Detroit Swindle - High Life (Heist:HEISTCD01)
Detroit Swindle - High Life
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次世代ハウス・ミュージックの先鋒の一つであるHeist Recordingsは、ベテランではなく若手の強力なアーティストを多く起用しディスコ/ジャズ/ファンクといった要素をブレンドしたハウスを武器にしたレーベルで、そんなレーベルを主宰するのがオランダのLars DalesとMaarten Smeetsのから成るDetroit Swindleだ。彼等自身は2012年にDirt Crew Recordingsからデビュー以降、Freerange RecordsやTsuba Records等の著名なレーベルからも作品を出して着実に評価を高め、2014年には初アルバムであるハウスを軸にクロスオーヴァーな方向性を見せた『Boxed Out』(過去レビュー)で彼等の評価を決定付けていた。あれから4年、彼等にとって2枚めとなるアルバムは自身のホームであるHeistにとって初のアーティスト・アルバムとなり、またDetroit Swindleの音楽性を更に拡張させる事に成功した素晴らしい作品となっている。オープニングには幕開けに相応しいノンビートの"Ketama Gold"で耽美なエレピやファンキーなベースラインを活かしたインスト曲で、ビートは無いながらも洗練されたモダンソウルを感じさせ、落ち着きながらもしかし高揚感を刺激する。その流れから続くタイトル曲の"High Life"で輝きを伴う優雅なストリングスが映えるブギーなハウスへと突入し、大胆に動くファンキーなベースラインやざっくりしながら跳ねるようなリズム感は躍動的で、清々しく喜びに満ちたハウスを展開する。"Call Of The Wild"ではパーカッションやジャンベのリズム帯、サックスやトランペット等に演奏家を起用して、アフロなグルーヴ感やジャジーなムードが入り乱れて、徐々に熱量を高めて情熱的に盛り上がっていくソウルフルなハウスを聞かせる。ギターやボーカルにTom Mischを起用した"Yes, No, Maybe"はリラックスしたビート感の気怠さにMischの飄々とした歌も加わってウキウキとノリの良いブギーな曲で、フューチャー・ソウルとでも呼びたくなる明るくもエモーショナルな面が際立っている。そしてインタールード的なロマンティックなシンセの響きを聞かせる"The Girl From Shiraz"を挟み、Seven Davis Jr.をフィーチャーした"Flavourism"で情熱的な歌と光沢感あるシンセのリフでぐっとエモーショナル性とファンキー性を強めたディープ・ハウスで、アルバムの中でピークタイムを作り上げる。その後には一転して毒々しいアシッド・ベースを用いたダークさと厳ついビート感を打ち出したテクノ寄りな"Freeqy Polly"、レイヴ調のブレイク・ビーツで切り込んでくるような攻め方の"Ex Machina"とフロアを強烈に揺らすトラックが続き、ラストには眠りに落ちていくような甘いアンビエントの"Lucky Number 13"で、徐々に心を落ち着かせて長いパーティーの終わりを迎えたようにアルバムは閉じられる。起承転結で纏まったアルバム構成、また一曲一曲のリスニング性とフロアの機能性を両立させた出来と、文句の付けようのない完成度だ。ジャズ、ファンク、ソウル、ブギー等多彩な要素も飲み込んでハウスとして展開する作風は正にHeistというレーベルを象徴するようでもあり、流石レーベルのボスとしての音楽性を発揮している。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
KiNK & Fabrice Lig - Charleroi DC (Melodymathics:MMOS003)
KiNK & Fabrice Lig - Charleroi DC
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リリースしているアーティストだけを見れば比較的デトロイト系を意識しているであろうベルギーの新興レーベルのMelodymathics。その新作を聞けば予想は確信へと変わるに違いない。なんとベルギーからデトロイトフォロワーの前線にいるFabrice Ligとブルガリアから一躍有名になったKiNKによる共同で作品を手掛けているのだが、その上リミキサーにはブギーなディープ・ハウスで人気を博すDetroit Swindle、これまたデトロイト愛は随一のIan O'Brien、そしてレーベル主宰のMelodymannが迎えられており、話題性も抜群の内容となっている。先ずはオリジナルである"House Version"、メロディアスなシンセの旋律や多幸感溢れる電子音の散りばめ方は確かに両者のエモーショナルな個性が発揮されており、そこに黒くはなくともデトロイトのそれとも共振する爽快なファンキーさも持ち込んで、実にオプティミスティックなテクノになっている。"Detroit Swindle Remix"はパーカッシヴな打楽器を加えつつもビートはざらついており、やや鈍いリズムトラックや荒削りな音質によって派手さを抑えてシカゴ・フィーリングな仕上げ方をしているが、中盤では原曲のエモーショナルな旋律を浮かび上がらせて感動的な瞬間を作っている。そして久しぶりに作品を手掛けた事になる"Ian O'brien Remix"、この手の音楽との相性は当然抜群であり、パワフルで地響きのような4つ打ちに輝きを帯びたコズミック感が炸裂するシンセのフレーズを追加して、宇宙の果てまでも突き抜けていく濃密なハイテック・テクノなリミックスが素晴らしい。対して"Melodymann Remix"は逆にすっきりと情報量を減らした事でビートにキレが出ており、疾走感のあるビート感が目立つデトロイト・テクノ風になっている。元々の原曲がポジティブな希望溢れるものを更に各アーティストが自身の個性を上塗りして、どれも心が晴れ晴れしくなるテクノな作風だ。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Detroit Swindle - The Circular City EP (Heist Recordings:HEIST020)
Detroit Swindle - The Circular City EP
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2013年にDetroit Swindle自身が設立したHeist Recordingsはまだ発足から3年足らずなものの、自身の作品と共に未来ある新星のアーティストもフックアップし、ブギーかつエモーショナルなハウスとしては一大勢力となるレーベルまでに成長している。本作はHesitからリリースされたDetroit Swindleの作品として当然注目を集めない訳はないが、その上に鬼才・Matthew Herbertがリミキサーとして参加しているのだから、自然と手が伸びてしまうのも仕方ない。先ずはDetroit Swindleによる"Circular Cityだが、どっしりと重心低めでざらつきのある4つ打ちが安定感を備えており、そこにうねるマッドなベースやキレのあるカットアップ風なサンプルを持ち込み、そこにアシッド風なメロディーが乗ってくる事でキャッチーなだけではなく悪っぽさもあるファンキーなハウスとして十分な魅力を持っている。しかしHerbertが手を加えればそれは彼自身の音となるのは周知の通りで、"Circular City (Matthew Herbert's Let Yourself Go Mix Featuring Zilla)"では新たにボーカリストを起用した事でポップさを加えつつ8ビットらしい上モノも響き、Herbertらしいユーモアやキッチュな音が打ち出たエレクトロニック・ハウスへと生まれ変わっている。裏面では官能的な音から始まる"Sugar Sugar"は、しかし直ぐに切れのある4つ打ちやファンキーなベースラインがうねりながらブギーな躍動を見せ、耽美な上モノを散りばめる事で優雅さも兼ね備えたハウスとなっている。ざっくりしたビートの生っぽい質感や光沢感のある上モノの使い方もあって何だかフュージョン風な要素もあり、所謂クラブトラックではありながらも温かい響きに人間味を感じさせている。そして"Runningoutof..."もやや前のめりで勢いのあるビートに引っ張られつつも、妙な動きをするベースラインが軸となったミニマルな展開のハウスで、ツール性重視ながらもブギーな雰囲気が満載だ。Herbertのふざけたような独特の世界観を持ったリミックスは言うまでもなく素晴らしいが、Detroit Swindleもそれに負けずと彼等らしいブギーな音楽性に磨きを掛け、どれも魅力あるハウスとして十分な一枚だ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nebraska - Soften The Wireless EP (Heist Recordings:HEIST017)
Nebraska - Soften The Wireless EP
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2015年に続き2016年も絶好調、Rush Hour RecordingsやMister Saturday NightにDelusions Of Grandeurといった旬のレーベルからヒット作を量産するNebraska。ディスコ・テイスト溢れるファンキーさとブギーなノリで煌めくハウスがNebraskaの持ち味で、そこに昨今のロウ・ハウス的な剥き出し感のある質感も取り入れるなど、流行も自然に取り込み現在のハウスシーンをリードする一人であるのは間違いない。新作はこれまたブギーなハウスでは業界をリードするDetroit Swindle主宰のHeistからとなり、音楽性の相性の良さからして間違い無しと期待せずにはいられないだろう。先ずはA面の"Khan’s Bargain (Tom Noble remix)"だが、ファンキーなホーンのサンプルや図太いベースが脈打ち強い光を放つような煌きに満ちており、ノリノリなグルーヴで自然と体が揺れる実にNebraskaらしいディスコ・ハウスになっている。それをTom Nobleがリミックスした"Khan’s Bargain (Tom Noble Remix)"はシャリシャリしたハイハットやダビーな音響が際立ち、より湿っぽく生っぽさが前面に出る事で古き良き時代のディスコへと先祖返りを果たしているようだ。B面に移るとハンドクラップで始まる"The Blues"は直ぐに膨張するようなベースが現れ、雄叫びのようなボーカルや単純なシンセのフレーズがループするハウスへと突入する。音の隙間さえも目立つ非常に簡素な作風は、地味ながらも特にツール性が磨かれている。一方で"It Won’t Be Long "は爽快なパーカッションやメロディアスなシンセが鳴っており、より豊かな色彩感を纏った煌きもありつつメロウーなムードが味わい深い。それぞれの曲で異なる持ち味を出しつつNebraskaらしいディスコ・ハウスをベースとした作風は確立され、更なる人気の獲得に繋がる事を予感させる。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/4/10 OPPA-LA 15th Special - man""man - & - Apache!- @ Oppa-la
湘南は江ノ島と浜辺を前にした素晴らしい光景を望めるOppa-laは、都内からは遠く遊びに行くのにハードルは高いものの、行けばきっと多くの人が満足出来るであろう素敵なクラブだ。そんな場所も遂に15周年だそうで、この度DJ Hikaruが主宰するApache!と併せて、DJ Hikaru × DJ Nobuによる二人会が日曜の夕方に開催された。真夜中のパーティー、都会的な雰囲気とは異なるクラブでのプレイはまた普段とは異なる魅力がきっと存在する筈だ。
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| EVENT REPORT6 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/1/9 RESPONSE NEW YEAR'S PARTY @ Warp
2015年の初めにRESPONSEがサポートについて開催されたgroundrhythmで披露された井上薫×DJ Hikaru×DJ Yogurtのゴールデン・トライアングルから一年、残念ながらAirのクローズと共にこの組み合わせももはや体験出来ないかと思っていた。しかしそれから一年、RESPONSEが中心となり場所をWarpに移して新年会と称して昨年と同様にゴールデン・トライアングルを復活させるとは、期待以外のなにものでもない。そして今回はメイン会場はWarp、そしてサブ会場にCheekyと2店舗を解放しての開催だ。
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| EVENT REPORT6 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
M.ono - Volle Schnauze EP ( Heist:Heist 012)
M.ono - Volle Schnauze EP
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アーティストのとしての活動も絶好調なDetroit Swindleは、2013年から自らでHeistというレーベルを始動させ、今やもう人気沸騰中のMax GraefやAndy Hartらを早くからピックアップし、レーベル主宰の観点からも敏腕を発揮している。そして次に送り出すのはドイツはライプツィヒからRico GrafことM.onoで、2014年にはNite GroovesからもデジタルでEPをリリースしてはいるものの、アナログは本作で3作目とまだ初々しさが残る期待のアーティストだ。アーティストに関しての詳細が分からないので、Heistというレーベルの生っぽさを残したビートダウン〜モダンなハウスまで包括する音楽性を信頼し購入したのだが、その判断に間違いはなかったようだ。タイトル曲の"Volle Schnauze"からしてスウィングするパーカッションとリズミカルなキックにうねるような揺さぶりをかけ、そして陶酔感のあるシンセのリフでデトロイトにも似た叙情性を発しながらフュージョンのような優美さもあり、これぞモダンなディープ・ハウスと言わんばかりの一曲だ。"Perle"はぎくしゃくとしたリズムが小気味よく、揺らぐ幻惑的な上モノや生き物ようにうねるシンセが特徴なものの、全体としてよりファンクやフュージョンの雰囲気が前面に出ている。その一方で裏面には繊細なシンセのメロディーとややエグいシンセのリフによって麗しく展開するテック・ハウスの"Delaware State Route"や、ややアシッド気味のベースラインと不穏なメロディーを用いてレイヴ風なディープ・ハウスの"Pegasus '83"と、Heistにしては少々意外にも思う音楽性ではあるがパーティーのピークタイムにもばっちりはまりそうな曲ではある。強烈な個性を感じさせるわけではないが粒揃いで安定感があり、一先ずM.onoというアーティストの今後を追ってみたくなる位には十分に魅力のある作品だ。



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| HOUSE11 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2015
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。何やかんやで今年も大小51ものパーティーへと足を運び、また価格高騰にも拘わらず素晴らしいヴァイナルに出会うとついつい購入し、大量のCDを購入しながらも未開封のまま放置したりと、例年と変わらず素敵な音楽に囲まれた続けた一年でした。その一方で仕事やプライベートにも時間が取られる事が多くなった影響もあって、大量にリリースされる音源に追いつかず、ブログの更新頻度も例年に比べるとやや落ち気味になったのも事実。でも音楽は好きなので細々とでも素晴らしい作品を、来年以降も紹介し続けられたならと思います。歳をとったせいかは分かりませんが、ベストに選んでいる作品は何だかリスニング寄りの物が増えてきている印象ですが、部屋の中で聴く音楽とクラブで聴く音楽は別物であり、そういった点も何となく反映されているかもしれませんが、少しでも皆様が素敵な音楽に出会えるきっかけになれば嬉しいです。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/11/27 DJ NOBU presents Holes @ Grassroots
今では国内だけでなく海外でも高い評価を受ける事で海外でのプレイも増え、国内では以前程に安定してDJを聴ける回数は減りつつあるDJ Nobu。そんな彼にとっても高円寺Grassrootsは特別な場所なのだろうか、そこで彼が新たに立ち上げたパーティーが『Holes』だ。DJ Nobuによって毎回一癖も二癖もあるDJ/アーティストを招いて、大箱における分かりやすいダンス・ミュージックとはベクトルが異なり、もっと個人の趣向や自由なプレイが尊重された音楽性を重視するパーティーにも思われる。今回はライブアクトにはギターによるドローン/アンビエントで評価を獲得しているHakobune、そしてBlack Smokerの頭領であるKiller-Bong、アーバンかつアダルトな選曲ならお任せの二見裕志、勿論主宰者のDJ Nobuが出演と、この組み合わせからは全く予想出来ない一夜に期待が高まる。
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| EVENT REPORT6 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fouk - Heavy On The Bacon (Room With A View:VIEW021)
Fouk - Heavy On The Bacon
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竹の子のように再現なく生まれくるアーティストの中から、的確に新しい才能を見付けるのは非常に難しい。そこでアンテナに引っ掛かるとしたらやはり信頼出来るレーベルからのリリースがあるか、それは非常に重要な判断の一つとなる。Foukなる聞き慣れないアーティストは、実はオランダでディープ・ハウスのレーベルであるOutplayを運営しているDaniel LesemanとHans Peeman a.k.a. Junktionの二人から成るユニットであり、この名義では既にDetroit Swindle主宰のモダンなハウスを量産するHeistからもリリースをしているので、興味本位を手を出しても期待を裏切られる事はないだろう。事実、新作でも彼等らしいブラック・ミュージックからジャジーかつディスコティックな要素を持ち込み、生っぽい音のフレーズを活かして艶かしさを残したモダンなハウスを披露している。A面にはざらついてリラックスしたビートと抜けのよいパーカッションを軸に、そこに優美なエレピやファンキーなギターカッティングに鮮やかな管楽器の音色、更にはふざけたようなボーカルまで色々と音を盛り込んで、まるでファンク・バンドが演奏していると思わせるライブ感のある"Heavy On The Bacon"を収録している。元々ビートダウン・ハウスやブギーな音楽性を披露していたので驚く程ではないのだが、DJとしてのツール性からではなくバンド的な視線で作れらた楽曲だからこそ、それ一曲で聞かせる完成度を誇っている。B面の"Coconuts"は更にリラックスして憂いを感じさせ、ざっくりとしたジャジーなリズム感と生温く躍動するベースラインがしっとりと湿度を帯び、そして古ぼけたようなシンセのサウンドが懐かしく響く。この男の咽び泣きのようなしんみりした切なさは、踊り尽くしたパーティーの朝方や終わり間近で聴きたくなるムードにぴったりだろう。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fouk - Kill Frenzy EP (Heist:HEIST010)
Fouk - Kill Frenzy EP
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今をときめくDetroit Swindleが主宰するHeistは、Max GraefやAndy Hartなど黒くファンキーなビートダウン・ハウス系のアーティストとの関係が強い。そんなレーベルから聞き慣れないFoukなるアーティストの新作がリリースされているが、実はこのユニットはDaniel LesemanとHans Peeman a.k.a. Junktionによるものだ。前者はOutplayから生の質感が強いディープ・ハウスを手掛け、後者はSleazy Beats Black Opsからもリリースしている通り、やはり漆黒のビートダウン・ハウスに定評があり、その二人によるタッグなのだから相性の良さは折り紙付きだ。何といってもタイトル曲の"Kill Frenzy"が素晴らしく、ハンドクラップとグイグイと加速するような生の質感を伴うジャジーなビート感で引っ張りつつも、さり気なく流麗なエレピのメロディーやゴージャスなホーンを交えて、ブラック・ミュージックの香りを纏ったライブ感溢れるディープ・ハウスに仕上がっている。裏面は一転してレイドバックしたジャジー・テイスト強めな2曲が収録されており、緩んで臨場感のあるドラミングとトリッキーなボーカル・サンプルや浮ついたサウンドを仕込んてリラックスしたムードさえもある小洒落た"Lefty's Bar"と、よりざっくりとラフな生々しさがあるビートと幻惑的なリフに内向的なエレピを組み合わせてディープさを強調した"Ken Sent Me"で、パーティーの喧騒の間にリラックスした空気を持ち込むしっとりした味わいがある。どの曲もやはり生温かく臨場感あるビートの音色が効果的で、それがブラック・ミュージックらしいファンキーさに繋がっており、Detroit Swindle好きな人には是非ともな一枚だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/3/6 EUREKA! with Detroit Swindle @ Air
自らを「デトロイトの詐欺師」と称するオランダからの新星・Detroit Swindle。人を食ったようなそのユニット名とは対照的にデトロイトの音楽やヒップ・ホップにハウスなどの音楽に強い影響を受け、様々なスタイルを盛り込みながらもエモーショナルな性質を尊重した楽曲は、意外にもオールド・スクールな感もあり実に真っ当である。そんな二人がEUREKA!にて待望の初来日を果たすが、日本からは新世代ビートメーカーのSauce81がライブで、そしてEUREKA!のレジデントであるMidori Aoyamaらが出演と、充実した布陣でのパーティーが開催された。
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| EVENT REPORT5 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Detroit Swindle - Boxed Out (Dirt Crew Recordings:DIRTCD06)
Detroit Swindle - Boxed Out
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オランダはアムステルダムからの成長著しいニューカマーのデュオ、Detroit Swindleは「デトロイトの詐欺師」と言う人を食ったようなユニット名ではあるが、2012年にベルリンのハウス・レーベルであるDirt Crew Recordingsからデビューを飾って以降、作品のリリース毎に着実に高い評価を獲得し注目を集めている。例えばFreerange RecordsやTsuba Recordsといったテック・ハウス〜ディープ・ハウス系の実力派レーベルから良質なディープ・ハウスをリリースしてきたのだが、待望の初のアルバムは古巣Dirt Crewからとなった。デトロイトと言う単語が入ったユニット名ではあるがこのアルバムを聴くと、決してデトロイト・テクノ/ハウスだけに影響を受けているのではなく、むしろUSのオールド・スクールな音楽からの影響の方が強いのではと感じる。アルバムの冒頭を飾る"B.Y.O."ではシャッフルする緩やかなビートとメロウな旋律を伴うディープ・ハウスで、これからテンションを高めていくのに相応しい出だしだ。次の"64 Ways"では女性ボーカルを起用して控え目ながらも艶のある優雅な佇まいを含み、単にツールとしてのトラックではなく聞かせる事を目的とした音楽性も備えている。かと思えば"For The Love Of..."や"You, Me, Here, Now"では確実にヒップ・ホップを意識したであろう刻んだようなビートメイクを見せ、いやしかしそれでも尚甘くメロウな音が広がっている。他にも小洒落たジャジーなハウスや疾走感のあるNY系のファンキーなハウス、ビートの遅いブギー・ハウスまで、Detroit Swindleの音楽性をこれでもかと見せ付けるように今までのEPよりも多彩な音楽性を披露している。こう書くと色々と手を広げすぎて散漫した作品と誤解されてしまうかもしれないが、そこはメロウネスと黒いスモーキーな統一感があり、アルバムとして良質な曲が上手く纏まっている。斬新ではなく伝統派的な音楽性であるのは否定しないがが、初のアルバムにして既にベテランのような豊潤な成熟が感じられ、その実力は間違いないだろう。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kerri Chandler - Watergate 15 (Watergate Records:WG 015)
Kerri Chandler - Watergate 15
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世界中からテクノ/ハウスのDJが集まるベルリンで、Berghainに次ぐ第2のクラブと言えるのがWatergateだろう。2002年頃にオープンしてから圧倒的な規模を活かして、夜な夜な人気DJを招致してはミニマルやディープ・ハウスのパーティーを開催している大型クラブとして有名だ。本作はそんなクラブが手掛けるMIXCDシリーズの15作目で、ニュージャージー・ハウスのベテランであるKerri Chandlerを制作に迎えている。なんでも2008年からずっとこのシリーズに参加してくれるように説得してきたそうだが、KerriにとってもMIXCDを手掛けるのは2007年から7年ぶりなので、久しぶりのミックスとしては良い機会になったのではなかろうか。内容はというとヨーロッパからの、しかも大型クラブのシリーズという事もあってか多少は欧州系のテクノ臭が強めな印象はあるが、元々ディープ・ハウスをベースにしながらも硬いテクノも取り込んでいた音楽性があったわけで、その意味からすれば違和感は然程感じない。序盤こそソウルフルなボーカルは入っているが、それ以降はやはりクールな電子音が前面に出て洗練されたテック・ハウスが中心で、黒っぽく渦巻く汗臭さは皆無と言っても過言ではない。最新のトラックを多用しつつもKerriらしい跳ねるリズム感や骨太なグルーヴがあり、ミニマル節を披露する中盤で一旦クールダウンしつつ、再度ズンドコしたリズムと幻想的なテック系の音で丁寧に選曲するプレイはベテランの技だろう。しかしKerriの作品にしては随分とヨーロッパ風に機能的で洗練した内容に纏めたせいか、荒っぽくも豪快な展開や熱気溢れるソウルフルな音は消え去っており、Kerriのニュージャージーな背景が聞こえてこないのは残念な点である。例えばWatergateのような大型クラブの爆音で聞けば、テクノ色強めの本作もまた違う印象を受けるのかもしれないが、ホームリスニングとしてはいささか平坦な印象は拭えない。




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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Breach - DJ-Kicks (Studio !K7:K7314CD)
Breach - DJ-Kicks
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ある程度音楽にはまってくると例え知らないアーティストであってもレーベル買いをするような事はあるが、ベルリンのレーベルであるStudio !K7からリリースされた本作もそんな一枚である。名物となった「DJ-Kicks」は1995年から続くジャンルを越えたMIXCDシリーズで定評があるが、その新作にはBreachを迎えている。聞いた事のないアーティストだと思い調べたところ、実はニュージャズ/ブロークン・ビーツを手掛けているBen Westbeechだと分かった時には驚いたが、このBreach名義によるMIXCDでは最新のテクノ/ハウスを中心にシリアスになり過ぎずに感情の振れ幅を生かしたミックスを披露している。幕開けは不安を煽るような混沌としたノイジーな"Prince Of The Immortal Woods"から始まるが、そこから徐々にビートが入りドラマティックな歌物の"Triangle Vision"へと繋げ、いきなりあっと耳を惹き付ける展開をさせている。そこからは一気に真夜中の高揚感に満ちたフロアの空気を匂わせるディープ・ハウスへと繋がり、Fred Pによる"It Is What It Is"で陶酔感が最高潮にまで達する瞬間は序盤のハイライトだろう。中盤もディープに低空飛行を続けつつ歌物も織り交ぜながらじわじわと陶酔感を持続させ、終盤へと差し掛かるとテクノ寄りな太いキックのトラックも差し込みつつ、その上で闇を抜け出して明るさを求めるようにメロディアスな展開が待ち受けている。Dopplereffekt、Josh Winkら古典的なアーティストの曲に新世代のRedinhoによるフューチャリスティックなダブ・ステップまで新旧混ぜ込んで、ビートの豊かな多様性を用いて一気に開放感溢れた世界へと突入。この終盤でのドラマティックな盛り上がり方は目を見張るものがあり、爆発力を伴う勢いと共に自然な流れで抒情的なエンディングを迎える。何となく思うのはテクノ/ハウスのDJがトラックを世界観を統制するように曲をツール的に使うのに対し、Breachは世界観を収束させる事なく感情の起伏を広げるような選曲をしているのだ。それは恐らくニュージャズを手掛けるBen Westbeechとしてのよりエモーショナルな活動が、背景にあるからなのだろうか。デトロイト・テクノのような心に訴えかける音楽、それに近いものを感じるミックスだ。



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| TECHNO10 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Francois K - Renaissance The Masters Series Part 19 (Renaissance Recordings:RENEW05CD)
Francois K - Renaissance The Masters Series Part 19
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以前に比べると勢いは落ちているように思われるUKプログレッシヴハウスの指標となっていたRenaissance。そのレーベルでは大物プログレDJを招いてMIXCDをシリース化していたのだが、その最新作にはなんと意外にもFrancois Kを招き入れている。Francois Kがプログレッシヴハウス?いやいや、まさかそんな安直な事を彼が当然するわけもないが、しかしジャンルの垣根を越えて音楽に対して隔たりなく平等に向き合ってきたからこそ、このRenaissanceのシリーズを手掛ける事も本来はおかしな事でもないのだろう。先ず以て断言しておくとやはり内容は最近の彼の傾向が強く出たテクノセットにはなっているが、良い意味でのベテラン的な安定感と成熟した大人の親父の包容力を持ち合わせており、パーティーの一夜の流れを感じさせつつも非常に丁寧なミックスを施している。1枚目はJazzanovaのレイドバックしたディープ・ハウスから始まり、Francois自身のラグジュアリーな新曲のハウス、そして音響系ダブハウスなどでじっくりとフロアに火を入れていく。メロディアスなシーケンス、かっちり安定感のあるビートが強まりながらテクノやハウスが気付かない内に融解した流れに巻き込まれ、トレンドもしっかりと掴んだ硬めの厳ついダブ・ステップも混ぜながら1枚目は終了。そして2枚目は最初からパーティーが盛り上がっている時間帯の雰囲気から始まり、パーカッシヴで野性的なハウスやエモーショナルなデトロイト風のテクノ、またはTechnasiaによるシカゴ・ハウスらしいジャッキンなトラックなどピークタイムに合わせた曲を用いて、真夜中の狂騒へと雪崩れ込んでいく。終盤では破壊力のあるLen Faki Remixや大箱仕様のスケール感の大きいテクノを投下し、最後の最後でChronophoneによる感動的なラストに相応しい切ないデトロイト・テクノで見事に幕を閉じる。余りにも自然な流れ、現在のモードを掌握したセンスは、意外性ではなく正攻法で自身の音楽性を存分に表現しているようであり、王道的でありながら時代のさなかに存在している事を証明しているのだ。派手ではないかもしれないが、DJと言う行為に対して非常に真面目な性格が伝わってくる良心の作品だろう。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |