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Trux - Untitled (Office Recordings:OFFICE 13)
Trux - Untitled
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ディープな音響美学に定評のあるBaaz主宰のOffice Recordings、そのレーベルが今特にプッシュしているのが不明瞭ながらも情緒的なアンビエンスを奏でるTruxで、2016年に『Trux』(過去レビュー)で同レーベルからデビューして以降、今に至るまで蜜月の関係を築き上げている。霧に覆われたような不鮮明な音像と同様にそのアーティストの存在もミステリアスなままで今も尚Truxとは誰ぞや?という状態だが、例えば2nd EPである2018年発表の本作もアンタイトルとわざわざ付けている通りで、ミステリアスな存在感を敢えて敢えて演出する事で音楽性に惹き付けられるのだろう。基本的にアブストラクトな作風に大きな変化はないが、本作では特に吹雪に覆われたようなヒスノイズ混じりのドローンが一貫して鳴っており、それが特に不明瞭な世界観を強くしている。サーっ鳴り続ける柔らかなノイズの音像の中に不規則なリズムが鳴る"Just A Moment"、朧気ながらもほんのり暖かいパッドが浮かび上がってくると心地好いアンビエンスを発しながらも、抽象性の高い景色に行き先が全く読めない。"Leash"もチリチリしたノイズと幽玄なドローンがダビーな音響で鳴る事で奥深い空間演出にかっており、柔らかなノイズが吹き荒れながらも激しさよりは壮大で大らかなアンビエントに包まれる。特に印象的だったのは"Gold"で、ぼんやりとした不鮮明なシンセとゆっくりとしながらも牧歌的なブレイク・ビーツ風なリズムが合わさったこの曲は、90年代のアーティフィシャル・インテリジェンスのテクノかBoards Of Canadaを思わせるノスタルジーが蘇ってくる。しかし、そこから一転強く重いキックと切れのあるハイハットに目が覚める"Pulse"、ミステリアスなパッドの上を情緒的なシンセが舞い躍動感のあるブレイク・ビーツに揺さぶられる力強いダンストラックだ。またリミックスも2曲収録されており、ずぶずぶ深い音響とミステリアスな雰囲気を残しつつ4つ打ちに接近し心地好い浮遊感を生む"Pulse (Lowtec Remix)"、原曲からがらりと様相を変えてドローンが晴れつつメロディアスでのどかなダウンテンポ寄りへと作り変えた"Just A Moment (O$VMV$M Version)"と、これらも面白い作風ではあるがやはりTruxの原曲が強い印象を植え付ける。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Mark Pritchard - Under The Sun (Warp Records:WARPCD244)
Mark Pritchard - Under The Sun
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恐らく彼の経歴の中で最も有名なGlobal Communication、そしてHarmonic 33やJedi KnightsにTroubleman名義など多数の名義を持つMark Pritchardにとって、活動20年以上を経てようやく本名でのアルバムが完成したのは意外だろう。その名義の多さはアンビエントやテクノ、エレクトロにニュージャズ、そしてジュークやグライムなど音楽性の幅広さを象徴しているが、本作ではその多様性がシームレスに溶け合い数々の名義が一つとなってPritchardの根源を表現するような印象が感じられる。アルバムの始まりを飾る"?"は厳かな音響が静かに湧き立つアンビエント性があり、重厚感の中にもムーディーな風景が広がる。続く"Give It Your Choir"ではレーベルメイトのBibioをフィーチャーし、随分とメランコリーで何だか教会の中で響くような荘厳な気高さがある。決してテクノだけではなく"Falling"のように可愛らしい電子音が子守唄のように響く曲もあり、2〜3年掛けて出来上がった曲を当て嵌めるように纏めたと言うのも納得だ。ロック方面からの目玉はThom Yorkeをフィーチャーした"Beautiful People"だろうが、悲壮感を含むボーカルと物憂げなトラックは救いを祈りにも聞こえる。その一方でBoards Of Canadaを思わせる何処でもない何処かにいるようなサイケデリアを演出する"Where Do They Go, The Butterflies"や、メロトロンが牧歌的な長閑さを生み穏やかな気分に包む"Sad Alron"など、Global Communicationの時代を思い起こさせるような曲調もある。フォークシンガーのLinda Perhacsをフィーチャーし、物哀しいアコギも導入した"You Wash My Soul"は、最早シンプルさを強調したフォークだったりと、テクノへの拘りは無く感情の赴くままにアルバムを制作したのだろうか。アルバムのコンセプトは特に無いと言う本人の説明通りに、確かに本作はある特定の音楽性に的を絞っている志向はなく、しかしメランコリーやムードを尊重した点での共通項があり、それらはサウンド・トラックの様に一場面がさくさくと移り変わる風景を喚起させる。欲を言えばもっとインストに拘って、敢えてボーカルを起用しないアルバムでも良かったのではと思うが、そこは何でもこなせる器用さがあるからこその挑戦に違いない。



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| TECHNO12 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Koze - DJ-Kicks (!K7 Records:K7325CD)
DJ Koze - DJ-Kicks
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生まれては埋もれていくMIXCDシリーズが多い中で、1995年に開始したDJ-Kicksは20年以上もの歳月を経ても勢いが衰えるどころか、続々と新興勢力も巻き込みながら発展をしている。テクノやハウスから始まりダウンテンポやレゲエ、果てはエレクトロニカやダブ・ステップまで吸収し、そして作品毎に手掛けたアーティストの新曲を収録する事で、常に新鮮な状態でダンス・ミュージックの現在形を紹介する役割があるのだ。そして栄えある第50作目の監修に選ばれたのは、Stefan KozallaことDJ Kozeだ。現在は自身で主宰するPampa Recordsも軌道に乗る中で奇抜さとユーモアを持ったダンス・ミュージックを手掛けるなど、その稀有なアーティスト性はオリジナルかつ変態性を伴っている。そんな彼が久しぶりに手掛けたMIXCDは、いや実際には殆どミックスされていないのでコンピレーション的な意味合いが強いが、正にDJ Kozeのそんな自由な創造性を夢のような甘い世界に溶け込ませたような彼らしい音が浮かんでは消えていく。冒頭はDJ Kozeによるエクスクルーシヴな"I Haven't Been Everywhere But It's On My List"だが、カットアップされた声とヒップ・ホップ的なリズムにドリーミーなシンセが組み合わさったポップな一曲で、この時点で既にDJ Kozeの世界観に魅了されるに違いない。続く"Can't Get Used To Those? (Kosi Edit)"は生温く風変わりなブレイク・ビーツで、そして牧歌的な雰囲気で軽快なビートを刻むエレクトロニカの"Dead Dogs Two (Boards Of Canada Remix)"、更にスモーキさが広がる訝しいドラミングが特徴の"Holiday (Kosi & Fink's Edit)"など、序盤は長閑な雰囲気ながらもヒップ・ホップ的なビート物が中心だ。中盤に入れば更に束縛から解き放たれビートは希薄化しつつフォークやシティーポップにジャズまで展開し、後半に入ればクラブらしい雰囲気のディープ・ハウスやミニマル・テクノまで飛び出す変幻自在の流れが待っている。ただそれは決してバラバラに離散しているのではなく、様々なビートや音色が一つの流れに合わさるようにポップかつドリーミーに仕立てあげられ、まるでサウンド・トラックにも感じられる心象風景を浮かび上がらすのだ。DJ Kickが決してダンス・トラックを集めただけの内容ではなく、当初から続く「奇妙なホームリスニング」というコンセプトを再度知らしめる、そんな意思さえも伝わってくるようだ。DJ Kozeが制作する奇妙な音楽の性格がそのまんまMIXCDに反映されている点でも、期待通りと言うべきで非常に面白く切ない一時間を体験させてくれる事だろう。



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| ETC4 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Sad City - Introduction To Lisboa / Sloe (Phonica Records Special Editions:PHONICASPECED004)
Sad City - Introduction To Lisboa / Sloe

ロンドンの人気レコード店であるPhonica Recordsが手掛けるスペシャル・ディションは、年に1枚程度とのんびりとした活動ながらもレフトフィールドな音楽性で注目を集めている。そんなレーベルにおいてグラスゴー在住のGary CaruthによるSad Cityは、2013年にリリースした"You Will Soon Find That Life Is Wonderful"(過去レビュー)における幻想的でメロウな、そしてサイケデリックな心象風景を浮かび上がらせるエレクトロニカが評判となった、そのSad Cityが同レーベルから1年ぶりとなる新作をリリースした。路線は前作と変わる事はなく期待通りと言った内容で、幕開けとなる"Introduction To Lisboa"では街中の雑踏のフィールド・レコーディングを使用し臨場感のある空気を持ち込みながら、曲はそこから途切れる事なく"Baixa Saxophone"へと繋がっていく。フィールド・レコーディングの音響は弱くなりながら背景に同化し、そして細いビートが刻まれながらもやっとした形のないメロディーが浮かび上がり、音楽とフィールド・レコーディングの境目をぼかすような展開だ。幻想的で抽象的な音響空間が続き感覚が鈍るように甘い夢の中に逃避しながら、終盤では再度フィールド・レコーディングの部分が強く浮かび上がってくる。そこからまた曲間を埋めるように現れる"Scyphozoa"は桃源郷にいるかのような揺らめく甘いメロディーと鋭角的なビートが地平の遥か遠くまで続くようで、此処ではない何処かへと連れて行く至高のバレアリック/チルアウトだ。途切れる事なく続いたA面からB面の"Apricot"へ変わると、色彩豊かな複数のシンセのパターンと明確なリズムが現れ、長閑な田園風景が広がる牧歌的な心象が描かれる。"Sloe"ではぐっとテンションを落としてかエコーがかかった弱いチャイムの音としっとりとしたストリングスが、子供をあやすように静かな響きで眠りへと誘い、最後の"Stream"ではまたも川の音と思われるフィールド・レコーディングを用いて徐々に音は弱くなり、切ない余韻を残してトラックは終了する。最初から最後まで現実と非現実を彷徨うかのような抽象的な音像の中に、甘さや切なさと共にサイケデリックなムードが詰め込められ、Sad Cityの牧歌的な音楽観が本作でも光っている。Boards Of Canadaにも匹敵するだろうこの才能は、この流れでアルバムの制作にも期待したいものだ。

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| HOUSE10 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Panoram - Everyone Is A Door (Firecracker Recordings:FIREC012CD)
Panoram - Everyone Is A Door
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DJ HarveyがMIXCDに起用した事で突如として注目を集めているPanoram。2012年にEPを1枚リリースしただけのアーティストが、今年になって突如としてエジンバラのカルト・レーベルであるFirecrackerからアルバムをリリースしたのだから、余計に注視してしまうのも当然だろう。特にEPでのリリースが中心となるFirecrackerからのアルバムという事なれば、それこそレーベルとアーティスト共々に揺るぎない自信があるのは間違いない。最初に述べておくとアルバムではありながら30分程のボリュームであり、各曲も2分前後の随分とコンパクトな作品になっている。しかしそれに反して音楽性は拡張を行うように、情緒豊かでシネマティックなオープニングから始まり小気味良いリズムを刻むブギーな曲、光沢感のあるシンセが優雅に伸びるジャジーな曲、安っぽいマシンビートを刻むロウ・ハウス、果てはBoards Of Canadaの淡い霧の世界に覆われたサイケデリアやThe Black Dogのようなインテリジェントなブレイク・ビーツまで、本当に一人のアーティストが手掛けているアルバムなのかと疑う程にスタイルは多彩だ。尺の短さとその多様性が相まって、各曲の世界観を堪能する間もなく次々と心象風景が浮かび上がっては消え、あっという間にアルバムも聴き終わってしまう。だからといってアルバムが散漫になっているかというとそうでもなく、矢継ぎ早に展開される曲とは対照的に各曲の中に流れる時間軸は世間の喧騒を忘れるようにゆったりとしており、優雅かつ甘美な香りが満たされたデイドリームを満喫するようなリラックス加減が心地良い。あれこれと試みながらもコンパクトに纏めた事が功を奏し、いつの間にか聴き終えると再度デイドリームを求め、自然とプレイヤーのリピートボタンを押すような魅力がある。短いながらもノスタルジーに浸るには十分過ぎるベッドルーム向けの音楽で、Firecrackerの音楽性をも拡張する特異なアルバムだ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hands - The Soul Is Quick (Ecstatic:ELP004)
Hands - The Soul Is Quick
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The Field名義ではテクノにシューゲイザーの要素を持ち込み、またLoops Of Your Heart名義ではジャーマン・プログレのように電子音と戯れ、それぞれの名義で人気を博しているAxel Willner。そんな彼による第三のプロジェクトがこのHandsで、この度はKompaktでレーベル繋がりもあるWallsによるレーベル・Ecstaticからアルバムをリリースした。なんでも2012年の3〜4月頃に制作されていたそうなので、実はThe Fieldの3rdアルバムよりも前の音源である。また制作に使用した楽器はRoland JX-3PやRoland SH-101のヴィンテージなアナログ・シンセに、リズムマシンのElektron Machinedrum、そしてTENORI-ONのみと非常にシンプルな構成で、この非常に個人的な制作から生まれた音楽はベッドルーム・ミュージックと呼ぶのが相応しい。曲は僅か4曲のみだが全体で40分程もあるアルバムと言っても差し支えないボリュームで、その多くはMy Bloody ValentineやWolfgang VoigtによるGas名義、またはBoards of Canadaなどを想起させるドローンかつアンビエントな音がただただ浮遊するように流れている。朧気なノイズの中から微かに浮かび上がるリズムは単なる背景の一部と化し、実際の体感としてはおおよそノンビートに聞こえるアンビエント・ミュージックだ。ノイズにしてもアナログの柔らかな音がぼかしにぼかされ、全く角のないサウンドがただ揺らいでいるだけの単調なドローン状態ではあるが、その掴み所のない抽象的なサウンドが靄に覆われた幻想的な風景を描くようでもあり眠気を誘う程に心地良い。Loops Of Your Heart名義でも同じようなアンビエントの感覚はあったが、それ以上に電子音としての個性を濾過した淡い音がフラットな響き方に繋がっており、アンビエント性を高めている。就寝前のBGMとして聴くと効果の高い合法的な睡眠薬となる事、間違いなし。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2014/5/10 Sunset Lounge @ 江ノ島展望台
Sunset Lounge

湘南は江ノ島展望台で開催されているSunset Loungeは、その前身にあたるFreedom Sunset時代から遂に11年目を迎える。DJとライブを展望台の真下で夕日を眺めながら体験出来る素晴らしいシチュエーションだけでなく、ヨガ体験や子供も安心して遊べるキッズエリアもあり、夜な夜なクラブで遊ぶ人だけでなく老若男女、子供がいる家族層にまでその魅力が伝わっている稀有なパーティーだ。野外パーティーの中では一際客のマナーも良いもあって、その盛り上がりはレイヴの狂騒とは異なる平和的なものであり、クラブパーティーとはまた違った素敵な体験をする事が出来る事は魅力の一つだろう。
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| EVENT REPORT5 | 16:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
Boards Of Canada - Tomorrow's Harvest (Warp Records:WARPCD257)
Boards Of Canada - Tomorrows Harvest
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レコード店に隠すように置かれたアナログ、TVのCMやラジオ番組、そしてyoutubeまであらゆるメディアを利用して、新作についての壮大なプロモーションを行ったBoards Of Canada(以下BOC)。情報網が発達したせいで新作に対するドキドキ感が失われつつある現状に対し、豊かな情報網を逆手に取った謎解きでファンの心を昂らせる事に成功したが、その期待は全く裏切られる事なく8年ぶりのサウンドもBOCそのものであった。エレクトロニカと呼ばれるダンスフロアからベッドルームへと閉じ籠もった電子音楽がトレンドとなっていた時代から、決してBOCの音に目新しさを感じる事は無かったが、この新作ではより初期の頃に作風へと回帰しているように思える。生音が大量に取り入れられポスト・ロック的な印象も受けた前作の"The Campfire Headphase"に比べると、本作は古いアナログシンセーサイザーを大幅に導入した影響か、エレクトロニックなビートを基調にした”Music Has the Right to Children”に近くも感じるが、しかしあそこにあった無邪気で多幸感に満ちたサイケデリアは希薄化している。CDに収録された荒野のアートワークは失われる運命にある終末的未来を予感させるが、本作には未来から過去に対するそんなた陰鬱なノスタルジーが聞こえてくるのだ。確かに体重が軽くなったような浮遊感はあるのだが、それも足元がふらふらするようなもっさりしたビートと何処か心も晴れない不安気なメロディーが軸となっており、初期の頃にあった牧歌的なアンビエンスとは向いている視線が異なっている。不安も混在する素朴なノスタルジーは正にベッドルームに籠もってじっくりと耳を傾けたい音楽ではあるが、ただ単に夢の世界に逃避するだけの時代は終わったのか、現実から目を背けずに立ち向かうような強靭な精神力が感じられるのだ。前作から8年も経過し時代の音が目まぐるしく変化した中で、BOCは全くその存在感を失う事なく見事に表舞台に返り咲いた。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lego Feet - SKA001CD (Skam:SKA001CD)
Lego Feet - SKA001CD
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IDMの先駆者であるAutechreがAutechreである前に、Lego FeetとしてSkamよりリリースしていたレア作品が復刻されました。Skamと言えばBolaを輩出しBoards Of Canadaを世に知らしめ、IDM流行の一端となりながらも匿名性の高さを守り続ける真にアンダーグラウンドなレーベルで、そんなレーベルの第一弾が実はLogo Feetだったとは運命的とさえ言えましょう。本作は市場では余りの稀少価値さ故に尋常ならぬ価格がついておりますが、音楽はそう言った価値で判断されるべきではない事を踏まえて評価すると、やはりAutechreはAutechreであって初めから才能の片鱗を伺わせておりました。時代が時代だけに正直やっている事は古臭いレイヴ調のブレイク・ビーツからヒップホップとアシッドハウスが不完全に融合したようなトラックまで、ごった煮なサウンドが目まぐるしく展開する内容です。元々はLPの両面に17曲として収録されていた物に追加曲を加えて4つのパートに再構築している様ですが、その影響もあって短いスパンで勢い良く変調して行くのを聴くのは大変愉快です。後の精密機械の如く細かく編み込まれたビートは聞こえてこないものの、何か新しい音楽を産み出そうとしていた予兆は感じられ、インテリジェンスな段階に入る前の試行錯誤をしていたであろうと言う印象を受けました。Autechreにもこんなに人間臭い時代があったのだと思うと何だか親近感を覚えるし、こう衝動に任せた様な荒削りなAutechreも今となっては逆に新鮮に感じられます。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2011/07/22 root & branch presents UBIK @ Eleven
音源は買っていないのですがFlying Lotus meets Boards Of Canadaとも評されるLoneの来日ライブ、そしてHiroshi WatanabeのSync Positiveライブや井上薫のDJがあったので、Elevenへ遊びに行ってきました。
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| EVENT REPORT3 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dextro - Winded (16K Records:16K002)
Dextro - Winded
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James Holden率いるBorder Communityからもリリース暦のあるDextroの2ndアルバム。ボーコミ自体がダンスミュージックの枠を飛び出してシューゲイザーやサイケを意識した方面に行ったのと同じく、このDextroもテクノと言う音からはかなり離れてほぼシューゲイザー化しております。キラキラとしたアコギのアルペジオや生っぽいアンビエンスなシンセが一面を覆いつくし、こってりこてこてな甘美と霧に消え行く夢幻の世界が広がるエレクトロニカシューゲイザー。全体的にバンドサウンドかの様な湿っぽさや生っぽさが余計に郷愁を強く感じさせるし、どの曲もメロディアスでしんみり感は相当強い。夏から秋にかけての黄昏時の寂しさを呼び起こしそう。サイケ化したBoards Of Canadaや昔の4ADやChapterhouse、Ulrich Schnauss辺りが好きな人には、つぼにはまるんじゃないでしょうか。歌物の"Momentary"が絶品で、広い青空へとふわりと飛び立つ感じを受ける開放感のある一曲。

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| ETC3 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Warp20 (Unheard) (Warp Records:WARPCD203)
Warp20 (Unheard)
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WARP20周年最後のすかしっぺ。ベスト盤やらカヴァー盤やらエレグラやらで盛り上がってたみたいですが、個人的にはかなり肩透かしを喰らっていたのでWARP20周年と言われても全然盛り上がっておりませんでした。でようやく期待に応えてくれたのが未発表曲を集めてくれた本作。ベスト盤はともかくとして最近のWARPの音を示したカヴァー盤より、本作の未発表曲の方が古参のWARPファンは嬉しいのではないかと思う内容。Nightmares On Wax、Broadcast、Plaid、Autechreらの昔からのWARP勢、そしてBoards Of Canada、Clarkらの新世代、極めつけはURのDrexciyaの片割れ・故James StinsonのElecktroidsまで収録されていて、そりゃもうヨダレ出まくりでしょう。Nightmares On Waxなんかは1990年制作のトラックなんで、オールドスクールっぷりが発揮されたダウンテンポでまだ荒い作りが逆に格好良いですね。Broadcastのシューゲイザーを匂わせる切ない歌物、Seefeelの極寒を感じさせるクールなアンビエント、まだ今ほど難解でなくピュアなAIテクノをやっていた頃のAutechreら辺りも、古くからのWARPファン向けなトラックで良い感じ。そして本物のエレクトロを継承するElecktroidsだ。これが元祖エレクトロ、流行のエレクトロとは全く異なるダークかつチープで狂気させ感じさせる正にURの音。その他のトラックも含め全体的にエレクトロニック度が高めで、WARPの音とはやっぱりこれだよねと再度認識させるのに相応しい一枚。

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| TECHNO7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Christ. - Distance Lends Enchantment To The View (Benbecula:ben051cd)
Christ. - Distance Lends Enchantment To The View
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元Boards Of Canadaのメンバーと言う肩書きは最早不要か、Chris HorneことChrist.の2年ぶりのアルバム。BOCは牛歩な活動で新作がなかなか出ない上にポストロック寄りになったりと変化を繰り返しているのに対し、こちらのChrist.は比較的エレクトロニカを貫き通している様に思える。新作も遥かなる故郷への寂しさが込み上げる様なノスタルジーに溢れていて、良くも悪くもそんなに変わらないなと言う印象。柔らかく優しいシンセサウンドは多分アナログ中心なのだろうか、押し付けがましさが全く無く情緒のみがゆっくりと消え行くような音色を発している。地平線の果てまでも延びていくようなシンプルなメロディーの下には、複雑で入り組んだブレイクビーツが根を下ろしているけれど、全体の印象としては決して攻撃的と言う事でもなくかなり地味な部類に入ると思う。ノスタルジックではあるんだけど、更に歳をくって更けた印象と言うか寂しさがより強くなったと言うか。最近はこの手のエレクトロニカに出会う事は少なくなったので、ある意味貴重。

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| TECHNO7 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Warp20 (Recreated) (Beat Records:BRC-242)
Warp20 (Recreated)
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冷静になるとブログにひでぇ事書いたなぁと気付く。時々狂ったりモヤモヤすると書かずにはいられなくなるが、これじゃあただのキモメンがスーパーキモメンになり、今まで以上に女の子はドン引きだ。しかし記録は記録、自分への戒めとして消去はしない。

テクノと言う常に改革を望む世界において、一つのレーベルが20年も続くと言うのはある意味奇跡でもある。そんな奇跡を実現したのがUKのWarp Recordsで、今年で遂に20周年だそうだ。それを記念してリリースされたのが本2枚組で、Warpの音源をWarpのアーティストがリメイクしたコンピ。とは言え正直なところ自分には物足りなさの残る企画で、昔のWarpの音を期待している人は完全に肩透かしを喰らうだろう。当たり前の事なんだけど、これはテクノの殻をぶち壊してレフトフィールド的な自由性を持った音楽性を進んでいる今のWarpの音が中心だと言う事。僕はやっぱり昔のインテリでダンスフルな頃のWarpに思い入れがあるから、その時点でこの企画とはもう合わなかったんだろう。またリミキサーにBoards Of CanadaやAndrew Weatherall、Aphex Twin、Speedy Jら重鎮が入ってないのは、物足りなさどころか失望さえ隠せない。ぶっちゃけな話90年代の重鎮に比べると、今のWarpのアーティストってそんなに魅力的には感じられないんだ。色々手を広める事で時代を生き抜いてきたのは分かるけど、テクノの可能性をもっと見つめ直して欲しい。ま、単純に言えばもっとテクノを聴かせろってだけだ!

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| TECHNO7 | 09:45 | comments(4) | trackbacks(2) | |
Prins Thomas Presents Cosmo Galactic Prism (Eskimo Recordings:541416 501724)
Prins Thomas Presents Cosmo Galactic Prism
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Lindstromとのコンビでディスコダブブームを席巻するPrins Thomasの、タイトル通りでスペーシーな2枚組MIXCD。ジャーマンプログレのHolger Czukay、ファンクのParliament、スペースロックのHawkwindに混じって、Boards Of CanadaやTres Demented(Carl Craig)などのテクノ、日本からはCrue-L Grand OrchestraやDub Archanoid TrimとWaltz(Altz)、そしてハウスやイタロディスコ、レアグルーヴなどがまとまり一つの宇宙を形成する面白いミックスだと思います。本人曰わく2枚まとめて一つの作品だと言う事で1枚目のラストから2枚目の出だしが繋がっておりますが、1枚目は2枚目までにじわじわと上げていくゆったりとした内容、2枚目はよりダンサンブルでよりエモーショナルな内容。いやダンサンブルではあるんだけどやはり肩の力が抜けリラックスしふらふらとしたトラックが多く、ベッドルームで広がっていく宇宙を想像しながら聴けるような音で、決して馬鹿になって大騒ぎする様な音楽じゃあないです。でもバレアリックでもコズミックでもスペーシーでもサイケでも何でも良いんだけど、開放的で楽天的な恍惚の中毒がじわじわと浸透してくるんですね。選曲の幅の広さとは対称的に音の雰囲気にばらつきは感じられず、CosmoでGalacticでPrismなキラキラとしたハッピーな音に統一されていて気持ちEーです。力作っちゅーか怪作っちゅーか、ブームの先端にいるアーティストの本領が炸裂したお勧めの2枚。

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| HOUSE4 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Rob Da Bank - Sci-Fi-Lo-Fi Vol.3 (Shoegazing 1985-2009) (Soma Quality Recordings:SOMACD076)
Rob Da Bank-Sci-Fi-Lo-Fi Vol.3 (Shoegazing 1985-2009)
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Slam主宰、UK屈指のテクノレーベル・Somaが送るローファイな音楽シリーズの最新作は、Rob Da Bankが担当したシューゲイザーがコンセプトの素敵な一枚。この際だから言っておくがRob Da Bankを知っていようがいなかろうが、このコンピは必ずシューゲイザーファンの貴方の心をときめかすに違いない。シューゲイザーと言うのはJesus & Mary Chainの轟音フィードバックギターから影響を受けたMy Bloody Valentineなどの音楽を指していて、彼等が演奏中足元を俯きながら見ていた事からその名が付けられたジャンルです。更にそこから派生したのがRideやChapterhouse、Slowdive、Pale Saintsで、何故かどのバンドも同じ様に浮遊感のあるノイジーなギターと甘美なメロディーと消え行くかすれ声が揃っているのが特徴でした。とにかく91年ごろのUKにおいては不思議な程にシューゲイザーが流行っていてどんな新人バンドも同じ様な音を出していましたが、その流行ゆえか廃れるのも早く殆どのバンドが轟音ギターと共に消え去ってしまいました。それでも三十路以降の大人にとってはシューゲイザーは若かりし頃の青春と言うべき音で、ファンも多いんじゃないかと思います。そんなファンにとって、1985年から2009年までのシューゲイザーとそれっぽいのを集めたこのコンピが合わない訳がありません。本家マイブラが入って無いと言う苦情もあるかもしれないけれど、Boards of Canadaのサイケなエレクトロニカは入っているし、Ulrich SchnaussやM83らの新世代やマイブラが大好きなロックバンド・Dinosaur Jr.とかの曲も収録されていたりと、なかなかの選曲の良さ。そして歳喰った大人だけでなく、シューゲイザーを未体験の若い世代にはこれがきっと指標となるので超絶お勧めなのです。

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| ETC3 | 06:00 | comments(6) | trackbacks(0) | |
Christ. - Blue Shift Emissions (Benbecula:BEN031CD)
Christ.-Blue Shift Emissions
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元Boards Of Canadaの、元Boards Of Canadaの、元Boards Of Canadaの!BOCの文字だけで反応する人はどれ位いるのでしょうか。元BOCのChris HorneことChrist.の2NDアルバム。BOCは大人気だけどこっちの知名度はぼちぼちの様で、Christ.を知らないのはちょっともったいないと思う。BOCの最初期のメンバーであっただけでそれ以上でもそれ以下でも無いけれど、確かに音的にはBOCのメンバーであった事を感じさせるノスタルジックな雰囲気があります。まるで空想の世界に迷い込んだかの如くどこまでも晴れ晴れしく広がる世界があり、かと思えばどこか懐かしさを感じさせる牧歌的な風景も広がっています。BOCみたいに異次元空間を匂わせるサイケデリックな音とはまた異なり、強烈に心象に残るのではなくしみじみとした印象だけが残ります。アナログ万歳な優しいシンセサウンドがのどかなメロディーを奏で、ビートはシャープに洗練されたマシンビートを刻み、エレクトロニカ大流行の時みたいなサウンドが久しぶりに蘇ってきました。エレクトロニカの流行はあっという間に過ぎ去りましたが、ローファイとハイファイを組み合わせた様なChrist.は蜃気楼の如く神秘的でその存在を時たま露わにするのでした。

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| TECHNO4 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Bola - Shapes (Skam:SKALD020)
Bola-Shapes
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新作ではありませんがUKのアンダーグラウンドレーベル・Skamのアーティスト、Bolaのレア音源が初のCD化です。エレクトロニカシーンの一時期の繁栄はSkamのBoards Of CanadaとこのBolaに依る所が大きいと思っていますが、本当にこの二つのユニットは大変素晴らしいですね。エレクトロニカと言うと気難しく何やら近寄りがたい面もあったのですが、このBolaとかは心地良い幽玄なメロディーがばっちり入っているので比較的聞き易かったと思います。今作は2000年に3枚組のEPとしてリリースされた物に、未発表曲を2曲追加した物だそうで一番脂の乗っていた頃の作品なんじゃないかなと。暗く無機質な音なのに相変わらずエモーショナルなメロディーが、静かに静かに闇の中を這いずり回る雰囲気。徐々に恐怖が迫り来るような不安感と謎めいた物に感じる畏敬の念がぐるぐると頭の中を駆け巡り、Bolaの存在を余計に大きく抱かせます。またBolaはメロディーもさる事ながら、一つ一つ発せられる音も素晴らしいです。冷徹で温度を感じさせない機械音と言えばいいのでしょうか、かなり研ぎ澄まされて練られた音だと思います。深夜一人で機材をこねくり回して、日夜新しい金属音を探しているイメージが浮かんできました。Bolaは永遠に闇の中、光を浴びる事はないのでしょう。

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| TECHNO4 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(1) | |
Boards Of Canada - In a Beautiful Place Out In the Country (Warp Records:WAP144CD)
Boards Of Canada-In a Beautiful Place Out In the Country
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Boards Of Canadaはシングルも素晴らしい。スコットランド、エジンバラのミステリー・Boards Of Canadaには、まだまだ見果てぬ世界が見えているのだろう。と言う事でお勧めシングル第二弾。こちらは1st、2ndアルバムの間にリリースされたEPで、全曲アルバム未収録。曲数は少ないもののクオリティーはどのアルバムよりも群を抜くと言っても過言ではなく、もしかしたらBoards Of Canadaの中でも一番好きかも。この頃はまだポストロック臭も皆無で完全にエレクトロニックな作風が、Boardsさんの謎めいた世界に聴く者をより深く引き込みます。神秘的、牧歌的、サイケデリック、色々な表現が可能なBoardsさんですが、徐々に消えゆく視界に身も心も溶けてしまいそうになりそうです。1〜3曲目はぐにゃぐにゃとぼやけたサイケデリックワールドなのですが、4曲目は突如視界が開けた様に美しい世界が広がります。パルスの様に微妙にずれつつも定間隔で振幅するシンセ音が、より静寂を強調し崇高で神秘の時を刻んで行くのでした。是非この路線でアルバムを出して欲しかったと今でも強く思います。

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| TECHNO3 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Boards Of Canada - Trans Canada Highway (Warp Records:WAP200CD)
Boards Of Canada-Trans Canada Highway
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Boards Of Canadaはシングルも素晴らしい。スコットランド、エジンバラのミステリー・Boards Of Canadaには、まだまだ見果てぬ世界が見えているのだろう。昨年リリースされたアルバム「The Campfire Headphase」からのシングルカットであるこのEPは、一曲目以外は全て新曲。エレクトロニカ、テクノから始まり、そして最新作ではポストロックに寄り添った作品となっていたが、このEPも生音っぽいリズムを使いつつ夢想のサイケデリックな世界観を演出しています。彼らの音楽を聴いていると、どんどん神秘の森の中に引き込まれてしまい、いつの間にか現世には帰って来られなくなる秘境めいたものを感じます。もちろんサイケデリックな面は彼らの一面と言うだけで、彼らには幻想的で心地良い旋律を奏でる事が出来、そこに浮遊感のある音響を用いて広い広い抽象的な絵を描き出すのです。以前僕は「The Campfire Headphase」に関してはそれ程絶賛はしませんでしたが、革新性を求めなければ素晴らしい作品だと思っています。そんな「The Campfire Headphase」が好きであれば、今回のEPも存分に楽しんで頂ける物だと思いますね。

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| TECHNO3 | 23:00 | comments(4) | trackbacks(1) | |
James Holden - At The Controls (Resist Music:RESISTCD59)
James Holden-At The Controls
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今でこそテクノやハウス方面でも注目の的になっているJames Holdenですが、元々はプログレッシブハウス畑の人です。オックスフォード大学在学中の19歳の時にリリースした「Horizons」が注目を集め、その後はSashaと共同作業をしたりリミックスを量産したり、プログレ界では若き新星として人気を誇っていたそうです。ところがその人気とは裏腹にHolden自身はレーベルの制約に縛られ、自分の好きな音楽を創れなかったと語っているのです(それで売れるなんて皮肉めいてますが…)。ならば制約に縛られない自分のレーベルを作るかと言う事で出来上がったのが、今最も旬なレーベル・Border Communityです。情報の早い人はご存じ、Nathan Fakeらを擁するプログレッシブハウスに捕らわれない真の意味で前衛的なレーベルです。ここから発信される音は、テクノともハウスともプログレともロックとも言える独特な音で、クラブミュージックとしての固定概念はありません。本当に好きな音楽を創っていると感じられるのは、その自由性の為でしょう。(逆に過去のプログレ時のHoldenが好きだった人は、今のHoldenにどう感じているんでしょうね?)

前置きが長くなりましたが、James Holdenの趣味満開のMIXCDが遂にリリースされました。これは本当に凄い、今まで数多くのMIXCDを聴いてきた僕でも結構な衝撃を受けました。いや、衝撃と言うよりもただ単純にぞっこんになってしまっただけなのですが。Richie HawtinとAphex TwinとMassive Attackが共存し、自身やBorder Communityのアーティストの曲、またはエレクトロニカやポストロックまで、多岐に渡って色々な曲が収録されています。かつては「Balance 005」(過去レビュー)と言うバリバリトランシーなMIXCDをリリースしたHoldenの姿はもはや無く、完全に一段階上がったHoldenがここに居ます。本人曰くベッドルームで聴く音楽を意識したという通り、直球ストレートなダンスミュージックはここにはありません。その代わり10代の甘酸っぱい青春を思わせる郷愁とギラギラと怪しく輝く恍惚感が共存し、身も心も溶けてしまいそうなドラッギーな世界観は今まで以上に強くなっています。Holdenの発する音は、それがプログレだろうとテクノだろうと関係無く、いつだってサイケデリックなんですね。ジャンルはばらばらでも統一感があり、そこにHoldenのセンスと言う物を感じます。これこそ新世代の到来を告げるMIXCDですよ。

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| TECHNO3 | 18:00 | comments(4) | trackbacks(0) | |
Chris Clark - Clarence Park (Warp Records:WARPCD86)
Chris Clark-Clarence Park
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Aphex Twinを紹介したならばこいつも紹介しておかないといけない。Aphexと同じWarp Recordsから衝撃のデビューを飾った、ポストAphex Twin的なChris Clark。事前情報も全くなくいきなりWarpからデビューを飾り、多くのテクノリスナーを虜にしたサウンドとは一体。Aphexの血を濃く受け継いだいびつなブレイクビーツと擦り切れんばかりのざらついたノイズ音は、病んでいる精神世界の様でもあるが整然と組み立てられ理知的な感じが強い。また壊れかけのオモチャの如く朽ち果てながらも、時折見せるノスタルジックなメロディはBoards Of Canadaの世界観とも共振している。子供の頃の何か懐かしさが心に浮かび上がりほっとするのは、Chris Clarkの愉快な遊び心のせいか果ては狂った感性なのか。後追い的な音ではあるのだが、それでも楽曲一つ一つのクオリティーは文句の付けようの無い出来だ。そう言えば、ジャケットの赤目の子供がちょっと怖い。何とも不穏なアルバムだ。

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| TECHNO3 | 22:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Ulrich Schnauss - Far Away Trains Passing By (Domino USA:DNO045CD)
Ulrich Schnauss-Far Away Trains Passing By
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いやはや前々から名前だけは聞いていたエレクトロニカシーンで注目を集めるUlrich Schnaussですが、まだアルバムを買った事はありませんでした。雑誌とかWEB上ではシューゲイザーバンド・My Bloody Valentineとも比較されたりする様なアーティストで、今回1stアルバムが再発の上にボーナスディスクも付けられていたので即購入。さて音はどんなもんかな〜と聴いてみたら、あれ?シューゲイザーではないね…。よくよく調べるとシューゲイザーの流れがあるのは2ndアルバムの方なのね。でもこのアルバムは多少ポストロックに寄りつつもチープな音だけど、開放感と郷愁に満ちたメロディー、安らぎと平穏に導かれる世界観は良いね。透明感のあるアナログシンセサウンドがふわふわと漂い、閉ざされた闇の世界に自然と光と色が戻ってくる様です。Boards Of Canadaの最新作なんかにも似た世界観だけど、BOC程重苦しくなくライトなアンビエントってとこでしょうか。一聴して分かり易いメロディーがあるから、エレクトロニカにありがちな堅苦しさは皆無。芸は無いけれど単純に良いと思えるアルバムですね。

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| ETC1 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
2005 Best Seller
今年も遂に終わりがやってきました。と言う事で年間ベストなんですが、その前に今年は年間売り上げベストを行おうと思います。皆様今年もこの「Tokyo Experiment」経由@アマゾンで、多くの商品を購入して頂いてありがとうございました。アフィリエイトのおかげでより多くのCDを購入出来、色々な音楽を紹介する事が出来たと思います。ただの趣味で始めたこのブログですが、テクノやハウス、自分の好きな音楽をもっとみんなに聴いていただけたらなんと素晴らしい事かと。それでは僕が紹介したCDで、今年売り上げの良かった順に紹介させて頂きます。

それでは続きをどうぞ。
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| BEST | 10:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Boards Of Canada - The Campfire Headphase (Warp:warpcd123)
Boards Of Canada-The Campfire Headphase
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前作「Geogaddi」においてこの世とは隔絶された万華鏡の様なサイケデリックミュージックを作りだしたBoards Of Canadaでしたが、3年ぶりの新作は原点回帰とも取れる大傑作「Music Has the Right to Children」と似た様なメランコリック路線に戻っています。BOCに求めていたのは正にこのとっつきやすさであったので、素直に嬉しい気持ちとBOCの壮大でありながら人懐っこいメロディーの居心地の良さにうっとりします。しかし今作は少なからずとも原点回帰以上によりレイドバックした様な音を発していて、ギターなどの生楽器が大幅に導入されたポストロックもどきになっていました。もどきと言うと言葉が少々悪いですが、別に目新たしい音でも無くなりBOCの独創性も薄まってしまったのかなと。良く言えばエレクトロニックミュージックとポストロックの融合とも言えるかもしれませんが、エレクトロニカがポストロックに与えた影響で生まれたサウンドをそのまま真似してしまっただけで、素直にこれで良いのか?と考えてしまうのです。閉鎖的でダークな感があった今までより、開放的になり景色は明瞭で人間らしさを非常に感じる点はあります。斜に構えなければ単純に聴きやすく良いアルバムだとは思いますし、BOCを聴くならこのアルバムから入っても良いのではないでしょうか。ただ、純度の高いエレクトロニックミュージックを聴きたかったのも正直な気持ちです。

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| TECHNO2 | 22:00 | comments(9) | trackbacks(9) | |
Boards Of Canada - Music Has the Right to Children (Warp:WARPCD055)
Boards Of Canada-Music Has the Right to Children
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期待の新作「Campfire Headphase」が既に発売済みのBoards Of Canadaですが、まずは初期の名作のこのアルバムを聴いてみましょう。スコットランドのミステリー・Boards Of Canadaは、現在二人組から成るユニットでエレクトロニカシーンで爆発的な人気を得ています。謎に満ちたSKAMレーベルに所属しつつ、前衛的なWarpレーベルからも作品を送り出し一般的な日の目を浴びる事となっておりますが、BOCの謎は深くなるばかりで余計に深淵の世界にはまっていきます。この希に見る傑作「Music Has the Right to Children」も神秘の森に迷い込んだ様に霧の世界に包まれて、夢想と現実の世界を行き来します。抜け出す事の出来ない霧の中、微かな光が浮かび上がり近づくとそれは妖精であった…そんなおとぎ話の様なノスタルジーの世界が展開され、子供も大人も分け隔て無くBOC流のトリップワールドに引き込まれるでしょう。ダウンテンポで硬いビートで足は地についているにもかかわらず、ふらふらと浮遊しぼやけた上物が耳を、感覚を、心を刺激し確実に森の奥へと引き込む事でしょう。美しくも不気味で、快楽であるにも不安でしかし心惹かれる彼らの世界観は余りにも壮大です。あぁ、謎は深まるばかり。

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| TECHNO2 | 23:00 | comments(4) | trackbacks(2) | |
Bola - Gnayse (Skam:SKALD015)
Bola-Gnayse
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鰡、ボラ、ぼら…UKのミステリーレーベルSKAMから発信された、エレクトロニカ界でBoards of Canadaと双璧をなすのがこのBolaである。SKAMと言うとGescom(AutechreやBolaも参加してるとか?)を送り出し、様々な怪しいエレクトロニカアーティストを送り出し、エレクトロニカを流行させた一因でもないかと思っている奇妙なレーベルである。そのSKAMを一躍有名にさせたのがBoards of CanadaとこのBolaだ。ま、今回はBoards of CanadaはおいといてとにかくBolaだ。

Bolaの音楽は、笑いがない。とにかくドシリアスで潜水艦で深い海を進行している様で、暗い暗い未知の旅へ行くかの様だ。ゆったりとした流れの中に、極限まで研ぎ澄まされた電子音が僕らを不安の中に落とし込む。しかし何故か冷たいこの音の中には、揺らめく隠れた熱さと言う物を感じ得ずにはいられない。徐々に徐々に燃え上がる炎の様に、機械的な電子音の中にも暖かみを感じる事が出来るのではないか。深海の奥深くに秘宝の如くうごめくストリングスが、硬いビートと絡み合いある一種のアンビエントな世界を作り出す。しかしアンビエントと言えども、ここに享楽的な世界は皆無だ。

これは3rdアルバムだけど、1stアルバム「Soup」は名盤中の名盤なのでそれも是非聴いてみると良いでしょう。ミステリーワールドへ誘われます。

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| TECHNO1 | 21:40 | comments(7) | trackbacks(5) | |
WARP Vision The Videos 1989-2004
Warp Vision 1989-2004
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WARPといえばイギリスの最重要テクノレーベルで、優秀なアーティストを多く輩出している。初期のブリープの流行の先駆けとなったLFO、Artificial IntelligenceシリーズとしてのPolygon Window(Aphex Twin)、Black Dog、Fuse(Richie Hawtin)、またAutechreやTwo Lone Swordsmenも擁し、そしてBoards Of Canadaもライセンスしたりする偉大なレーベルである。そのアーティストのプロモビデオを集めたのがこのDVDである。何と言ってもAphex Twinのビデオは音楽に負け時劣らず強烈で、とにかく見逃す事は出来ない。ユーモアと狂気を兼ね備えた迷作?である。Autechreのビデオも凄い。音楽とリズムをシンクロさせた動画で、フューチャリスティックな物体がノイジーに変化してゆく。個人的にはAphex Twinのビデオが見たかったので買っただけなのだが、他のビデオも充実しているのでWARPに思い入れがある人はきっと満足出来ると思う。WARPを知らない人は逆にこれを見て、お気に入りにアーティストを見つけられたら良いかな。
| TECHNO1 | 23:30 | comments(2) | trackbacks(1) | |