Deep'a & Biri - Dominance LP (Black Crow Records:BCLP001)
Deepa & Biri - Dominance LP
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2009年頃から活動しているイスラエルのDeep'a & Biriはそれ程知名度が高いわけではないかもしれないが、しかし例えば特にデトロイト・テクノに興味のある人にとっては、その存在は記憶に植え付けられているかもしれない。過去にはAril Brikhaとのスプリット盤を制作し、2016年にはDerrick MayのTransmatからも作品をリリースしている事からも分かる通り、その音楽性は確かにデトロイト・テクノと親和性がある。とは言っても単に模倣ではなく、その叙情性を引き継ぎながらもよりミニマルな機能性やダブの深い音響、催眠的なメロディーなどを盛り込んでいて、デトロイト・テクノに影響を受けながらもヨーロッパ方面の音楽性として推し進めている。さて、本作は彼らにとってはアナログ媒体としては初のアルバムになり、そして自身のBlack Crow Recordsからのリリースなのだから、きっと大きな自信があるに違いない。アルバムと言うボリュームを活かして彼らの魅力をふんだんに体感出来る内容になっており、これこそが真のデビューアルバムと呼んでも差し支えないだろう。オープニングはこれから始まるであろう壮大な世界を予見させる"Theories Of Lonliness"、ビートレスな作風ながらも深いダブの音響と叙情的なシンセのレイヤーによって、ディープの極みへと誘いの手を差し伸べる。続く"Voltage"からは完全にフロア向けの機能的なグルーヴが走り出し、低音の効いたひんやりとした4つ打ちに深くも官能的ですらある残響を控え目に盛り込み、大きな展開で振らす事をせずに催眠的なループで一点に収束させるように意識を集中させる。"Alpha Cephei"も抑制された4つ打ちと仄かな残響を用いてはいるが、コズミックに展開する上モノがデトロイト・テクノの情緒的な世界観と共通しており、重力から解放されたような浮遊感もあって心地好い。中盤の"Avicenna"や"Alkalinaty"は完全にフロアでの機能性重視なミニマルなループと淡々とした4つ打ちで持続性を打ち出していて、硬質で金属的なパーカッションやひんやりとした電子音の響きが荒廃した世界を浮かび上がらせる。よりダビーな電子音の残響が強い"Ecole De Nancy"は奥深く暗い空間演出があり、一方で疾走感あるグルーヴに繊細で宝石が煌めくような電子音のメロディーで装飾した"Flow Diverter"はデトロイト・テクノのエモーショナル性をよりモダンに洗練したようで、曲毎に機能性と叙情性を振り分けながらもどれも冷たい音質と深い残響が特徴だ。Deep'a & Biriのファンにとっては期待に応えてくれたアルバムであり、そしてまだ彼らを知らない人にとってはこれが彼らの代表作となるべき一枚にはなるであろうし、デトロイト・テクノ好きは当然としてダブ・テクノやベルリンの硬質なテクノが好きな人にもお勧めしたい。



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| TECHNO13 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 3 (OCTAVE-LAB:OTLCD-2270)
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 3
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2016年は本人にとって新たなる局面へと突入した年であったに違いない。日本人としては初となる作品をデトロイトの老舗レーベルであるTransmatからリリースし、また過去の名義であるQuadraの失われたアルバムを復刻させるなど、過去と未来の両方を押し進めてアーティストとして実りのある一年になっただろう。そして本作もその一年の重要な要素であり、DJとしてのクラブで培った経験を作品化したMIXCDで、シリーズ3作目となる本作"Contact To The Spirits 3"だ。ドイツはKompaktとの関わりから生まれた1作目から彼自身を投影したと言う2作目を経て、4年ぶりとなる新作はこれまでと同様に精密な流れによる濃密なストーリー性を持ちつつ今まで以上に感情の起伏を誘発する内容で、ワタナベの激情が見事に音に反映されている。82分というCDの限界時間に21曲も使用した事で怒涛の展開によって熱き感情が激流の如く押し寄せるが、ミックスの最初は清らかな空気が漂い始めるアンビエントな"Sunrise On 3rd Avenue"を用いる事でこれからの壮大な展開を予期しており、そこからは聴く者を圧倒するドラマティックな展開が全く隙間なく続く。序盤にはYonenagaのプロジェクトであるR406による新曲の"Collapsar"がドラマティックな瞬間を作っており、デトロイト・テクノの叙情性がモダンに解釈されているが、中盤のKirk Degiorgio〜Ian O'Brien〜Rennie Fosterらの曲を繋げたデトロイト志向の流れは神々しいまでの光が天上から降り注ぐようで、勢いとエモーションが見事に融和している。また嬉しい事にR406の曲を用いたのと同様に、日本の隠れている才能を引っ張り出す事も意識しており、終盤に向かってjunyamabeによる幻想的な夢の世界に導かれるような"internal_external_where_is_my_body"をプレイし、ラストには7th GateのTomohiro Nakamuraによる"Memories Of Heaven"を配置して興奮と感動をピークに上げつつすっと余韻を残さず消えていくドラマティックな展開を生み出している。音の数や曲の数の密度の高さ、そして感情の込め具合は相当なエネルギー量で、聴く側も決して安易に聞き流せないような美しくも圧倒的な世界観はやや過度にも思われるが、それもワタナベの胸に秘めたるソウルを極限までプレイに反映させた結果なのだろう。魂と肉体を震わすエモーショナルなテクノに圧倒されるばかり。

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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/8/19 Tendenz 1st Anniversary mit U-More @ 0 Zero
青山Zeroを拠点にほぼ毎月開催されているTendenzが、初開催から一周年を記念したアニバーサリーパーティーに抜擢したのは、ベルリンから初来日となるU-Moreだ。今や海外での高い評価を獲得したCabaret RecordingsやFlugelからリリース歴があり、ミニマルとディープ・ハウスの中に更にはブレイク・ビーツの要素も加える事でU-More独自の音楽性を獲得し、今注目を集めるDJ/アーティストの一人となっている。そしてそれをサポートするのはR-406として活動中のYonenaga、Wataru Sakuraba、BroadのTatsuoki、in the mixからTokukazuにDaiyとTendenzのレジデントが集結し、一周年を盛り上げる事になる。
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| EVENT REPORT6 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deep'a & Biri - Echoic Memories EP (Transmat Records:MS95)
Deepa & Biri - Echoic Memories EP
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知名度は高いもののレーベルを運営するDerrick Mayの本業がDJ故に決して活発な活動とは言えないTransmatは、眠っていた休火山が突如噴火するような復活を果たす。数年ぶりの復活となる2016年も例によって一挙に4アーティストの新作をリリースするなど、レーベル30周年としての溜まっていたエネルギーが怒涛の勢いで噴出する活動で、久しぶりに注目を集めている。そんな新作の一つに選ばれたのはイスラエルの二人組ユニットであるDeep'a & Biriで、2009年頃からデトロイト・テクノのメロディーを咀嚼しつつ西洋風に洗練されたテクノを制作しているが、2012年にはTransmatの『MS00/Beyond The Dance Transmat 4』(過去レビュー)、2013年にはDerrickが監修をした『We Love... Detroit』に曲が収録されるなど早くからDerrickに見初められていたようだ。本作はこの3年間で制作され様々なダンスフロアでその鳴りをテストされた上で完成したそうで、Transmatというその存在に恥じないキラートラックになっている。ソナー音らしい反復とアシッディーなエグいサウンドの反復で覚醒感を煽る"Echoic Memories"は、大きな展開はなくとも闇に溶け込むような機能性があり正にフロアの為のダンストラックだ。"1406 Days"は一転してグルーヴはリラックスしたハウスのそれを刻み、静粛に浮かび上がってくる綺麗目のシンセのフレーズはデトロイト・テクノに通じるものがあり、刺激的なパーカッションも組み合わさってじっくりと盛り上がりを作る展開のある曲だ。"3 Forms Of Sadness"も霧のような空気感のあるパッドが美しくデトロイトの影響を滲ませ、すっきりとタイトなリズムや揺れを生むハイハット等によって爽快に疾走するフロア向けの作風で、そして”Ritual”は音の間を活かしつつダビーな音響のおかげでややディープ・ハウス寄りな音楽性もあり、収録されたどの曲もデトロイト・テクノのファンキーな要素は無いながらも彼等なりにその音楽性を理解し、そして現在のテクノシーンへと合わせた事でDeep'a & Biriの個性が生まれている。Transmatとしてもこうやってデトロイト外から積極的に実力あるアーティストをリリースする事で、レーベルが停滞しないように常に生まれ変わりを成しているのだろう。



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| TECHNO12 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deep’a & Biri, Aril Brikha - Hope (Black Crow Records:BC002)
Deep'a & Biri, Aril Brikha - Hope
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イスラエルはテルアビブで活動するDeep'a & Biriは、以前にはDerrick Mayが手掛けたコンピレーション「We Love... Detroit」にも曲が採用されるなど、デトロイト・テクノとも共振するサウンドが特徴だ。2013年にはテルアビブにてBlack Crow Recordsなるレーベルも始動させたが、そのレーベルの2作目となる本作では自身の作品と共にAril Brikhaの新作を収録している。イランで生まれたという共通点を持つ両者がテルアビブでプレイした際に、政治的問題に直面した経験から生まれそうで、売上の一部はパレスチナ問題の平和活動へと寄付されるとの事。さて、それはさておき"Isthar"と題されたArilによる楽曲は正に彼らしいもやっとした上モノがトランシーで、えぐいシンセベースも流れるように快楽的な旋律をなぞり、幾分か落ち着いて内向的な雰囲気ながらも自身の個性が的確に反映されたテクノになっている。一方Deep'a & Biriがリミックスした"Ishtar (Deep'a & Biri Remix)"は、先ずは空間の奥底で重く響くキックが目立っており、メロディーを闇の中に閉じ込めるように後退させながらダビーな残響を打ち出した重厚なテクノへと姿を変えている。裏面のDeep'a & Biriによる"Har Zion 110"も空間の広がりを感じさせる残響が活きており、幾重にも重なっていく透明感のあるシンセのサウンドは幻想的でも、またその無機質な印象がどこか凍てついて荒廃した世界を喚起させる。がそれをArilがリミックスした"Har Zion 110 (Aril Brikha Remix)"は、有機的な音質を伴い人肌の温もりを感じさせるメランコリーなテクノへと姿を変えるのだから、リミックスというものは面白いものだと思わせられる。両者がリミックスをし合う事で、よりアーティストの個性が浮き彫りになるという分り易い一例だろう。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |