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BEST OF 2018
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。今年は節約も兼ねてBandcamp等の配信でも積極的に音楽を購入するようになった結果、輪をかけて購入する量は増えたもののそのおかげで聴き込めていない音楽も増えてしまい、レビューも書けずにこの年末のベスト紹介で掲載する機会も逃してしまう始末。また昨年に続きパーティーへと足を運ぶ機会も減っており所謂ダンス・ミュージックに対する関心は減少というか、良い意味でそこへの拘りは少なくなり、その半面ホームリスニングにも耐えるうバレアリック/アンビエント/ニュー・エイジといった音楽への興味がより増えた一年でした。そんな今の趣向から選んだ年間ベストは当ブログの昔のベストに比べると確かに方向性が変わったのは事実ですが、音楽への愛や興味は全く変わっておりません。また来年も素敵な音楽に出会い、そして色々と紹介出来たらと思います。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Ostati (Organic Analogue Records:OA 008)
HVL - Ostati

2013年頃からリリースを開始し、特に深い音響ディープ・ハウスを得意とするRough House Rosieの中心的アーティストとして頭角を現した東ヨーロッパはジョージアのGigi JikiaことHVLが、待ちに待ったキャリア初のアルバムを完成させた。活動初期からの不鮮明な音像の中から現れるアンビエント性を含む作風から、近年はKiyadama名義でのTB/TR系の音質を打ち出したオールド・スクールなアシッド・ハウスまで手を広げているが、そのどれもが空間性を感じさせる音響の美意識が通底しており、正にディープという表現が相応しいテクノ/ハウスの現在形のアーティストである。今までにリリースされたEPはどれも評判となっておりその才能は疑うべくもないが、このアルバム『Ostati』とは彼の生まれ故郷であるジョージア語では「自分たちの技術を習得した人」を意味するそうで、つまり自身の音楽の芸術的な面での完成をこのアルバムで成したと言う意味も込められていると当方は解釈する。ノンビートの状態に朧気で不鮮明なドローンの中から90年代レイヴ風なブレイク・ビーツが差し込んできて、幕開けに相応しくじわじわと高揚感を作っていく"Shesavali"で始まり、続く"Sallow Myth"では早速快楽的なアシッドが牙を向きヒプノティックな効果音が飛び交うトリップ感の強い世界を展開するが、それも途中から幽玄なパッドが入ってくるとうっすら情緒も帯びて洗練されたディープなテクノを形成する。続く"Daisi"はTR系の乾いて安っぽいリズムがころころと転がるように刻みオールド・スクール感がありながらも軽快に走るが、逆に"Under Libra"は鈍く蠢くアシッド・ベースを用いながらも弾力のあるドラムや軽い残響の効果によって地から足が離れるような浮遊感のあるダブ・ハウスを展開する。また"Askinkila"のチージーな音質で鋭く切り込んでくる厳ついビートはデトロイト・エレクトロの系譜だが、そこに続く"Sinister Sea"は全くビートが無く暗い闇底で朧気なノイズが歪むダーク・アンビエントになるなど、アルバムの中でも各曲がそれぞれ音楽的個性を持ってバラエティーは豊かだ。ラスト2曲は特にパーティー向けの盛り上がる曲で、アシッド・トランス気味な享楽的な雰囲気と流麗で荘厳なパッドの伸びやかな広がりが交じる"Futuro"から、浮遊感のあるパッドに覆われながら疾走する4つ打ちのテック・ハウス気味な"When Rivers Flow"はコズミックなメロディーも展開しながらエモーショナルなフロアの高揚感の中で鳴っているようだ。アルバムは今までのEPから更に拡張を成し遂げながらも、しかしHVLらしい夢幻のアンビエント性や隙間を活かしたディープな空間の構成から成り立っており、高い期待をも超えてきた素晴らしい完成度だ。アナログ販売に拘りを持つOrganic Analogueも当初はそれのみのリリースだったが、販売と同時に即座に完売してしまった本作への反響の大きさ故かBandcampでの配信へと至った事が、それだけの充実した内容である事を証明している。



Check HVL
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent vs. Lono Brazil vs. Dazzle Drums - Manchild (In The Promised Land) (BBE:BBE443SLP)
Ron Trent vs. Lono Brazil vs. Dazzle Drums - Manchild (In The Promised Land)
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シカゴ出身、The Beastie Boysをはじめ多くのヒップ・ホップやR&Bの制作に携わり、またハウス・ミュージックの広がりに貢献したとされるLono Brazil、そして同じくシカゴのディープ・ハウスの重鎮であり現在も尚一向に勢い収まらずに新作を大量にリリースしつつDJとしても世界各地を飛び回るRon Trent、そんな二人による新作が到着。そして何と日本からはDazzle Drumsがリミックスとして参加したという点でも話題性があり、ハウス・ミュージック好きな人にとっては見逃せない一枚だ。元となる曲自体はBrazilによるものだが、それをTrentやDazzle Drumsがそれぞれ手を加えたようで、"Ron Trent Full Vocal Version"の方は完全にTrent色に染まっておりもはやリミックスというか彼の新作と呼んでも過言はないだろう。Brazilの音楽性については詳しくないので曲にどれ程の影響が反映されているか知る由もないが、囁くようなポエトリーや大空へと響き渡る爽快なアフロ・パーカッション、そして透明感のあるシンセの下に滴るような耽美なピアノも添えて、アンビエント性や浮遊感のあるディープ・ハウスは正にTrentの個性だ。10分以上にも渡り重力から解放されて空を飛翔するような幻想的なアフロ・ジャーニーは、爽快かつ優雅で体が揺れながらも心はリラックスされる。対して"Dazzle Drums Dub"もアフロなパーカッションをふんだんに用いながらもそれはより硬質で、リズム感もかっちり硬い4つ打ちでビート感が強めに出ているが、妖艶なシンセや笛の音色のようなメロディーが入ってくるとヨーロッパ的なテック・ハウス感も現れてきたりとモダン性を伴っている。どちらのリミックスもアフロ・グルーヴという点では共通項を持ちながら、しかしそこにそれぞれのアーティストの個性が正確に反映されており、パーティーでも時間帯や屋内/屋外といった使い分けもしっかり出来る内容になっている。



Check Ron Trent & Lono Brazil & Dazzle Drums
| HOUSE13 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Hidden Valley EP (Rough House Rosie:RHR 013)
HVL - Hidden Valley EP
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グルジアのGigi JikiaことHVLは深遠でアブストラクトなディープ・ハウスな音響に特徴があり、それが評価を獲得したのかここ2〜3年は異なるレーベルから作品をリリースしていた。しかし1年半ぶりの新作は彼にとって古巣とも呼べるドイツはケルンのRough House Rosieからとなり、そのアンビエンスな性質もあるレーベルとの相性で言えばやはり間違いはない事からこの新作も期待する事だろう。しかし今までのゆったりとして深いアンビエンス性と意識的に聞くようなリスニング性を予想していると、A面の"Enslaver"にはやや驚きを覚えるかもしれない。変則的なビートでありながらもしかしそれは疾走するスピード感を得ており、そこにアシッドにも近い覚醒的なメロディーが明確なシーケンスで上昇と下降を繰り返し、もはやツール的なテクノとして響いている。薄氷のような繊細なパッドを潜ませてアンビエントな雰囲気を含ませながらも、このフロアを駆け抜けるような爽快感は今までのHVLには殆ど見受けられなかった性質だ。一方で"Distom Spook"は従来のHVLらしいと言うか、ヒプノティックなアシッドのラインやカタカタとした粗雑なリズムを用いた作風はアシッド・ハウスであるものの、そこに空間的の広がりを生む音を加える事で幻惑的なアンビエント感も生まれており、快楽的な中毒性に侵される。カタカタとしてエレクトロ・ビートが耳に残る"Lemon Stealer"もロウなハイハットやファンキーなビート感やに対し、すっと入ったり消えたりとする上モノはアンビエントの要素があり、ふわっと足元が浮かび上がるような心地好い浮遊感や陶酔感に繋がっている。そして最後は大らかなブレイク・ビーツを刻む"Crow Hill"で、スペーシーな効果音が浮遊する中にアトモスフェリックなパッドが濃霧のように満ちてきて、最もアンビエント性の高いディープ・ハウスはHVLらしい。深い空間創出を生む音響のディープ・ハウスに関してはやはりHVLの得意とするところであり、アシッドからテクノにエレクトロと表面的には違いはあってもどれに一貫した音響空間が存在している。



Check HVL
| TECHNO13 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Bizarre Realms EP (Hesperian Sound Division:HESP003)
HVL - Bizarre Realms EP

ロサンゼルス発の新興ハウスレーベルであるHesperian Sound Divisionの新作は、Rough House Rosie等を中心に活動するロシアのディープ・ハウスで頭角を現すGigi JikiaことHVLによるもの。この数年は継続して年に2〜3枚のEPを前述のRHRを含む複数のレーベルから淡々とリリースしており、音響〜アンビエントを駆使したハウスを武器として個性的な音楽性を確立している。本作でもその路線を踏襲しつつ更にはKiyadama名義でのアシッド・ハウスの要素を持ち込んで、何処までも深化を続けている。特にその深くサイケデリックな音響が主張しているのが"Bizarre Realms"で、あぶくが立つような環境音に似せたシンセのフレーズに幻想的な響きを作る薄いパッドを伸ばしていき、そして淡々とした盛り上がりを抑制したロウな4つ打ちが続く中で時折強烈なサウンド・エフェクトを挿入する事で、引いては寄せる波のような盛り上がりを生んでいる。広がっていくような立体的な音響空間は正にディープ・ハウスだが、一転して"Escape In Time"ではアシッド・ベースを用いてシカゴ・ハウスな雰囲気もある作風を見せ、特に粗いハイハット等からはロウ・ハウスの影響も垣間見れる。"Sio"でも生々しいざらついたリズムを用いつつもグルーヴは溶けるような弛緩し、そこに揺らめくような官能的な上モノが波打つ事でアンビエント性の強いダブ・ハウスとなっており、その快適性は随一だ。"Sforzando Joy"では逆にKiyadama名義を継承する凶悪なアシッド・ベースが這いずり回る攻撃的なアシッド・ハウスとなっており、フィルターやレゾナンスによる過剰な変化で毒々しく頭もくらくらするような展開が刺激的だ。バリエーション豊かでアーティストとしての底の深さはまだ見えず、そろそろアルバムによる包括的な表現も期待したいものだ。



Check "HVL"
| HOUSE12 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trinidadian Deep - Guidance EP (Rough House Rosie:RHR 011)
Trinidadian Deep - Guidance EP
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ロシアのディープ・ハウス勢から日本のアンダーグラウンドなアーティストまで独特の審美眼により文字通りディープな音楽を追求し、またクララ・ボウのスタンプがレーベル印としても印象的なRough House Rosie。その音楽性は陰鬱とアンビエントの中間のようなディープさと、耽美さの中に仄かにエモーショナルな音色を含ませた慎み深いディープ・ハウスであったが、レーベルの最新作は何とFuture VisionやNeroliからの作品で一躍注目を集めているUSのTrinidadian Deepが手掛けている。Ron Trentの愛弟子とも言える彼の音楽性はやはりUS直系の黒さと飛翔するような爽やかさを含んだ優美なディープ・ハウスなので、RHRから新作が出ると知った時は?という思いであったが、実際にリリースされた作品を聞けばその良質な音楽を前にして突っ込みを入れるのも野暮だと知る。A面にまるまる収録された"Obi"は13分にも及ぶ大作で、如何にもなカラッと弾ける爽やかなパーカッションに導かれ軽やかに疾走する4つ打ちのハウス・ビートが疾走り、そして土着的な土煙の中から浮かび上がるオールド・スクール感あるオルガンによって心地良い酩酊状態へと誘われる。大きな展開を繰り広げる訳ではないが、途中でのテッキーなシンセのコード使いやスピリチュアルさ爆発のオルガン・ソロなどぐっと耳を惹き付けるライブ感溢れるパートもあり、長い曲構成が全く無駄になる事なく壮大なジャーニーの演出として成り立っている。B面の"Italness"も音楽的には変わりはなく、土着的なパーカッションが爽快な風を吹かせて軽やかさを演出し、そこに優美でスペーシーなシンセが流れ落ちていく事でコズミック感のあるハウスになっている。残りの一曲はレーベルの主力アーティストであるHVLが手を加えた"Obi (HVL's Robotic Edit)"を収録しているが、こちらはよりレーベルのアブストラクト性を打ち出した妙技と言うべきか、奇妙な効果音も加えながら深遠さを増したダウンテンポなディープ・ハウスへと見事な生まれ変わりを披露している。RHRらしいのは確かにHVLのエディットだろうが、Trinidadian Deepの空へと羽ばたくような浮遊感あるディープ・ハウスも当然お勧めだ。



Check "Trinidadian Deep"
| HOUSE12 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL presents Kiyadama - Cosmic Hum EP (Rough House Rosie:RHR 010)
HVL presents Kiyadama - Cosmic Hum EP
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ケルンのディープ・ハウスの新興勢力として静かに評価を高めているRough House Rosieは、日本のアンダーグラウンドなハウスをも掬い上げており、注目して損はないレーベルの一つだ。そんなレーベルのレギュラーとして定着しているのがグルジア出身のGigi JikiaことHVLで、アブストラクトな音響にアンビエントの雰囲気を重ねて濃霧に包まれたような幻想的なディープ・ハウスを手掛け、レーベルの音楽性をも示唆するような活動をしている。さて、RHRにとって2016年の初の作品となるのがKiyadamaによる本作で、何故かHVLが変名を用いての提供となっている。わざわざ変名を用いているのだから普段の作風とは当然異なり、ここでは古き良き時代を思い起こさせるシカゴ発祥のアシッド・ハウスが幅を利かせている。TB-303をフィーチャーしたであろ"Ashitaka 1"と"Ashitaka 2"は、ねっとりと中毒的にうねるアシッド・ベースを軸にじわじわと侵食するようなワイルドピッチスタイルのアシッド・ハウスで、決して革新的な作風ではないものの古典的なアシッド・ハウスに敬意を払いつつ洗練も伴う点で今風だ。そこからA面のトリを飾る"Creda18fill"は一転してビートレスでアナログなシンセが睡眠を誘うように反復するアンビエントな作風で、ギャップに驚きつつも精神へ作用するようなトリップ感では共通項を見出だせるか。がB面ではまたもやアシッド・ハウス全開で、ソナー音のような淡々としたアシッドの使い方にひんやりとした冷気を浴びせられる"Machine Terror"や、レイブ調のブレイク・ビーツが軽快にビートを刻みつつも牙を剥いたアシッド音に体をえぐられるような"There Will Be No Salvation"と、A面よりも更に攻撃的な曲が収録されている。RHRにとってもHVLにとっても異色過ぎるアシッド・ハウスではあるものの、安っぽいシカゴ・ハウスに深みのある空間音響を加えている所に単なる物真似ではないHVLの音楽性も感じられ、古典への愛を見事に生まれ変わらせた作品だ。



Check "HVL"
| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Away From Everything We Know (Organic Analogue Records:OA 002)
HVL - Away From Everything We Know

Rough House Rosieでの活躍も目覚ましいグルジア出身のGigi JikiaことHVLが、今年2枚目となる新作をOrganic Analogueよりリリースしている。東欧特有の神秘的な瞑想感を伴うディープ・ハウスはHVLの個性として確立されているが、この新作でも基本的な路線に変わりはない。タイトル曲の"Away From Everything We Know"はリヴァーブによって幻想的に揺らめくシンセの奥にロウなアシッドのベース・ラインと女性のポエトリーを配し、心地良い浮遊感の中にもベースとキックによる明確なグルーヴが刻み、Deepchordを思わせるアンビエンス感の強いディープ・ハウスだ。放射状に広がるようなディレイのシンセを用いながらもカタカタとしたロウなパーカッションを用いた"Space Venture"は、DJ Sprinklesが得意とするような枯れた感もある幽玄さがあり、荒ぶる事なく静かに心に侵食する。一方裏面の"Cygnus Loop"はブレイク・ビーツ風につんのめったリズム感が切り刻むようにエッジが効いていて、その上ではすっと軽く伸びる透明感のあるシンセと未来的な光沢感のあるシンセの絡み合い、A面の曲よりはファンキーな躍動が強い。また本作で特筆すべきは、Wild Oatsからのリリースが注目を集めたGBやJulian Abelar名義でも活動するGabriel Reyes-WhittakerがThe Reflektor名義でリミックスをしており、"Away From Everything We Know (Reflektor Remix)"は原曲の浮遊感を抑えた代わりにデトロイト的なレトロ・フューチャーを思わせるシンセの懐かしいメロディーを強調し、またカチッとした生っぽいビートに変化させた事でブギーな感覚を打ち出していて、面白いリミックスを披露している。HVLの緩やかに揺れるディープ・ハウスは言うまでもなく極上だが、The Reflektorのリミックスもより個性的で上手くハマった快作だ。



Check "HVL"
| TECHNO11 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Lucky Star Of High Minded (Rough House Rosie:RHR 007)
HVL - Lucky Star Of High Minded
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サイレント映画の女優であるクララ・ボウをロゴマークに使用しているRough House Rosieは、ケルン発のディープ・ハウスのレーベルだ。瞑想的なアンビエントとハウスのグルーヴを兼ね備えた厳かなるディープ・ハウスの質の高さと共に、配信は行わずにアナログのみのリリースやカラーヴァイナル仕様といったその頑ななるアンダーグラウンド性も相まって、カルト的な人気を博すレーベルの一つではないだろうか。そんなレーベルの看板アーティストがグルジア出身のGigi JikiaことHVLで、レーベル初の作品を担当していたその人だ。HVLにとっては本作はRHRからのソロ2作目となる盤であるが、ここにおいてもHVLのアトモスフェリックな深い音響と神秘的な叙情性は尚強みを増している。空間の奥でゴチャゴチャと鳴る音響から始まる意外な展開から、次第に浮かび上がってくる霧のようなパッドと規則正しく刻まれる温かいキック、そして丸みのあるシンセが怪しいメロディーをなぞる"Your Heart Speaks For You"は、正にRHRらしい慎ましくもアブストラクトな音響を含むディープ・ハウスだ。タイトル曲の"Lucky Star Of High Minded"は深い森の中にいるようなサウンドエフェクトから始まりどこか霊的でもあるが、リズムは軽快に跳ねて揺れるグルーヴを打ち出し、メロディーはフィルターで変化を付けられていてファンキーな感覚もある。裏面へと続けば更にダブ音響を活かして深い空間を演出を創出し混沌としたサイケデリックな空気も持ち込んだ"She Can Land On A Dime"、4つ打ちから不規則なビートへと変化し大きなうねりを見せる大胆なビートダウン・ハウスである"Wild Combination"が収録されており、そのどちらにも深さと広さを伴うアンビエンスが含まれている。レーベルとアーティストのどちらもが新興勢力の内の一つという状態だが、しかしその音楽性は最早見過ごす事が出来ない程の個性を発しており、太鼓判を押してお勧めしたい。



Check "HVL"
| HOUSE10 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Jujiro EP (Rough House Rosie:RHR 006)
Various - Jujiro EP
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アンダーグラウンドなハウスを追いかけている人にとっては、ケルンのRough House Rosieは見逃す事は出来ない。2013年の初頭から始動したこのレーベルは、ケルンに活動の場所を置いてはいるが主宰者であるGeorge Beridzeがグルジア出身という事もあり、いわゆる近年評価を高めているロシアン・ディープ・ハウスの流れとして捉えるべきであろう。レーベル発足当初からGigi JikiaことHVLにShine Grooves、A5やGamayunなどロシア系の新興勢力を掘り起こす事に力を入れ、女優クララ・バウの顔をロゴマークにした印象的なアートワークも相まって、レーベルは注目を集めている。そんなレーベルの新作は日本人のアーティストに焦点を絞った「Jujiro」(サイレント・ムーヴィーである「十字路」を引用だそうな)で、テクノからブレイク・ビーツにビートダウンまで深く掘り下げるベテランの白石隆之(Takayuki Shiraishi)にEthereal SoundからもリリースするMiruga、そしてMitsuaki KomamuraやMahalらの作品を収録している。元々はレーベル側から白石隆之に強いオファーがあったそうで、最終的には新作ではなく2002年作の"Nightfall"を提供しているのだが、これが今聴いても全く古くない早過ぎたビートダウンかつディープ・ハウスとして素晴らしい。床を這いずり回る重心が低めのビートに、朧気に浮かび上がってくるゆらゆらしたサウンドが心地良い酩酊感を持続させ、どこか色褪せたようなぼんやりした景色を見せるのだ。決して激昂させるようなアッパーな音でもなく、多幸感に満ちた陽気な音でもなく、禅にも通じる求道的な音は和式のビートダウンだ。対してMirugaの"Meeting Of The Mind"は透明感溢れるパットが広がり、爽快なパーカッション使いや太いキックのおかげでテック・ハウスとしての印象が強く、広大な空へと飛び立つような開放感に満ちあふれている。またMitsuaki Komamuraはアシッドな音を用いながらも抑圧的にはならずに仄かな感情を込めたようなロウ・ハウス的な"Full Moon Hike"を、そしてMahalはデトロイト・テクノのエモーショナルな音をより柔軟かつしなやかなビートに乗せてモダンに仕上げた"Daydream Maze"を提供しているが、やはり派手になり過ぎずにどこか奥ゆかしいムードはレーベルの方向性に沿っているだろう。本作において日本のアーティストがフィーチャされた事は、結果的には和の侘び寂びの世界観がレーベルの音楽性と上手く適合し、レーベルの進む道をより明瞭化したのだ。

| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shine Grooves - Cairo EP (Rough House Rosie:RHR 004)
Shine Grooves - Cairo EP
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ドイツはテクノだけではなくハウスに於いても、いや寧ろハウスの方が注目すべきアーティストが多くなってきているようにも見受けられるが、またしてもドイツはケルンにてGeorge Beridzeが主宰するRough House Rosieがアンダーグラウンド方面から一際注目を集めている。このレーベルは2012年に設立されたばかりではあるが、過去にHVLやAlex DanilovにBrother Gと言った新興勢力にフォーカスを当てながらも実に質の高いハウスをリリースしており、アナログのみのリリースと言う事もあってか余計にカルト性を高めている。音楽性としてはアンビエントとダブな空気感の中にロウハウスを取り込んだ作風が見受けられるが、レーベル4作目のロシア人のShine Grooves(Quadrat名義でも活動しているようだ)による初の作品も同様な方向性で、この作品も更にRough House Rosieの評価を高める事は間違いないだろう。抽象的ながらも浮遊感漂う幻想的なパッドの下でトリッピーなSEやダビーな4つ打ちを繰り広げる"4AM"、更によりアトモスフェリックな柔らかいシンセと深く揺らぐ残響が仄かな情緒を奏でる"Egypt Dub"、そのどちらもがディープ・ハウスと言う音に当てはまりながらも、アナログ音を打ち出して非常に温かい人間味を感じられる事が特徴だろう。またB面に収録された"Rolling"は穏やかながらも明確な4つ打ちに揺らぐようなパッド音が被せられたディープ・ハウス、対照的にもう一曲の"Sahara"はトリッピーに浮遊するもやもやしたサウンドと遅く粘り気のあるリズムが特徴的なダブ・ハウスで、一枚のEPの中でもダブと言う音楽性を軸に小さく纏まらないような野心が汲み取れるだろう。EP全体としては濃霧に包まれたサウンドの向こう側にメロウな旋律が浮かび上がるディープ・ハウスと言うべきか、非常にアブストラクトながらもほっと心温まる音楽が纏まっている。



Check "Shine Grooves"
| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alex Danilov, HVL - Split Screen EP (Rough House Rosie:RHROS 003)
Alex Danilov, HVL - Split Screen EP
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本作によってまたしてもドイツがテクノだけでなくディープ・ハウスの方面に於いても、頭ひとつ抜きん出ている事を実感する。Rough House Rosieは2013年にケルンで設立された新興レーベルだが、ハンドスタンプにカラーヴァイナルと言うアングラ精神を貫いている。勿論そのレア感だけが注目を集めているわけではなく、レーベル第1弾にはGigi JikiaことHVLのデビュー作が起用され、荒削りながらも耽美なディープ・ハウスと浮遊感のあるアンビエントを掛け合わせた作風が高い評価を得たようだ。そんなレーベルの3作目は再度HVLとロシアからのAlex Danilovを起用したスプリット盤となっている。秀逸なのがHVLによる"Winter 1992"で、細かいビートを刻むリズムの上に濃い霧に包まれるようなアトモスフェリックなパッドが満ち、ゆったりとうねりながら抽象的な世界を垣間見せるディープ・ハウスの心地良さはこの上ない。同じくHVLによる"Junction To Everywhere"はしっとりしたキックが端正な4つ打ちを刻むディープ・ハウスだが、禍々しいアシッドなベースラインとは対照的に温かく幻想的なシンセが望郷の念を呼び起こすように、エモーショナルなメロディーを奏でている。どちらも水面をゆったりと漂うような大らかな作風で、柔らかい音質は耳に優しく入ってくる。一方Alex Danilovの方は"Dzeta"ではシカゴ・ハウスのように簡素な音とマイナー調のメロディーを展開するダビーなハウスを、"916 am"ではサウンドエフェクトのように様々の奇っ怪なサウンドを配してコズミックな感覚を演出しハウスを披露しており、独特の世界観を構築している。レーベル、アーティスト共々に期待を抱かせるには十分過ぎる作品だ。



Check "Alex Danilov" & "HVL"
| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |