2022.01.24 Monday
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トロピカルで印象的なジャケットに音楽性まんまなタイトルが素晴らしかった『The Boogie Tracks LP』(過去レビュー)、それに魅了されファンになったイタリアのアーティストがGiovanni Damicoだ。過去の作風はRagrange RecordsやFaces Recordsからもリリース歴がある事からも分かるようにファンクの要素が強いディープ・ハウス調だったものの、前述のアルバムでは豊かなシンセの響きを打ち出したシンセ・ファンクやイタロ・ディスコへと振り切れた上に、バレアリックの系譜としても聞ける多幸感溢れるアルバムで、アーティストとして自身の個性を確立させたように思う。そしてそれに続く2020年リリースの本作は前作と同様にブギーやファンクでは魅力的な作品を手掛けるStar Creatureからとなるアルバムで、前作と方向性は全く変えずにライブ感溢れるモダンなイタロ・ディスコやシンセ・ファンクが中心で、懐かしくも洗練された空気を持っている。冒頭の"Fall In The Groove"から既にブリブリとしたベースラインや生っぽいざらついたドラムマシンの音がファンク性を感じさせ、そこに綺麗で煌めくようなゴージャスなシンセを配してポップな装飾も行い、澄んだ青空が何処までも広がっていく清々しい程に爽快なバレアリックが生じている。"Potassium Jam"はビート感は落ち着かせながらも土着的なパーカッションが効き、またウネウネするシンセや分厚いベースが熱量高いファンクネスとなり、ディスコ特有なSEも織り交ぜてまるでディスコ・バンドが演奏しているようなライブ感が熱い。"Make Your Body Movin'"はどっしりとしたドラムにからっと乾いたパーカッションによってアフロテイストを強めているが、ギターやベースだけのみならずフルート風な笛の音色やトランペットらしき管楽器も用いて豪華な音の響きが陽気なムードを作り上げたブギー・ディスコとなっている。全6曲、ディスコにブギー、アフロやファンクといった音楽性がクロスオーバーし、何だかソロ作とは思えないライブバンド調の音楽性は実に豊かな響きがあり、古き良き時代のディスコが好きな人にも訴求可能なモダン・ディスコとして魅力に溢れている。
Check Giovanni Damico