Nick Hoppner - A Peck And A Pawn (Ostgut Ton:o-ton49)
Nick Hoppner - A Peck And A Pawn
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現在のドイツ、いや世界のテクノシーンをリードすると言っても過言ではないクラブ・Berghain/Panorama Barが運営するレーベルOstgut Ton。巨大で迷宮の様な派手なクラブを運営する一方、リリースする音源は硬派でハードなテクノからシカゴ・ハウスに影響を受けたオールドスクールな物まで、一貫してアンダーグラウンドな音を鳴らし続けるレーベルです。そしてそんなレーベルの方向性を決定づけているとも言えるレーベルマネージャーがMy Myとしても活躍しているNick Hoppner。本人はPanorama Barでプレイしていると言う事もあり、彼の作品もやはりディープなハウス系が中心。タイトル曲はずっしり重いキックが効きながらもグルーヴは軽やかで、耳に心地良く入る透明感のあるシンセリフを生かしたディープなテックハウス。妖艶な女性の声も取り込みセクシーでアダルティー、真夜中のフロアに映えそうです。B面には2曲収録で、"She Parked Herself"は強烈でアシッディーなシンセベースと華麗なパッドの上物が対照的に絡み合うメロディアスなハウス、"Swivel Flick"は空間の中に荒廃した音が混ざり合い初期シカゴ・ハウスの不穏な空気も感じさせるハウスと、曲調は異なれど美しい鳴りをしております。やはりPanorama Barはハウスなんだなと実感しました。

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Phreek Plus One - Phreek Party (Compost Records:CPT 372-2)
Phreek Plus One - Phreek Party
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テクノ、ハウス、ドラムンベース、トリップホップ…様々なクラブミュージックをクラブジャズと言う音楽に結び付け、時代を先行してクロスオーヴァーにクラブにおけるジャズを開拓してきたCompost Records。ドイツにおけるメインストリームは最早アンダーグラウンドなテクノに移り変わってしまった今、Compostはシーンの中心からは外れてきているものの、今でも地道に活動している模様。そんなレーベルの新作はイタリアからの3人組トリオ・Phreek Plus Oneのアルバムで、EPデビューから5年越しにようやく初のアルバムをリリースさせました。でイタリアと言えばイタロ・ハウス…もそうですが、このトリオがやっているのはもっと哀愁に満ちたイタロ・ディスコ。執拗なまでの規則正しい4つ打ちに、スペーシーで煌きのあるちょいダサめなシンセサウンド、デケデケに主張するシンセベースとまさにディスコティックの王道とも言える作品で、正直時代錯誤感は否めないもののどの曲も粒揃いで良いメロディーを書いているのも事実。全体的にリラックスしたテンポで気の抜けた具合もピコピコなサウンドには合っているし、リエディットが流行っている今のシーンの音にもすんなりと溶けこませる事は容易でしょう。Spirit Catcherを少しダサくして温度感を与えた感じと言うか、Metro Areaのフォロワーと言うか、まあとにかくディスコティックなトリオです。

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Gerald Mitchell - Resurrection 2011 Remix (GMi:GMi-001)
Gerald Mitchell - Resurrection 2011 Remix

流動的なメンバーで活動するバンド・Los Hermanosではリーダーを務めるデトロイト・テクノ屈指のメロディーメーカー・Gerald Mitchell。変名や本人名義のソロ作品でもクラシックと呼ばれる作品を残してきた彼が、遂に自身の名義を冠したレーベルを立ち上げ新作をリリースしました。A面には今年発売されるアルバムからの先行として"Baby Ohh"と"Funktropolis 313"を収録。どちらもエモーショナルなシンセのコード感を生かしたGerald節が堪能出来るハウスで、奇妙なヴォイス・サンプルが特徴的な前者、どっしりしたリズムと渋いギターにファンクネスが感じられる後者と流石の出来です。そしてB面にはかつて彼がデトロイトで精神的にまいっていて、日本にライブの為に初めて訪れた際に日本人から感銘を受け制作した"Resurrection"のニューリミックスを収録。東日本震災で憔悴した日本人に捧げる為に新たにGeraldがアレンジし直した"Resurrection 2011"は、原曲の疾走感はそのままに熱いシャウトも閉じ込めどこか霊的な佇まいさえ感じさせるシンセワークを施し、心の底から希望を沸き立てるであろう力強さに満ちた屈指の名曲と言えるでしょう。復活と言うタイトル通りに聴く者に力を与えてくれる事を願っております。

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STEREOCiTI - Kawasaki (Mojuba:mojuba cd 1)
Stereociti - Kawasaki
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ドイツにおいてDon Williamsが主宰するアンダーグラウンドなディープハウスレーベル・Mojuba。「ハイプ」に左右される事無く有名無名に拘わらずに自分が信じる音楽をリリースし、音楽とレコードの独特なアートワークを絡めて芸術的な作品をリリースする、今ドイツにおいて最も重要なレーベルの一つです。そしてそんなレーベルからの初のアルバムは、日本から世界に羽ばたいた炭谷賢ことSTEREOCiTIのデビューアルバム。2009年にMojubaからの"Early Light"がヒットし一躍脚光を浴び、2010年にも同レーベルより"Cosmorideをリリース。そして今年遂に彼の長い活動を経てのアルバムが完成しましたが、これが何と既発の曲は収録せずに全て新曲となる挑戦的な内容。まるで映画のサントラの様に厳かに始まるオープニングは、炭谷氏の生まれ育った川崎の街のフィールドレコーディングを取り入れており、ここから深遠なるハウスの物語が始まります。2曲目以降はミニマルな展開とハウスのグルーヴを持った曲がラストまで続きますが、控えめに言っても派手でアッパーな曲は皆無で、寧ろ地味な印象さえ受けるかもしれません。しかし温かみを重視したもっさりアナログ味の強い音、平坦な4つ打ち(イーヴンキック)から微妙にずれた細やかなリズムの構成は、機能性と共にライブ感を打ち出して何故だか黒さの漂うビートダウン的でもあります。ソウルを大胆に表現するのでなく心の内で燻り続けさせる内向的な音には、長い経験から得られる侘び寂びと言う日本的な印象も受け、(炭谷氏自身はディープハウスと呼ばれる事を恥ずかしがっているが)これぞディープハウスなる音でありましょう。Mojubaらしい研ぎ澄まされた芸術性に日本の繊細な奥ゆかしさがミックスされたアルバムで、本作によってSTEREOCiTIの名は更に飛躍するに違いありません。

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Mankind - Metro City Blues (3rd Strike Records:STRIKE7LTD300)
Mankind - Metro City Blues

謎に包まれたロンドンのディープハウスレーベル・3rd Strike Records(どうやらディスコレーベル・Under The Shadeの別ラインらしい)。Erdbeerschnitzel、The Tortoise、Vakulaなどまだそれ程世に知れ渡っていないアーティストの作品をリリースするも、そのどれもが局所的に高評価を得ている正にアンダーグラウンドと言う言葉が相応しいレーベルです。そんなレーベルの新作は詳細不明のMankindなるアーティストのデビュー作、しかも全世界で300枚限定と言うファン泣かせなリリース。タイトル曲である"Metro City Blues"からして秀逸で、プリミティブなシンセのリフレインとローファイなキックやパーカッションで、まるで大海をゆらゆらと漂流するようなゆったりとしたBPMのメロウな小波に揉まれ、気分も夢見心地なディープハウスに包まれます。裏面の"Come Go"は微妙に黒くジャジーな味も醸し出しつつ、やはりゆったりとしてディープハウス、又は適度に洗練されてビートダウン的な音を聴かせてくれます。更にそれをスムースかつパーカッシヴに仕立て上げたフロアライク仕様の"Honey Soundsystem Remix"も、深みが増しており非常に使い易いハウストラックになっております。デビュー作からして既にベテランの風格を感じさせるMankind、兎に角レーベル共々に目が離せません。

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The Revenge - Reekin' Structions (Z Records:ZEDDCD023)
The Revenge - Reekin' Structions
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新世代のリエディット/ニューディスコシーンを代表するGraeme ClarkことThe Revenge。大量のリエディットを手掛けると共に、Jiscomusic、Mule Musiq、MCDEなどのレーベルからオリジナル作品もリリースし、更には他アーティストのリミックスでも引っ張りだこと、とにかく今最も忙しいアーティストの一人でしょう。そして昨年は非合法のリエディットアルバムをリリースしカルトヒットしておりましたが、遂に合法的であろうリエディット集が発売されました。若かりし頃にロックやソウル、ファンクに影響を受けたと言う経歴通りに自分も知らない80年代のファンクやディスコ、レアグルーヴなどをリエディットしておりますが、しかし元ネタを知らなくても完全にDJユース仕様な音が聴けるので全く問題はありません。基本的には元ネタの美味しい部分を拝借しループさせたミニマルな作風のディスコリエディットなので、使い勝手に優れつつブギーでファンキーなグルーヴが強調されており、またどの曲もThe Revengeらしい活きた音も残されているように感じられます。リミックスではなくあくまでリエディットである、その言葉を信じるのであれば、本作は元ネタを作り変えるのではなく元ネタを残す+イケてるパートを増長させているのでありましょう。音自体には温かい懐かしさも感じられつつ、それが古臭いだけの懐古的な音楽になるでもなく今のダンスミュージックとして成り立たせている辺りに、The Revengeのリエディットに対する愛と業が感じ取れますね。

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John Beltran - Kassem Mosse & Sven Weisemann Remixes (Delsin:87dsr)
John Beltran - Kassem Mosse & Sven Weisemann Remixes
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先日オランダのDelsinからアンビエントベストをリリースしたJohn Beltranが、そこからリミックス盤をカットしております。リミキサーに選ばれたのはHardwax系のハウスレーベル・Workshop等からもリリースするKassem Mosseと、ベルリンディープハウスの最深部・MojubaからもリリースするSven Weisemannと、どちらもベルリンの今を体現しているアーティスト。Kassem Mosseはシカゴハウス風なローファイなリズムトラックの上に幻想的なパッドを薄く張りつつ、じっと低温で燻り続ける炎のようにしんみりとした温度を発し、終始ミニマルな展開のハウスを披露。じっくりと眠りに落ちるように、トロトロと心地良い空気が拡がって行きます。そして芸術的で華美なトラックを創る事には天才的な才能を発揮しているSven Weisemannは、"Sven's Glorify Tribute To John Beltran"と言うリミックス名に相応しい神々しいダブアンビエントを披露しておりました。ストリングス、パッド、パーカッションが浮遊するように絡み合い、深い奥底から今にも広大な空の中へと溶けこむように音が拡がっていくスケールの大きい交響曲みたいで、聴く者に最上級の安堵を齎してくれるに違いないでしょう。ダンスフロアで踊り疲れたパーティーの最後に、こんな曲がかかったら泣いてしまうかもしれない、それ程に慈愛に満ちたアンビエントです。

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Recloose - Saturday Night Manifesto (Rush Hour Recordings:RH035)
Recloose - Saturday Night Manifesto
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1998年のデビュー作からしてCarl CraigのPlanet-Eからリリースされたと言う輝かしい経歴を持つMatthew ChicoineことRecloose。テクノやハウスにジャズやヒップホップ、ソウルまで幅広い音楽に影響を受け新世代のビートを生み出していたReclooseは、デトロイトを越え海の向こうのウェスト・ロンドンのブロークン・ビーツの界隈でも一際注目を集める存在でした。ただニュージーランドに移行してからの作品は南国の風が吹くトロピカルなバンド路線で、正直に言えばファンの期待を長く裏切り続けてきたのが実情。しかし今年になりデトロイト〜シカゴの発掘に勤しむオランダのRush Hourから未発表曲を集めたコンピレーションを出したその交友からか、今度は同レーベルより実に3年ぶりの新作もリリースしました。これが今までの鬱憤を晴らすかの様な素晴らしい出来で、これぞ初期Reclooseに感じられたエレクトロ・ビートやファンキーな切れが戻ってきておりました。メロウで夢見心地なフュージョンサウンドの"Electric Sunshine"、爽やかに弾けるパーカッションと多幸感に溢れたボイスサンプルが軽快なグルーヴを生み出す"Parquet"、そしてテクノを意識した強烈なベースラインや美しいパッドを重ねたテックハウス"Tecumseh"など、どれも曲調は異なるものの見事にエレクトロニックな作風が復活しており、低迷していた評価を払拭するには十分過ぎる内容です。フロアでも絶対に盛り上がるカッコイイ曲ばかりだし、この勢いでRush Hourからアルバムをリリースしてくれよ。

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Gene Hunt Presents Chicago Dance Tracks (Rush Hour Recordings:RH115CD)
Gene Hunt - Presents Chicago Dance Tracks
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シカゴ・ハウスの氾濫。間違いなく皆が感じているであろうシカゴ・ハウスの逆襲は、遂には未発表音源の発掘にまで至る。元々CDRなど無かった80年代、出来上がった曲はオープンリールと言うテープに記録され、それをDJがクラブで使用してフロアの反応を見ていたそうだ。そう云ったアーティストが制作した新譜は別のDJに手渡されリリースまでに漕ぎ着けた物もあれば、そのまま日の目を浴びる事なく倉庫の奥底に追いやれてしまう事もあったであろう。時代の流れと共に多くの遺産は、そのまま封印されてしまった…が、今やシカゴ・ハウスの時代が戻ってきている。そして一際その流れを作り出しているオランダのRush HourとシカゴのベテランDJ:Gene Huntが手を組み、彼がかつて友人から手渡された1982〜1989年までの時代に埋もれし作品をコンパイルしてしまった。勿論どれも未発表かつヴァイナル化されていない貴重な作品なのは言うまでもなく、Larry Heard、Farley "Jackmaster" Funk、Lil Louis、そしてRon Hardyら大御所までの作品が眠っていた事自体に驚くであろう。今これらの楽曲を聴いてもダサい、古臭い、そう云った言葉が思い浮かぶのは当然で、TR系の渇いたキックやパーカッションやチープなアナログシンセが生み出す荒削りな初期シカゴ・ハウスが、如何に理論よりも衝動や勢いを重視していたかは聴けば納得するであろう。平坦でドタドタしたグルーヴ、質素で味気ない音質など確かに完成度と言う点においては足りない点もあれど、しかしファンキーさを超越したマッドな悪意さえ感じられる不穏な空気に神経も麻痺させられるであろうし、シカゴ・ハウスの最初期の時代を感じられる事に意義があるのだろう。

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| HOUSE7 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent - Scientific Methods Of Storytelling Vol.1 (Future Vision Records:FVRCD02)
Ron Trent - Scientific Methods Of Storytelling Vol.1
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現在のシカゴハウスの隆盛は一体何処まで続くのか。その原動力の一端にもなっているのがRon Trentであるのは、間違いないだろう。先日シカゴハウスの伝説的ディープハウスレーベルであるPrescription Recordsのコンピレーション"From The Vaults"(過去レビュー)をリリースしたが、今度は5年ぶりとなるMIXCDを完成させた。しかしこの新作はMIXCDである前に、彼がPrescriptionの意志を受け継ぐべく立ち上げたレーベル・Future Vision Recordsの作品をコンパイルしたレーベルサンプラーでもある。元々オリジナルアルバムは殆ど制作しないだけに、ここ6年間にリリースされた彼のアナログ作品を纏めた本作こそが、近年のRon Trentのトレンドを体感出来る作品なのだ。音自体はPrescriptionを受け継ぎ、爽やかに突き抜けるパーカッション使いやコード感のあるピアノやシンセの調べ、ダブやアンビエントの影響下にあるアトモスフェリックな音響が感じられる華麗なディープハウスで、適度な黒っぽさもありつつも洗練されたアーバンなムードが漂っている。アフロ、フュージョン、ジャジーなど様々な黒人音楽の要素を取り込みながらも、結局はRon Trentにしか成し得ない侘び寂びに満ちた郷愁たっぷりなディープハウスは、クラブミュージックと言う枠組みを超えて評価されるべきであろう。音楽活動20年を経てこんなにも芳醇に醗酵するとは、正に円熟味ここに極まる。

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