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2016年は大躍進を果たしたKeita Sano、瀧見憲司に見初められClue-L Recordsからアルバム『The Sun Child』
(過去レビュー)をリリースするやいなや、今度はPrins Thomas主宰のRett I Flettaから更にアルバムである本作をリリースと、他にも同年に7枚のEPをリリースしている事を考えると異常な程のハイペースな量産体制に驚かずにはいられない。その活発な制作活動と共にテクノからニュー・ディスコにロウ・ハウスやブレイク・ビーツと的を絞らせない振り幅の大きな音楽性が彼の特性で、型破りにも思えるエネルギッシュな活動がOppa-laで彼のライブを見たPrins Thomasを刺激し、その結果として本アルバムのリリースに至ったのは実力主義が認められた証拠だ。そんな本作を本人は「テクノ、ハウス、ディスコを解釈したアルバム」と述べているが、正にその通りで当初からのごった煮なサウンドを彼らしいやんちゃなムードで染めており、Crue-LからリリースしたアルバムよりもSanoの初期の個性がより際立っている。ロウな4つ打ちとスネアがロールする光が溢れてくるディスコティックな"Full Of Love"から始まり、金属がひしゃげるような音が特徴のロウ・ハウスの"Leave The Floor"ではアシッド・ベースがうねり奇妙なトリップ感を生み出している。毒々しいトランス作用のあるアシッドから始まる"Honey"では、途中から祝祭感のある電子音やディスコなベースも走り出し、じわじわと多幸感を増していくアシッド・フィルター・ディスコでフロアでの作用も抜群に違いない。"Vood"は一風変わった曲で序盤はビートレスな中で鈍い金属音が持続し、途端に重厚なキックが入ると冷気を帯びたテクノへと変化するツール性の高い内容で、しかしこのトリッキーさもSanoの音楽性そのものだ。アルバムの中で最もパーカッシヴな"Sucker Pt. 2"は何か原始的な胎動も伝わってくるが、射し込んでくるキラキラした光のようなシンセがディスコ色に染める爽快な曲だ。僅か7曲のアルバムとは言えここにはSanoの音楽性が存分に展開されており、荒々しくもその初期衝動的なエネルギーや骨太さが、愉快痛快で気持良い位だ。
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"Keita Sano"