Delta Funktionen - Wasteland (Radio Matrix:RAM-X-CD-01)
Delta Funktionen - Wasteland
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アンドロメダ銀河の奥底のどこかに隠れているミステリアスな惑星、それが"Wasteland"…というコンセプトを元に、SF仕立てなアルバムを完成させたオランダのDelta Funktionen。2012年にはDelsinより初のアルバムである『Traces』(過去レビュー)をリリース、また活動の初期からFuture Terrorにも招致されるなど、テクノを知る者にとってはちょっとした注目を集めていたアーティストだ。デトロイトの本家エレクトロに強い影響を受けたその音楽性は非常にダークで、前のアルバムではそこにフロアでの機能を高めたテクノやレトロな味わいも加えて、非常にバランスの良いダーク・エレクトロを聞かせていた。あれから3年、今度は自身で設立したばかりのRadio Matrixから2枚目となるアルバムの本作をリリースしたのだが、進むべき道が正確に見えているかの如く前作からの路線を踏襲しながらその強度は更に高まっている。端的に言ってしまえばKraftwerkとDrexciyaの子孫と呼んでも差し支えない内容で、前者のロボットボイスと後者のハードで荒廃したエレクトロ・ビートから成る現在形のテクノなのだ。タイトル曲である”Wasteland”からして背筋が凍るような冷気が漂っており、ノンビートながらも重苦しい電子音の展開から徐々に鋭利なビートが入りだし、そして奇妙なロボットボイスや毒気のあるベースなどで、今風に研ぎ澄まされながらもクラシカルな雰囲気もあるエレクトロ・ビートを叩き出す。"Tab"で聴ける乾いたビートはTR系だろうか、そこにぐっと膨らむ電子音のベースや不気味さが漂うシンセのメロディーなど、これはモロにDrexciyaの暗くもタフなエレクトロだ。それだけではなく"A Drone Killed My Bunny"のようにディープでハウシーな4つ打ちが続く曲もあるが、やはり潰れたようなクラップ音や荒れたスネアが入ってくると、オールドスクールに傾くのは自然な流れだ。基本的に明るさは皆無で暗くて凍てつく冷気が吹き出すダーク・エレクトロであり、そこにアシッドやテクノやハウスの要素も織り交ぜながら、古くも新しい刺激的なダンス・ミュージックを完成させている。単にデトロイトの模倣ではなく、これぞDelta Funktionenという音を確立した痺れるような格好良さだ。



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| TECHNO12 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
100DSR Compilation (Delsin Records:100DSR)
100DSR Compilation
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オランダと言えば古くからデトロイト・テクノに影響を受け、実験的かつフロアだけに集約されない広範囲なテクノをリリースする事に長けたレーベルが多い。その中でも1996年にオランダはアムステルダムに設立されたDelsin Records(とその傘下のAnn Aimee)は、ベテラン勢の安定した作品を手掛けると共に新人の発掘・育英にも力を注ぎ、数々の名作を世に送り出してきた重要なレーベルだ。最初にデトロイト・テクノに影響を受けたと述べたが、勿論そこから大きく飛翔しミニマルやブレイク・ビーツにリスニング系なども手掛けており、その多様性を十把一絡げに述べる事は最早出来ない。そんなレーベルの運営も17年に及ぶが、そのカタログ100番を飾るために用意されたのが本コンピレーションである。CDでは2枚組で、Delsinに関わりの深い新旧アーティストが(全てが新曲と言う訳ではないが)曲を提供しており、正にDelsinの音楽性を知るためにはこれぞと言うべき内容になっている。如何にもDelsinらしいピュアな響きを持つBNJMNによるリスニング系の曲もあれば、Delta Funktionenによる鈍い響きと低いベース音がダークな雰囲気を持つテクノもあり、ダブ・ステップに傾倒した今っぽいA Made Up Soundによる曲もある。Claro Intelectoの荒々しい残響が交錯するダブ・テクノもあれば、IDM的な音と戯れるようなCimのエレクトロニカもあり、Ross 154(Newworldaquarium)の退廃的なビートダウンだってある。極み付きはデトロイト第2世代のJohn Beltranが雨上がりの感動的な情景が浮かび上がる余りにも切ないアンビエントを披露している。これがDelsinだ、決して安住の地に留まらずに様々な音を吸収しながら、今という時代の音を創り出す現在形のテクノ・レーベルなのである。もしテクノを聴いていてDelsinに馴染みが無いのであれば、是非この機会に接触するには良い機会となるだろう。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Delta Funktionen - Traces (Delsin Records:93dsr/dtf-cd1)
Delta Funktionen - Traces
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オランダはDelsin、そして傘下のAnn AimeeからBerghainよろしくな硬派で無慈悲なテクノを量産しているDelta Funktionen、近年はFuture Terrorにも招待されるなど日本でも評価を高めつつある中で、ようやくDelsinから初のアルバムをリリースするに至った。リリースしてきたEPは躍動感のある図太いハードなテクノで若さを感じさせる物が多かったが、このアルバムでは"電子音楽における長年の探求の結果"と自ら称す通りで、よりオールド・スクールに寄り添ったテクノ/エレクトロなサウンドを披露している。Delsinと言えばデトロイト物も得意とするレーベルではあるが、特にこのアルバムではデトロイトの最強エレクトロ・ユニットであるDrexciyaの影響さえも匂わせる凍てついた質感を伴っており、今までのある意味現代的でもあった彼のテクノサウンドは一転して古い味を感じさせる物に変わっている。以前のように疾走感のあるハードなテクノだけではなくなり、不吉なボーカルサンプルの導入やデケデケと地を這うベースラインに無機質なエレクトロビートなどの古き良き時代の音を聞かせながら、楽観的な空気が全く無い刺々しく生々しい音で統一されている。アルバムと言うフォーマットを意識してかDJツール的になりがちなフロアトラックだけではなく、程々にはビートやメロディーにも意識を配りながら幅を持たせつつ、しかし通底する狂気が牙を剥くエレクトロは単なる物真似ではない真のダーク・エレクトロだ。



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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2 (Octave Lab:OTLCD-1760)
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2
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5年前にKaito名義でリリースした"Contact To The Spirits"(過去レビュー)はKaitoの魅力と、そしてKompaktとの共同プロジェクトとしてKompaktの魅力を世に伝える意味で特別であった。そして本作はそのタイトルの続編ではあるが名義は本名でとなり、Kompaktの制約も無くなるなど相違はあるが、やはり特別である事は曲目を見て気付くはずだ。一目見て気付くのは彼との繋がりもそれ程なさそうであったデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスが導入されている事で、リスナーからすれば少々意外な印象を受けるだろう。しかし本人から聞かせて頂いた話では元々NYでの活動時代からそれらを好んで聴いていた訳で、本人の中ではデトロイト・テクノと結び付く事はなにも意外な事ではないと伺った。となると今それらが表面化してきた事は、レーベルや名義での制約から解き放たれ自分自身の中に常に存在する音楽を、自然と手繰り寄せミックスした結果なのだろう。だからと言って本作がデトロイト系のミックスであるとも思わない。やはりここで聴けるのはワタナベヒロシと呼べる音であり、それは優しく包み込み包容力やそれに相反する沸き起こる力強さを伴うテクノ/ハウスである。これまで以上にリズム/グルーヴの変化の付け方は深みを増し、幻想的なトランス感を呼び起こす音から生々しい肉体感を感じさせる音まで広がりを聞かせながら、曲と曲とを多層的に被せる事で未知なる展開を生み出す事に成功している。また一瞬足りとも気の抜けない流れの中で、最後には日本人の曲が3曲並んでいる事は同じ日本人として喜ぶべきだろう。無理な展開は感じさせずにそれらは当たり前の様に自然とミックスされているが、そこにワタナベさんが日本のダンスミュージックの期待を一身に背負っている気概は伝わってくるだろう。彼にとってもう6枚目となるMIXCDであるのに、停滞とは全く無縁であるどころか明日へと前進を尚続けている。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Delta Funktionen - Inertia // Resisting Routine (Ann Aimee:INERTIACD1)
Delta Funktionen - Inertia Resisting Routine
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オランダの重要なテクノレーベル・Delsin傘下のAnn Aimeeより、初のレーベルサンプラーとでも言うべきMIXCDが届けられました。そのミックスを手掛けたのはDelsinやAnn Aimeeから作品をリリースしているDelta Funktionen、若手ながらもFuture Terror等にも呼ばれた経験もある将来が有望なアーティストです。彼の音楽性と言えば硬質で図太く、そしてサイバーな雰囲気もありBerghainにも似ているのが特徴ですが、不思議なのはAnn Aimeeって初期の頃はフロアから離れたエレクトロニカな音楽性のレーベルだったはずなのですが…。調べてみると一時休止し2008年に復活して以降は何時の間にかアンダーグラウンド志向なテクノレーベルに様変わりしておりました。そんなレーベルの曲を使用したMIXCDは言うまでもなく硬派なテクノが並んでいますが、驚きなのは収録された全てが新曲と言う挑戦的な内容となっているのです。レーベルの最も新しい音を聞かせる、つまりはレーベルの現在形を体現しているレーベルサンプラーであり、こんな規格はそう多くはないはず。内容の方もテクノ好きなリスナーにはばっちりなベルリンサウンドが満載で、ハードなインダストリアル感やモノクロな荒廃した音が連続しています。しかしただ突き抜けるような直球テクノだけで押すのではなく、空間の膨らみを感じさせるダビーな音響や非4つ打ちのリズムによる変化の付け方など、直球テクノ一点に収束するのではなく多様性を持ちながら展開すると言う所にAnn Aimeeのエクスペリメンタルなレーベル性が読み取れるでしょう。攻撃的かつ歪なテクノでありながら単調な展開に陥らずに機能的なダンスのグルーヴは持ちあわせており、玄人向けなミニマルミックスに陥らずにリスニングの要素もある好内容です。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |