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Heavenly Music Corporation - In A Garden Of Eden (Silent:SR9335)
Heavenly Music Corporation - In A Garden Of Eden
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先日、壮大なアンビエント絵巻のWaveform Transmissionのアルバム(過去レビュー)を紹介したので、同じAstral Industriesというレーベル繋がりでこのHeavenly Music Corporationのアルバムを紹介しようと思う。Heavenly Music CorporationことKim Casconeは映画やTVの音楽も制作する電子音楽家で、この名義では90年代中頃に4枚のアンビエント・アルバムを残している(それ以降はKim Cascone名義での活動を継続している)。2017年には同レーベルより1995年作の『Lunar Phase』(過去レビュー)をリイシューしており、無重力の宇宙空間を表現したようなアンビエントによって再度注目を集める事となったが、レーベルも気を良くしたのか2018年には1993年にリリースされた本作のリイシューを行っている(リイシュー盤はamazonに情報が無いのでオリジナルの方を紹介する)。インドはゴアのチルアウトルームであるSpace Age Loungeの為に制作されたという本作は、『Lunar Phase』における宇宙空間の重力の無い解放感に対して、牧歌的でフィールド・レコーディングを多用した自然派志向というか、正に癒やしの効果もあるようなチルアウト/ニュー・エイジといった赴きだ。"Cloud Structure Silence"はいきなりコケコッコーと鶏の
鳴き声から始まり、ぼやけた電子音の揺らぎに合わせ虫の音から牛の鳴き声などのフィールド・レコーディングによる生命の営みを導入し、神秘の森や牧草地帯へと入っていくような秘密めいたアンビエントを展開する。ひたすら強風に襲われるようなノイズのドローンが満ちる"The Quiet Mind"は、重厚感あるシンセのドローンも相まって非常にどんよりとしながらも内なる世界へ落ちていく瞑想の音楽だ。水の滴る音を用いた"Ambient To Be Here"は正にアンビエントというムードで、オーロラが揺らめく如く幻想的なシンセがうねりながらもホーミー風な声がスピリチュアル性を付与し、アルバムの中でも特に心が穏やかになる安静な響きをしている。"Dawn Chorus"は鳥の囀りを多用しているが、シンセの波紋が広がるようなリフレインが壮大なコズミックの風景を見せ、特にトリップ感の強い曲だ。"Beautiful Dream"は珍しく4つ打ちのリズムが入ったダンス寄りの曲だが、女性のうっとりするポエトリーや煌めきのあるシンセのうねりもあってニュー・エイジ色が強く、そして迎える14分にも及ぶタイトル曲の"In A Garden Of Eden"でもやはり様々なフィールド・レコーディングや人の声を空間をイメージする如く張り巡らせ、エキゾチックなメロディーもなぞりながら謎めいた亜空間の中を彷徨うように、長い長い瞑想による深みへと連れて行く。動物たちや水の音からの環境音が多く流石に今となって安直というか如何にも90年代のアンビエントにも思うが、全く精神を荒げる事のない鎮静作用の強いサウンド・スケープはチルアウトとしては非常に適切で、ぼんやりとただ無になって聞けるのが素晴らしい。尚、再発の方はアナログのみのリリースのようである。



Check Heavenly Music Corporation
| TECHNO14 | 13:30 | comments(0) | - | |
Waveform Transmission - V 2.0-2.9 (Astral Industries:AI-08)
Waveform Transmission - V2.0-2.9
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現在隆盛を誇るアンビエント・ミュージックと一口に言ってその曖昧なジャンルは、始まりとなった環境音楽からヒーリングと呼ばれるもの、または瞑想系や踊り疲れた後のチルアウトなど、様々な形となって枝分かれしている。2014年に設立されたロンドンのAstral Industriesも流行となる前から既にこのジャンルの探求を実践しているレーベルの一つで、過去の名作の復刻に勤しみつつモダン・アンビエントのリリースにも力を入れ、ドローンを重視したクラブ観点からのアンビエント・テクノとして頭一つ抜きん出た存在だ。そのレーベルから2017年にリリースされた本作を手掛けたのはWaveform Transmission、この言葉を聞くとデトロイトのハード・ミニマルの魔術師のアルバムを思い起こしてしまうが、そうではなく同じデトロイトのダブ・テクノ/アンビエントの重鎮であるRod Modell (DeepChord/Echospace)とChris Troyによるユニットなのだが、なんと1996年の『V1.0-1.9』以来のアルバムとなるのだからおおよそ20年ぶりの作品というわけだ。前述のアルバム以降のModellの活動はDeepChordやEchospace等多くの名義を用いて、フィールド・レコーディングやアナログの柔らかい揺らぐような音響を活かした幻想的なアンビエントをサウンドスケープとして表現してきたが、一方でTroyはこのWaveform Transmission以外では活動の痕跡を見つけるのは難しくミステリアスな存在ではあるが、こうして20年も経て再結成をする位なのだからModellと同じくアンビエントに対する偏執的な愛があるに違いない。さて、アルバムはと言えばアナログだと片面に18分の曲がダブルパックで計4曲の72分が収録されているが、1曲は2〜4のパートに分かれてそれぞれ異なった風景を見せる。チリチリとした柔らかなヒスノイズや風が吹くようなフィールド・レコーディングから初まり濃霧のようなシンセのドローンコードが心地好い"V 2.0-2.1"は、後半からは極寒の吹雪が吹き荒れるような不鮮明なノイズ・ドローンによる色彩が失われた世界へ突入する。"V 2.2-2.3"は不思議なフィールド・レコーディングにぼんやりとしながらも荘厳なシンセ・ドローンが神秘的で、無重力の宇宙空間で遊泳を楽しむかのような優雅で美しいアンビエントだが、後半は一転してエレクトロニクス性が強くダビーな音響が奥深くへと誘っていく。"V 2.4-2.7"の前半も非常に美しく、壮大なアンビエンス音響に包まれつつ広大な空にか弱くも美しい星の光が瞬くような電子音が散りばめられた流れだが、後半は抽象性を高めるように繊細なディレイやエコーをを用いたダブ音響によってここではない何処かを演出する。最後の"V 2.8-2.9"は不思議な程に幻想的なコード展開を重視したメランコリーな響きで、自然音や電子音が融和しながら快適な瞑想の時間帯を提供してくれるだろう。Modellにとってアンビエントなスタイルは以前から存在するものであるが、過去のダンス・トラックとして機能するミニマル・ダブな作風よりも本作は完全にリスニングやBGMとしてのアンビエントに振り切れており、そこには精密で美しい電子音や優しい自然音が境目なく融合しかつて無い程の深遠なるアンビエンスが広がっている。



Check Rod Modell & Chris Troy
| TECHNO14 | 21:00 | comments(0) | - | |
Artefakt - Monsoon (Semantica Records:SEMANTICA 107)
Artefakt - Monsoon

2017年にDelsin Recordsからリリースされた初のアルバム『Kinship』(過去レビュー)はデトロイト・テクノの叙情性、深いアンビエンスな音響を冷えた金属的なテクノに取り込み、モダンテクノとして昇華した音楽として実に素晴らしい内容であった。オランダのRobin KoekとNick LapienによるArtefaktはそれぞれが個別にも活動しているが、このArtefaktでの深い音響から壮大さを生み出しつつフロアへの視点を持ったテクノがユニットの特徴して現れ、別々の活動よりも更に2人の持ち味が相乗効果として働いているようだ。そしてこの2ndアルバム、今度はスペインのディープな音響テクノで脚光を浴びるSemantica Recordsからとなるが、音楽的な相性で言えばこのレーベルからリリースされるのも自然であり、前作の路線を素直に踏襲して自身の地盤を固めるような内容になっている。アルバムの開始となる"The Lost Centre"はノンビート・アンビエント、揺らめくようなシンセのレイヤーの中に微かな呟き声等が交じりながらも荒廃した地平が広がるような凍てついたサウンドで、これから迫り来るであろうハードな展開の予兆がある。続く"Monsoon"も微かなヒスノイズを散りばめながらも覚醒的な電子音がうねる幕開けで、そして淡々としたキックも入ってくれば期待通りの叙情性はありながらも無機質で機械的なビートや音響がゴリゴリと鳴るディープなテクノとなり、灰色の荒れ地を疾走するようなハードな質感だ。つんのめったように崩れたリズムが特徴の"Undulations"も薄っすらとした電子音響を張り巡らせ、徐々にコズミックな上モノや深さを生むダビーな電子音も加わり、荒々しくもアルバムの中では爽快感のある曲だろう。がやはりアルバム全体の雰囲気は暗く冷えており、ドスドスと太いキックがアンバランスなビートを生む"Vertigo"の覚醒感溢れる上モノが持続しながらも闇深いダークなテクノや、微妙にアシッド的な鈍いベースラインが快楽的でジャンルとしてのトランスさえも感じさせる極低温の"Ossature"など、リズムの多様性はありながらも光の射さないどんよりと荒廃したムードが全体を覆い尽くしている。アルバムの最後でダウナーへと落ちていくように、朧気な電子音響が揺らめくアンビエント性の強い"Nimbus"ではゆったりとしたリズムを刻みながら、覚醒的な電子音のループも交えながらドラマティックに盛り上がり、そして静かに跡形もなく消え去っていく。前作同様にアルバムの起承転結の流れがあり、ダンスとして盛り上がる内容であるのは前提としてリスニングとしても魅了される展開と深い音響があり、アーティストとしてその才能は偽りが無い事を証明する2作目。痺れるディープかつトランシーなテクノ、これは本物だ。



Check Artefakt
| TECHNO14 | 18:00 | comments(0) | - | |
Jonny Nash & Suzanne Kraft - MATstudio 2 (Melody As Truth:MAT-ss2)
Jonny Nash & Suzanne Kraft - MATstudio 2
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「MATstudio」、それはMelody As Truthのスタジオにおける即興や実験に偶然の出来事をコラージュした作品。DiscossessionやGaussian Curve等多くのユニットでも活躍するギタリストのJonny Nashが立ち上げたMelody As Truthは、昨今のニューエイジ/アンビエントのムーブメントの中でも特に穏やかな静謐が際立つ音楽性で注目を集めるレーベルだが、そこに加わるDJ/プロデューサーのSuzanne Kraftは同レーベルから度々Nashと共作として作品をリリースしており、音楽的な相性はこの上ないに違いない。そんな2人による即興による自由度の高い実験的シリーズの第2弾は、しかし前作が断片的な風景画を纏めてコラージュしたような抽象的かつサイケデリックな刺激的な作品だったのに対し、ここでは前作よりは物語的な流れがありより叙情性の強いニューエイジ/アンビエントへと向かっていて、穏やかな時間が過ぎる安寧なリスニング作品としてはこちらの方が優っているだろうか。"The Perishable Imagination"はディレイをかけたアコースティックギターの響きが層になり視界も揺らめくような音響を生み、何も無い空間の中で引いては寄せる波の如くギターが繰り返される。朧気な電子音のドローンも加わり、ギターは強く唸ったり霞となって消えるような処理が加えたりしつつ、途中から不思議な打撃音やクリックも混ざって偶発的なインプロビーゼーションのように衝動的な展開も見せるが、基本的にはそれ以上の大きな展開をする事はなく永続かと思われる長い持続の中で、全てが融解していく夢幻のアンビエントへとなっていく。"Maybe This Is Something You Should Think About"も残響の長いギターが奥深い空間を演出し、そこに静謐なアコースティックギターのメロディーやザワザワとした電子音が被さっていき、序盤は瞑想へと誘う穏やかな展開。中盤になると途端にノイジーな音響は掻き消され、静かな空間の中で叙情的なギターの響きだけが浮かび上がりNashの特徴であるメランコリーが強調されるが、そこにエレクトロニカ風なギクシャクとした歪なリズムが鼓動のように響いて緊迫感を生み出していく。それでも何処までも続く穏やかな風景は幻想的で、現実でない何処かへと逃避するような白昼夢は気怠くも快適だ。前作はかなり挑戦的な試みだったが、本作の方は即興的であっても一般的なニューエイジ/アンビエントとしては受け入れやすいだろうか、夢現なメランコリーが通底していて籠もりきりな最近の生活でもBGMとして最適だろう。



Check Jonny Nash & Suzanne Kraft
| ETC5 | 13:00 | comments(0) | - | |
Andras - Boom Boom (Public Possession:PP031)
Andras - Boom Boom
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A.r.t. WilsonやHouse Of Dadといった名義でも活躍し、John TannerとのユニットであるWilson Tannerでも自然派志向のアンビエントを展開するなど、現在形のニューエイジ隆盛の中で頭角を現したメルボルンの新世代を代表するAndrew Wilson。しかし近年は無駄な装飾を削ぎ落としたロウなハウスや、果てはアシッド・サウンドまで用いたダンストラックも制作するなど、多彩な才能を持つ彼も次第にダンスフロアへの奥へと進んでいくような傾向が見受けられる。そしてAndras Fox名義で2019年にリリースされた本EPは、その傾向が更に顕著になったダンス中心の内容ではあるが、しかし単純なテクノやハウスとも異なる世界観は彼のレフトフィールドな感覚が強く込められている。"Jingo"は特にそんな性質が強く、オールドスクール感の強い4つ打ちながらも未開の地の原住民が踊っているようなアフロ・パーカッションと魔術的な魅力を放つベースラインを軸に、大きな展開する事なくミニマルなグルーヴで黙々とダンスさせる機能性重視なトライバル・テクノだ。壊れかけのラジオから流れてくるようなインタールードの"Wax FM"を挟み、"Conch"もややオールド・スクール感はあるものの、疾走感のあるリズムを刻みながら耽美なシンセコードを展開し、軽やかなパーカッションも加わって音圧やアッパーなテンポに頼る事なく軽快なグルーヴが肉体を揺らす、これも非常にシンプルながらもAndrasのダンスフロアへの的確な嗅覚が感じられる。"Rubber"はブヨブヨしたベースラインや掴みどころのない気の抜けた電子音のメロディー、そして不思議なSEも織り交ぜてAndrasの遊び心というかユーモアな性格が伝わってきて、一筋縄ではいかない奇抜なダンスも面白い。そしてスローモーなテンポながらも圧のあるキックと快楽的な電子音の上モノの組み合わせがややレイヴぽさも匂わせる"IPX7"、90年代的な時代の空気があって昨今のレイヴ調の曲が再燃するムーブメントも意識しているようだ。どれも闇雲に作り込み過ぎる事なくシンプルな支柱に沿って出来たような曲調だが、しかし必要最低限でも十分に機能を活かす点には理知的な感性もあり、色々なジャンルを難なく横断する才能はやはり本物だ。



Check Andras Fox
| TECHNO14 | 19:00 | comments(0) | - | |