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Outro Tempo : Electronic And Contemporary Music From Brazil 1978-1992 (Music From Memory:MFM016)
Outro Tempo Electronic And Contemporary Music From Brazil 1978-1992
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『1978〜1992年のブラジル産電子音楽と現代音楽』という分かり易い直球タイトルのコンピレーションを手掛けたのは、アムステルダムを拠点とし現代バレアリックや失われた遺産の発掘に勤しむMusic From Memoryだ。特定のジャンルで言及される活動ではなく、実験的精神とバレアリックな雰囲気の融和の方向に向かい歴史の狭間に埋もれてしまった良質な音楽の再発見を続ける重要かつ人気レーベルであり、まだ活動期間が長い訳ではないものの間違いない審美眼は信頼の置けるものだ。勿論本作もブラジルをコンセプトにしているからと言って素直なサンバやボサノヴァが収録されている筈もなく、タイトル通りに一般的なブラジルのイメージからは想像も付かない現代電子音楽がこれでもかと紹介されており、ブラジル音楽に対するイメージを一新させる事は間違いない。筆者には当然ながら収録されたアーティストについて全く知識を持ち合わせていないが、しかしだからこそイメージに左右される事なく素直に音そのものを聞き入れる事が出来て、ブラジル音楽の新たな魅力に触れる事が出来た。Piry Reisによる"O Sol Na Janela"は煌めく電子音と爽やかなアコギに色っぽさもある歌が絡むフォーキーな曲で、確かにブラジルの涼風が吹き抜けつつもラウンジ・ミュージック的だ。Nando Carneiroの"G.R.E.S. Luxo Artesanal"は軽快なリズム感や哀愁のアコギからはブラジリアンな要素が発見されるが、そこに入ってくる遊び心もあるような電子音が印象的だ。と思えばFernando Falcaoの"Amanhecer Tabajara (A Alceu Valenca)"は不思議な音色と打楽器を中心とした現代音楽×ミニマルのような作風でジャングルに迷い込んだようなスピリチュアルな雰囲気もあり、Anno Luzによる"Por Que"では無重力なシンセを用いたアンビエントな幕開けから悲哀のピアノやアコギによってぐっと切なさに染まっていく情緒的な響きもあり、電子音楽のユニークさとブラジルの空気が見事に一つとなっている。その他にもバンジョーを用いてエキゾチック感を含ませつつカリンバやハープ等の多くの生楽器を用いて瞑想へと誘うニューエイジ風の"Gestos De Equilibrio"、そして世界各地の民族楽器の人力演奏によって15分にも及ぶ大地との交信を図ったかのようなサイケデリックかつサウダージなワールド・ミュージックの"Corpo Do Vento"と、陽気な雰囲気の中にも霊的な世界観さえも持っているのはアマゾンという原始の森があるブラジルだからこそからか。面白いが決して難解ではなく、様々な民族・文化が溶け合ったようなブラジルの混合性があり、そして何よりも馴染みやすいロマンティックな響きがあり、またしてもMusic From Memoryのレーベルカラーを見せ付けた選曲が素晴らしい。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Michal Turtle - Phantoms Of Dreamland (Music From Memory:MFM011)
Michal Turtle - Phantoms Of Dreamland
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バレアリック、エクスペリメンタル、アンビエント等、そして国境を跨ぎながら世界各地の世に知られてない、または発売されてさえもいない音楽を掘り起こし、再評価のきっかけを作る事で高い評価を得ているMusic From Memory。そのレーベルが2016年に発掘したのはUKのドラマーであるMichal Turtleで、個人の作品としては1983年にアルバム『Music From The Living Room』だけの一枚を世に残している。本作はそのアルバムから一部と他に同時期に制作された未発表曲を纏めたコンピレーションで、実際には8割は未発表曲であるから、殆ど初お披露目のニューアルバムと呼んでも差支えはない。Turtleはドラマーではありながらギターやベースにキーボード、管楽器や打楽器までプレイするマルチプレイヤーで、ここに収録された曲でも殆どの演奏を自身で行うなど、頭の中にあるアイデアはDIYなるTurtleの手によって音となり形容のし難い実験的な世界観を構築している。始まりの"Loopy Madness II"こそ耽美なローズに美しい残響広がるギターなど用いた開放感ふんだんバレアリック系のインストだが、続く"Village Voice"から宗教的なボンゴのミニマルに般若心経を唱えているような歌による亜空間への誘いらしき曲で、Turtleの豊富なアイデアによるエクスペリメンタルな音楽性が広がっていく。と思えば"Maid Of The Mist"ではクラビネットの朗らかな響きと優しいアコースティック・ギター等を活かした長閑な昼下がりのイメージだったり、"Ball Of Fire"ではファンク調のベースに分厚いアナログシンセが酔いしれるような旋律を奏でてフュージョン性があったりと、曲毎にジャンル性は転調していく。そして、テープに録音したボンゴを用いて土着的なグルーヴと密林のような怪しさを感じさせる"El Teb"、調がずれたようなメロディーと不思議な電子SEが浮遊するニューエイジらしき"Spooky Boogie"、ポスト・パンクとダブの混合のようなひりついた緊張感のある"Phantoms Of Dreamland"、アルバムの中には試行錯誤か果敢なチャレンジかの判断はつかないものの多彩な音楽性に取り組んでダンスからリスニングまで楽しめるバラエティに富んだ内容になっている。Music From Memoryもよくぞこんな秘境の果てにあるような音楽を掘り起こしてくるものだと感嘆せずにはいられないが、確かにレーベルらしい実験的な要素と多少のバレアリック感もあり、Music From Memoryらしさが伝わる作品だ。



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| ETC4 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Suzanne Kraft - What You Get For Being Young (Melody As Truth:MAT5)
Suzanne Kraft - What You Get For Being Young
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Music From Memory等のレーベルによる静謐なバレアリック/アンビエントへの注目は今や疑いのないものだが、その流れに共振するレーベルとしてUKのMelody As Truthも注目して間違いはない。Crue-l RecordsのDiscossessionの元メンバーであるJonny Nashが2014年にUKにて設立したレーベルであり、基本的にはLPでのアルバム制作にてアンビエント〜ニューエイジにも近いリスニング志向の音楽性を突き詰めていて、静寂の中に美しい情景が浮かび上がるような耽美な音が特徴だ。そんなレーベルの5作目はアムステルダムを拠点に活動するSuzanne Kraftによるもので、2015年に同レーベルよりリリースされた『Talk From Home』も高い評価を得て注目されるべき存在になっている。活動の当初はRunning Back等からモダンなニューディスコをリリースしていたようだが、それにも黄昏時のメランコリーにも似た郷愁が存在しており、その路線を更にリスニングへと向けているのが現在の作風なのだろう。本作は朧気なドローンが伸びる中に淡いシンセが長閑な旋律をなぞる"Body Heat"で、極彩色の光が交じり合い幻想的な光景を生むような開始をする。続く"Bank"はアルバムの中でも最もリズムが強調された曲だが、芳香のように立ち上がるギターや光沢のあるシンセも導入して異国情緒も匂わせる原始的な響きも。"One Amongst Others"も尖ったリズム感があり軽快さを生んでいるが、牧歌的な鍵盤使いにほっと心がリラックスさせられる。そして"Fragile"はビートレスながらも動きの早いシンセが活発なリズムに繋がっていて、夢のようなアンビエントな心地良い響きの中にもグルーヴが感じられる。"Ze"は本作の中でも最も静謐な曲だろう。音を削ぎ落としながらピアノやシンセのディレイを用いたドローンによって引いては寄せる波のような揺らぎを生み、その反復が深い瞑想状態を導くような静けさの中に美しさが際立つアンビエントだ。最後も同様にアンビエントらしい"Further"だが、ここでは空間を埋めるようにぼやけた電子音が持続する中に鈍い金属音がアクセントを付けていく動きのある曲で、盛り上がりながら感動的なラストを迎える。ぼやけた電子音の中にちょっとしたオーガニックな響きが温かさを作り、さりげなく実験的でもありながらメロウでもあり、単なるイージーリスニングとは一線を画すアルバムだ。



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Gigi Masin - Wind (Suburbia Records:SUCD-3002)
Gigi Masin - Wind
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来週には念願の初来日を果たすイタリアのアンビエント/音響音楽家であるGigi Masin。2014年にMusic From Memoryがレア&未発表曲を取り纏めた『Talk To The Sea』によって、それまで気が付かれる事なく埋もれていたMasinの存在は途端に世界に知れ渡る事になり、ようやくその耽美な響きやメロウな心象風景を喚起させるイマジネイティブな音楽性が正当な評価受けた。2015年には失われていた1986年作の『Wind』(過去レビュー)がアナログのみでリイシューされ更なる再評価を得るに至ったが、日本ではメロウな音楽を探求する橋本徹による"Good Mellos"シリーズの一環として、『Wind』が2016年に世界初CD化としてリリースされた。オリジナルの内容についてはアナログ盤の過去レビューを参照して頂きたいが、CD化に際しては1985〜88年に制作された未発表レコーディングやサンプリング・クラシックとなった「Clouds」のライブ・バージョンも収録されており、単なるリイシューの粋を越えたアルバムになっている。未発表曲についてもオリジナルと同年代に制作された楽曲なので世界観としては共通し、透明感のある電子音にピアノやギターにベースから管楽器まで用いたあるがままのアンビエントな室内楽で、その言葉通りに元々環境音として存在していたかの如く自然な鳴りをしている。決してリスナーに対し意識的に親しみやすく接するような音楽と言う印象よりは、よりプリミティブと言うかあるがままの私的な感情を表現したようにも思われ、お洒落や安っぽいムードを意図したニューエイジやアンビエントとは一線を画している。感情の起伏を刺激しないように何処までも穏やかで、しかし豊かな情緒性を持った世界観はシネマティックで、聴く者にとっては一時的な安楽の時間をもたらす事になり、行き着く先は桃源郷だろう。近年の再評価によって今では積極的にライブを行うようにもなったMasinだが、その成果はラストに収録された"Clouds (Live Version)"で体験する事が出来る。言葉にする事も出来ない美しさ、琴線を震わす哀愁はライブによって更に増しており、来日ライブの期待は高まるばかりだ。



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| ETC4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Your Song Is Good - Waves (Kakubarhythm:KAKU077)
Your Song Is Good - Waves
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元々アナログ媒体の多いダンス・ミュージックの業界に限らず今や音楽シーン全体でアナログ熱が再燃しているのは明白で、そして敢えてデータ配信も行わずにアナログのみで音源を送り出す事さえも増えてきているこの頃。本作もデータ配信の予定は現時点でなくアナログ限定となるが、現在の日本のテクノ/ハウスでは世界に数少なく通用するGonnoがリミックスを提供している事に、今ままで熱心にアナログを愛してきたファンは歓喜すべきだろう。Your Song Is Goodは1998年から活動する日本のインストゥルメンタルバンドだそうで、しかし活動の初期からアナログでEPをリリースしており、決して本作が今のアナログブームに乗っかっただけではない。ようやく時代が彼等のスタイルにはまっただけなのだろうが、先ずは何よりも音楽だ。オリジナルとなる"Waves"は夏のトロピカル感溢れるレゲエでディスコな、そして開放感溢れるバレアリック・サウンドを展開している。クラブの電子的なダンス・ミュージックらしさとは異なり、ギターやベースにドラム、オルガンやトロンボーンなど完全に人力の演奏による弛緩しつつ気ままなセッション性に従ったようなプレイは、真夏の蒸し暑さの中でも爽快な空気に満たすような制汗剤のようで、このレビューが真冬の今にまで遅れてしまったのがもったいない夏向けのトラックだ。そして恐らく本作を購入する大半の人の目的はGonnoがリミックスした"Waves (Gonno Remix)"に違いないだろうが、今までにも「森は生きている」やアイドルである「チームしゃちほこ」のリミックスを行ってきた経緯からも分かる通り、普段のフィールドとは異なる音楽であろうと見事にGonno色に染めてしまう事は保証されている。リズムは駆け抜けるような4つ打ちへと生まれ変わり、そして原曲の夏らしいメロウかつ開放感を陽気に弾けるパワーへと転換させたバレアリックなサウンドは、底さえも見えない程のポジティブな心象が投影されている。闇や陰気を振り払い前へ前へと進み続ける事で今という先の見えない不安な時代を生き抜く、そんなエネルギーが爆発したかのような光を発散し、闇を照らし出すハイエナジーなハウス・ミュージック。原曲の雰囲気を損なわずにGonnoとしか言いようのない熱量の高さを付加し、パーティーのピークタイムでも、または朝方のドリーミーなフロアでも多幸感に包み込むであろう期待通りのリミックスだ。





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Sad City - Shapes In Formation (Emotional Response:ERS025)
Sad City - Shapes In Formation
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昨年のレビューには申し訳ない事に間に合わなかったものの、2016年度のベストに選出したい程に聴く回数の多かったアルバムが本作だ。手掛けているのは北アイルランド出身、グラスゴーを拠点に活動するGary CaruthによるSad Cityで、Phonica Records Special Editionsからのたった2枚のEPが注目を集め、長らくアルバムが待たれていたアーティストだ。フィールド・レコーディングを多用しつつアンビエントとサイケデリアの幻想的な風景を描き出すそのサウンドは、現実と非現実が交錯する夢の狭間と言うべきか、立体的な空間が目にも浮かぶような音響を奏でている。アルバムも以前からの作風から変わる事はなく期待通りにフィールド・レコーディングを用いる事で、リアルな音楽体験をより打ち出す事に成功している。始まりは溜息のようなサンプルが反復する"Rain Call"、視界も歪むパルスのようなビートはカットアップしたような効果もあり、そこにドリーミーな上モノがぐっと情感を植え付けて微睡みの中へと誘い込まれてアルバムは開始する。現代音楽らしい静謐なエレクトロニカの前半から、雑踏の呟きのようなサンプルが反復しグリッチ的なヒップ・ホップのリズムへと変化していく"Pace, Movements I-IV"は、11分にも及ぶ壮大なサウンド・スケープを描き出す。細く鋭角的なリズムが用いられた"People + Plants"は最もハウシーな作風だが、ここでもフィールド・レコーディングは効果的に使用され、そして間を活かした繊細なグルーヴも相まって創造力をより働かせるような曲になっている。"Steady Jam"も12分近くの大作だが、朝の清々しい目覚めを呼ぶようなボーカル・サンプルとジャジーでロウなビートから始まり、徐々に輝かしく生々しいピアノが天上から降り注いだりする流れは、その剥き出し感強いサウンドが明るいロウ・ハウスにも思われる。特に"Smoke"ではサイケデリックな正にスモーキーな音響が覆い尽くす中に、凛とした電子音が散りばめられたアンビエントなディープ・ハウスで、何処か荒々しいエモーショナルなデトロイトのそれを思わせる作風だ。そしてアルバムは環境音が持続する"Water"と、ざらついたフィールド・レコーディングの中に不思議な呟きが挿入される"Again"の短い2曲で、旅の終わりを示唆するように儚く音が消えていく。全編おしゃべりのようなサンプリングや環境音が用いられる作風は、それにより現実的な体験を強くする効果とサイケデリックな感覚をより強くし、Sad Cityの儚くも美しい桃源郷への旅へと誘うのだ。アナログ盤にはダウンロードコードも付随しており、そちらでボーナス・トラック3曲も落とせるようになっているので、アナログリスナーには是非アナログ盤の購入をお勧めしたい。



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Beauty: A Journey Through Jeremy Underground's Collection (Spacetalk Records:STLKCD001)
Beauty A Journey Through Jeremy Undergrounds Collection
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My Love Is Undergroundという単刀直入に意思表示をするレーベルは、2010年に発足した比較的新しいレーベルながらも90年代のUSハウスから特に影響を強く受け、しまいにはそのディガーとしての深い知識を基にレアな作品を掘り起こしてオールド・スクール・ハウスのコンピレーションを制作してしまった。その主宰者こそフランスのJeremy Underground Parisで、まだ30歳程と比較的この業界では若いながらもUSハウスに対する深い造詣と間違いの無い審美眼はレーベルの成功からも理解出来るだろうが、本作は彼がそんなディガー精神をジャズ/ファンク/ソウル/ディスコへと向けた作品集だ。マニアとしてのプライドが爆発したのだろうか、または当方がこの手の音楽に馴染みがない事を差し引いても、本作には一般的なクラブ・ミュージックを嗜むだけでは馴染みのない曲が収録されている。クレジットを見る限りでは7〜80年代の曲が中心となっているが、おおよそジャンル的には何か特定に集約させるのは難しい。アルバムの始まりはRon Rinaldiによるフォーキーでソフト・ロックらしい"Mexican Summer"で、爽やかなアコギの響きと可愛らしいエレピが控え目に甘さを醸す歌モノだ。続くはブラジルのシンガーであるLeila Pinheiroによる"Tudo Em Cima"で、序盤はAOR調ながらも中盤からはブラジルらしいサンバのリズム感も挿入されて、軽快なグルーヴが実に心地良い。またはN C C Uの"Superstar"やSonya Spenceの"Let Love Flow On"のように官能も滲み出るメロウ・ファンクもあれば、Al (Alonzo) Wilsonのチョッパーベースが弾けるダンス色の強いディスコ・ファンクな"Love You Girl"、そして繊細なで自由なドラムのリズムに滴るような耽美なピアノと官能的な歌が一体となるCreative Arts Ensembleによるジャズ・トラックの"Unity"まで、ジャンルに幅はあれど時代感や音の響きと言う点においてのある程度の統一性は感じられる。特にアルバム・タイトルが示す「Beauty」という時代を越えていく曲そのものの普遍的な美しさでは間違いがなく、単なるレアな作品集に陥る事なく名作を掘り返して世に周知するディガーとしての役目をJeremyは果たしている。またDisc2ではJeremyがささやかに各曲をミックスして曲間が途切れる事なくMIXCDとして聞けるが、折角の名曲揃いなのでミックスされていないDisc1でそれぞれの曲をフルレングスで楽しむのが良いだろう。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
La Torre Volumen Uno (Hostel La Torre Recordings:HLTR001)
La Torre Volumen Uno
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バリアリックと言えばイビサ、そして現在のバレアリック・シーンを引率するレーベルはInternational Feel。本作はそんな場所やレーベルに縁のあるコンピレーションで、イビサ島にあるホテル「Hostel La Torre」で夏の間にInternational FeelのボスであるMark BarrottがBGMを担当した事から、そこでの選曲をベースにLa Torreにもたらそうとしていた「エッセンスとスピリット」を盛り込んだそうだ。筆者はイビサに行った事がないのでそこでの雰囲気をリアルに体験する事は不可能だが、しかし本作を聴けば少なからずイビサの空気感とバレアリックがある特定のジャンルではなくある雰囲気を持つ音楽の集合体である事を理解する事は可能だ。本作はジャンルや時代に壁を作る事なく選曲がなされており、実験的なアフリカン音楽にエキゾチック、無国籍に中東レゲエ、シンセポップに最新のバレアリックまで収録し、それらが一体となりバレアリックという雰囲気を作り出しているのだ。アルバムの前半は一般的なダンス・ミュージックではなく異国情緒もあるワールド・ミュージックとしての性質が強く、アフリカンながらもミニマルな展開で持続感を有む"Forest Nativity"で始まり、可愛らしさを発するボーカルとトロピカル感が控えめに甘さを匂わす"Comme Ca"、メロウなフォークの中に東洋的な雰囲気もある"Air A Danser"など、有機的な響きと肩の力が抜けたリラックスした流れが爽やかな開放感を生んでいる。中盤のSpookyによる"Orange Coloured Liquid"は90年代前半のアンビエント・ブームの系譜にある浮遊感の中に意識も溶け込んでしまうバレアリックで、そこから現行バレアリックのCantomaによるアコースティック・ギターが夕暮れ時の切なさを誘う"Tabarin"への流れは、得も言われぬ恍惚感が溢れ出す。そしてバレアリック急先鋒に属するAndrasの"Gold Coast (Surfer's Paradise Mix)"も、ドラムン・ベースのビートを刻みつつも何処までも澄み切った清涼感のあるピアノやストリングスが穏やかな情景を浮かび上がらせる。後半にはBarrott自身による正にタイトル通りな"Deep Water"が待ち受けており、土着的なパーカッションや笛の中から清き水が溢れてくるようなエキゾチック・アンビエントには、もはや身も心も溶けてしまう。そして最後の"White Diamond"、ゆったりとしたスローモー・ディスコだがキラキラ感よりは輝きを抑えつつも長閑な田園風景を垣間見せる穏やかなバレアリックで、感動のラストを迎える。本作には瞬間的な刺激や真夜中のざわめきは一切なく、確かにホテルの落ち着いた空間演出を作るのを助けるような役割を持った音楽性で、底抜けの開放感やリラックスした微睡みが途切れる事なく続く。それぞれのジャンルは違えども各曲はバレアリックという言葉で繋がれており、流石のInternational Feelの率いるだけの説得力を感じさせる。



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| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shelter - Sad Beach (Uber:U09)
Shelter - Sad Beach

複数の有力なレーベルの活動のせいか近年勢力を拡大しているバレアリック・ミュージック、そして長らくその分野を引率してきたレーベルの一つであるIs It Balearic? Recordings傘下に、2014年に設立されたUberも今注目すべきレーベルだ。 ソフト・ロックやエキゾチックな要素を打ち出して有機的な響きを強調した路線は、最早クラブよりは屋外での長閑なパーティーやチルアウト・ルームに合いそうな緩さがあり、正しくバレアリックな音楽との親和性が強い。本作はそのレーベルの9作目でフランスはパリで活動するAlan BriandことShelterによるもので、2016年から作品をリリースし始めたニューカマー?のようだが、その大らかなバレアリック感は既に馴染んでいる。A面の2曲が特に緩さと開放感に溢れており、波の音と共に深い洞窟の中のようなリバーヴが効いた"Sailing On A Black Sea"は確かに暗い海への航海にも感じられるが、牧歌的でさえあるリラックスした上モノが幻想のように浮遊し、漂流を続けながらも微睡みながらのんびりと航海を満喫する如くのアンビエント感が続く。"Sad Beach"ではサックスやギターにパーカッションも加わって南国の島に辿り着いたエキゾチック感と哀愁のあるバレアリック感を打ち出すが、やはりダンス性よりはリスニング性重視で夕暮れ時の浜辺の切なさを演出している。B面へ移ると奇妙な音色を放つ口琴や乾いた響きのコンガを用いて中東感を発する"Through The Desert Land"で始まり、A面からの流れを考慮すると本作が未知なる航海の先にある一連の旅なのかと想像してしまう。そして郷愁を誘うギターの音色が胸に染みるソフト・ロック路線の"Seaport Theme"を経て、最後はカリンバ等の豊かな音色が青々しい空の広がりを喚起させ、そして再度航海へと戻るように波の引いては寄せる環境音も導入して新たな旅立ちの昂揚を誘う”Water Plain”へと繋がり、夢の様な旅は終わりを迎える。どれも心地良い気怠さや白昼夢に包まれるような一時の現実世界からの逃避感覚があり、バレアリック・ミュージックの特性を活かしてそれぞれのタイトルや各曲の流れからEPながらも旅という世界観を作り、コンセプトのある作品としても素晴らしい。



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Bartosz Kruczynski - Baltic Beat (Growing Bin Records:GBR006)
Bartosz Kruczynski - Baltic Beat

A.r.t. Wilson(=Andras Fox)の作品をリリースしているレーベルとしても知られているドイツはハンブルクのGrowing Bin Recordsは、ニューエイジ/アンビエント系のレーベルとして人気を高めている。そのレーベルの第6弾はポーランドのBartosz Kruczynskiによるアルバムで、Ptaki名義ではシンセ・ポップの要素もあるニューエイジをリリースしたり、最近ではEarth Trax名義でアンビエント感もある有機的なディープ・ハウスをリリースしたり、複数の名義を使い分けて活動をしているようだ。さて、この本名での初の作品だが緑に覆われた森の静謐なジャケットのイメージ通りに、フィールド・レコーディングも取り入れつつオーガニックな瞑想世界を展開し、得も言われぬ現実離れをしたサウンド・スケープを描き出している。何と言ってもA面丸ごと使用した"Baltic Beat"は20分にも及ぶ大作で、シンセやギターにドラムマシンやパーカッションなどを自身で演奏しナチュナルな響きを強調している。森の奥深くへ消え入るように響くギターサウンド、ミニマルに優しく微睡むようなマリンバのメロディーが軸となっており、そこに雷鳴などの環境音や幽玄な電子音も取り込んでここではない何処かの神秘的な世界へと誘うのだ。ミニマルな現代音楽と電子音響の組み合わせとしてSteve ReichとTangerine Dreamが邂逅したような音楽と表現すればよいだろうか、パターン化された構築で段々と展開する様は組曲的でもある。裏面は計4曲収録しており、マリンバのアルペジオに幻惑的なギターが咆哮して霞として浮遊するような抽象的アンビエントの"Post Tenebras Lux”、温かく広がりのある電子音や小鳥の囀りを用いて自然性の強いバレアリック感を打ち出した"Parco Degli Acquedotti"、静謐なピアノが神々しく降り注ぐメディテーション系の"Supplement 1"など、こちらもどれもリラックスしつつ神秘的な荘厳さがあり、ジャケットのイメージは嘘偽りない。Music From Memory辺りの美しい音響を聞かせる音楽が好きな人にとっては、間違いなく心酔する一枚に違いない。



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