LSD - Second Process (LSD:LSD 001)
LSD - Second Process
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何ともいかがわしいユニット名はクラブシーンに蔓延る危うさを匂わせるが、実はLuke Slater(Planetary Assault Systems)とSteve BicknellにDavid Sumner(Function)というハードテクノやミニマルにおける重鎮が手を組んだスペシャルプロジェクトで、3人の名前の頭文字がユニット名となっている。Planetary Assault Systems名義では骨太でファンキーかつハードなテクノを展開してきたSlater、UKにおけるミニマル・テクノの先駆者であるBicknell、そしてFunction名義でディープな音響も活かしたテクノで魅了するSumnerと、それぞれがテクノというジャンルにおいて自分のポジションを確立したアーティストである。そんな彼等によって2016年にベルリンのBerghainにおけるライブからユニットは姿を現し、そして2017年にはOstgut Tonから初の作品である『Process』をリリースしていた。その後もヨーロッパの大きなフェスやクラブでライブを披露し経験を積んだ上でリリースされた本作は、アナログでは2枚組となる十分なボリュームでこれでもかとフロアでの機能性に特化したミニマルかつハードなテクノが繰り出されている。基本的には良い意味では作風は統一されているので金太郎飴的な印象にはなるのだが、ヒプノティックな上モノのループと肉体を鞭打つ刺激的なキックによる疾走感に金属的な鳴りの音響を被せた"Process 4"だけ聞いても、このユニットのダンスとしてのグルーヴ感や麻薬のようなサイケデリックな覚醒感を重視した音楽性を追求しているのは明白だろう。"Process 5"ではより鈍く唸るような低音の強いキックやベースラインのファンキーな空気はBicknellの個性を感じさせるし、"Process 6"のFunctionらしいヒプノティックなループやSlaterらしい骨太なリズムパートを打ち出して勢い良く疾走するハードテクノは全盛期のJeff Millsを思わせる程だ。"Process 7"の電子音ループは正にMillsらしいというかスペーシーな浮遊感があり、その下では地面をえぐるような怒涛のキックが大地を揺らして、その対比の面白さと共に爽快な高揚感に包まれる。得てして音楽におけるこういった特別なプロジェクトは、各々の大きな知名度とは対照的に各々の個性が上手く活かされず凡作となる事も少なくはないが、このプロジェクトに限って言えば期待を裏切る事は全くなく、それどころか甘ったるさ皆無のハードなテクノが痛快でさえある。近年はハードな音楽を聞く機会が減った筆者にとっても、この刺激的なテクノが眠ったテクノソウルの目を覚まさせる。



Check Luke Slater, Steve Bicknell & Function
| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2018/1/26 Relay Day 1 @ Saloon
Yellow、Elevenと時代のクラブに身を置きつつ、その後はSaloon店長へと就任して早4年半。ダンスフロアの愛すべきキャラクター、加茂誉満が最後に手掛けるパーティーが今回の「Relay」だ。今ではUnitがクラブ・パーティーを殆ど開催しなくなった反面、その下にある正にアンダーグラウンドなフロアのSaloonで平日から息巻いてパーティーを開催していたが遂に今回のパーティーを以てSaloonを退職する事になり、その総決算が今回の「Relay」なのだ。タイトル通りにリレー=中継する事、つまりは音楽で人と人の繋がりを生む事を示唆しているのだろうが、そんな加茂氏の交流の広さがあるからこそ最後のパーティーの出演者も素晴らしい面子が揃っている。初日はArtemis (P-Yan / Shake M / Yasu)、CMT、CYK (Nari / Kotsu)、Kabuto、Keigo Koda、Ryosuke、Taro、Yoshinori Hayashi、You Forgotが参戦だ。
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| EVENT REPORT6 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/5/27 THE OATH -every 4th friday- @ Oath
2016年、Oathの奇数月第四金曜日はDazzle Drumsが担当を任され、彼等が好みのDJを呼び寄せながらパーティーを開催している。Dazzle Drumsにとってのホームパーティーと言えるBlock Partyが比較的クラシカルなハウス/ディスコを打ち出したものであるのに対し、The Oathでは場所柄の混沌としたイメージに寄り添うようにより制約なき幅広い音楽性を以って、アーティスト性を刷新するような場になっているのは特筆すべきだろう。今回はシカゴ・ハウス狂いなRemi、東北の若手DJであるBOWを招いての3回目の開催だ。
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| EVENT REPORT6 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Regis - Manbait (Blackest Ever Black:BLACKESTCD013)
Regis - Manbait
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UKハードミニマルの立役者の一人であるKarl O'ConnorことRegisは、SurgeonとのBritish Murder BoysやFunctionらとのユニットであるSandwell Districtを通じて、テクノに対しその機能性以上にポスト・パンクな精神性や音響面での探求を求めて、ハードミニマルから深化するようにダークなイメージを作り上げてきた。それと同時に2010年以降はロンドンのレーベルであるBlackest Ever Blackとの関わりが増え、多くのリミックスをレーベルに捧げつつ自身のオリジナル作品も手掛けていたが、それらの仕事を纏めたのが本作品だ。前述の作品に加え変名であるCUB名義、また未発表だったリミックスバージョンまで収録している事から、2010年以降のRegisの動向を知るにはうってつけの内容だろう。ここで聴ける音楽性はかつて圧倒的な音の密度と抑圧的な勢いで押し流すハードミニマルではなく、そこから音を引き算的に削ぎ落としながら、リズムの多様性と深い音響を加えた上にニヒリズムな精神性を展開したものだ。目玉はNYのポスト・パンク・バンドであるIke Yardが1982年にリリースした作品を、Regisが現代へと蘇らせた"Loss (Regis Version)"で、面白い事に原曲以上に電子化は進みながらもその鋭利な切れ味さえ感じさせるパンキッシュなムードはより増している。ここでRegisが30年前の曲をリミックスしたのも、彼がパンクの精神性や初期のエレクトロニック・ミュージックに対しシンパシーを持っていたからこそで、それこそがRegisが単なるハードミニマルのアーティストとは一線を画す所以だろう。また原曲はやかましくノイジーだったのをRegisが再構築した"Church Of All Images (Regis Version)"は、均されたマシンビートで引き締めながら鋭利な鎌が降り注ぐような残忍さを増した狂気はびこる音響を加え、人気のない荒廃した工場地帯を思わせるイメージを湧かす。音を削ぎ落とす作業は他にも見受けられ、リミックスというよりはリメイクだろうか、"He Was Human And Belonged With Humans (Regis Version)"に至っては元の曲が思い浮かばない程に無駄な音は取っ払われ、静寂の中に荘厳ながらも不穏なアンビエンスを生み出している。またリズムに対し現在のダブ・ステップの影響を持ち込んだ"Manbait (Regis Version)"では、非4つ打ちの縦ノリではなく横揺れのグルーヴでしなやかな揺らぎをもたらし、そこに破壊的な電子ノイズを絡めながら恍惚と不安が交錯するダンス・ミュージックを提案している。全体として勿論フロアに対応するダンス・ミュージックとしての要素もあるのだが、しかし過去の直線的な爆発力ではなく音響面の効果で精神に訴えかける作用が強くなり、その意味では静かな真夜中にクラブではなく家の中で集中して音に耳を傾けたくなる音楽だ。錆び付いた退廃美に磨きをかけたインダストリアル・サウンドは円熟の極みへと達しているが、欲を言えばリミックスだけでなくもっと新曲を制作してくれたらと思う。



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| TECHNO12 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Herbert - Part Eight (Accidental:AC82)
Herbert - Part Eight
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先日Herbert名義では9年ぶりとなるアルバム『The Shakes』(過去レビュー)をリリースしたMatthew Herbertの活動の中でも、特に生粋のクラブ・ミュージックのファンから高い評価を得ていたのは『Part』シリーズだろう。初期『Part』シリーズは『100 Lbs』(過去レビュー)として纏められ、その後のミニマル・ハウスの青写真としての存在と今尚高い機能性を保つなどHerbertの才能が爆発したシリーズであったが、2000年代に入ってからのHerbertは正直迷走していた感は拭えない。しかし2014年に再度『Part』シリーズを復活させたのは彼の中にも何かしらの回帰の思いがあるのだろうか、兎にも角にも『The Shakes』に納得出来なかったファンこそ、この『Part』シリーズは聴くべきであろう。でこれは2014年から続くPart6、7に続くPart 8であり、今の所これが最終作品のようだ。勿論この一連のシリーズが初期と全く同様なミニマル・ハウスであるかと言えばそうではないが、"The Wrong Place"に於ける普通ではないポップな感覚はHerbertの音楽に於けるユーモアと実験精神の表れであり、不思議なパーカッションがふざけたように鳴っている中にムーディーな女性の歌が色気を添加していくボーカル・ハウスは、ダンスとリスニングの中庸なバランス上にある。"Remember Ken"に至っては優美なストリングスやキーボードの音色に比重を置きながらアンニュイなボーカルを起用して、ジャズ/ハウスのムードを持ち込んだかの傑作である『Bodily Functions』に収録されていてもおかしくない程に、甘くエレガントな曲として素晴らしい出来栄えだ。裏面にはHerbertらしい遊び心溢れる2曲が収録されており、カチカチとしてパーカッションやシンセの動きが忙しなく続きおかしなファンキーさも感じられる"Ticket"や、心地良いノイズにも思われるパーカッションと対照的にドリーミーなメロディーにうっとりと陶酔させられる"Her Face"と、決して一筋縄ではいかない奇抜な音楽性が光っている。正直『The Shakes』の内容が期待程ではなかったので、この『Part』シリーズをアルバム化した方がよりHerbertの独創性を認知させられる事が出来たのではという思いだ。なのでHerbertのファンならばターンテーブルを買ってでも、『Part』シリーズは聴くべきであろう。



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| TECHNO11 | 06:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Herbert - The Shakes (Accidental:AC84CD)
Herbert - The Shakes
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実験精神とポップな音楽性にフロアでの機能性と様々な要素を盛り込んで、テクノ/ハウスのシーンにおいて多大なる影響を残すMatthew Herbert。その音楽性の広さは名義の多さへと繋がっており、名義毎に何が何だか…というような状況でもあるが、兎にも角にもHerbert名義では『Scale』(過去レビュー)以来9年ぶりとなるアルバムがリリースされた。その間にもマーラー交響曲第10番の再構築や『ONE』シリーズ三部作を手がけ、2014年にはHerbert初期活動におけるミニマル・ハウスを確立させた『Part』シリーズを復活させるなど活動自体は続いていたものの、本作には特筆すべき点がある。それはジャズ/ハウスのムードやポップな感覚、そして全編ボーカルを導入と初期音楽性への回帰であり、つまり彼のプロジェクトの中核でもあるHerbert名義の作品の系譜に正に属している事だ。但し、『Bodily Functions』(過去レビュー)を引き合いに出すような宣伝が見受けられるが、流石に歴史的傑作として今尚嶄然と輝く『Bodily Functions』と比べるには物足りなさが残る。トランペットやサックスにギターやキーボード、そしてボーカリストを起用し、そして従前からある自身の奇抜なサンプリング・ソースを導入した製作法ではあり、奇抜なリズムや鳴りの構成と共にとっつきやすいポップな感触と優美な佇まいには確かにHerbertらしく、コンセプト重視であった近年の作品よりは確かに取っ付き易い親近感に溢れている。トリッピーでカラフルに溢れ出す音にはHerbertらしい遊び心が感じられ、過去のビッグバンド的なゴージャス感も加わって非常に陽気なライブ感溢れる音楽へと踏み込んでいる。だからこそ、ポップ・ミュージックに行き過ぎた本作からは所謂ダンスフロアの感覚が希薄化し、『Bodily Functions』に存在するアンニュイなムードや繊細なバランス感も当然存在しないのだ。逆にアルバムの後半に進むとビート感は後退し、仄かに染み入る甘い陶酔感とアンニュイなムードが強くなり、フロアからは乖離した結果が上手くボーカルトラックとして馴染んでいるように思う。何だかんだ言いつつもこのポップ・ミュージックの普段着的な馴染みやすさは悪くもなく、しかしHerbertの音楽史の中で記憶に残るような作品であるかと言うとそうでもなく…。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Korrupt Data - Korrupt Data (Planet E:PE65366-1)
Korrupt Data - Korrupt Data
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2014年の6月に突如としてPlanet Eからデビューした正体不明のアーティスト・Korrupt Data。初期デトロイト・テクノのような近未来的なテクノ/エレクトロの感性と、「星の向こうから来た探検者」と自称するサイエンス・フィクションに基づいたコンセプトを伴うその音楽は、そのミステリアスなアーティスト性も相まって一部から注目を集めている。2枚のEPをリリースした後に続いて同年10月にリリースしたのがそのアーティス名を冠した本アルバムで、ここでも当然の如く初期デトロイト・テクノの感性が息衝いている。特に肥大化しメジャー性も獲得したPlanet Eは主宰するCarl Craigの音楽性の変化もあってか、近年はレーベル自体も大箱で受けるようなモダンなテクノ化が進んでいたように感じられるが、本作はそれと真逆の、例えばKraftwerkにCybotron、そしてDrexciyaが開拓してきたような初期衝動を持ったテクノ/エレクトロを再度掘り起こしている。先行EPに収録されていた"Cryogene"からしてブリブリとしたベースラインにぼんやりと浮かぶような物哀しいシンセからは、Carl Craigの最初期の作品と同じ懐かしさが伝わってくる。また"Density Function"ではKraftwerkのヒップ・ホップ的なファンクなリズムとデトロイト特有の幻想的な上モノを組み合わせ、まるでブレード・ランナーの世界観を喚起させるSFの世界を描き出している。Drexciyaの影響が強く現れているのは"Photons, Protons, Microns, Mutrons"や"Gods & Myths"だろうか、鞭打つような冷徹なビートとロボット・ボイスを多用し、正にアナログ感のあるデトロイトの強靭なエレクトロを披露している。"Visions That Lurk"ではエレクトロ・ビートを刻みながらも大仰なシンセのリフレインや不思議な効果音により、コズミック・テクノと呼ぶべき宇宙遊泳するかのようなスケール感の大きさもある。アルバムの最後には柔らかく浮遊するシンセのメロディーにうっとりとするインテリジェンス・テクノのような"For That Way Lies Oblivion"や"Drifting Vessels"が配置されており、これを聴く限りではどう考えてもCarl Craigの作品と思わずにはいられないだろう。一体誰によるプロジェクトなのか、いやきっとPlanet Eに関連する著名なアーティストなのだろうとは思うが、それが誰だとしても本作に於けるヒップ・ホップやファンクからの影響を残しつつデトロイト・テクノのSF性を打ち出した音楽性は、生粋のデトロイト・テクノのファンが待ち望んでいたものだろう。



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| TECHNO11 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deetron - Fabric 76 (Fabric Records:fabric151)
Deetron - Fabric 76
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これでもにもメジャーからアンダーグラウンドまで数多のDJを起用し、人気を博しているMIXCDシリーズ「Fabric」の76作目は、スイスを代表するテクノアーティストの一人であるDeetron。00年代のハードミニマル全盛の時代に芽を出し、そのハードなスタイルにデトロイト・テクノにも通じるメロディアスな要素を加えた作風は、その世代の中でも個性が際立っていた。そしてハードミニマルが衰退する中で多くのアーティストが作風を変え、Deetronもよりディープかつ歌モノを手掛ける事で、時代に即しながら活動を続けている。本音でいうと当初はそのスタイルにも疑問はあったのだが、このMIXCDを聴く事でそんな変化もようやく馴染んできたのではと思う内容で、デトロイト・テクノ/シカゴ・ハウスのクラシックから現在形のトラック、果てはダブ・ステップやロックまで持ち込んでDeetronの私的な好みも匂わせ、ハードなスタイルから感情の起伏を感じさせるスタイルへの転身が結実している。出だしでいきなりジャジーな"Picadillo (Carl Craig's Breakdown Version)"を用意し、そこからスムースに透明感のあるメローなテック・ハウスへ移行、そこからファンキーなシカゴ・ハウスへと即座に展開が広がっていく。RedshapeやRippertonらのモダンなテック・ハウスもミックスし、中盤ではクラシックであるGalaxy 2 Galaxyの"Timeline"をさらりと落とし込むが、大ネタを用いながらも大袈裟になる事はなく揺蕩うようなリラックスした流れは実に大人びている。前半は4つ打ちを中心としたテクノ/ハウスが中心だったのに対し、中盤以降はパーソナルな音楽性を表現するようにバラエティー豊かに変則的に刻むリズムや癖のあるメロディーを伴うブレイク・ビーツやダブ・ステップも織り込み、Deetronのメロウで柔軟な音楽性が素直に打ち出されている。しまいには物悲しくもサイケデリックなAtoms For Peaceの"Before Your Very Eyes"も飛び出すが、そこにディープかつミニマルな"Falling The Same Way (Dommune Version)"が繋がる瞬間には、はっと息さえ飲むだろう。そしてラスト3曲ではパーティーの興奮が終息するようにがくっとテンションを落とし、しみじみとした余韻を残すシネマティックな流れでミックスは終わりを迎える。結果としてここにはかつてのハードなスタイルは殆どなく、クロスオーヴァーとでもいう柔軟かつ豊潤な音楽性があり、そして何よりもエモーショナルなムードが通底している。Deetronが製作するトラックがエモーショナルな方向に傾いている事を考慮すれば、このMIXCDもその結果として自然なように感じられるだろう。




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| TECHNO11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2014/8/23 Middle of NowHere @ Air
2013年に"Gift"を立ち上げたdj masdaが、その勢いに乗って今年新たに"Middle of NowHere"というパーティーも立ち上げている。第2回目となる開催は予てからdj masdaが共演を切望していた田中フミヤがゲストで呼ばれているが、特にAirでのプレイは今までにも数度しかないという意味で、この開催は希少な夜となっている。そんな一夜のメインフロアはdj masdaと田中フミヤの二人だけが担当するだから、DJのロングセットにより真価を体験出来る点で非常に興味深い。
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| EVENT REPORT5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Koze - Amygdala Remixes (Pampa Records:PAMPA 018)
DJ Koze - Amygdala Remixes
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2013年には一際注目を集めていたようにも思われるベルリンのPampa Records。熱心に聴き込んでいるレーベルではないので断言は出来ないが、単にDJツールと言う枠組みを超えたポップな作風も見受けられる面白いレーベルだと思う。そんなレーベルによる2013年の最後にリリースされた作品が、レーベルを主宰するDJ Kozeのアルバムからのシングルカットだ。リミキサーには以前にもDJ Kozeと絡みのあったMatthew Herbertと、ベルリンのディープ・ハウス系アーティストであるEfdeminを迎えている。目玉は何と言っても"Magical Boy (Matthew Herbert Not 'Till It Stops Mix)"だろう。これがHerbertにとっては黄金時代とも言える"Bodily Functions"の頃の作品を思い起こさせるラウンジ風ハウスとなっており、Herbertのポップな作風が花開いている。原曲にはMatthew DearとDani Sicilianoの歌もフィーチャーされていたが、リミックスでは新しく再録したものへと差し替えらているようで、より歌らしくとろける甘さを強調している。トラック自体も奇妙な赴きがあった原曲よりも、よりドリーミーで牧歌的なハウスグルーヴを強調しながらも、Herbertらしい音をこねくりまわすように様々な音を緻密に配置し、童心的な遊び心と曲のツール性を両立した往年の作風が戻ってきている。Herbertにはやはりこの路線のハウスが似合っているので、再度このスタイルでアルバム制作を期待したいものだ。裏面には"La Duquesa (Efdemin Cose Cosi Mix)"が収録されているが、こちらは闇に包まれた深海を進む潜水艦のソナー音のような音響が幻惑的なディープなミニマル・ハウスへと仕上がっている。原曲よりも滑らかなハウスのグルーヴを太く強調してツール性を増しながら、しかしミステリアスなメロディーが闇の奥底に誘い込むような深みを与えていて、更には最後には日本語による電車内のアナウンスが流れる展開が空虚さを付加している。



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| HOUSE9 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2013
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。ElevenやSecoの閉鎖、関西方面ではオールナイトのパーティーは禁止となるなど、相変わらずパーティーを楽しむ人にとっては厳しい状態が続いております。その一方でOrigamiやLouverと言った新しいクラブもオープンしたり、また日本人が中心となるパーティーも増えているように思われるし、素晴らしいパーティーを作りたいと燃えているアーティストやオーガナイザーの熱い志に触れる機会があった一年でした。音楽にしても売れる量は確かに減っているものの、アナログ・レコードはその存在感を強めているし、良質なダンス・ミュージック作品も多かったと思います。で年間ベストに選んだ作品はリスニングとして耐えうる作品が中心になっているのですが、流行とかとは無縁なある意味ではベタな作品が多くなりました。結局時代に関係なく聴ける作品が自分の中で印象に残っているみたいですが、それとは別に毎週パーティーで最新のテクノやハウスを聴く事で、新しい成分を補完していた一年だったかなと。現場へ行く事で新しい音楽仲間の輪が繋がる事も多いわけで、その意味ではやはりパーティーへ足を運んで体験する事は重要な要素だったと思います。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 13:30 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Sandwell District - Fabric 69 (Fabric Records:fabric137)
Sandwell District - Fabric 69
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2010年頃からベルリンのアンダーグラウンド界隈で注目を集めていたSandwell District。FunctionことDavid SumnerとRegisことKarl O'Connorから成るこのユニットは、誠に残念ながらFabricの名物MIXCDシリーズの69作目で終焉を迎える事が空気として伝わってきている。公式リリースとしては初のMIXではありながら最終作でもあり、その観点からすると集大成と捉えるべきなのだろうか。以前にパーティーでSandwell Districtのプレイを聴いた時には煮え切らないプレイにやきもきしたものの、本作ではCDと言う媒体のおかげか選曲の繊細な妙技を感じられ、Sandwell Districtらしい鉄の鈍い輝きを放つダークな展開を終始保った重厚感のあるテクノの地平が広がっている。メディアの話では本作はソフトウェアによって入念にミックスが行われた作品との事で、パーティーらしい激しいライブ感よりはアートとしての精巧な展開がより強く表現されている。出だしの3曲からしてRegisやFunctionが制作に絡んでいる曲から始まるのはご愛嬌としても、序盤から新しい何かが萌芽するような胎動から始まり、大きな変化を作らず繋ぎ目も分からない程に滑らか展開を伴ってビートは強みを増していく。その後も杭を打ち込むような安定感のあるキックが刻む中で、荒涼とした景色が広がる灰色のモノクロームな音像を見せながら大きな山も谷も作らずに水平構造を保つ展開が続く。疾走感や重圧による強迫的な音ではなく密閉された空間から生まれる闇の不気味さが通底し、空気としてのインダストリアルやポスト・パンクのアティチュードは確かに存在しているのだ。行き過ぎたハードテクノへの反抗と言うべきか、表面的に過激な音は本作では殆ど聴かれない。しかし鳴っている音の雰囲気は朽ち果てた末の荒涼とした世界を目の前に描き出しており、単なるハードなテクノとは一線を画す事を意識してミックスをしているのが伝わってくる。オリジナル作品においても聴かせる事も重視していたSandwell Districtらしさは本作でも軸としてあり、確かに最終章として円熟味を開花させたミックスと言えよう。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Regis - Complete Works 1994-1996, 1997-1998, 1999-2001 (Downwards:DN RE CD 1, 2, 3)
Regis - 1994-1996
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先日CLUB MUSEUM 10th Anniversaryで凶悪なDJプレイを披露したRegis。若い人にとってはRegisとしての活動よりもFunctionと組んだSandwell District名義での活動の方が知られているだろうが、自分にとってのRegisと言えば90年代中盤から00年代前半までのRegis単体でのインダストリアルな作風こそがRegisらしさをより感じられる。今ではそれらの初期作品は廃盤となり入手は困難となっているが、ありがたい事に昨年にRegisのベスト盤が3枚に渡ってリリースされていた。こちらは94〜96年までの作品を纏めた内容だが、まだまだ音楽的な成熟は果たしていない。特に冒頭の最初期の曲は少々レイブ風なダサさも残ったハードテクノだが、しかしハンマーでぶん殴られるようなタフなビートは既に生まれている。そしてそこから徐々によりシンプルさを追求したテクノへと向かって行くが、まだまだ全体的にはのっぺりとした平坦なグルーヴのミニマル・テクノと言った趣だ。

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Regis - Complete Works 1997-1998
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次いで2枚目は97〜98年の作品を纏めているが、ここら辺からインダストリアルの性質が芽を出し始めている。それまでの音を削ぎ落としクールなテクノへと進んでいたのに対し、殆ど展開の無いツールに特化した一貫した姿勢は守りつつも荒削りで金属的なうるささが主張をし始め、暴力的かつ攻撃的なインダストリアルなテクノが生まれた瞬間であろう。テクノを聴かない人であれば気が狂うであろう嫌と言う程の展開の無いストイックなツールとして存在するミニマル・テクノは、その後のハードミニマル全盛の時代へと繋がって行くものだったのだろう。またJeff Millsの影響下にあった者が、そこから巣立ち自分の道を歩み始めた軌跡が残っている。

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Regis - Complete Works 1999-2001
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最後は99〜01年のRegisにとっての完成形とも言える時代であり、自分が最も評価するのがこの時代の作品だ。相変わらずツール至上主義に沿った展開の無いミニマルなスタイルを継続しつつ、金属が錆びたような音を敷き詰めたごっついインダストリアルを極めているが、グルーヴには強靭なうねりが生じ全体をミステリアスな空気が覆っている。終始アッパーなハードミニマル、またはインダストリアルと呼ぶべき金太郎飴的なスタイルが続くが、迷いのない強い意志を貫きRegisと言う個性を完全に確立させたと言えるだろう。先日のRegisのプレイに関して言えばこのアルバムの音楽性を表現したように聴こえたが、その点において自分には期待していた音を十分に体験する事が出来た。とにかくうるさくてファンキーでハードなテクノが聴きたい人には、このアルバムは外せない一枚となる筈だ。

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| TECHNO10 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Herbert - Bodily Functions (Special 10th Anniversary Edition) (Accidental Records:AC66CD)
Herbert - Bodily Functions (Special 10th Anniversary Edition)
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誰が何と言おうとMatthew Herbertが2001年にリリースした"Bodily Functions"は、彼の数ある作品の中でもベストである事を覆す事は出来ない。いや、それどころか21世紀に入ったばかりにして、後世に名を残すであろうエポックメイキングな作品になった。ドラムマシンや既存のプリセット音源、既存音源からのサンプリングを禁止したPCCOMと言うコンセプトを掲げて、実験的な創造と並行しながらユーモアとポップな音を両立させた奇跡的なまでのバランスの上に存在するハウスアルバムだ。本作品はそれから10年以上が経った事を記念してのリイシューとなるのだが、オリジナル盤を持っている人もこのリイシューは買って損はしない、いや購入すべき作品である事を断言する。何故ならばボーナスディスクとして当時アナログでリリースされていたリミックスが纏めて収録されており、リミキサーにはJamie LidellやPlaidにMatmosと言った奇才から、Reclooseや竹村延和に意外にもJane's AddictionのPerry Farrell、そして新録リミックスにはDJ KozeとDave Ajuまでもが参加しているのだから。どのアーティストも強い個性を発するからこそHerbertの作品をどう塗り替えていくのかと言う楽しみがあるのだが、オリジナルのポップな遊び心は残しつつもそこにモータウン・ソウルやカットアップしたようなファンク、華麗なブロークンビーツにPCと睨めっこしたIDMやエレクトロニカ、そして端正なディープ・ハウスまで見事に個性を開花させたリミックスが聴けるのだ。またオリジナルが半ばリスニング向けであったのに対し、やはりアナログEPに収録されていた事も影響があるのかリミックスは比較的フロアに寄り添った傾向であるのも興味深い。実験的でありながら肉体を揺らすグルーヴ感も添加され、クラブ・ミュージックとしてのリミックスワークを分かりやすく体験させてくれる模範的な仕事と言えるだろう。オリジナル盤にリミックス盤も付いて、お買い得と言う以外に言葉が見つからない。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Herbert - Bodily Functions Remixes (Accidental Records:AC61)
Herbert - Bodily Functions Remixes
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Matthew Herbertが2001年にリリースした大傑作である"Bodily Functions"が、12年の時を経てリイシューされるのに合わせ新たなリミックスを収録し先ずはEPがリリースされました。新録はエレクトロニック・ミュージックの奇才であるDJ Kozeとポップでユーモア溢れるテクノを手掛けるDave Ajuによる2曲で、実験的なHerbertの曲を生まれ変わらせるのに最適な人選だったと言えるでしょう。"You Saw It All (DJ Koze Mix)"はワルツ風に優雅な舞踊を思わせるギクシャクとしたリズムに作り変え、笑い声やノイズ交じりの可笑しな音響の中にオーボエや鉄琴など可愛らしい音も盛り込んで、脱力気味なダウンテンポとして再生させています。一方原曲の物憂げなイメージを追いかける"Foreign Bodies (Dave Aju Mix)"は、細かな音が入り組んだ原曲から音を削ぎ落として歌によるムードをより強調したディープなダウンテンポへと作り替えています。どちらもHerbertの小洒落た感覚と実験的な精神を受け継ぎながら、しかし決して難解さを強調するような事もなく、あくまでユーモア溢れる愛らしい作品である事が素晴らしいですね。裏面には2001年当時にリリースされていた"Back To The Start (Mr.Oizo 'Non' Mix)"も再録されていますが、こちらはMr.Oizoらしい癖のあるファンキーなエレクトロトラックで、オリジナルの繊細で耽美なメロディーを払拭した完全個性派仕様。どれも踊り疲れた朝方のフロアで良いムードで聴けそうな内容で、是非ともDJによってミックスされながら聴きたいものです。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Infiniti - The Remixes Part 2/3 (Tresor Records:Tresor. 250 B)
Infiniti - The Remixes Part 2/3

Tresorの通算250作目記念の第2弾も、デトロイトからInfinitiことJuan Atkinsを迎えてのリミックス盤。今作ではNYからベルリンへと移住したFunctionと、そしてベルリンで元々活躍しているRedshapeにリミックスを依頼と、やはりTresorらしいドイツ面子で固めた企画となっています。Sandwell Districtとしてもハードなテクノを制作しているFunctionによる"Flash Flood (Function Remix)"は、原曲のメロディアスな部分を残しつつもリズムを重く低音を太く強調し、揺ぎ無い堅固なテクノへと更新した彼らしい作風を生かした名リミックス。Tresorらしいハードな作風と共に現在のハードテクノにも通じる洗練された質感もあり、Functionの手腕が見事に発揮されています。そして仮面を被りミステリアスな活動を続けるRedshapeも、彼らしくざらついた鈍い質感のシンセとマイナー調のダークなメロディー打ち出した"Skyway (Redshape Mix)"を手掛けています。原曲が比較的スピード感のある切れ重視のテクノだったのに対し、このリミックスでは野暮ったいキックが力強くそしてゆったりとリズムを刻み、雑な音が混沌とした空気を感じさせるところが如何にもミステリアスでRedshapeらしい作風ですね。Tresorは古いだけでなく、しっかりと今のアーティストも取り込んで尚前進中です。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Octave One - Revisited : Here, There, and Beyond (430 West Records:4WCLCD1-500)
Octave One - Revisited : Here, There, and Beyond
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デトロイト・テクノ界隈にしては古参ながらも細々と定期的に制作活動とライブを行う奇異なユニット・Octave One。主軸のBurden兄弟2人と更に他の兄弟も加わり最大5人で活動する事で常に前進し続け、2011年には彼らが運営する430 Westも20周年を迎えたその記念として、お世辞抜きに豪華なアーティストを起用したリミックスシリーズをリリースしていました。やけに矢継ぎ早にシリーズ化するなと思っていたら、案の定未発表リミックスも追加しこんな風にコンピレーション化されました。Octave One自身によるリミックスからGerald Mitchell、デトロイトフォロワーとしてVince WatsonやAril Brikha、ハードテクノ方面からはFunction+RegisやCari Lekebusch、Luke Slater、そして世界のテクノゴッドであるKen Ishiiらが参加と近年稀に見る実力派ベテランが集まっており、これもOctave Oneの地道な長い活動に対する敬意があってこそだと感じられます。まあしかし逆に言うと既に大成しているベテランを起用しているだけあって、聴く前から何となくは音の予想が出来ると言う点に於いて期待を超える事は無いのですが、その分どのアーティストも外さない安定感のあるリミックスを提供しています。Aril BrikhaとVince Watsonは抒情豊かなメロディーを生かして完全に彼らの音へと作り替え、Ken Ishiiは特有の奇妙な音色がファンキーで、そしてGerald Mitchellな軽快なラテングルーヴを導入し疾走します。Cari LekebuschやLuke Slaterは暗く退廃した雰囲気の漂うDJツール向けとして、そしてAlter Egoによる"Blackwater"は極度に展開を抑え焦らしに焦らすトランス調な曲調で、各々の味は分り易く表現されていると思います。これだけ豪華なリミックスであればOctave Oneは知らないなんて人でも、またデトロイト・テクノに馴染みがなくとも十分に楽しめる事でしょう。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Scuba - DJ-KiCKS (Studio !K7:K7291CD)
Scuba - DJ-KiCKS
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UKから生まれた猛威を振るうダブステップを、半ばテクノの聖地化しているドイツのBerghainに持ち込み"Sub:Stance"と言うダブステップのレギュラーパーティーを確立させたPaul RoseことScuba。彼がドイツにダブステップを持ち込んだのか、それともドイツテクノの魅力にダブステップが引き寄せられたのか。最近ではテクノ名義のSCBだけでなくScuba名義に於いてもテクノ色の方がより前面に出るようになり、このMIXCDではベース・ミュージックとしての要素は薄く黒さを排除したベルリンサウンドを打ち出しております。勿論選曲だけ見ればダブステップも使用はされているのですが、感情的な要素は抑えて機械的な温度感を打ち出し、更にはダブステップの特有の横に揺らすグルーヴよりはテクノの直線的でスムースなグルーヴを保つ事に終始気を遣っているように思われます。特に前半の荒廃した金属音ゴリゴリな展開はどう聴いたってBerghainなわけで、Scubaの好みがテクノに傾いているのは言うまでもないでしょう。中盤以降では気を利かせたのか猥雑なダブステップやエレクトロも混ぜてしまうのは残念ですが、そこからまた薄氷の上を進むように緊張感のあるミニマルに回帰し、そしてテンポは落としながらも重く深く沈み込んでダウナーな世界に消え行くように幕を閉じます。昨年リリースした"Sub:Stance"(過去レビュー)もその時点で十分テクノ色濃厚だなとは感じておりましたが、そこから一年を経て更にメランコリーを削ぎ落としテクノの冷たくマッドな質感や重厚感を強めた本作は、テクノリスナーにこそ楽しめる内容でしょう。欲を言えばもっと攻撃的に突き抜けたら最高だったと思いますが。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Phil Parnell - Ambient Jazz Electronic - Romance & Ruse (P-vine Records:PCD-93443)
Phil Parnell - Ambient Jazz Electronic - Romance & Ruse
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Phil Parnell、ニューオリンズ出身のジャズピアニスト。そして忘れてはならないのがMatthew Herbertとの出会いが、互いのその後に音楽性に影響を与えた事。Herbertのハウス大傑作"Bodily Functions"(過去レビュー)においてピアノを弾いていたのがParnellであり、またParnellはクラブミュージックとの出会いを機にソロ作品でもハウスとジャズをブレンドした奇天烈な音楽性を開花させた。両者の邂逅はまさにミラクルと言う言葉が相応しい出来事だったのだろう。そしてParnellのソロ名義としては実に9年振りとなるアルバムは、確かな奇天烈さを残しながらも以前よりもアンニュイな、タイトル通りに受け取るのであればアンビエンスを伴うジャズエレクトロニカとなっていた。夢現なロマンスとトリッキーな様々な電子音によるアンビエンス、しかしそれは「流しておける」ものではなく対峙して「聴く」べきジャズピアニストが創り上げた電子音楽だ。元々がアルバムとして想定されていた訳ではないので、クラブミュージックへと接近したハウスから電子のドローン、現代ジャズ、奇妙なエレクトロニカまで収録しているが、それぞれの音にジャズの要素も兼ね備えた温故知新な音楽性もあり、決して聴く者の耳を放置するような気持良いだけのアンビエントミュージックとも異なっている。技巧派ジャズピアニストが可能性の拡がるエレクトロニカに取り組んだら…心地は良いのだが軽くはなく、何とも面白いアンビエントジャズが出来てしまった。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Octave One - Octave One Revisited Series 2 (430 West:4WCL002)
Octave One - Octave One Revisited Series 2

昨年はデトロイトテクノでも古参に入るバーデン兄弟のユニット・Octave One(=Random Noise Generation)の活動20周年だったそうで、その一環で過去の名作をリミックスしたシリーズが始まっております。本作はその第2弾、大傑作"I Believe"と"Daystar Rising"のリミックスを収録。"I Believe"は彼らが初めてリリースした曲でもあり、そして"Blackwater"とも並ぶ彼らの代表曲でもあります。それを今注目を集めているSandwell District(Function+Regis)がリミックスしていますが、女性の艶のあるボーカルや幻想的なシンセのフレーズはそのままに、オリジナルのローファイ感を生かして不鮮明にぼかした何処かBerghain一派の作風を思い起こさせる作風へと転換。オリジナルへのリスペクトと共に、今の時流をも意識していてナイスなリミックスです。裏面にはUnderground Resistanceからリリースされた"DayStar Rising"を、デトロイトテクノを体現するスウェーデンの才人・Aril Brikhaがリミックス。Arilの手に掛かればどんな曲でもAril色に染まってしまうのは当たり前、ここでは薄い幻想的なパッドを追加してソフトトランスとも言えるとても綺麗なテック系へと見事なリメイクを披露。理性も溶け行く恍惚にまみれて、聴き終わる頃にはトランス状態な素晴らしいリミックスです。

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| TECHNO8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2011/01/08 SANDWELL DISTRICT ALL - NIGHT @ Unit
Surgeonと双璧を成すインダストリアルテクノの開拓者・Karl O'ConnorことRegis、Synewave等からのリリースでアンダーグラウンドなハードテクノシーンで活動してきたDavid SumnerことFunction、そしてその二人によるユニット・Sandwell Districtがパーティーの最初から最後までを演出する。間違いなくハードな一夜が体験出来そうなので遊びに行ってきました。
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| EVENT REPORT3 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UPCOMING EVENT
2011/01/03(MON)
Chillout Village 11 @ 高井戸倶楽部
DJ : Mixmaster Morris, Kensei, Utsumi, Bing, Shhhh, Q a.k.a. Insideman

2011/01/07(FRI)
microcosmos 2011 NEW YEAR PARTY "Sonic Bathtub" @ microcosmos
DJ : Mixmaster Morris, DJ Yogurt, DJ TAKAMORI K.

2011/01/08(SAT)
SANDWELL DISTRICT ALL-NIGHT PRESENTED BY MINDGAMES @ Unit
DJ : SANDWELL DISTRICT (DJ + Live), FUNCTION (DJ + Live), REGIS (DJ)

2011/01/08(SAT)
WORLD CONNECTION @ Air
DJ : King Britt, Calm, Downwell 79's
Live : Rucyl

2011/01/15(SAT)
DJ QU JAPAN TOUR @ Eleven
DJ : DJ QU, DJ NOBU, STEREOCiTI

2011/01/15(SAT)
INNERVISIONS 2011 @ Air
DJ : Âme, Alex From Tokyo

2011/01/21(SAT)
Guidance〜導き導かれる人生〜 6th Anniversary @ Seco Bar
DJ : ALTZ, 川辺ヒロシ, DJ YOGURT, 2562/A Made Up Sound, MAMAZU, REI, molick, EYE, DJ NOBU

2011/01/22(SAT)
Travelling @ Eleven
DJ : PROSUMER, DSKE

2011/01/22(SAT)
root & branch presents UBIK featuring THE ORB - METALLIC SPHERES @ Unit
LIVE : The Orb
DJ : yoshiki, DJ SODEYAMA

2011/01/29(SAT)
Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ Eleven
DJ : Steffi, Nick Hoppner, yone-ko
| UPCOMING EVENT | 14:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Sebastian Mullaert aka Minilogue - WaWuWe (Mule Electronic:mule electronic cd19)
Sebastian Mullaert aka Minilogue - WaWuWe
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Son KiteやMinilogueでも大人気のユニットの片割れ・Sebastian Mullaertが、今となっては世界規模のレーベルとなったMuleから初のMIXCDをリリース。正直な話Son Kite名義ではトランスやってたんで自分は距離を置くユニットなんですが、近年のMinilogueの活動はWagon Repair、Traum、Cocoonなどテクノ系のレーベルからのリリースが増えており、随分と音の傾向も変わっていたみたいです。なのでこの2枚組MIXCDもトランスではなくテクノなのでご安心を。まず1枚目は深海に潜っていくようなディープでダビーなテック系が中心。真っ暗闇の沈黙に包まれた深海を潜水艦でゆったりと航海しながら、幻想的な残響音に包まれるようなミスティカルジャーニー。緩いけれども一定に刻まれる4つ打ちが、ずぶずぶと深い海溝に引きずり込むようで鈍く精神に効いてきます。2枚目はフロア寄りのダンストラック中心が中心で、トライバルやミニマル、テックハウスなど雑食系であちらこちらを行き交う内容。ただ上げるのか下げるのかどっち付かずと言った中途半端な印象で、その上線の細さが残念。ここはやはり緩慢に深遠な音響美を聴かせてくれた1枚目を推したい。

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| TECHNO8 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
七尾旅人×やけのはら - Rollin' Rollin' (P-VINE Records:PCD-4610)
七尾旅人×やけのはら-Rollin' Rollin'
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話題沸騰中?なのか知らんが、今年の夏の終わりのアンセム…なんて言いながら、切ない感じはオータムアンセムでも通じるビタースウィートアーバンヒップホップソウル。オリジナルは淡々とそしてむっちりしたヒップホップのリズムに、七尾旅人の感情を吐き出すような歌とやけのはらのあっけらかんとしたラップが乗るほろ苦いダウンテンポな歌物。何も考えず無心になって音に浸りたくなるゆるりとした空気が漂っていて、きっと貴方の心の隙間を埋めるワンピースに成り得るであろう心温まる一曲です。そしてリミキサーにはCherryboy Function、Skyfish、川辺ヒロシ、Dorianが参加。川辺ヒロシのバレアリックで多幸感に溢れたリミックスもなかなかですが、一番のお勧めはDorianによる"ドリアンの終わらないアーバンソウル"。まさにアーバンソウルとしか表現の出来ないジャジーかつメロウなアレンジは、もう男泣き一歩寸前。都会の喧騒の中で空虚を感じた時、疲れた時、寂しくなった時にちょっとこれを聴いてみたら如何でしょう。心が安らいで少しは楽な気持ちになれるはず。そしてまだ友達以上恋人未満で困っている者達よ、二人でくっついてこれを聴け。二人の距離がぐっと縮まるはず。

| ETC3 | 00:05 | comments(2) | trackbacks(2) | |
The Matthew Herbert Big Band - There's Me And There's You (Studio !K7:!K77232CD)
The Matthew Herbert Big Band-Theres Me And Theres You
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さて…ここ数年見事に期待を裏切られ続けているMatthew Herbertの新作は、ビッグバンド名義での2枚目。Herbertに関しては当ブログでも嫌と言うほど紹介しているので読者の方もご存知だと思いますが、取り敢えず"Bodily Functions"(過去レビュー)に関してはクラブミュージックリスナーではなくても聴く価値のある一枚だと断言しましょう。但しそれ以降が問題で、どうにもこうにも近年は迷走しているのか以前ほどの輝きが感じられません。かつては時代を先走りミニマルハウスの先駆者的アーティストの一人でもありましたが、最近はジャズバンドやらポップ方面に走り過ぎていて既に時代に取り残されている気さえもします。ね〜だって、Herbertがジャズとかやる必要なくない?勿論Herbertがジャズをやったって彼なりのサンプリングを主体としたエレクトロニクスは使われているけれど、それは彼が既に使い古した手法なので新鮮味も感動も無いのですよ。だったら後は楽曲その物のクオリティーを高める事でしか聴く価値を見出せないんだけど、前作よりは生演奏とエレクトロニクスの絡みは自然になったかもしれないけれど、それでも心に残る物は無いですね。政治性だとか実験的だとかそんな事はもうどうでもいいから、以前の様にクラブトラックを作ってれればそれだけで良いんだが。金を掛けるゴージャスなビッグバンドではなく、金を掛けなくても出来る一人でのエレクトロニックミュージックを聴かせて欲しいです。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Luke Slater - Fear And Loathing (React:REACTCD210)
Luke Slater-Fear And Loathing
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2月18日のエントリでLuke Slaterの話が出てきたので、久しぶりに彼の魅力が味わえる全盛期の頃のMIXCDを聴いてみました。とにかくLuke Slater、もしくは別名義のPlanetary Assault Systemsと言えばゴリゴリぶっ太くワイルドな音を聴けるハードな野郎と言うイメージがありまして、昔はまじで好きでした(ハード路線を逸脱した近年は好きじゃない)。オリジナル作品がそうでありますからDJプレイも例にも洩れずかなりハードで、男気なり根性なりを感じられるDJでした。2001年リリースである2枚組の本MIXCDもやはりハードな展開が貫かれ、気合いを注入したい時にはぴったりな内容であります。

まずは一枚目、Jeff Mills、Ben Sims、Player、Regis、James Ruskinなど今となってはなんだか懐かしささえ感じる一昔前のハードなお方達のトラックがずらり。スピード感、重量と共に一級品でとにかく一直線にガツンガツンなプレイが聴けるのですが、不思議と粗雑さは感じないですね。確かに音は荒々しいのですが、乱暴にミックスするのではなく丁寧にミックスしている様でワイルドな中にもまとまりがあります。トライバル、ミニマル、ハードテクノなどが渾然一体となり肉体をしばきあげる好内容ですね。

対して二枚目ですが、こちらはスピード感よりも重厚さ、そして深みを感じさせる意外な内容です。ハードテクノもミニマルも確かに使われているのですが、勢い一直線ではなくドスンドスンと揺れが生じる重みがあり横揺れ系のグルーヴィーな展開ですね。ぶりぶりベースなエレクトロも出てきたり、渋みの効いたファンキーな音も聴けて全く予想していなかった意外な内容ながらも、じっくり聴き込めるミックスです。一枚目の激ハードな音の後に、二枚目のちょい緩めの音が来ると良い感じでアフターケアになりますね。

しかし久しぶりにこの様なハードなテクノを聴くと、やっぱりハードテクノって痛快で格好良いと思います。なんで最近は全く人気が無いんでしょうね?

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| TECHNO5 | 07:30 | comments(7) | trackbacks(1) | |
Herbert LIQUIDROOM 2nd ANNIVERSARY -summer sonic after show case-
あんまり期待していなかったHerbertに行ってきました。まあ予想通り混んでた。それは構わない。ところが事件は起きた。混んでいる中、空いているスポットを見つけたので、そこにすっと入る。後ろには、男女4人組が居た。すると男の一人が

男:「そこ空けておいてください」
オレ:「( ゚д゚)ポカーン。なんで?誰もいないじゃん?」
男:「友人がトイレに行っていて、帰ってくるから」
オレ:「こうゆうイベント来た事ないの?今居ないんだし、そもそも混んでいるんだし」
男:「すいません…」
オレ「…」

こんなんでケンカするのも何なので、やむなく僕は横にずれました。結局ライブが終わるまでもそのトイレに行ったと言う友人は帰ってこなかったw。確かに僕は背が高いから僕が前に居ると、あなたは見辛いでしょう。でもこんなイベントで何言ってるんだ?お前アホかと。ほんと馬鹿らしい。指定席イベントでも無ければ客の入り少ない訳でも無く、みんな我慢してるのにほんとに馬鹿な若造だった。ライブ始まる前から機嫌損ねて、ほんと不愉快だった。さてその後のライブはどうだったかと言うと、続く…
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| EVENT REPORT1 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Herbert - Around The House (Studio !K7:!K7105CD)
Herbert-Around The House
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現在ではHerbertなんて言えば一般的に知られている存在ですが、まだクラバーの中でしか騒がれていなかった頃のHerbertの傑作が「Around The House」。元々リリースしていたレーベルが倒産の為永らく廃盤でしたが、近年の人気獲得に伴いこの傑作も再プレスされております。いやーこれは「Bodily Functions」に負けず劣らず大好きでありまして、まあそっちに比べると比較的まだストレートなハウス表現が多いんですね。現在のミニマルハウスに繋がるハウス表現、音の隙間を生かした妙技、独特な音を生み出すサンプリング、控えめな甘さと幽玄な佇まいを持ち合わせたムードがあり、完璧としか言えない世界観を創りだしています。「Bodily Functions」がクラブカルチャーにポップな明るさを調和させたのに対し、この作品はまだまだアンダーグラウンドな点が強くだから当時は大ヒットはしなかったのかも。でも「Bodily Functions」が好きなら、この作品も絶対気に入って頂けると思います。かつてはBasic ChannelやRichie Hawtin、Mike Inkと並んでミニマルを極めていたHerbertが、こんなムードのある作品を創るなんて誰も予想だにしえなかったであろう。

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| HOUSE2 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Herbert - Scale (Studio !K7:!K7202CD)
Herbert-Scale
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近年Doctor Rockit、Matthew Herbert Big Band、Matthew Herbert、Roisin Murphyなどの名義で活動してきたHerbertが、5年ぶりに大傑作「Bodily Functions」(過去レビュー)以来のHerbert名義でのアルバムを創り上げました。今作も今までと同様にPCCOM理論に沿って、ドラムプリセット、既存音楽からのサンプリングを廃し、自然音からのサンプリングのみで音楽を創ると言う制約の下にアルバムを制作したそうです(毎度の事だけどよくよく考えると凄い!)。さてさて期待のアルバムを聴いてみると…、どポップだね。もちろん大衆的なただのポップでは無いけれど、今作は底抜けに明るいな。Herbertの奥様のDani Sicilianoが大半の曲でボーカル参加してるせいなのか、華やかで陽気な空気に溢れています。またホーンやストリングスも大幅に取り入れられて、スウィングジャズの様な軽快さも見受けられます。ハッ…それってMatthew Herbert Big Bandと一緒じゃん。実験性と遊び心、そして実用性を見事に調和させるHerbertの手腕はまことに素晴らしいのですが、今作もやはり何か物足りない。きっとそれは電子音楽と言う面が少なくなってきているからなのだろう。まだミニマルハウスを創っていた頃のHerbertにはクラブ向けの楽曲が多かったし、そこにジャズやハウスを完璧に取り込んだ「Bodily Functions」はクラブ・ホームの両方で聴くに耐えうる素晴らしい作品でした。でもこの作品にはハウス心が足りない、単純にそれなんです。随所にチャカポコとしたサンプリングが散りばめられて格好良いんだけど、ハウスのビートと電子音がもっと聴きたいのです。これは完全に自分の好みの問題になってしまうけれど、やっぱりクラブミュージック向けのHerbertが好きなんですよね。良い作品ではあるけれど、「Bodily Functions」以降Herbertに対して欲求不満気味です。



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| ETC1 | 20:00 | comments(8) | trackbacks(0) | |
James Holden - At The Controls (Resist Music:RESISTCD59)
James Holden-At The Controls
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今でこそテクノやハウス方面でも注目の的になっているJames Holdenですが、元々はプログレッシブハウス畑の人です。オックスフォード大学在学中の19歳の時にリリースした「Horizons」が注目を集め、その後はSashaと共同作業をしたりリミックスを量産したり、プログレ界では若き新星として人気を誇っていたそうです。ところがその人気とは裏腹にHolden自身はレーベルの制約に縛られ、自分の好きな音楽を創れなかったと語っているのです(それで売れるなんて皮肉めいてますが…)。ならば制約に縛られない自分のレーベルを作るかと言う事で出来上がったのが、今最も旬なレーベル・Border Communityです。情報の早い人はご存じ、Nathan Fakeらを擁するプログレッシブハウスに捕らわれない真の意味で前衛的なレーベルです。ここから発信される音は、テクノともハウスともプログレともロックとも言える独特な音で、クラブミュージックとしての固定概念はありません。本当に好きな音楽を創っていると感じられるのは、その自由性の為でしょう。(逆に過去のプログレ時のHoldenが好きだった人は、今のHoldenにどう感じているんでしょうね?)

前置きが長くなりましたが、James Holdenの趣味満開のMIXCDが遂にリリースされました。これは本当に凄い、今まで数多くのMIXCDを聴いてきた僕でも結構な衝撃を受けました。いや、衝撃と言うよりもただ単純にぞっこんになってしまっただけなのですが。Richie HawtinとAphex TwinとMassive Attackが共存し、自身やBorder Communityのアーティストの曲、またはエレクトロニカやポストロックまで、多岐に渡って色々な曲が収録されています。かつては「Balance 005」(過去レビュー)と言うバリバリトランシーなMIXCDをリリースしたHoldenの姿はもはや無く、完全に一段階上がったHoldenがここに居ます。本人曰くベッドルームで聴く音楽を意識したという通り、直球ストレートなダンスミュージックはここにはありません。その代わり10代の甘酸っぱい青春を思わせる郷愁とギラギラと怪しく輝く恍惚感が共存し、身も心も溶けてしまいそうなドラッギーな世界観は今まで以上に強くなっています。Holdenの発する音は、それがプログレだろうとテクノだろうと関係無く、いつだってサイケデリックなんですね。ジャンルはばらばらでも統一感があり、そこにHoldenのセンスと言う物を感じます。これこそ新世代の到来を告げるMIXCDですよ。

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| TECHNO3 | 18:00 | comments(4) | trackbacks(0) | |
James Holden - Balance 005 (EQ [Grey]:EQGCD008)
James Holden-Balance 005
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正直今までこのMIXCDを聴いてなかった事を後悔、罪深き事をしました。今となってはテクノ方面でも一躍有名となったプログレッシブハウスの若き天才、James Holden。「Dinamo」の大ヒットも記憶に残るNathan Fakeらを擁するBorder Communityレーベルを主宰し、プログレッシブハウス方面のみならずテクノやハウス方面からも注目を浴び現在も人気は鰻登りなHolden。一年位まえからウェブ上ではHoldenは凄い、やばいと言うコメントは見つけていたものの、僕自身がプレグレッシブハウスは殆ど聴かない為ずっと無視していました。しか〜し、友人宅でこのMIXCDを聴かせてもらった時には衝撃が走りました。こんな驚きは久しぶりだったのかもしれません。プログレッシブハウスと聞いていた音は、実はそうではなく比較的テクノよりで、でもトランスもプログレッシブハウスもエレクトロも取り入れられて最高に陶酔感のある音楽だったのです。最近はジャンルの垣根が低くなりハウスのテクノ化、ミニマルのクリック化などが起きていますが、プログレッシブハウスのテクノ化も進んでいるようです。そしてHoldenの音は僕がそれまで体験したプログレッシブハウスの音とは一線を画し、脳味噌トロトロぐちゃんぐちゃんのメルトダウンを起こすようなやばい陶酔をもたらし、アシッド注入しまくりでドラッギーなサイケデリック感がありました。ことMIXCDの2枚目の方に関しては、相当にトランシーで憂いのある上物が神経を麻痺させたり、アシッドぶりぶりなベースがトリップを誘発し、聴き終わる頃にはもうよだれ垂れまくりの逝った世界に引き込まれている事でしょう。2枚組と言う事で緩いテッキーな流れからアッパーな盛り上がるピークまで、山あり谷ありの盛り上がりを感じられるプレイが存分に収録されています。ドラマチックに幻想的に、そして危険な世界を体験出来るこのプレイは本物です。3月には新しいMIXCDが出るし、4月21日にはWOMBに来日します。今から首を長くして待っておけ!

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| TECHNO3 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Yukihiro Fukutomi - Equality Remixes (File Records:FRCD-147)
Yukihiro Fukutomi-Equality Remixes
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2004年作の福富幸宏の「Equality」はハウスに収まらないジャズやラテンも取り入れた気持ちの良いダンスミュージックアルバムでしたが、昨年そのアルバムをリミックスしたアルバムが出ていました。参加アーティストは、砂原良徳、Jazztronik、Mark de clive-lowe、Breakthrough、Dimitri From Paris、Don Carlos、Blackbeard、そして福富自身。まあ僕の知っているアーティストなんて砂原とJazztronik、Dimitriくらいなもんですが、オリジナルアルバム以上にバラエティーに富んだダンスミュージックになっていると思います。砂原担当のM1はエレクトロニック色を強めながらも、ラウンジで聴けるようなモダンなハウスでやっぱり上手いなぁの一言。Dimitri担当のM6は、ボッサ風に少々古臭い感じに仕上げて軽く爽やかになれますね。Don CarlosのM7はセオリー通りのハウスなんですが、スウィートにそしてしっとりとした出来で心地良いですね。でも何と言っても福富自身のM4が最高!ビートレスでアンビエント風に作り直していますが、こりゃ朝方のアフターアワーズで聴けたら最高ですわ!体から疲れが引いていき今にも天に昇ってしまいそうな高揚感があります。福富がこんなリミックスするなんて意外だけど、是非ともこの曲調でアルバムを一枚作って欲しいですね。全体的に家でBGMとしてかけると最適なアルバムかなと思います。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Matthew Herbert - Plat Du Jour (Accidental:AC19CD)
Matthew Herbert-Plat Du Jour
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みなが期待して止まないユーモア溢れる奇才、Matthew Herbert。Doctor Rockit、Radio Boy、Wishmountain、そしてHerbertを名義を使い分けた末に辿り着いた場所はMatthew Herbert名義でのフルアルバム。実験を繰り返した挙げ句、ミニマルハウスから陶酔系ジャジーハウス、奇天烈でハチャメチャなテクノからビッグバンドを率いてのジャズアルバムと、数々の遺産を残してきました。そして今作では「食」をテーマにしたサウンドメイクを…って説明するのは面倒だから、自分でWEB検索してみてくり。すぐにHerbert位なら検索で見つかるからさ。で新作はと言うといまいち掴み所がないなぁ。大傑作「Bodily Functions」では際どくもPOPであり、また実験的でもあったハウス/ジャジーサウンドが今作では実験面が勝ちすぎている様な気がします。いや、もうなんて言うか現代音楽のレベルにまで言っちゃっている様な、そう定型が無いんですよ。枠組みを壊してオリジナリティー溢れる音楽だとは思うけど、ダンス/クラブミュージックとしての観点がここには無く、完全にホームサウンドになってしまったなと。相変わらずがらくたをこねくり回した様な独自な音作りには目を見張る物があります。子供がおもちゃと戯れる様にHerbertは音と無邪気に戯れる事が出来ますが、うっとりする様なエモーショナルな曲が少ない。どうしたぁぁぁ、Herbert。これならマイクロハウスの「Around the House」か大傑作「Bodily Functions」の方を、お先に勧めてしまいますね。辛口な様ですがHerbertはこんなものに収まる様な人じゃないと思っているからこそ、辛辣な発言をしてしまいます。ま、ライブに来たら当然行くけどさ…

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| TECHNO2 | 18:00 | comments(5) | trackbacks(2) | |
Roisin Murphy - Ruby Blue (Accidental:C20CD)
Roisin Murphy-Ruby Blue
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発売前から話題になっているRoisin Murphy。何と言ってもHerbert+Molokoの新プロジェクトなので盛り上がるのも当然と言えば当然ですが、僕はMolokoに関しては全くの範囲外。普段どんな音楽を作っているのかも知りません。Herbertに関してはBasic ChannelやMike Inc以降のミニマルテクノ・ハウスを追求し、その後はジャジーなテイスト+ハウスで大好評を博した「Bodily Functions」で一躍シーンの最先端に躍り出ました。そしてジャズバンドも組んで「Goodbye Swingtime」と言ったジャズアルバムも出したのですが、それはちょっと方向性が違うんじゃないかと微妙な気持ちでした。それで今度はですよ、Molokoのヴォーカルをフューチャーしましたがどうでしょう?音的には完全にHerbertその物だと思います。相変わらず音をごっそり削ぎ落とし、ハウスでも無くテクノでも無くラウンジ系でも無く、ポップで切ないヴォーカル系。ホーン系の音も入っていて「Goodbye Swingtime」の続編的な所も多少あるけれど、ジャジーな点は薄味でもっとユーモアと悪ふざけな心に溢れています(それが普段のherbertなのだが)。ただ完全なHerbertの作品に比べると気高い気品や高貴な美しさが足りないと思い、遊び心の方に重心が偏りすぎていると思いました。あとヴォーカルもHerbertの奥さんのDani Sicilianoの方が個人的には好きでしょうか。夢の中に消えゆくような霞むヴォーカルが好きだったのすが、今回のMolokoのヴォーカルはどっかの古いバーで流れる曲に載るヴォーカルの様です。当然内容は充実した内容なので安心して聴けますが、「Bodily Functions」の再来はもう無いのでしょうか。

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| ETC1 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(3) | |
Herbert - Bodily Functions (Studio !K7:!K7097CD)
Herbert-Bodily Functions
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なかなか最近CDをじっくり聴く時間がないので、かなり聴き込んだCDを紹介。と言っても誰もが知っているHerbertです。とにかく信頼をおけるアーティストであり、テクノの中でAphex TwinやBasic Channelと並ぶ世紀の天才です。以前は無駄を削ぎ落としたミニマリズムなハウス中心だったのだけど、この作品ではジャジーな面を前面に出してきてお洒落系CDとしてもかなりヒットしたと思います。普段この手のジャンルを聴かない様な人まで引きつけていたようです、あくまでお洒落系として…。ま、それだけ素晴らしい内容なんですよ。現奥様のDani Sicilianoが全面的にボーカル参加、ナイーブな声で聴く者を魅了します。そしてPhil Parnellは小粋なピアノでジャジーな世界を演出。かと思えば正統派ハウストラックもあって、今までのファンの事も忘れてはいません。そしてどの曲にも共通するのは控えめな美しさと言う事でしょうか。POPなだけならこの作品以上にPOPな物は一杯あるけど、Herbertは丁度良い境界を知り尽くしている。甘過ぎずかといって、難解過ぎず。そして聴く者を魅了する術を知っている、正に天才です。Herbertは既成の音は使わずに音楽を作ると言う面白い理論を持っていて、その為か音には最大のこだわりを持っているのではないかと思うくらい音も繊細で素晴らしいです。まあそんな事は考えずに、夜にでもしっとりこの音楽に耳を傾けてはどうでしょうか。

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| HOUSE1 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(3) | |
Ken Ishii - Millennium Spinnin'at Reel Up (Sony Music Entertainment:SRCL5051)
Ken Ishii-Millennium Spinnin'at Reel Up
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先日のDIMENSION KでDJ Rolandoを上回るプレイをしたKen Ishiiですが、彼の2000年12月でのリキッドルームでのプレイを収録したのがコレ。のっけから自身のIceblinkで飛ばして、その後もYMOやDave Clarke、DJ Shufflemaster、Designer Musicととにかくみんなが知っているような曲をかけるわかける。まあ、そうゆう意味ではミーハーだしポップだし…でもいいのです、テクノゴッドですから(笑)確かに有名な曲が多くてそれなら俺でも出来るじゃんって思うけど、やっぱり彼が回すとかっこいいですよね。緩急自在でアゲては緩め、時にハードに時にファンキーに。聴いていて飽きないし、いわゆるテクノって音を感じさせてくれます。最近はもっとバリバリハードなプレイになっているけど、このMIXでも十分に踊らせてくれますよ。テクノの有名な曲満載(Jeff Mills、FLR、Joey Beltram、Planetary Assault Systems、Josh Wink他)なんで、手始めにって感じで聴いてもよろしいかと。

ちなみにKen Ishiiの生プレイを聴いたのは、このイベントが初めてでした。懐かしいな〜

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| TECHNO1 | 23:02 | comments(0) | trackbacks(2) | |