Four Walls - Observe The Heavens EP (Eat More House:EMH002)
Four Walls - Observe The Heavens EP

ディープ・ハウスのファンであればFour Wallsを名乗るMihail Shvaikovskiについては、当然記憶の片隅程度にはその名を知っているだろう。ベラルーシ出身、1987年生まれのこのクラブ・ミュージックの業界では比較的若手のアーティストは、今までにもTraxx UndergroundやKolour LTDと言ったレーベルから、ジャジーでクラシカルかつソウルフルで黒いハウスをリリースして早速注目を集めている。特にKolour LTDからはFunkyjawsとの共作で非常に高品質なディープ・ハウスを送り出しているが、この新作はFour Walls単独によるものだ。ドイツの新興レーベルであるEat More Houseのカタログ2番と言う事もあり、レーベルの今後の方向性も占うような作品としても勝手に見做しているが、もしそうだとすればレーベルの将来を期待したくもなる良作である事を断言する。以前の曲が比較的洗練され優雅な印象もあったものの、新作に於ける"Constellations"はマイナー調のメロディーとざらついた音の質感に臨場感のあるパーカッションが、幾分かラフさを強調したディープ・ハウスの印象を残している。層になって重なっていくようなメロディーの酩酊感ある心地良さはFour Wallsらしく、DJツールとしてだけではなくエモーショナルな音楽性を活かしている点に変わりはない。よりFour Wallsに期待しているものが表現されているのは"Across The Ocean"だろうか、爽やかなパーカッション使いと空へと広がるような美しいシンセの中からファンキーなギターカッティングやフュージョン的な華麗なメロディーが飛び出してくるこの曲は、開放感と爽快感のあるフュージョン・ハウスでとてもポジティブに響く。またアシッドなベースラインが特徴的ながらも耽美なピアノのコード展開により切なさを打ち出した"Techride"は、スムースでグルーヴ感と洗練された世界観がクラシカルなディープ・ハウスへと繋がっている。奇を衒わずにオーセンティックな性質さえ伴うFour Wallsのハウスは、流行に左右されない普遍的な魅力に溢れているのだ。



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| HOUSE11 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Four Walls & Funkyjaws - One Night In Grodno (Kolour LTD:KLRLTD015)
Four Walls & Funkyjaws - One Night In Grodno

確実に勢力を盛り返しつつあるハウスも現在の中心地がベルリンである事に異論は無いが、アメリカに於いても一時期よりはハウス熱を戻ってきているようには感じられ、その一旦にはデトロイトからの新興勢力であるKolour Recordingsがある。本作はそのレーベルの限定ラインであるKolour LTDからの新作で、ベラルーシのMihail ShvaikovskiことFour Wallsと同郷のSergey AbramovことFunkyjawsの若手二人の共作となっている。二人ともまだ20代前半であり知名度がまだまだなのは当然だが、本作に於ける豊かな情感が広がる円熟味あるハウスは今後を期待させるには十分過ぎる程だ。エレガントなエレピのコードが下地になりつつ、その上を官能的で艶のあるサックスがアドリブ的に舞う"Jazzy Thing"、同じく気品のあるサックスの演奏と共に幾分かパーカッシヴな4つ打ちが躍動的な"His Name Is Eddie"、どちらも新鮮味には欠けるもののデトロイトの感情的な面も含みながら都会的な洗練された空気を纏っていて、現時点で既にベテラン的な貫禄を漂わせている。裏面にはソウルフルな歌を用いて郷愁が染み渡る黄昏時のハウス"Love Train"や、優雅な旋律を奏でるエレピに軽快なグルーヴ感が爽やかな風を誘い込むジャジー・ハウス"From Us"と、こちらも胸を締め付けるような切なさが堪らない。ジャズにファンクやディスコなど黒人音楽の要素が多くありながら、汗臭くなり過ぎずにさらっと聞かせるようなバランス感覚が今っぽくもあり、リスニングとしても耳を虜にするだろう。



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| HOUSE9 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trax Re-Edited : The Original Chicago House Label Reborn (Harmless:HURTCD098)
Trax Re-Edited The Original Chicago House Label Reborn
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シカゴハウスの歴史において重要な位置付けである二つのレーベル、一つはDJ International、そしてもう一つがTrax。なんでも2010年はTraxの創立25周年だったそうで、Harmless RecordsとDJhistory.comがチャット上でのその為に何か記録を残したいと言う話題が発展し、この度このTrax Re-Editedコンピレーションへと結実しました。Trax Recordsに関して言えばシカゴハウスの基礎となる音を形成したレーベルでもあり、アシッドハウス拡大に貢献したレーベルでもあり、そして音楽で一儲けしたいと淡い夢を抱いたアーティストが集結したレーベルでもあります。才能や理論に後押しされた音楽性ではなく、衝動や欲望を優先して作られたある意味一発屋みたいなアーティストも多かった。がそれでもそこにはハウスの初期衝動と可能性があったのでしょう。そんな偉大なるレーベルの音源をリエディットするのだからきっと大胆な事は出来なかったのであろうか、結論から言えばまあ予想通りでオリジナルの良さを越えられない平凡なリエディット集になっています。オリジナルの雰囲気はそのままに曲尺を伸ばしたり、ミニマルな展開でDJユースにしたりと使い勝手は良くなっているものの、25周年記念としての意味合いは正直余り無いかなと。オリジナルから遠からず的なトラックが多いので、入門者向けにシカゴハウスの歴史の道標としては意味合いがあると思います。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jatoma - Jatoma (Kompakt:KOMPAKT CD86)
Jatoma - Jatoma
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ドイツテクノ帝国の総本部・KompaktがThe Field、Wallsに続いて送り出す新星は、デンマークの3人組ユニットであるJatoma。なんでも平均20歳弱と言う若さだそうですが、それ以外の情報が未知な謎のユニット。The Field、Wallsらと共通するのはクラブサウンドにロックらしい演奏やノリを取り入れたと言う事で、その点では最早新鮮味は感じられないけれども、Kompaktらしいキュートでポップなサウンドやエレクトロニカ的な不思議な電子音、シューゲイザーの淡い世界など色々な要素を含んでおりただのダンスミュージックじゃあありません。彼らはAnimal CollectiveやFour Tet、James Holden、Herbertらの大ファンと公言している通り、単純な4つ内のダンスミュージックだけを披露するだけでもなく、音をこねくり回し遊んでごちゃごちゃとごった煮にしたファンタジーとユーモアの広がる童心の世界を創り上げておりました。しかしまあ浮き沈みの激しいテクノシーンの中で10年以上も繁栄しているKompakt、そんなレーベルのお眼鏡にかなうのも納得。

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| TECHNO8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trax Records The 20th Anniversary Edition Mixed By Maurice Joshua & Paul Johnson (Trax Records:CTXCD5001)
Trax Records The 20th Anniversary Edition Mixed By Maurice Joshua & Paul Johnson
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取り合えず本日で一旦シカゴハウス特集は終わり。最後はシカゴハウスにおいて最も重要な二つのレーベルの内の一つ・Trax Recordsについて。自分は勿論Trax Recordsが設立された当時(84〜85年?)はまだお子ちゃまな訳で当時の状況に関しては詳しく知らないのですが、Larry Shermanによるレーベル運営に関しては相当酷いもんだったらしいです。レコードの売り上げに対しての対価を払わないだとか(Larry Heardはその事のうんざりして自分のレーベルを立ち上げた)、最も有名な酷いエピソードはレコードプレスには材料費がかかるので、売れ残ったレコードを買い集めてそれを再プレスし販売していた(だからTrax Recordsのレコードの音は悪いそうです)とか、とにかく無茶しまくり。それにやたらめったら何でもかんでもリリースしていたから、音楽の質にもばらつきがあって決して優良なレーベルであるかと言うとそうでもないんです。それでもAdonis、Phuture、Joey Beltram、Larry Heard、Marshall Jefferson、Vincent Lawrence、Sleezy D、Frankie Knuckles、Armando、Farley Jackmaster Funkを含め多くの素晴らしいアーティスト達がここを経由して行った事を考えると、やはりシカゴハウスだけに限らずハウスと言う音楽においてとても重要な存在であった事は否定出来ません。

さて前置きはそれ位にしてそんなTrax Recordsの20周年記念盤が本作。1、2枚目はMaurice JoshuaとPaul JohnsonがTrax音源を使用しミックスを施していて、3枚目はアンミックスのコンピレーションとなっております。チープでファンキーなシカゴハウスや毒々しいアシッドハウス、そしてディスコな歌物までTraxの魅力が満載で、80年代のハウスの流れを知るには十分過ぎる内容となっております。音楽としての完成度は決して高い訳じゃないから聴く者を選ぶ感じなんだけど、ハウスについて掘り下げようと思うなら決して避けては通れないですね。

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| HOUSE4 | 21:15 | comments(6) | trackbacks(1) | |