Hoshina Anniversary - Zangai EP (Musar Recordings:MUSAR007)
Hoshina Anniversary - Zangai EP
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レコード屋でHoshina Anniversaryという奇妙なアーティスト名のEPが並んでおり、興味本位で試聴をしてみたところエクスペリメンタルな雰囲気もある独特なテクノに魅了され、購入を決断したのが本作。聞いた事のないアーティストのそのEPのスリーブには保科記念日とデカく書いてあり、どうやら2010年頃から配信をベースに制作活動をしている日本のアーティストで、突然現れた新人ではないようだ。本作前にはYoung Marco主宰のSafe Tripからも奇妙なエレクトロニック・サウンドの『Hakkenden』をリリースしており、これらの物理メディアによる作品によって注目を集めるに違いない。日本語を用いた各曲には本人の説明ではそれぞれにコンセプトがあるそうで、例えば"Zangai"は織田信長の主要な城の一つである 『安土城』に焦点を当てている。トラック自体はアシッドの毒々しいシーケンスを導入しながらもジャズ要素のあるピアノのコードが優美さを伴っているが、しかし金属的なクラッシュする打撃音や機械的なリズムが荒々しいグルーヴを生み出しており、フロアを濁流で飲み込むようなピークタイム仕様なテクノだ。"Tenjin"も鈍い金属的なパーカッションと太いキックが軽やかに、しかし骨太な4つ打ちグルーヴを刻み、そこに不思議な電子音のループとピアノらしき鍵盤のループが絡み合うようにして快楽的な効果を付け足していくが、終始暗い世界観と刺々しい音響は冷え切っており廃れたようなテクノは刺激的である。ざらついたハイハットのリズムも相まって疾走感を獲得している"Tenjou"は、慎ましいジャズ・ピアノのコードが情緒を醸す中にヒプノティックなシンセが暴れるように躍動するローファイ感ある曲で、ロウなエレクトロ・ビートとジャズの雰囲気が一つになったユニークさが特徴だ。またサイケデリックなテクノを得意とするRicardo Tobarがリミックスした"Zangai (Ricardo Tobar Remix)"は原曲の雰囲気を壊さずに退廃した荒れたグルーヴを活かし、そして鈍くうねるベース・サウンドや不気味でサイケデリックなシンセによってより闇の中を突き抜けるミニマルな機能性を増したテクノへと塗り替えており、これぞTobarらしい作風だ。今まで配信中心だった為になかなか日の目を見る事が無かったHoshina Anniversaryだが、曲自体は面白くありながらテクノとしての機能性がある事は間違いなく、本作を機に注目を集めるのではないかと期待十分な一枚。



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| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |