Conforce - Autonomous (Delsin:124DSR)
Conforce - Autonomous
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2017年10月頃のリリースから既に2年経過してしまったものの、Boris BunnikことConforceの5枚目となるアルバムは電子音響テクノを好むリスナーにとっては注目すべき内容なので、今更ながら紹介したい。Conforceのデビューアルバムこそデトロイト・テクノの多大なる影響が現れたエモーショナルかつインテリジェンスなテクノだったが、それ以降BunnikはSevernayaやSilent HarbourにVersalifeを含む多くの名義を用いてアンビエントやディープ・テクノにエレクトロやダブの要素まで多岐に渡る音楽性を披露し、溢れんばかりの才能を開花させていた。このConforce名義も作品を重ねる毎に徐々に直接的なデトロイト・テクノの影響を薄めながら、ダブのディープな音響やIDMのインテリジェンス性を強めて、フロアに即しながらもエクスペリメンタルな感覚のあるテクノへと傾倒してきている。そして本作、その路線は大きく変わらないが深海の様な深遠なる暗さと複雑奇怪なリズムを獲得しているが、言うなればDrexciyanやAutechreの音楽性も咀嚼したモダン・テクノと呼んでも差し支えないだろう。冒頭の"Tidal Gateway"からして霞んでダビーなノイズ風の音響に変則リズムが絡み、金属的なパーカッションや電子音が飛び交う荒廃したダークなテクノは、闇が支配するディープな深海を潜っているようだ。つんのめったタムのリズムで始まる"Fauna Of Estuaries"は、隙間のある空間内に反射するベルのような音と微細ながらもインダストリアルな音響を張り巡らせ、グルーヴは走りながらも終始凍てついた世界観が続く。そしてパルス風の連続しながら膨張するような電子音がループし、切れ味のある鋭いハイハットの連打や薄く張り巡らされたドローンに覆われる"Inland Current"は、緊張感の中で今にも大きく躍動しそうな感覚もあり、アンビエント的でありながらも闇が支配する激昂するフロアで浴びたくなる。勿論"Harnessed Life In Programmed Form"や"Meuse-Plain"に見られる4つ打ちのかちっとしたリズムを軸に、深いダブの音響やトリッピーな電子音を用いて重厚感を打ち出したダンストラックも無いわけではないが、"Autonomously Surpassed"の90年代のインテリジェンス・テクノに触発された繊細で変則的なリズムとSFの未来的な響きを聞かせるテクノこそ、Conforceの多彩なアーティスト性がより反映されているように思う。直球4つ打ちのテクノは少なく一見フロア向けではないエクスペリメンタルな印象もあるが、しかし真っ暗闇のフロアで肉体を震撼させるであろう痺れるディープな音響テクノは、Bunnikの多様な音楽性が一つになり今完成形を見せている。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dopplereffekt - Cellular Automata (Leisure System:LSR020)
Dopplereffekt - Cellular Automata
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アンダーグラウンド、またはミステリーという表現がこれ程適切なユニットは他にそうはいない、メンバーであるJames Stinsonの死によってユニットは消滅し伝説化したデトロイト・エレクトロのDrexciya。コンセプトであるDrexciya人の深海の冷えた世界を表現したエレクトロはダンス・ミュージックの著名人からも高く評価を受けるものの、ユニットが消滅した事でそのストーリー仕立ての音楽もおおよそ途絶えてしまい、その音楽の継承者は今も尚そう多くはない。しかしDrexciyaは一人ではない事が幸いだったのだろう、もう一人のメンバーであるGerald Donaldは多数の名義を用いて活動しており、Drexciyaを継ぐ者としての存在感を放っている。その中でも特に知名度の高いものがこのDopplereffektだろうが、アルバムとしては実に10年ぶり、3作目となる本作は蓋を開けてみれば全てノンビート作品と驚くべき内容だ。ビートレスな事でアンビエントな性質も強くはなっているが、しかしオープニングの"Cellular Automata"を聞いてみれば重厚なベースラインや電子音のシーケンスからは間違いなくエレクトロの響きが発せられており、暗く何処か謎めいたSF的世界観は正にDrexciyaのものだろう。続く"Von Neumann Probe"も鈍く蠢くベースには毒々しさが宿っているが、その一方で祈りのような女性の声やデトロイト的な神秘的なシンセからは逆境の中に希望を見出すポジティブな感覚もあり、ただ陰鬱なだけの作品ではない。エレクトロと言えばKraftwerkに強く影響を受けたジャンルであり、それが如実に感じられる"Gestalt Intelligence"ではピコピコした電子音のシーケンスが用いられているが、アンダーグラウンドを地で行くDonaldにかかれば凍てついた世界観へと変貌する。モジュラーシンセらしき音が振動するように鳴りながらデトロイト直系の情緒的なパッドが降臨する"Isotropy"は、アルバム中最も美しいアンビエントで荒廃する世界の中の救いだ。Drexciyaと言えばどうしたって不気味で暗くハードな音楽性と言うイメージがあるが、それも逆境から生まれた未来へのポジティブな思いと考えれば、こうやって音自体に安らぎが現れるのも自然な流れなのだろう。尚、幾何学模様のデザインであるジャケットからも分かる通り、本作は音自体もそれに準じたイメージが強く、エレクトロでありながら独特の内在するリズム感が面白い。そしてビートレスな事で浮かび上がったエレクトロのシンセの美しさにも気付かされたり、Drexciyaの伝説はまだ続いている。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Radioactive Man - Luxury Sky Garden (Asking For Trouble:AFT001)
Radioactive Man - Luxury Sky Garden
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Andrew Weatherallとのエレクトロ・ユニットであるTwo Lone Swordsmenとして、またそれ以外にも大量の変名を用いてWeatherallのサポートを行ってきたKeith Tenniswood。そんな彼のソロ活動の場がRadioactive Manであるが、一般的な知名度で言えばWeatherallの影に隠れがちなTenniswoodではあるが、Radioactive Manの音楽を聞けばそれが間違いである事に直ぐに気付く事が出来る。今までに複数のアルバムをリリースしているが、パンキッシュなエレクトロからディープな音響、または鋭利なブレイク・ビーツやポップな感覚など、つまりはTwo Lone Swordsmenの多様性はRadioactive Manにも継承されており、Tenniswoodもやはりユニットの一員としての音楽的なセンスを担っていたのは言うまでもない。そして5年ぶりのアルバムであるが、これは歴代最高傑作と呼んでも間違いではない程に素晴らしい。スタイルで言えばテクノにエレクトロ、ブレイク・ビーツやインテリジェンス系にアシッドなど様々な面が見受けられるが、それらは纏めて全てエレクトロ・パンクと呼ぶべき刺々しいサウンドが痛快だ。アルバム冒頭の"Steve Chop"からして素晴らしく、ドラム・サンプルだろうか生々しいブレイク・ビーツと酩酊感あるアシッド・ベースがうねり、非常にライブ感あるファンキーで毒々しいレイヴ・サウンドに魅了される。と思いきやディープ・スペースな空間に掘り出される無重力エレクトロな"Deep Space Habitat"は、例えば真髄であるデトロイトのエレクトロを思わせるSFの世界観が広がっている。鋭利なリズムが切り込んでくるスタイルの刺々しいエレクトロの"Ism Schism"、コズミックな電子音が反復しながらも生ドラム風なリズムの響きが強調された"Bonnet Bee"など、やはり何処かロック・テイストなりパンキッシュな味があるのは彼の持ち味だろう。更にジューク/フットワークにも似て早いビートとゲットー的な悪っぽい雰囲気がある"Jommtones"、そんな小刻みなビートのジュークっぽさにデトロイト・テクノの叙情性が加わった"Serving Suggestion"など、多方向に枝分かれしながらもそこには一貫してベースとなるエレクトロが存在している。DrexciyaやUnderground Resistanceが根付かせたエレクトロを、同じ時期からUKに於いて今までやってきただけあり、その才能はやはり本物だ。刺々しく荒々しいリズムに自然と体が痺れてしまう。



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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Stingray - Kern Vol. 4 (Tresor Reocrds:KERN004CD)
DJ Stingray - Kern Vol. 4
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バラクラバを被った印象的な顔写真がジャケットに起用された本作を見ると、例えば匿名性の高いアンダーグラウンドな活動を行っていたUnderground Resistanceを思い起こすのもおかしくはない。そのアーティストは、アーティスト名とバラクラバはデトロイト・エレクトロの最深部でありURの一員でもあったDrexciyaの故メンバーから貰ったのだと言う事からも分かるであろうが、つまりはオリジナルのデトロイト・エレクトロを今に継承する人なのだ。その人こそUrban TribeとしてPlanet-EやMo Waxでの活動で注目を集め、その後はRephlexやMahogani MusicからDrexciyaの魂を受け継ぎデトロイト・エレクトロを開拓してきたSherard Ingramである。今、彼の音楽は面白い事にヨーロッパで求められており例えばBerghainでもプレイをしたり、または2017年のTresorでの年越しパーティーにもブッキングされるなど、水面下に沈んでいた本場エレクトロがアンダーグラウンドと言う世界から浮上し大衆から渇望されているように思われる。しかしアーティストとしての活動は多くの人はご存知だろうが、そもそもDJとしての活動(日本への来日も数える程だ)は決して注目を集めていたわけでもないだろうし、一体どんなDJをするのか?と気にはなっていたが、本作で蓋を開けてみればエレクトロ節全開でオールド・スクールから現在形のそれまで懐古的になる事なく未来の視線を向いた内容になっていた。先ずはDrexciya繋がりのDopplereffektで始動を告げるように8ビット風のピコピコな電子音で幕を開け、隙間だらけのカクカクしたエレクトロビートが鞭打つように入ってくれば、もう勢いは早くも増していく。続いて連打するような忙しないビートの"We Run Your Life"でスピード感を得て、"Mind At Sea"や"Dissociation"辺りは電子音震えるモダンなテクノで、直線的なビートの勢いに飲み込まれていく。そして評価すべきはSherardが時代の止まったエレクトロ盲信者ではなく、近年のクールでデトロイト・ソウルを継承したエレクトロを積極的にプレイし、過去と現在がしっかりと線になり繋がっている事だ。勿論最も古いものでは1989年産の暗くもヒップ・ホップかつストリート系の"Professor X"もプレイしたり、そして中盤ではDrexciyaの爆発的なエネルギーを持ちながらもメランコリーも含んだ"Lost Vessel"でピークを作ったりと、元祖への愛情と言うか敬愛も含まれている。Drexciyaの曲が多いのはご愛嬌といったところだが、しかし1時間に27曲を繋ぎ合わせるミックスによって矢継ぎ早な展開がギクシャクしたリズムと直球4つ打ちのリズムを掻き混ぜるように緩急自在に躍動し、肉体が震える程の刺激を生み出している。エレクトロを軸にテクノな音も同居し刺々しい攻撃性の中にもダークなメランコリーもあり、確かにこれはDrexciyaを継ぐ者である。予想以上に骨太なプレイに踊らずにはいられない。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hardfloor - The Business Of Basslines (Hardfloor:HFCD 05)
Hardfloor - The Business Of Basslines
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アシッド大将軍、アシッド・ハウスの伝統工芸士、アシッド・ハウスの金太郎飴、彼等を表現するのであればそんな言葉が相応しい。それが25年にも渡り我が道を行くを体現するOliver BondzioとRamon Zenkerによるジャーマン・テクノのユニットであるHardfloorであり、シカゴから生まれたアシッド・ハウスの再評価に貢献した重要な存在だ。時代に左右される事なくTB-303の魅力に取り憑かれた彼等はその名機と心中する事を選んだ結果、それが彼等のオリジナル・サウンドとして確立され、この音楽の第一人者として今も尚君臨する。本作は本来2016年に25周年記念盤としてリリースされる予定が延期となり2017年の今ようやく世に放たれたのだが、彼等にとって当たり前と言えば当たり前なのだが本作も全編TB-303を駆使したアシッド・サウンドが貫きつつ、しかしそれだけではない円熟味を発揮したバラエティーに富んだ音楽構成は予想以上に素晴らしくある。初っ端の25周年アシッド記念をもじった"25th Acidversary"、ここからしてシャッフルするファンキーなリズムと膨らみのあるアシッドのベースラインがうねり、そこにトランシーな上モノが快楽的に延びていくのは、オリジナルのシカゴ・ハウスとベルリンのジャーマン・トランスの融合と呼べるだろう。勿論そんな直球な曲だけではなく、タイトル曲の"The Business Of Basslines"では詰まったようなエレクトロ・ビートでは渋みも感じさせ、かつてのヒップ・ホップへ傾倒したDa Damn Phreak Noize Phunk名義の系譜に連なる官能的で色っぽくもあるブレイク・ビーツを刻む"Gypsi Rose"など、アシッド・ハウスを変わらぬ武器としながらもそこからの拡張性には目を見張るものがある。"Computer Controlled Soul"や"Neurobot Tango"に至ってはKraftwerkや、それどころかデトロイトのダーク・エレクトロの真髄であるDrexciyaの鋭利なリズムを思い起こさせ、アシッドの不気味なトランス感との相乗効果は覿面だ。そして日本盤のみのボーナストラックは『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の為にとHardfloorが新たなアレンジを施した"Acperience 7"、彼等の活動を代表するあの大名曲がバージョン5を飛び越し7として生まれ変わっており、当然の如く攻撃性の高くエグいアシッド・ベースが脈打つファンキーかつトランシーなアシッド・ハウスは完全に彼等の音だ。ユニットが25年も活動していればパワーが落ちるのも珍しくはないが、それどころかハイエナジーで更に表現力に磨きをかけた彼等の前に太刀打ち出来る存在はいない。Hardfloorを越えていくのはHardfloorのみ、アシッド・ハウスの金太郎飴もここまで徹底すればそれは代用のきかない魅力となるのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Frequency VS Atkins - Mind Merge LP (Out Electronic Recordings:OUTA05)
Frequency VS Atkins - Mind Merge LP
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デトロイト・テクノのパイオニアであるJuan Atkins、そして同じくデトロイト・テクノの大ベテランであるOrlando Voorn、決してデトロイトがかつての繁栄を保っていない中でベテラン勢の中でも逆に息巻くアーティストもおり、両者とも今尚そのテクノの聖地としての存在を守るように新作を制作し続けている。本作はベルリンにて2010年に設立されたOut Electronic Recordingsからリリースされたもので、Voornを含めたデトロイト系のアーティストによる作品もカタログに載っており、レーベルにはアンダーグラウンド性の強いテクノの方向性があるようだ。AtkinsとVoornという所謂タレント的な存在によるコラボーレーションと言う事であれば作品的にも何か特別なモノを求めてしまうのは自然かもしれないが、プレスによれば「デトロイトのエレクトロ、ファンク、テクノの美しい真髄」という通りで、決して派手な作品ではないが彼らしい正しくファンクネス溢れるオールド・スクールなテクノを創り上げている。アルバムはミステリアスな空気を生むメロディーとエレクトロ気味の、例えば故Drexciyaを思わせるようなビートを刻む"Beyond The Beyond"で始まり、深海を潜航するようなディープなレトロ・テクノが広がっていく。続く"Entourage"は如何にもなシャッフルしてスピード感のあるリズムがAtkinsやVoornのテクノらしく、ファンキーなグルーヴ感に合わせて初期デトロイト・テクノらしいSF的なシンセを聞ける事に安心する。"Pure Soul"なんかはAtkinsのInfiniti名義の音楽性であるミニマル性が打ち出ており、ひんやりクールなマシン・ビートが特徴だ。コズミック感を生む動きのあるシンセが続くタイトル曲の"Mind Merge"、どっしりと重いキックが骨太なグルーヴとなり鋭利なシンセのフレーズと一緒になりファンキーさを感じさせる"Spacewalkers"、細くも叩き付けられるような刺激的なビートのエレクトロである"Back To The Future"、本作の何処を聞いても恐らく最新のテクノの音を感じる事はないだろうが、これこそがデトロイト・テクノだと言うパイオニアの自負のようなものが込められているのではないだろうか。何か変わった事をするでもなく今までと変わらぬテクノ/エレクトロを披露する辺りに、自分達が育ててきた音に対する信頼があるのだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Delta Funktionen - Wasteland (Radio Matrix:RAM-X-CD-01)
Delta Funktionen - Wasteland
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アンドロメダ銀河の奥底のどこかに隠れているミステリアスな惑星、それが"Wasteland"…というコンセプトを元に、SF仕立てなアルバムを完成させたオランダのDelta Funktionen。2012年にはDelsinより初のアルバムである『Traces』(過去レビュー)をリリース、また活動の初期からFuture Terrorにも招致されるなど、テクノを知る者にとってはちょっとした注目を集めていたアーティストだ。デトロイトの本家エレクトロに強い影響を受けたその音楽性は非常にダークで、前のアルバムではそこにフロアでの機能を高めたテクノやレトロな味わいも加えて、非常にバランスの良いダーク・エレクトロを聞かせていた。あれから3年、今度は自身で設立したばかりのRadio Matrixから2枚目となるアルバムの本作をリリースしたのだが、進むべき道が正確に見えているかの如く前作からの路線を踏襲しながらその強度は更に高まっている。端的に言ってしまえばKraftwerkとDrexciyaの子孫と呼んでも差し支えない内容で、前者のロボットボイスと後者のハードで荒廃したエレクトロ・ビートから成る現在形のテクノなのだ。タイトル曲である”Wasteland”からして背筋が凍るような冷気が漂っており、ノンビートながらも重苦しい電子音の展開から徐々に鋭利なビートが入りだし、そして奇妙なロボットボイスや毒気のあるベースなどで、今風に研ぎ澄まされながらもクラシカルな雰囲気もあるエレクトロ・ビートを叩き出す。"Tab"で聴ける乾いたビートはTR系だろうか、そこにぐっと膨らむ電子音のベースや不気味さが漂うシンセのメロディーなど、これはモロにDrexciyaの暗くもタフなエレクトロだ。それだけではなく"A Drone Killed My Bunny"のようにディープでハウシーな4つ打ちが続く曲もあるが、やはり潰れたようなクラップ音や荒れたスネアが入ってくると、オールドスクールに傾くのは自然な流れだ。基本的に明るさは皆無で暗くて凍てつく冷気が吹き出すダーク・エレクトロであり、そこにアシッドやテクノやハウスの要素も織り交ぜながら、古くも新しい刺激的なダンス・ミュージックを完成させている。単にデトロイトの模倣ではなく、これぞDelta Funktionenという音を確立した痺れるような格好良さだ。



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| TECHNO12 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
SDC - Correlation # 3 (Royal Oak:Royal 29)
SDC - Correlation # 3
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アイルランドの若かりしJack HamillことSpace Dimension Controllerは、80年代のデトロイト・エレクトロやディスコに強く影響を受けたと公言している。その影響はアルバムである『Welcome To Mikrosector-50』(過去レビュー)に強く現れており、壮大なSF志向であるスペース・オペラを展開してアーティストとしての表現力を発揮した作品だった。その一方で2013年からはSDC名義を用いて「Correlation」EPをシリーズとして年に一枚のペースでリリースしており、アルバムにおけるシンセ・ファンクの作風は踏襲しながらも焦点を絞ってダンス・トラックとしての機能性をより重視した音楽性を展開している。そして2015年、遂に「Correlation」シリーズの第3弾が到着した。流石にシリーズも3枚目となると作風も板に付いてくるというか、10分にも及ぶ大作の"The Trails You Left Behind"からして宇宙を遊泳するファンタジーのSF路線は完全に出来上がっている。無重力空間のようなビートレスな流れの中で色彩豊かなコズミックなシンセが溢れかえる序盤、そしてビートが入る事で加速する展開は正に宇宙を旅する如くで、銀河の間を飛び交うロマンティックな旅が待ち受けるこの曲はハイテックなエレクトロ・ファンクだ。裏面の"Galactic Insurgents"は攻撃的で強烈なダーク・エレクトロで、突き刺す鋭角的なエレクトロ・ビートと素早く揺れ動くシンセのメロディーによって抵抗する間もなくしばかれるこの曲は、暗くシリアスなムードも相まってデトロイトのDrexciyaが真っ先に浮かぶだろう。その流れで暗さの中にイマジネーシティブな広がりを生むSFエレクトロの"Scatter Scanners"は、半ばドラムン・ベース化したリズムが振動するように肉体を鼓舞するが、そのスペーシーな感覚はデトロイトの黒人音楽から発展したSF志向のテクノ/エレクトロの系譜にある。アルバムとはやや異なる路線でEPをリリースする事で明確にアルバム=リスニング、EP=ダンスと分けながら、しかしSpace Dimension Controllerらしい想像力溢れるSFの世界を展開し、音楽の中にストーリを描こうとしているのだ。みんなが子供の頃に思っていた、しかし今では忘れてしまったような、そんな夢のストーリーを彼は体験させてくれる。



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| TECHNO12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Korrupt Data - Korrupt Data (Planet E:PE65366-1)
Korrupt Data - Korrupt Data
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2014年の6月に突如としてPlanet Eからデビューした正体不明のアーティスト・Korrupt Data。初期デトロイト・テクノのような近未来的なテクノ/エレクトロの感性と、「星の向こうから来た探検者」と自称するサイエンス・フィクションに基づいたコンセプトを伴うその音楽は、そのミステリアスなアーティスト性も相まって一部から注目を集めている。2枚のEPをリリースした後に続いて同年10月にリリースしたのがそのアーティス名を冠した本アルバムで、ここでも当然の如く初期デトロイト・テクノの感性が息衝いている。特に肥大化しメジャー性も獲得したPlanet Eは主宰するCarl Craigの音楽性の変化もあってか、近年はレーベル自体も大箱で受けるようなモダンなテクノ化が進んでいたように感じられるが、本作はそれと真逆の、例えばKraftwerkにCybotron、そしてDrexciyaが開拓してきたような初期衝動を持ったテクノ/エレクトロを再度掘り起こしている。先行EPに収録されていた"Cryogene"からしてブリブリとしたベースラインにぼんやりと浮かぶような物哀しいシンセからは、Carl Craigの最初期の作品と同じ懐かしさが伝わってくる。また"Density Function"ではKraftwerkのヒップ・ホップ的なファンクなリズムとデトロイト特有の幻想的な上モノを組み合わせ、まるでブレード・ランナーの世界観を喚起させるSFの世界を描き出している。Drexciyaの影響が強く現れているのは"Photons, Protons, Microns, Mutrons"や"Gods & Myths"だろうか、鞭打つような冷徹なビートとロボット・ボイスを多用し、正にアナログ感のあるデトロイトの強靭なエレクトロを披露している。"Visions That Lurk"ではエレクトロ・ビートを刻みながらも大仰なシンセのリフレインや不思議な効果音により、コズミック・テクノと呼ぶべき宇宙遊泳するかのようなスケール感の大きさもある。アルバムの最後には柔らかく浮遊するシンセのメロディーにうっとりとするインテリジェンス・テクノのような"For That Way Lies Oblivion"や"Drifting Vessels"が配置されており、これを聴く限りではどう考えてもCarl Craigの作品と思わずにはいられないだろう。一体誰によるプロジェクトなのか、いやきっとPlanet Eに関連する著名なアーティストなのだろうとは思うが、それが誰だとしても本作に於けるヒップ・ホップやファンクからの影響を残しつつデトロイト・テクノのSF性を打ち出した音楽性は、生粋のデトロイト・テクノのファンが待ち望んでいたものだろう。



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| TECHNO11 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller III (Clone Classic Cuts:C#CC024CD)
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller III
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2011年末から始まった世界を震撼させたデトロイト・エレクトロのDrexciyaのアーカイブシリーズは、2013年明けにリリースされたこの第3段で遂に終焉を迎える。オランダはClone Records傘下にある名作を復刻すべく活動しているClone Classic Cutsの熱意に打たれたのか、Mike Banksも今回に限りDrexciyaの深海からの再浮上を許可したが、本作によってDrexciyaは再度深海へと帰還し永遠の闇に閉ざされる事となる。当初はシリーズ毎に年代順で分けて収録されるかと思っていたが、前作までと同様に本作においても年代はごちゃまぜになっており、シリーズ毎の選曲の背景は表向きには分からない。勝手に想像するならば第1弾が狂気にも思える暗く不吉なエレクトロ、第2弾はよりフロア寄りのファンキーなエレクトロだと思っているが、ならば第3弾はどうだろうか。確かに世界から拒絶され荒廃した暗さはないわけではないが、そこに悲壮感はなく前へと未来へと歩みを続けるパワーを感じさせるトラックが並んでいる。決してその当時でも綺麗とは言えない安っぽく粗雑な音を素材にしながらも、その荒さをも活かして大地をグラグラと揺るがすリズムとベースはファンキーな躍動を生み出し、肉体を叱咤するのだ。中には闇の深海から浮上し遂に陽の目を浴びた希望にも似た感覚を覚える曲もあり、このシリーズの中ではDrexciyaらしからぬ最もポジティブな空気が含まれている。またトラック的にもDJユースな規則正しい4つ打ちのテクノもある事は、Drexciyaのハードで凍てついたエレクトロを避けていた人にとっても、本作がDrexciyaに親しみ馴染んでもらうには最適な作品であるのではと思う。Drexciyaは決してオーバーグラウンドな活動ではないが、しかしDrexciyaはエレクトロ/テクノを愛する者を拒絶する事もない。アンダーグラウンドな活動であった為になかなか出会う機会のなかった人達もいるだろうが、本作はそんな人達にこそデトロイト・エレクトロの真髄と出会う絶好の機会となるのだ。

Drexciyaの最後の浮上を許可したMike Banksと、それに従い丁寧なリマスタリングでアーカイブ化を成し遂げたClone Classic Cuts、その両者には頭が下がる思いだ。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller II (Clone Classic Cuts:C#CC023CD)
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller II
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ご存知デトロイトに於ける最大のミステリーであり、最恐エレクトロ集団であったDrexciyaの復刻シリーズ第2弾。元々正体不明のユニットとしてアンダーグラウンドな存在であり続けていた為、初期の作品は入手が困難となっておりその状況での復刻を行うオランダはClone Recordsには頭が下がる思いだ。シリーズ物の為てっきり年代順に収録されるかと思って蓋を開けてみると年代は第1弾とも被っているが、Warp RecordsやUnderground Resistanceからだけでなくデトロイトの実店舗でしか購入出来なかったSomewhere In Detroitからの作品、そして未発表曲も収録されておりDrexciyaの最後の復刻とアナウンスされたシリーズとしては十分過ぎる内容となっている。第1弾が完全武装で身を固め鋭利な牙を剥く凶暴なエレクトロ作品集であったのに対し、この第2弾ではなんとなくではあるが刺々しさは抑えてKraftwerkやModel 500に更に寄り添ったファンキーなエレクトロを鳴らしているように思われる。とは言ってもRoland TR-808/909による無機質で乾いたビートに肉体感を伴うファンキーなベースライン、そして痺れる電子のエレクトロサウンドにより彼等は深海(アンダーグラウンド)から地上(オーバーグラウンド)への徹底抗戦を行い、夢や非現実に逃れる事はせずに現実と戦い続ける深海の戦士であり続けた。暗くある種のネガティブなイメージさえ付き纏うDrexciyaの思想と音は決して親近感がある物とは言えないしDJユースに最適とも言えないが、しかしそれは彼等の反骨精神の現れであり商業主義に陥りがちな業界と更には無意識的にそれを選択する聴衆への警告でもあったのだろう。残念ながらメンバーの死によりDrexciya自体は消滅してしまったが、その不屈の精神と作品は今もここに尚息衝いている。

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| TECHNO9 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Delta Funktionen - Traces (Delsin Records:93dsr/dtf-cd1)
Delta Funktionen - Traces
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オランダはDelsin、そして傘下のAnn AimeeからBerghainよろしくな硬派で無慈悲なテクノを量産しているDelta Funktionen、近年はFuture Terrorにも招待されるなど日本でも評価を高めつつある中で、ようやくDelsinから初のアルバムをリリースするに至った。リリースしてきたEPは躍動感のある図太いハードなテクノで若さを感じさせる物が多かったが、このアルバムでは"電子音楽における長年の探求の結果"と自ら称す通りで、よりオールド・スクールに寄り添ったテクノ/エレクトロなサウンドを披露している。Delsinと言えばデトロイト物も得意とするレーベルではあるが、特にこのアルバムではデトロイトの最強エレクトロ・ユニットであるDrexciyaの影響さえも匂わせる凍てついた質感を伴っており、今までのある意味現代的でもあった彼のテクノサウンドは一転して古い味を感じさせる物に変わっている。以前のように疾走感のあるハードなテクノだけではなくなり、不吉なボーカルサンプルの導入やデケデケと地を這うベースラインに無機質なエレクトロビートなどの古き良き時代の音を聞かせながら、楽観的な空気が全く無い刺々しく生々しい音で統一されている。アルバムと言うフォーマットを意識してかDJツール的になりがちなフロアトラックだけではなく、程々にはビートやメロディーにも意識を配りながら幅を持たせつつ、しかし通底する狂気が牙を剥くエレクトロは単なる物真似ではない真のダーク・エレクトロだ。



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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mike Huckaby - Tresor Records 20th Anniversary (Tresor Records:Tresor.245)
Mike Huckaby - Tresor Records 20th Anniversary
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今でこそドイツテクノのメインストリームではなくなったが、かつてテクノと言えばここが真っ先に上がる位に勢力を誇っていた老舗中の老舗であるTresor Records。工場跡地を利用した如何にもドイツ的なシチュエーションのクラブに、そして今では重鎮と言える迄に成長したアーティストを率先的に紹介し続けてきたレーベル、その両面でTresorは世界のテクノをリードし続けてきた。特にSurgeonやJoey Beltram、Fumiya Tanakaの世界的リリースと言ったハードテクノに於ける功績は言うまでもなく大きく、何と言ってもレーベルの初のリリースがUnderground Resistanceだった事は驚きだ。またDerrick Mayをして「デトロイトはドイツの衛星都市だ」と言わしめた程にデトロイトとベルリンの結び付きは強く、URに始まりJeff Mills、Eddie Fowlke、Blake Baxter、Juan Atkins、Robert Hood、Drexciyaを積極的にヨーロッパに持ち込み、享楽的な面を排し切実な現実を生き抜く為の硬派なテクノを迷いなき信念を以てして推し進めていた。そんなレーベルも2011年で遂に設立から20年が経ち、その記念盤としてデトロイトからMike Huckabyを迎えてMIXCDをリリースした。音だけ聴けば身も蓋もない言い方をすれば一昔前…どころか現在の時流であるBerghain周辺のテクノの丹念に練り上げられた音は無く、今聴けばそれ程ハードにも感じられず音圧や圧倒的な勢いも、かつて感じていた程には感じられないだろう。時の流れは無常なのだろうか、いやしかしここにはハードテクノもミニマルもエレクトロもゲットー・ファンクも同列に並べられているが、Tresorの快楽や享楽からは距離を置き闘争心剥き出しのスピリッツが一貫して感じられる。例え音そのものは古くなろうともTresorの生き様や意思が、今のベルリンに影響を与えた事は間違いなく、テクノの原点を理解する意味でも重要な記念碑となるであろう。

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| TECHNO9 | 13:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2011
あけましておめでとうございます。2011年は東日本大震災や原発事故と言う想像だにしなかった災害が日本を襲い、その影響で音楽シーンにも暗い影を落としていたように思われます。しかし多くの海外からの支援や、また国内のチャリティー活動もあり少しづつではありますが、復興に向けて進んでいるのも事実です。そしてそれは音楽と言う文化に於いても同様で、一時期は萎縮してしまったパーティーやクラブミュージックも今ではまた以前と同じ位までに活動を盛り返しております。そんなご時世の中で素晴らしい音楽も、特にそれが日本から多く出てきた事は本当に喜ばしい事で、そんな音楽は僕に人生を楽しく過ごす為の原動力となってくれています。さて今年も本当に沢山の音楽を聴きそれぞれが素晴らしかったのでどれがベストと言うのも難しいのですが、今の気持ちで気に入っている作品を選んでみました。皆様のポジティブな力の原動力となる事を祈って紹介致します。
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| BEST | 09:00 | comments(2) | trackbacks(1) | |
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller I (Clone Classic Cuts:C#CC022CD)
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller I
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シカゴ・ハウスなどの復刻に力を入れているオランダClone Recordsより、デトロイトの最恐エレクトロユニット・Drexciyaの作品がシリーズとして復刻されている。James SinsonとGerald Donaldから成るこのユニットは1992年にUnderground Resistance関連のレーベルよりデビューを果たすと、URやRephlex、Warp、Tresorなどのレーベルから続々と暗くハードなエレクトロをリリースし瞬く間に注目を浴びる。当初はプロフィールが明らかにされていなかったせいかそのミステリアス性も含め正にアンダーグラウンドな存在であったが、しかしJamesの死によってDrexciyaは伝説と化し消滅してしまった。そしてURのリーダーであるMike Banksの意向により今後リプレスはされず、本作にてDrexciyaの歴史は永遠に閉ざされる予定だ。ここには最良のエレクトロが収録されており、特に活動初期のレアな作品がコンパイルされていると言う点で非常に価値がある。しかしこれは単なるエレクトロではなく、かつてない程に暗く、不安を煽る程に不吉だ。系譜としては間違いなくKraftwerkやModel 500の魂を受け継いでいるがポップなセンスは徹底的に排除し、抑圧に抗うように荒削りな暴力性と混沌とした深みのあるエレクトロだ。どこか垢抜けないチープなアナログサウンドを多用しながらも、一向に光の射さない深海でもがくように恐怖感が募る。つまりはオーヴァーグラウンドに対し、Drexciyaは深海の住人(アンダーグラウンド)として抗戦をしていたのだ。だから控えめに言っても万人受けする音楽ではないし、冷たく孤独な音に辟易してしまうかもしれない。しかしだからこそ彼らがURクルーとして認められたのも事実で、もし本物のエレクトロを求めているのであればこのシリーズこそ最適であると言える。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Rolando - The Aztec Mystic Mix (Underground Resistance:URCD-049)
DJ Rolando - The Aztec Mystic Mix
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元Underground Resistanceの看板DJであったDJ Rolando。URとの確執から狭いデトロイトを脱出し世界へと羽ばたいたロランドは、今ではDelsinやOstgut Tonとも絡むなど自由な活動を行なっております。そして今年のタイコクラブでかなり久しぶりの来日も決定し、今からもう期待せずにはいられません。さてそんな彼がまだURクルーの頃にリリースした本作は、UR周辺の音源のみを使用したURファンにとってはなくてはならないMIXCDです。一言で言うと「Hard Music From A Hard City」、デトロイトテクノやURのコンセプトを体現した骨太な力に満ちた音楽です。ロランドの大傑作"Jaguar"もURのハードで狂気の潜むエレクトロも、火星人のロマンティックな世界が広がるテクノも、黒人音楽の元であるファンクも、URのありとあらゆる音が詰まったレーベルのショーケース的な意味合いも含まれているでしょう。だからと言ってレーベルの音をただ紹介するだけの陳腐なプレイなんて絶対にしない、エネルギッシュで力強さも切なさも表現しながらデトロイトの希望と暗部までをも脳裏に焼き付けるようで、最初から最後まで筋金入りの不屈の闘志が漲っておりました。ハイプでもない、流行でもない、URは昔も今も変わらずにハードに生きる野郎の為の音楽を作り続けている。そんなURの精神性がここに記録されております。

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| TECHNO8 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Urban Tribe - Program 1-12 (Mahogani Music:MM25)
Urban Tribe - Program 1-12

MoodymannことKenny Dixon Jr.が主宰するMahogani Musicから突如リリースされたUrban Tribeの新作。Urban TribeはSherard Ingramがメインで活動しているプロジェクトであり、そこにデトロイトの重鎮であるAnthony ShakirやCarl Craig、そしてKenny Dixon Jr.が協力をしているデトロイトを濃縮したユニット。そして野田努によればSherard IngramはDJ StingrayとしてのDJ名も持ち、デトロイトの最狂のエレクトロユニット・Drexciyaのメンバーでもあったそうだ。そして新作はやはりダークなエレクトロで、しかし儚くも希望に向かって力強く突き進むエレクトリックソウルでもある。ローファイでざらついた質感、スモーキーな黒い闇の中で不気味に蠢く感情は確かにメンバーである4人の音楽的要素がブレンドされていて、単独では成し得ない電気仕掛けのブラックミュージックと言えるでしょう。LPと言う名目で12曲収録ですが各曲は短く通しても30分もないので、どぎつく重苦しい内容の割には何時の間にか聴き終わってしまう。

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| HOUSE6 | 08:30 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Warp20 (Unheard) (Warp Records:WARPCD203)
Warp20 (Unheard)
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WARP20周年最後のすかしっぺ。ベスト盤やらカヴァー盤やらエレグラやらで盛り上がってたみたいですが、個人的にはかなり肩透かしを喰らっていたのでWARP20周年と言われても全然盛り上がっておりませんでした。でようやく期待に応えてくれたのが未発表曲を集めてくれた本作。ベスト盤はともかくとして最近のWARPの音を示したカヴァー盤より、本作の未発表曲の方が古参のWARPファンは嬉しいのではないかと思う内容。Nightmares On Wax、Broadcast、Plaid、Autechreらの昔からのWARP勢、そしてBoards Of Canada、Clarkらの新世代、極めつけはURのDrexciyaの片割れ・故James StinsonのElecktroidsまで収録されていて、そりゃもうヨダレ出まくりでしょう。Nightmares On Waxなんかは1990年制作のトラックなんで、オールドスクールっぷりが発揮されたダウンテンポでまだ荒い作りが逆に格好良いですね。Broadcastのシューゲイザーを匂わせる切ない歌物、Seefeelの極寒を感じさせるクールなアンビエント、まだ今ほど難解でなくピュアなAIテクノをやっていた頃のAutechreら辺りも、古くからのWARPファン向けなトラックで良い感じ。そして本物のエレクトロを継承するElecktroidsだ。これが元祖エレクトロ、流行のエレクトロとは全く異なるダークかつチープで狂気させ感じさせる正にURの音。その他のトラックも含め全体的にエレクトロニック度が高めで、WARPの音とはやっぱりこれだよねと再度認識させるのに相応しい一枚。

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| TECHNO7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Arpanet - Inertial Frame (Record Makers:REC-32)
Arpanet-Inertial Frame
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今日も引き続きDrexciyaの生き残り、Gerald DonaldことArpanetの3rdアルバム。特に前作から路線も変わらず、分かり易いKraftwerk路線のエレクトロを継続中。ロボットボイスとかそのまんまじゃんと突っ込みたくなりますが、そんな突っ込みは野暮以外のなにものでもありません。音も"Computer World"とか"Electric Cafe"辺りのピコピコかつレトロフューチャーな感が強く、新鮮味は無いけれど懐かしさに溢れてる。しかしKraftwerkとの決定的な差はやはりDrexciyaの冷たさ・暗さで、絶望的なまでに陽の目を浴びないと言う事。Drexciyaは暗黒の海に潜ったり浮上したりする様に活動も停止したり再開したり本当にミステリアスな存在だったけど、結局彼らの音楽観も暗黒の海に戻る様なダークエレクトロを頑なに守っているのだよ。これは彼等がネガティブな考え方であると言う事ではなくて、きっとハードな街で生き抜くにはハードな音や思想が必要だったと言う事なんじゃないかな。男に生まれたならばDrexciyaみたいなハードな存在には、非常に憧れます。

ブクブクブクブク。ooOΟO〇○゜゜

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| TECHNO7 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Arpanet - Quantum Transposition (Rephlex:CAT161CD)
Arpanet-Quantum Transposition
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Underground Resistanceに所属していたデトロイトの最後の謎・Drexciya。そのオールドスクールなエレクトロは恐怖すべき程暗く、そして深い。世界中のアーティストから賞賛を浴びていたユニットも、メンバーの一人・James Stinsonの死によって終焉を迎える。しかし先にDrexciyaを脱退していたGerald Donaldがその血を受け継ぎ、様々な名前で現在も活躍しております。そしてその名義の一つ、Arpanetの2005年作はなんとRichard D. JamesことAphex TwinのRephlexからリリースされてるんだ。リチャは以前インタビューでデトロイトテクノには全く興味は無いけれど、Drexciyaだけは大好きみたいな事を言っていたんだな。だからきっとRephlexからDrexciya関連の作品をリリース出来た事は、きっと彼にとっても名誉な事に違いない。内容の方もばっちりでかつてのオールドスクールなKraftwerk系のエレクトロにアンビエントっぽい浮遊感も感じさせ、そしてDrexciyaの悲壮感漂う暗さも充満しております。光の射さない深海を彷徨う潜水艦の如く、やはりDrexciyaには明るい地上からは徹底的に隔絶された求道的な物を感じるね。ただDrexciyaの時からは幾分か音もすっきり洗練されてきているので、比較的聴き易くなっている印象もある。それを良しとするかどうかは人それぞれだけど、僕は好きです。

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| TECHNO7 | 12:20 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Oscar Mulero - Tresor Mix : Under Review (Tresor Records:TRESOR.235)
Oscar Mulero - Tresor Mix : Under Review
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かつてドイツテクノと言えば何はともあれTresorだった。Tresorの一番最初のリリースは何とX-101(Underground Resistance)で、デトロイトとのコネクションも持っていた。Tresorは硬派にテクノやミニマルテクノ、ハードテクノを作り続けてきたドイツテクノの良心であり、そして30代のテクノリスナーにとっては思い出のレーベルであろう。最近は以前ほどの勢いは失っているものの、硬派なテクノを作るレーベルと言う点においては信頼のおけるレーベルの一つだ。そしてここにそんなレーベルの歴史を掘り返したMIXCDが届けられたのが、これが本当に素晴らしい。トラックリストを見ただけで分かるだろ?悪い訳がないじゃない?世の中はちまちまとしたミニマルだとか、つまらないエレクトロハウスだとか流行ってるけれど、Tresorはいつだってテクノなんです。これこそがテクノ、俺が求める硬派なテクノ、そして本場のエレクトロも入っている。小細工無し、硬めの音で統一された勢いのあるテクノがふんだんに詰まっている。中盤以降のバキバキでスピード感に溢れるハードテクノ(もしくはミニマルテクノと呼んでもいい)の流れには、感慨深さと今一度テクノの素晴らしさを感じた訳で。ここから感じる強烈なテクノの衝動は、自分がハードテクノを理解した頃の衝動と一緒で、これこそがクラブで聴きたいテクノなんだと痛感した。Tresorの歴史を紐解くだけでなく、テクノの歴史を感じられる素晴らしいMIXCDだ。

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| TECHNO7 | 10:00 | comments(5) | trackbacks(2) | |
Harmonic 313 - When Machines Exceed Human Intelligence (Warp Records:WARPCD175)
Harmonic 313-When Machines Exceed Human Intelligence
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90年代前半の輝けるアンビエント黄金時代を謳歌したGlobal Communicationのメンバーの一人、Mark Pritchardがテクノに還ってきました。一時期はTroubleman名義でブラジリアンハウスやボサノバに傾倒しておりましたが、このHarmonic 313名義では彼が影響を受けたデトロイトテクノ/エレクトロやヒップホップをどっぷり掘り返した内容となっております。プロジェクト名に付いている313(デトロイトのエリアコード)からも分かる通り、かなりの本気っぷり。つか余りにも先祖返りしていて、ちょっと吹いた。本作はどう聴いても最凶のエレクトロユニット・Drexciyaの影響がでかい。極太のベースラインとかコズミックなシンセサウンドとか、何と言う時代外れなレトロフューチャーな音なんだろう。ザクザクとしたエッジの強いリズムはホップホップからの影響がそのまんまだし、まさかここまでオールドスクールな方向に行くとは思いもしなかった。が、流石は音響派の元GCのメンバーだけあって、レトロではあるが緻密に構成された音楽を聴かせてくれるのも事実。オールドスクールではあるが雑ではなく、その荒々しい逞しい音は保持しつつUKっぽい洗練・上質な雰囲気も持ち合わせている。またテクノではあるが生きたビートも打ち鳴らされ、テクノには魂が通っている事を気付かせれくれる。デトロイトを外部の視点から見たアーティストが作ると本作になる、そんな模範的な音。ここまで先祖返りするのは予想外だったけど、テクノにとってデトロイトは聖地であり尊敬の地でもあるのでご愛嬌ですね。

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| TECHNO6 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Henrik Schwarz - DJ-Kicks (Studio !K7:!K7207CD)
Henrik Schwarz-DJ-Kicks
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近年注目を浴びているHenrik Schwarz、自分の中ではInnervisionsからリリースしているアーティスト位の認識しかなく、正直どんな音楽性かは殆ど知りません。しかしながらネットや雑誌でもこの"DJ-Kicks"は評判が良かったので、興味を持ち購入に至りました。聴く前に取り合えず選曲はチェックしてるんだけど、とにかく何でも打ち込んであってジャンルの幅は広いんだけど、一応統一性は感じられる。それは黒い音が中心って事。James Brown、Marvin Gaye、Pharoah Sanders、Drexciya、Rhythm & Sound、D'Angelo、Arthur Russellらのファンク、ジャズ、エレクトロ、レゲエ、ソウル、ディスコと言った黒人音楽をふんだんに使用していて、なかなか良い黒光りをしているのです。この多岐に渡る音楽性は非常に面白いし、またこれだけ黒い音なのにファンキーと言うよりはドイツっぽいドゥープな雰囲気を発しているのが不思議。現実を超越する呪術的な雰囲気の如く黒いサイケデリアを呼び起こす原始的な音楽ですね。ただMIXCDと言うよりはコンピ的な印象を受けてしまうのは、やはりジャンルの幅の広さゆえでしょうか。どうしても音やテンポの差がが激しくなってしまうので、聴いているとはっと時折り醒めてしまう瞬間もありました。それでも真っ黒な音楽で覚醒した世界を見せ付けるHenrik Schwarzは、奇才と言う以外に他は無いでしょう。

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| HOUSE4 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Francois K. - Masterpiece (Ministry Of Sound:MOSCD150)
Francois K-Masterpiece
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ゲップが出る程のテクノ三昧!!テクノの大洪水!!

UKクラブミュージックの老舗・Ministry Of Soundが送る新シリーズ"Masterpiece"の第一弾は、なんとこちらもクラブミュージックの大御所中の大御所・Francois Kevorkianが担当。最近彼がテクノ化しているのは周知の事実ですが、本MIXCDでも彼のテクノ趣味がばりばり前面に出たテクノミックス3枚組みの超大作。いくらなんでもゲップが出るくらいのボリュームだわな。しかしもうフランソワも完全にテクノが板に付いて来たと言うか、もうテクノDJ一本でもやっていけると断言出来る位テクノなDJになりましたね。CD3枚組みの大作だけど各ミックスごとに特徴があって、決して飽きずに聴けるどころかそれぞれの魅力にぐいぐい引き込まれる内容となっております。

CD1の"Napoli"はプログレッシヴハウス色が強めに出た大箱でのプレイを意識した壮大な展開で、じわじわとドラッギーな音が効いてきます。少々派手な気もするけれど、今回はマニア向けではなく一般的な人向けに意識したと発言しているので、これはこれで良いのかなと。CD2の"Manchester"は一番テクノ色が強く、そしてデトロイトテクノ、またはそれに影響を受けた曲を多めに入れた内容です。アッパーに盛り上げつつもメロディアスな曲をふんだんに使っていて、泣きの旋律が入ってくる後半は感動物。オールドスクールな曲も使用していて、テクノへの敬意も感じられますね。そしてCD3の"Tokyo"ではコアなファンも忘れてないぞと言わんばかりに、普段のDeep Spaceワールドを意識した幅広いプレイを聴かせてくれます。テクノの中にダブアンビエント〜ディープハウス〜アフロハウスを落とし込み、横揺れグルーヴとファットな低音でゆらりゆらりと体を揺さぶる好プレイ。個人的にはCD3が一番ディープで、ゆるゆるな浮遊感に包まれ気持ち良いと思います。

テクノと言う枠組みの中で自由に羽ばたきを見せるフランソワ、老いてなお盛んなDJであります。"Masterpiece"と言う主題が付いたこのシリーズですが、正にそのタイトルが相応しいテクノの指標となるべきMIXCDですね。

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| TECHNO5 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(3) | |
Two Lone Swordsmen - The Fifth Mission (Return To The Flightpath Estate) [Limited Edition] (Spiral Records:XQAW-1004)
Two Lone Swordsmen-The Fifth Mission (Return To The Flightpath Estate)
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連日紹介している「Electric Soul Classics」シリーズ第二弾もコレで最後、名プロデューサー・Andrew Weatherallが舵を取るTwo Lone Swordsmenの1stアルバムが再発です。彼の音楽性の広さはプロデュースやリミックス作品を聴けば分かる通り、テクノからハウス、ダブやエレクトロ、そしてブレイクビーツやなんとパンクまで本当に幅が広いんですね。ただ一貫して根底にあるのはアンダーグラウンドスピリッツと言うべき物で、ドロドロと闇の奥底で蠢き黒光りするソウルがあります。どんなジャンルの音楽を手掛けたとしても常にどこか影のある憂いを秘め、安易でコマーシャルな世界からは離れた位置に距離を置いています。彼がそんな姿勢を失わない限りは、きっとこれからも僕は音楽に失望しなくて済みそうです。それはさておき本作は彼の作品の中でも、一番テクノと言う音楽に接近しています。テクノと言っても4つ打ちオンリーでも無く、ダブの音響とエレクトロの音質、そしてブレイクビーツのリズムを組み合わせたほんとにユニークなサウンドですね。踊れなくもないけれどネチネチとした世界観がある深い音は、家の中でじっくり聴き混むとずぶずぶと沈み込んで引き籠もれるので気持ちが良いです。救いの無い闇に囲まれていくようで決して幸福になれる音楽だとも思えないけれど、闇には闇の美しさがあると言うの身を以て教えてくれるんですね。(Drexciya+Aphex Twin)÷2みたいな狂気の大作2枚組なんで、しっかり体調を整えてから聴くべし。

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| TECHNO4 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Skurge [UR064] - Radio UR... Vol.01 (Underground Resistance:UGCD-UR003)
DJ Skurge [UR064]-Radio UR... Vol.01
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まあなんですな、最近はやたらとUnderground Resistance関連の作品がリリースされますな。個人的には彼らの音源が絶え間なく聴けるのは嬉しくもあり、またアンダーグラウンドと言う言葉が既に意味をなしてない気もしたり微妙な気持ちですが、やっぱり何だかんだURは大好きであります。さてそのURの最新作は、コードナンバー64を持つMilton BoldwinことDJ SkurgeのMIXCD。現在はDrexciyaの意志を受け継ぐThe Aquanautsの一員でもありまして、既にダークで攻撃的なエレクトロを披露しURの次世代として活動しています。元々はロックバンドのギタリストとして活動していた彼ですが、URの"Final Frontier"に感銘を受けてテクノ/エレクトロに移行していったそうで、このMIXCDを聴く限りでも何となく元ロックアーティストであった事を感じられるアグレッシブさが聞こえてきます。URのラジオショウをイメージしたと思われるこのMIXCDには、当然UR関連の曲ばかりで構成されているのですが、選曲を見るとかなり渋いですな。いわゆるURに皆が期待しているポジティブで高揚感のある曲は少なく、むしろ凶暴で鋭利に研ぎ澄まされたエレクトロが大半です。後半ではかつてはハードコアテクノなんて呼ばれた"Message To The Majors"なんかも聞けて、URのダークサイドが満開となっています。ハードコアテクノ、エレクトロ、アシッドとどこを切っても妥協や甘えが全くなく、「A Hi Tech Jazz Compilation」(過去レビュー)とかしか知らないURファンがこれを聴いたらびっくりするでしょうな。僕自身もURのエレクトロ作品を熱心に聴く事は少ないんだけど、DJ Skurgeがエネルギッシュなテンションを保ってミックスしてくれたおかげで最後までエレクトロミックスを楽しむ事が出来ました。冒頭で既にURはアンダーグラウンドではないと書きましたが、やはりこの音を聴くと確実に彼らのスピリッツはアンダーグラウンドなままなんだと実感出来ます。血管ぶち切れ、体液沸点越え確実の凶悪なMIXCDだぜ!

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| TECHNO4 | 21:30 | comments(2) | trackbacks(1) | |
Urban Tribe - Authorized Clinical Trials (Rephlex:CAT180CD)
Urban Tribe-Authorized Clinical Trials
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こんばんわ、Tokyo Experimentの管理人・マチュです。と言っても毎日更新しているのも当然私です。残念ながら今日でCDレビューは終わりです、今年のですが。来年もどんどん紹介し続ける予定ですので、これからもヨロシク。今年最後のレビューはデトロイトのダークサイド、Sherard IngramことUrban Tribeです。Mo Waxからリリースされた1stアルバム(過去レビュー)には、Anthony Shakir、Carl Craig、Kenny Dixon Jr.(Moodymann)が参加して強力なダウンテンポ作品となっていたのですが、この2NDもなかなかの物。リリースはなんとAphex Twin(Richard D. James)主宰のRephlexからと言う事で、作風が見事なまでに変容を遂げていました。いかにもRephlexらしい音で、簡単に言うとエレクトロ。電気仕掛けの鞭でビシバシとしなやかにしばかれる棘のある音で、前作のディープでメランコリーな世界は何処へやら。あ〜これは故Drexciyaを思い出してしまったよ。そう言えばAphex Twinは、デトロイト系にはそこまで関心なさそうだったけどDrexciyaだけに関しては相当興味を示していたな。だからDrexciyaにも通じるこのアルバムを、自身のレーベルから出したのかな?作品自体はシンプルなエレクトロと言ってしまえば終わりだけど、狂った感もあるハードで無機質な感覚はまるで怒ってるみたいだ。デトロイトの反骨精神が出ていると考えれば、これもデトロイトテクノの一つなのかもね。

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| TECHNO4 | 22:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Laurent Garnier - Unreasonable Behaviour (F-Communications:F115CD)
Laurent Garnier-Unreasonable Behaviour
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テクノシーンの世界三大DJとも称されるLaurent Garnierですが、来月には彼の歴史とも言えるベスト盤「Retrospective 1994-2006」がリリースされます。作品の質にばらつきのある彼ですが、ベスト盤ならばそれも問題はないですね。でもその前に、忘れないで欲しいアルバムがあります。それは彼の3RDアルバム「Unreasonable Behaviour」。凶暴なジャケットから発せられる音は、アンダーグラウンドな音そのもの。テクノ、エレクトロ、ダウンテンポなどやはりDJと同じく幅広い音を聴かせるのですが、ここに安易なハッピーな音はありません。彼はデトロイトテクノから、そしてもっと言えばMad Mikeから影響を受けているのですが、表層の音だけではなくむしろメジャーに戦う姿勢、思想をより濃く受け継いでいるのです。彼はフランスにテクノシーンが無い頃から、テクノをフランスに根付かせるべくレーベルを立ち上げ、隠れた原石であるアーティストを発掘し、時にはドラッグ問題でダンスカルチャーが弾圧された際にはメディアに対抗し、フランスのダンスシーンを守り続けてきたのです。その彼の精神性が最も表れているアルバムが、「Unreasonable Behaviour」なのです。Drexciyaばりの恐怖と不安に満ちたエレクトロ「Greed」、Suburban Knightの様に夜のダークさを感じさせるテクノ「Dangerous Drive」や「The Sound Of The Big Babou」、テクノやハウスのオリジネーターに対する敬意を表した美しい「Lost Tribute From The 20st Century」など、攻撃的なトラックが中心ながらも切なさを感じさせる瞬間もあります。そしてどう聴いてもMad Mikeに対抗したとしか思えない名曲「The Man With The Red Face」は、フランス版「Hi-tech Jazz」とさえ言えるのではないでしょうか?ロマンティックな世界を見せるダークなシンセ音とスピリチュアルなサックスの絡みは、心の底から泣きたくなる様に感情を揺さぶります。デトロイトの事を真に理解していないと、こんな曲は作れないだろうな、凄いよGarnier。フレンチテクノを代表するアルバムと言っても過言じゃないでしょう、これ。

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| TECHNO3 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Two Lone Swordsmen - Stay Down (Warp Records:WARPCD58)
Two Lone Swordsmen-Stay Down
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ロック、パンクとアシッドハウスムーブメントを結びつけた重要人物・Andrew Weatherall。Primal Screamとの絡みで有名になった彼は、その後トリップホップのブームに乗りSabres Of Paradiseを結成、メランコリックで妖艶なトリップホップ作品を作る事になる。が終焉は突然やってくるものでアルバムを2枚リリース後、ユニットは解散となる。しかしWeatherallの感性はますます研ぎ澄まされ、Drexciyaに負けじ劣らずのダークなエレクトロ、ダブ方面に移行したTwo Lone SwordsmenをKeith Tenniswoodと共に結成。当初の活動の中では、テクノともエレクトロとも判断しがたいエレクトロニックミュージックを試行錯誤で作っていた感があるが、この2NDアルバムにおいて自らのスタンスを完全に確立させた模様。永遠に光を浴びる事の無いダークなベースライン、決して浮かび上がる事のないダウナーなパーカッション、これらは一聴して希望も幸福も存在していないかに思われる。しかしよく聴いて欲しい、聞こえてこないか?心の奥底に沸いてくるディープなソウルが!アシッドハウスムーブメントの享楽の後に残ったのは、人の琴線を震わせるソウルだったのだ。だからダークなエレクトロであろうとも決して凶暴性に満ちた音楽なのでは無く、哀愁漂わせる深淵な旋律が闇の中に灯を灯すのだった。ここではテクノもエレクトロもダブも見事に調和を見せて、ここからWeatherallの第2章が始まると言っても過言では無い。パンクスだからこそ為し得た鋭利な音像と、ディープなソウルがここにある。

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| TECHNO3 | 21:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
Underground Resistance - Interstellar Fugitives (Underground Resistance:UGCD-UR045)
Underground Resistance-Interstellar Fugitives
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「Interstellar Fugitives 2」の発売に伴い、廃盤になっていたPart 1も日本盤として再発される事になりました。このアルバムこそがUnderground Resistance(以下UR)の初のオリジナルアルバムで、それこそレコードのみでの活動を行っていた彼らの事を考えるとようやくCDで、しかもURグループとしての集大成を聴ける事は大変喜ばしい事だと思います。ところでこれがコンピレーションだと思っているならそれは過ちで、URは個人では無くURと言う民族を越えた共同体なのです。なのでこのアルバムは紛れもなくURと言う共同体が作り上げた、渾身のフルアルバムなのです。僕は「Interstellar Fugitives」のエレクトロは得意ではないので今まで放置していましたが、Part 2購入と同時にPart 1も購入してみました。最初になんですが、これはオリジナル盤とは2曲入れ替えがありまして、と言うのもオリジナル盤に曲を提供していたDrexciyaが他界した為、弔いの為にそういった処置をされているようです。しかし98年発売時にはこのURの初のアルバムには、僕は余り賛同出来ませんでしたね。デトロイトテクノを聴き始めたばかりだと言う事もあったのでしょうが、やっぱり音が今よりも強烈と言うか全部聴き通すには体力がないとしんどいです。それ位ダークでタフなエレクトロな作品だったのですが、今聴いてみると耳も慣れたのかむしろファンキーな所に共感を覚えました。確かに電子楽器に依って作られた曲なのですが、黒人の音楽に感じるエモーショナルなヴァイブスが闘争心みたいな感情で表現されています。URを語る点に於いて「Hard Music From Hard City」と言う言葉があるのですが、正に厳しい環境から生まれたハードミュージックなんだと思いました。Part 2に比べるとアンダーグラウンド色が強く、これこそが実態を現さずに活動していた頃のURのコンセプトが一番強く出ているアルバムでしょう。ライナーノーツはデトロイト大先生かつMad Mikeの親友・野田努が担当しているので、一見の価値は有り。「Interstellar Fugitives」=「銀河感逃亡者」のストーリーも和訳されているので、この機会に読んでみましょう。

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| TECHNO3 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Marco Passarani - Sullen Look (Peacefrog:PFG053CD)
Marco Passarani-Sullen Look
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あんま詳しく知りませんがイタリアテクノシーンの重鎮だそうです。イタリアって言うとイタロディスコってイメージですが、やっぱおいらはテクノですよ。しかもUK屈指のテクノ・ハウスレーベルであるPeacefrogからとなれば、その内容も折り紙付き。ちょっとださめでチープなシンセ音がピコピコ…こ、これは冗談抜きで時代に逆行してる。しかし所々にアシッドハウス調のハットやベースラインが入ったり、もしくはデケデケのファットなベースラインが待っている。これは何だろう、デトロイトのダークなエレクトロを思い出す。もちろんURやDrexciya程の狂気じみたエレクトロでは無いけれど、ポップでセンチメンタルな音でありながらその音は硬く、テクノビートと断言出来る格好良い物だ。ピコピコとエレクトロ?これはDrexciya+Kraftwerkとも言えるかもしれない。まあKraftwerkを持ち出すなんておこがましいけれど、その位ポップな事は間違いないです。暑苦しい熱帯夜に清涼な風が吹いてきました

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| TECHNO2 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Suburban Knight - My Sol Dark Direction (Peacefrog:PFG025CD)
Suburban Knight-My Sol Dark Direction
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遂に明日Galaxy 2 Galaxyの来日ライブがある訳だが、そこにUnderground Resistanceの裏番長、James PenningtonことSuburban Knightも一緒に来日します。Suburban Knightは既に15年以上の長いキャリアがあるにも関わらず、とても寡黙なアーティストで作品は数える程しかない。URやTransmatなどからEPを出しているが、一般的にダークテクノの先駆けと言われている「The Art Of Stalking」は、正に暗黒パワーと負のエネルギーに満ちている。きっとデトロイトのネガティブな面を表しているのではないかと、僕は勝手に思いこんでいるのだが。そんな曲も収録したキャリア初のアルバムが、2003年に何故かPeacefrogから発売されました。個人的に一番クラブ映えする曲は「Midnight Sunshine」で、やはりダークながらも青い炎が揺らめきながら徐々に熱を帯びていく様な、ダークかつ躍動的なハードテクノである。しかしながらアルバム全体のトーンとしては、やはり暗い。何故そこまでにSuburban Knightは暗いのか?かつてのDrexciyaばりのエレクトロとハードテクノを足した様な感さえもある。決して彼の作品を聴いてハッピーな気持ちになれる事はないだろう。これは決して良い環境とは言えなかったデトロイトで育ったSuburban Knightの心情を、表現したアルバムなのかもしれない。さあ、明日のDJはどうなんだい?今まで2度程聴いた事はあるけれど、DJの時はデトロイトクラシックも多用してダークな一面以外にもポジティブな面も見せてくれた。明日もきっと僕らを楽しませてくれるのだろうか…

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| TECHNO1 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(1) | |