Bonobo - Fabric Presents Bonobo (Fabric:fabric201)
Bonobo - Fabric Presents Bonobo
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ロンドンの名門クラブ・Fabricがパーティーの雰囲気を再現すべく17年間に渡りリリースし続けてきた4つ打ちを軸とした『Fabric』とブレイク・ビーツを打ち出した『Fabric Live』のミックスシリーズは、しかしネット上に溢れるストリーミングの無料ミックスの台頭を前に、遂にそのリリースは終焉を迎えた。最早販売されるミックスに未来は無いのか…否、確固たるコンセプトやマネージメント力のあるレーベルをバックに制作されたミックスだからこそ、ある一定の品質が保たれ信頼を寄せる事が可能となる事だってある筈だ。一度はミックスのリリースを止めたFabricもクラブ/パーティーの現在形を表現するべく、再度その歩みを始動させて手掛けるのが『Fabric Presents』シリーズで、タイトルからして殆ど変わってないのはご愛嬌か。第一弾に抜擢されたのはトリップ・ホップやジャズにアンビエントやエレクトロニカと様々に音楽を横断するNinja Tuneの人気アーティストであるSimon GreenことBonoboで、その知名度や実力からしてシリーズ立ち上げに迎えられたのも納得だろう。さて、当方はBonoboのDJプレイを体験した事はないが、ここでのプレイは4つ打ちのテクノ/ハウスを主軸に用いて高揚感のあるパーティーの雰囲気で、そこにスパイスとしてジャズやアンビエントも盛り込むなど、思っていたよりもダンス性の強い内容ながらもBonoboの音楽性も表現されている。初っ端自身の未発表曲である"Flicker"はセンチメンタルモードなエレクトロニカ風で、そこからまたも自身のどっしり4つ打ちながらもエキゾチックな"Boston Common"、そしてブラジリアンなサンバのりながらも優雅な"Jacquot (Waters Of Praslin)"、森林の訝しいエキゾチック感溢れるハウスの"Hidden Tropics"と、音楽性は様々ながらも確実に序盤から踊らせにくる選曲だ。また"Nia"や"Maia"などヒプノティックなシンセを前面に出した覚醒的でメランコリックなディープ・ハウスで盛り上がりつつ、中盤は"TKOTN"や"By Your Side"など変化球的に崩した情緒的な雰囲気に包まれるブロークン・ビーツのリズムで揺らしつつ、同じブロークン・ビーツでも何処か刺々しく不穏でもある"Roach"や"Perpetrator"で攻撃的に攻める瞬間もあり山あり谷ありで大きく揺さぶる。そこからドラマティックにじわじわと盛り上がるテクノの"Mirapolis (Laurent Garnier Remix)"を通過し、終盤はフューチャー・ジャズやブロークン・ビーツのしなやかなリズムとメランコリーで空気で落ち着きを取り戻し、最後は微睡みに落ちていく有機的なアンビエントの"Collage Of Dreams"によって平穏を取り戻す。色々なリズムと温かく豊かな感情性でBonoboらしい幅広いクロスオーヴァーな音楽性ではあるが、しかし滑らかなグルーヴ感によって持続的なダンスな感覚に纏められており、これがDJミックスではあるがおおよそBonoboらしい音楽性が表現されている。この新シリーズにどういった意味が込められているのかまだ分からないものの、幸先が良いスタートを切っている。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Opal Sunn - Parallax EP (Touch From A Distance:TFAD2)
Opal Sunn - Parallax EP
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数多の才能光るアーティストを送り出しレーベルとして順風満帆だったBerghainが主宰するOstrut TonのA&Rかつマネージャを退任した事は当時は不可解だったものの、こうして自身でTouch From A Distanceなるレーベルを立ち上げて送り出してきた作品を聴いてみると、確かにその両者の音楽性には差がありOstrut Tonを離れた事も納得だと今なら感じられる。それはBerghainではなくPanorama BarのレジデントであったNick Hoppner、現在はどうかは定かではないがつまりハウス・ミュージックの方面を担っていたPanorama Barの番人でもあった事を考慮すれば、BerghainをイメージさせるOstrut Tonの硬派で厳ついテクノではなくどちらかというとハウス・ミュージックやエモーショナルなテクノに興味があったのだろう。そんな事もあって自身の音楽性を反映させたTouch From A Distanceからリリースされた2作目は、Utopia Records等からもコンテンポラリー・ミュージックやハウスをリリースするAl Kassian(Alex Kassian)とベルリンで活動するHiroaki OBAからなるOpal Sunnで、ハードウェアを用いてセッション性の強いライブを行うユニットだそうだ。過去には作品リリース前の2016年、そして2018年と「Rainbow Disco Club」にも出演するなどライブユニットとして既に高い評価も得ていたのだろうが、この新作を聞けば確かに魅力的な音楽である事をはっきりと感じ取れる。先ずは何と言っても"Parallax"が素晴らしく、跳ねて揺れるパーカッシヴなリズムから始まり幻惑的な上モノやヒプノティックなシンセがぐるぐると巡るモダンなテック・ハウスは、音圧や勢いではなく恍惚感のある魅力的なシンセのリフやメロディーで引っ張っていくタイプだが、じわじわとする持続性にしっかりとブレイクも持ち込んで実に整った機能的な曲だ。"Aura"はスピード感は抑制しながらもタフなビート感に骨太さが現れているテクノで、そこにデトロイト・テクノとも共鳴するな上モノとキラキラと光を放つようなリフが絡んでいくエモーショナル性が発揮されて、広大な宇宙空間を疾走する如くのドラマが展開される。対して更にテンションを抑えて内省的なディープさがありながらも繊細な電子音の残響が美しい"Mirage"、こちらもディープな音響ながらもエレクトロのビートを取り入れならも甘くメロウなシンセに陶酔させられる"Phantom"と、どの曲に対してもシンセの響きや旋律に叙情的な美意識がありしっかりと意識を引き付ける魅力があるのだ。勿論パーティー/フロアで耳を引き付け肉体を揺さぶるダンス・トラックとしての機能性は文句無しで、こんなに格好良い曲を作るのだからセッション・ライブもどうしたって気になるものだ。次回来日した際には是非とも彼等のライブを体験してみたい。



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| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alex Kassian - Hidden Tropics (Utopia Records:UTA 008)
Alex Kassian - Hidden Tropics

リニスングからダンス・ミュージック、過去の名作からカッティング・エッジまで、オブスキュアなレーベル性で展開するUtopia Records、レーベルとしてはLars BartkuhnやVangelis Katsoulisらがカタログに名を連ねており、単に踊らす事を目的としただけではない芸術的な美しさや豊かさも含む音楽性で、まだ歴史は浅いものの注目すべきレーベルの一つだ。そのレーベルの新作は二人組ユニットのOpal Sunnの一人でもあるAlex Kassian(Al Kassian)によるもの。Opal Sunnではフロアに適した現代的なテック・ハウスを手掛けているが、ここでは「未踏の地」という記載に津和の鷺舞という神事を写したジャケットからも分かる通り、何処かエキゾチックで神秘性もある音楽性を披露しておりUtopia Recordsのレーベル性を更に拡張するような作品だ。引いては寄せる波の音と木琴系のアルペジオや幽玄なストリングスが神秘的ながらも叙情的な世界へと引き込んでいくアンビエント寄りの"Olson Waters"から始まり、EPの中で最もハウシーかつダンスな作風の"Hidden Tropics"は民族的な笛の音やボイス・サンプルを用いて熱帯の深い森の中を思わせるエキゾチックな感覚があるが、そこに謎めいたシンセのソロが入ってくる途端にスピリチュアル性を増す。"Quiet Dawn"も水の流れる音を微かにバックに流し、そこに和楽器だろうか笛や木魚らしき音色によって瞑想へと引き込んでいく、自然と一体化したような寂静かつ侘び寂びのアンビエントを展開。B面は更にエキゾチックと言うか日本的な雰囲気を増し、尺八のぼうっとした音色や宗教的な鐘や木魚の深い音響、そこに鳥の囀りも入ってくる"Birds Of Bahia"は完全に環境音楽の一種で、その神聖な世界観に対し背を正して向かい合いたくなる。そしてミニマルにゴーンと深く響く鐘や木の打楽器の優しい音色が静寂の中に浮かび上がり、厳粛な雰囲気の中で抽象的な尺八が更に深くインナートリップを誘発する"Bells Of Ukyo"、尺八や篠笛の和楽器と豊かな電子音の絡みがビートレスながらも豊かな高揚感を生む"Hidden Tropics Revisited"と、全編通して自分の内なる心と向き合い瞑想にぴったりなイマジネーション溢れる音楽性だ。煩悩や欲望を捨て去りただただ音に耳を傾けたくなる静謐なサウンド・スケープ、Music From MemoryやGrowing Bin好きな人にも引っかかるのでは。



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| ETC4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |