BEST OF 2017
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。近年の日本における音楽業界の厳しさは今年も変わらずクラブ/パーティーも以前に比べるとパワーが低下しているのは否めないですが、それでもその逆境の中から特に日本人アーティストによる素晴らしい作品も生まれたりと、希望が見えたりする事も感じる一年でした。当方が以前程には新譜発掘やレビューに時間を割く事が難しく、またパーティーへ行ける機会も減る中でなかなか流行なり時代なりの音を追いかける事も手に付かない状況ですが、その代わりに時代に左右されないタイムレスな音楽にも向き合う事が出来たとも感じております。以下に選んだ作品は正にそんなタイムレスと呼んでも差し支えない物ばかりで、当ブログ開設時からかなり方向性は変わって決してダンス・ミュージックだけではないですが、音楽としての素晴らしさにジャンルは関係ないですよね。これが何か少しでも皆様の音楽ライフの充足の為の手助けになれば幸いです。それでは、来年も良いお年を!
続きを読む >>
| BEST | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Artefakt - Kinship (Delsin Records:122DSR)
Artefakt - Kinship
Amazonで詳しく見る(MP3)

オランダからの新鋭、Robin KoekとNick Lapien - 個別にも活動しており、それぞれSoul People MusicやREKIDS等からも作品をリリースしている - によるArtefaktの初のアルバムは、同じくオランダのDelsin Recordsよりリリースされている。Delsinと言えばヨーロッパに於いて屈指のデトロイト・テクノ愛を示すレーベルの一つであり、本作でもそれに共鳴するようなSF世界観やエモーショナル性を含んでいるが、Artefakt自身は過去にPrologueから作品をリリースしている事もあり、より機械的でひんやりとした質感と機能性を打ち出したグルーヴにディープな音響を活かした作風が特徴だ。例えばDonato DozzyやNeel周辺の音楽性とも親和性は良いであろうし、Delsinというレーベルの中でも特に視点がフロアへと向いている。アルバムはオーロラのように揺らめく美しいパッドと痺れるような鈍い電子音が組み合わさった"Kinship"で開始するが、ノンビートの闇の奥底で蠢く残響や渋谷駅のアナウンス等を用いてアンビエンスな空気が満ちている。続く"Tapestry"からビートが入ってくるが、冷え切って硬質なマシンビートと微かな残響が持続するトラックに、朧げでスペーシーな上モノも被さってディープ・スペースなテクノへと突入。"Entering The City"は12分超えの大作で膨張したリズムとアシッド・ベースがうねりつつ、空間の奥で奇妙なSEが微かに鳴っている完全なツール系トラックだが、次第にデトロイトを思わせる幻想的なパッドやメロディアスなフレーズも入ってきて、壮大な宇宙空間を飛行するかのようなアルバムの中でもキラートラックに当たるだろう。そしてざらついたビートがエレクトロ的で無機質な電子音がシーケンスするロウ・テクノな"Somatic Dreams"、アシッド・ハウス気味なベースラインが前面に出ながらも奥深い空間を作る残響が効果的なディープ・テクノの"Fernweh"とフロアを痺れさす強烈な曲で攻めつつ、ラストはアルバムの始まりと同様にアンビエント性の強い"Tapeloop 1"によって激しいテクノのグルーヴが過ぎ去った後に残る心地良い疲労感を癒やすようにフィナーレを迎える。僅か7曲のアルバムではあるが起承転結のある流れ、そしてどの曲もディープな音響による空間演出と脳髄がビンビンと痺れる電子音が効果的に用いられており、現在形のテクノとして大いに評価したい。



Check "Artefakt"
| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2017/6/16 THE OATH -every 3rd friady- @ Oath
青山にあるOathは今では珍しいレジデントパーティーを毎月開催しているクラブ。クラブとしては非常に小規模なもののリーズナブルなエントランスや出入り自由な気軽さ、またその規模以上の音響の良さもあって今では毎週末多くの外人客が訪れる人気の場所になっている。さて、第三金曜を担当しているのが日本において特にシカゴ・ハウス愛を強烈に打ち出したプレイを行うRemiで、その骨太で厳つい音楽を中心としたプレイはファンキーで喧騒としたパーティー感満載だ。そして今回ゲストには意外にもFuture TerrorのメンバーであるHarukaが呼ばれる面白い組み合わせであり、またこのパーティーには何度か参加しているMilkmannもサポートに加わっている。
続きを読む >>
| EVENT REPORT6 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Daniel Avery - DJ-Kicks (Studio !K7:K7342CD)
Daniel Avery - DJ-Kicks
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
MIXCDシリーズとしては名実共にトップに君臨するDJ-Kicksシリーズは、テクノやハウスだけに限らず多種多様なジャンルに於ける実力者を起用しているが、決してコマーシャルな訳ではないが比較的名の知られているDJが多かったように思う。新作はUKテクノシーンの新星であるDaniel Averyが担当しているが、確かにここ数年めきめきと頭角を現してはいるものの、決して幅広く知られているかと言うとそうでもなくアンダーグラウンドな雰囲気を今も尚纏っている。そんなDJを起用したDJ-Kicksの選択は間違っていなかった…本作を聴けば誰しもそう思わずにはいられない、これが今のテクノだと言わんばかりの時代性とアンダーグラウンドなパーティーの感覚がここには閉じ込められている。ダンス・ミュージックの中のテクノの、更により深いアンダーグラウンドな音楽に慣れていなければ、本作で聴ける展開が少なく氷点下のような冷たい電子音の持続は、単調に感じるかもしれない。明確な旋律のないスモーキーなドローンが満ちる"Soundscape I"で幕を開けると、続く"Sensation (Rrose Remix)"では殺伐で荒涼とした風景が浮かぶ電子音が酩酊を誘う4つ打ちで胎動を開始し、暴力的なキックと無機質な金属の打撃音で猪突猛進する"Vertigo"で深く真っ暗な地下のトンネルを疾走するような感覚に陥っていく。展開を極力抑えられたダークなテクノはミニマルと呼ぶべきなのだろうが、例えばリズムにうねりがあるグルーヴのミニマルではなく、抑揚を排し深い音響によって持続間を生むAveryのプレイは、非常に機械的であり温度は極度に冷えている。しかしだからといって盛り上がりが全くない事はなく、中盤のアタック感の強いキックと覚醒的な電子音が反復する"Stortorget"からゴリゴリと掘削するようなキックに感覚を麻痺させるドローンが乗った"Capitulo 5"辺りの流れは、ハード・グルーヴが目を出して肉体的な刺激も十分だ。そこからはドローンや細かな電子音が散りばめられたハードな音響テクノを中心に、ずぶずぶと地底に沈んでいくようなダークかつサイケデリックな流れが続き、次第に感覚や意識が薄れていくようだ。最後は始まりと同様にAveryによるモノトーンなアンビエントである"Space Echo"が待っており、それまでの荒々しさが嘘の如く霞となって消えて終わりを迎える。比較的どの曲も長くプレイされるせいで派手なミックスも無ければ、曲自体もモノトーンで荒廃した世界観が長時間続く平坦な流れだが、しかしそれこそが我を失う酩酊した感覚を生むのであり、ハマる人にとっては最上級の恍惚感を与えるに違いない。



Check "Daniel Avery"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |