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Folamour - Ordinary Drugs (FHUO Records:FHUOLP001)
Folamour - Ordinary Drugs
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先日、リヨンに設立されたMoonrise Hill Materialの音源を紹介したので、レーベルの設立者の一人であるBruno BoumendilことFolamourを紹介する。作曲家としては2015年にデビューしたフランスの新世代を代表する一人であり、ベースやギターにドラムやパーカッションといった楽器の経験も積んだマルチプレイヤーが生み出す音楽は、クラシックなハウスを軸にしながらジャズやファンクにソウルやディスコといった要素も咀嚼した幅の広さなり深さがあり、大御所ハウス・レーベルのClassicからダウンテンポやアンビエントまで展開するFauxpas Musikに近年評価の高いクロスオーバーな音楽性を披露するChurchなど多様なレーベルからのリリースがある事からも、豊かな音楽性を持っているアーティストである事を感じ取れる筈だ。この目下最新アルバム(とは言いながらも2019年2月のリリースだが)も言うまでもなくハウスをフォーマットにしつつそこの様々な要素を融合させ、アルバムという形の中で豊かな表現力を発揮した作品は実に素晴らしい。雨音や雑踏の歩く音など環境音を用いて日常の生活感を表したような"Intro"でストーリーを開始させるような幕開けに続き、ヒスノイズ混じりでアブストラクトながらも美しいシンセパッドがアンビエントを匂わせつつWayne Snowによる囁きのような甘い歌もあって情緒的に展開する"Underwater Memories"まではゆったりとした流れだが、3曲目の"I Don't Sleep At Night But I Wake Up At 6AM"でドタドタと生音強めでジャジーなグルーヴと艶めかしいトランペットやピアノが妖艶に彩っていくビートダウン風なハウスでようやくダンスモードへと入っていく。"Don't Make Me Leave You Again, Girl"も同じ様にざっくり生々しいドラムのリズムと管楽器やベースの湿っぽく温かい有機的な響きを前面に出して、ややディスコ寄りの作風は単なるDJツールより血が通っているようにライブ感が活きている。しかしただダンスさせる事を目的としたアルバムでないのは明白で、例えばElbiの色っぽく誘うような歌をフィーチャーしてジャズやソウルへと寄り添った"After Winter Must Come Spring"や、流麗なストリングスに合わせてインプロビゼーション的に躍動するジャズ・ドラムが生き生きとリズムを刻む"Parfums D'Aurore"など、アッパーな勢いや圧力に頼らずに魅力的なメロウネスやリズムによってしっかりと聞かせる音楽が前提なのだ。アルバムの最後は"Theme For Marie Marvingt"、眩しい位にゴージャスなシンセ使いはシンセ・ファンクか、しなやかで複雑なジャズのリズムに有機的なディスコの感覚もあり、Folamourらしいジャンルを横断した曲で幕を閉じるのは印象的だ。イントロから始まり多様なジャンルを盛り込み、前述の終わり方まで含めてアルバムはFolamourの音楽のルーツを感じさせる旅のようで、ソウルフルな新世代のハウス名作だ。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Saint Paul - Escape From Dimension EP (Moonrise Hill Material:MHM011)
Saint Paul - Escape From Dimension EP
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2015年にフランスはリヨンに設立されたMoonrise Hill Materialは、今や人気アーティストとなったFolamourを始めとして複数のアーティストによって立ち上げられたハウス系新興レーベルだが、その運営の一人がSaint Paulだ。Paul自身は2017年に同レーベルからアーティストデビューし、ここ3年程精力的に作品をリリースしフランスの新興勢力として名を挙げているが、本作は2019年の中頃にリリースされたEPだ。レーベルインフォではファンクやジャズ、ソウルにヒップホップ、そしてハウスミュージックを混合して、Paulの多様な音楽に影響を受けた結果が反映されているとの事だが、実際に5曲それぞれに異なるジャンルの要素が込められており、それらが小手先にならずに自分にしっかりと馴染ませた感がある点は評価すべきだろう。"I Really Wanna Get To You"はファンキーに弾けるベースとディスコ・サンプリング的な上モノを用いつつ、優美でソウルフルな歌も加わって光が溢れ出すような煌めくディスコ・ハウスで陽気な雰囲気に盛り上がらずにはいられない。"Funky Cruisin'"は透明感のある薄いシンセコードに流麗な笛の旋律が被さり情緒豊かに展開するが、下部では生音強めでジャジーなリズムがしなやかに走り、EPの中では特にエレガンスな一曲。"Body & Soul"も同様に緩やかに揺れるジャジー・グルーヴを刻みつつ、熱き感情を吐露する歌と耽美で繊細なエレピやストリングスが湿っぽく装飾し、ソウル×ジャズ×ハウスで色っぽささえもある。そして海鳥の鳴き声や波の引いては寄せる音から始まる"Pecheur de la Lagune"はそこから澄んだ上モノの爽快な音や軽快で心地好い4つ打ちによる90年代風というか古典的なハウスを聞かせ、最後はぐっとテンポを落としてヒップ・ホップなねっとりしたリズムを刻み、華麗なエレピや笛のサンプリングによって甘ささえも感じさせるメロウな"Smooth Wit Da Ruffness"で閉幕。これだけの説明だと何だかとっ散らかった印象を受けてしまうかもしれないが、実際に聞いてみると何ら違和感はなく味わいのあるメロウな世界観で自然と統一されており、リスニングに耐えうる楽曲性は今後アルバムという形で聞いてみたくなる。



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| HOUSE14 | 21:00 | comments(0) | - | |
Folamour - Re-Interpretations #1 (Classic Music Company:CMC276)
Folamour - Re-Interpretations #1
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フランスはリヨンから台頭する新世代のBruno BoumendilことFolamour、ジャズやソウル・ミュージックを根底に持つ生々しいディープ・ハウスは、例えばClassic Music CompanyやChurchといったレーベルからも作品をリリースしたのも納得で、ハウス・ミュージック好きであれば当然注視すべき存在だ。本作は2017年にリリースされたアルバム『Umami』収録曲をリミックスしたEPで、これがThatmanmonkzやByron The AquariusにAustin Atoと音楽的にはファンキーなディスコやジャジーなハウスといった点で共鳴するアーティストが参加しているのだから、相性も悪いわけがなくファンが期待するであろう内容となっている。"Y'all Right (thatmanmonkz 8 Minutes Of Funk Remix)"はヒップ・ホップ風のダウンビートだった原曲に比べると、よりバウンシーなハウス・グルーヴを活かして小気味良いビート感を刻み、ブルージーな木管楽器の音色や優美なシンセの音色によってソウルフルで温かみのあるハウス色へと塗り替えて、躍動感を打ち出したリミックスになっている。"Look At Me Or I'll Steal Your Eyes (Byron The Aquarius Remix)"はキーボーディストであるByron The Aquariusらしさが如実に発揮されており、ジャジーで耽美なエレピの使い方とムーディーで叙情性のあるコード展開によってしっとりと艶めかしいジャジー・ハウスに仕立てており、フラットで心地好いハウスのグルーヴを活かしながら綺麗な展開によってエモーショナル性が抜群だ。パーティーのピークタイム中に盛り上がるリミックスならば"Ivoire (Austin Ato Remix)"が一番だろうか、毒々しく攻撃的なベースラインと太いキックの厳ついビート感、そして煮え滾るような熱さを含むサックスのメロディーに先導されるフィルター・ハウス風のこのリミックスは、反復性も強調され特にDJ仕様な面が強い。どれもそれぞれのアーティストが反映された素晴らしいリミックスなのだが、アナログ盤には収録されたSession Victimのリミックスが、何故か配信盤には収録されていないのが惜しい。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Seb Wildblood - Grab The Wheel (All My Thoughts:AMT009)
Seb Wildblood - Grab The Wheel
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日本からはAquarium aka 外神田deepspace、または新興勢力のTom VRやFolamourらがカタログに名を連ねるそのレーベルが、Churchとその傘下のAll My Thoughts、そしてCoastal Hazeで、それらを纏めて主宰しているのが南ロンドン出身のSeb Wildbloodだ。異なる複数のレーベル運営を軌道に乗せており特にモダンなハウスへの審美眼は確かなものだが、Wildblood本人もアーティストとして積極的に制作活動を行っており、郷愁を帯びて懐かさを誘うディープ・ハウスの作風は現代のバレアリックのシーンとリンクするような親和性があり、作曲家としても目が離せない存在だ。さて、本作は過去のやや内向的で落ち着きのあった作風に比べると、より躍動感あるリズム感やフレッシュな活力に溢れていて、テクノやエレクトロに接近した作風さえも見受けられる。"Leave It Open"は開始こそ透明感のある幻想的なシンセにバレアリック感があるものの、直ぐに細くも切れ味あるエレクトロ調なビートが快活にリズムを刻みだす。そこにキラキラとしたシンセのフレーズや叙情的なシンセストリングスも加わる事で大らかなバレアリックの雰囲気を保っているが、小刻みにステップを踏むようなリズム感は間違いなくダンスフロア向けだ。"Bad Space Habits"は更に太いキックを用いてシャッフルする大胆なグルーヴが印象的だが、ただアッパーなだけではなくそこにエモーショナルなシンセやトリッピーな効果音や爽快なボイス・サンプルも加える事で多幸感のある雰囲気を保っており、大空を飛翔するように勢い付く。"Grab The Wheel"はオールド・スクールな懐かしい響きのハウス・グルーヴで比較的過去の作品に近い路線だが90年代レイブなブレイク・ビーツ調でもあり、浮遊感のある複数のシンセが豊かな色彩感覚を生んで清涼な感覚に富んだダンス・トラックだ。ラストの"Landing"も繊細で細いエレクトロなリズムを用いているが、それと共に最も過去の作風寄りな内向的なアンビエント感覚もある上モノが切なく、しんみりとノスタルジーを誘発しながらEPを締め括る。本作は明らかに過去の作風よりもダイナミックで強いエネルギーも伴う事でよりフロアに接近する事になったが、勿論バレアリック性やエモーショナル性という点も全く失われておらず、アーティスト性を損なう事なく進化が感じられる。



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| HOUSE13 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |