Akis - Space, Time and Beyond (Selected Works 1986-2016) (Into The Light Records:ITL005)
Akis - Space, Time and Beyond (Selected Works 1986-2016)
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近年目立つのが世界各地に眠る実験的な電子音楽の発掘で、その先端でもあるMusic From Memoryの流れに寄り添うように他からもその動きが活発化している。2012年に設立されたInto The Light Recordsは特にギリシャのレアな音源の編纂に尽力しており、Vangelis KatsoulisやGeorge Theodorakisといったギリシャアーティストの編集盤や又は1978〜1991年にリリースされたギリシャ産の電子音楽のコンピレーションを手掛けたりと、レーベルのコンセプトが明確だ。そのレーベルの新作は当然と言うべきかギリシャのコンポーザーであるAkis Daoutisの編集盤で、タイトル通りに1986〜2016年までの作品を纏めたものだ。Akisについて詳細は分からないものの映画音楽等も手掛けつつ、ジャズ〜ファンク〜フュージョン等も制作するアーティストだそうだが、この30年で公式にリリースされた音源は非常に少ない事からも分かる通り決して高い知名度は無い。しかしここに纏められた未発表も含めた音源を聞くと、ギリシャという地にも予てから面白い電子音楽が存在していた事に驚きを感じずにはいられず、確かに映画音楽も手掛けるアーティストとしての世界観もありながらアンビエントからニューエイジ、または現代的に言うならばバレアリック・ミュージックのような開放感さえ含んでいる音楽が新鮮に響いてくる。牧歌的な笛の音らしき音が静かな幕開けを告げる"Biofields"は映画のオープニングを思わせるような落ち着いた中にも壮大さが広がる曲で、鳥の鳴き声らしき音を背景に美しいシンセの持続音が伸びる"New Age Rising (Part I)"はアンビエントにも接近しつつ中盤からは多幸感溢れるシンセのアルペジオでバレアリックへと飛翔する。その一方で不気味な電子音が蠢きアブストラクトな音響を鳴らして実験的な方面へと向かった"The Powers of Pi"や、逆に哀愁をたっぷりと打ち出してしみじみとしたシンセポップ調の"Erotica"など、編集盤だけあって曲調は様々だ。9分超えの大作である"Solar Rain"は水の音を思わせる環境音らしき音に薄いノイズや無機質な電子音が持続するだけの実験的な曲だが、そこに続く"Christmas"は可愛らしく優しい音色のアルペジオを用いた透明感のある曲調で、こういった曲調の変化はシーンが移り変わる映画を見ているようでもある。メロウものからバレアリックにアンビエント、ひんやりとしたエクスペリメンタルな電子音響まで多岐に渡る音楽性を包括しているが、どれも基本的にはリスニングとして日常の生活に溶け込むような快適性があり、そして制作から30年を経て現在のダンス・ミュージックへと接続するのは何とも面白いものだ。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |