Jason Grove - Skylax (Skylax Records:LAX 137)
Jason Grove - Skylax

フランスのSkylaxはハウス・ミュージック、その中でも特にオールド・スクールで時代に左右されない正にタイムレスな音楽性を追求する。決して斬新性があるでもなく、自らを誇張して大きく見せるような派手さもなく、ただただディープでエモーショナルな音楽を真摯に突き詰めるレーベルだが、その中でもJason Groveのミステリアスな存在感は注視すべきだろう。デトロイトのベテラン・アーティストと言う触れ込みではあるものの一切の詳細は不明なアーティストだが、今までにもMerwyn SandersやNiko Marksといった実力派ともコラボレートしている事から、Jasonの音楽の方向性を知る事は出来るだろう。それは、2012年にリリースしたアルバム"313.4.Ever"(過去レビュー)から殆ど変わっておらず、マシンによるビートダウンなリズム、サンプルを用いたソウルフルなメロディー、生っぽいロウ・ハウス的な質感などその全てにおいてオールド・スクールという方向性をひらすら進む。アルバムの幕開けとなる"Interlude"では古ぼけたラジオから流れてくるようなざらついた音質で、ヒップ・ホップなビートとジャジーなホーンが哀愁を漂わせ、いきなり湿っぽい感情を滲ませる。続く"The Love"では本格的にディープ・ハウスのグルーヴを刻み、微睡むような温かいシンセのコード展開と甘く囁くようなボイス・サンプルを用いて、浮遊感さえもある心地良く酔わせる。"Old Dayz"ではガチャガチャとした跳ねるようなブレイク・ビーツが特徴的だが、やはり上モノのサンプルがフィルターによって展開され生々しいファンキーさを生み出している。それ以降はラフな質感ながらも無骨な4つ打ちを刻むオーセンティックなディープ・ハウスが続くが、"John Blue"にしても無駄のない単純な構成ながらもそこには気怠くも甘い陶酔感があり、決してJasonの音楽がクラブで体験する為のダンス・ミュージックとしてだけでなくリスニング的な要素も携えている事は特筆すべきだろう。勿論"Lovedits 7"のように色っぽい女性ボーカルとスモーキーな音質が、Moodymannらしくもある黒くソウルフルなディスコ・ハウスも素晴らしい。前作からこれと言って代わり映えはないものの、だからこそ流行り廃りとは無縁のディープ・ハウスとして正しく評価されるようなアルバムだろう。前作に続いて本作も配信やCDでの販売はせずにアナログのみでのリリースとなっており、その意味でもアーティストの無骨で揺るぎない精神性が伝わってくる。



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| HOUSE10 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Garage Shelter - Garage Shelter #1 (Wax Classic:WXC12)
Garage Shelter - Garage Shelter #1

フランスのSkylaxはフロア最前線ながらも普遍的なハウスを追い求めるレーベルであり、特にシカゴ・ハウスへの深い愛を示すような作品が多い。2011年にはその傘下にWax Classicと言う姉妹レーベルが設立され、Jason Groveを含むよりカルト的なアーティストの作品をリリースしているが、本作を手掛けたGarage Shelterもそのカタログに加わる事になった。NYハウスの大ベテランであるJovonnの作品名から取られたこのアーティストについて、詳細が全く明かされてはいないのだが、このデビューからして既に貫禄のあるガラージ・ハウスを披露している。雑然としたガヤ声に渋いサックスのソロ、そして控え目に情感のあるパッドを忍ばせた"Moanin' (Tribute Edit)"は、ジャズとブルースの要素を含む真夜中のディープ・ハウスだ。更に色気のあるキーボードのコード展開にうっとりしながらも、生っぽいジャジーグルーヴが軽快な"Political Content (Full Contact Mix)"、対照的に熱の籠もったソウルフルな女性ボーカルと重く太い4つ打ちが反復するファンキーな"Step In The Raw"と、時間帯別に効力を発揮するであろう作風の豊かさは目を見張るものがある。更に裏面にも3曲、アブストラクト度を高めた煙たいハウスやブロークンビーツ気味の曲まで収録し、ハウスファンのためだけではない多様性を兼ね備えたソウルフルな音楽性を展開している。これだけの高い質を誇りながらもGarage Shelterと敢えて秘密めいた名義でのリリースをしているのは…もしかすると誰かベテランによる変名なのではないかと推測するのだが、それにしてもオールド・スクールなUSハウスを律儀に現代へと展開する姿勢には感服した。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jason Grove - Late Night Connections (Skylax Extra Series:LAX ES1)
Jason Grove - Late Night Connections

デトロイトのローカルシーンで80年代から活動しているDJと言う触れ込みのJason Grove(Groove?)は、2011年に突如としてSkylax傘下のWax Classicからデビュー作をリリースする。その後もSkylax周辺からのみリリースを続けつつ、Moodymannの作品をJMFG名義でエディットしたりと注目を集めているが、一向に正体が明かされない事から誰かの変名ではないかと最近では考えている。そんな謎に包まれつつも最新作をSkylaxから新シリーズとなるSkylax Extra Seriesの第1弾としてリリースしたが、なんとそこにはシカゴ・ハウスの伝説的ユニットであるVirgo FourのMerwyn Sandersとデトロイト・ハウスシーンからNiko Marksが共作として名を連ねている。流麗なピアノのコード展開とソウルフルなボーカルを活かしたベーシックなトラックの"Newlove"からして、小細工無しにハウスのクラシック性を説いているようだが、Merwyn Sandersが参加した"Let It Go"はもったりとしたベースラインとドタドタしたリズムが相まって、最近のアナログ感を強調したロウハウスとも共振するローファイな音質が良い味を出している。裏面には胸を締め付けるロマンティックなムードが強いハウスが収録されていて、パーカッシヴなリズムが力強くもLarry Heardばりの透明感のあるキーボードが望郷の念を駆り立てる"Xxx"、雑踏の音を取り込みつつ図太いキックと呟きボーカルがKDJを思わせる"Division Street"、Niko Marksのメランコリーな歌とフュージョン風なエレピが心揺さぶる"My Language"と、どれもお世辞抜きにして良質なハウス・ミュージックの時代が封入されているようだ。新しさを必要とせずとも変わらない事で守られるもの、タイムレスと言うべきハウス・ミュージックがここにある。



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| HOUSE9 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moodymann - JMFG Edits 2 (Not On Label:JMFG2)
Moodymann - JMFG Edits 2

謎が謎を呼ぶJason Groove(Jason Groveの誤り?) aka JMFG (Jason 'Mutha Fuckin' Groove)によるMoodymannのエディット集第2弾。Moodymannの過去のEPは今となってはレア化し高騰する中でよりフロアで使い易くエディットされた本シリーズは、新旧リスナーにとっても新鮮味がありつつMoodymannの音楽に出会う機会となる価値のあるシリーズだと思います。さてMoodymannの作品はその個性の強さが故に必ずしもフロアで使い易いトラックとも言えない物も多いのですが、本作では勿論エディットと言う事もあり全てがフロア仕様。彼の作品の中でも人気のある"I Can't Kick This Feeling When It Hits"は"I Can't Kick"とタイトルも生まれ変わり、妖艶な色気を発していたディープ・ハウスの原曲からギターカッティングやホーンらしき音も取り入れてファンク色を強めたディスコ・ハウスへと革新を遂げています。逆に"Shades Of '78'"を元にした"Disco Shades"は、原曲の湿り気のある生臭さいファンクな要素は抑えて4つ打ちを強調しながらヒプノティックなミニマル感も見せ付ける今っぽい作風へと生まれ変わっています。またMoodymannの最初期の曲である"Do You Know"のエディットも収録しており、まだまだ青臭さの残っていた単なるディスコ・ハウスだった曲も、ここではモダンな洗練さを身に纏ったハウスへと昇華されていて現代的に仕上がっています。全体的に程よく黒い雰囲気は残しつつも、アクを取り除いてフロアへの順応性の高い作品となっており便利な一枚と言えるでしょう。

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| HOUSE8 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jason Grove - 313.4.Ever (Skylax Records:LAX 127)
Jason Grove - 313.4.Ever

時代を越えていく普遍的なディープ・ハウスを追求するフランスのSkylax Records、その傘下のWax Classicがレーベル第一弾の作品に選んだのがJason GroveのEPだった。「Lost Cuts」と題されたそのEPは、なんと15年前に制作されたテープ音源をアナログ化したと言う触れ込みだった。Jason Groveはデトロイトにて80年代から活動しているDJ/アーティストらしいが、Facebookなどのアカウントを見ても実際にどんな活動をしていたのかは全く明るみにならないミステリアスな存在だ。逆にその神秘性が評価の判断を音のみに委ねる事に直結しているが、彼にとって長い経歴の中で初のアルバムとなるこのアナログ2枚組(恐らくデジタル配信も無し)はお世辞抜きに素晴らしい。タイトルである「313.4.Ever」の313とはデトロイトの市外局番であり、つまり「デトロイトよ、永遠に」とデトロイトへの愛と敬意を示した内容なのだ。全体的にロウな手作り感のあるオールド・スクールなディープ・ハウスではあるが、色気のあるボイスサンプルや優美でメロウなシンセのコード展開によって穏やかな情景が広がり、ホーンやサックスのファンキーな音は黒く生臭い空気を醸し出し、TR808らしき味気ないキックやハイハットとクラップ音は上モノの雰囲気を壊さずに臨場感のあるグルーヴを生み出している。敢えて洗練と研磨し過ぎない事が生々しい臨場感や生身の温かさをダイレクトに表現する事に繋がり、デトロイトらしい熱き魂を持った人情味を実直に伝える。特に凝った展開を待ち受ける作品ではないものの、内在するソウルを実直に音として表現したディープ・ハウスで、Skylax Recordsが考えるタイムレスなハウスサウンドを体現したと言って良いだろう。アナログのみと敷居は高くなってしまっているが、しかし自ずから求める人にのみ音を届けると言う頑ななスタンスにも好感が持てる。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moodymann - Jason Groove Edits (Not On Label:JMFG1)
Moodymann - Jason Groove Edits

嘘か真かJason Groove(Jason Groveの誤り?) aka JMFG (Jason 'Mutha Fuckin' Groove)によるMoodymannのリエディット盤らしい。Jason Groveは80年代後半からアンダーグラウンドで活動しているアーティストとの触れ込みで、昨年からSkylaxとその傘下のWax Classicからクラシカルなデトロイト/シカゴに忠実なハウスをリリースし始めた要注目なアーティストだ。と言ってもfacebook等でも全くの匿名性を保っており、一向に詳細が明らかにされない活動も余計に興味を駆り立てる訳だ。しかしその手腕は紛れも無くベテランのモノであり、ここで披露しているリエディットもフロアで使い易い様に、かつ元の煙たく悪そうな性質も失わずにロービートでファンキーなハウスへと仕立て上げている。"I Got Werk"のオリジナルは熱いディスコのビートと生臭いファンク風な演奏が特徴だったが、ここではドスの効いたキックを打ち込んで力強い4つ打ちを鳴らしつつより不良っぽさを強調している様だ。Moodymannの初期傑作"Tribute! (To The Soul We Lost)"はサンプリングを駆使した歌がどす黒い空気が渦巻く肉体的なディスコハウスであったが、Groveは夜の帳が下りた後の官能的な時間帯に誘い込む様にムードーあるハウスへと調理した。温かいボーカルの包容力が心地良い"Without You (Kenny Dixon Jr. Remix)"は、歌物のハウスからジャジービートへとぐっとレイドバックしてMoodymannの孤独がより感じられる。他に"Dirty Little Bonus Beats"も収録されており、計4曲のリエディットを収録。オリジナル盤が高騰し入手困難な事もあり、良質なMoodymannの音源を求めている人にも是非お勧めしたい一枚だ。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |