CALENDAR
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< May 2020 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
Various - 環境音楽 = Kankyō Ongaku (Japanese Ambient, & New Age Music 1980 - 1990) (Light In The Attic:LITA 167)
Various - 環境音楽 = Kankyō Ongaku (Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980 - 1990)
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
これ以上にない位にど直球なタイトル、そして時代のニーズに応えた内容、それこそ日本の1980〜1990年に生まれたアンビエントや環境、そしてニューエイジを編纂した『環境音楽』なるCDでは2枚組のコンピレーション・アルバム。ここ数年日本の過去のハウス・ミュージックが、日本のシティポップが、そして日本のアンビエントやニューエイジが世界的にも見直されている状況で、色々な作品のリイシューやコンピレーションが雨後のタケノコのごとく生まれていたが、その中でも最も発売前から注目を集め集大成とも呼べる作品が本作だ。編集者は現代アンビエントで頭角を現したVisible CloaksのSpencer Doranで、10年以上前に来日した際に日本の音楽に触れてはまっていったようだが、そこら辺の詳細については『日本の「環境音楽」はいかにして発見されたか/Visible CloaksとLight In The Attic』にかなり濃密に記載してあるので是非読んで頂きたい。

さて、Doranによる選択は如何なものかというと、アーティスト単体でリイシューに至っている芦川聡、尾島由郎、久石譲、深町純、小久保隆、日向敏文、イノヤマランド、吉村弘らに加え、環境音楽で名を馳せるパーカッショニストの越智義朗にニューエイジの系譜に名を連ねる伊藤詳、またはジャズ界から鈴木良雄に、そしてYellow Magic Orchestraや細野晴臣まで、特定のジャンルでカテゴライズするには一見幅が広そうでもあるが、収録された曲の雰囲気としての統一感はある。それは特に日本古来の簡素な趣を重要視する侘び寂び的なモノにも感じられ、無駄を回避するミニマリズムなシンプルさや派手さを削ぎ落とした静謐な響きが、それが意図的だったのか分からないにしてもアンビエントやニューエイジという音楽に上手く作用したのだろう。例えば土取利行の"Ishiura (Abridged)"、これが当時ニューエイジと呼ばれていたとは思えない音楽で、サヌカイトという石を用いてぽつんぽつんとした単音の連なりが、間が広がり静けさが強調されたこの曲は今ならばアンビエントになってしまうのだろうか。また芦川による"Still Space"はシンセサイザーを用いているが、極力無駄を排したミニマルな構成によってのんびりとした時間軸が感じられ、さながら色味の失せた水墨画のような風景を喚起させる。また、この手のジャンルにまさか久石の音楽が選択されるとは予想も出来なかったが、"Islander"は彼らしいアンビエントな電子音の響きに有機的で土着的な打楽器を組み合わせ、それをミニマルな現代音楽にも寄せて反復させる展開で、収録されたのも納得させられる。ニューエイジ面が強調された曲であれば、宮下富実夫の"See The Light"や深町の"Breathing New Life"に小久保の"A Dream Sails Out To Sea - Scene 3"辺りが特にそうで、美しく清らかなシンセの響きによってうっとりと甘美な夢の微睡みを誘う音楽はスピリチュアルや癒やし系とも呼ばれてしまう可能性もあるが、俗っぽくはならずにただひたすら心を洗うように静謐な空気に満たされる。アルバムのラストは細野が無印良品のBGMとして制作した温かいシンセが牧歌的で長閑な地平を何処までも広げる"Original BGM"で、今では入手困難なこの曲は店舗の空気に自然と馴染む正に環境音楽、つまりはアンビエント・ミュージックを体現している。一口にアンビエントやニューエイジと言ってもそれぞれの曲にはアーティストの個性もあり、それがCD盤では23曲(アナログでは25曲)も収録されているのだから、このジャンルに初めて手を出す人にとっても本作は非常に役に立つ素晴らしいコンピレーションだ。なお、豪華ブックレット仕様の中にはDoranによる詳細なライナーノーツも記載されており、全て英語だが解説という面からも価値を持っている。惜しむらくは、日本の音楽であるのに日本のレーベルがこういったコンピレーションを誰も手掛けない事である。



Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| ETC4 | 19:00 | comments(0) | - | |
Hiroshi Yoshimura - Music For Nine Post Cards (Empire of Signs:EOS01LP)
Hiroshi Yoshimura - Music For Nine Post Cards
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
2017年に再発された『Pier & Loft』(過去レビュー)も予想以上に人気を博し直ぐに売り切れ続出となったのは記憶にも新しいが、それに続き1982年に制作された本作もほぼ同時に再発されたのは運命的と言うべきか。昨今世界的に著しく注目を集める過去の日本の音楽に於いてアンビエント・ミュージックも例外ではなく、本作を手掛けた吉村弘もダンス・ミュージック側のリスナーからも少なからず新たなる再評価を獲得しているようだ。吉村は日本の環境音楽の第一人者であるそうで、例えばBrian EnoやErik Satieらを発祥とするアンビエント・ミュージックからの影響を強く受け、音を空間の一部としてみなしたサウンド・デザインを主に行っていたアーティストだ。本作も原美術館のために提供された環境音楽であり、そしてまた9枚のポストカードに記した最少の音の構成を核に変化と反復によって拡張されたコンセプチュアルな作品でもあり、そういった点からも実に興味を引くに違いない作品だ。基本的にはフェンダー・ローズとオルガンやキーボード等数少ないシンプルな楽器で制作された本作は、全体を通して飾り気の無い音の単純な響きや持続の変化によって構成されており、その意味では装飾ではなく引き算の美学にも思われる静謐なアンビエントだ。本人の説明では「静かな音風景、水墨画のような色調」を表現したかったようで、確かにゆったりと波紋が広がっていくような静かな動きや混じりけのない色彩感覚が通底しており、寧ろ音の間の静寂が空間演出にもかっているようである。無駄を削ぎ落としたミニマルな構成は淡白と表現するよりは単に意味を込めないと言うか、連なりであるメロディーではなく音一つ一つの響きと間に意識を向かせ、単なるBGMとは異なる空間の一部へと昇華される。空間と同化する音、空間に溶け込む音、正に環境音楽であり生活の一部で鳴っていてもおかしくないような日常感がある。ただただ静謐で美しく、フラットな感覚が心地良い。



Check Hiroshi Yoshimura
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2017
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。近年の日本における音楽業界の厳しさは今年も変わらずクラブ/パーティーも以前に比べるとパワーが低下しているのは否めないですが、それでもその逆境の中から特に日本人アーティストによる素晴らしい作品も生まれたりと、希望が見えたりする事も感じる一年でした。当方が以前程には新譜発掘やレビューに時間を割く事が難しく、またパーティーへ行ける機会も減る中でなかなか流行なり時代なりの音を追いかける事も手に付かない状況ですが、その代わりに時代に左右されないタイムレスな音楽にも向き合う事が出来たとも感じております。以下に選んだ作品は正にそんなタイムレスと呼んでも差し支えない物ばかりで、当ブログ開設時からかなり方向性は変わって決してダンス・ミュージックだけではないですが、音楽としての素晴らしさにジャンルは関係ないですよね。これが何か少しでも皆様の音楽ライフの充足の為の手助けになれば幸いです。それでは、来年も良いお年を!
続きを読む >>
| BEST | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Yoshimura - Pier & Loft (17853 Records:RFLP004)
Hiroshi Yoshimura - Pier & Loft
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)

Discossessionのメンバーの一人として、そしてOrganic Musicなる特定のジャンルに縛られない音楽のオンライショップの運営者として、そして時代に埋もれてしまった素晴らしき音源を発掘するディガーとして、類まれなる審美眼を持つ日本人ディガーChee Shimizu。過去に彼が編纂した「Obscure Sound」(過去レビュー)は正に世に知られていない、しかしダイヤの原石のような輝きを持つ過去の音楽のレビュー本として面白みと、道標としての役割を担っている。そしてそんな音楽への探求はオンラインショップからレーベルへと派生し、17853 Recordsを立ち上げる事になった。既に複数枚の作品をリリースし、その中にはdip in the poolの甲田益也子のリミックス盤も含まれるなどやはりその音楽センスに注目せずにはいられないが、そのレーベルの新作は吉村弘による1983年作のリイシューだ。吉村はサウンド・デザインやグラフィック・デザインなどを行い、また日本の環境音楽=アンビエント・ミュージックの先駆者の一人でもあるそうで、ならばこそ現在の電子音楽方面から見つめ直してみるのも自然な流れだったのだろう。本作は西武ファッション・エキシビジョンのために制作された音楽だそうで、淀みのないクリアな響きと無駄の無い洗練された音の構築が際立つサウンド・デザインで、今で言うフロア寄りのアンビエントとは異なるのかもしれないが空気に馴染む環境音楽という意味では正にアンビエント的だ。Aサイドは東京湾岸の風景をテーマにしたそうだが、静寂の間にひっそりと浮かび上がる粒子のような音の一つ一つによって更に静寂が強調される"Horizon I've Ever Seen Before"は、その遠くに広がる地平線を臨み佇んでいる静けさなのだろうか。強烈なビートが入っているわけではないがミニマルなピアノの音の継続がフラットなビート感を生む"Signal F"は動きが感じられ、"Tokyo Bay Area"は波が押し寄せるような音の響きが湾岸からの海の風景を浮かび上がらせる。B面はリズミックな波に着想したらしく、海を連想させるタイトルが並んでいる。エッジの効いた電子音が切り込んでくる間に点描らしく音が配置された幾何学的な"Wavy-Patterned Ice Cream"、音と音の隙間と青々しさが広大な青空の広がりを喚起させる"Kamome Dayori"、動きが収まり静けさの中に微睡んでいく"In The Sea Breeze"、どれもこれも限りなくピュアに精錬され無駄な装飾がなく音の一つ一つに意味を持たせたような構成だ。感情に響くと言うよりは非常にフラットでそこに元からあったような、空間の一部として存在している環境音楽で、これは部屋のBGMとして最適以外の何物でもない。古臭さは全く無い、時代を超えてこの音はあり続ける。



Check "Hiroshi Yoshimura"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |