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Garrett - Private Life II (Music From Memory:MFM036)
Garrett - Private Life II
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アンビエントからニュー・エイジ、ファンクやジャズにエクスペリメンタルと特定のジャンルにとらわれずに、そして基本的には過去の時代の狭間に取り残されたように眠っている音源を掘り起こす、オブスキュア・サウンドの代表的レーベルであるMusic From Memoryは、しかし非常に数少ないものの時には過去ではなく未来への視点が向けられた作品もリリースを行う。その一つがLAのミステリアスなプロデューサーとしてMFMから2017年にデビューしたGarrettで、その後その正体はモダン・ファンク代表格のDam-FunkことDamon G. Riddickによる新たなプロジェクトである事が判明した。『Private Life』(過去レビュー)は彼のモダン・ファンクな音楽性にバレアリックな世界観が加わった作品として高い評価を獲得したが、それから一年を経て届いたその続編である本作は、よりバレアリックやアンビエントへと傾倒し静かな海辺の夕焼けのようなメロウなサウンドを強めている。アルバム冒頭の"Gotta Get Thru It"が既に本作を象徴するような作風で、TR-808系のパーカッションが柔らかい膨らみを生むようにリズムを刻んでいるが、しかし何よりも極彩色の光沢さえも放つようなシンセの薄っすらとした伸びや甘いエレピの装飾は非常にロマンティックで、夕日を望む遠景に自我も溶け込んでいくようだ。かっりちとしたロービートが刻まれDam-Funkの面影を残す"Changes"でも自由にメロウな旋律を奏でるエレピやフュージョン風な豊かなシンセの音色がこれでもかと切なさを誘い、しんみりとしたムードが満点。そしてアンビエントへと向かった"Awaiting The Light"ではビートは完全に消失し、その代りにぼんやりとしたシンセのドローンが抽象的に持続して、その中に星の瞬きのような電子音の響きも加えてそのロマンチシズムはピークへと達している。リラックスしながらもざっくりしたヒップ・ホップのビートに和んで甘いシンセを被せた"Warn Sentiments"、透明感のあるシンセやエレピが揺蕩いその下ではキレのある鋭角的なビートがしっかりと地を掴む"Sitting At The Bar Waiting"とリズムの躍動が心地好い曲もあるが、それにしても白昼夢に浸るドリーミーな音の響きはバレアリックだ。がやはりGarrett名義を主張するのはビートの無い曲で、弦楽器らしきアルペジオに先導され浮遊感たっぷりに宙を優雅に舞う"Conflicted Lovers"は、フュージョンやアンビエントが一つとなり豊かな情感を誘発する。全編通して色彩溢れるシンセが躍動するメロウでバレアリックな、部屋の空気を切なさで満たす素晴らしきリスニング・ミュージック。MFMのレーベルの知名度を更に高める事間違いなしの一枚だ。



Check Dam-Funk
| ETC4 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Garrett - Private Life (Music From Memory:MFM021)
Garrett - Private Life
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過去の時代に埋もれてしまった作品から現行バレアリックまで、知名度に関係なく音楽そのもののに焦点を当て今という時代にも適合する掘り起こしを行い、鋭く確かな審美眼を持つMusic From Memory。新作が出れば当然の如く試聴すべきレーベルの一つであり、このGarrettなる聞き慣れないアーティストのミニアルバムも試聴してみれば、結果的には即購入を決断する程の内容であった。レーベルインフォでは「L.A.のミステリアスなプロデューサーGarrettによるアルバム」との触れ込みだったが、調べてみると実はメロウなモダン・ファンクを手掛けるDam-FunkことDamon G. Riddickによる変名である事を知った。Music From Memoryと言えばジャンルを固定する事なく良質な音楽の紹介に力を入れている事もありファンクな作品をリリースする事も決して意外ではないが、まさかDam-Funkの完全新作をリリースすると予想していた者はいないだろう。しかしMusic From MemoryとDam-Funkの相性は一体どうなのか?という杞憂は、1曲目の"Apocalyptic Sunrise"を聞けば消し飛んでしまう事は間違いない。空へと飛翔するような美しいシンセのアルペジオと痺れる刺激的な電子音がフリーキーな展開となるアンビエント系のこの曲は、確かにレーベルのバレアリックなムードからは全く外れていないどころか、Dam-Funkのコズミックな響きのシンセ使いがレーベルの豊かな音楽性と調和を成している。続く"Right Now"は2分に満たない曲だが、光沢や艶のあるシンセ使いにファットなドラム・マシンによるリズムは正にモダンなPファンクといった趣きだ。残響を強調したリズムで開放感を打ち出した"Slow Motion"は情熱的で咽び泣くようなシンセのラインが夕暮れ時の切なさにも似た郷愁を誘い、ゆったりとした長閑なダウンテンポによってしみじみと感傷的なムード、これをバレアリックと呼ばずして何と呼ぶのか。再度ビートレスな構成で可愛らしい音色と優しさが満ちるコード展開によるキーボード使いに心もほっとする"Sweet Dreams"、タイトル通り甘美な夢に溺れるリスニング系の曲ではメロウネスが際立っている。最も切なく感傷的な"Angel Reflections"は12分にも及ぶ大作で、もやもやしたシンセや繊細なエレピをロマンチックに聞かせて白昼夢に浸るような微睡んだリスニング曲。リズムは入らずに上モノやメロディーだけで情緒を強め、静けさの中に燻り続ける感情性を生んでいる。そしてリズムマシンによる軽快なヒップ・ホップのビートながらも流麗なキーボード使いや太いシンセベースでファンクらしさもある"Home"、有終の美を飾るジャジーなリズム感に耽美なピアノを重ねた余りにも穏やかな"The End Theme"といった流れで、アルバムは平穏を取り戻すように終わる。ヴィヴィッドな緋色のジャケットから感じられる黄昏時の切なさ、アルバムは正にそんな気分に浸れる穏やかなバレアリック・ムードが通底しており、これは確かにMusic From Memoryらしい音楽だと深く感じさせるのだ。



Check "Dam-Funk"
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trus'me - In The Red (Fat City:FCCD030)
Trus'me - In The Red
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ポストビートダウンか、又はTheo ParrishやMoodymannとも比較された音楽性でデビューを果たしたマンチェスターのTrus'me。しかし2ndアルバムとなる本作では、そんな比較はもう不要と思える程に多様性を開花させ深みも増しておりました。その多様性はもしかしたら参加したゲスト陣の影響なのだろうか。デトロイトからはAmp Fiddler、Paul Randolph、Pirahnahead、Stones ThrowのDam-Funk、そしてTrus'meが主宰するPrime Numbersからもリリース歴のあるFudge FingasやLinkwoodら、数多くのアーティストが制作に加わっています。曲によってはゲスト陣の影響が強く出ており、例えばDam-Funkが参加した"Bail Me Out"はレトロ感のあるヴォコーダーのボイスとギトギトなシンセがブギー感を生み出したファンクだし、Paul Randolphがベースで参加した"Sucker For A Pretty Face"も重くうねりのあるベースラインが強調された汗が飛び散るファンク。Linkwoodが参加した"Need a Job"では力強いハウスの4つ打ちとメランコリーが聴こえてくるし、Amp Fiddlerが参加した2曲はねっとりとしたソウルその物です。じゃあTrus'meの個性は無いかと言うとそうでもなく、どぎつくなり過ぎない様に適度な黒っぽさを残して本格的なブラックミュージック性もありながら、またモダンなお洒落感も含んでいるそのバランス感覚の良さがTrus'meの才能なのかもしれないですね。

試聴

Check "Trus'me"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |