Garnier - KL 2036 EP (MCDE:MCDE 1212)
Garnier - KL 2036 EP
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2014年は5つのレーベルから異なるジャンルの作品をリリースすると豪語していたLaurent Garnierだが、本作はその4作目となる作品でMotor City Drum Ensembleを手掛けるMCDEからとなる話題作だ。これより前に出た3作ではテクノやシカゴ・ハウスにヒップ・ホップを披露していたが、ハウスにも造詣の深いGarnierだからこそ、MCDEのようなヨーロッパからデトロイトへの回答とも思えるビートダウン作品を世に放つ事は自然とも取れる流れなのだろう。A面の"Psyche-Delia"はエチオピアのジャズから影響を受けて制作されたそうだが、確かにアンニュイで妖艶なシンセのメロディーやマイナー調のエレピのコードがサイケデリックな空気を生み出すディープ・ハウスで、確かにタイトル通りな印象をもたらしている。B面の"Whistle for Frankie"は説明不要だとは思うが故Frankie Knucklesへと捧げられたであろう曲で、だからといって典型的なNYハウスではなく、黒い芳香を醸し出すボイスサンプルや暗いムードの中に優美さを添える流麗なエレピ・ソロを配したミッドテンポのハウスで、パーティー序盤のじっくりと盛り上げていく時間帯には嵌りそうだ。どちらもMCDEらしい低重心で黒さを感じさせるビートダウン・ハウスではあるのだが、ただMCDEのカタログの中で際立っているかというとそうでもない。またGarnierのジャンルを越えた多様性の一部としてディープ・ハウスを披露してはいるものの、良質なディープ・ハウスが溢れる現在のシーンの中ではどうにも凡作に思えてしまう。MCDEという強烈な個性を持つレーベルとの絡みだからこそ相乗効果を期待していたわけだが、結果としてはレーベル性に沿っただけの作品になってしまったようだ。



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Motor City Drum Ensemble - Raw Cuts Remixes (MCDE:MCDE 1211)
Motor City Drum Ensemble - Raw Cuts Remixes
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ドイツ出身のDanilo Plessowは複数の名義とユニットで活動をしているアーティストで、その中の一つで最も有名な名義であるMotor City Drum Ensembleは初めてのリリースから既に7年が経過しているが、この名義がもはや彼にとってのメインプロジェクトである事は間違いない。特にデトロイト・ビートダウンに影響を受けたであろうロウでファンキーな、そして怪しい黒さを発する"Raw Cuts"はMCDEの存在感をシーンに知らしめたシリーズであり、今尚フロアでプレイされる名作だ。本作はそんなシリーズの中から"Raw Cuts #5"のリミックスし直した作品なのだが、驚くべき事はMarcellus PittmanやMike HuckabyにReclooseとデトロイトのシーンで活躍してきたアーティストをリミキサーに起用しており、やはりこのシリーズがデトロイト・ハウスとは切っても切れない関係である事を示唆している。原曲のクラクラする陶酔感を払拭しより直線的なビート感や荒々しい金属的なパーカッションを用いて硬質さも加えた"Marcellus Pittman Remix"、そして奇妙な男性のボーカルサンプルや眠気を誘うような幻想的なシンセを導入しデトロイトのエモーショナル性を打ち出した"Mike Huckaby"、そのどちらもがMCDEにあるロウな音楽性を活かして荒々しさを引き出しつつも各DJの個性も反映されたリミックスになっている。しかし本作で注目すべきはデトロイトの中でも奇才を放っていたReclooseによる"Recloose Remix"で、近年の彼の作風に見られるエレガントなストリングス使いや跳ねるようにしなやかなビートを用いて、更にはコズミックなサウンドも織り交ぜる事で優雅なフュージョン・テックへと変容し、原曲の雰囲気をがらっと変えながらも更に上質なりミックスへと昇華しているのだ。ここまでの変化を見せると既にMCDEの作品ではなく、Reclooseとしての新曲に近い印象も受けるが、兎に角まあ素晴らしいリミックスだ。ちなみに"Raw Cuts"シリーズはこれにて終了するアナウンスがされているが、MCDEとしての活動は続けてくれる筈なので今後の活動にも期待したい。



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Manuel Tur - Es Cub (Freerange Records:FRCD33)
Manuel Tur - Es Cub
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とかくテクノもハウスもドイツが注目されている節はあるが、UKのシーンも忘れてはならない。Jimpsterが率いるFreerange Recordsは90年代から続くロンドンの名門とも言えるレーベルで、テクノ〜ディープ・ハウスのみならずニュー・ジャズなども横断したクロスオーバーな音楽性で定評が高い。Manuel Turはそのレーベルで既にアルバムを2枚リリースしている若手アーティストで、今となってはレーベルを代表する一人といっても過言ではないだろう。さて、1stアルバムがまだFreerange Recordsというレーベル性に沿うようにディープ・ハウスを基調にしながらも柔らかでしなやかなリズムも見せるエレガントな作品ではあったが、3枚目となる本作では時代に即すようにエレクトロニック性を高めた4つ打ちベースのディープ・ハウスに統一された音楽性へと変化している。イビサの小さいスタジオの中で制作されたというアルバムは、一見エレクトロニックな陶酔感のある音質は華々しいメランコリーも感じられるが、広がりを見せる開放感ではなく狭いスタジオの閉塞感に包まれた内向的なムードがあり、何となくベルリンのドラッギーなディープ・ハウスを思わせる点もある。どれもこれもフロアでこそ映えるようなシンプルなビートを基調にし、重苦しい陶酔感を生み出す中毒的さえあるシンセが鳴り続け、控え目なプログレッシヴ・ハウスな感さえある恍惚を生み出していく。本人は殆どの曲を数時間で完成させたと述べているが、確かに丹念に練り上げられたというよりは衝動的で、良い意味でいうならば無駄な装飾も殆どない実に軽装なディープ・ハウスだと思う。そういった単純さがよりダンスフロアに傾倒した音楽性へと繋がっているのだろうが、Freerangeにしては少々陰鬱な空気さえ漂っているのは意外でもある。それでもManuel Turらしいメランコリーもあるわけで、水準の高いFreerangeの期待を裏切らないアルバムだ。



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Fat Freddy's Drop - Mother Mother ( Translation) (The Drop:DRP 020)
Fat Freddys Drop - Mother Mother (Theo Parrish Translation)
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Fat Freddy's Dropというバンドについて全く知らなかったものの、リミキサー名にTheo Parrishの名が刻んでいたのであれば衝動的に購入してしまったのも致し方ない。バンドについて調べてみるとニュージーランドを代表するジャム/ファンク・バンドだそうで、本作は昨年リリースされたアルバム"Blackbird"からのシングルカットとの事。折角なのでウェブで"Mother Mother"の原曲を聴いてみたが、ボーカルやトランペットが豪華な雰囲気を添えつつリズム隊が土臭いうねりを生み出すファンクなトラックで、これはこれで既にクラブでも使用に耐えうる状態だ。がTheo Parrishのリミックスはやはり別格、原曲の雰囲気は残しながらも荒々しく骨太なグルーヴ感やざらついて粗野な質感で上塗りしたハウス・トラックは、完全にTheo Parrishによる作品として生まれ変わっている。原曲はボーカルからギターカッティングにホーン隊までが陽気な雰囲気を生み出していたものの、このリミックスではホーン隊さえもが酩酊を誘うようにフリーキーな鳴りをしており、それに合わせてどたどたとしたざらついたマシンビートが余計に全体の基調を重苦しく平坦なものへと変えている。くすんだように不鮮明な音響に塗りつぶされ、その混沌とした音のぶつかり合いがより無骨なファンキーさへと繋がるTheoらしいビートダウン・ハウスで、蒸し返すような湿度の高い世界が広がっているのだ。何処をどう聴いてもTheo Parrishの作品だが、特にインストバージョンはそのトラックの醍醐味をより味わえるだろう。



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The Todd Terry Project- To The Batmobile Let's Go ( P-VINE Records:PCD-93796)
The Todd Terry Project- To The Batmobile Lets Go
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ハウス・ミュージックのレビュー本である"HOUSE definitive 1974-2014"(過去レビュー)のリリースに合わせて、幾つかの素晴らしきハウス・アルバムが復刻されているが、このTodd Terryによる1stアルバムもその一つだ。NYハウスの特に有名で影響力の大きいDJ/プロデューサーではあると思うが、この初のアルバムにして大ネタをサンプリングして用いたヒップ・ホップ風ハウスでの影響は、その後のクラブ・ミュージックに大きな影響を残したのは間違いないであろう。どのDJが言っていたのかは忘れたが、昔はヒップ・ホップとハウスが一緒だったと述べていた記憶があり、ヒップ・ハウスなんてジャンルもあったのは遠い昔。しかし元々ヒップ・ホップのDJでもあったToddからすればそれらが同居するのは、何も不思議な事ではなかったのだろう。ヒップ・ホップのあの跳ねるビート感を大袈裟なサンプリングを用いながらハウスのフォーマットへと落とし込んだ本作は、正直今聴くとダサいというか古いというか、1988年という時代感は拭えないのが本音だろう。だがそれでもここには余りある若さ故のエネルギー、または衝動と呼ぶべきか、はっちゃけたネタの使用には今尚笑いを通り越しての音楽への自由な創作性を感じずにはいられない。Class Action、Dinosaur L、Kevin Saunderson、Afrika Bambaataaら人気アーティストの、しかも人気曲をこれでもかとサンプリング - どころかほぼカバー状態の場合も - し、実にグルーヴィーな弾ける流れを生み出しヒップ・ホップとハウスを自由に行き交う音楽を披露している。元ネタが背景に透けながら楽しむ聴き方と、そしてそこから広がりゆくハウス・ミュージックの世界が待ち受けており、遊び心溢れながらもしっかりとパーティー・ミュージックとして成立するところに面白味があるのだろう。色褪せてしまった古さの中にも、決して失われないハウス・ミュージックの良心が感じられる名作だ。



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Mark E - Product Of Industry (Spectral Sound:SPC-122)
Mark E - Product Of Industry
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サンプリング、エディットを駆使したディスコ・エディットな作風が一躍注目を集めていたUK出身のMark E。ここ数年続くニュー・ディスコの繁栄にも共振しながら、様々なレーベルから引っ張りだこ状態でサンプリング作品を量産していたが、2011年にはサンプリングを封印し新たな出発点になった1stアルバム"Stone Breaker"(過去レビュー)をリリースした。本作はそんな彼による2ndアルバムで前作同様にサンプリングとは決別し、オリジナルの音源によって自身のサウンドを確立させようと試みている。前作からの違いといえば"Stone Breaker"は100%デジタルで制作されていたが、本作は殆どがアナログ機材による制作だそうだ。当然サンプリングは用いてないもののMark Eらしい耳を惹き付けるメロウな旋律や安定感のあるスローモーなビート感は健在で、サンプリングという手法を脱しながらもソウルフルでほっこり温かみのある音楽性は失わずに、時代に囚われない普遍的なハウス・ミュージックへの道をより進めている。更に本作はテクノ的な硬くエレクトロニックな音も強めた曲もあり、前作以上に展開を抑制しながら無骨なマシンビートを打ち鳴らし、スローで低重心な作風からは機械的に淡々としたシリアスな空気が伝わってくる。初期の頃のような人間味のある煌めくディスコ・サウンドは何処へやら、より曲をツール的にみなしながら機能を研ぎ澄ませていく作風へとシフトし、過去の自身のイメージを塗り替えるような試みが繰り広げられているのだ。ややもすれば過去のファンを置いてけぼりにするような印象もあるが、アーティストが変革を試み成長を望む事を考えれば、ディスコに続く系譜としてハウス/テクノの自然な路線を歩んでいるようにも思われる。



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Soulphiction - Glitz (Circus Company:CCS085)
Soulphiction - Glitz
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フランスから洗練されたハウスからエクスペリメンタルなテクノまで手掛けるCircus Company。そんなレーベルの新作にはドイツで早くからディープ・ハウス〜ビートダウンの展開を始めていたPhilpotを主宰するMichel BaumannことSoulphictionが迎えられている。Soulphictionといえばやはり黒目のビートダウン系である印象が残っているので、Circus Companyから作品をリリースするのも意外な組合せだなと感じつつ、やはりレーベル性を意識する事なく結果的にはSoulphictionらしい作品になっていたのは当然と言うべきか。A面の"Glitz"はChangeの"Hold Tight"のギターコードをサンプリングしミニマルに展開させ、骨太でたくましい4つ打ちのビートと熱く煮えたぎる渋い男性ボーカルを取り込んだ超弩級の黒いファンク/ビートダウンで、ねっとりと絡み付くような湿度感/温度感は最近の彼の作品の中でもベストだろう。一方B面の"Jinx"はオールド・スクールなシカゴ・ハウスを披露しており、そのミステリアスなメロディーや鈍いアシッドサウンドと簡素で垢抜けないマシンビートはかつてのMr.Fingersを思わせる。勿論単なる模倣ではなくそこに奇妙なサウンドエフェクトも加えながら、古さと共にモダンでクールな要素も含んだ最新の音にはなっている。スタイルの異なる2曲を収録しながらもどちらもSoulphictionが実践してきたブラック・ミュージックの線路上にあり、その先に連なる未来を示すようでもある。




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Sven Weisemann - Whatever It Is EP (Just Another Beat:JAB 09)
Sven Weisemann - Whatever It Is EP
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2013年には古巣Mojubaからは初となるアルバム"Inner Motions"(過去レビュー)をリリースし、アーティストとして一先ずは自身のスタイルを世に知らしめたSven Weisemann。ベルリンのディープ・ハウスの中でも一際美しく、一際優雅な佇まいを保ち続けるその音楽性は、フロアとの距離を適度に保ちながら表現力という観点から芸術性を色濃く覗かせる。その一方で様々な名義で活動する彼はEPにおいてはフロア志向型の曲も制作するなど、決してインテリなだけでのアーティストではない。本作はそんな彼が以前はJouem名義でリリースを行っていたJust Another Beatからリリースされた作品で、このレーベルからはSven Weisemann名義では初となるのだが、その名義の違いには何か意味合いがあるのだろうか。"Whatever It Is"はSvenらしい繊細で優美なピアノのコード展開と幻想的なボーカルサンプリングが特徴の曲で、リズムは穏やかながらもかっちりとした4つ打ちを小気味良く刻み、普段よりもフロアに接近したハウス色が強く表れている。裏面の"Igneous"も勢いのあるダンストラックだが、こちらはドタドタしたリズムとダビーな残響、そして酩酊するように揺れるパッドや奇妙なボイスサンプルを用いたアブストラクトな作風で、荒々しいファンクネスと酩酊するディープネスが交錯する。そんな点を鑑みると最近のアートを意識したJouem名義とは異なり、Sven名義ではもっとシンプルにダンストラックに取り組んでいるのが伝わってくる。勿論そんな作風の中にもSvenらしい深みのある美しさが通底しており、ファンが期待する通りの音が届けられている。




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Guillamino / Esteban Adame - Tegami (Ican Productions:ICAN 012)
Guillamino / Esteban Adame - Tegami
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Tegami(手紙)と題された本作は、バルセロナで活動するビートメーカーのGuillaminoと、ロスアンゼルスでGalaxy 2 GalaxyのキーボーディストやIcanのユニットとしても活動するEsteban Adameによる作品で、レコードレーベルにはカタカタでタイトルやアーティスト名が記載してあるから事から、海を隔てて遠い日本へと手紙の如く届けられたようにも思われる。ラテン・ミュージックの要素を強く打ち出したIcan Productionsからのリリースではあるのだが、Guillaminoによるオリジナル曲は終始ビートレスで眠気を誘うような柔らかいパッドが朧気に伸び続け、そこに手紙を朗読するような歌が挿入されるという予想を覆すアンビエント作風だ。熱狂的なクラブ・パーティーの中で使われる事は想定していないであろうし、これがIcanからリリースされた経緯はこれだけでは掴めない。しかしその曲をEsteban Adameがリミックスした"Bcn2Lax Remix"は、元の朧気なパッドの雰囲気は残しながらもしなやかなリズムを刻むキックやパーカッションを付け加え、より動きのあるメランコリーなシンセのメロディーも加えて夜のざわめきを予感させるダンストラックへと作り替えている。普段のようにラテンの要素を感じる事はないが、キーボーディストとしての情緒的なメロディーセンスは流石Galaxy 2 Galaxyへの参加も要請されるだけはある。裏面には100% Silkでポップなディープ・ハウスを手掛けるOcto Octaがリミックスを提供しているが、こちらは直線的なビート感のハウス仕様なもののシンセの使い方が幾分か甘い陶酔感を強調しているようなアレンジで、神秘的なディスコポップという趣だ。意外性のあるコラボ作品という印象に内容が必ずしも追いついているとは思わないが、リミックス2曲はIcan Productionsらしいエモーショナルな作風にはなっているのでは。



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Takuya Matsumoto - Ram EP (Meda Fury:MF1401)
Takuya Matsumoto - Ram EP
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R&S Recordsが配給するロンドンの新興レーベル・Meda Furyから、Takuya Matsumotoの新作がリリースされた。ネット上で探しても詳細が出てこないのでこのアーティストについて詳しい事は分からないが、2002年には日本のFlower Recordsからリリースされたイージー・リスニングのシリーズである"F.E.E.L.2"にも楽曲を提供していた事は確認されている。その後は新潟で運営を続けるIeroなどからハウスも作品をリリースしていたようで、海外では高い評価を獲得しているという記載は見つかった。と本作を買うまではそんな経緯は知らなかったが、試聴して直ぐに耳を惹き付けられたので購入したのは正解だったと思う。A面には小刻みに流麗なメロディーをなぞるエレピやシンセにシャッフルするような4つ打ちがジャジーな味も匂わせる"Ram"、そして覚醒感のあるシンセリフが反復する中で物哀しいエレピが浮かび上がり深い陶酔へと誘うディープ・ハウスの"Camouflaged Letter"が収録されているが、どちらも内に眠る感情を吐露するような作風が心に染みる。B面にはギターサウンドやボーカルも導入し生っぽいベースも合わせてレイドバックしたフュージョンを思わせる"Ny Ny"、リヴァーブ処理が施され耽美なピアノや軽快なパーカッションが儚く消えていくようなムードに覆われたハウスの"Requiem"が収録されているが、A面以上にしっとりと情緒的で微かなソウルネスを帯びている。ハウスをベースにしながらフュージョンやジャズなどの要素も感じられる点は、ブラック・ミュージックそのものへの敬愛が感じられるが、それを強調させ過ぎる事なくさらっと聞かせる爽やかさが特徴だろう。DJツールとして目的以前に曲そのものにリスニング性もあるので、是非ともアルバムの制作も期待したくなるアーティストだ。



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