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Herbert - The Shakes (Accidental:AC84CD)
Herbert - The Shakes
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実験精神とポップな音楽性にフロアでの機能性と様々な要素を盛り込んで、テクノ/ハウスのシーンにおいて多大なる影響を残すMatthew Herbert。その音楽性の広さは名義の多さへと繋がっており、名義毎に何が何だか…というような状況でもあるが、兎にも角にもHerbert名義では『Scale』(過去レビュー)以来9年ぶりとなるアルバムがリリースされた。その間にもマーラー交響曲第10番の再構築や『ONE』シリーズ三部作を手がけ、2014年にはHerbert初期活動におけるミニマル・ハウスを確立させた『Part』シリーズを復活させるなど活動自体は続いていたものの、本作には特筆すべき点がある。それはジャズ/ハウスのムードやポップな感覚、そして全編ボーカルを導入と初期音楽性への回帰であり、つまり彼のプロジェクトの中核でもあるHerbert名義の作品の系譜に正に属している事だ。但し、『Bodily Functions』(過去レビュー)を引き合いに出すような宣伝が見受けられるが、流石に歴史的傑作として今尚嶄然と輝く『Bodily Functions』と比べるには物足りなさが残る。トランペットやサックスにギターやキーボード、そしてボーカリストを起用し、そして従前からある自身の奇抜なサンプリング・ソースを導入した製作法ではあり、奇抜なリズムや鳴りの構成と共にとっつきやすいポップな感触と優美な佇まいには確かにHerbertらしく、コンセプト重視であった近年の作品よりは確かに取っ付き易い親近感に溢れている。トリッピーでカラフルに溢れ出す音にはHerbertらしい遊び心が感じられ、過去のビッグバンド的なゴージャス感も加わって非常に陽気なライブ感溢れる音楽へと踏み込んでいる。だからこそ、ポップ・ミュージックに行き過ぎた本作からは所謂ダンスフロアの感覚が希薄化し、『Bodily Functions』に存在するアンニュイなムードや繊細なバランス感も当然存在しないのだ。逆にアルバムの後半に進むとビート感は後退し、仄かに染み入る甘い陶酔感とアンニュイなムードが強くなり、フロアからは乖離した結果が上手くボーカルトラックとして馴染んでいるように思う。何だかんだ言いつつもこのポップ・ミュージックの普段着的な馴染みやすさは悪くもなく、しかしHerbertの音楽史の中で記憶に残るような作品であるかと言うとそうでもなく…。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nebraska - Rye Lane Rhythms EP (Delusions Of Grandeur:DOG 043)
Nebraska - Rye Lane Rhythms EP
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2011年にRush Hourよりリリースされた『Displacement』(過去レビュー)は、それまでアンダーグラウンドな存在であったアーティストを表に引っ張り出すには十分過ぎる作品だったと思う。如何にもRush Hourらしいデトロイト・ハウスやビートダウンにフュージョン等を跨いたビート感覚は、レーベルの音楽性を主張しつつもそのアーティストの存在を世に知らしめる起点となった。が、そこから今に至るまでAli GibbsことNebraskaは、シーンから姿を消してしまっていた。もうその存在自体を忘れていた人もいるかもしれない…がNebraskaはシーンへと帰還した。それも今をときめくDelusions Of Grandeurからのリリースとなれば、期待せずにはいられないだろう。事実、この新作でもNebraskaの音楽性に陰りは一切見られないどころか、より柔軟なビート感と円熟味を兼ね備えて富んだ音色を聞かせている。"Aw-rite (Mute version)"では叩き付けるようにラフな、しかし複雑に入り組んだしなやかなビートを叩き出し、自由に動き回る大胆なベースラインを伴って、有機的で大胆な動きを感じさせるブロークン・ビーツを展開する。アグレッシヴなビート感にも長けているが、それだけでもなくひっそりと入ってくるコズミックな上モノは、例えばデトロイト・テクノに感じる未来感と近似する音もある。続く"Warp & Weft"は反対に落ち着いた4つ打ちで安定感重視のビートダウン・ハウスで、これも控えめに優雅なエレピのコードが入ってくると凛としたフュージョン的な感覚も匂わせ、よりNebraskaらしい優美さが際立ってくる。裏面の"Eighty-Eights"ではそんな個性がより主張するように、ビートダウンしたどっしりしたグルーヴと明瞭に浮かび上がるエレピの渋くファンキーなラインが主張し、ねっとりと体に絡み付くような黒さを発している。多少は若々しさが青臭さも匂わせていた『Displacement』から、4年もの時間はそれを熟成させ実に円熟味のあるクロスオーヴァーな音楽性へと、Nebraskaを成長させていたのだ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rhythm Factory - Stamina (White:WHITE 027)
Rhythm Factory - Stamina
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2015年も好調な活動を続けるWhiteはドイツのハウス・ミュージックの中でも、繊細さとメランコリーを兼ね備えたアンダーグラウンド性の高い音楽として評価を得ている。新作はRhythm Factoryなる聴き慣れないニューカマー…かと思いきや、実は過去にもWhiteからリリース歴のあるRobin ScholzとEinzelkindが、その各々の名義ではなくRhythm Factoryとしてユニット名を付けただけだ。以前にはWhiteからは幻惑的なテック・ハウスを、Pressure Traxxからはオールド・スクールなシカゴ・ハウスを、Rawaxからは情緒的なディープ・ハウスをリリースと多少は音楽性に幅を持っているようだが、新作の1曲は真っ向からUSハウスに取り組んでいる。"Stamina"はWhiteにしては随分と明るく開放的なハウスで、カラコロとしたパーカッションと芯のある4つ打ちの流れから徐々にエモーショナルなパッドが浮かび上がってれば、爽やかな空気と至福の気分に満たされていく。そして入ってくる輝かしいピアノのコード展開や情熱的なサックスのメロディーが、更に開放的な野外へと誘い出すような高揚を生み出し、9分にも渡ってひたすらポジティブな音を発するのだ。裏面の"The Center"は今までのWhiteを踏襲した作風で、ミニマルなシンセのフレーズが幻惑的なムードを作る中をうろつくようにミステリアスな複数のメロディーが絡み合い、掴み所がなく微睡ませる浮遊感が心地良い。そして粗いハイハットがロウな質感ながらも、ドリーミーで可愛らしいシンセのメロディーが子守唄にも感じられる"HOT 2"は、サイケデリックな揺らぎに酩酊してしまう。WhiteらしいディープなB面は当然として、A面のポジティブな気分になれるUSハウスの意外性には驚きつつも、そのどれもがフロアで気持ち良く鳴るだろう。



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| HOUSE11 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shine Grooves - Radio Pandora EP (Pandora:PAN 002)
Shine Grooves - Radio Pandora EP
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ドイツはケルンから幻惑的かつミステリアスなディープ・ハウスを手掛けるRough House Rosieは、2014年に新たにPandoraなるサブレーベルを設立した。Pandoraについてはまだレーベル第一弾としてコンピレーション・シングルしかリリースがなかった為、RHRとの明確な違いを言及するのは難しいが、敢えて違いを探すとすればPandoraの方がよりレフトフィールドなダブ・テクノへと進んでいるように思われる。さて、RHRからのデビューで注目されたShine Grooves - またQuadrat名義ではテクノを手掛けている - が、Pandoraの第二弾に抜擢されたのだが、やはりRHRからの作品に比べるとより標準からは外れたエクスペリメンタルな音楽を披露している。冒頭の"Radio Pandora"はビートレスな楽曲だが、ノイズにも思える抽象的なサウンドが蠢く中をアトモスフェリックな上モノが浮遊するアンビエント的な展開があり、しかし前作に見られたアブストラクトな音響はそのまま引き継いでいる。"The Great Sand Dunes"では崩れたビートがねっとりと入ってくるが、コズミックかつトリーピーな上モノと重く粘り気のあるベースからはファンクな要素も感じられ、"Passing Day"では優雅なシンセ使いと小気味よいジャジーなヒップ・ホップの完成を組み合わせて黒人音楽的な要素を打ち出してきている。裏面の"Sky Blue"はタイトル通りに爽やかな空気が吹き抜けるアンビエント風なダウンテンポで、"Salubrious Waters"では水のせせらぎの音をバックにもやっとしたサウンドが浮かんでは消える正に癒されるようなアンビエントを披露し、よりジャンルに縛られずに自由な作風に取り組んでいるのは明白だ。通常のダンス・ミュージックには当てはまらない為にパーティーでの使い所を選ぶのは間違いないが、それを差し引いてもリスニング性と実験的な面白さを兼ね備えており、Pandoraの進むべき方向を示唆しているように思われる。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Lady Leopard EP (Pole Jam Vinyl:PJV004)
Various - Lady Leopard EP

UKのPole Position RecordingsとドイツのGlam Jam Artistsの2つの新興レーベルが、更にヴァイナルオンリーでの体制で共同で運営するPole Jam Vinylは、まだ作品数は少ないながらもブギーかつバレアリックな作風として注目される存在だ。今のところリリースされた3枚は全て複数のアーティストの曲を集めたコンピレーションとなっているが、既に著名なアーティストを起用して売るのではなく、まだ世に知れ渡っていない原石とも呼べるアーティストを掘り起こすように起用して、アーティストに紐付けられたブランド性に頼る事なく音楽性そのものでレーベル性を確立しようとしている点は先ず評価すべきだろう。さて、レーベルにとって4枚目となる本作でもCassara、Darko Kustura、Benny & Gainと一般的には決して高い知名度であるとは言えない若手アーティストが起用されているが、イタリア出身のCassaraは2曲を提供している。"Lady Leopard"は往年のフレンチ・ハウスを思わせるループとフィルターを使用したファンキーなハウスで、ノリノリに跳ねる太い4つ打ちと動きのあるベースラインも相まって、非常に分かり易く陽気な気分になれるフロアトラックだ。"The Forest"もチョッパーベースが効果的にファンクネスを生み出しているが、ヴォーコーダを通したアンニュイな歌と憂いのあるメロディーによって、センチメンタルなムードを押し出している。クロアチア発のDarko Kusturaにとっては本作がアナログデビューとなるが、収録された"Peninsula"はPole Jam Vinylらしい涙を誘うエモーショナルなシンセとブギーなグルーヴ感が発揮されており、しっとりと情緒的なディスコ・ハウスだ。ロンドンの二人組であるBenny & Gainは、カラフルな宝石が散りばめらたようなキラキラとしたシンセが可愛らしく、ゆったりと波間を揺蕩うスローモーなバレアリック・ハウスを展開する"Approval"を提供している。それぞれどのアーティストもレーベル性を象徴するように甘酸っぱい切なさや弾ける多幸感を伴っており、まだネームバリューは無くとも堅実な若手を発掘するPole Jam Vinylの嗅覚は、今後も要注目だ。

| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Four Walls - Observe The Heavens EP (Eat More House:EMH002)
Four Walls - Observe The Heavens EP

ディープ・ハウスのファンであればFour Wallsを名乗るMihail Shvaikovskiについては、当然記憶の片隅程度にはその名を知っているだろう。ベラルーシ出身、1987年生まれのこのクラブ・ミュージックの業界では比較的若手のアーティストは、今までにもTraxx UndergroundやKolour LTDと言ったレーベルから、ジャジーでクラシカルかつソウルフルで黒いハウスをリリースして早速注目を集めている。特にKolour LTDからはFunkyjawsとの共作で非常に高品質なディープ・ハウスを送り出しているが、この新作はFour Walls単独によるものだ。ドイツの新興レーベルであるEat More Houseのカタログ2番と言う事もあり、レーベルの今後の方向性も占うような作品としても勝手に見做しているが、もしそうだとすればレーベルの将来を期待したくもなる良作である事を断言する。以前の曲が比較的洗練され優雅な印象もあったものの、新作に於ける"Constellations"はマイナー調のメロディーとざらついた音の質感に臨場感のあるパーカッションが、幾分かラフさを強調したディープ・ハウスの印象を残している。層になって重なっていくようなメロディーの酩酊感ある心地良さはFour Wallsらしく、DJツールとしてだけではなくエモーショナルな音楽性を活かしている点に変わりはない。よりFour Wallsに期待しているものが表現されているのは"Across The Ocean"だろうか、爽やかなパーカッション使いと空へと広がるような美しいシンセの中からファンキーなギターカッティングやフュージョン的な華麗なメロディーが飛び出してくるこの曲は、開放感と爽快感のあるフュージョン・ハウスでとてもポジティブに響く。またアシッドなベースラインが特徴的ながらも耽美なピアノのコード展開により切なさを打ち出した"Techride"は、スムースでグルーヴ感と洗練された世界観がクラシカルなディープ・ハウスへと繋がっている。奇を衒わずにオーセンティックな性質さえ伴うFour Wallsのハウスは、流行に左右されない普遍的な魅力に溢れているのだ。



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| HOUSE11 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Spinna - The Sound Beyond Stars (The Essential Remixes) (BBE Records:BBE262CCD)
DJ Spinna - The Sound Beyond Stars (The Essential Remixes)
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まさか今でもDJ Spinnaがヒップ・ホップのDJ/アーティストだと思い込んでいる人はそう多くはないと思うが、しかしアーティストとしての名声を一躍高めたのはそのジャンルであったのだから、そう記憶が残っていても不思議ではない。だが実際はヒップ・ホップだけでなく、ファンクやR&Bにも深い造詣を持ち、またハウスやブロークン・ビーツも制作しながら、ジャズやテクノにも理解のあるその音楽性は、黒人音楽を根底にしながら本当の意味でクロスオーヴァーしている幅の広さを持っている。それでも尚この2枚組のMIXCDに収録されている彼のリミックス群を聴いて、こんなにもハウス・ミュージックを作っていたのかと驚愕せずにはいられない。本作はDJ Spinnaが2000年以降に手掛けたリミックス集であり、1枚目は2000年代前半、2枚目は2010年前後の作品を収録しているのだが、そのどれもがハウスの4つ打ちのグルーヴの中にソウルフルな感情やフュージョン的な優美な佇まいを織り込んで、単なる快楽的なダンス・ミュージック以上の音楽性を放っている。1枚目の冒頭である"Days Like This (Spinna & Ticklah Club Mix)"からして、恐らくハウス・ミュージックのリスナーであれば曲名は知らなくとも頭の片隅にその音楽は残っているのではないか、それ程のハウス・アンセムだ。ざっくりとした生っぽいビートと陶酔する甘いシンセを用いて洒落たブロークン・ビーツ風にも仕上げたこのリミックスからは、ヒップ・ホップのルーツの影響を滲ませながらもやはり4つ打ちの安定感あるグルーヴが心地良さが現れている。続く"A Better Day (DJ Spinna Remix)"は抜けの良い爽やかなパーカッションを活かしたアフロなハウスだが、甘く誘いかけるような歌とピュアで透明感のある音使いにより、耽美な格調さえ漂っている。そして生の音質を強調したリズム帯がざっくりとしたブロークン・ビーツ風な"Closer (DJ Spinna Remix)"も、R&Bのしっとりとした歌を活かしながら原曲よりも疾走感と爽快感を増したアーバンなハウスへと生まれ変わっており、DJ Spinnaの手腕が存分に発揮されている。1枚目の冒頭からして既にハウス・クラシックが続くのはDJ Spinnaが如何に膨大な作品を手掛け、そして単に量産するだけでなく音楽制作に長けているかを如実に語っている。アルバムには他にもKerri ChandlerやBah SambaにStephanie Cookeのリミックス等が収録されており、DJ Spinnaのクロスオーヴァー性が反映されたハウスがこれでもかと聞けるので、当然ながら悪い訳がない。



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Tracklistは続きで。
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| HOUSE11 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Baaz - Red Souvenirs (Office Recordings:OFFICE 05)
Baaz - Red Souvenirs
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発売から半年経過しているものの、この待ちに待っていたアルバムを紹介せずにはいられない。ベルリンを拠点に活動するBastian VolkerことBaazがデビューしたのは2007年、そして2008年には何とDaniel Bellが主宰するElevateからレーベルにとっては8年ぶりとなる新作をリリースする偉業を果たし、その後もQuintessentialsやSlices Of Lifeからミニマルでアナログ色の強いディープ・ハウスを送り出して寡黙な活動ながらもDJからは高い評価を獲得していた。そしてデビューから7年、ようやく届いた初のアルバムが本作だ。収録された曲は2010〜2014年に制作されたそうだが、アルバムには特定のコンセプトもメッセージ性もなく、彼が好むハウスからダブテクノやサイケデリックなヒップホップまでを単に纏めているそうだ。確かにアルバムと言う体裁もあって今までリリースしてきたハウスだけでなく、もう少しバラエティーに富んでいてアルバムらしい展開も加えられており、待たされた分だけBaazの魅力をより広く感じられる。冒頭にはプチプチとしたノイズも含み淡い情緒を発するアンビエント風な"Everyone"が配置され、静かにしかしドラマティックにアルバムは始まる。続く"Endori"はいかにもBaazらしい音数は減らして間を活かしたディープ・ハウスで、ひっそりと呟くようなボーカルや無駄のないシンプルなメロディーが、穏やかなアナログの質感ながらも洗練されたモードを感じさせる。そして"Spacehub"は正にヒップホップ風なビートを打ち出した黒いビートダウンなのだが、引いては寄せる様な音響がアンビエントの風味も醸しだす。アルバムは更に展開し、ファットなキックを淡々と刻む中で不気味な呟きが継続するミニマルの"Closed"、反復するメロディーが酩酊感を呼び起こすドープなミニマル・ハウスの"Tweeny Tea"など、淡々とした緊張を守りながらもフロア向けの機能的な曲も収録されている。後半はアルバムの中では比較的アッパーで太いキックを刻みながらも情緒を薄く伸ばしていくディープ・ハウスの"Glass Voice"から、インタールード的に導入されるメロウなヒップホップの"Pressyn"を通過し、シカゴ・ハウス的な乾いたパーカッションが鈍く響く"Your Wardrobe"や勢いのあるグルーヴが押し寄せるディープ・ハウスの"What If"で幕を閉じる。確かにアルバムらしいコンセプトは無く色々な作風には纏まりが無いようにも感じられるが、しかしBaazらしい幽玄な叙情性は徹頭徹尾織り込まれており、正にディープと言うスタイルである事は間違いないBaazファンの期待を裏切らない作品だ。



Check "Baaz"
| HOUSE11 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Mix The Vibe : Deeep Detroit Heat (King Street Sounds:KCD 280)
Terrence Parker - Mix the Vibe : Deeep Detroit Heat
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20年以上続いている王道ハウス・ミュージックの指標とも呼べるMIXCDシリーズが"Mix the Vibe"だ。NYハウスの象徴的レーベルであるKing Street Soundsの音源をレーベルとも深く関わりを持つDJを起用してミックスさせ、レーベルのショーケースとしての意味合いを含みつつハウス・ミュージックの普遍的な魅力を知らしめる伝統的なシリーズの一つで、信頼のおけるブランドと呼んでも過言ではない。そんなシリーズの最新作にはシリーズを愛聴してきた者にとっては意外にも感じられる、デトロイトの古参DJ/アーティストであるTerrence Parkerが迎えられているが、しかしゴスペル・ハウスとも称されるソウルフルで感動的な音楽性を持つParkerなればこそNYハウスのシリーズに起用されるのも不思議ではないのかもしれない。彼がデトロイト出身のDJである事は間違いないが、しかしデトロイト一派の中でも特に古典的なハウス・ミュージックに理解があるのは、おそらくParkerだろう。そんな彼だからこそ - 勿論本作がKSSの音源を使用している前提があるとしても - このMIXCDが歌心溢れるソウルフルな展開を聞かせるのは、寧ろ当然の事なのだ。幕開けはいきなりクラシックの"Give It Up (MAW Flute Instrumental)"で、ディープながらも切ないメロディーが感傷的な気分を誘う男泣きの展開だ。そこに繋ぐはズンドコとした骨太なグルーヴを刻む"The Way I Feel (Terrence Parker Deeep Detroit Heat Re-Edit 4 Daye Club)"など、序盤から太く逞しくも熱い感情的な歌モノを投下しParkerらしい人間味溢れる展開を作っていく。序盤のハイライトは"Bring Back My Joy"だろう、高らかに祝福を謳うようなポジティブなボーカルハウスはParkerのゴスペル・ハウスとリンクする。そこからは一息つくように郷愁を帯びた"Song For Edit"で緊張をほぐしながら、ざっくりと生のパーカッションの質感が強調されたハウスを繋ぎつつ、最後まで人気のあるクラシカルなハウスを用いて実に情感たっぷりな展開で引っ張っていく。KSSの音源を使用する制約がある為に普段よりはParkerのゴスペル・ハウスのスピリチュアルな要素は控えめなのは事実だが、しかし歌心溢れる選曲と感情の昂ぶりを刺激するソウルフルな展開は正にParkerの十八番だと断言出来るものであり、ハウス・ミュージックのファンにとっては期待通りのプレイだろう。NYハウスの伝統にデトロイトのベテランDJが参加したと言う面白味だけでなく、内容自体で評価したいMIXCDだ。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE11 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Soichi Terada - Sounds From The Far East (Rush Hour Recordings:RH RSS 12CD)
Soichi Terada - Sounds From The Far East
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2015年のトピックの一つとしてこの寺田創一の作品を纏めたアルバムの発売という出来事は、ハウスシーンを語る上では決して欠かす事の出来ない話題だろう。90年代にNYハウスが黄金期を迎えていた時代、ここ日本に於いても日本のポップシーンにさえハウスは侵食し、それが一般的に普及したかどうかは別にしても今聴いても色褪せないジャパニーズハウスとしてハウスのファンを唸らせる作品を残している。そんなジャパニーズハウスの先駆者の一人として寺田創一が居たそうだが、この度1989年に彼が設立したFar East Recordingsの音源を纏めたコンピレーションが制作されたのだ。リリース元は掘り師としてのセンスは一級品のRush Hourで、レーベルに所属するHuneeが寺田の音楽に惚れ込み寺田と共に選曲の調整を行なった上で、寺田の素晴らしいジャパニーズハウスを20年以上の時を経て世に再度解き放っている。当方は流石にこれらの楽曲をリアルタイムで聴けていたわけではないのだが、しかしこのハウスは紛れもなく日本産のハウスでありながら、しかしあの時隆盛を誇っていたNYハウスにも全く引けをとらない素晴らしい内容で、だからこそ外国のアーティストからも今になって称賛される事に驚きはしない。音楽性自体は現在の視点で述べれば当然新鮮なものではないが(しかし今初めて聴く人 - 当方も含め - にはきっと新鮮に聴こえる筈だ)、しかし時代を越えて愛されるようなオーソドックスなスタイルは往年のNYハウスからであり、ファットなキックが生み出す弾けるようなグルーヴや甘い陶酔のあるメロディーに大胆なサンプル使いと、もし何も説明が無ければNYから生まれたハウスだと錯覚する程にUS的だ。勿論日本的な可愛らしくポップなサウンドのおかげで、単に機能的なクラブミュージック以上の親近感を感じられもする。DJと言うよりは元来アーティスト/コンポーザーな気質が、曲そのものの良さを際立たせるようにメロディーやムードをより強く引き出したのではないか。何だか懐かしい - それは古い音楽なのだから当然としても - 気持ちにさせてくれるこのジャパニーズハウスは、クラシックと呼ぶに相応しい往年のディープ・ハウスであり、そして今になってより多くの人の耳を魅了する事になるだろう。一家に一枚と言う謳い文句も嘘偽りのないクラシックだ。



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| HOUSE11 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |