Garage Shelter - Garage Shelter #1 (Wax Classic:WXC12)
Garage Shelter - Garage Shelter #1

フランスのSkylaxはフロア最前線ながらも普遍的なハウスを追い求めるレーベルであり、特にシカゴ・ハウスへの深い愛を示すような作品が多い。2011年にはその傘下にWax Classicと言う姉妹レーベルが設立され、Jason Groveを含むよりカルト的なアーティストの作品をリリースしているが、本作を手掛けたGarage Shelterもそのカタログに加わる事になった。NYハウスの大ベテランであるJovonnの作品名から取られたこのアーティストについて、詳細が全く明かされてはいないのだが、このデビューからして既に貫禄のあるガラージ・ハウスを披露している。雑然としたガヤ声に渋いサックスのソロ、そして控え目に情感のあるパッドを忍ばせた"Moanin' (Tribute Edit)"は、ジャズとブルースの要素を含む真夜中のディープ・ハウスだ。更に色気のあるキーボードのコード展開にうっとりしながらも、生っぽいジャジーグルーヴが軽快な"Political Content (Full Contact Mix)"、対照的に熱の籠もったソウルフルな女性ボーカルと重く太い4つ打ちが反復するファンキーな"Step In The Raw"と、時間帯別に効力を発揮するであろう作風の豊かさは目を見張るものがある。更に裏面にも3曲、アブストラクト度を高めた煙たいハウスやブロークンビーツ気味の曲まで収録し、ハウスファンのためだけではない多様性を兼ね備えたソウルフルな音楽性を展開している。これだけの高い質を誇りながらもGarage Shelterと敢えて秘密めいた名義でのリリースをしているのは…もしかすると誰かベテランによる変名なのではないかと推測するのだが、それにしてもオールド・スクールなUSハウスを律儀に現代へと展開する姿勢には感服した。



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Jovonn - Stump It EP (Mojuba Records:MU 2)
Jovonn - Stump It EP

ドイツはディープハウスの深層部に位置するMojuba Recordsは、積極的にオールド・スクールなシカゴ・ハウスの復刻作業も行なっている。本作は90年頃から活躍しているNYハウスの大ベテラン・Jovonnが、94年にリリースし今ではレア化している傑作のリイシューと言う事だ。Jovonnについて言えば大量の作品を残しながらそのどれもがアナログ中心で、CDアルバムとしては一枚しか作品が残っていない事もあり、DJからの評価は高いのだろうが恐らく一般的な人気と言う面からは正統な評価を得られていはいない。その意味では音楽的に信頼性のあるMojubaがJovonnの名作を、現代に掘り返した事は良い仕事をしていると言える。目玉は15分越えの大作ディープ・ハウスである"Garage Shelter"で、オルガンサウンドのシンプルなリフに「ガラ〜ジュ、シェルタ〜」と言う黒い呟きが反復する簡素で淡々としな作品ながらも、全体から滲み出る粗雑な力強さや音の圧力が堪らない。またチキチキとしたハイハットや古ぼけたキックにハンドクラップの使用などから受けるオールド・スクールな感覚など、90年代の空気を目一杯含んでいる。またその曲をGerd JansonとPhillip Lauerによるユニット・Tuff City Kidsがリミックスしているが、こちらは突き刺すようなリズムを加え攻撃的かつ疾走感を増したテクノ的な要素も打ち出した内容となっている。B1の"Love Destination"は音が割れている程に荒いキックの迫力があるが、上モノは色気のある幻想的なパッドがうねりながらホットな女性ボーカルがソウルフルに歌いあげており、これぞ人情味のあるNYハウスの真骨頂と言う出来栄えだ。またC2の"Tribal"は曲名通りの荒れ狂うリズムトラックから野性味が溢れ出るハウスで、野蛮なグルーヴの中に愁いのメロディーが流れ来るその対比に耳を奪われる。とダブルパックで十分なボリュームと高品質なハウスが収録されており、大変ありがたい復刻作品だ。

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