Hunee - Hunchin' All Night (Rush Hour Recordings:RHMC 001)
Hunee - Hunchin All Night
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ダンス・ミュージックの業界に於いてレコード屋としてレーベルとして、そしてディストリビューションも行うRush Hour Recordingsの功績は非常に大きいが、特にタイムレスな作品のリイシューやそういった作品のコンパイルという点でもそのレーベル性は信頼に足るものだ。そのレーベルの2018年の話題作と言えば現在のレーベルを代表するアーティストの一人、Huneeがコンパイルを手掛けた本作で、主に8〜90年代に生まれたテクノやディープ・ハウスにディスコ、ファンクやアフロ等が選曲されている。ご存知の通りこのダンス・ミュージックの界隈では例えば普段DJがプレイするジャンルではなく、例えば影響を受けたルーツ系を纏めたコンピレーションも少なくはないが、ここではジャンルに幅はあっても基本的にはダンス・フロアに即している点で好感が持てる。そして本作で特に普段ダンス・ミュージックを聞く者にとって自然なのは、Ron Trentがリミックスを行った"Ritual Of Love (Ron's Vocal Beat Down Mix)"と、Larry Heardによる"Burning 4 You"だろう。どちらも希少性が高い事を抜きにしても曲そのものの魅力は当然格別で、Ronらしいダビーな残響を用いながら甘い呟きのボーカルの反復に陶酔させられる前者、ソウルフルな女性ボーカルに透明感のあるパッドや耽美なピアノを被せて仄かな情緒を生む無駄の無いシンプルな後者、どちらもディープ・ハウスが何たるかを証明するような作品だ。Don Lakaによる"Stages Of Love"は1986年の作品、甲高い女性ボーカルとアタック感の強いドラムが印象的なシンセ・ポップ/ファンクといった趣きで、現在のパーティーの朝方でかかっても全く違和感はないしんみり感情的なダンス・トラックだ。Villa Aboの1997年作"Made On Coffee & Wine"は今で言うロウ・ハウス/テクノ的なチージーで粗い音質が印象的で、適度にアシッド・ベースも鈍くうねってDJツール的な風合いが強い。1990年にアルバムを一枚残しただけのMappa Mundiによる"Trance Fusion"は、そのタイトル通りにサイケデリックな酩酊感のあるアンビエント・ハウス寄りな曲で、そのレイヴの空気感を含んだ快楽的な曲調はその時代感がありながらも今でも違和感の無いタイムレスな性質もある。それら以外の曲は対してエキゾチックなりアフロなりの要素が強く現れており、例えばCarlos Maria Trindade & Nuno Canavarroによる"Blu Terra"はタブラ等のパーカッションやパンパイプ等の民族楽器らの有機的な響きを用いてミニマリズムも取り入れたような実験的な曲で、キックは入っていないものの人力トランスのような高揚感もある。セネガルの口承音楽であるタスも収録されており、そのパフォーマーであるAby Ngana Diopによる"Liital (Michael Ozone's Liital Rhythm)"は、土着的で切れのあるパーカッションやリズムに乗せてラップというか喋りみたいな歌を被せた曲で、何か原始的なエネルギーが体を衝き動かすようだ。収録された曲群は国もジャンルもそれぞれ異なっていて一見コンピレーションとしての体裁を成してないようにも思われるかもしれないが、通して聞いてみれば決してそんな事はなく、例えばDJが長い持ち時間の中で音楽の変遷を見せるのをここでは一時間に圧縮したような雰囲気もあり、特にその中でも印象的な曲を抽出したようにも思われる。それは何度でも聞いていられる、クラシカルな佇まいも。



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| HOUSE13 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/12/22 RUSH HOUR LABEL NIGHT @ Air
オランダはアムステルダムで世界的に高い知名度を得ているレーベルでありディストリビューターのRush Hourは、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのレアな作品の発掘に力を入れたり、またコンセプト重視の企画を立ち上げたりする傍ら、有名無名に拘わらず個性的なアーティストの作品をリリースし、ジャンルの枠を取っ払いながら身軽な活動で大きな勢力へと拡大した。そんなレーベルにとって2015年の素晴らしい功績は何といっても、ジャパニーズ・ハウスの創世記における確かな足跡を残した寺田創一の作品をコンパイルした『Sounds From The Far East』を手掛けた事で、この作品は勿論日本だけでなく海外でも寺田の新たなファンを再度作る事に貢献した。今回はRush Hourのレーベルショーケースでそんな寺田のライブが予定され、また近年のRush Hourの中でディスコやファンクの音楽性を打ち出して高い評価を獲得したHunee(前述の寺田のコンピの監修をしている)、そしてレーベル設立者の一人であるDJ Antalも出演と、レーベルファンであれば絶対に見逃せない一夜だ。
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| EVENT REPORT6 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Soichi Terada - Sounds From The Far East (Rush Hour Recordings:RH RSS 12CD)
Soichi Terada - Sounds From The Far East
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2015年のトピックの一つとしてこの寺田創一の作品を纏めたアルバムの発売という出来事は、ハウスシーンを語る上では決して欠かす事の出来ない話題だろう。90年代にNYハウスが黄金期を迎えていた時代、ここ日本に於いても日本のポップシーンにさえハウスは侵食し、それが一般的に普及したかどうかは別にしても今聴いても色褪せないジャパニーズハウスとしてハウスのファンを唸らせる作品を残している。そんなジャパニーズハウスの先駆者の一人として寺田創一が居たそうだが、この度1989年に彼が設立したFar East Recordingsの音源を纏めたコンピレーションが制作されたのだ。リリース元は掘り師としてのセンスは一級品のRush Hourで、レーベルに所属するHuneeが寺田の音楽に惚れ込み寺田と共に選曲の調整を行なった上で、寺田の素晴らしいジャパニーズハウスを20年以上の時を経て世に再度解き放っている。当方は流石にこれらの楽曲をリアルタイムで聴けていたわけではないのだが、しかしこのハウスは紛れもなく日本産のハウスでありながら、しかしあの時隆盛を誇っていたNYハウスにも全く引けをとらない素晴らしい内容で、だからこそ外国のアーティストからも今になって称賛される事に驚きはしない。音楽性自体は現在の視点で述べれば当然新鮮なものではないが(しかし今初めて聴く人 - 当方も含め - にはきっと新鮮に聴こえる筈だ)、しかし時代を越えて愛されるようなオーソドックスなスタイルは往年のNYハウスからであり、ファットなキックが生み出す弾けるようなグルーヴや甘い陶酔のあるメロディーに大胆なサンプル使いと、もし何も説明が無ければNYから生まれたハウスだと錯覚する程にUS的だ。勿論日本的な可愛らしくポップなサウンドのおかげで、単に機能的なクラブミュージック以上の親近感を感じられもする。DJと言うよりは元来アーティスト/コンポーザーな気質が、曲そのものの良さを際立たせるようにメロディーやムードをより強く引き出したのではないか。何だか懐かしい - それは古い音楽なのだから当然としても - 気持ちにさせてくれるこのジャパニーズハウスは、クラシックと呼ぶに相応しい往年のディープ・ハウスであり、そして今になってより多くの人の耳を魅了する事になるだろう。一家に一枚と言う謳い文句も嘘偽りのないクラシックだ。



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| HOUSE11 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Prosumer - Panorama Bar 03 (Ostgut Ton:OSTGUTCD17)
Prosumer - Panorama Bar 03
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Ostgut Tonを主宰するベルリンで最も人気のあるクラブ・Berghain/Panorama Bar。圧倒的な圧力のテクノを繰り広げるBerghainに対し、メロウで古き良き時代のハウスも取り込んだPanorama Barと、相反する趣向でありながらアンダーグラウンドなダンスミュージックを世に知らしめる良い意味での窓口的なクラブと言えるのではないでしょうか。本作はそんなPanorama Barでレジデントを務めるくまのプーさん風のProsumerが担当したハウスミックス。日本にも何度か来日しており、その際には古いクラシックなハウスも惜しみなくプレイするオールドスクールっぷりを発揮していたそうですが、この作品を聴いても確かにハウスに対する愛情が伝わってきます。Romanthony、Circulation(Joshua Iz)、Fingers Inc.(Larry Heard)、QX-1と云った90年代以前の懐メロ的なハウスに合わせて、SteffiやOracyと云った最新のベルリンディープハウス、果てはTheo ParrishやServo Unique(Jeff Mills)、そしてまだリリースされていない未発表の最新の曲まで使用したメロウで何処か懐かしさも感じさせる古き良き時代の音。時代を先取るベルリンのクラブ担当でありながら、しかしハウス、特に垢抜けない乾いたシカゴハウスの音を躊躇なく推し進めるそのプレイは、時代に関係無く常に良質な音楽性を求める姿勢の表れではないかと思います。現実にシカゴハウスのリバイバルを感じている人は多いだろうし、その一端がPanorama Barにあると言っても過言ではないでしょう。

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| HOUSE6 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |