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Eddie C - On The Shore (Endless Flight:Endless Flight CD 16)
Eddie C - On The Shore
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ビートダウン・ハウスやスローモー・ディスコでは名高いカナディアンのEdward CurrellyことEddie Cが、古巣Endless Flightから3年ぶり3作目となるアルバムをリリースした。真夜中のクラブに於けるハイエナジーで興奮を誘うダンス・ミュージックとは真逆の、むしろリラックスして遅いBPMによりメロウかつファンキーな音を丁寧に聞かせる音楽性は、リスニング性の観点からも素晴らしいものだ。新作はベルリンに移住してからの生活にインスピレーションを受けたそうで、スタジオに面しているベルリンのパンケ川の風景などリラックスした雰囲気の影響があり、確かにアルバム全体は和みに富んでいる。初っ端から随分とスローモーで肩の力が抜けたディスコ・テイストな"Fenyek"で始まり、長閑な田園風景が広がるような牧歌的な雰囲気さえ発している。続く"Low Road Dubs"はヒップ・ホップのリズム感が練り込められ、そのサンプリングベースであろうざっくりとした生っぽいビート感とミニマルな構成はEddie Cの得意技だ。爽快に闊歩するようなグルーヴに乗ってフルートらしき朗らかなメロディーが先導する"Wish You Were Here"、清涼かつ透明感のあるコズミック・ディスコな"Beyond Reality"など、野外にはまるであろうバレアリック感さえもある曲は実に心地良い。また本作では南国のトロピカルな空気も盛り込まれており、浮遊感のあるストリングスと爽やかなアコギに導かれる"Boipeba Praia"は穏やかで陽気なムードに溢れている。"Take Me (Extended Mareh Vacation Mix)"だけは硬質で重いキックと覚醒的な上モノのシンセが屋内型、または夜中のダンス・ミュージック的な迫力を兼ね備えており、アルバムの中ではやや異質だろう。それでも全体的にはヒップ・ホップにブレイク・ビーツのサンプリングやビート感を前面に出し、まったりと和んだメロウネスと切れ味あるファンクネスを生み出す事に成功しており、実にEddie Cらしい作品だ。ダンス・ミュージックとしての前提はありながら、部屋の中で空気と馴染むようなBGMとしての聞き方がぴったりだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andres - Mighty Tribe (La Vida:LA VIDA 004)
Andres - Mighty Tribe

自身で主宰するLa Vidaからのリリース量は決して多くはないものの、そこからのリリースは最早ヒットする事が約束されたまでにデトロイト・シーンでの立ち位置を築き上げたDJ DezことDes Andres。本作は同レーベルからは一年ぶりとなる新作で、相変わらずのスィングするジャジーな感覚とダンスフロアに適応した曲調に磨きをかけている。A面の"Mighty Tribe"が特に素晴らしく、原曲はEarth, Wind & Fireの"Mighty Mighty"のDoug Carnによるカバーをサンプリングして転がり落ちるようなエレピやディスコなズンドコと弾けるビートで疾走するハウスは単純明快な作風で、その刺激的でポジティブなエネルギーは間違いなくフロア向けだ。熱量の高いシャウトやジャジーなエレピ使いからはブラック・ミュージックの芳香もたっぷりと噴出し、Andresのサンプリングのセンスがここでも光っている。それに対しB面の2曲はややヒップ・ホップの才能が影響しているだろうか、ざっくりとした生っぽいリズム感はヒップ・ホップのそれっぽくもあり、コンガに湿度のあるメロディーが陽気なラテンのノリを生み出す"Chevy Status"、アコースティックギターやストリングスの響きによって爽やかなトロピカル感を演出した開放的なハウスの"Pluck Away"、どちらもほっと落ち着くようなしっとりした作風でAndresの温かみのある作風が息衝いている。サンプリングを存分に活用しながら異なる作風を披露しながらも、しかし最終的にはこれぞAndresの作品に仕上がっている3曲で、どれもフロアで慣れば間違いなく盛り上がるのは言うまでもないだろう。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Keita Sano - The Sun Child (Crue-L Records:KYTHM-158DA)
Keita Sano - The Sun Child
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今ではダンス・ミュージックにおいて日本のアーティストが海外で注目を集めるのも珍しくはなくなってきているものの、それでも尚この新生代を代表する一人のKeita Sanoの注目度は、特に海外でこそ高いのは稀有な事だろう。2012年頃から作品のリリースを始めたものの、デジタル/アナログ問わずに忙しない程のリリースを続け、Mister Saturday NightやHolic Traxを始めとした著名なレーベルのカタログに並ぶなど、今や時の人と言っても間違いではない。その作品の多作さは音楽性の幅広さ - それはある意味では纏まりの無い - に繋がっていて、錆びたロウ・ハウスやアシッド・テクノ、陽気なディスコ・ハウスに捻れた電子音が鳴るテクノなど、作品毎に姿を変えつつも踊る快楽を表現したダンス・ミュージックという点に於いては揺るぎない信頼を持っている。そして、待ちわびたニューアルバムは日本のダンス・ミュージックの秘境・Crue-l Recordsからと、また何か期待せざるを得ない蜜月の出会いとなった。何でもCrue-lのボスである瀧見憲司のDJを聴いたSanoが衝撃を受け、それを契機にほぼ一週間で衝動的に作った曲を纏め上げたのが本作だそうで、アルバムではありながら今までと同様に多彩な作風がダンス・ミュージックを軸に展開している。幕開けとなる"Babys"で既に勢いはトップへと達しており、迫り来る強迫的なリズム帯と躍動するベース、そして快楽的な上モノによって多幸感が爆発するハウスに一気に引っ張られていく。続く"The Sun Child (Album Version)"ではボイス・サンプルのループを用いて徐々に快楽へと上り詰めるようなDJ仕様で、過去にリリースしたディスコ・ハウスの作風を踏襲する。と思えば冷気漂い勢いが抑制されたミニマルやテック・ハウスの系譜上にある"Airport 77"、アシッド・ハウスとディスコ・ハウスが邂逅した"Dance (Album Version)"、視界も揺らめくサイケデリックなギターが咆哮するスローモーな"The Porno King"など、想像していた通りに作風は収束する事なく拡散するように曲毎に姿を変えている。しかし"Acid Romance (Album Version)"は底辺で蠢くアシッドのラインやコズミックな電子音によって官能と倒錯で包み込むニューディスコで、非常にCrue-lらしい奇妙な恍惚やトリップ感があり、そしてロマンティックでもある。本作では過去に見られたロウ・ハウスの質感は存在せず、以前よりも荒唐無稽ではっちゃけた雰囲気は抑えられており、アルバムというフォーマットを意識したのは当然だろう。EPに於ける爆発力とは異なるダンス・ミュージックとしての魅力があり、アーティストとしての可能性を示す事に成功している。

Check "Keita Sano"
| HOUSE12 | 13:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Prism - Metronome Melody (Sublime Records:MMCD20009-10)
Prism - Metronome Melody
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2015年3月に急逝した日本のテクノ/ハウス・ミュージックの開拓者の一人でもある横田進、そんな彼に捧げるべくか再評価に伴う動きなのか、特に初期作品に絞った復刻が進んでいる。第一弾はレイヴシーンのピークアウト後の物哀しさを表現したアシッド・テクノの『Acid Mt.Fuji』だったが、第二弾には横田史に於ける最高傑作と呼んでも過言ではない1995年作の『Metronome Melody』が選ばれる事になった。様々なレーベルから、様々な名義を用い、様々な音楽に取り組んだ横田にとって本作は特に美しく甘美なメロディーとある種の儚さを表現したハウス・ミュージックであり、今となってはクラシックとでも呼びたくなる程の完璧なアルバムだ。出だしの"Sunday Brunch"からして傑作であり、凛として弾けるハウス・グルーヴに日曜昼間のうっとり感が正に漂うシンセのフレーズが反復し、滑らかに流れるビート感でふわふわと心も浮き立つ至福のダンス・ミュージックだ。続く"Aurora Mind"による太いキックやスネアによるヘビーな鼓動のハウスも堪らないが、"Gemini"にようにまったりと弛緩して溶けていくリズム感と耽美なピアノの和音、そしてアンビエントなムードも相まって真夜中のクラブとは対照的な開放感のある曲を聴くと、最早この頃から横田が既にクラブ・ミュージックの枠を越えた先を見据えていた事に驚きを感じずにはいられない。可愛らしく朗らかなメロディーに複雑で崩れたブレイク・ビーツが不思議な感覚を生む"Prominence"、コミカルなシンセのフレーズと少女のボイス・サンプルに何だか日常の中に癒やしを生む"Where"、そして何故かラストには『Acid Mt.Fuji』のアシッド・ハウスの残像なのかTR-909やTB-303によるトリップ感の強いアシッド・ハウスである"Ocean Blue"まで収録されており、やはりハウス中心とは言えどもそこには多彩な仕組みが散りばめられているのは横田の自由な創造性が故だろう。決して無から新しさを生むような新鮮さがある訳ではないが、既存の音楽を組み合わせながらも明るの中に侘び寂びや憂いを込めた音楽性は横田らしく、しっかりと彼の音であるという個性が成り立つのは才能の証だろう。そしてボーナスディスクは喜ばしい事に全曲未発表曲で構成されているが、アシッド・ハウス/テクノ中心ながらも素朴さと荒々しさが同居する点に、何か初期衝動を感じずにはいられない。

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| HOUSE12 | 18:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sauce81 - Make It Move (Endless Flight:ENDLESS FLIGHT 73)
Sauce81 - Make It Move
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若く新しい才能を育てる事を目的として設立されたRed Bull Music Academy、そこには勿論日本人も抜擢され世界へと羽ばたいて行ったDJもいる。そして2008年の卒業生の中には、ファンクやソウルなどをライブフィーリングたっぷりに披露する仮面を被ったN’gaho Ta’quiaとして、またはブラック・ミュージックを元に自由な形を見せる77 Karat Goldというユニットの一員として、そしてこのソロユニットであるSauce81として、様々な名義を用いての活動が花開いたアーティストである日本人のNobuyuki Suzukiがいる。Sauce81名義では2008年にコンピレーションに曲が収録されたのをきっかけに、それ以降はWonderful Noise ProductionsやCatuneにEglo Recordsなど注目すべきレーベルからもソロ作品をリリースし、そして今度は日本が世界に誇るEndless Flightからの新作となれば注目を浴びる事は必至だろう。Sauce81も基本的にはブラック・ミュージックが根底にあるのは変わりはないが、方向性としてはハウスやディスコなどより直球ダンス的な要素が強いだろう。耽美なエレピやストリングスにうっとりと陶酔する"Faithless Egos"は、しかし弾けるベースやブギーなリズム感が肉体的な躍動を含んでおり、ヒップ・ホップやジャズの感覚を匂わせるハウスでいきなり耳を惹き付けられる。今年のEndless Flightのコンピレーションに収録された"Make It Move"は、雑然としたガヤ声や引っ掛かりのあるスラップ・ベースを用いる事で黒さ滲むファンキーさが強調され、そこに端正なシンセのコードも交えて滑らかなビートで闊歩するようだ。そしてもはやハウスと言うよりはバンド演奏らしさを発するファンクかフュージョンか、鮮烈なシンセの響きが前面に出つつローリングするベースラインに揺さぶられる"Dissonance In Control"、またグッとテンポを落としたメロウなトラックに熱い感情を吐露するような歌が挿入された真夜中のソウルである"Nothing Solved"と、クラブ・ミュージックにリンクしながらもボーカリスト/演奏者としての手腕が活きた作風は見所だ。



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| HOUSE12 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Recloose - Honey Rocks EP (Aus Music:AUS1697)
Recloose - Honey Rocks EP
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デトロイトの才人であるMatthew ChicoineことRecloose、何と2年半ぶりとなる新作は今までに関わりのなかったAus Musicからとなるが、近年のReclooseらしさは変わらずフュージョン・テイストを含む煌きのあるサウンドをここでも鳴らしている。かつてデトロイトからニュージーランドへと移住したばかりの頃はやけに生音志向への拘りを見せ、クラブ・ミュージックらしさを失いファンの心は離れていたように思うが、昨今のRush Hour RecordingsやDelusions Of GrandeurからリリースしたEPにおけるハウスへの帰還は初期以上の素晴らしさがあったと思う。そしてニュージーランドでの生活を終えて2014年にはいつの間にかNYへと移り住んでいたようで、それ以降に作られた本作も初期にPlanet-Eからリリースした頃の未来感を含みつつエレクトロニック性も高めたハウスとなっており、期待を裏切らない作品になっている。正に未来的な電子音がピコピコとなるイントロから複雑で躍動的なパーカッションと弾けるハンド・クラップの勢いに乗り、そしてしなやかな柔軟性と光沢感のある優美なシンセのコード感による煌きを発する"Honey Rocks"は、最早Reclooseの十八番と呼んでも良い作風だろう。ファンキーなボーカル・サンプルを用いた"On & On"は、浮遊感のあるシンセがすっと伸びつつ跳ねるリズムのおかげで軽くて爽快な雰囲気があり、途中で聴ける眩いばかりの光を放つような歌がフュージョンらしさを匂わせている。対してB面の"Sidewalks"はねっとりと絡み付く重心の低いビートダウン的なグルーヴが目立っており、そこにダビーな音響の効いたボーカル・サンプルや音を散りばめて、サンプル・ループ重視のディスコ・ハウスなノリでじわじわと攻める異色の作風だ。本作を含めここ何年かの内にリリースされたEPでReclooseの個性は完全に確立され、デトロイト・テクノの枠だけには括られない耽美なフュージョン・ハウスの音楽性の素晴らしさは言うまでもないが、あとはこの路線でのアルバムが制作される事だけが待ち遠しくなる。



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| HOUSE12 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nebraska - Soften The Wireless EP (Heist Recordings:HEIST017)
Nebraska - Soften The Wireless EP
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2015年に続き2016年も絶好調、Rush Hour RecordingsやMister Saturday NightにDelusions Of Grandeurといった旬のレーベルからヒット作を量産するNebraska。ディスコ・テイスト溢れるファンキーさとブギーなノリで煌めくハウスがNebraskaの持ち味で、そこに昨今のロウ・ハウス的な剥き出し感のある質感も取り入れるなど、流行も自然に取り込み現在のハウスシーンをリードする一人であるのは間違いない。新作はこれまたブギーなハウスでは業界をリードするDetroit Swindle主宰のHeistからとなり、音楽性の相性の良さからして間違い無しと期待せずにはいられないだろう。先ずはA面の"Khan’s Bargain (Tom Noble remix)"だが、ファンキーなホーンのサンプルや図太いベースが脈打ち強い光を放つような煌きに満ちており、ノリノリなグルーヴで自然と体が揺れる実にNebraskaらしいディスコ・ハウスになっている。それをTom Nobleがリミックスした"Khan’s Bargain (Tom Noble Remix)"はシャリシャリしたハイハットやダビーな音響が際立ち、より湿っぽく生っぽさが前面に出る事で古き良き時代のディスコへと先祖返りを果たしているようだ。B面に移るとハンドクラップで始まる"The Blues"は直ぐに膨張するようなベースが現れ、雄叫びのようなボーカルや単純なシンセのフレーズがループするハウスへと突入する。音の隙間さえも目立つ非常に簡素な作風は、地味ながらも特にツール性が磨かれている。一方で"It Won’t Be Long "は爽快なパーカッションやメロディアスなシンセが鳴っており、より豊かな色彩感を纏った煌きもありつつメロウーなムードが味わい深い。それぞれの曲で異なる持ち味を出しつつNebraskaらしいディスコ・ハウスをベースとした作風は確立され、更なる人気の獲得に繋がる事を予感させる。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
FP-Oner - 6 (Mule Musiq:MUSIQ 055CD)
FP-Oner - 6
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自ら主宰するSoul People Musicからは自身の作品のみならず才能ある新鋭の作品をも送り出し、また自身はAnomalyやBlack Jazz Consortiumなど多数の名義を用いてエモーショナルかつハイテックなディープ・ハウス〜テクノを量産し、今やUSハウスシーンのトップにまで上り詰めたFred P.。2015年には新たなる名義であるFP-Onerの新シリーズの門出となる『5』(過去レビュー)を制作し、Fred P.の特徴でもある幻想的なアンビエンス感をふんだんに取り込んだ情緒的なディープ・ハウスを聞かせ、ダンスとリスニングの釣り合いが取れた絶妙なアルバムを披露した。それから一年、続編となる本作もやはり一連のシリーズであるからして、音楽性に目を見張るような変化は見られない。だからこそだろう、自身の揺るぎない音楽性が確立されているが故の安定感があり、アルバムの始まりである"Awakening Co Creator"は朝靄の中にいるような微睡みのアンビエンスが通底するディープ・ハウスで、穏やかな情景が目の前に広がるようだ。続くのは爽快さ抜群のパーカッションが刻む中を豊かな音色が発色するパッドが突き抜ける"Kundalini Rising"で、一気にスピード感を増したテック・ハウス気味の世界へと進む。中盤にもアフロなパーカッションやうねるようなベースラインが耳を惹き付けつつ、しかし幻惑的なシンセがアンビエンス感を纏った"New Life Form"や、芯のあるキックが正確な4つ打ちを刻み地底から情緒ある芳香が湧き立つようにパッドが迫り上がってくる"Adjusted Perception"などがあり、体感的なダンス・トラックとして体裁は保ちつつも意識に働きかけるようなメロディアスな作風は十八番だろう。勿論"Learning Process"のようにフロアの闇に溶け込むような疾走感に満ちたテクノ色強い曲もあるが、それすらも大らかなパッドに覆われて仄かな情緒が匂っている。特に秀逸なのが"Reap Love"で、コズミック感あるシンセを散りばめつつメランコリーなシンセによる情緒爆発なしんみり系テック・ハウスによって、切なさが本作の中でピークへと達する瞬間を作っている。そしてアルバムの最後(前作は渋谷をテーマにした"Sleepless In Shibuya")前作同様にアンビエント色を前面に打ち出した"Vision In Osaka"で、大阪らしいかはさておき神秘的な空気を生む瑞々しいシンセが浮揚し、霧の中へと溶け込んで消えるように儚い終焉が待ち受けている。あっと言わせる驚きはない、寧ろ電子音による穏やかな神秘性をこれでもかと演出した本作は、じっくりと耳を傾けて夢想に酔いしれるべき作品だ。Fred P.による深い精神世界へ旅がここにある。



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| HOUSE12 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Nomad (Utopia Records:UTA - 003)
Lars Bartkuhn - Nomad

ドイツから本場NYへディープ・ハウス攻勢をかけたNeeds、その元メンバーであるLars BartkuhnもNeeds解散後はフュージョンやバンド・スタイルでの音楽に取り組んでいたが、2015年末には久しぶりとなるEPの「Music For The Golden Age」(過去レビュー)をリリースし、ディープ・ハウス路線に於ける復活の狼煙を上げた。そして更なる新作はPhonica Recordsから派生した新興レーベルのUtopia Recordsの第2作目となり、前作と同様に優雅なフュージョンの音楽性も取り入れつつハウス・ミュージックへと戻り、かつてのNeedsにも劣らない素晴らしい煌きを放っている。タイトル曲である"Nomad (Full Experience)"はBartkuhnの豊かな音楽性が示された曲で、耽美なエレピの旋律や朗らかなアコギのコードに希望に満ちたフルートの音色、そしてアフロなパーカッションやジャジーなグルーヴが走り、Bartkuhn自身による歌が芳醇さを醸し出す。様々な楽器が渾然一体となり色彩豊かな響きへと繋がり、ミュージシャンとしてのバックボーンを持つBartkuhnらしい広がりのある展開が、ダンス・ミュージックとして以上のフュージョンやジャズをも含んだ洗練された音楽性を聞かせている。そして"Nomad (Reprise)"はビートを排しつつアコギやキーボードの旋律を浮かび上がらせる事で、その繊細な旋律や響きがより伝わる事で、Bartkuhnのメロディーメーカとしての才能を強く体験出来るだろう。そして本盤での目玉は"Tokyo Burning"である事に間違いはない。UR、更に言うならばGalaxy 2 Galaxyの系譜にあるハイテック・ジャズ路線と言うべきか、コズミックな輝きのある電子音が飛び交いジャジーグルーヴが跳ね、希望に満ちたシンセのコード展開がポジティブな気持ちを湧き起こす。古典的なデトロイト・テクノ/ハウスにも似た未来感がありながら、しかしBartkuhnの感覚によりモダンな雰囲気も持ち合わせたピークタイム向けの曲に仕上がっている。Needs時代に彼等の音楽に魅了された人も、そしてまだBartkuhnを知らない人にとっても、彼の耽美で優雅なフュージョン・ハウスにきっと魅了される事だろう。



Check "Lars Bartkuhn"
| HOUSE12 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deep House Japan (Loft Soul Recordings:LSR-003CD)
Deephouse Japan
Amazonで詳しく見る(日本盤)

「日本のディープ・ハウス」…これ以上にない程に分り易い直球タイトルの本作は、その名の通り日本人DJ/アーティストのディープ・ハウスを収録したコンピレーションだ。手掛けたのはRhythm of Elementsとしても活動する内川マサヒコで、80年代からクラブでDJ活動をしている大ベテランだ。そんな風に日本でも長い経験を積んだ現在形のDJは増えており、尚且つ海外はディープ・ハウスの隆盛の中にある状況ながらも、日本にも素晴らしいDJ/アーティストは居るにもかかわらず日本のディープ・ハウスは一体何処に?とそんな思いに応えるような本作には、岩城ケンタロウや高橋邦之にHideo KobayashiやYoshi Fumi(Satoshi Fumi+Yoshi Horino)など既に貫禄ある実力者から、新鋭のIori Wakasaに若手のYusuke Hiraokaまで収録し、「日本人のアイデンティティによって生まれたハウスミュージック」をテーマに掲げている。流石の貫禄を発揮しているのはKuniyukiで、大気の振動さえも感じさせるトライバルなパーカッションに有機的なシンセや静謐なピアノを用いて神々しささえも含む"End Of Night"は、Kuniyukiという個性を象徴するディープ・ハウスだ。黒さ滲むファンキーなハウスも得意とするIori Wakasaは、声ネタのサンプリングやヒプノティックなシンセをループにさせ、どっしりと鈍重なグルーヴからねっとりと黒さが放出するディスコティックな"Toy Box Disco"にてディープ・ハウスの解釈をしている。NYハウスやテクノまで手掛けるHideo Kobayashiは、逆に長閑なアンビエンスさえ感じさせる開放的な"Your Aias"を提供しているが、一見ふっと脱力する浮遊感がありながらも深みもあるのだ。アルバムの中でも情緒的な世界観が強いのはYusuke Hiraokaによる"Sunrise"と、そしてKay Suzuki x Leonidasによる"Interstellar Vibraions"だろうか。滑らかなハウスビートに乗せて温かみのあるメロディーをしっとり聞かせる前者、ビートを落としてファンキーなベースやダビーなパーカッションを加えつつ大らかな電子音に包み込んでスケール感を強調した後者、それぞれテンポやグルーヴ感に差異はあれどこれらも広義な意味でディープ・ハウスだろう。また内川自身もMirugaとの共同制作で"Wild Ones"を提供しており、アシッド・ベースを用いながらも都会のナイトクラブの興奮や陶酔感のある洗練されたディープ・ハウスを鳴らし、アルバムの開始を高らかに宣言している。本作は日本的な…という音のディープ・ハウスではないかもしれないが、少なくともここに収録された曲のそれぞれは決して海外にディープ・ハウスに劣る物ではなく、やはり日本のそれも世界に通用する事を伝えている。古い和製ハウスを掘り下げる外人も多いからこそ、今こそ今の時代の和製ハウスが世界に発信されるべきだ。

Tracklistは続きで。
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| HOUSE12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |