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Unknown Mobile - Daucile Moon (Pacific Rhythm:PR008)
Unknown Mobile - Daucile Moon
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2019年もアンビエントやバレアリックの名作に恵まれた一年ではあったが、そんな中でも新世代として頭角を現し一際輝いていた作品が、カナダはモントリオールのミュージシャンであるLevi BruceことUnknown Mobileの2ndアルバムである本作。2015年頃からYoung AdultsやASL Singles Clubといったレーベルから、フィールド・レコーディングに電子とアコースティックを同居させた長閑な田園風景が浮かび上がるチルアウト的なアンビエント作をリリースしていたが、本作ではより平穏な世界観を目指すべく同じジャンルでは人気を博すCFCFによるギターも導入し、より一層チルアウトとしての癒やしの効果が高まっている。なんでも4年前に足の指を骨折して療養中にサーバに残っていたMIDIサンプルを収集し、それらをコンピュータに取り組んで制作していったアナログとハイブリッドの作品との事で、それもあってか何だか懐かしく素朴な響きもアンビエント性との親和性が良いのだろうか。柔らかく深い残響の太鼓が古代の秘境めいた森林を換気させる"Medicine Man"、笛らしき音色などの有機的な響きもあって生命の営みを感じさせるトライバルなアンビエントで始まり、蠢くような不気味なシンセのシーケンスに光沢感のある上モノを被せて神妙な瞑想へと誘う"Ravers Sojourn"とここら辺から既に深遠なチルアウト感覚は漂っているが、やはり本作のキモは"A Windles March Ouest"のような曲だろう。プリミティブなシンセの反復に合わせて生っぽいベースがじっくりと展開しつつ、そこにCFCFによる線が細くも叙情的なギターや鳥の囀り等が入ってくるスピリチュアルな世界観は、モダンなニューエイジとして鮮烈だ。"Simone Can't Swim"のようにベルが鳴りつつ細かな電子的な効果音を盛り込み、そして終始どんよりとした不鮮明なアンビエンスに覆われる曲も、内なる心を見つめさせる瞑想効果が高く鎮静作用がある。しかしやはりアルバムでは"Oenology"や"Copper Bird Bath'"などCFCFの爽快感と切なさを誘う繊細なギターを起用した曲が特に印象的で、波や鳥の囀りの音などのフィールド・レコーディングやぼんやりとして温かみのあるシンセのパッドの伸びも用いて、例えば黄昏時のオレンジ色に染まったビーチを眺めるようなサウンド・スケープが切なく迫りくる。アンビエントやニューエイジにバレアリックといった要素が一つなり、体の隅々まで清純な水が染み渡るような癒やしの音楽は、この上なく叙情的で忙しない現在の生活から心を解放する。2019年のベスト作品に挙げたくもあった素晴らしいアルバムだ。



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| TECHNO14 | 16:00 | comments(0) | - | |
Iury Lech - Otra Rumorosa Superficie (Utopia Records:UTO 001)
Iury Lech - Otra Rumorosa Superficie
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2017年には2ndアルバムである『Musica Para El Fin De Los Cantos』(過去レビュー)がCockTail d'Amore Musicから再発され、更にはそこから現行ダンスミュージックの気鋭がリミックスしたEPへと派生し、アンビエントやニューエイジが再燃する現在において注目を集める事となったIury Lech。スペイン生まれのLechは作曲家ではあるが、また作家や映画監督もこなすマルチアーティストで、1970年代後半から映像や音楽に関わるようになり長いキャリアを持っているが、特にスペインのニューエイジ方面では現在では多大な存在感を放つSuso Saizと肩を並べるアーティストのようだ。とは言っても恐らく知っている人は知っている…というような存在だったとは思うのだが、昨今のニューエイジ再興の流れの一環的に2ndアルバムが再発された事は日の目を見る機会となり、そして今度はデビューアルバムである本作がUtopia Recordsの再発シリーズであるUtopia Originalsからリイシューとなった事でLechへの再評価は間違いものとなった。元々は2つの短編映画「Final Sin Pausas」と「Bocetos Para Un Sueno」の為に書き下ろされたという本作は、それもあってかシネマティックで静謐な世界観がアンビエント/ニューエイジとの親和性は抜群で、終始浮世離れしたようなフラットな安楽が持続する。アルバムはぼんやりというかどんよりというか抽象的なシンセのドローンが睡眠を誘う物静かな"Bocetos Para Un Sueno"で始まり、宗教的な感覚もある荘厳なピアノが美しく反響する"Adagio Seme Janza"や、逆に柔らかなノイズ混じりのエレクトロニクスが持続するドローン・アンビエントの"Hipodromos De Acero"など、基本的にはビートレスで鎮静作用さえ感じさせる穏やかな音楽だ。10分超えの大作である"Emblemas"は物哀しく滴り落ちるようなピアノのメロディーにどんよりと揺らぐ電子音を合わせて、派手に展開する事もなくただひたすら切ない感情を誘うように、成程情景が浮かび上がるシネマティックかつロマンティシズムに溢れた作風だ。多くの曲では繊細で悲哀に満ちたピアノが主導し、そこにエレクトロニクスが静謐さを保ちながら味付けをする構成で、感情の昂ぶりは一切ないどころか精神の安定をもたらす癒やし的な響きに包み込まれていく。ニューエイジの文脈で語るには生真面目というか俗っぽさは無く、快楽的なアンビエントに振り切れるわけでもなく、やはり元々は映画音楽であった事から内面を掘り下げていくような感覚が強いが、それが深い穏やかな瞑想へと誘う効果へと繋がっている。



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| TECHNO14 | 21:30 | comments(0) | - | |
Joe Morris - Exotic Language (Shades Of Sound Recordings:SOS EL)
Joe Morris - Exotic Language
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作品をリリースし始めてからおおよそ10年、リーズ出身のバレアリック寄りのディープ・ハウスを手掛けるJoe Morrisが完成させた初のアルバムは、バレアリックからイタロにアンビエントやニューエイジにダウンテンポまで、現時点に於ける自身の活動の集大成的にバラエティー豊かなスタイルを盛り込んだ素晴らしい作品となった。過去にはIs It Balearic?やPleasure Unitからのリリースがある事からも分かる通り、Morrisの音楽性は大きな括りで言えばカラフルな色彩感覚を持つ穏やかなバレアリックになるのだが、本作にはダンスからリスニングまで豊かな感情性や深い情緒性によって心に訴えかける音楽性がある。ホタルの島と題された"Firefly Island"は微かな虫の鳴き声や波の音などフィールド・レコーディングも用いる事で自然の中の疑似空間を演出しており、緑の木々が生い茂り生命が宿る大地に降り立ったような神秘的なニューエイジでアルバムは開始する。続くPrivate Agendaをフィーチャーした"Perfume"は聖なる歌と繊細ながらも優雅でフォーキーな響きのダウンテンポで、甘く切ない10ccの歌が脳裏に浮かんでくるようだ。と思えばイタロ・ハウス風なカモメの鳴き声、そしてレトロなリズムマシンのベースやドラムがシカゴ・ハウスを思い起こさせる"A Dance With Jupiter"は、美しく透明感のあるシンセの旋律からトリッピーで明るいアシッド・サウンドも加わって、実に爽快感かつエモーショナルな空気を纏った古典的なハウスを踏襲している。その一方で湿り気のあるドラムや重いベース、遠くまでヌメッと響くダブ音響が効いた"Echo Station"ではダブやレゲエに取り組んでいるが、優雅なピアノやコズミックなシンセを用いて、アルバムから浮かないようにしっとりメロウな一片となっている。そしてまたも鳥の囀りに土着的なパーカッションを合わせ、幻想的なパッドやキラキラしたシンセを重ねた"Celestial Plantation"は、リズムがもし入っていれば90年代のアンビエント・ハウスかと思うような作風で、温かい太陽の光が降り注ぐリラックスした楽園的なムードは海辺のリゾート地か桃源郷か。また、やや毒々しいうねるアシッド・ベースを用いた"Acid Safari"は力強いパーカッションの鳴りが深い密林を思い起こさせ、アシッド・ハウスとトライバルの融合した切ないダウンテンポで面白い作風だ。曲毎に多彩な音楽性による個性があり実にバラエティーに富んだアルバムなのだが、しかし全体を包括する雰囲気は間違いなく楽園ムードのバレアリックで、爽快感あるダンスからしっとりスローモーなリスニングまでどれも抑圧とは無縁のリラックスした多幸感に満たされている。International FeelやHell Yeah周辺の音楽が好きな人にとっては、これ以上にドンピシャなアルバムはなかなか無いだろう。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Young Marco - Bahasa (Island Of The Gods:IOTG004)
Young Marco - Bahasa
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イタロ・ハウス/ディスコの発掘から現在形のアンビエントやバレアリックの展開など、自身で主宰するSafe Tripに於けるマネージャーとしての面、そしてソロ活動やGaussian Curveというユニットなどのアーティストしての面、このどちらで確かな才能を発揮しているYoung Marco。2014年にそんな音楽性を網羅したアルバム『Biology』(過去レビュー)から5年、遂に完成した2ndアルバムである本作は、バリのレーベルであるIsland of the Godsから。2014年に祖父のルーツであるインドネシアへ訪れた際に、バリ島を含む幾つかの島々へ足を運び現地の精神や雰囲気を得るべく、ガムランを演奏するThe Desa Babakan Gamelan Ensembleらとジャムセッションを行い、結果的には現在のアンビエント/ニューエイジのムーブメントに適合するように現代的なエレクトロニクスと伝統的なガムランが融合したアンビエント性の強いアルバムが完成した。いきなりエキゾチックな木管楽器の旋律、そして鳥の囀り等のフィールド・レコーディングから始まる"Kalapa Garden"からして木々が生い茂る深い森の神秘性が漂っており、そこに凛とした鉄筋や有機的な太鼓も加わり、都会の喧騒から離れた長閑で牧歌的な世界へと連れて行く。Aardvarckもフィーチャーした"All These Seas"では波を大々的に用い、そこにぼんやりと抽象的なシンセを重ねて、自然と同化する穏やかなアンビエントを展開する。"Moving Ornaments"ではガムランがディレイによって重層的に遠くまで響きながら、イタロ的な光沢感のシンセの伸びも相まって、爽快感のあるニューエイジ/アンビエント的だ。ぼんやりとゴング等が鳴りながらも抽象的で流動的に変化するシンセが手動する"Looking Back"はよりニューエイジ色が強く瞑想を誘い、そしてガムランやゴングの重層的な響きと水のような音のサンプリング等が脱力した酩酊感を生む"Time Before Time"はオーガニックなアンビエント色が強く、意識もさせない位に耳へとすっと入ってくる音楽はいつの間にか聞く者の心を癒やすようだ。最後の"The Beginning And End"は可愛らしいチャイムと流麗なストリングスがキラキラと響き、天界へと誘う如く全く汚れや闇の無い多幸感に満ちたバレアリックな響きによって、バリの神秘に溢れたアルバムは穏やかに終わりを迎える。当方はバリへ訪れた事は無いのだが、これが全てではないにしろバリの土着信仰や楽園や神秘といった雰囲気が伝わってきて、誰しも少なからずバリの魅力が感じられるアンビエント/ニューエイジに違いない。レビューが間に合わなかったものの、2019年のベスト候補の一枚であった位に素晴らしい。



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| ETC5 | 18:00 | comments(0) | - | |
Santilli - Surface (Into The Light Records:ITLINTL 04)
Santilli - Surface
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ジャンルレスにギリシャの辺境/秘蔵音楽に焦点を当てて活動するInto The Light Recordsも近年は「インターナショナル」シリーズとしてギリシャ外にまで範囲を広げ、しかし昨今のムーブメントであるアンビエントやニューエイジに寄り添う質の高い新たな音源の開拓をしているが、その一環となる本作はオーストラリアはシドニーで活動するMax Santilliのデビューアルバムだ。2018年にはAngophoraというユニットでエレクトロニック・オーガニックな土着アンビエントアルバムの『Scenes』を手掛けていたが、それ以外の活動は見受けられずまだ若手のアーティストなのだろうか。しかしある程度はこのレーベルが故にブランド的にまで高められた質の高さが保証されていたとは言え、実際に本作を聞いてみるとニューカマーによる音楽はInto The Lightというアンビエント/ニューエイジなレーベル性に沿いつつもエレクトロニクスとアコースティックの自然な調和が成すその素朴で穏やかな音楽は、雲一つ無い青空の下で太陽の光を全身で浴びるような気持ち良さだ。Santilliはマルチ・インストゥルメンタリスだそうでギターやシンセサイザーにパーカッションといった楽器も自身で演奏してアルバムを制作したようだが、その甲斐もあってか非常に有機的で温かみのある響きがメロウな世界観をより際立てている。冒頭の"Watching"からして遠くで鳴るような静謐なシンセに合わせ、切なく心に染みるアコギの旋律と空間を快活に抜けるパーカッションがリラックスしたムードを作り、土の香りを立たせながらもコンテンポラリー・ジャズのような作風だ。続く"Winter Breath"もしっとりしたベースとメロウなアコギのコード展開に軽やかなリズムを刻み打楽器が加わり、大地の芳香を漂わせながらも澄んで透明感のあるサウンドが心地好い。更にゆったりとしてテンポの"CRB"では膨らみのある大らかなパーカッションは逆に躍動感あるリズムを刻みつつ、そこに眠気を及ぼすようなトロリとしたシンセが薄っすらと伸びて穏やかな叙情を生み、アンビエント的な方向へも向かっている。その性質がより顕著なのが"Vision"で、朧気で抽象的なシンセのドローンで重厚感を出しつつバリのガムランようの密林系のリズムを重ねる事で、ゆったりと流体の如く変化しながら瞑想空間へと誘うこの曲は内なる世界へと落ちていくアンビエントだ。そしてアルバム最後の"Dawn"もやはり空間を抜けていくパーカッションとメロウなシンセのコードがじっくりと展開する清らかでピュアな構成で、豊潤な大地に囲まれた長閑な田園風景を思い起こさせるバレアリック/ニューエイジな曲は、最も切なくエモーショナルで最後を締め括るに相応しい。ECMのような静けさの中で輝くギターの響き、ゆったりと流れるエレクトロニクス、大地と共鳴するパーカッション群、それらはアンビエントやニューエイジにコンテンポラリー・ジャズといったジャンルをも汲んで日常の生活を潤すような音楽となり、BGMとしても非常に最適だ。勿論アンビエントやニューエイジの文脈からも、必聴と言わざるを得ない名盤だ。



Check Santilli
| ETC5 | 21:00 | comments(0) | - | |