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Ryo Murakami - Esto (Bedouin Records:BDNLP 002)
Ryo Murakami - Esto
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孤高の存在、いや隠棲的と呼んでもよいか、もはや踊らせる事を前提としたダンス・ミュージックに執着する事もなく我道を突き進むRyo Murakami。覚えているだろうか、かつてはPoker Flat RecordingsやQuintessentialsなどから洗練されたミニマルなディープ・ハウスをリリースしていた事を。しかしそれももはや忘却の彼方、2013年作の『Depth Of Decay』から突如ダンスビートからの脱却を図り、インダストリアルやドローンを含む抽象的な音響テクノへと転換した事で完全なるオリジナティーを確立し、音楽に対して自由である事を謳歌している。本作は2015年にリリースされたアルバムに続いて同様にアラブ首長国連邦のBedouin Recordsからリリースされた2016年作であり、彼にとって3枚目のアルバムとなる。RAの記事によれば「本人によると、タイトルの『Esto』はエスペラント語で「存在」を意味し、全11曲の曲名は、今思うことや感じたこと、願いや希望、絶望などを断片的に切り取った単語で構成」されているそうで、つまりはよりパーソナルな作品と考えられるだろうか。勿論音楽的に大きな変化があるわけではないが、しかし闇が支配しながらも前作よりは音の響きが生っぽいというかよりライブ感を得ているように思われる。始まりの"Pray"、祈りというタイトルにしては呻き声のような電子音から始まり不気味で宗教的な重苦しさがあり、不協和音のような音響が空間を捻じ曲げていく。膨れ上がる低音、闇を切り裂くメタルパーカッションによるヘビーでドローンな"Divisive"は静かに始まったかと思えば、途中から金切声のような電子音が雄叫びを挙げてインダストリアルな世界へと突入する。しかし続く"Thirst"はディストーションを効かせたギター風な電子音のノイズが持続するも、音の密度が減る事で途端に開放感へと向かい闇から這い出たような雰囲気さえも。が"Fanatical"では潰れたような生々しいドラムに錆びたメタルパーカッションが入ってきて、テンポを更に極限まで落としたドゥーム・メタルのようなダウナーさだ。B面に移るとより表現は豊かになり、痺れるような電子音の持続にピアノが滴り落ちてきて悲哀のムードになる"Doom"、意外にも小刻みに動き回る電子音が用いられて躍動的な動きのある(それでも尚重苦しくはあるが)"Sun"、グリッチ音のような音を用いつつも弦楽器風な音や錆びた電子音など様々な音を用いてエレクトロニカ的でありながら殺伐とした荒野が広がる"They Know"など、確かに感情表現が今までよりも前面に出ているように思われる。決して軽々しく聞き流せるような音楽ではなく非常に神経質的ではあるが、ノイズやフィードバックには繊細さもあり、この重圧を含む音楽は全身で音を浴びる事の出来るライブでこそ真価を体感出来る筈だ。音源を聞いて興味を持った方は、是非とも現場に足を運ぶべきだろう。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Miruga - Atmospheric EP (Foureal Records:FOR001)
Miruga - Atmospheric EP.

デジタルのみで、そしてベテランから新鋭まで日本人のみに焦点を当ててリリースを行ってきたShinya Okamoto主宰によるFoureal Recordsが、遂にヴァイナルでの制作を始動させた。デジタル配信が拡大する時代の中で、一部のレーベルは逆にヴァイナルのみのリリースに拘るなどこれは制作側にとってはある種の憧れにも近いのだろうが、当然リスナーにとってもヴァイナルで出す事の意味はそれなりの期待や品質の保証と捉えており、Foureal Recordsにとってはここからが新たなるステージの始まりを示唆しているようだ。ヴァイナルの第一弾には過去に同レーベルからもリリース歴のあるMiguraが抜擢されており、Ethereal SoundやBalance MusicにRough House Rosie等著名なレーベルにも作品を提供した経歴がある実力者である。ややエレクトロニックでハード目のテクノから情緒的なディープ・ハウスにジャジーなグルーヴまで作品毎にややスタイルを変えるが、基本的にはどの曲にもエモーショナルな響きを込められている。本作はややテクノ寄りな質が強いだろうか、"Predic"は硬めでダビーなパーカッションが空間を切り裂くような刺激があり変則的なビートで揺れる曲だが、浮遊感を伴い薄く伸びるようなパッドや美しいシンセのサウンドはひんやりとしながらも情緒的で、胸の内にソウルを秘めたように慎ましくもある。"Nature Drop"もダビーなパーカッションが奥深い空間の広がりとハードな響きを感じさせるが、キックはどっしりと地面に食い込むような安定の4つ打ちを刻んでおり、音響系のダブ・テクノと叙情性のディープ・ハウスが混ざりあったような爽快な曲だ。膨らみのあるキックと激しく打ち鳴らされるパーカッションによって疾走感を得る"Circle"、これももやもやとした幻想的なパッドが淡い情感を感じさせ、激しさの中にもMirugaらしいエモーショナル性が込められたテクノだ。レーベルの紹介ではオープンエアの朝方からクラブパーティーの早い時間帯向けとなっているが、確かにピークタイムの狂騒の中でと言うよりは成る程じっくりと耳を傾けて聞いて欲しい音楽性がある。



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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Esteban Adame - Descendants EP ( Epm Music:EPM15V)
Esteban Adame - Descendants EP
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Galaxy 2 GalaxyやLos Hermanosなど伝説的なユニットの一員として、また自身が手掛けるプロジェクトのIcanやThee After Darkとして、鍵盤奏者の力量を発揮し活動を続けるEsteban Adame。当然彼が手掛ける作品も単なるツール的な音楽と言うよりは、鍵盤奏者としての才能を感じさせる展開の広さや流麗なメロディーを活かした作風が多く、テクノにしてもハウスにしても、またはフュージョン性を打ち出した音楽でもデトロイトのエモーショナル性を前面に出たものが多い。久しぶりとなる新作の"Descendants"も彼の作品にしては随分と弾けるようなキックやキレのあるパーカッションが疾走するテクノ色の強い曲だが、そこに入ってくる伸びのあるシンセやコズミックな電子音の煌めきが感情性豊かに広がり、デトロイト・テクノらしい希望に満ちた世界観を作り上げている。全く情報が見つからないTresilloなる新鋭による"Tresillo Remix"は、原曲の飛翔していくような感覚に比べるとしっかりと地に根を張るように重心は低く安定感があり、切り刻まれるような規則的なハイハットの下ではうねるベースラインが躍動し、ややダークな空気を纏った夜のテクノを匂わせる。しかし本作で多くの人が注目するであろうのはデトロイト・テクノの始まりであるJuan Atkinsによる"(Juan Atkins Remix)"であるのは間違いない。これこそ正にAtkinsが得意とするエレクトロ・スタイルであり、痺れるような重低音のベースに鋭利なキックやハイハットのリズム帯が強調された攻撃性があり、しかしそこには広大な宇宙の深さが広がるコズミックかつエレクトロなピコピコサウンドも大胆に導入され、古き良き時代のデトロイト・テクノの現在形としての形も成している。言われなければ分からない程に完全にAtkinsの作風に染まっており、近年の活発な音楽活動が実っているいる証拠だ。



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| TECHNO13 | 21:30 | comments(1) | trackbacks(0) | |
Yagya - Stars And Dust (Delsin Records:118dsr-cd)
Yagya - Stars And Dust
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今や昔懐かしクリック・ハウスなるジャンルの先導的立場であったForce Inc.というレーベルが、そのバブルが弾けレーベルも休止をするその少々前に華々しくデビューさせたのがアイスランドのAoalsteinn GuomundssonことYagyaで、GasやBasic ChannelにBrian Eno等のダブテクノからアンビエントに強く影響を受けた音楽性が一部の人に注目され、レーベルが停止した影響の希少さからもカルト的な扱いを受けていた。近年はマイペースに活動を続けておりどういう訳か2014年にはデトロイト・テクノ系の音には強いオランダはDelsinからもアルバムをリリースしているが、そこでの評価も良かったのだろうか次作の2016年作となる本作も同様にDelsinからリリースされている。作品毎に極寒に覆われたようにチリノイズが浮遊するダブテクノから、女性ボーカルも導入したポップでアンビエント性の高いテクノ、またはビートに重きを置いたグルーヴ重視のダブテクノなど、多少の変革を用いながらアーティストとしての進化/深化を遂げているが、本作でもまた今までの作風から変化を見せている。浮遊感と抽象的で淡い響きのある上モノが広がっていく"Train Station's Dustlight"からして、4つ打ちのビートは入るもののパーティーでの強烈なグルーヴとは異なる水面に波紋が広がるような穏やかなリズムで、アンビエント性を高める事に寄与しているようだ。"Crepuscular Rays Over The Horizon"は雪の中でほんのりと火が灯るような温かいピアノの旋律をしんみりと聞かせて、そこに荘厳なパッドや宗教的な女性の声を楽器的に伸ばしながら、実に幻想的で儚いダブテクノを聞かしている。日本人女性のNatsuko Yanagimotoを起用した"Motes In The Moonlight"は、ダウンテンポ気味の詰まったようなリズムと程良いリバーヴを用いてダブの音響面が強調されているが、やはり幻のような声が用いられる事で世界観としてはドリーミーなアンビエントに満たされている。確かにどれもダブの音響やアンビエントな浮遊感はあるが、例えば傑作と呼ばれるデビュー作の『Rhythm Of Snow』(過去レビュー)のような極寒の中の吹雪が吹き荒れるような荒々しいアブストラクトなダブテクノではなく、同じ雪景色でも静寂の白の世界にしんみりと雪が降り積もるような感覚であり、音調は一定して穏やかだ。聞きやすい分だけYagyaとしての個性は弱まったように思う所もあるが、しかし官能的でさえある美しいメロディーや音響は特筆すべきで、この手の音楽の模範とされるべきにも思われる。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Heavenly Music Corporation - Lunar Phase (Astral Industries:AI-06)
Heavenly Music Corporation - Lunar Phase
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UKはロンドンにて昔の埋もれた奇妙な電子音楽を掘り起こすカルト的な活動をするAstral Industries。基本的にはヴァイナルに拘った制作も前提で、そんな事もありちょっとした注目を集めているであろうレーベルが次に掘り起こしたのは、1995年にKim CasconeことHeavenly Music Corporationが手掛けた『Lunar Phase』。何でもこちらは日本衛星デジタル音楽放送のSt. Giga用に制作されたアルバムだそうで、24時間環境音を流し続けるという正にアンビエントを体現していた放送局だったようだ。そんな局の為に制作された音楽なのだから当然内容は全編アンビエントやニューエイジと呼ばれるもので、特に『Lunar Phase』というタイトルからも分かる通り宇宙空間や無重力感を連想させる曲が中心で、トリップする為の音楽としては最適だろう。アナログ化に際し曲順には手が加えられており、A面には10分越えとなる"Energy Portal"と"St. Giga"が収録されているが、川のせせらぎや鳥のさえずり等の環境音に人の声も用いながら天の川の中を遊泳するような電子音が漂うドリーミーなアンビエントの前者、星が瞬くような電子音を散りばめて広大な夜空を表現したような無重力アンビエントの後者、どちらも地球の重力から解き放たれ宇宙遊泳に没頭するようなトリップ感が溢れている。一方でB面には6分前後の曲が4曲収録されており、遠くまで広がっていくような電子音のリフレインが心地良い"Lunar Phase"、光の粒子のような音がアルペジオをなぞり上昇気流にのって宇宙空間を飛翔するような"Cloudless Light"、最後には空間が捻れるような電子音の奥でアシッドが蠢く不気味なジャーマン・プログレ風の"Orgone"と、A面に比べると何だか躍動感も多少は感じられる。地球から浮上し自らが月となって地球や宇宙を見渡す如くの何処までも広がりのある揺蕩うアンビエント、決して今聞いても古臭さは感じさせずに十分にインナートリップを誘発するには十分過ぎる程の内容だ。本作のリイシューはAstral Industriesというレーベルの評価を高める事にも寄与するに違いない。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prism - Fallen Angel (Special Remastered Edition) (Sublime Records:MMCD20013/14)
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テクノ/ハウスという枠組みを、そしてダンス・ミュージックの枠も、更には日本を越えて世界的にも高い評価を得ていたSusumu Yokota。2015年にお亡くなりになった以降、彼の今では入手困難な初期作品が続々とリイシューされており、本作はその一環となる1997年作の再発だ。同じ名義による1995年作の『Metronome Melody』(過去レビュー)では甘美なハウスに大胆なブレイク・ビーツも持ち込んで傑作と呼ばれる程の内容であったが、更に本作はその路線を引き継ぎつつより金属的な響きや変則的なリズムを進化させ、よりバリエーションの豊かさを拡張している。始まりの"4°C"からして既に硬く金属的なパーカッションがキモとなるリズムを作っており、そこに透明感のある電子音がぼんやりと、そして揺蕩うように繊細に配置され、今思うとエレクトロニカとディープ・ハウスの掛け渡しを早くも行っていたようにも思われるアンニュイな曲だ。"Diamond Head"ではよりリズムが尖って鋭角的なグルーヴとなり、荒々しくもありつつ穏やかに感じられるのは繊細な電子音の使い方が故だろう。ディープ・ハウスが忘れ去られた訳でもなく"Flicker"では正にそれを実践しているが、その無駄な音が削ぎ落とされた先に辿り着く侘び寂びや寂静の世界はYokotaの十八番と呼びたくなる。後のリズムへの探求にも繋がるであろう試みはここではドラムン・ベースとして現れており、"81/2"や"Black Or Color"では変則的でしなやかなドラムン・ベースと甘美なディープ・ハウスの融和として成功させ、完全に自分の音として完成させている。音楽活動の後半に入ったYokotaはどんどん音楽性を拡張させていった事実があるが、その予兆はこの頃から既にあった事を再認識させるアルバムだ。そして再発にあたりEPからの曲や未発表曲を纏めたボーナスディスクも付いてくるが、アンビエント・ドラムン化した"4°C (Spacetime Continuum Remix)"や透明感や甘さを保ちつつ骨太なハウス化した"Key (Aubrey's Solid Groove Remix)"のリミックスの魅力、また『Fallen Angel』の自由度が更に拡張されユーモアも含んだ未発表曲など、これらもYokotaの豊かな創造力の結実であり掛け値なしに素晴らしい。『Metronome Melody』に負けず劣らずの傑作である。



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| TECHNO13 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Anthony Child - Electronic Recordings From Maui Jungle Vol.2 (Editions Mego:EDITIONS mego 230)
Anthony Child - Electronic Recordings From Maui Jungle Vol.2
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ハワイはマウイ島のジャングルにモジュラーシンセを持ち込んで、自然との一体感の中でインプロビゼーション的に制作を行ったVol.1から1年、その第2弾が早くも到着した。制作はUKハードテクノの重鎮であるSurgeonことAnthony Childで、ハードテクノのみならずアンビエントやドローンの音響にも長けている彼だからこそ、決してハードなだけではない聞かせるテクノに対しても小手先にならずに前作で環境音と調和したライブ感溢れるテクノを披露していた。特にキモとなるのがここ数年復活というか流行りになっているモジュラーシンセを用いた制作環境で、その機材に魅了されたChildはDJプレイにもそれを持ち込んでDJとライブの狭間にあるような挑戦も行っており、その延長線上にあるのが大自然の開放感の中で制作をするという本シリーズなのだろう。モジュラーシンセの規格故に本作もVol.1と作風は大きく変わらずシンセのモノフォニックでアルペジオを多用した旋律、そして背景にはジャングルで録音されたであろう虫の鳴き声や鳥のさえずりにしとしとと降り注ぐ雨音に木々のざわめきまで流して、フィールド・レコーディングの手法を用いてドローンやアンビエントを展開している。オープニングに用意された"Open Channeling"は早速虫の鳴き声を用いつつミニマル的な反復のアルペジオのシンセが鳴らし、少しずつ変化を導入しながらアルバムの流れへと引き込むような催眠の効果が働いている。"Old Technology"も同様に虫の鳴き声が浮かび上がりジャングルの中にいるような錯覚を覚えるが、メロディーはより抽象的になる事でドローンとしての作用が強くなり、シンセと自然音の一体感が打ち出た事で空間の広がりに繋がっている。ラストの"Farthest Known Object"はおどろおどろしいドローンと共に複雑な電子音が星の煌きのような始まり方だが、次第に奇怪な電子音がパルスのように響いては引く波のように消え、そこから森林の生命の営みの響きが立ち上がってくる事でジャングルという大自然のへの回帰を示唆している。モジュラーシンセという原始的な機器を原始の森に持ち込み、その場の開放的な空気を肌に感じながら録音された本作は、決して複雑な作品ではないがインスピレーションを元に生まれた大自然が広がるサウンド・スケープだ。とは言いながらも作風としては出来上がっておりこれ以上の進化は無いだろうし、コンセプトありきのシリーズとしては本作で打ち止めでも十分ではないかと思う。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
TC80 - Vestiges Of Fools (Cabaret Recordings:CABARET 010)
TC80 - Vestiges Of Fools

日本から世界へ、アンダーグラウンド性の高いミニマルな楽曲性を追求して確かな評価と人気を獲得しているCabaret Recordings。dj masdaとSo Inagawaによって運営されているこのレーベルは、アナログでのリリースに拘り配信も一切行わないが、多くのテクノ系のDJを魅了してこのご時世にもかかわらず比較的多めにプレスされながらも販売から直ぐに売り切れになる程の人気だ。基本的にはDJが使うためのツール性の高い音楽である為にアルバムよりもEPに力を入れているが、珍しくフランス人DJのTC80が手掛けた本アルバムが2016年にリリースされた。しかし単にミニマルなだけのアルバムと思っていたら、そんなレーベルに対する思い込みは誤りであったと気付かされる。実際にCabaretのパーティーに参加している者であればエレクトロやブレイク・ビーツもプレイされていた事を身をもって知っている筈で、そこからの流れで本作を聴くとあぁなる程と納得するようなレーベルの多様性を感じ取れるだろう。タイトル曲である"Vestiges Of Fool"からして端的にそれを表現しており、音の数を絞りミニマル性を強調しながらもリズムは変拍子を刻み、ベースの動きや情緒的な上モノによって雰囲気を作っていくミニマル・ハウスは、確かな機能性とそれだけではないリスニングとしての面を兼ね備えている。"Seed"も微かな上モノや奇妙な効果音が漂っているものの、リズムは更に複雑かつ鋭角的になり刺激的なエレクトロ調を強め、"Shadhahvar"でもつんのめるようなブレイク・ビーツに怪しさ漂う電子音のエレクトロで闇を誘う。エレクトロとブレイク・ビーツの探求が最も強く出た"Interfaces"は、そのピコピコな電子音や生々しいビートからデトロイト・エレクトロさえも思わせるが、それでも尚ミニマルなトラックとの親和性を持っているのがCabaretらしい。アルバムの中で唯一の端正な4つ打ちを刻む"Chrono Trigger"、そのスタイルもあってすっと流れるようなすっきりしたグルーヴと控え目にメロウな上モノによって、朝方のフロアにもはまりそうな穏やかな響きをするミニマル・ハウスだ。フロアを意識したツールとしての機能性は前提にありつつ、しかし曲そのものを聞くリスニングとしての質もあり、アルバムとしてリリースされたのは適切だろう。Cabaretのレーベル性を理解するに相応しいアルバムだ。



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| TECHNO13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Vermont - II (Kompakt:KOMPAKT CD 114)
Vermont - II
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Motor City Drum Ensembleとして名を馳せるDanilo Plessowと、Innervisionsからの作品で高い評価を受けるMarcus Worgullによる異色タッグのプロジェクト、Vermontによる2枚目のアルバムがケルンはKompaktより到着。彼等が普段制作するエモーショナルでパワフルなディープ・ハウスとは異なり、ヴィンテージなアナログ・シンセ等を用いて抽象的で深い精神世界を探求するようなジャーマン・プログレやクラウト・ロックの系譜に連なる音楽性を展開し、直球のダンス・ミュージックではなく実験としての探究心を推し進めたであろうプロジェクトだ。路線としては前作から大きな変化はないが、しかしミニマルなアコースティック・ギターを用いた1曲目の"Norderney"は現代ミニマルのSteve ReichやManuel Gottschingを思わせる作風で、研ぎ澄まされたアコギの耽美な旋律を軸に瞑想的な電子音やコズミックなSEを散りばめて穏やかな宇宙遊泳を楽しむような感覚だ。"Gebirge"は70年代の電子楽器と戯れるジャーマン・プログレの延長線上で、半ばミステリアスささえ漂わせる電子音が闇の中で不気味に光るように響いて瞑想的なアンビエントの感覚も生んでいる。"Demut"や"Hallo Von Der Anderen Seite"もビートが入る事はなく強弱と旋律に動きのある奇妙な電子音を最小限用いて、その分だけ音の隙間が空間的な立体感を生んでおり、何か物思いに耽るような磁場が作られている。普段のDaniloやMarcusの音楽に慣れ親しんでいればいる程、肉体を刺激する音楽とは対照的なコズミックな電子音によって精神へ作用する音楽を展開するこのプロジェクトには意外に感じるだろうが、それが単なる小手先の音楽になっていないのは二人のジャーマン・プログレに対する理解の深さ故なのだろう。電子音との戯れはKompaktらしい実験的なアンビエントの響きもあり、異色さだけで注目されるべきではない深い精神世界を彷徨うリスニング・ミュージックとしてお勧めしたい。



Check "Motor City Drum Ensemble" & "Marcus Worgull"
| TECHNO13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |