2014.07.09 Wednesday
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Berghain/Panorama Barでも活躍する女性DJのSteffiは、2010年からDJ業の傍ら自身でもDollyなるデトロイト・テクノに影響を受けつつ欧州的に昇華した音楽性のレーベルを運営している。特にレーベルのここ数作はエモーショナルな方向性へと傾いているが、ボストンで活動するJohn BareraとWill Martinによる新作もやはりデトロイテッシュな音が強く出ている。両者ともまだリリースしている作品は少ない若手アーティストのようだが、この作品によって多少なりともは注目を集めるのではと思うようにこの新作は充実している。特に素晴らしいのはA1の"Nomad"で、跳ねるような疾走感溢れるアッパーリズムの上に、華麗さもあるメロディアスなシンセのメロディーが覆い尽くす作風は、デトロイト・テクノを欧州的に洗練された音で解釈したようなテクノでフロアで映えるのは間違いないだろう。"Flux"でも静かに湧き上がるシンセのメロディーは透徹しているが、ゆったりとしたリズムがしっかりと安定感のあるビートを刻んで、より大らかなエモーションが感じられるだろう。また表題曲の"Milestones"はハンドクラップも加わった荒々しいビートも相まってかオリジナルの古き良き時代のデトロイト・テクノを思わせる作風もあるが、それをThird Side(Steffi & The Analogue Cops)がリミックスした曲は、アンビエントな上モノを付加しつつ硬質なミニマル度を高めたディープなテクノへと生まれ変わらせている。実にDollyらしいデトロイトの影響が強いオリジナルの3曲とツール性を高めたThird Sideのリミックスを収録し、John Barera & Will Martinに今後の期待を抱かせるには十分過ぎる内容だ。更にJohn Bareraはこの後Dollyからのアルバムも予定されているそうなので、余計に注目せざるを得ない。
Check "John Barera" & "Will Martin"