてその大自然の中で心の平穏へと行き着くヒーリング性を兼ね備え、バリ島に行った事の無い当方にとってもその風景を換気させていっときの現実逃避となるようだ。ある意味、極楽浄土が広がる霊的サウンド・スケープでもある。



Check Jonny Nash & Lindsay Todd
| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |