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MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog]
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
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名作MEZZANINEリリース時に予定されていたマッド・プロフェッサーによるダブ・バージョンが、今になりリリース。こちらはアナログ盤。
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Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94) (Safe Trip:ST 003-3 LP)
Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94)
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オランダの気鋭・Young Marcoは自身で主宰するSafe Tripからは様々なアーティストによるヴィンテージ感溢れるシンセが特徴なディスコやエレクトロを送り出す一方、Gigi MasinやJonny Nashと組んだスペシャル・プロジェクトのGaussian Curveにおいては遥かなる田園地帯を想起させるバレアリック性を発揮し、そしてMarcoの音楽性はそれだけではなくイタロ・ハウス/ディスコをこよなく愛する面もある。その意味では本作は彼が生み出した音楽ではないがセレクターとしての才能が発揮されてイタロを愛するパーソナル性が如実に発揮されたコンピレーションと断言出来る、それこそタイトルからしてこれ以上は無い位に適切な「楽園へようこそ(イタリアの夢のようなハウス)」という編集盤だ。2017年にはアナログで『Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93) 』(過去レビュー)がPart1とPart2で分けてリリースされており、このPart3でシリーズとしてはどうやら完結するようだが、80年代後半から90年代前半の短い期間に盛り上がったイタロ・ハウス名作を咀嚼するのにこの3枚の編集盤は間違いなく役に立つだろう。本作でも煌めくような美しい響き、ロマンティックで官能的な世界観、そして爽やかなバレアリック感が広がるイタロ・ハウスが満載で、例えばOptikによる"Illusion"は甘く清涼なシンセコードに大らかなベースラインと4つ打ちキックが安定したグルーヴを作るシンプルな作風だが、無駄な装飾をせずに明瞭なメロディーで楽園志向な世界観を生み出す作風はイタロ・ハウスのテンプレートでもある。Leo Anibaldiの"Universal"なんかは808 Statesの"Pacific"まんまだろというツッコミも入りそうだが、海辺の自然音らしきものを用いつつ透明感のあるシンセが伸びる爽快なハウスはこれぞバレアリックを体現している。4つ打ちだけでなくダウンテンポによって切なさが強調された"Deep Blue (The Inner Part Of Me)"は、イタロ・ハウスの特徴でもある情緒的なピアノのコードに色っぽい女性の声や鳥の囀りのサンプルも用いて、ぐっと感傷的な気分に浸らせる。アルバムのラストは名曲中の名曲、近年再発もされたDon Carlosによる"Ouverture"で、抜けの良いアフロなパーカッションが走りながら線が細くも優美なストリングスと煌めくピアノがクリスタルのような輝きを生み出す至福のバレアリック/ハウスで、ここが楽園でなければ一体何処なのかと思わせる程の多幸感だ。90年初頭の古き良き時代感満載な音楽は流石に時代感が強いもののどれもハッピーな雰囲気に満たされており素晴らしいが、また本作を纏めるにあたり未発表音源だった"Resounding Seashell"と"Dance To The House (Unreleased Edit)"が発掘されて収録されるなど、秘蔵音源的な意味合いでもこのコンピレーションの価値は高い。『Welcome To Paradise』というタイトルに嘘偽り無しの最高なコンピレーションだ。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Darling - Tulipa Moves (Safe Trip:ST 012-LP)
Darling - Tulipa Moves
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Young Marcoが主宰するSafe Tripは現在形のダンス・ミュージックのレーベルではあるが、何処か懐かしい時代感を含んで特にシンセサイザーの多幸感ある響きにこだわりがあるように思う。実際にMarcoはイタロ・ハウス/ディスコの再燃への貢献、またはGaussian Curveの一員としてモダンなバレアリック/ニュー・エイジの開拓に励んでおり、Safe Tripの音楽性はいなたくもほのぼのとした快楽性がある。Darlingはそんなレーベルで中心的に活動する一人で、本作は2018年にリリースされた彼にとっての初のアルバムだ。オランダのアーティストであるという以外はDarlingについての詳細は不明なものの、過去の作品を聞いても辿々しいドラムマシンによるリズムやアナログであろうシンセを用いて、イタロの系譜上にありディスコやエレクトロも盛り込んだダンス・ミュージックは古い味わいもありながら若々しいエネルギーに満ち溢れている。そしてこのアルバム、ダンスのリズムがある電子音楽ではあるが熱狂的なクラブの中のダンス・ミュージックではなく、ほのぼのとした田園風景が広がる仄かにバレアリックな曲群は底抜けにポジティブでドリーミーだ。神秘的な電子音のソロから始まり闊歩するようなリズムが入ってくる"Estimu"からして、無意味ながらも楽観的で豊かな電子音のメロディーや動物の鳴き声にも似た電子音の反復がコズミック感を作っており、70年代の電子音と戯れていたジャーマン・プログレが幾分かダンス化するとこんな曲調だろうか。"Tulipa Moves"はTR系の乾いたリズムがカタカタと軽快に躍動しオールド・スクール感のあるハウス調だが、透明感のある清涼な電子音の上モノは遊び回りながら長閑な世界に包んでいく。落ち着きながらもエレクトロ気味のリズムである"So Did We"はやや内向的で沈み込むようなメランコリーがあり、しかし光沢感のあるサウンドはシンセポップ調でもある。"The M Song"ではリズム無しで神秘的なシンセが描くメランコリーな旋律は、火照りを冷ますニュー・エイジやチルアウトの系譜上にある。"Pillow People"はその安っぽく原始的なリズムが初期テクノを思わせ、チャイムらしき可愛らしい音色や幻想的なシンセのメロディーも加わる事で、90年代のベッドールーム・テクノであるArtificial Intelligenceを思い起こさせる。アルバムは曲それぞれが異なる個性を持っているが総じてレトロフューチャーと呼ぶべきか、ヴィンテージな音の響きや野暮ったいリズム感を伴っており最新の音楽でありながらどこか懐かしく、聞いていると心がほっと安心する穏やかさに満ちあふれている。



Check Darling
| TECHNO14 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
D.K. / S.K. - D.K. / S.K. (Melody As Truth:MAT9)
D.K. S.K. - D.K. S.K
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近年のバレアリック・ミュージックの隆盛は目を見張るものがあるが、そのムーブメントを作る一つのレーベルとしてMelody As Truthを欠かす事は出来ない。元Discossessionのメンバーであり近年はGaussian Curveとしても一躍名を挙げたアーティストであるJonny Nashが主宰するレーベルだが、そのレーベルのもう一人の中心人物がオランダで活動するSuzanne Kraftで、同レーベルをベースに穏やかな静けさの中で夢遊する有機的なアンビエントをリリースしている。そしてまた別に静謐なバレアリック/アンビエント方面で評価を集めているDang-Khoa ChauことD.K.というアーティストがいるが、このS.K.とD.K.がコラボレーションした本作はその両者に期待する音楽性が見事に融和しており素晴らしい。鈍いスネアや優雅なハイハットは間を作りながらゆったりとしたビートを刻み、そこに波紋が広がっていくような零れ落ちる鍵盤のメロディーや美しいパッドが抽象画のようにぼやけて彩りを行う、物憂げなニューエイジ風の"Xerox"からして音の余韻が美しい。そして神秘的な鍵盤のフレーズから始まる"Burn"はそこにリバーブのかかったピアノやギターらしき音を導入しながら、その数を絞る事で繊細に音の間が美しく映えて白昼夢に浸るかのようなアンビエントだ。そしてタブラらしきパーカッションを用いて何処か寺院のようなスピリチュアルな響きもある"No Man's Ground"は、アジアンな打楽器も取り入れる事でエキゾチックな雰囲気を携えつつも、夢の中を彷徨うようなイマジネーションを刺激するニューエイジ色が強いか。"Hammond Blue"では透明感のあるシンセの粒が舞い踊る中で優雅なパッドがアクセントを作る事で豊かな色彩を伴うビートレスながらも動きのあるアンビエントで、そして"Bricks In White"において抽象的なサウンドコラージュに合わせて静謐なピアノのフレーズを被せてミステリアスに展開していくニューエイジな作風は神々しく、最後の"Fade"では何処までも伸びる美しいドローンの上にセンチメンタルなメロディを配して消え入るように静かに、しかし感情性を高めていく。全体を覆う軽くリバーブの効いたもやもやとした音響の中に、音と音の間の余白の美しさが際立つようなシンプルな構成が、すっきりとしながらも気怠い安眠を誘うようなアンビエント/バレアリックな世界は期待以上。寝起きのBGMとしても、昼下がりのうとうとする時間帯にも、夜中寝る前の時間帯にも適したアルバムだ。



Check D.K. & Suzanne Kraft
| ETC4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2017
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。近年の日本における音楽業界の厳しさは今年も変わらずクラブ/パーティーも以前に比べるとパワーが低下しているのは否めないですが、それでもその逆境の中から特に日本人アーティストによる素晴らしい作品も生まれたりと、希望が見えたりする事も感じる一年でした。当方が以前程には新譜発掘やレビューに時間を割く事が難しく、またパーティーへ行ける機会も減る中でなかなか流行なり時代なりの音を追いかける事も手に付かない状況ですが、その代わりに時代に左右されないタイムレスな音楽にも向き合う事が出来たとも感じております。以下に選んだ作品は正にそんなタイムレスと呼んでも差し支えない物ばかりで、当ブログ開設時からかなり方向性は変わって決してダンス・ミュージックだけではないですが、音楽としての素晴らしさにジャンルは関係ないですよね。これが何か少しでも皆様の音楽ライフの充足の為の手助けになれば幸いです。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin For Good Mellows (Suburbia Records:SUCD2002)
Gigi Masin For Good Mellows
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良質な音楽を提供するカフェブームの発端の一つでもある渋谷のCafe Apres-midi。そのオーナーである橋本徹がメロウな音楽にこだわって選曲する『Good Mellows』シリーズは、リスニング性重視しながらも彼の有名なシリーズである『Free Soul』よりも現代のクラブ・ミュージック的でもあり、尚且つ橋本のメロウな音楽への愛情が実直に表現された素晴らしい作品集だ。基本的には作品毎のシーンに合わせて多岐に渡るアーティストの楽曲を収録したコンピレーションではあるのだが、本作は一人のアーティストに焦点を当てたコンピレーションとなっており、それこそ近年再評価著しいアンビエント/音響音楽家であるGigi Masinのメロウな音楽が纏められている。彼が再び日の目を見るようになったのはMusic From Memoryからリリースされたベスト盤の『Talk To The Sea』(過去レビュー)である事は明白だが、ここで橋本はメランコリーなコンセプトを元に更にはMasinが参加しているユニットのGaussian CurveやTempelhofとの共同制作まで幅を広げて、Masinの琴線に触れる音楽性の魅力をあまねく知らせる事に成功している。代表曲である"Clouds"は、滴り落ちるように美しいピアノの響きと静けさの中でか弱く鳴る電子のリフレインが絡み合い、これ以上ない慈愛に包み込むメランコリーな一曲だが、Masinの音楽はそれだけではない。同じくピアノや透明感のある電子音を用いた"Tears Of Clown"は、しかし開放的で晴れ晴れしく、そして祝福を告げるようなトランペットの音色によって天上へと導かれるようだ。Gaussian Curveによって制作された"lmpossible Island"ではユニットらしく音楽性もより豊かで、乾いたドラム・マシンや流麗なギターサウンドに明るめのシンセによって朗らかな情景が描かれ、メランコリーは根底にありつつも懐かしさのある田園風景が目の前に広がるようだ。"My Red Rose"は2016年にリリースされたばかりのアートブック『Plays Hazkara』から選ばれた曲で、つまりは最新のMasinの音楽ではあるのだが、悪い意味ではなくて昔からのMasinの音楽性と大きな変化は無い。繊細でか細いピアノをメインに極力か弱く鳴るドラムマシンやひっそりと装飾する電子音を用い、荒波を立たせる事なく静けさによって感情の起伏を作る作風は、Masinの音響へのこだわりが反映されている。現代のクラブミュージック系のユニットであるTempelhofと共作した"The Dwarf"においても素晴らしい相乗効果を見せており、オレンジ色の朝焼けに遭遇したかのような美しいシンセのレイヤーに耽美なピアノを散らし、自然と郷愁に浸ってしまう感傷的な音楽性を披露している。今までにシリーズを重ねてきて『Good Mellows』、しかしその流れはMasinの音楽こそ最もそのコンセプトを現しているのではと思う程で、その切なさと優しさに満ちた心象風景を有む音の響きは正にメロウの一言。『Good Mellows』と言う言葉通りの嘘偽り無しの世界観に癒される。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jonny Nash - Eden (Melody As Truth:MAT6)
Jonny Nash - Eden
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バレアリック旋風の中でまだ歴史は浅いものの一際注目を集めているMelody As Truth、それを主宰するのがギタリストのJonny Nashだ。コズミック・ディスコなプロジェクトのDiscossessionの元メンバーとして、ユニットであるLand Of Lightの一人として、そして近年ではバレアリック旋風の真っ只中にいるGaussian Curveのメンバーとしても活躍するNashは、ソロ活動に於いても秀でた作品を残しておりドローンやエコーも用いながらも音の間や静けさに惹き付けられるアンビエントを作り上げている。アルバムとして3枚目の作品になる本作、元々静寂の中にこそ存在する耽美な響きの音楽性が特徴のNashだが、更にここでは何かスピリチュアルで原始的な佇まいも纏っており、それはロンドンのみならずバリ島での録音も影響しているのだろう。開始となる"Agape"では空間を浮遊するぼやけたドローンに微睡みながらも、その中に隠れるように土着的なパーカッションが遠くで聞こえるように響いており、生命の息吹を感じさせるアンビエントな始まりだ。引いては寄せる波の如く繰り返されるレイヤーのような電子音や、そして森の奥地から響いてくるような奇妙な鳴き声や打楽器の響き、"Maroon Crisp"はさながらバリ島のウブドの密林をイメージしているのか。"Down In Babakan"では研ぎ澄まされたピアノを点描風に音和を抑えて鳴らしつつ、ガムランを導入して銅鑼や竹製楽器の異国情緒な雰囲気を生み、どちらかというと瞑想を手助けするニューエイジ寄りな作風だ。"Police Bribe"でも柔らかな鐘の音色や打楽器を用いてガムランの手法を取り入れているが、そのゆったりと胎動する生命的な響きの間に繊細でか弱いピアノ薄いパッドを埋め込んで、しみじみと染み渡るメランコリーが湧き出しいつしか黄昏れてしまう。『Eden』と言うアルバムが示す言葉通りに、なる程確かに本作は現実の世界から逃避し俗世の享楽とは無縁の楽園的な世界にも思われ、これもまたバレアリックという系譜に連なっている。ストレスとは無縁の桃源郷への入り口は、本作を聞けば開けるだろう。



Check "Jonny Nash"
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gaussian Curve - The Distance (Music From Memory:MFM018)
Gaussian Curve - The Distance
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音楽のマジックが起きるなら、きっとこんなユニットだとは思わずにいられない組み合わせ、それが現代音楽やバレアリック面から再評価著しいGigi Masin、Melody As Truthを主宰するギタープレイヤーのJonny Nash、そしてイタリアのディスコやバレアリックを掘り起こすMarco Sterk AKA Young MarcoによるGaussian Curve。Masinのスタジオで遊びながら音楽を作っていた事がきっかけでこのユニットが発足し、2014年にはMasin再評価の後押しを行ったMusic From Memoryから初のアルバムをリリース。それ以降はそれぞれが考えるアンビエント〜ニューエイジ〜ディスコな方面で各々の個性を見せ付けていたが、2016年にはアムステルダムで再度スタジオセッションを行う機会があり、その成果が結実したのが本作だ。各々がプレイヤーである事が各曲に強く影響しており、生演奏も電子楽器も分け隔てなく用いながら生命が萌芽するような芳醇な色彩や柔らかい響きを奏で、それらは未だ見果てぬ桃源郷への道を指し示すかのように淡くドリーミーな風景を見せる。"Breathe"ではNashによる物哀しいギターがしっとりと染み、そこに繊細なMasinのピアノやSterkによる淡い電子音が被さりながら、琴線を震わす情緒が湧き出してくる。続くタイトル曲の"The Distance"ではシルクのように滑らかで優しいストリングスとそこに連なる穏やかなリズムが先導し、徐々に空間に割って入るようにNashによる咽び泣きするギターが現れて、木漏れ日が降り注ぐ白昼夢の中を彷徨うようだ。透明感のある情緒的なシンセがリフレインする"Dancing Rain"はMasinのソロワークの延長線上にあるメランコリーな曲だが、"T.O.R."の現代音楽的なミニマル性を強調する機械的なシンセのフレーズにじっくりと感情を刺激するトランペットのソロや浮遊感を伴う電子音を配して水平方向にへと伸びていく感覚は、3人だからこそのニューエイジやバレアリックの要素が融和しているように思われる。そしてうとうと眠りを誘うぼやけたシンセから始まる"Another Place"、ここではMasinによる呟きのような声やか細いピアノ等が慈愛で包む如く鳴っており、今にも壊れそうな程の繊細な優しさに心が穏やかになっていく。何処を切り取っても一点の曇りも無い純真のような真心や優しさに満たされた淡くも繊細なアンビエントやニューエイジ、そして爽快な広がりとなるバレアリック感が自然と溶け合い、ここは天上かユートピアかと思う程の至福な音楽。Music From Memoryと言うレーベルの音楽性、そして3人のそれぞれの音楽性が見事に発揮され、淀む事のない美しきサウンド・スケープが広がっている。



Check "Gaussian Curve"
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin, Alessandro Monti, Alessandro Pizzin - The Wind Collectors / As Witness Our Hands (Diplodisc:dpl 009)
Gigi Masin, Alessandro Monti, Alessandro Pizzin - The Wind Collectors / As Witness Our Hands
Amazonで詳しく見る(US盤)
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Music From Memoryからの編集盤である『Talk To The Sea』やJonny NashやYoung MarcoとのユニットであるGaussian Curveの作品により、近年はクラブ・ミュージック側からもその動向が注目されるイタリアのGigi Masin。鍵盤奏者でありエレクトロニクスも導入する実験音楽家でもあり、そして静謐なアンビエントやニューエイジのような何処か瞑想じみた要素を感じさせる音楽を制作するプロデューサーだ。クラシックからのルーツも匂わせる美しさを放つディープ・ハウスを得意とするSven WeisemannがMasinをリミキサーに起用したり、橋本徹がGood Mellowsシリーズに彼の作品を収録したりするのを知れば、Masinというアーティストについても何となく想像出来るかもしれない。『The Wind Collectors』はそんな彼が1991年にリリースしたアルバムで、同郷のマルチプレイヤーであるAlessandro Montiと鍵盤奏者であるAlessandro Pizzinとセッションを行って出来上がった物だが、ここでは当時は録音されたものの収録されなかった曲まで追加された完全版として蘇っている。シンセサイザーとピアノの音を軸にギターやベースを用いた演奏は、一切の荒波を立てる事もなく、ただただ穏やかな地平線が広がるような静かな海の景色を喚起させる。強い主張をしないシンプルで繊細なメロディー、薄っすらと淡く広がるシンセサイザーの響き、静けさの中に宿る叙情など、非常に無垢で弱々しくも飾り気のない分だけ嘘偽りなく心に響く音楽だ。クラブ・ミュージックの観点からのアンビエントとは異なるし、かと言って実験が際立つ作品でもなく、ミニマルなコンテンポラリー・ミュージックとでも呼べば適切なのだろうか。そして、この度のリイシューでは何とデモ音源や未発表のセッションも収録した『As Witness Our Hands』も追加されており、そこではMasinの永遠の名曲である「Clouds」のデモやTerry Rileyのカバーである「Medusa's Refrain」も聞ける。話題性は十分であるのは当然として、これらのセッションを含んだ盤は幾分か感情が強く出つつ実験的な面も滲み出ており、古楽やフォークにプログレッシヴ・ロックの要素等が目を出している。だが気難しく構える必要はないだろう。ただただ淡い抽象画のような美しいサウンド・スケープに耳を傾ければ、穏やかな時間が待っている。



Check "Gigi Masin"
| ETC4 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin - Wind (The Bear On The Moon Records:BAR003)
Gigi Masin - Wind

2015年の音楽的な出来事の中で、Gigi Masinの再評価を抜きにして語る事は出来ないだろう。Masinは70年代から活動するイタリアの実験音楽のアーティストで、どういう訳か最近ではSven Weisemannのリミックスを行い、またニュー・ディスコ系のTempelhofとの共同でアルバムを制作、そしてJonny NashやYoung MarcoとのGaussian Curveを結成したりと、クラブ・ミュージックの方面から注目を集めている。2014年にはオランダのMusic From Memoryから編集盤である『Talk To The Sea』がリリースされるなど、確実にMasinの再評価の動きは強くなっていた。そんな状況の中、今年になって遂にMasinが主宰するThe Bear On The Moon Recordsから1986年作である本作が遂にリイシューされたのだ。この作品は当時は500枚程プレスは終わったものの、その大半が洪水被害に遭い殆ど販売されないまま、少々のみが出回ったとされる非常にレアな物だ。ただそんな稀少性のみが特別扱いされる理由ではなく、勿論その音楽性は今も尚古びれる事もなくその当時のまま輝いているのだから、現在も評価される所以なのだろう。本作でMagin自身はシンセやピアノにギターを演奏し、そして歌まで披露しているが、他にもサックスやトランペットにベースやストリングの奏者まで率いて、限りなく静謐なアンビエントを形成している。"Call Me"ではMasinによる消え行くような物哀しいボーカルと共に朧気なストリングスや静かに浮かび上がるピアノのメロディーが、一体となり儚くシネマティックな風景を見せる。"Tears Of Clown"もやはりピアノのメロディーがとても美しいが、それは瑞々しく昼下がりの夢現な快活さがあり、アナログの柔らかいシンセとの合間から気高いトランペットが目覚めを引き起こすようだ。逆にぼんやりとしたシンセが抽象的にゆっくりとうねる"Tharros"は鬱蒼とした空気が満ちたドローン風で、室内楽を通過したアンビエント的だ。また"The Wind Song"では穏やかなシンセのコードに割って入ってくる牧歌的で和んだトランペットに涙しそうになり、"Celebration Of Eleven"では羽毛のような柔らかいシンセが反復する中に哀愁のギターやベースが零れ落ちる展開が琴線に触れ、全く汚れのない清らかな音が心身共に洗い流すような日常生活の中に存在するアンビエントとして受け止める事が出来る。その極限まで静謐で美しい世界観はBGMとして聞き流すのではなく、しっかりと相対し面と向かって耳を傾けたくなる程に真摯な内容で、部屋の空気を一変させるリスニング作品として素晴らしい。



Check "Gigi Masin"
| ETC4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Sunset Feeling (Suburbia Records:SUCD1002)
Good Mellows For Sunset Feeling
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「週末の海辺」から「夕暮れ時の感情」へ、橋本徹による『Good Mellows』シリーズの第二弾は少しずつ時間の経過を現すようだ。メロウというテーマを軸としたシリーズではあるが、この企画に為に新たに立ち上げられたSuburbia Recordは、入手困難な作品やアナログのみの曲を積極的に紹介する方針があり、本作では収録された曲の半分は初CD化とその意味でも大変意義のあるコンピレーションだろう。ただしそれが単にレアな作品を紹介するというだけには留まらず、『Free Soul』の切なく心に染みる音楽をクラブ・ミュージックの方面から解釈したならばとも仮定出来る音楽性は、ダンス・ミュージックが単に踊りの為の快楽的なものだけでなく感情的な面で訴えかける要素がある事も示している。オープニングを飾るのはポーランドの新星であるDas Komplexによる"Like A Fish"で、正にタイトルが示すように船が大海原をゆっくりと航海するような長閑なバレアリックで、旅の始まりとしては適切だろう。続くは近年クラブ・ミュージック側にも影響を及ぼしているイタリアのアンビエント・アーティストであるGigi Masinによる"Clouds"で、寂しげなシンセのリフレインと滴り落ちる切ないピアノのメロディーが、何処までも穏やかな地平が続く世界を喚起させる。中盤のSeahawksによる"No More Raindrops (Steel Pan Dub)"は爽やかなスティール・パンや残響揺らめくギターが空間の広がりを感じさせ、有機的で生暖かいダブ・ハウスといった趣きだ。そこから続くJose Padillaの"Adios Ayer"からMark Barrottの"Deep Water"の流れは、現在のバレアリックを先導するInternational Feel関連の音としての纏まりがあり、また大自然の営みを感じさせる優しいアンビエンスが素晴らしい。アルバムの後半には、頭角を現し始めているAndras Foxによる初期シカゴ・ハウス的な簡素な味わいのメロウさが特徴な"Running Late"、そして最後にByron Stingilyによる軽快なパーカッションと囁くような甘美なファルセットボイスで魅了するボッサ・ハウスの"Flying High (MAW Brazilian Vocal)"と、ハウスのグルーヴで憂いと高揚を伴いながらすっきりと余韻を残す事なく終了する。アンビエントからバレアリック、ハウスからジャズやダブまで景色が移ろうか如くジャンルの変遷も見せながら、全てをメロウで抱擁する夕暮れ時の切ない音楽観には誰しもうっとりと溺れるに違いない。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |