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Andres - D.ATLien EP (NDATL Muzik:NDATL 021)
Andres - D.ATLien EP

ここ数年暫くは自身で立ち上げたLa VidaからのEP作が続いていたヒップ・ホップとハウスをクロスオーバーするデトロイトのAndres。2019年にも新しいEPと、そしてMahogani Musicから待望のアルバムがリリースされているが、その前に2018年暮れにリリースされた本作も素晴らしいので、随分とレビューが遅れてしまったものの漏れずに紹介したい。こちらはKai Alceが主宰するNDATL Muzikからのリリースとやや意外ではあるものの、それもあってかいつものヒップ・ホップを下地にしたハウスではなく、キューバのパーカッショニストでありラテン・ミュージシャンである父のHumberto "Nengue" Hernandezの影響を受けたのだろうか、ラテンやアフロの陽気なグルーヴが炸裂するハウスを前面に出した異色な内容だ。A面の「Latin Side」の"Ensolardo (Sunny)"は燦々とした太陽光が降り注ぐ屋外の雰囲気のブラジリアン・ハウスで、激しくも爽快で跳ねるようなラテン・パーカッションの力強いグルーヴ感と情熱的な女性の声に先導され、ジャズやファンクを思わせる管楽器やキーボードの生々しいメロディーが色彩豊かに彩り、その音楽によって大勢の人達が踊り狂い全身で喜びを表現しているような風景が浮かび上がる圧倒的に楽天的な雰囲気だ。そして細かく歯切れの良いコンガのパーカッション乱れ打ちビートから始まる"Cafe Con Leche"はそこからブロークン・ビーツ風に鋭くもしなやかなリズムを叩き出し、優美なエレピやスペーシーなキーボードの甘くも艶のある響きがフュージョン的でもあり、クラブ・ジャズとの親和性の高さを伺わせるモダン性がある。B面の「Northwest Side」へと移るとこちらはいつものAndresといった音楽性で、"D-Town Connection"はデトロイトというモーターシティーのディープ・ハウスで、生っぽいざらつきのある歯切れ良いハウスのグルーヴにムードのある管楽器や艶めかしいシンセによって落ち着きながらも燻したような湿っぽさを感じさせる。そしてざっくりラフなヒップ・ホップ感のあるリズムが切れる"I Can't Hear You"は彼らしいサンプリング重視なファンキーなハウスで、軽く跳ねるようなグルーヴとブギーな煌めきや芳醇さのあるシンセが陽気で、古典な佇まいを纏った作風だ。"Come 2 Me (Instrumental)"はMoodymannのアルバムに収録された曲のインストバージョンで、色っぽくも卑猥な歌が削除されてヒップ・ホップとディープ・ハウスが溶けあった粘り強いグルーヴ感が強調されて聞こえる。とまれA面いつものビートダウンやヒップ・ホップを元にした曲と比べると、本作では随分と陽気かつ開放的でエネルギッシュな勢いがあるが、やはりサンプリングをベースにしたファンキーかつソウルフルな作風はこれぞAndresでファンであれば当然買いな内容である。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Salsoul Sounds Familiar (Re-Edits, Remixes And Remakes From The Sounds Familiar Crew) (Sounds Familiar:SALSBMG16LP)
Various - Salsoul Sounds Familiar (Re-Edits, Remixes And Remakes From The Sounds Familiar Crew)
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その後はハウス・ミュージックの萌芽へと繋がっていくなど現在のダンス・ミュージックに非常に強い影響を与えたディスコ・ミュージック、その音楽の中でも伝説的レーベルとして名を残すのがNYのSalsoul Recordsだ。The Salsoul OrchestraからDouble ExposureやLoleatta Holloway、SilvettiにFirst Choiceなどを始めとしてディスコという枠組みにおいて欠かす事の出来ないアーティスト/バンドを多く抱えるレーベルであり、サルサ+ソウルの混合を発展させてラテン・ファンクな豪華かつソウルフルな響きを用いて、70〜80年代を席巻した重要レーベルだ。本作はそんなレーベルがイタリアのディスコ・レーベルであるSounds Familiarとコラボレーションし、現在のダンス・ミュージックとして生まれ変わらせた企画盤であり、ディスコから派生したハウスへとより接近させてDJ仕様な手を加えている。作品の多くは原曲の雰囲気を壊す事はなくSalsoulの優美さを残しており、例えばDJ Spinnaによる"Chicago Bus Stop (Ooh I Love It) (DJ Spinna Refreak)"はゴージャスなオーケストラ・サウンドやトランペット等の優美な響きはそのままにリズム感を滑らかなハウス・ミュージックのそれに置き換えた上で、派手さをコントールして全体を綺麗に洗練させてより大人びたムードが加わっている。TwiceとVolcovによる"Stimulation (Twice & Volcov Edit)"やSpecterによる"Latin Lover (Specter Edit)"は至っては正にエディットなので音的には原曲との差が無く、DJとして使いやすようにシンプルな構成を反復させる事で、ドープさを増してズブズブと嵌めていくエレクトロニック・ファンクの前者、メランコリーなハウス調の後者へと、それぞれがDJ仕様になっている。如何にもなりミックスと言うならば名曲"Thousand Finger Man"をGe-ologyがハウス・ミュージックに仕立てた"Re-Fingered With Love"で、上モノのピアノやシンセの旋律はおおよそ原曲そのままだが跳ねて疾走するリズムは明らかにハウス・ミュージックのそれであり、ドタドタとしたバンド・サウンドな原曲と比較するとこのリミックスは現在のダンス・ミュージックとして成立している。また元々は4分にも満たない曲だったものがKai Alceが手を加えた"Salsoul Rainbow (Kai Alce NDATL Edit)"は9分にまで尺が伸ばされ、土臭くファンキーなベースやドラムのリズム帯に合わせてゴージャスなオーケストラが組み合わさった優美なサウンドによるドラマティックな展開を、これでもかと言う程に堪能出来る。どれもこれも見事なまでにSalsoulの華々しいディスコ・サウンドそのままでその意味では基本リミックスではない為に大きな驚きはないが、名曲ばかりなのでSalsoulやディスコへの足を踏み入れていく為の入り口として捉えても価値はあるだろう。



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| HOUSE13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hugo Mari - Change Ur Ways (Heist:HEIST 035)
Hugo Mari - Change Ur Ways
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Max GraefにNachtbrakerやNebraskaら強力な新世代アーティストを擁するハウス系レーベルのHeistから見知らぬアーティスト名であるHugo Mariの初の作品がリリースされたが、ネット上で調べてみるとどうやらOmenaやXVI Recordsから作品をリリースしているロンドンの新鋭・Booksの本人名義での活動のようだ。前述のレーベルからの作品ではサンプリングを用いながら生っぽさも残してディスコティックな雰囲気のあるハウスを聞かせており、一聴して耳を惹き付けるキャッチーなメロディーの魅力もあって、既に人気DJからもサポートされているという。そして新作はHeistからとなれば、このレーベルが既に実力ある多数DJを輩出しているのだから、もはやHugo Mariの実力もお墨付きというものだろう。レーベルとしてはブギーでブラック・ミュージック性も強い音楽性もあってか、この新作は以前にも増して生々しく黒さが発せられている。特にそれが顕著なのは"Get Loose"で生っぽくざらついた4つ打ちのリズムに大きくうねるベースラインを強調したトラックに、艶めかしいソウルフルな歌や官能的なトランペットやピアノも加わってジャジーでブラック・ミュージックらしく展開するこの曲は、例えばMoodymann辺りが好きな人にも響くに違いない。"Change Ur Ways"はもっと分かりやすいハウス・ミュージックで骨太で硬いキックが地面に突き刺さりつつ、同じく薄っすら繊細なピアノやトランペットが色気を滲ませ、強いグルーヴで跳ねながらもエモーショナルな芳香が沸き立っている。"Can You Feel Your Senses?"はやや湿り気を帯びた音質のビートと感傷的なシンセのコード展開を用いて、そこに入ってくるダビーな呟きが儚さを演出し、EPの中でも最もメランコリーでソウル性の強い曲調になっている。そして特筆すべきはデトロイト・ハウス方面でアンダーグラウンドな活動を行っているKai Alceがリミキサーとして参加している事で、"Get Loose ft. Zodiac (Kai Alce NDATL Mix)"は原曲の雰囲気を殆どいじってはいないものの、原曲が多少ディスコやファンク寄りだとしたらリミックスはより滑らかな流れや質感を持ったディープ・ハウスとして丁寧に磨きをかけられており、デトロイト・ハウスとしての情熱的な温かみが増している。どれもソウルフルで心に訴えかけてくる感情性の強さがあり、アーティストとして一目置くべき存在だ。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part One / Two (Sound Signature:SSCD 09)
Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part One Sound Signature Presents These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now - Part Two

今も尚デトロイト・ハウスを引率し続ける鬼才・Theo ParrishによるSound Signatureは、近年は自身以外の作品も積極的にリリースするようになり、そのブラックネス溢れる音楽性をより豊かに実らせている。そして本作はそんな流れを含むレーベルコンピレーションであり、タイトルが示すように本来はレコードでリリースされる事を望んでいたであろう作品集だ(CDから後にアナログカットが始まっている)。曲を提供しているのはTheoを筆頭にHanna aka Warren HarrisやAlton MillerにMarcellus PittmanやKai Alceといったハウス側のベテラン、そして新世代を代表するKyle Hall、TheoによるバンドのThe Rotating AssemblyからJohn Douglasといった演奏者、過去にSound Signatureからもリリース歴のあるDuminie DeporresやAndrew Ashong、デトロイトのソウル・シンガーであるMaurissa Rose、Theoと共演したTony Allenら、Theoと関連性のあるアーティストが集まっておりレーベルの作品集として正しくあるべき姿での内容だろう。ただし参加アーティストは公表されているものの誰がどの曲を手掛けたかは記載されていないが、それこそただ音楽を感じ楽しめばよいというような意志の現れなのだろう。アルバムは恋焦がれるような熱い女性ボーカルとピアノ演奏によるソウル・トラックの”Somewhere Inbetween"で始まり、錆び付いたロウ・ビートと黒光りする官能的なピアノによるサイケデリック・ジャズな"Whachawannado (Instrumental)"、鈍く響く歪なビートがミニマルに展開し闇の中から色気も滲み出てくるTheo作の"Faucet"など、Part Oneからして間違いなくSound Signatureのレーベル性に違わない音楽性だ。また"Pure Plastic"は透明感のある優美なコード展開と軽快でジャジーなグルーヴが心地良く、Millerによる"Bring Me Down"もスムースな4つ打ちとソウルフルなボーカルにうっとりさせられ、時代に左右されないクラシカルなハウスも収録されている。Tony Allenが参加した"Wayshimoovs Rx"はやはりというか艶かしいアフロ・ビートが息衝いており、Theoのブラックネスをより濃厚にする個性を付加している。最後は2015年にEPでリリース済みのThe Unitによる"Ain't No Need (Live - Version 2)"で、原曲の優しさで包み込むディスコ感を損なわずに、肩の力が抜けたセッションをするジャズ・ファンクへと生まれ変わらせ、ルーツへの意識も忘れない。ハウスを軸にソウルやファンク、ジャズやヒップ・ホップなど黒人音楽を咀嚼し、メランコリーからサイケデリアまで表現するSound Signatureの作品集は、当然の如くそれらにはどれもTheoの濃密な黒さが投影されており、単なるダンス・ミュージックではないレーベルの強い個性を主張している。





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| HOUSE12 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Midori Aoyama - Local Talk vs EUREKA! - Our Quality House (House of EUREKA!:ERKCD001)
Midori Aoyama - Local Talk vs EUREKA! - Our Quality House
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どのジャンルでも多少はある事だと思うが、特にハウス・ミュージックという枠組みの中では半ば普遍的なクラシックと呼ばれる曲、またはレジェンドと呼ばれるDJ/アーティストが評価され、業界の中で代謝が進んでいないのを感じる事は少なくない。そんな中から割って出てきたのがMidori Aoyama、Kenji Endo、Sioによって開催されているEureka!で、2012年にかつてのLoopで始動したこのパーティーは、現在に至るまで転々と場所を変えながらヨーロッパのモダンなハウス・アーティストを招聘してこのシーンに刺激を与え続けている。特にEureka!が強くフィーチャーしているのが、元Raw Fusion主宰のMad Matsによって新たに立ち上げられたスウェディッシュ・ハウスのLocal Talkで、モダンとクラシックを両立させたハウス・ミュージックの新世代レーベルとして高い評価を獲得しており、創立から4年にして既にカタログは60を超えるなど飛ぶ鳥を落とす勢いがある。単にハウス・ミュージックという言葉で括られる狭い音楽性ではなく、そこにはブギーなりジャジーなり、テクノやブロークン・ビーツまで多様性を伴い豊かな感情性を伴う音楽の寛容性が魅力だろう。そんなLocal TalkとEUREKA!が手を組んで制作されたのが、同レーベル音源のみをAoyamaがミックスしてパーティーの臨場感を封じ込めた本作だ。冒頭のアフロなリズム感が爽やかな風を巻き込む中から華麗なエレピやギターの旋律でメロウに始まる"Hot Medusa (Kai Alce Remix)"、続いて仄かにメロウで気品も漂うテック・ハウスの"Sunday Morning"で情緒も放ち、トランペットのゴージャスな響きや湿って切ないピアノによる生っぽさが温かい"No One Can Stop Us"など、序盤からハウスを基軸にジャズやラテンのフレイバーを発しながら滑らかな流れで耳を惹き付ける。そして中盤のフロアを意識したオールド・スクール感の強いハウスの流れから、終盤に入ってライブ感のあるシンセワークに魅了される"Eye Light (Midnight)"や殆どパーカッションの変化だけで劇的な展開を生み出すDJツール性の高い"Trummor"など、味気無い展開には陥らずに終始うきうきと胸が高鳴るような変化で自然に聞き入ってしまう事だろう。Local Talkを知っていようがそうでなくとも、素敵な曲のそれぞれの魅力を壊す事なくミックスし、EUREKA!というパーティーの現場の高揚感やドラマティックな雰囲気を擬似的に生み出しているのだから、EUREKA!ファンだけでなく根っからのクラシック・ハウスを好きな中年以上にも是非耳を傾けて欲しいものだ。それに何といってもLocal TalkのEPは少々値が張るので、こうやってショーケース的に纏めて聴けるのもありがたいのだから。

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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kai Alce Featuring Rico + Kafele Bandele - Take A Chance (NDATL Muzik:NDATL013)
Kai Alce Featuring Rico + Kafele Bandele - Take A Chance

Kai Alce主宰のNDATL Muzikはシカゴやデトロイトのテクノ/ハウスを基調に、そして時にはその周辺の巨匠による非常に貴重な未発表曲を掘り起こしたりと、地味にEPを粛々とリリースするアンダーグラウンドな活動性ながらもその音楽の質の高さは疑いようがない。ちなみに最近知ったのだがNDATL Muzikは、New YorkとDetroitとAtlantaの頭文字から名付けられており、その地域の音楽からの影響を受けている事を意味しているそうだ。そんなレーベルの新作は主宰者であるKai Alceによるもので、ボーカリストのRicoとトランペッターのKafele Bandeleを起用したボーカルハウスを披露している。変わる事なく淡々と刻まれるくすんだ4つ打ちとアフロなパーカッションに、静かに情緒を添える温かいシンセのコードと低温で燻るようなムーディーなトランペットのメロディーが加わり、そして囁くように官能的に歌われるボーカルによって一層そのソウルフルな雰囲気は強みを増す。決して派手な展開や大きな衝動はないものの、厳かで内省的な音楽性を探求するLarry Heardのように感情に静かに訴えかける音が着実に耳を惹き付ける。とそんなオリジナル作品をリミックスしたのが何とLarry Heardで、まるで師弟関係のような両者の音楽性なのだから当然リミックスの相性もベストと言っても間違い無しの出来だ。先ずはLarry名義でのリミックスとなる"Take A Chance (Larry Heard Vocal)"は原曲のメロウな面をそのまま活かしつつ、更に洗練に磨きを掛けて透明度を増したシルキーとでも呼べばよいのか、非常に上品でタイムレスな響きを放つディープ・ハウスへと昇華している。そしてMr.Fingers名義でのリミックスとなる"Take A Chance (Fingers Ambient Vocal Mix)"は、近年原点回帰も見せている流れに沿ったアシッド・ハウスとアンビエントが入り交じるディープ・ハウスで、ヒプノティックながらも何処か夢の中で響くようなアシッド・ベースの胎動と胸を締め付ける切ないトランペットのメロディーが交錯するフロアでの存在感を示すスタイルだ。いやはや、やはりLarry Heardの全てを許容する包容力と心に染み入る郷愁に満ちたディープ・ハウスは別格と言わざるを得ない。タイムレスとは正にこの事だ。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Brett Dancer - The Hybrid EP (NDATL Muzik:NDATL-011)
Brett Dancer - The Hybrid EP

デトロイトにてKai Alceが主宰するNDATL Muzikはデトロイトの才人らの秘蔵トラックなどもリリースするなど、デトロイトのカルトレーベル的な印象を受けるが、そのレーベルの新作はNYにてTrack Modeを主宰するBrett Dancerが担当している。そのTrack Modeはデトロイト〜シカゴの影響が色濃いUSハウスレーベルであり、例えばBrett自身もLarry Heard辺りにも通じるシルキーなディープ・ハウスを手掛けているので、NDATL Muzikとの相性は良いだろう。Brettはと言うと近年は作品のリリースは少なく地味な活動である事は否めないが、しかし本作に収録されている曲を聴けばその才能を感じ取れるはずだ。A面の"Hybrid"は穏やかで柔らかいキックの4つ打ちがスムースなグルーヴを生み、すっと浮かび上がる温かいパッドとコズミックなシンセのリフが落ち着いた包容力を持つディープ・ハウスで、軽快なビート感と相まって実に洗練された味わいを持っている。B面では幾分かアップテンポでエレクトロニックな質感を強調しながらも爽快なボーカルサンプルを取り入れた"Someone (Brett Dancer Dub)"、ラフな音質のリズムが攻撃的ながらもやはり薄く伸びる上モノに優雅な大人の要素を感じ取れる"Something"を収録しているが、基本的にはクラシカルな4つ打ちのディープ・ハウスの体裁を保っている。どれも今の時代を象徴する音ではなく、Track Modeを主宰するBrettという個性を表現する音であり、その意味では自身の音楽性に全くぶれがなくアーティストとして信頼出来るのだ。地味ではあるが淡白ではない、慎ましくソウルフルな感情を打ち出したディープ・ハウスは、時代に関係なく聴ける作品として素晴らしい。



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| HOUSE10 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Omar-S - FXHE 10 Year Compilation Mix 1 (FXHE Records)
Omar-S - FXHE 10 Year Compilation Mix 1

数多くいるデトロイトのアーティストの中で、00年代を代表する一人と言えばAlex. O. SmithことOmar-Sではないだろうか。デトロイト・ハウスの情熱と機能的なミニマルを掛け合わせた - 本人は「モータウン・ミニマル」と呼ぶ - スタイルで、エモーショナルながらも荒くれた衝動を発するハウスをアナログで量産してきた。作品の多くは自身が主宰するFXHE Recordsからリリースされているが、このレーベルではKyle HallやLuke HessにBig Strickら新世代の発掘にも貢献するなど、デトロイトの新世代の活動の場としても高い評価を得ている。そんなレーベルも活動10周年になるのに合わせ、レーベルのコンピレーション・ミックスがリリースされた。作品の多くはOmar-Sによる曲だが、中にはGunnar WendelことKassem MosseやKai Alce、Luke Hessらによる曲も収録されており、アナログでしか手にする事が出来なかった曲がふんだんに使用されている事に先ず価値がある。その上で音楽性にも言及すると、やはり一般的なデトロイト・ハウスとは異なりハウスが根底にはありながらもよりローファイな電子音を打ち出しており、確かにソウルフルな感情もありつつも何処か冷えているような黒さが特徴だ。荒涼としたデトロイトの空気を音像化したようにも聞こえる廃退的な音質の中から、仄かな情緒を含むシンセのメロディーが浮かび上がり、希望の火を灯すように低温の熱量が蓄積していく。決して高熱量の盛り上がりを引き起こす事はなく、どちらかと言えば地味に燻り続ける機能性重視でミニマル度が高いハウスなのだが、これこそがデトロイトの中でもOmar-Sに対して独特の個性として評価されているのだろう。ミックスはされているがあくまでレーベル・コンピレーションとしての作品なので、ミックスの妙技を楽しむのではなくFXHEのレーベル性を知るための作品として楽しむべきアルバムだ。




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| HOUSE10 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Power Plant Experience - The Power Plant EP (Mathematics Recordings:MATHEMATICS 073)
The Power Plant Experience - The Power Plant EP

ロウ・ハウスやジュークといった音楽に共振するように、にわかに感じさせるシカゴ・ハウス復権の流れ。その中でもイタリアから妄信的にシカゴ・ハウスへの偏愛を見せるアーティストがSimoncinoであり、古いドラム・マシンなどのアナログな音を基軸に本物と全く変わらない初期シカゴ・ハウスを世に蘇らせている。本作は様々な変名を用いて活動する彼にとって新たな名義となるThe Power Plant Experience名義でのデビュー盤であるが、これは言うまでもなくかつてFrankie Knucklesがオープンさせたクラブの名前から取られているのだろうから、やはりシカゴ・ハウスへの愛は相当なものだ。何と言ってもタイトル曲の"The Power Plant"から素晴らしく、ハンドクラップやどたどたとした野暮ったいドラム・マシンのリズム、そこに郷愁の念を誘う深遠なシンセがリードしていくこのハウス・トラックは、生まれてくる時代を間違えたのかと錯誤する程に初期シカゴ・ハウスの音として成立している。"My Father's House"にはシカゴ・ハウスの巨匠・Virgo FourからMerwyn Sandersがボーカルで参加しており、呟きのような優しく癒やすような歌い方が作品に色っぽさと深みを与えている。また"Plant Tracks 3 (1991 Kai Alce Remix)"はデトロイトシーンのKai Alceによるリミックスで、切なさや古い空気感を残しながらもリズムを骨太に肉付しつつ光沢感のあるシンセや導入し、現代の音にも馴染むように手が加えられている。計5曲収録のそのどれもがオーセンティックなシカゴ・ハウスであり、迷いなき方向性がSimoncinoへの期待をより高めるだろう。

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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Assorted Elements E.P. (NDATL Muzik:NDATL005)
Assorted Elements E.P.

DEMFのアフターパーティ会場で200枚だけ販売されたと言う触れ込みのEPが、そこから一年を経て新曲も追加した上で公式リリース。とは言っても今回もワンショットのみなので、気になる方はお早めに。NDATL MuzikはKai AlceがNew Yorkで立ち上げたレーベルで、しかし音の方向性は確実にデトロイトハウス/シカゴハウスのオールドスクールへと向けられているアンダーグラウンドなレーベルです。特にデトロイトの伝説的なクラブ"Music Institute"のアニバーサリー時には、偉人らの未発表曲を発掘してコンピレーションとしてリリースするなど特異な運営を行っています。本作でもKai Alce(=KZRC)自身以外にも、Theo ParrishとLoosefingers(=Larry Heard)らの曲が収録され内容は抜群。Kai Alceの"Lost"、Loosefingersの"303 Indigenous"ではトリッピーで不気味なアシッドが反復するTB-303アシッドハウスは彼らのお家芸で、変わらない事が良くも悪くも彼らの信条。お薦めはTheo Parrishの"Voice Echoes In The Dark"、最近の彼の方向性とは異なるボイスサンプルを執拗に繰り返すミニマルなトラック。シカゴハウスの雑な音質を出しながらも普段よりエレクトロニック度も高めで、彼の作品の中ではかなりフロア向けです。KZRC名義の"Thoughts...Sunny Day"のみソウルフルな面を打ち出したジャジーハウスで、ラフな音質の中にも色気が漂っており官能的。駄曲一切無し、デトロイト/シカゴ好きには涎が出る一枚です。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - In The Mix - Simply Devotion (Cocoon Recordings:CORMIX026)
Cassy - In The Mix - Simply Devotion
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今テクノで隆盛を極めているレーベルの一つ・Cocoon Recordingsと言えば、昔の巨人みたく他のレーベルで育ったアーティストを上手く流用している感じで余り好みのレーベルではないのですが、この"In The Mix"シリーズだけは通な人選と高品質を保ち続けていて好感の持てる所です。そして新作はドイツで今最も熱いとされるクラブ・Panorama Barのレジデントの一人・Cassyが担当。以前のMIXCDもかなり渋い音でしたが新作も相当に渋く、前半はシカゴハウスの不穏な空気とドイツのミニマル感覚を足したモノクロな音が中心。緩いテンポながらもねちねちと重く濃いグルーヴがあり、中盤からはテック系も混ぜたりするも全然アッパーにならずに暗めの廃退的な音が続きます。終盤でようやく日の目を浴びるように情緒漂うディープハウスに移行して、程よい盛り上がりを見せて上手く終わりを迎えます。こう書いてみると何だか単調で地味な印象を受けるかもしれませんが、実際は緩いハウシーなグルーヴは上げず下げずの微妙なバランスの上に成り立っていて、派手ではないけれど高揚感がじわじわと染み入るプレイでした。しかし実際にこんな感じでクラブでもプレイするのかしら?ラウンジ向けだと丁度良い位な気もする。

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| HOUSE5 | 10:30 | comments(4) | trackbacks(0) | |
Steve Bug - The Lab 02 (NRK Sound Division:LAB002)
Steve Bug-The Lab 02
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ミニマル旋風の中で着実に評価を上げてきたPoker Flatのボス・Steve Bugが、重要ハウスレーベルの新たなるMIXCDシリーズ"The Lab"の第二段に抜擢されました。この人の作るトラックは凄い秀でてる訳じゃないけれど、DJMIXに関しては中々グルーヴィーで色気やディープさを伴いベテランらしい大人なプレイが多く、アーティストと言うよりはDJ気質なお方だと思います。今回は2枚組みでそれぞれコンセプトを分けてプレイ。CD1はハウス〜ディープハウスの現代的要素をフューチャーした滑らかで深みのある音をコンセプトに、小さなクラブで一晩中プレイするのを意識した展開だそうです。実際殆どアッパーにはならずに緩みのあるグルーヴで、ミニマルでパーカッシヴなずぶずぶと深みにはまるプレイ。終盤テッキーで幻想的な場面も出てくるけれど、結構地味かな…。対してCD2はアップリフティングに、でもソウルフルかつテッキーな大箱向けのプレイだそうですが、う〜ん、やっぱり地味じゃないかな。ディープなミニマルを中心に終始陰鬱な音が続いて、ずっと沼の底に陥るような印象。これが今のクラブのメインストリートなの?なんかいかにもテクノって感じではないんだよな、ハウシーではあるけれど。一晩中こんな落ち着いたのを聴いて踊るほど自分はまだ歳くっちゃいないし、もっとテクノらしい衝動がある方が俺は好きだけどな。それに以前は聴けたセクシャル、アダルティーな要素が薄まっているのも個人的には残念。自分とSteve Bugの求める音に距離感を感じました。

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| TECHNO7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2008/10/24 Flavorful Tokyo feat. Kai Alce @ Liquid Loft
アンダーグラウンドなシカゴハウスをリリースするTrack ModeやMoodymann主宰のMahogani Musicなどからもリリース経験のあるKai Alceが初来日。Kai Alceはまだまだリリース数は多くないものの、Ron Trentのフュージョン節とMoodymannの黒っぽさを足して2で割った様なディープハウスで評価を得ていて、今回の初来日を楽しみにしておりました。日本からはベテランのDJ Nori、NYからはDJ Alex From Tokyoと完全にハウス一色の一夜となったのでした。

とは言いつつも当日は7〜12時位まで飲み会があり、かなり酒を飲んでいたのでLiquid Loftに着いた頃にはぐったりですよ。しかもLiquid Loftは周到にソファーやゆったり目の椅子が多く用意されているので、もう寝てくださいと言わんばかりの状況。DJプレイの方も全体的にはラウンジっぽい場所を意識しているせいかアッパー目のハウスは殆ど回さずに、ディスコとか歌物ハウスとかディープハウスとかを緩やかにムードたっぷりに聞かせる感じだったかな。正直、飲みすぎてそんなに記憶が無いのです。でもKai Alceは期待していた生っぽくパーカッシヴなハウスなども回してくれたし、ぐだぐだと耳を傾けて夢現な状態で聴くには丁度良かったかもしれないですね。ただLiquid LoftはHPでイベントの告知を全くしないので、集客がそんなに良くなくもったいないですよね。折角Kai Alceの初来日だと言うのに、たかだか100人以下しか人が集まらないと言うのも甚だ残念である。ネットが発達して情報を得やすくなっているのに、全体的に情報を集める能力が低下しているんじゃないでしょうか。与えられるだけではなく、自ら求める事をしなければシーンは停滞して行くばかり。
| EVENT REPORT1 | 22:30 | comments(4) | trackbacks(1) | |