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Marcos Valle - Sempre (Far Out Recordings:FARO211CD)
Marcos Valle - Sempre
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9年ぶりのアルバムという事でちょっとした話題になっているみたいなMarcos Valleの新作。普段クラブ・ミュージック中心に聞く筆者にとっては余り縁の無さそうなアーティストだが、2015年には"1985"をTheo Parrishがリミックスをして話題になっていた事もあり、この新作も軽く試聴してみたところアーバンかつブギーなディスコ/ラテンな作風が直ぐに耳に馴染んだので購入した次第。Valleは60年代から活動するブラジルのアーティストで、ボサノヴァから始まりMPBにディスコ、そしてジャズやファンクにAORやソウルと様々な要素を咀嚼する事で結果的に時代に適合しながら生き抜いてきているように思われるが、過去の作品を聞いてみるとどの時代にもポップなソングライティングが発揮されておりその音は実に懐っこい。そして注目すべきは90年代後半以降はダンス系のブラジリアン・ミュージックでは筆頭格のFar Out Recordingsから作品をリリースしている事で、その点からも少なからずクラブ・ミュージック的な方面からも違和感無く聞けるダンスなグルーヴ感も存在しており、クロスオーヴァー性はここでも発揮されている。そこからのこの新作、Pat Metheny Groupに参加していたパーカッショニストのArmando Marcal、Azymuthのベースプレイヤーとして活動していたAlex Malheirosといった様々なアーティストが参加しているが、特筆すべきはIncognitoのリーダーであるJean-paul Maunickの息子であり、ハウス・ミュージックのアーティストであるDokta VenomことDaniel Maunickがプロデュース&プログラミングを担当しており、その影響として大きくブギー&ディスコな性質が打ち出されている事だ。冒頭の"Olha Quem Ta Chegando"からいきなりファンキーなギターカッティングにトランペットの情熱的な響きが聞こえ、ドタドタとした生っぽいドラムが躍動するディスコな曲で、しかし熱くなり過ぎずにサマーブリーズな爽快な涼風が舞い込んでくる。"Odisseia"では実際に生ドラムを用いた臨場感あるリズムに豊潤なフュージョン風のシンセや甘美なエレピを重ねて、派手さのあるラテンファンクかつサンバながらも哀愁も込み上げる切ない一曲。バラード風なスローテンポの"Alma"では光沢感のある優雅なシンセやしみったれたギターメロディーが活きており、AORで大人のアーバンな雰囲気には余裕たっぷりな円熟味が。そして再びディスコ・ファンクな"Vou Amanha Saber"、ズンズンと力強い生ドラムがリズムを刻み、ギターやベースがうねりつつ豪華さを彩るホーンが響き渡る、陽気さに溢れ肉体感を伴う熱いダンス・ミュージックを聞かせる。音楽的な新しさは皆無ではあるものの色々なスタイルが元からそのままであるように馴染みながら、エネルギッシュに脈動するダンスからしっとりと聞かせるリスニングまで丁寧なソングライティングが耳馴染みよく、取り敢えず老獪なベテランに任せておけばOKみたいな安心感のあるアルバム。真夏は過ぎてしまったけど、蒸し暑い時期にも体感温度を下げる爽やかなブラジリアン・フレーバーが吹き込んでくる。



Check Marcos Valle
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ3 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Far Out Monster Disco Orchestra - Black Sun (Far Out Recordings:FARO 202CD)
The Far Out Monster Disco Orchestra - Black Sun
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ブラジリアン・ミュージックのオーソドックス - 例えばジャズやサンバにボサノヴァなど - そしてモダンなダンス・ミュージックまで、過去と未来を紡ぐように展開するFar Out Recordingsは、この類に造詣は無い人にとってもレーベル名は聞いた事がある位に著名な存在だ。そんなレーベルの15周年の活動として2008年頃に始まったプロジェクトがThe Far Out Monster Disco Orchestraで、その中心にいるのがレーベル設立者であるJoe Davis、Incognitoの息子であるDaniel Maunick(=DJ Venom=Dokta Venom)、そしてAzymuthのプロデュースも手掛けるDavid Brinkworthらで、その周りをブラジリアン・ミュージックの実力者が固めるというだけあって音楽的な素養の高さは保証されたプロジェクトだ。2014年には初のアルバムである『The Far Out Monster Disco Orchestra』(過去レビュー)でソウルやディスコにファンクも咀嚼したブラジリアン・ミュージックを豊かに聞かせていたが、それから4年を経て遂に2ndアルバムが完成した。ここでも前述のアーティストが中心となりながら、他にはブラジリアン・ミュージックの女性ボーカリストであるHeidi VogelやAzymuthの元キーボード担当であったJose Roberto BertramiにベーシストのAlex Malheirosなど、その他大勢のアーティストを迎える事でゴージャスな響きを生み音楽に豊かさを込めている。アルバム冒頭の"Step Into My Life"からしてゴージャスで華麗な音が鳴っており、ストリングスやホーン帯も加わった生演奏を主体とした流麗なサウンド、ギターやベースのファンキーな響き、そしてうっとりする程に甘くそしてソウルフルな歌が一つとなり、晴々とした涼風が吹くようなブラジリアン・ディスコだ。"Black Sun"は動きの多く力強いベースや切れのあるギターカッティングがファンキーで、そこに情熱的な歌やコズミックなシンセにサックスやトランペットの豪華な音が加わり、次第に熱量を増して盛り上がっていく。一転して"Flying High"は落ち着いたテンポでしっとりと甘い女性の歌を聞かせるバラード的なディスコで、微睡みを誘う優美なピアノのコードや豊潤な響きのシンセのメロディーを軸にして、胸を締め付ける切なさに満たされる。フェンダー・ローズの繊細で美しいソロから始まる"The Two Of Us"もミッドテンポでしっとり系の曲で、晴れやかで和んだ歌と甘いコーラスに優しいピアノやフェンダー・ローズでメロウネスが込めて、じっくりと甘い世界に浸らせる。アルバム12曲の内5曲はインスト・バージョンなので実質7曲になるが、ノリの良いブギーなダンスからメロウに聞かせる曲までどれも耳に残る魅力的なメロディーや生楽器の富んだ響きが活かされており、流石実力者揃いのバンド・プロジェクトによる本格ディスコだ。



Check The Far Out Monster Disco Orchestra
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ3 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Azymuth - Fenix (Ron Trent Remix) (Far Out Recordings:JD39)
Azymuth - Fenix (Ron Trent Remix)
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フュージョンに詳しくない人でも名前位は聞いた事があるかもしれない、ブラジルのジャズ・ファンク/フュージョントリオの至宝であるAzymuth。1970年代から活動する大御所でありブラジル音楽の伝統を継承しながら麗しいサウンドを奏でる彼等の音楽は、クラブ・ミュージックのアーティストからの人気も集めダンス・ミュージック側からのアプローチもあるなど、活動は長くとも決して懐古的なトリオではなく現在系のアーティストだ。しかし2012年にメンバーの一人が亡くなった事で活動の存続が危ぶまれたものの、2016年には新メンバーを加えての復活のアルバム『Fenix』をリリースし、ファンを安心させた事だろう。本作はそのアルバムからのシングルカットで、何とシカゴ・ハウスの重鎮であるRon Trentがリミックスを提供しているのだから、ならば当方のようなクラブ・ミュージックのファンが注目するのは当然だ。先ずはオリジナルである"Fenix (Album Version)"、実はこれ自体もIncognitoの中心であるJean-Paul’Blueyの息子であるDaniel MaunickことDokta Venomがプロデュースを行っている。Venomと言えばブラジル音楽をディープ・ハウスに落とし込んだ作品を作ったりと、ダンス・ミュージックにおいて活動するアーティスト/エンジニアであり、ここで起用されたのもAzymuthが現在形のダンス・ミュージックを意識している現れだろう。けたたましく野性的なラテンのドラム、激しく弾けるスラップベース、そこにオルガンやエレピ等のキーボードプレイも加わり、1曲の中で爽やかな涼風を吹かせたり黄昏時のしんみりしたメランコリーも聞かせたり、そしてディスコなグルーヴからファンクやフュージョンまで包括する音楽性が違和感無く同居している。そして"Fenix (Ron Trent Remix)"、Trent自身によってキーボードやパーカッションにオーバーダブ等を加えているそうだが、原曲の雰囲気を壊す事はなく丁寧なリミックスを施している。Trentらしい開放感溢れるアフロなパーカッション使いは軽快さを生み、ややハウス・ミュージック寄りになった4つ打ちの流麗なリズムが疾走り、アンビエント的な浮揚感のあるダビーな処理が心地良い。ガラッと変わったリミックスではないがAzymuthらしさとTrentらしさが同居した丁寧な作風で、ハウス〜ディスコ〜ファンク等をクロースオーバーする事でフロアに対する適応力も高い。勿論、部屋でのリスニングとしても和やかなムードに溢れていて最適だ。



Check "Azymuth"
| HOUSE13 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dokta Venom - Burnt Roses EP (Five Fold Records:FFOLD002)
Dokta Venom - Burnt Roses EP
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UKはロンドンにて新旧良質なブラジル音楽を手掛けている事で名高いFar Out Recordingsは、2013年から傘下にFive Fold Recordsを設立し、ジャンルやテンポといった枠組みに囚われない音楽をリリースする事を原理として新たなレーベルを稼働させている。レーベルの2作目となる本作はDokta Venomなる初めて耳にするアーティストによるものだが、実はIncognitoのリーダーであるJean-paul Maunickの息子のDaniel Maunickによるプロジェクトとの事だ。最近ではFar Out Monster Disco Orchestraのプロジェクトも手掛けて注目を集めていた彼は、どちらかといえばプロデューサー/エンジニア的な立場で活動を続けていたようだが、このソロ作品によってアーティストとしての方向も押し進める事になるように思える。A1の"Only U"は安定感のある4つ打ちにセクシーなパッドや煌めくようなシンセを配し、囁くような女性ボーカルのサンプルを用いてモダンで華麗なディープ・ハウスだが、作品としては良質なもののDokta Venomとしての個性をアピールするものではない。だがA2の"Burnt Roses"ではビートダウンとブロークン・ビーツを組み合わせたような粘り気のある生っぽいリズムが通底し、そこにオーケストラのような重厚なストリングスで荘厳な雰囲気を被せていく事で、ディープ・ハウスの変異体のような空気を発している。B2の"Space Dust"はブラジリアン音楽の影響も受けたように弾けるチョッパーベースや華麗なローズ・ピアノが清楚なムードで広がり、ハンドクラップやリラックスしたリズムが爽やかな風を吹かせ、クラブ・ミュージックと言うよりはモダン・フュージョンな趣さえ見せるのだ。Far Out Recordingsのブラジリアン音楽の爽やかさを現代のダンス・ミュージックへと落とし込んだ作風は、ハウス好きにもブロークン・ビーツ好きにも訴えかける音楽性があり、今までの経験がアーティストとして結実したかのようだ。



Check "Dokta Venom"
| HOUSE10 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |