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Heavenly Music Corporation - Lunar Phase (Astral Industries:AI-06)
Heavenly Music Corporation - Lunar Phase
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UKはロンドンにて昔の埋もれた奇妙な電子音楽を掘り起こすカルト的な活動をするAstral Industries。基本的にはヴァイナルに拘った制作も前提で、そんな事もありちょっとした注目を集めているであろうレーベルが次に掘り起こしたのは、1995年にKim CasconeことHeavenly Music Corporationが手掛けた『Lunar Phase』。何でもこちらは日本衛星デジタル音楽放送のSt. Giga用に制作されたアルバムだそうで、24時間環境音を流し続けるという正にアンビエントを体現していた放送局だったようだ。そんな局の為に制作された音楽なのだから当然内容は全編アンビエントやニューエイジと呼ばれるもので、特に『Lunar Phase』というタイトルからも分かる通り宇宙空間や無重力感を連想させる曲が中心で、トリップする為の音楽としては最適だろう。アナログ化に際し曲順には手が加えられており、A面には10分越えとなる"Energy Portal"と"St. Giga"が収録されているが、川のせせらぎや鳥のさえずり等の環境音に人の声も用いながら天の川の中を遊泳するような電子音が漂うドリーミーなアンビエントの前者、星が瞬くような電子音を散りばめて広大な夜空を表現したような無重力アンビエントの後者、どちらも地球の重力から解き放たれ宇宙遊泳に没頭するようなトリップ感が溢れている。一方でB面には6分前後の曲が4曲収録されており、遠くまで広がっていくような電子音のリフレインが心地良い"Lunar Phase"、光の粒子のような音がアルペジオをなぞり上昇気流にのって宇宙空間を飛翔するような"Cloudless Light"、最後には空間が捻れるような電子音の奥でアシッドが蠢く不気味なジャーマン・プログレ風の"Orgone"と、A面に比べると何だか躍動感も多少は感じられる。地球から浮上し自らが月となって地球や宇宙を見渡す如くの何処までも広がりのある揺蕩うアンビエント、決して今聞いても古臭さは感じさせずに十分にインナートリップを誘発するには十分過ぎる程の内容だ。本作のリイシューはAstral Industriesというレーベルの評価を高める事にも寄与するに違いない。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prism - Fallen Angel (Special Remastered Edition) (Sublime Records:MMCD20013/14)
Prism - Fallen Angel (Special Remastered Edition)
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テクノ/ハウスという枠組みを、そしてダンス・ミュージックの枠も、更には日本を越えて世界的にも高い評価を得ていたSusumu Yokota。2015年にお亡くなりになった以降、彼の今では入手困難な初期作品が続々とリイシューされており、本作はその一環となる1997年作の再発だ。同じ名義による1995年作の『Metronome Melody』(過去レビュー)では甘美なハウスに大胆なブレイク・ビーツも持ち込んで傑作と呼ばれる程の内容であったが、更に本作はその路線を引き継ぎつつより金属的な響きや変則的なリズムを進化させ、よりバリエーションの豊かさを拡張している。始まりの"4°C"からして既に硬く金属的なパーカッションがキモとなるリズムを作っており、そこに透明感のある電子音がぼんやりと、そして揺蕩うように繊細に配置され、今思うとエレクトロニカとディープ・ハウスの掛け渡しを早くも行っていたようにも思われるアンニュイな曲だ。"Diamond Head"ではよりリズムが尖って鋭角的なグルーヴとなり、荒々しくもありつつ穏やかに感じられるのは繊細な電子音の使い方が故だろう。ディープ・ハウスが忘れ去られた訳でもなく"Flicker"では正にそれを実践しているが、その無駄な音が削ぎ落とされた先に辿り着く侘び寂びや寂静の世界はYokotaの十八番と呼びたくなる。後のリズムへの探求にも繋がるであろう試みはここではドラムン・ベースとして現れており、"81/2"や"Black Or Color"では変則的でしなやかなドラムン・ベースと甘美なディープ・ハウスの融和として成功させ、完全に自分の音として完成させている。音楽活動の後半に入ったYokotaはどんどん音楽性を拡張させていった事実があるが、その予兆はこの頃から既にあった事を再認識させるアルバムだ。そして再発にあたりEPからの曲や未発表曲を纏めたボーナスディスクも付いてくるが、アンビエント・ドラムン化した"4°C (Spacetime Continuum Remix)"や透明感や甘さを保ちつつ骨太なハウス化した"Key (Aubrey's Solid Groove Remix)"のリミックスの魅力、また『Fallen Angel』の自由度が更に拡張されユーモアも含んだ未発表曲など、これらもYokotaの豊かな創造力の結実であり掛け値なしに素晴らしい。『Metronome Melody』に負けず劣らずの傑作である。



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| TECHNO13 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Anthony Child - Electronic Recordings From Maui Jungle Vol.2 (Editions Mego:EDITIONS mego 230)
Anthony Child - Electronic Recordings From Maui Jungle Vol.2
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ハワイはマウイ島のジャングルにモジュラーシンセを持ち込んで、自然との一体感の中でインプロビゼーション的に制作を行ったVol.1から1年、その第2弾が早くも到着した。制作はUKハードテクノの重鎮であるSurgeonことAnthony Childで、ハードテクノのみならずアンビエントやドローンの音響にも長けている彼だからこそ、決してハードなだけではない聞かせるテクノに対しても小手先にならずに前作で環境音と調和したライブ感溢れるテクノを披露していた。特にキモとなるのがここ数年復活というか流行りになっているモジュラーシンセを用いた制作環境で、その機材に魅了されたChildはDJプレイにもそれを持ち込んでDJとライブの狭間にあるような挑戦も行っており、その延長線上にあるのが大自然の開放感の中で制作をするという本シリーズなのだろう。モジュラーシンセの規格故に本作もVol.1と作風は大きく変わらずシンセのモノフォニックでアルペジオを多用した旋律、そして背景にはジャングルで録音されたであろう虫の鳴き声や鳥のさえずりにしとしとと降り注ぐ雨音に木々のざわめきまで流して、フィールド・レコーディングの手法を用いてドローンやアンビエントを展開している。オープニングに用意された"Open Channeling"は早速虫の鳴き声を用いつつミニマル的な反復のアルペジオのシンセが鳴らし、少しずつ変化を導入しながらアルバムの流れへと引き込むような催眠の効果が働いている。"Old Technology"も同様に虫の鳴き声が浮かび上がりジャングルの中にいるような錯覚を覚えるが、メロディーはより抽象的になる事でドローンとしての作用が強くなり、シンセと自然音の一体感が打ち出た事で空間の広がりに繋がっている。ラストの"Farthest Known Object"はおどろおどろしいドローンと共に複雑な電子音が星の煌きのような始まり方だが、次第に奇怪な電子音がパルスのように響いては引く波のように消え、そこから森林の生命の営みの響きが立ち上がってくる事でジャングルという大自然のへの回帰を示唆している。モジュラーシンセという原始的な機器を原始の森に持ち込み、その場の開放的な空気を肌に感じながら録音された本作は、決して複雑な作品ではないがインスピレーションを元に生まれた大自然が広がるサウンド・スケープだ。とは言いながらも作風としては出来上がっておりこれ以上の進化は無いだろうし、コンセプトありきのシリーズとしては本作で打ち止めでも十分ではないかと思う。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
TC80 - Vestiges Of Fools (Cabaret Recordings:CABARET 010)
TC80 - Vestiges Of Fools

日本から世界へ、アンダーグラウンド性の高いミニマルな楽曲性を追求して確かな評価と人気を獲得しているCabaret Recordings。dj masdaとSo Inagawaによって運営されているこのレーベルは、アナログでのリリースに拘り配信も一切行わないが、多くのテクノ系のDJを魅了してこのご時世にもかかわらず比較的多めにプレスされながらも販売から直ぐに売り切れになる程の人気だ。基本的にはDJが使うためのツール性の高い音楽である為にアルバムよりもEPに力を入れているが、珍しくフランス人DJのTC80が手掛けた本アルバムが2016年にリリースされた。しかし単にミニマルなだけのアルバムと思っていたら、そんなレーベルに対する思い込みは誤りであったと気付かされる。実際にCabaretのパーティーに参加している者であればエレクトロやブレイク・ビーツもプレイされていた事を身をもって知っている筈で、そこからの流れで本作を聴くとあぁなる程と納得するようなレーベルの多様性を感じ取れるだろう。タイトル曲である"Vestiges Of Fool"からして端的にそれを表現しており、音の数を絞りミニマル性を強調しながらもリズムは変拍子を刻み、ベースの動きや情緒的な上モノによって雰囲気を作っていくミニマル・ハウスは、確かな機能性とそれだけではないリスニングとしての面を兼ね備えている。"Seed"も微かな上モノや奇妙な効果音が漂っているものの、リズムは更に複雑かつ鋭角的になり刺激的なエレクトロ調を強め、"Shadhahvar"でもつんのめるようなブレイク・ビーツに怪しさ漂う電子音のエレクトロで闇を誘う。エレクトロとブレイク・ビーツの探求が最も強く出た"Interfaces"は、そのピコピコな電子音や生々しいビートからデトロイト・エレクトロさえも思わせるが、それでも尚ミニマルなトラックとの親和性を持っているのがCabaretらしい。アルバムの中で唯一の端正な4つ打ちを刻む"Chrono Trigger"、そのスタイルもあってすっと流れるようなすっきりしたグルーヴと控え目にメロウな上モノによって、朝方のフロアにもはまりそうな穏やかな響きをするミニマル・ハウスだ。フロアを意識したツールとしての機能性は前提にありつつ、しかし曲そのものを聞くリスニングとしての質もあり、アルバムとしてリリースされたのは適切だろう。Cabaretのレーベル性を理解するに相応しいアルバムだ。



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| TECHNO13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Vermont - II (Kompakt:KOMPAKT CD 114)
Vermont - II
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Motor City Drum Ensembleとして名を馳せるDanilo Plessowと、Innervisionsからの作品で高い評価を受けるMarcus Worgullによる異色タッグのプロジェクト、Vermontによる2枚目のアルバムがケルンはKompaktより到着。彼等が普段制作するエモーショナルでパワフルなディープ・ハウスとは異なり、ヴィンテージなアナログ・シンセ等を用いて抽象的で深い精神世界を探求するようなジャーマン・プログレやクラウト・ロックの系譜に連なる音楽性を展開し、直球のダンス・ミュージックではなく実験としての探究心を推し進めたであろうプロジェクトだ。路線としては前作から大きな変化はないが、しかしミニマルなアコースティック・ギターを用いた1曲目の"Norderney"は現代ミニマルのSteve ReichやManuel Gottschingを思わせる作風で、研ぎ澄まされたアコギの耽美な旋律を軸に瞑想的な電子音やコズミックなSEを散りばめて穏やかな宇宙遊泳を楽しむような感覚だ。"Gebirge"は70年代の電子楽器と戯れるジャーマン・プログレの延長線上で、半ばミステリアスささえ漂わせる電子音が闇の中で不気味に光るように響いて瞑想的なアンビエントの感覚も生んでいる。"Demut"や"Hallo Von Der Anderen Seite"もビートが入る事はなく強弱と旋律に動きのある奇妙な電子音を最小限用いて、その分だけ音の隙間が空間的な立体感を生んでおり、何か物思いに耽るような磁場が作られている。普段のDaniloやMarcusの音楽に慣れ親しんでいればいる程、肉体を刺激する音楽とは対照的なコズミックな電子音によって精神へ作用する音楽を展開するこのプロジェクトには意外に感じるだろうが、それが単なる小手先の音楽になっていないのは二人のジャーマン・プログレに対する理解の深さ故なのだろう。電子音との戯れはKompaktらしい実験的なアンビエントの響きもあり、異色さだけで注目されるべきではない深い精神世界を彷徨うリスニング・ミュージックとしてお勧めしたい。



Check "Motor City Drum Ensemble" & "Marcus Worgull"
| TECHNO13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |