Rolf Trostel - Edward Versions (Die Orakel:ORKL-11)
Rolf Trostel - Edward Versions
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かつてはWhite、そして現在はGieglingと職人芸のように繊細で美しい音響を聞かせる電子音楽を得意とするレーベルの主軸アーティストであるEdwardが、2018年にDie OrakelからリリースしたEPが興味深い。2013年にはクラウト・ロック方面で多大なる功績を残したConny Plank、そして2015年にはアンビエント重鎮のHarmonia & Enoのリミックスを行ったEdwardが次に挑戦をしたのは、Rolf Trostelの1982年作のリミックスだ。Trostelは1980年代初頭に活動していたシンセサイザー奏者で、特にTangerine Dreamなどのような奇妙な電子音が特徴的なジャーマン・プログレに影響を受けて音楽制作を行っていたようだ。本作は彼がリリースしたアルバム『Der Prophet』からの曲がリミックスされているが、原曲はTB-303のベースシンセやTR-808のリズムマシンも取り入れながらもそれよりもPPG Waveの毒々しいデジタルシンセ音が印象的なイマジネーションを刺激するエレクトロ・ポップ調な曲でもあり、その当時からの遠い未来を想像するようなレトロ・フューチャーな雰囲気もある。そんな曲を現代的なダンス・ミュージックとして解釈すると、"New Age Of Intelligence (Edward Version)"では原曲のシンセの雰囲気は残しながらも壮大なサウンド・トラック的な雰囲気は削ぎ落とされ、逆に軽く歯切れの良い4つ打ちのリズムを終始保ちながら細かい電子音響も散りばめて、如何にもEdwardらしい繊細な音響の美しさが際立つテクノへと生まれ変わっている。12分にも渡る長尺にて大きな展開をする事はなくミニマルとしての機能性を強調して持続感を引き出し、その長い時間ながらも微細な変化によって飽きさせずに酩酊感を作っていくモダンなミニマル・テクノは、Edwardの新作と呼んでも差し支えはない。そしてよりフロアでの機能性を高めたのが"Der Prophet (Edward Version)"で、ザクザクとしながらうねるリズムによってグルーヴ感が持続するトラックはミニマル・ハウスそのもので、そこに快楽的なミニマルなシンセの反復の中を奇妙に変化する電子音が掻い潜り、そして中盤からはオーケストラ風の豊かなシンセメロディーが感情性豊かに展開する事でドラマティックな盛り上がりも演出する。揺さぶりを生む激しさではなくグルーヴの持続性とメロディーの快楽性によって、フロアの雰囲気をコントロールしながらもじわじわと高揚を誘う曲で、Edwardのミニマルな美学が感じられるだろう。



Check Edward
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Radio Slave - Trans (REKIDS:REKIDS 122B)
Radio Slave - Trans
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古くはアダルトなラウンジ音楽趣向のQuiet Village、レフトフィールドなダンス系のRekid、またはテクノ〜ハウスを横断してよりダンス・フロアを意識したRadio Slaveと、様々な名義を用いて幅広くしかしディープな音楽性を展開するMatthew Edwards。アーティストとしてもDJとしても人気を博すベテランではあるが、個人的な音楽的好みには当て嵌まらず今まで避けていたものの、本作は是が非でも聞かねばという衝動に突き動かされ購入した次第。この名義では初のアルバムとなった2017年作の『Feel The Same』からのシングルカットである本作には、Innervisionsの頭領として名高いDixon、そしてデトロイト・テクノのソウルの塊であるUnderground Resistanceがリミックスを提供しているのだから、その名前を見ただけでも反応してしまう人も少なくはないだろう。原曲は歪んだように蠢くシンセベースにヒプノティック&ドラッギーな上モノが反復する妖艶なテック・ハウス調で、これはこれで真夜中のピークタイムのダンスフロアをも賑わすような派手さがあり、Edwardsの的確にフロアを意識した曲調は確かなものだ。そしてそれを更に機能的に手を加えたのがDixonによる"Trans (Dixon Retouch)"で、以前からもリミックスと言うよりはエディットとしての手腕を発揮している通りで大きく曲調を変える事はないが、少しだけ暗闇の中で光るようなシンセのメロディーやスネアロールでの盛り上がりも盛り込んで、原曲を活かしながらも起承転結らしい展開を作ってエディットの妙技を披露している。だがしかしやはり一際強い個性を感じさせたのはURのリミックスである"Trans (Underground Resistance Hamtramck Remix)"の方で、Mike Banksがどの程度制作に絡んでいるかは謎なもののファンキーなギターカッティング、鈍くうねるベースと鋭利なリズムトラックと、ややバンドサウンドらしき物が感じられるのはURが集合体としての存在感を今も尚体現している。催眠的にエフェクトが掛けられたボーカル・サンプルや不気味なシンセのフレーズなども、よりダークなエレクトロ調になる事に役立っており、この肉体を揺さぶるファンキーさには冷気と共に心の中で燻る熱いソウルも感じられる。最近目立った活動が見られないURが、しかしやはり地力を感じさせるリミックスを披露すると、どうしても新作を期待せずにはいられないのだ。



Check Radio Slave
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Edward - Giigoog (Giegling:giigooog)
Edward - Giigoog

もはやテクノやハウスと言った枠組みの定形には収まらず、そしてフロアを激しく揺らす事もからも開放され音楽を芸術的に捉えているようにも思われるドイツのGieglingは、特に奇才が集まるレーベルの一つだ。その中心に居る一人が Oskar Offermannとのタッグでの活躍も目を見張るEdwardだ。ディープ・ハウスらしさを残しつつもエレクトロやダウンテンポの要素に、そして表現のし難い音響を持った不思議な音楽を手掛けるアーティストは正に奇才と言う他に無いが、この新作はやはり奇妙なエキゾチック感がありつつも比較的フロアでもハマりやすそうな作品が収録されている。A面に収録された12分にも及ぶ"Bebe"はFrancis Bebeyによるアフリカン音楽である"Forest Nativity"を大胆にサンプリングしており、キックレスな状態ながらもそのネタである歌を執拗に反復させる事で呪術的な魔力を引き出し、一見激しさは全く無く弛緩した状態から体を揺らすグルーヴを生み出している。乾いた土着的なパーカッションや繊細で効果音的な電子音を散りばめながら、殆ど展開という展開は作らずにある意味ではミニマルらしい構成でサイケデリックな感覚が侵食するこのトラックは、フロアに於いても気が抜けつつも奇妙な高揚感を生み出すに違いない。"IoIo"も同様にサンプリング・ベースの曲で、ここではFrank Harris With Maria Marquezの"Canto Del Pilon"を用いて原曲からそれ程乖離しない作風を見せている。祈りにも似た女性の歌から始まり爽やかなハンドクラップも加わり少しずつ熱量が高まり盛り上がっていくエキゾチックな曲で、中盤以降はやっと原始的なリズムに加え様々な動物の鳴き声も導入され雑然とした生命力が溢れてくる。"Bongo Herbaoe"も恐らくサンプリングによる曲なのだろうが、こちらは元ネタは不明。土着的で濃密なアフロ・グルーヴの下地から幻惑的なシンセがうっすらと浮かび上がってきて、肉体的な躍動が溢れるこのダンス・トラックは太古の祭事のような訝しさに満ちている。どれもこれも太古の大地から鳴り響くような原始的な感覚があり、エキゾチックな要素を活かして肉感溢れるグルーヴへと変革させた異形のハウス(?)は、Edwardの個性的な音楽性が見事に反映されている。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
EMMA HOUSE XX Non Stop Mixed By DJ EMMA 30th Anniversary (Universal Music:UICZ-9075)
EMMA HOUSE XX Non Stop Mixed By DJ EMMA 30th Anniversary
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1985年にDJ活動を開始してから芝浦GOLDやSpace Lab Yellow等伝説的な箱でレギュラーパーティーを開催し、また早くからクラブの臨場感を宅内でも体感させるMIXCDの制作に積極的に取り組み、現在も尚シーンの最前線でDJとしての生き様を見せるEMMAは、日本のダンス・ミュージックに於ける生き字引の一人と呼んでも過言ではないだろう。本作は2015年にDJ活動30周年を迎えた事を記念するMIXCDであり(リリースは2016年10月)、またシリーズとしても20周年目の通算20作目と、記念づくしの『EMMA HOUSE』シリーズの最新作である。彼の音楽を現す『EMMA HOUSE』にはハウスという言葉が使われているが、決してハウスだけではなくテクノやロックにアシッド・ハウスまでも網羅した分け隔てないダンス・ミュージックのプレイが前提であり、当然本作もそんな彼のクラブに於けるプレイがそのまま閉じ込められている。Disc1は彼の音楽性では最も特徴と思われるソウルフルなNYハウスの"A Deeper Love (A Deeper Feeling Mix)"で始まり、いきなり胸を熱くするソウルフルな歌によってぐっと引き込まれていく。続くピアノの華やかなコード展開に盛り上がるピアノ・ハウスの"Soul Roots (Piano House Mix)"、現在形のロウでトリッキーなハウスである"Looking 4 Trouble"から90年代のハードなハウス時代を象徴する"Jumpin"へと繋がれるなど、ある種のクラシック的な趣きでがつがつと攻める前半。そしてEMMAの中で再燃するアシッド・ハウスの勢いを爆発させた"Acid City"から"The Original Disq Clash (DJ EMMA Jesus Remix)"へと流れは正に現在と言う時代性も含んでおり、そこからイタロ・ディスコ名作の"Chase"やハードロック・バージョンの"I Feel Love"へと古き時代に戻り懐かしさを誘いつつ、ラストにはこれまたハウス・パーティーでは定番とも言える"You Are The Universe (Curtis & Moore's Universal Summer Groove)"で幸せなパーティーの空間を共有する雰囲気を作って上手く纏めている。Disc2も古き良き時代のゴスペル・ハウスやレイブ・アンセムから現在のバレアリック・ミュージックやソウルフル・ハウスまで、過去と未来を同列に混在させる選曲で実に感情的に実にドラマティックに聞かせるプレイで、これこそEMMAの魂を震わすDJなのだ。驚くべき展開は無いかもしれない、流行を意識する事もない、そんな事に頼らずともクラブでのパーティーで培われた経験を元に実直に音楽に向き合った結果、真っ直ぐにプレイする事が感情が最もダイレクトに伝わる事を証明しているかのようだ。

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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Eddie C - On The Shore (Endless Flight:Endless Flight CD 16)
Eddie C - On The Shore
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ビートダウン・ハウスやスローモー・ディスコでは名高いカナディアンのEdward CurrellyことEddie Cが、古巣Endless Flightから3年ぶり3作目となるアルバムをリリースした。真夜中のクラブに於けるハイエナジーで興奮を誘うダンス・ミュージックとは真逆の、むしろリラックスして遅いBPMによりメロウかつファンキーな音を丁寧に聞かせる音楽性は、リスニング性の観点からも素晴らしいものだ。新作はベルリンに移住してからの生活にインスピレーションを受けたそうで、スタジオに面しているベルリンのパンケ川の風景などリラックスした雰囲気の影響があり、確かにアルバム全体は和みに富んでいる。初っ端から随分とスローモーで肩の力が抜けたディスコ・テイストな"Fenyek"で始まり、長閑な田園風景が広がるような牧歌的な雰囲気さえ発している。続く"Low Road Dubs"はヒップ・ホップのリズム感が練り込められ、そのサンプリングベースであろうざっくりとした生っぽいビート感とミニマルな構成はEddie Cの得意技だ。爽快に闊歩するようなグルーヴに乗ってフルートらしき朗らかなメロディーが先導する"Wish You Were Here"、清涼かつ透明感のあるコズミック・ディスコな"Beyond Reality"など、野外にはまるであろうバレアリック感さえもある曲は実に心地良い。また本作では南国のトロピカルな空気も盛り込まれており、浮遊感のあるストリングスと爽やかなアコギに導かれる"Boipeba Praia"は穏やかで陽気なムードに溢れている。"Take Me (Extended Mareh Vacation Mix)"だけは硬質で重いキックと覚醒的な上モノのシンセが屋内型、または夜中のダンス・ミュージック的な迫力を兼ね備えており、アルバムの中ではやや異質だろう。それでも全体的にはヒップ・ホップにブレイク・ビーツのサンプリングやビート感を前面に出し、まったりと和んだメロウネスと切れ味あるファンクネスを生み出す事に成功しており、実にEddie Cらしい作品だ。ダンス・ミュージックとしての前提はありながら、部屋の中で空気と馴染むようなBGMとしての聞き方がぴったりだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/6/3 "The Spacewalk: 51 year anniversary" @ Contact
1965年6月3日はアメリカ人宇宙飛行士のEdward Whiteが、初めて宇宙遊泳(spacewalk)を果たした日であるという。つまりは人類が遂に宇宙へと足を踏み出した瞬間とも呼べる日であるが、その宇宙をテーマに音楽を作り続けているDJ/アーティストの第一人者と言えばJeff Millsをおいて他にいないだろう。宇宙に対する哲学的な思想をミニマルという音楽で表現する彼が、今回Contactにてこの歴史的な宇宙遊泳に対して捧げるコンセプチュアルなDJセットを披露すると言うのだ。それだけでなくベルリンからはGrounded Theoryを主宰し現在のハードかつミニマルなテクノを形成するHenning Baerも呼び寄せるなど非常に贅沢な布陣で、Contactというクラブの中に徹底的にハードかつスペーシーな夜を演出する。
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| EVENT REPORT6 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Map.ache - The Golden Age (Giegling:GIEGLING 17)
Map.ache - The Golden Age

日本に於いては、特にメインストリームからはやや外れたダンス・ミュージックを聴かない人にとっては、このレーベルの存在を知らなくてもおかしな事ではない。だがしかし、2014年度のResident Advisor Poll部門で1位を獲得したという文句があれば、僅かでも興味を抱いても損はない筈だ。そのレーベルこそドイツ・ワイマールを拠点とするGieglingで、VrilやEdwardらもカタログに載るように奇才揃いなのである。そしてテクノやハウスのみならず、アンビエントやヒップ・ホップにまで手を広げつつも、そのどれもが工芸品のような美しさの中に仄かなメランコリーがあり、ただ踊れれば良いという以上の音楽性を秘めている。本作はJan BarichことMap.acheによるもので、過去にはヨーロッパの繊細な美的感覚を打ち出したディープ・ハウスもリリースしていたようだが、このGieglingからの作品ではそれを継承しながらも、レーベルの奇抜な性質も強めながらメランコリーに染め上げている。何と言ってもタイトル曲の"The Golden Age"が素晴らしく、つんのめるような変則的なビートの上に滑らかに展開するエモーショナルなシンセのコードの構成は、星空が広がる下の夜道を闊歩するような何だかウキウキとするムードがあり、ドラムのリズムとシンセのリズムの相乗効果で不思議な感覚の揺らぎで陶酔させられる。"Give Peace A Change"はぼんやりとして陰鬱な夢のようなシンセがリフレインするディープ・ハウスだが、ビートにはざらつきがあって生々しく、ロウな質感が曲にちょっとした刺激を加えている。と思っていると、裏面の"Message from Myself"ではまた弾けるようにキックやパーカッションが入り乱れ、そこに浮遊感を生む淡い色彩のシンセが情緒を添えて、何だか騒がしくもありながら軽快なグルーヴで晴々しいハウスを披露している。最後の"You Are The Bonus"は壊れた楽器が鳴っているような電子音が不協和音的に構成されたビートレスな曲で、これは踊るための音楽ではないかもしれないがメランコリーが感じられ、パーティーの朝方にプレイされてもおかしくはない。Gieglingらしくストレートなダンス・トラックは無いのだが、これら工芸品のような曲がミックスされるとDJの中にスパイスとして作用するのではと思わせられるし、実に面白い音楽だ。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/2/20 Mule Musiq presents CATS @ Arc
ドイツのアンダーグラウンドなハウス・レーベルであるWhiteの主宰者であるOskar Offermannが、昨年は遂にMule Musiqからアルバムをリリースするなど、その活動は浮上をして日本でも注目を浴びつつあるように感じられる昨今。今までに2回の来日経験があり、GrassrootsやLiquidroomなど場所の大小問わずしてその個性的なDJで評判を集めるが、今回はMuleからのリリースに合わせてレーベルのパーティーであるCATSへの出演が決まった。日本から迎え撃つは同レーベルの中心的存在であるKuniyuki TakahashiやMuleのボスであるToshiya Kawasaki、Rainbow Disco ClubのSisiと、リリパに対してしっかりを脇を固めた布陣となった。
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| EVENT REPORT6 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Oskar Offermann - Le Grand To Do (Mule Musiq:mule musiq cd 50)
Oskar Offermann - Le Grand To Do
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Oskar Offermannが主宰するWhiteは盟友であるEdwardをはじめとした奇異なアーティストを率いて、ドイツの底の見えないアンダーグラウンドなディープ・ハウスを手掛け、ダンストラックではありながらも快楽的なパーティーとは対照的な機能的な美学を追求する点において個性を発揮していた。当然Offermannが制作するトラックもその路線上にあり、そして人肌の温もりが伝わるメロウな性質も伴って、ベルリンのモダンなディープ・ハウス一派の急先鋒であった。とは言いながらもやはりというか、特に日本での知名度はまだまだであったものの、2枚目となるアルバムは日本が世界に誇るMule Musiqからのリリースとなるのだから、もはや目を背けるわけにはいかないだろう。本作は生活リズムが不安定なDJ故の不眠な生活から脱却すべく、菜食主義と瞑想を始めた頃に制作された曲が纏められているそうで、そんな生活の変化が本作には影響しているそうだ。奇妙な夢の中にいるようなシンセと自身の呟きによるイントロの"August '14"から始まり、ロウなマシンビートの上に眠くなるようなシンセが浮遊する繊細なディープ・ハウスの"Find Yourself"と、アルバムの序盤からやはり強烈なグルーヴ感よりもじわじわと沁みるメロウな性質が聞こえてくる。続く"Carol's Howl"は歯切れの良いハイハットやすっきりした4つ打ちが滑らかなグルーヴ感を生んでいるが、深い精神世界へと誘うような微睡みの上モノは幻惑的だ。もこもこと篭ったキックと執拗な呟きの反復による覚醒的な"Banunanas"や、エレクトロ気味の尖ったビートと奇妙なシンセの複合が織りなすトリッピーな"Embrace The Condition"など、勢いのあるグルーヴは無くとも実験的な要素を織り込みながらディープに嵌める展開は、内省的でありながら艷やかだ。アルバムの最後はスムースなハウスグルーヴの中に滴るような繊細なピアノのメロディーを落とし込んだ"Understandable"で、最後まで夢から覚めないようにメランコリーな世界を継続させる。前作である『Do Pilots Still Dream Of Flying?』(過去レビュー)から大きな路線の変更はなく、安息の日々が続くかのような落ち着いてリラックスした感は、(実際にクラブでDJが使用するではあろうが)リスニングとして聴いても楽しめるメロウネスがある。勿論、Offermannがはまっていると言う瞑想のお供にも適しているであろう。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ethyl & Flori - Aim 014 (Aim:Aim 014)
Ethyl & Flori - Aim 014

ドイツのWhiteは現在のハウスでも注目を集めるレーベルの一つだが、その傘下にあるAimはSmallville Records周辺のアーティストを巻き込みながら、ロウで無骨ながらもエモーショナルな空気を纏ったテクノ/ハウスを手掛けて評判を集めている。そのレーベルの新作はEthyl & Floriの二人組によるもので、今までにもユニットやソロでFreerange RecordsやSecretsundaze等の名立たるレーベルからリリース歴があり、ベルリン的な硬めながらも洗練されたハウスに対しては信頼のおけるユニットだ。本作でもデトロイト・テクノに影響を受けたような叙情的なメロディーとすっきりしながらも骨太なグルーヴを発揮し、フロアでの即戦力と成り得る機能的な曲が満載だ。潰れたようにグチャッとしたパーカッションが特徴の"Empyrean Woman"は、途中から朧気に空気が噴出するように叙情的なコードと浮遊感あるシンセがレイヤーとなって覆い尽くし、ロウな質感に仄かな熱量が込められている。"Kuju"もドコドコとした金属的な粗いビートが下の方で揺れつつ、宗教的にも思える荘厳なコードが溢れ出すディープな曲だ。ダビーなパーカッションで軽快に揺さぶられる"Tracers"は、ヒプノティックな上モノの反復と疾走感のある4つ打ちで、荒廃した質感はよりテクノ的でベルリン・テクノとの相性はより良いだろう。そして特筆すべきはWhiteの中心的存在であるEdwardがリミックスした"Empyrean Woman (Edward Remix)"であり、原曲の幽玄な世界観は継承しながらもオルゴールのような繊細なメロディーも加え、より真夜中に夢遊するような酩酊感を誘い出し、耽美なモダン・ハウスを提唱している。かっちり切り刻むようなファンキーなリズム、耽美でしなやかに伸びるドリーミーなメロディーと、実にEdwardの音楽性が反映されているだろう。



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| HOUSE11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Manuel Fischer - Neighbourhood (White:WHITE 026)
Manuel Fischer - Neighbourhood
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ここ数年、ベルリンにおけるハウスミュージックの躍進は目覚ましいものがある。その一つとしてOskar Offermann & Edwardらを輩出したWhiteも繊細かつメランコリーな要素をよりモダンに磨き上げた音楽性が評判となっており、決してメジャーな扱いを受ける事は無くとも堅実に良質な音楽のリリースを続けている。そんなレーベルの2015年第1弾はスイスからのニューカマー、Manuel Fischerによる作品だ。Fischerについて詳細は見つからないものの、おそらくまだ24歳の若手アーティストでありこれが初めての音源リリースとなるようだが、Whiteが認めただけあってその質は保証されている。デトロイト・テクノを思わせる叙情性の強いメロディーは何だかふわふわと掴み所がないが、そこにカタカタとしたロウなビートや個性的な分厚いアシッド・ベースを組み合わせた"Like One Of Yours"は、軽い浮遊感も伴う大らかな展開に身を任せたくなる。一方"Loft"もシンセのメロディーが前面に出ているが、ぼんやりとしたベースラインと相まってミステリアスな空気を含みながら、かっちりとしたキックやハイハットが端正な4つ打ちを刻むモダンなディープ・ハウスを聞かせる。裏面には再度アシッド・ベースが空間の奥で不気味に蠢きシカゴ・ハウスのような乾いたリズムからも廃れた世界観が漂ってくる"Neighbourhood"、物哀しいピアノのコードやオルゴールらしき旋律が特徴となり真夜中に闇夜の中を徘徊するようなミステリアスな世界観の"Merida Dub"と、こちらもメロディアスな作風ながらも時間帯は完全に真夜中のパーティータイムを思わせる。Fischerにとって初のリリースではあるが、Whiteの音楽性を踏襲しながら実に今っぽいハウスミュージックに仕上がっており、是非注視しておきたいアーティストとなるであろう。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/1/31 House Of Liquid @ Liquidroom
2013年の年の瀬が近くなった頃に初来日し、ディープ・ハウスを軸に独特の審美眼から選びぬかれた曲をミックスして期待を超えるDJを披露したEdward & Oskar Offermann。ドイツにてWhiteを主宰し繊細な美しさと異端な空気を放つディープ・ハウスを手掛けながらも、彼等自身はPanorama BarやRobert Johnsonのような大箱でもプレイするなど、その評価と人気は着実に高まっている。今回は1年ぶりの再来日となるが、前回の来日で評判が良かったおかげか前回出演したGrassrootsからLiquidroomへと場所を移して、ハウス・パーティーでは名物となるHouse Of Liquidへの出演となる。日本から迎え撃つのはこのパーティーでは代表格であるMoodman、そして前回もEdward & Oskar Offermannと共演したKabutoと、この上なく最高の相性であろうDJなのだから期待しない訳にはいかないだろう。
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| EVENT REPORT5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Oskar Offermann - Do Pilots Still Dream Of Flying? (White:WHITE 018CD)
Oskar Offermann - Do Pilots Still Dream Of Flying?
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一年ぶりに再来日するEdward & Oskar Offermannは、しつこいようだがベルリンのモダンなディープ・ハウスにおける注目の的だ。細かい事はEdwardによる"Teupitz"(過去レビュー)の記事を参照して頂くとして、本作はそんな二人の片方であるOskar OffermannがEdwardに続いて2012年にリリースした初のアルバムだ。ドイツのディープ・ハウスといえば内向的かつメロウなSmallville Recordsは外せないが、Oskarが主宰するWhiteのカタログにはSmallville勢も名を連ねており、つまりはダンス・ミュージックではあるものの派手なパーティーの喧騒とは異なる内なる精神性に目を向けたような方向性はSmallvilleの次世代と呼んでも差し支えないだろう。そんなレーベルの代表であるOskarによるアルバムなのだから、当然と言えば当然でシカゴ・ハウスやUSハウスの影響を感じさせながらもしっとりとした艶のある欧州的なディープ・ハウスで纏まっており、Whiteというレーベルを象徴するような作品でもある。タイトル曲となる"Do Pilots Still Dream Of Flying?"はカタカタとしたシカゴ・ハウスを思わせるビートで始まるが、遠く離れた郷里への思いを馳せるようなメランコリーなサウンドが貫き、アルバムの始まりから切なさが満ち溢れる。続く"Heading Out"では凛とした美しさを放つピアノのコード展開と色気のあるボーカルに魅了され、"Felt Comfty Right Away"では奇妙なボーカルサンプルを用いたながらもジャジーに展開する小洒落た感もあり、"Technicolour Dreams"ではシャッキリとしたビートと浮遊感のある上モノが伸びて飛翔するような軽快さも生み出しと…ディープ・ハウスとは説明したものの、その実ディープな内向性はありながらも音自体は軽やかで柔らかい。ドイツには幾つものディープ・ハウスのレーベルがあり、中にはドラッギーかつ妖艶な作風で大箱向けの作風を得意とするレーベルもあるが、Oskarを始めとしてWhiteの作品はビートの細ささえも音色の美しさをより際立たせるような繊細な音楽性があり、決して大袈裟な展開や派手なネタを用いずに心に染み入るような音楽なのだ。そんな音楽性はEdward & Oskar OffermannによるDJにも反映されており、是非とも今回の来日の際にはそんなDJを体験して欲しいと思う。



Check "Oskar Offermann"
| HOUSE10 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Edward - Teupitz (White:WHITE 016)
Edward - Teupitz
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一年ぶりに再来日するEdward & Oskar Offermannは、ベルリンのモダンなディープ・ハウスにおける注目の的だ。まだ日本ではそれ程知られた存在ではないだろうが2013年にはひっそりと初来日し、小箱であるGrassrootsで奇跡的なDJセットを披露してその実力を知らしめた。事実としてヨーロッパではPanorama BarやRobert Johnsonなどの大箱でもプレイし、またOskarが主宰するWhiteはディープ・ハウスを軸に他の要素も取り入れながら洒落も効いた作風で独自の路線を歩み、DJとしてもアーティストとしてもレーベル主宰者としても実力が認知されている。本作はそんな二人の片方、Edwardが2012年にリリースした初のアルバムであるが、やはりディープ・ハウスを根底に据えながら単なるディープ・ハウスには収まらない作風が見ものだ。何でも本作はEdwardがドイツはブランデンブルク州の"Teupitz"と呼ばれる御伽話に出てくるような村で元となる曲を書いたようで、自然と静寂に対する深い愛を再発見したのを契機に真のハウス・ミュージックへ辿り着いだそうだ。と、そんな背景がある影響か本作はディープ・ハウスを基軸にしながらもフロア・オリエンテッドと言うよりは随分と穏やかで、決して快楽的なダンス・ミュージックだけを目的としているようには見受けられない。勿論DJツールとしての前提は押さえつつも強迫的に踊らせるダンスのグルーヴは存在せず、全体的に線は細く無駄な音も削ぎ落とされ、最小限のメロディーやリズムで揺蕩うようなエモーションを発している。決して熱くなり過ぎずに、決して壮大に盛り上げ過ぎずに、ハウスだけでなくダウンテンポやテクノの要素も取り込みながら夢の中で聞こえるような繊細ながらも心地良いサウンドを鳴らすのだ。研ぎ澄まされ無駄を排した装飾的なダンス・ミュージックは、まるで芸術的でもあり非常に洗練されたモダンなハウス・ミュージックの体を成している。アルバムという形を活かして曲毎に変わった側面を見せる事で掴み所のない飄々とした作風ではあるものの、気軽でリラックスした音楽性は彼がプレイするDJの姿勢にも通じるものがあり、このアルバムから少なからずともDJの方向性は伝わってくるだろう。



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| HOUSE10 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2013/12/14 WHITE Label Night @ Grassroots
とあるアーティストにEdward & Oskar Offermannが来日するから、是非聴いてみてと紹介されたものの、当方はその存在を全く知らなかった。調べてみるとドイツでWHITEと言うディープ・ハウスのレーベルを主宰し、またPanorama BarやRobert Johnsonでもレギュラーでプレイするなど、海を超えたドイツでは注目を集めているようだった。ただそんなネット情報だけでは実力は未知数だったものの、ドイツはテクノだけでなくハウスでも栄華を極めている状態である。また日本からはLAIRやCABARETで活躍しているKabutoらが出演する事もありパーティー自体は期待出来そうだったのに、ならばこの機会にEdward & Oskar Offermannを聴いてみよう思い立ってGrassrootsへと行く事にした。
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| EVENT REPORT4 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Flori - Re-Foldings (Aim:Aim 011)
Flori - Re-Foldings
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Oskar Offermann / Edwardらで注目を集めているベルリンのWhiteレーベルが、新たに立ち上げたディープ・ハウスのレーベルがAimだ。Christopher RauやMoominなど既に実力のあるアーティストを手掛けているが、この新しい期待の星であるJamie TaylorことFloriも注目を集めている。SecretsundazeやQuintessentialsからもリリース歴があるこのアーティストは、前作はAimからEPをリリースしていたが、新作はその作品を他アーティストがリミックスした曲を纏めている。注目はベルリンアンダーグラウンドのベテランであるLowtecによる"Dusty Socks (Lowtec Remix)"で、原曲のスモーキーな黒さを残しつつもよりもミニマリズムと硬質でざらついた質感を強調し、DJツールとして機能性を高めたディープ・ハウスへと生まれ変わっている。初耳ではあるがDorisburgによる"Forsty Leo (Dorisburg Cave Jam Mix)"は、デトロイト・テクノ風だった原曲からアシッドシンセや奇妙なシンセが異国情緒漂うメロディーを発する妖艶で深いハウスへと塗り替えられ、陽から陰へとがらっと雰囲気を変えているのが面白い。そして前述のChristopher Rau & Moominによる変名で手掛けた"SU 3150 (Roaming Remix)"、鋭いハイハットやキックが淡々とリズムを刻む上にうっすらと情緒あるパッドを反復させるが、原曲よりもエモーショナルな感情を抑えるように仄かに温かい感情を放出するロウなディープ・ハウスとなっている。そしてBergによる少々ハードな音質ながらも幽玄さを兼ね備えたミニマル・ハウスの"SU 3150 (Berg Reduktion)"と、計4曲収録。元々がどれも素晴らしい作品だったのだが、リミックスの方も期待を裏切らないベルリンサウンドが堪能出来る。

試聴

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| HOUSE9 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Eddie C - Country City Country (Endless Flight:ENDLESS FLIGHT CD 9)
Eddie C - Country City Country
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デビュー・アルバムから丁度2年、カナディアンのEdward CurrellyことEddie Cのニューアルバムが前作と同様にEndless Flightから届けられた。その当時は猛威を振るっていたニュー・ディスコやスローモーハウスと呼ばれる音楽の中でも注目を浴びていたEddie Cだが、現在では多少なりともそのジャンル自体が落ち着きつつある中で、新作はEddie Cも成熟を迎えたような印象を受ける作品となっている。前作も決してアップテンポな作品ではなかったが、本作はそれ以上にビートをダウンさせたミッドテンポの曲が中心となっている。しかしアルバムの序盤では彼のルーツの一つでもあるヒップホップやレゲエを意識したトラックが並んでおり、サンプリングを用いて生まれた躍動感のある生き生きとしたリズムを刻むそれらのトラックを聴くと、ハウス/テクノ色を強めるシーンとは180度反対のを向いたルーツ回帰の志向が伺える。多かれ少なかれフロアを盛り上がらせる事を意識すればアッパーな4つ打ちの作風に向かって行くのは間違いではないが、敢えてそこを目指さずに生っぽさから生まれるファンクネスや緩みを持たせた非4つ打ちの作風で、洗練し過ぎる事もなく人肌の温もりを感じさせるラフなメロウネスを強調する事に成功している。前作も決して派手な作品ではなかったが、本作の前では前作が派手に聞こえる程にこのアルバムは長閑な空気が漂っており、Eddie Cが住んでいたと言うカナダの田舎の雰囲気がこんな感じだったのかと勝手に想像してしまうのだ。結果的にスローモーハウスの波に埋没する事なく周辺とは一線を画しながら、老練なファンクネスと芳醇なメロウネス溢れるアルバムをここに完成させた。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Eddie C - Aim (Crue-L Records:KYTHMAK142)
Eddie C - Aim

何時の間にかカナダから拠点をベルリンに移したそうなニューディスコ方面で脚光を浴びるEdward CurrellyことEddie C。世界各地の様々なレーベルから良質な作品をリリースしていたが、今度は日本のCrue-L Recordsの目に止まり目出度くEPをリリースした。タイトル曲の"Aim"はディスコサンプルを反復させフィルターの開閉で展開を付けて行くスローモーなディスコエディット的ハウスで、大らかで開放的な作風は如何にも彼らしいと言える。そして"The Modern Century"では幾分か4つ打ちのキックが強くなりウニョウニョしたアシッドのベースラインが蠢いているものの、アシッドの不気味さより明るい多幸感を打ち出したアシッドハウスとなっている事が特徴となっている。しかしこのEPで一番の収穫は裏面に収録されたBeing Borings(瀧見憲司+神田朋樹)による"Aim"のリミックス2バージョンで、オリジナルを遥かに凌駕するバレアリック感が凄い事になっている。特にストリングスやホーンの荘厳な響きに祈りのような霊的なコーラスまで加えた祝祭空間を描き出す"Aim (Being Borings Light House Remix)"は、その余りの出来の良さにBeing Boringsのアルバムにもタイトルを変えて収録される事になった程だ。空から神々しい光が降り注ぐような圧倒的な多幸感、幸せに満ち足りた時間が続くこのバレアリックハウスは、クラブでの朝方のフロアで最高の瞬間を作り出すに違いない。

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| HOUSE8 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Eddie C - Parts Unknown (Endless Flight:Endless Flight CD 6)
Eddie C - Parts Unknown
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2009年にデビューを飾ってからJiscomusic、Flashback、Endless Flight、Whiskey Discoなどビートダウンやニューディスコ系に強いレーベルから怒涛の勢いで良作をリリースし、今引く手数多の存在であるアーティストEdward CurrellyことEddie C。クラブミュージックの界隈でもMark EやThe Revengeを筆頭にニューディスコと呼ばれるジャンルが一部で猛威を振るっておりますが、彼の初となるこのアルバムもその流れの中で確かな才能を見せつける作品となりました。ヴァイナルユーザーだと自負する彼の気質にも通じるが如く、彼の音にも時代を感じる懐かしさや温かさの伝わるディスコオリエンテッドな音が基礎にあります。しかしそうでありながら構成としては現代の時代に合わせたミニマルな要素も多く、耳に馴染みの良いワンフレーズを上手く反復させたフロア向けのトラックが多く、決して単に古い音楽の物真似ではなく温故知新な再構築と言えるのではないでしょうか。アッパーな曲は殆ど無くビートダウンにも近いゆったりとした流れで優しいメロディーを存分に聴かせてくれ、格好良くファンキーでありながらしっとりソウルフルで、そしてエレクトロニックなのに非常に人間臭い血の通った音楽であります。激しく踊らせるのではなく、音に身を委ねたくなるこんなアルバムもまた素晴らしい。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Eddie C - Between Now And Then (Endless Flight:Endless Flight 22)
Eddie C - Between Now And Then
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時代の流れかMule Musiq傘下のEndless Flightも最近はビートダウンハウスやニューディスコなる音楽に力を入れている様で、その手の中でこのEdward CurrellyことEddie CもMark E、The Revengeらに次ぐ期待の人材。ここら辺のアーティストに共通するのはスロウで緩めのビートに懐かしさを喚起させるメロウな旋律なんだけど、Eddie Cも負けじと絹の様に柔らかで優しい音を聞かせてくれます。お勧めはタイトル曲の幻想的で透明感のあるハウスで、さざ波さえも立たさないまったりと展開の中じわじわと盛り上がりを作りながらも、最後までその緩やかなグルーヴを保ったまま情緒を匂わせます。対してA2の"You Know How"はディスコっぽい湿っぽく古びた音の仕上げをした所謂ニューディスコで、しみじみとした感情が呼び起こされるトラック。B面にもピッチの遅いビートダウンなトラックが2曲収録されていて、やはり淡い思い出が蘇るメロウな旋律が効いております。どの曲も古き良き時代を感じさせながらも、古いだけでなく今風に洗練もされていて、温故知新な存在感がありますね。

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| HOUSE5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UPCOMING EVENT
2010/05/01(SAT) CABARET @ Unit
Live : DBX
DJ : Daniel Bell, yone-ko, masda, sackrai

2010/05/01(SAT) FORWARD @ Air
DJ : Francois K., Calm

2010/05/01(SAT) Mother presents UNIVERSAL SOUND OF ORCHESTRA @ ageHa
Live : System 7, Son Kite and more
DJ : Mixmaster Morris, Artman, Sinn and more

2010/05/02(SUN) Thomas Fehlmann Japan Tour 2010 @ Eleven
Live : Thomas Fehlmann
DJ : DJ Wada, Universal Indiann

2010/05/02(SUN) Rainbow Disco Club @ 晴海客船ターミナル臨港広場特設ステージ
"RAINBOW DISCO"
DJ : DJ HARVEY, METRO AREA, KENJI TAKIMI, KOJIRO, MATT EDWARDS, NICK THE RECORD, GO KAMINOMURA

"THE TOP"
LIVE : VINCE WATSON, MIRKO LOKO, SIDE B
DJ : AME, LEON & SKINNI PANTS, TEZ & KUSDA, LOUD MINORITY RADIO, KELIE

2010/05/04(TUE) LARRY HEARD JAPAN TOUR 2010 @ Air
DJ : Larry Heard, DJ Sprinkles a.k.a. Terre Thaemlitz

2010/05/04(TUE) Redshape Japan Tour @ Module
Live : Redshape
DJ : Keihin, Gonno, Naoki Shinohara

2010/05/04(TUE) MINUS CONNECTED #8 @ Womb
DJ : Richie Hawtin

2010/05/07(FRI) CLUB MUSEUM 7th Anniversary!! "777" @ Unit
DJ : FREQUENCY 7 aka Ben Sims + Surgeon - 7 HOURS Show ! -

2010/05/08(SAT) DJ HARVEY 2010 tour of Japan @ Eleven
DJ : DJ HARVEY, DJ GARTH

2010/05/15(SAT) FUTURE TERROR VS BLACK CREAM @ Liquid Loft
DJ : FUTURE TERROR(DJ Nobu, Haruka, Kurusu) & BLACK CREAM(HATTORI, SE-1, Apollo)

2010/05/21(FRI) root & branch presents UBIK @ Unit
DJ : Norman Nodge, DJ Nobu

2010/05/29(SAT) Real Grooves Volume 41 Samurai FM Relaunch Tokyo @ Eleven
Live : Pier Bucci, Yasuharu Motomiya
DJ : Pepe Bradock, MX

2010/05/30(SUN) SOLAR FREQUENCY @ お台場青海シーサイドコート
【GALAXY STAGE】
DJ : JEFF MILLS, TAKKYU ISHINO, KEN ISHII, DJ NOBU, LOUD ONE

【WOMB SATELLITE STAGE】
DJ : DJ Aki, THE AMOS, Dr.SHINGO, RYUSUKE NAKAMURA, DJ LUU, スガユウスケ, DJ HARRY

【YOUNAGI AREA】
DJ : IZURU UTSUMI, DJ YOGURT, Shhhhh, Q, SINN

まだGW近辺の仕事の予定に目処がつかないので、どのパーティーにいけるかは未定。Thomas Fehlmannのライブは良いよ〜、エレガンスなダブテクノ。Larry Heard+DJ Sprinklesも行きたい、オールドスクールなハウスが多そう。そして最近軟弱になっている自分にはベンシム+サージョンのハードミニマル7時間地獄が気になるが、一夜を耐えきる自信は無いし、男臭そうなパーティーだよなぁ…。だがそこに痺れる憧れる!
| UPCOMING EVENT | 08:00 | comments(9) | trackbacks(0) | |
Globus Mix Vol.4 The Button Down Mind Of Daniel Bell (Tresor:Tresor142CD)
Globus Mix Vol.4 The Button Down Mind Of Daniel Bell
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近々来日するDBXことDaniel Bellの傑作MIXCDが2度目のリイシュー。しかし最近はデジタル配信も増えている事だろうし、CDと言う形でのリイシューって需要あるんでしょうかね?これをまだ所持していない若年層程、デジタル配信の方を積極的に買うだろうし。そんな懸念はさておきデトロイト発ながらデトロイトテクノとは異なるミニマルを追求し開拓してきた彼が2000年にリリースした本作は、最近のミニマルブームの先駆けと言っても過言ではない一枚。一昔前ならミニマルハウスだとかクリックハウスだとか呼ばれていたアーティストの曲が収録されていて、Farben、LoSoul、Villalobos、Thomas Brinkmann、そしてハウスをやっていた時のHerbertまで使用していて、その先見性はもはや疑うべくもないでしょう。ハウスとミニマルの綱渡り的な、そうセクシーなムード保ちつつミニマルの単純なサイクルから生まれる高揚感もあり、しっとりと股間も濡れてくる様なうっとり気分に浸る事が出来るはずです。それだけでなくDaniel Bellのミニマルにはファンクの要素もあり、僕は今なら彼の音楽をミニマルファンクと呼びます。最近のミニマルがトリッピーな恍惚感や酩酊感を強調したのが多いのに対し、Daniel Bellがやろうとしていたのは明らかに人間臭さを感じさせるローファイかつファンキーな音楽で、そこに僕は心の奥底に秘める魂の熱さを感じるのですね。これぞ身になるミニマル。

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| HOUSE5 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Live At Pacha Ibiza mixed by sugiurumn & DJ EMMA (AVEX ENTERTAINMENT INC.:AVCD-23632~3)
Live At Pacha Ibiza mixed by sugiurumn & DJ EMMA
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日本は自由恋愛が広がったおかげでハードル又は理想が高まり過ぎ未婚率は急上昇、日本終了のお知らせ。30〜34歳の男性の未婚率は約50%らしい、って正にオイラの事じゃねーか…。まあ後は収入が減少していたりとか、結婚に価値を見出せなかったりと、他にも理由あるんだろうけど。恋愛・結婚とは求めるだけじゃなく、歩み寄りだお。あーだこーだ言ってないで、取り敢えず付き合ってみて良い所探せば良いじゃんよ。

続・あべっくすのS子ちゃんがくれた物。日本のハウスシーンを長きに渡り支え続けているDJ EMMAと、元ロック小僧でクラブミュージックにノックアウトされDJに転身したsugiurumnが制作した2枚組MIXCD。世界中のクラバーが憧れるイビザのパーシャでレコーディングし、その享楽的な空気までも含んだ大箱向けプログレッシヴハウスが満載。普段この手の音楽は殆どシカトこいているので余り耳にしっくり来ないんだけど、こう言うのが人気あるのは分からないでも無い。派手なベースラインやシンセサウンド、大波に飲み込まれる壮大な展開、そしてやはりリゾート的な享楽サウンド、そりゃクラブでだって盛り上がるに決まってるの。無闇にマニアック過ぎたり実験性を求めるでもなく、とにかく気持ち良く踊らせる事を目的としているのはある意味潔いと思う。個人的にはダークでどろどろした流れから、途中にガルニエのクラシックである"The Man With The Red Face"を挟んでテックハウスの幻想的な音に移ったりしつつ、ドラマティックなハウスで終盤に流れ込み、ラストで薫さんのハイテックな"The Whisperer in Germination"で締めたDJ EMMAの方が好み。さすが20年以上の経験があるDJ EMMAと言わざるを得ない貫禄のプレイ。燦々と太陽の光が降り注ぐ夏のビーチで聴きたいね。

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| HOUSE5 | 07:45 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rasmus Faber - Love : Mixed (Victor Entertainment Japan:VICP-64065)
Rasmus Faber-Love : Mixed
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ハウスシーンでの"Ever After"の大ヒットにより日本でも名を知られる事になったRasmus FaberのMIXCD。正直な事を言いますと"Ever After"で僕もファンにはなったものの、その後のコンピやMIXCDの乱立リリースや曲の質の低下、そして乙女ハウスブームなるものの枠に入れられてしまった事により自分も距離を置いていたのですが、このMIXCDはそんな失望を払拭する好内容。オープニングの"Ever After"の2008年バージョンはキックを硬めに全体的にエレクトロニック化したフロア向けのトラックになっていて、一気に心を鷲掴み。その後は甘くてポップなメロディーを基調にしつつも、テッキーなトラックを中心に滑らかに徐々に盛り上げていく正にフロアを意識した展開が待っております。トラックを見ればReel People、Ananda Project、Blaze Vs. Funk D'Voidなどブームとは関係無い位置に存在するアーティストが多く、そしてシカゴハウスの古き存在であるDajaeまで収録されているのには、Rasmus Faberが商業ベースだけではなく音楽的な質を求めてこのMIXCDを制作した事が窺えるはず。Rasmus Faberが作るオリジナル音源はちょっと甘すぎてダメだって人も、このMIXCDはそんな甘さも活かして力強いキックで引っ張っりドラマティックに盛り上げてくれるんで、これならお勧めかと思います。真夏のビーチで聴きたい盛り上がる一枚。

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| HOUSE5 | 08:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Âme - Fabric 42 (Fabric:FABRIC83)
Ame-Fabric 42
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いきなりですが、これは傑作です!ミニマルシーンで奉られながらも本人達はミニマルと言われる事に辟易しているそうなÂmeが、人気MIXCDシリーズ・Fabricに遂に登場。Fabricは名作が多いけれどÂmeもここに来て地力を発揮し、想像以上にドゥープなプレイを披露してくれました。ミニマルは嫌いなんて言いながらも序盤から酩酊すれすれのミニマルをプレイしておりますが、どこか民族的な音色を感じさせるパーカッションが入っていて既に不気味な雰囲気を漂わせております。中盤からはシカゴハウスも投入し狂気のアシッディーなハウスでじわじわと攻め上げ、そして後半では自身のトライバルでアシッドな新曲を披露し一気に盛り上げます。後半のハウス中心ながら極限までのファンキーなグルーヴは本当に見事な物で、他のミニマル勢とは一線を画す非凡なる才能が全開になっております。そして最後はデトロイトトラックの名作で綺麗にしめておりますが、徹頭徹尾貫くハウスグルーヴが本当に素晴らしい。やっぱりÂmeのプレイはミニマルと言うよりはハウスと言った方が適切な音で、他のミニマル勢みたいに奇をてらう事はなく割りとハウスに忠実な気がします。ディープで無慈悲な世界観と、ねっとりと絡みつくグルーヴ感は本物。

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| HOUSE4 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(3) | |
Tom Middleton - Renaissance 3D (Renaissance:REN40CD)
Tom Middleton-Renaissance 3D
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昨日に引き続き今日も大作MIXCDなので聴くのもレビュー書くのも正直しんどい。そんな作品を手がけたのは90年代の輝けるアンビエントシーンを築いたGlobal Communicationの片割れ・Tom Middleton。この人かなり多くのMIXCDを手掛けていて、まあ当たり外れがあるんだけど本作は当たりに属す内容だと思います。しかし本作を聴いて思うのは、もはやTomにGCの過去の栄光を求める必要も無く、アンビエント性が無くとも素晴らしいアーティストだと断言出来る事。本3枚組みCDではクラブでのプレイを意識した"Club"、彼のスタジオワーク集である"Studio"、そして彼のお気に入りの曲を集めた"Home"とそれぞれコンセプトを明確にし違った内容を楽しめる物になっています。

まず"Club"、DJプレイを意識しているだけあって4つ打ちでグルーヴィーですが、結構ハウスビートが強めでスムースなプレイは心地良いですね。透明感、恍惚感に溢れたテックハウスを多めに使用し、上げもせず下げもせず比較的緩やかな波を作りながら舞い上がる様なプレイ。勿論クラブで聴いても絶対気持ち良いのだろうけど、部屋の中で晩酌しつつ聴いてもうっとり出来る内容ですよ。

対して"Home"ではTomの好きなようになんでもかんでもごちゃ混ぜなプレイで、テクノ、アンビエント、ダウンテンポ、ブロークンビーツなどが一つのミックスの中に存在しています。全く統一感の感じられないプレイですが、これはTomにとって思い入れのある曲や特別な意味合いを持つ曲を選んだ為でしょう。哀愁じみた懐かしさが沸いてくるメロウな内容で、チルアウト的な感覚で受け入れられると思います。

そして最後は彼の作品やリミックスワークを収録した"Stuido"ですが、アルバムリリースの無いCosmosやThe Modwheel名義での曲が収録されているので、大変嬉しい内容ですね。しかしここでの彼の仕事を聴く限りだと既にアンビエントには心あらずと言った感じで、アッパーでキャッチーなハウスが最近の彼の作風なんでしょうかね。内向的だったGCから比べると全く正反対な外向的かつオプティミスティックな音は少々戸惑いも感じますが、美しいシンセの使い方などは昔と変わらず今も冴えています。

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| TECHNO5 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Globus Mix Vol.4 The Button Down Mind Of Daniel Bell (Tresor:Tresor142CD)
Globus Mix Vol.4 The Button Down Mind Of Daniel Bell
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良いお仕事しますね、DBXことDaniel Bellさんは。デトロイトにおけるJeff Millsと並ぶミニマリスト・Daniel Bellですが、渋めの曲が多いので前者に比べると少々マニアックな存在だと思います。でもTresorからリリースされていたこのMIXCDは本気(と書いてマジ)で素晴らしく、廃盤となっていたのがやっとこ再発されました。2000年作なんだけどRicardo Villalobos、Herbert、Thomas Brinkmann、Farbenなどの現在も主流になっているクリックハウスとかミニマルハウスの類の曲を既に多用していて、先見性があったんだなーとそのセンスに驚かされます。コチコチとしたクリック系を回すにしても、スカスカのミニマルハウスを回すにしても、冷ややかなファンクが存在していて切れがあるよね。一聴して味気ない地味な音ばかりだと思うのは間違いで、リズムトラックを聴いて分かる通りファンクなハウス以外の何物でもないと思います(所謂アッパーなファンキーハウスとは違うぞ)。後半には沈み込みように微妙にメランコリーで淡いディープハウスに突入し、何故か夜のムードが出て来たりもします。盛り上げるだけが上手いDJじゃなくて、しみじみと聴かせるプレイもまた一流なのですぞ。職人とか仙人とかそんな言葉が相応しいDaniel BellのMIXCDでした。

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| HOUSE2 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |