100DSR Compilation (Delsin Records:100DSR)
100DSR Compilation
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オランダと言えば古くからデトロイト・テクノに影響を受け、実験的かつフロアだけに集約されない広範囲なテクノをリリースする事に長けたレーベルが多い。その中でも1996年にオランダはアムステルダムに設立されたDelsin Records(とその傘下のAnn Aimee)は、ベテラン勢の安定した作品を手掛けると共に新人の発掘・育英にも力を注ぎ、数々の名作を世に送り出してきた重要なレーベルだ。最初にデトロイト・テクノに影響を受けたと述べたが、勿論そこから大きく飛翔しミニマルやブレイク・ビーツにリスニング系なども手掛けており、その多様性を十把一絡げに述べる事は最早出来ない。そんなレーベルの運営も17年に及ぶが、そのカタログ100番を飾るために用意されたのが本コンピレーションである。CDでは2枚組で、Delsinに関わりの深い新旧アーティストが(全てが新曲と言う訳ではないが)曲を提供しており、正にDelsinの音楽性を知るためにはこれぞと言うべき内容になっている。如何にもDelsinらしいピュアな響きを持つBNJMNによるリスニング系の曲もあれば、Delta Funktionenによる鈍い響きと低いベース音がダークな雰囲気を持つテクノもあり、ダブ・ステップに傾倒した今っぽいA Made Up Soundによる曲もある。Claro Intelectoの荒々しい残響が交錯するダブ・テクノもあれば、IDM的な音と戯れるようなCimのエレクトロニカもあり、Ross 154(Newworldaquarium)の退廃的なビートダウンだってある。極み付きはデトロイト第2世代のJohn Beltranが雨上がりの感動的な情景が浮かび上がる余りにも切ないアンビエントを披露している。これがDelsinだ、決して安住の地に留まらずに様々な音を吸収しながら、今という時代の音を創り出す現在形のテクノ・レーベルなのである。もしテクノを聴いていてDelsinに馴染みが無いのであれば、是非この機会に接触するには良い機会となるだろう。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kirk Degiorgio Presents Sambatek - The Remixes Vol. 2 (Far Out Recordings:JD28)
Kirk Degiorgio Presents Sambatek - The Remixes Vol. 2
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UKのベテランアーティストであるKirk Degiorgioによるテクノとサンバを融合させたプロジェクトがSambatekであるが、そのプロジェクトによるアルバム発売間近にして2枚目の先行EPがリリースされている。Kirkと言えばデトロイト・テクノや古典的なフュージョンやジャズなどに精通しているが、最近の彼の活動はと言うとハードなスタイルのテクノにも広がって来ているように見受けられる。リミキサーにRush Hour系のBNJMNを迎えている事には特に違和感はないが、それとはスタイルを異にするJonas Koppや前作にも参加したSpatialが並んでいるのには意外性がある。それはそうと唯一のオリジナルである"Rocinha"は、ブラジリアン・サンバを思わせる軽快で弾けるパーカッションが乱れ打つ中を、コズミックなシンセが反復しながら宇宙空間を高速で疾走するハイテックな音があり、Kirkのデトロイト愛が花開いた作品と言えよう。一方で"Babilonia (Bnjmn Remix)"はBnjmnらしい不気味なアンビエンスも漂っているが、暗闇の中を彷徨う内向的な暗さと未来的なインテリジェンスが同居したテクノで、まだKirkにも共通する点は残っている。しかしSpatial による"Dende (Spatial Remix)"は変則的なパーカッションが入り組んだつんのめるようなテクノで、ダブ・ステップのリズムと切れ味の鋭いシンセを合わせた新世代を予感させる楽曲性であり、今までのKirkの趣向には無かった音であろう。そして最もKirkの音楽性からは似つかわしくない"Borel (Jonas Kopp 'My Vision Of Samba' Remix)"、サンバのようにパーカッションが大地を揺らすように脈打っているが、曲そのものは執拗に金属音が発せられるモノトーンなハードテクノ化しており完全にフロア向けのDJツールとなっている。Kirkがこのようなリミキサーに目を向けた事は、彼が以前よりも更にフロアに接近しテクノに傾倒している事を示している。ちなみに前作に続き本盤も180g重量盤と、音も盤もどっしりと重みがある。

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BNJMN - Black Square (Rush Hour Direct Current:RH-DC 1 CD)
BNJMN - Black Square
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Rush Hourと言うと近年はせっせとベテランの古典をリイシューばかりしているイメージもあるが、目の付け所が良いと言う点で言えば実は新人の発掘でも同じだ。このBNJMNことBen Thomasも幾つかの名義で既に作品はリリースしていたが、2010年にRush Hourよりリリースされたアルバム"Plastic World"(過去レビュー)によって日の目を浴びる事になった。前作では初期デトロイト・テクノやCarl Craigばりのサイエンス・フィクションを繰り広げていたが、新作では既に深化と呼ぶべきなのか音にまろやかさも出て来て熟成度は確実に高まっている。勿論安牌を求めたような作品ではなければ落ち着いてしまった訳でもなく、ベース・ミュージックにも似たパーカッションの導入やダンスミュージックとしての強度は高めつつも、相反するリスニングに傾倒した角の取れたアンビエントテイストな音色や底抜けに心地良いスペーシーな感覚は残しており、かつてのWarp Recordsが提唱していたArtificial Intelligenceを現代風にダンス化したものとも言えるかもしれない。何処かで聴いた事があるような感覚は否めないものの、それを差引いても揺るぎない作風 -未来的な予兆をたっぷり含んだ珠玉の曲 -が揃っているのだから、素直にカッコいいテクノだと認めるしかないのである。ちなみに本編は30分弱と短い為か、CD盤のみボーナス・トラックとして1stアルバムから5曲が追加されています。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BNJMN - Plastic World (Rush Hour Recordings:RH-DC7 LP)
BNJMN - Plastic World
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伝統の継承から未知なる才能の発掘まで、そしてテクノに限らない手広い音楽性で前進し続けるオランダのRush Hour Recordings。もう10年もの歴史があり素晴らしい作品を送り出してきたレーベルへの信頼も揺るぎない。だからこそ全く耳にした事も無いBNJMNなるアーティストのアルバムも、逆に興味を持って買う事が出来る。BNJMN、本名Ben Thomasはまだ2年程前にデビューしたばかり、幾つかの変名での作品はあるけれどBNJMNの初の作品はいきなりこのアルバムだ。どこか懐かしいレトロフューチャーな世界観、まるで初期Carl Craigの作品にも通じる知的でメランコリーな音の響きは決して新しさは無いが、リスニング系のテクノとしてはかつてのWARPのAIシリーズと肩を並べる程によく出来ている。AIシリーズに比べれば音に粗さや稚拙な点もあるものの物憂げで郷愁を帯びたメロディーが先導し、いつか夢見た未来の音像が浮かび上がるミステリアスなテクノだ。全体的にのっぺりとした粘りのあるグルーヴでジワジワと侵食しつつ、内なる精神世界へとダイブする内向的なリスニングトラックが中心だが、オールドスクールなテクノ好きな人にとっては懐かしささえ感じられる温故知新なアルバムだろう。

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| TECHNO8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |