Dalholt & Langkilde - Sur Plus (Music For Dreams:ZZZV17001)
Dalholt & Langkilde - Sur Plus
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現行バレアリックを引率するレーベルの一つ、2000年初頭にKenneth Bagerが設立したデンマークのMusic For Dreamsはそのジャンルの中では最早老舗と呼んでも差し支えないレーベルで、膨大なカタログにはイビサ系のベテランから新進気鋭のアーティストまで名を連ねており、このレーベルからリリースされる事はある意味では太鼓判を押されているのと同義だ。そんなレーベルから2018年5月に突如リリースされたのが本作で、デンマーク出身のMads DalholtとFrederik Langkildeのデュオによる初のアルバムとなっており、過去にEPさえもリリースしていないアーティストがこのようにいきなり名門レーベルからアルバムを出すのだからレーベルとしてもそれなりの一押しでないかと伺える。アルバムはもはやダンス・ミュージックの延長線上ですらなく、レイドバックしたダウンテンポ〜バレアリックが中心で、哀愁が滲むスパニッシュギターも効果的に用いる等バンド的なサウンドも強い。虹色に染まった夕日の中に薄く広がっていくようなスパニッシュギターがサウダージを奏でる"Charite"でアルバムは始まり、朗らかながらも咽び泣くようなギターソロに心酔する緩やかなダウンテンポの"Doucement"で何だか空が暗い闇へと移ろい変わる時間帯のよう。"Disco Disco"は軽いキックの4つ打ちも入ってスムースなグルーヴに乗り、そこに喋り口調の歌やチョップ風なコズミックなシンセも加わってバレアリックを通過したモダン・ディスコか。そしてタイトル曲の"Sur Plus"、静寂の中にか細いアコギの残響が広がりオルガンや乾いたパーカッションが無味乾燥に味付けする非常にブルージーな曲で、この枯れた感もある円熟味は長年活動を続けたベテランアーティストかのよう。また比較的ハウス・ミュージック寄りな"Groovin Man"では爽快なタブラが空へと抜けつつメランコリーなアコギとキラキラしたシンセが絡み合いながら、ぐっと情感を強めて興奮も高まりながら夜が深まっていく曲調でもある。ただやはりアルバム全体の印象としてはバレアリックではありながらも、明るい青空が広がるよりは夜の闇が広がる空のイメージで、大きな空間に残響が広がっていく開放感がありながらもそれは多幸感よりは侘び寂びにも近い質素な美意識が通底している。



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| ETC(MUSIC)4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |