CALENDAR
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>
RECOMMEND
NEWWAVE PROJECT (日本先行発売)
NEWWAVE PROJECT (日本先行発売) (JUGEMレビュー »)
KUNIYUKI TAKAHASHI
タカハシクニユキによるニュープロジェクト、その名もニューウェーブをコンセプトにしたアルバム。6/14リリース!
RECOMMEND
COSMIC SOUL ORIGINAL SOUNDTRACK
COSMIC SOUL ORIGINAL SOUNDTRACK (JUGEMレビュー »)
KAITO A.K.A. HIROSHI WATANABE
アート・コラボDVD「COSMIC SOUL」からワタナベヒロシによる音源のみがCD化。ボーナストラックも追加。6/14リリース!
RECOMMEND
3 [12 inch Analog]
3 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
Kraftwerk
クラフトワークの3-Dライブの8タイトルがアナログ化で8枚組。全てダウンロードコード付き。6/9リリース!
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
The Singles [帯解説・歌詞対訳 / HQCD(高音質CD)仕様 / 国内盤] (TRCP214)
The Singles [帯解説・歌詞対訳 / HQCD(高音質CD)仕様 / 国内盤] (TRCP214) (JUGEMレビュー »)
CAN,カン
クラウト・ロックのCanによるシングルズコレクションが完成。Can未体験の人にはうってつけ。テクノ好きにも?6/16リリース!
RECOMMEND
20 Years Citrus Mellowdies(初回限定盤3CD BOX)
20 Years Citrus Mellowdies(初回限定盤3CD BOX) (JUGEMレビュー »)
farr
ジャジー、アンビエント、バレアリック、揺蕩うような儚い音楽を紡いできたCalmによる集大成的ベスト盤が3枚組で登場。3枚目はMIXCD仕様。5/24リリース!
RECOMMEND
Michael Mayer DJ
Michael Mayer DJ (JUGEMレビュー »)
Michael Mayer
DJ KicksシリーズにMichael Mayerが登場。5/19リリース!
RECOMMEND
RECOMMEND
NARKOPOP
NARKOPOP (JUGEMレビュー »)
GAS,Wolfgang Voigt
Mike InkことWolfgang VoigtことGasによる久しぶりのアルバムが登場。霧靄に包まれた音響アンビエントは変わらず。4/21リリース!
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
FP-Oner - 6 (Mule Musiq:MUSIQ 055CD)
FP-Oner - 6
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
自ら主宰するSoul People Musicからは自身の作品のみならず才能ある新鋭の作品をも送り出し、また自身はAnomalyやBlack Jazz Consortiumなど多数の名義を用いてエモーショナルかつハイテックなディープ・ハウス〜テクノを量産し、今やUSハウスシーンのトップにまで上り詰めたFred P.。2015年には新たなる名義であるFP-Onerの新シリーズの門出となる『5』(過去レビュー)を制作し、Fred P.の特徴でもある幻想的なアンビエンス感をふんだんに取り込んだ情緒的なディープ・ハウスを聞かせ、ダンスとリスニングの釣り合いが取れた絶妙なアルバムを披露した。それから一年、続編となる本作もやはり一連のシリーズであるからして、音楽性に目を見張るような変化は見られない。だからこそだろう、自身の揺るぎない音楽性が確立されているが故の安定感があり、アルバムの始まりである"Awakening Co Creator"は朝靄の中にいるような微睡みのアンビエンスが通底するディープ・ハウスで、穏やかな情景が目の前に広がるようだ。続くのは爽快さ抜群のパーカッションが刻む中を豊かな音色が発色するパッドが突き抜ける"Kundalini Rising"で、一気にスピード感を増したテック・ハウス気味の世界へと進む。中盤にもアフロなパーカッションやうねるようなベースラインが耳を惹き付けつつ、しかし幻惑的なシンセがアンビエンス感を纏った"New Life Form"や、芯のあるキックが正確な4つ打ちを刻み地底から情緒ある芳香が湧き立つようにパッドが迫り上がってくる"Adjusted Perception"などがあり、体感的なダンス・トラックとして体裁は保ちつつも意識に働きかけるようなメロディアスな作風は十八番だろう。勿論"Learning Process"のようにフロアの闇に溶け込むような疾走感に満ちたテクノ色強い曲もあるが、それすらも大らかなパッドに覆われて仄かな情緒が匂っている。特に秀逸なのが"Reap Love"で、コズミック感あるシンセを散りばめつつメランコリーなシンセによる情緒爆発なしんみり系テック・ハウスによって、切なさが本作の中でピークへと達する瞬間を作っている。そしてアルバムの最後(前作は渋谷をテーマにした"Sleepless In Shibuya")前作同様にアンビエント色を前面に打ち出した"Vision In Osaka"で、大阪らしいかはさておき神秘的な空気を生む瑞々しいシンセが浮揚し、霧の中へと溶け込んで消えるように儚い終焉が待ち受けている。あっと言わせる驚きはない、寧ろ電子音による穏やかな神秘性をこれでもかと演出した本作は、じっくりと耳を傾けて夢想に酔いしれるべき作品だ。Fred P.による深い精神世界へ旅がここにある。



Check "Fred P."
| HOUSE12 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Nomad (Utopia Records:UTA - 003)
Lars Bartkuhn - Nomad

ドイツから本場NYへディープ・ハウス攻勢をかけたNeeds、その元メンバーであるLars BartkuhnもNeeds解散後はフュージョンやバンド・スタイルでの音楽に取り組んでいたが、2015年末には久しぶりとなるEPの「Music For The Golden Age」(過去レビュー)をリリースし、ディープ・ハウス路線に於ける復活の狼煙を上げた。そして更なる新作はPhonica Recordsから派生した新興レーベルのUtopia Recordsの第2作目となり、前作と同様に優雅なフュージョンの音楽性も取り入れつつハウス・ミュージックへと戻り、かつてのNeedsにも劣らない素晴らしい煌きを放っている。タイトル曲である"Nomad (Full Experience)"はBartkuhnの豊かな音楽性が示された曲で、耽美なエレピの旋律や朗らかなアコギのコードに希望に満ちたフルートの音色、そしてアフロなパーカッションやジャジーなグルーヴが走り、Bartkuhn自身による歌が芳醇さを醸し出す。様々な楽器が渾然一体となり色彩豊かな響きへと繋がり、ミュージシャンとしてのバックボーンを持つBartkuhnらしい広がりのある展開が、ダンス・ミュージックとして以上のフュージョンやジャズをも含んだ洗練された音楽性を聞かせている。そして"Nomad (Reprise)"はビートを排しつつアコギやキーボードの旋律を浮かび上がらせる事で、その繊細な旋律や響きがより伝わる事で、Bartkuhnのメロディーメーカとしての才能を強く体験出来るだろう。そして本盤での目玉は"Tokyo Burning"である事に間違いはない。UR、更に言うならばGalaxy 2 Galaxyの系譜にあるハイテック・ジャズ路線と言うべきか、コズミックな輝きのある電子音が飛び交いジャジーグルーヴが跳ね、希望に満ちたシンセのコード展開がポジティブな気持ちを湧き起こす。古典的なデトロイト・テクノ/ハウスにも似た未来感がありながら、しかしBartkuhnの感覚によりモダンな雰囲気も持ち合わせたピークタイム向けの曲に仕上がっている。Needs時代に彼等の音楽に魅了された人も、そしてまだBartkuhnを知らない人にとっても、彼の耽美で優雅なフュージョン・ハウスにきっと魅了される事だろう。



Check "Lars Bartkuhn"
| HOUSE12 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deep House Japan (Loft Soul Recordings:LSR-003CD)
Deephouse Japan
Amazonで詳しく見る(日本盤)

「日本のディープ・ハウス」…これ以上にない程に分り易い直球タイトルの本作は、その名の通り日本人DJ/アーティストのディープ・ハウスを収録したコンピレーションだ。手掛けたのはRhythm of Elementsとしても活動する内川マサヒコで、80年代からクラブでDJ活動をしている大ベテランだ。そんな風に日本でも長い経験を積んだ現在形のDJは増えており、尚且つ海外はディープ・ハウスの隆盛の中にある状況ながらも、日本にも素晴らしいDJ/アーティストは居るにもかかわらず日本のディープ・ハウスは一体何処に?とそんな思いに応えるような本作には、岩城ケンタロウや高橋邦之にHideo KobayashiやYoshi Fumi(Satoshi Fumi+Yoshi Horino)など既に貫禄ある実力者から、新鋭のIori Wakasaに若手のYusuke Hiraokaまで収録し、「日本人のアイデンティティによって生まれたハウスミュージック」をテーマに掲げている。流石の貫禄を発揮しているのはKuniyukiで、大気の振動さえも感じさせるトライバルなパーカッションに有機的なシンセや静謐なピアノを用いて神々しささえも含む"End Of Night"は、Kuniyukiという個性を象徴するディープ・ハウスだ。黒さ滲むファンキーなハウスも得意とするIori Wakasaは、声ネタのサンプリングやヒプノティックなシンセをループにさせ、どっしりと鈍重なグルーヴからねっとりと黒さが放出するディスコティックな"Toy Box Disco"にてディープ・ハウスの解釈をしている。NYハウスやテクノまで手掛けるHideo Kobayashiは、逆に長閑なアンビエンスさえ感じさせる開放的な"Your Aias"を提供しているが、一見ふっと脱力する浮遊感がありながらも深みもあるのだ。アルバムの中でも情緒的な世界観が強いのはYusuke Hiraokaによる"Sunrise"と、そしてKay Suzuki x Leonidasによる"Interstellar Vibraions"だろうか。滑らかなハウスビートに乗せて温かみのあるメロディーをしっとり聞かせる前者、ビートを落としてファンキーなベースやダビーなパーカッションを加えつつ大らかな電子音に包み込んでスケール感を強調した後者、それぞれテンポやグルーヴ感に差異はあれどこれらも広義な意味でディープ・ハウスだろう。また内川自身もMirugaとの共同制作で"Wild Ones"を提供しており、アシッド・ベースを用いながらも都会のナイトクラブの興奮や陶酔感のある洗練されたディープ・ハウスを鳴らし、アルバムの開始を高らかに宣言している。本作は日本的な…という音のディープ・ハウスではないかもしれないが、少なくともここに収録された曲のそれぞれは決して海外にディープ・ハウスに劣る物ではなく、やはり日本のそれも世界に通用する事を伝えている。古い和製ハウスを掘り下げる外人も多いからこそ、今こそ今の時代の和製ハウスが世界に発信されるべきだ。

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Modeight (Modernista:modeight)
Yuri Shulgin - Modeight
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
今年の初頭にリリースした「Polyphonic Mind」は生演奏主体のジャズ×ハウス(にアシッドを少々)な作品で、それはどちらかと言うとかつてのMistanomista名義を思わせる音楽性だったが、この新作は逆にローファイーなアシッド・ハウスなのは面白い。当ブログでも何度も紹介しているYuri Shulginはロシア系のアーティストで、2011年にはEthereal Soundからもジャジーなディープ・ハウスをリリースするなど、ロシアン・ハウスが盛り上がる中で頭角を現した一人だ。デビューからEPのみしか制作していないものの、当人が演奏家でもある事もあってかその作風は表現力に富んでいる。いきなりカタカタとした安っぽいキックやハイハットにハンドクラップのビートで始まる"East West Connection"は古き良き時代のアシッド・ハウスを思い起こさせるが、豊かな色彩と動きのあるメロディーや差し込まれる奇妙な電子音が何ともユーモラスで、安っぽい味わいの中にもダイナミックな音楽性が閉じ込められている。"Nervous Arp"はよりコズミック感のある電子音を用いて穏やかに宇宙遊泳をするようなディープ・ハウスで、その煌きのあるメロディーは時にアシッド風にエグくなったりエモーショナルになったり変調するが、終盤は崩れるように混沌へと突入する作風が面白い。"Morning At Home"はより艶かしいフュージョン的なシンセの旋律がジャズ・ハウス色を強くしているが、下で刻んでいるビートは初期シカゴ・ハウスのそれでチープ感が発せられており、爽快な多幸感の中にもアシッド・ハウスの毒を忍ばせている。前作に収録されていてもおかしくない"Modular"は、生演奏主体のジャズ・ファンクのグルーヴに覚醒的な電子音のメロディーを被せ、セッション性の強いMistanomista初期作品のアップデート版にも感じられる。とつらつらと書いていると、結局は「Polyphonic Mind」と同様にアシッド・ハウスとジャズが下地にある事に気付いた訳だが、単にアシッド・ハウスの焼き直しではない所にShulginのマルチ・プレイヤーとしての才能が現れているのだ。



Check "Yuri Shulgin"
| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kez YM - Prop EP (4 Lux Recordings:4LUX1602)
Kez YM - Prop EP
Amazonで詳しく見る(MP3)

ベルリンへと移住してからのDJとしての活動は日本に居た頃よりも広がっており、のびのびと更なる躍進を続けているKez YM。本作は2016年では2枚目となるEPで、2008年にデビューを飾った4 Luxへと帰還しての作品となる。だからと言って何ら特別な変化がある訳ではなく、Kez YMというアーティストの個性は余りにも確立されているが故に、本作も今までの作風を踏襲し迷いの無いサンプリングベースのデトロイト・ハウスやブラック・ミュージックを貫いている。ざらついたハイハット、やや暗めのコード展開のシンセの奥に密かにガヤ声をまぶした"Throwback"は、時折現れる妖艶なサックスが訝しい黒っぽさを匂わせ、官能とメロウネスが同居するハウスだ。"Turns Me Off"は往年のKDJを思わせる雑音のサンプリングを用いつつ、ソウルフルな歌や耽美なエレピ・サンプルのループ、そしてしなやかに跳ねたリズムを組み合わせたこれぞデトロイト・ハウスな作品で、熱量の高くなっているフロアにすんなりとハマるのは間違いない。対して裏面の"Repair My Head"はしっとりと微熱を帯びたメロウで落ち着きのあるディープ・ハウスで、ループやボイス・サンプルを用いて反復性を強調したツール的な要素が前面に出ている。最後はファットなキックと刺激的なパーカッションが爽快に疾走する"Force Carrier"で、アフロで土着的な匂いを発してKez YMらしい飛び跳ねるような肉体的なグルーヴが爆発している。余りにもKez YMというアーティストの音楽性が完成しているが故に、作品毎の個性を決して強く発揮するわけではないものの、だからこそダンスフロアでは安定して機能するであろう性質があり、音楽性にブレは全くない。



Check "Kez YM"
| HOUSE12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - Donna (Aus Music:AUSCD007)
Cassy - Donna
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
伴侶や友人との分かれや、音楽制作に対する苦痛などの逆境の中から生まれたアルバムだと本人は言う。その人こそ現在はロサンゼルスに拠点を置くCassyで、周知の通り過去にはPanorama BarやRexでもレジデントを持っていた生粋の女性DJ/アーティストだ。公式リリースでは Panorama BarやFabricに関連する4枚ものMIXCDをリリースしており、DJとしての素質に疑いようはないわけだが、実はアーティストとしても長いキャリアを持っている。だからこそアルバムがリリースされてようやくかという思いである訳だが、全面的に共同制作に加わったKing Brittの影響もあってか、アルバムは思っていた以上に決して明るくはないもののソウルフルな内容にはなっている。ややダブ・ステップやR&Bを思わせる崩れたビートとしっとり艶のある歌もの"This Is How We Know"でアルバムは幕を開け、続く"Feel"では滑らかで繊細な4つ打ちに合わせて包容力のあるボーカルも導入され穏やかなディープ・ハウスを聞かせる。かと思えば次の"Back"では乾いてチープなリズムに夜中の官能を演出するピアノを交えたハウスを披露し、ぐっと妖艶さを増していく。かと思えば音を間引きロウな質感を打ち出した"All I Do"ではコズミックな電子音やブイブイとしたシンセベース主体のディスコ風な音を聞かせるなど、アルバムはおおよそ統一性とは反対の多様性を打ち出した内容になっている。事実、レイドバックしたメロウなヒップ・ホップ風の"Strange Relationship"にゴージャス感のあるポップなR&B影響下の“You Gotta Give”、そしてボサノヴァ風の軽やかなパーカッションが心地好い"Cuando"まで、アルバムに何か統一性を見つけ出すのは難しいが、敢えて言うならばどんな曲であっても感情的な面を押し出してきている。そして最もフロア受けするであろう"Keep Trying"は覚醒感のある、半ばトランシーでさえある電子音を用いた勢いのあるテック・ハウスで、闇夜に染まりつつCassyによる甘い歌が問い掛けるような官能的な曲だ。もう少しこの路線が多かったならばという思いもあるが、彼女の個性を全て曝け出そうとしている意図があるのだとしたら、アルバムのフォーマットを活かしてそれは達成されているのだろう。



Check "Cassy"
| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Barrott - Sketches From An Island 2 (International Feel Recordings:IFEEL055CD)
Mark Barrott - Sketches From An Island 2
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
今やバレアリック・ミュージックの筆頭と呼んでも偽りはないInternational Feelは、世界各地のベテランから新鋭まで掬いあげながらレーベルの開放的で輝かしさに満ちたサウンドを確立させ、バレアリックシーンの中で確固たる地位を築き上げた。それもひとえにレーベルを主宰するMark Barrottの献身的な活動方針や音楽に対する審美眼に依るものだが、レーベルオーナーとしてだけではなくアーティストとしての才能も一流である事は、2014年にリリースされた『Sketches From An Island』で証明済みだ。本作はそのシリーズの続編となるアルバムで、緑の木々が茂る中にカラフルな小鳥が息づく風景を描いたジャケット、そして「とある島(イビサ島の事だろう)のスケッチ」と言うタイトルからもイメージ出来るように、音楽も正しくバレアリックな世界観を表現している。とは言ってもイビサの観光地らしい享楽的なイメージとは真逆の、Barrottが住んでいるという島の北部の自然に恵まれた田園地帯の平穏な日常に存在するようなダウンテンポが中心で、熱狂的なクラブと言うよりは開放的な野外で鳴る事が適切だろう。気の抜けたギターと優雅なストリングスが爽やかさを演出する"Brunch With Suki"は、確かに落ち着いたブランチという日常を感じさせ、アルバムはリラックスしたムードで開始する。可愛らしいマレットが小刻みに動き、透明感のあるストリングスが広がる"Over At Dieter's Place"は、カラフルでトロピカルな風景を描くようで白昼夢に引き込まれるようだ。そして残響が層になって伸びるギターやコズミックなシンセを用いた"Winter Sunset Sky"は広大な空の広がりを感じさせ、しんみりとした夕暮れ時の切なさを表現している。逆に不安気なギターの奥から土着的なパーカッションや笛の音が響く"Distant Storms At Sea"は、ニューエイジのような宗教的な重苦しさを匂わせ、深い瞑想へと誘うだろう。重苦しい世界観から一転、スペーシーで美しいシンセとミニマルなマリンバが孤島のエキゾチック感を演出する"Cirrus & Cumulus"は、途中から小鳥のさえずりのSE等も導入されてアルバムを象徴するであろうビートレスで美しい曲だ。アルバムの最後はコズミックなシンセが香り立つように湧き上がり、耽美なピアノが滴るような旋律を奏でる"One Slow Thoughtで"、オーガニック感もありつつ自然の中に消え入るような美しさはラストに相応しいアンビエントだ。アートワークや曲のタイトル、そして音楽とどれもが結び付きアルバムのコンセプトを的確に表現した内容で、これぞInternational Feel、これぞバレアリックである事に異論は無いだろう。蒸し暑い真夏にぴったりな涼しげでドリーミーなサマーブリーズ、ただただ素晴らしい。



Check "Mark Barrott"
| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tokyo Black Star - Fantasy Live 1999 (World Famous:WF-004)
Tokyo Black Star - Fantasy Live 1999
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
Alex From Tokyoが主宰するWorld Famousの新作は、2015年末になり再始動を果たしたTokyo Black Starによるアルバムだ。元々はAlexと熊野功雄によるユニットで今となっては大御所レーベルとなったInnervisionsの第一弾アーティストであった事も懐かしいが、現在では高木権一も加わりトリオとして活動をしている。壮大なエレクトロニック・ハウスから肩の力が抜けた優しいディープ・ハウスにミニマルな作風まで作品毎に姿形を変えつつ、昨年の「Edo Express EP」ではアシッド・テクノも披露するなどその深化は止まらない。そしてこのニューアルバムは、アルバムという体でありながら恐らく全曲新曲の40分にも及ぶライブをイメージしたコンセプト・アルバムなのだ。元となったのは「東京の下北沢にあるBasement Barで、とある即興のライブパフォーマンスを録音した、伝説的でクレイジーな一夜」だそうで、それが一体何であったのかは不明なものの、真夜中の興奮をライブ風に演出したと考えてよいだろう。アルバムは開始からどぎつく快楽的なシンセのアルペジオやベースで始まり、生々しいスネアやキックがライブ感を余計に強く体感させる。そこから闇の空間を切り裂くように挿入される美しいパッドが、ゆったりと開放感のあるディープ・ハウスへと向かわせ、そしてまたもやコズミックなシンセやSEが導入されるハウスで深い世界へと潜り込み…Part1のラストはファンキーなスラップベースが前面に出たエレクトロ系で幕を閉じる。そしてPart2へと移ると次第に琴やガムランのようなエキゾチックな音色が現れ、極東のダブとでも呼ぶべき不思議な響きに包まれる。そこからのKraftwerkばりのロボット・ボイスを活用した和風エレクトロな流れからの、最後は強烈なアフタービートを刻むレゲエ風なアフロ・ハウスの"Mitokomon"と、これ程までに様々な音を経由する世界観は確かにファンタジーに相応しいライブ、ファンタジーな旅であろう。何処か垢抜けないドラム・マシーンによるリズムは生々しさが強調され、和洋折衷のコスモポリタンな旋律や、テクノもハウスも融け合いダンス・ミュージックとのみ表現出来るビート感によって、収束ではなく拡散する音楽性は3人体制になったTokyo Black Starだからこそだろうか。作品の特性上DJ向けの作品ではないものの、リスニングや仮想のライブ盤として楽しめる1枚だ。



Check "Tokyo Black Star"
| HOUSE12 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Satin Jackets - Panorama Pacifico (Eskimo Recordings:541416507583)
Satin Jackets - Panorama Pacifico
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
ベルギーを代表するニューディスコ系のレーベルと言えばEskimo Recordingsがあり、2013年からは『The Pink Collection』(過去レビュー)に始まる全曲新録のカラーシリーズを立ち上げ、現在の『黄色』に至るまで年に1枚のペースでリリースを続けるなど、今も尚ニューディスコの普及に務めている。本作はそんなシリーズにも曲を提供していたドイツの二人組、Dennis HurwitzとTim BernhardtによるユニットのSatin Jacketsの初のアルバムで、アートワークから想像出来る通りのキャッチーなシンセ・ポップ/ニューディスコが満載だ。ポップアートのようなカラフルで大衆的なジャケット、それがそのまま音にも反映されており、これでもかと分かり易く懐っこいメロディーと甘いボーカルを軸に置いた曲は、単にダンス・ミュージックの枠に収めてしまうだけではもったいないだろう。アルバムの始まりである"Feel Good"からして朝日が登り始めるような明るいトラックに、爽やかで清らかなボーカルを合わせたシンセ・ポップで、その汚れのない素朴さが何とも可愛らしい。続く"We Can Talk"はやや俗世的でゴージャス感のあるシンセも用いて派手派手さもあるが、ゆったりまったりな4つ打ちディスコビートとシンセベースがレトロフューチャーで懐かしさを誘う。かと思えば哀愁滲むギターのフレーズと甘く溶けるようなコーラスを打ち出したダウンテンポな"Keep Moving On"、インストな分だけよりフロア寄りの弾けるビート感があるニューディスコな"Cala Banana"など、ポップな作風で統一感はありながらも幅を持たせる事にも成功している。特に黄昏時の切なさが強い"Say You"、そのしんみりとした女性ボーカルやカラフルなシンセの響きから発せられる郷愁には胸が締め付けられるだろう。アルバムの最後は2013年のEPから"You Make Me Feel Good"で、広大な青空に飛び出したようなバレアリック感のある爽快なシンセ・ポップにより、心残りのない清々しいラストを迎える。こんなにポップでラブリーな音楽は、是非ともパーティーの朝のフロアで聞いたら幸せになれるに違いないが、ダンス・ミュージックに詳しく無い人にだって訴えかけるキャッチーさがある。



Check "Satin Jackets"
| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Virginia - Fierce For The Night (Ostgut Ton:OSTGUTCD36)
Virginia - Fierce For The Night
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
過去にはCocoonでの、そして現在はPanorama Barのレジデントとして活躍するVirginiaが、そのクラブが運営するレーベルであるOstgut Tonから遂に1stアルバムをリリースした。DJとしてトラックメーカーとして、そしてボーカリストとしても活動する彼女の音楽性は、過去のクラシカルなシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノからの影響を強く滲ませるもので、特に自身が歌う事でより感情性豊かな作風を確立している。プレスリリースによると本作は「愛、欲望、人生などのテーマ」を基に制作されたそうだが、更にかつてから交流のあるSteffi & Martyn(Doms & Deykers名義では完全にデトロイト・テクノ影響下の作品をリリースしている)にDexterが制作に全面的に参加する事で、ダンス・ミュージックとしての機能性と共にポップ性の高いメロディーやハーモニー、そして古き良きアナログ・サウンドの中に懐かしくも情熱的な興奮を込める事に成功している。アルバムの幕開けは彼女のセクシーな歌声が映えるテッキーな"Bally Linny"だが、ブラスバンド風のシンセは80年台のシンセファンクを思い起こさせ、ポジティブな煌めきを含む。続く"1977"も80年代感が強く、エキゾチックなシンセや膨らみのあるシンセベースからは何だかフュージョンの作風に通じるものがあり、レトロ・フューチャーとは正しくこの事だ。古さを強調するだけでなく"Lies"のようにモダンなディープ・ハウスに官能的な歌を被せた曲もあるが、その耳への響きはやはり甘く懐かしい。中盤には特に切なさを誘うメランコリーなダウンテンポの"Believe In Time"があり、哀愁で覆い尽くす歌がトラックをより味わい深いものとしている。そこに続く"Subdued Colors"も小気味良いブレイク・ビーツで揺れる曲で、誘惑するような歌が夕暮れから夜にかけてのしっとりした官能を感じさせる。そこからの"Funkert"や"Follow Me"はアルバムの中では特にフロア受けするであろうストレートなダンス・トラックで、しなやかに伸びる叙情的なシンセや美しいメロディーと勢いと弾力のあるリズムはデトロイト・テクノと共振し、真夜中の興奮に一役買うのは間違いない。そしてラストの夢に溺れてしまうようなアンビエント風のハウスである"Han"で、アルバムは切ない余韻を残して締め括られる。リスニングからダンスまで程良く纏まったアルバムで、特にシンセポップを思わせる懐かしいシンセの音やドラムマシンが本作を特徴付けており、ポップなメロディーも相まって素晴らしいボーカル・ハウスを味わえるはずだ。ハードなテクノのOstgut Ton…と言う印象が強いレーベル性の中で、こうやってクラシック的な要素の強いアルバムが出てくる事は意外だが、やはりルーツは避けては通れないと言う事なのか。



Check "Virginia"
| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |