Grandbrothers - Open (City Slang:SLANG50126)
Grandbrothers - Open
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2014年のデビュー作である『Ezra EP』(過去レビュー)はGilles Petersonを含む多くのDJに絶賛され、一躍時の人となったGrandbrothers。Erol SarpとLukas Vogelから成るこのデュオはリズミカルなプリペアド・ピアノとクラブ・ミュージック的なプログラミングを武器に、現代音楽やモダン・クラシックを咀嚼したハウス・ミュージック性のある音楽で注目を集めたが、その後のアルバムではそういったクラブ・ミュージック性を排除してよりクラシックな作風へと向かっていた。そして待望の2017年リリースのこの2ndアルバムもやはりというか前作の流れを引き継いで、打楽器的なプリペアド・ピアノや繊細な美しさの光るグランド・ピアノの音色を軸に、前作以上に静けさの間が際立つリスニング志向となっている。アルバムはプログラミングによる打撃音とプリペアド・ピアノの打撃音で幕を開ける"1202"で始まり、早速音の数を絞りながらも重厚感のあるグランド・ピアノが壮大さを演出し、これからのストーリの大きさを予感させるような雰囲気だ。バックにパーカッションが硬いリズムを刻む"Bloodflow"はややエレクトロニカ風でもあるが、ピアノのコードやメロディが重層的に被さってくると途端に悲哀が漂うミニマル性もあるクラシックな響きへと変貌する。"Long Forgotten Future"は比較的電子音が強く現れた曲で、ピアノが連打されながらも引っかかりのあるキックやパーカッションはダンスビートに近く、控えめながらも鈍い電子音が唸っていてピアノの美しさをより際立たせている。その一方で"Honey"ではリズム的なプリペアド・ピアノとメロディー的なグランド・ピアノを対比的に用い、"Alice"では両者が調和するようにそれぞれを異なるメロディーで被せて、ピアノのオーガニックな美しさを印象に刻ませる。アルバムは恐らく多くのファンが期待している通りの、つまりは1stアルバムの延長線上にあるピアノを軸にクラシックや現代音楽にアンビエントといった成分を含んだ音楽であり、ある意味では安心感を覚える。がしかし、1stアルバムの時にも感じたように彼らの音楽は個性的が故に完全に形成されてしまっているため、これから進化する先があるのだろうかという懸念を感じないわけでもない。



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Grandbrothers - Dilation (Film:Filmcd001)
Grandbrothers - Dilation
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2014年、ドイツからErol SarpとLukas VogelによるGrandbrothersによる初の作品である「Ezra EP」(過去レビュー)はリリースされる前から、Gilles Peterson等著名なDJから称賛を浴び、いきなりデビュー前にもかかわらず注目を集めたのが今から一年前の話だ。純然たるクラブ・ミュージックからは外れたプリペアド・ピアノを用いた静謐な世界観とクラシカルな洗練された音楽性は、その意外性も相まって耳を惹き付けるには十分な個性があった。それから一年、その期待された音楽性はそのままにようやく初のアルバムが届けられた。アルバムはおおよそ多くの人が予想出来るEPの路線を踏襲している点で驚きは無いが、だからこそ多くの人が望んでいた事を理解した上で、実に正しくGrandbrothersらしい作品となっている。曲名通りアルバムの幕開けとなる"Prologue"は、リズムを排し環境音をバックに配置する事でプリペアド・ピアノの切ないメロディーがより鮮明に浮かび上がり、これから何かが始まろうとする予兆が感じられる。続く"Wuppertal"ではリズムも入ってくるがあくまでメインはピアノのコード展開であり、ピアノは滴るような美しい旋律と共にビートの一部となってスムースな流れを作り出す。アルバムの音楽性はピアノのサウンドが軸となっている事から印象はどれも似ているが、"Arctica"のようにグランド・ピアノとプリペアド・ピアノの異なるラインの対比により、その音自体をより際立たせるような効果も見受けられる。勿論アルバムのピークは先行EPとなった"Ezra Was Right"であるのは間違いなく、その淡い世界の中に儚く消え入るような美しいピアノの音色と乾いたマシンビートが生み出すこの曲は、正にジャンル的な意味と語源な意味でクラシックと呼べる賜物だ。ジャズ奏者でもあるErolとコンポーザーであるLukasだからこそ、ピアノのパターンとエレクトロニクスのビートを駆使し、それらによって何処まで音楽性を拡張出来るのか実験的に試した結果がこのアルバムの成果に現れている。クラシックでもありジャズでもあり、またアンビエントでもあり現代音楽でもありそうで、そのどれにも属さないGrandbrothersの音楽は一つの個性として成り立っている。その個性の強さ故にデビューアルバムにして殆ど形が形成され切ってしまったようにも感じられ、今後の展開があるのかも逆に不安にも思うが、先ずはこのデビューアルバムを素直に楽しむべきだろう。



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| ETC4 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Grandbrothers - Ezra EP (FILM:FILM001)
Grandbrothers - Ezra EP
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ドイツに新しく設立されたFilm Recordingsからのカタログ第一番は、鍵盤奏者のErol SarpとコンポーザーであるLukas VogelのユニットであるGrandbrothersによる初の作品。当方はJust Another Beatで活躍するKim Brownと、UKの大ベテランであるGreg Wilsonがリミックスを提供している事で反応したが、どうやら各レコード店でも即売り切れ続出となり注目を集めているようだ。A面のオリジナル2曲である"Ezra Was Right"と"Notbrause"は、どちらも静謐なピアノソロやコード展開が際立っており、そこにエレクトロニクスを加えた非常に慎ましいモダンハウスとなっている。ピアノを軸に置きながら数少ない音でシンプルに構築されたハウスは、無駄無くすっきりと洗練された分だけよりピアノの美しい響きをより強調し、クラブ・ミュージックと言うよりはまるでサウンドトラックにも思われる世界を生み出している。そして裏面のリミックス作品も秀逸で、流麗なピアノのコード展開はそのままにをパーカッションやキックを強めて流れるようなハウスのビート感を打ち出した"Kim Brown Iron Rave Remix"と、哀愁に満ちたギターカッティングに力強い雄叫びや壮大さを演出するSEを加えて、空へ上り詰めるようなブギーかつバレアリック感を打ち出した"Greg Wilson & Derek Kaye Remix"は、オリジナルよりもダンスフロアでより魅力的に聞こえるに違いない。曲自体が非常に強い個性を放っているのでアフターアワーズの即戦力になりそうな気はするが、ホームリスニングとしてもお勧めしたい素晴らしい一枚だ。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |