2019/10/11 Modern Disco Feat. Harvey Sutherland @ Contact
Yosa & Taarがレジデントを担当するModern Discoは新世代のハウス〜ディスコを聞かせるパーティーで、今までにもベテランだけではなく新鋭のディスコDJも多く招聘し、特に若い世代に人気を博している。今回はモダン・ブギーやディスコにファンクといった音楽をライブで表現する新世代では特に実力のあるHarvey Sutherlandをゲストに迎える事になり、ヴィンテージなアナログシンセを用いたディスコ・サウンドによって現在形のディスコを体験させてくれるに違いない。
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Keita Sano - Partiest #1 (Crue-L Records:KYTHM159DA)
Keita Sano - Partiest #1
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2013年デビューと比較的若い世代では頭一つ抜きん出た実力者、2019年には更なる活動の場を求めてベルリンへと移住したKeita Sano。ロウ・ハウスやアシッド・テクノ、ディスコ・ハウスにダンスホール・レゲエと若さ故の衝動と言わんばかりにジャンルに執着せずハイエナジーなダンス・ミュージックを、年に何枚ものEPとしてハイスペースで送り出す程に、音楽への意欲とアイデアは溢れるように盛んでエネルギッシュな存在だ。Rett I FlettaやMister Saturday NightにLet's Play House含む世界各国のレーベルから引く手数多という表現も嘘ではない人気っぷりだが、ここ日本に於いてはCrue-L Recordsに見初められている。本作は2018年末にリリースされた同レーベルからは2枚目となるアルバムで、プレスリリースによると「パーティー・マシン・ソウルの猪突猛進型ニューウェイブ。精度と肉感が増強。」との事で、実際に本作は以前の作品に対してより強度を高めたテクノへと向かっている。獰猛で荒々しい質感は今までと同様だが冒頭の"3 7 Point 1"を聞いても分かる通り、金属的なノイズ混じりの刺々しく不協和音にさえも聞こえるダーティーなテクノは、この曲自体はビートレスであっても内から凶暴なエネルギーが無尽蔵に溢れ出すかのようだ。続く膨張したキックと不気味な電子音のループ、破滅的なパーカッションによって繰り出されるもはやインダストリアルにも近い"HUMANOID"、逆に音を削ぎ落とし荒削りなリズムを浮かび上がらせたシカゴ・テクノ風な"4 Club Use Only"と、序盤には非4つ打ちの変化球的な構成ながらも荒廃した世界観が強烈な印象を残す。"But Is Not For Everyone"は従来の音楽性に沿った勢いと太さのあるハイエナジーな4つ打ちだが、これにしてもひんやりと感情を廃したような金属的な冷たさが続き、不気味に牙を剥くアシッドのベース・ラインが雰囲気を作り上げるツール特化型のダンス・トラックだ。不思議な事にアルバムの後半に入ると陽気なパーティー感のあるメロウネスも現れてきて、切れのある変則的なビートの躍動と共に明るくハッピーな気分のメロディーが弾ける"R.I.P."や、霞むダビーな音響の中から繊細なピアノが浮かび上がり幻想的な美しさを放つハウスの"PARTIEST"、そして最後にはノンビートな状態に不明瞭ながらもエモーショナルなドローンが充満するアンビエントな"For You"で上り詰めた高揚は跡形もなく霧散する。震撼する激しいテクノから徐々にドラマティックに振れていく新境地もあるアルバム、相変わらずその音楽性はリスナーの予想を擦り抜けながらも、しかし精度と肉感が増強という触れ込み通りのパワフルな音楽性でまだまだその進撃は止まりそうもない。

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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2019/1/26 Forbidden Dance × FreedomSunset ”New Years Party” @ Solfa
毎年夏の季節に湘南は江ノ島で開催されているSunset Loungeは老若男女が楽しめる夏の野外パーティーとして定着しているが、今回そこから派生したのはSolfaで開催されるクラブ型のFreedomSunset。しかも今回はSunset Loungeレジデントの一人である井上薫が主宰しているForbidden Danceとのコレボレーションで、更にはもう一人のSunset LoungeレジデントであるCalmも出演する事になり、クラブ型ではありながらも完全にSunset Loungeイメージそのものが投影される。クラブ開催ではありながらも夕方〜夜にかけての時間帯なので、また真夜中のパーティーとは異なる雰囲気もあるであろうし、期待が高まる。
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| EVENT REPORT7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
keita Sano - Ōtotsu (Let's Play House:LPHWHT18+)
keita Sano - Ōtotsu
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引く手数多と呼ぶには言い過ぎだろうか、いや、決してそれも誇張ではない位に日本から世界に向けて今最も注目を集める若手アーティストであるのは間違いなく、事実Crue-L RecordsをはじめRett I FlettaやMister Saturday Nightと言った人気レーベルからHolic Traxや1080pを含む多くのアンダーグラウンドなレーベルからも求愛を受けるアーティストがKeita Sanoだ。2012年頃から作品をリリースするも既にその量は30作を超えるなど尋常でないハイペースで量産しながら、その多作さに呼応するようにテクノ〜ハウス〜ディスコと作品毎に作風のバラエティーも広げて、幅広くファンを獲得している。本作は過去にもリリース歴のあるニューヨーク拠点のLet's Play Houseからとなるアルバムで、実はアナログでは『Kubo』と『Totsu』として別々にリリースされたものを、配信では合わせて凹凸=Ototsuとして纏めた作品だ。ここでは基本的にはハウスをベースにした作風になっているが、何と言ってもどれもフロアを強烈に沸かせるダンス・トラックである前提ある事を主張したい。8分にも及ぶ"A Place Called Sun Beach"は特にじわじわと来る快楽的な一曲で、序盤の溜めに溜めたシンセベースのシーケンスで長く引っ張りつつトランシーな上モノも入ってくれば、ディスコティックな多幸感の雰囲気に染まる機能的な作風で、幕開けから強烈な一撃を食らわせる。鈍いアシッドと不気味なホーンを用いてシカゴ・ハウス風な悪っぽい不良感のある"Hmmm"は、ロウな質感も相まって粗悪なマシン・グルーヴがより覚醒感を誘発する。次の"Sweet Fruit"もラフな音質ながらもズンドコとしたドラムやカラッとしたパーカッションで構成されたリズム重視のハウスで、亜熱帯の密林を喚起させる原始的なトライバル感が心地好い。ここまでの『Kubo』で十分に作風の幅広さは証明されているが、続く『Totsu』は更に賑やかなパーティー仕様な曲調が強くなっている。ピュンピュンとしたコズミックなSEや管楽器の派手なディスコ・サンプリングを多用した"Can't Wait The Party"は、そのタイトル通りにパーティーが待ち遠しくなるズンドコとしたフィルター・ディスコで、ドタドタとした安っぽいビート感ながらも輝きを放つようなメロディーで楽しさに溢れている。そして色っぽい女性ボーカルのサンプルを用いた"Bitch"はソウルフルかつ優美なディスコ・ハウスで官能的に聞かせつつも、最後の"The Stripper"は回転数が狂ったようなスローモーなテンポ、そして即興的なボーカルも入り紫煙も揺らぐ怪しい残響も加えてダンスホール・レゲエ調と、曲調は正に様々でありながらあの手この手で踊らせる曲ばかり。悪っぽさ、または華やかさなど曲毎に異なる表情やスタイルがありバラエティー豊かで、しかしどれもSanoの衝動的な勢いでの世界観の統一があり、大量にリリースをしているにもかかわらず爆発力は一向に衰えない。更に今度はClue-lからのアルバムも控えており、一体何処までこの勢いは続くのだろうか。



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| HOUSE13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Masanori Nozawa - III (Medium Music:MECD-02)
Masanori Nozawa - III
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「宇都宮から生まれ出た眩い輝きを放つ星、Masanori Nozawaの初のアルバムはテクノが感情的である事を証明する。」

宇都宮を拠点として活動するMasanori Nozawaは元々は配信で攻撃的なテクノ中心にリリースを行っていたアーティストだが、2014年にMedium Musicを立ち上げて以降の音楽性ではよりエモーショナルな方向へと進み、深く胸に突き刺さるような感情性はテクノソウルと呼ぶべきものになった。そして2017年末、遂に初のアルバムである本作のリリースへと至ったのだが、何とその内容はオリジナル音源とそれを実力派アーティストがリミックスした2枚組となっており、初のアルバムにしては果敢な挑戦にも思われる。今回幸いにも野澤氏から声を掛けられてアルバムのライナーノーツを書かせて頂いたが、そちらはオリジナル音源について言及しているので是非とも作品を購入された方は読んで頂ければと思う。ここではリミックス音源について紹介させて頂くが、参加しているアーティストからしてXTALやHiroshi Watanabeと言った名を馳せている人、アンビエントに造詣の深いInner ScienceやMatsusaka Daisuke、元Mexicoとして活躍したjunyamabe、そしてKEITA YANOやHironori TakahashiにYuuki Horiらまで邦人のみにもかかわらず実に期待せずにはいられない面子だ。それぞれのリミックスには当然アーティストの個性が反映されているのだが、特に面白いのは"Felt The Sphere(junyamabe Remix)"で、ノンビートで壮大なアンビエンスを発していた原曲から一転してアンビエントの側面は残しつつも抽象的な音像で覆い尽くした作風は厳寒の雪が吹き荒れる真っ白な世界のようで、アブストラクトな音響によって深みへと誘われる。同様に金属がひしゃげるような奇怪な音を付け加えて実験的な面もある"Unknown Ruins(KEITA YANO Remix)"も面白いが、一方で雰囲気を変化させずに図太いリズム感で強固さを増した"Chrono (Hironori Takahashi Remix)"はテクノらしい硬い力強さの安定感がある。元々はアルバム中でも最も色彩豊かでエモーショナルな曲だったものの、"Iridescence (Yuuki Hori Remix)"はぐっと感情を内面に押し込めたようにソウルを燻らせる引き算の美学的な作風で、これもリミックスの妙技が感じられる。"The Orb of Day feat. shiba @ FreedomSunset (XTAL Remix)"は原曲のイメージを損なわずにXtalらしいニューディスコ風でアーティスト性が感じられ、そして濃霧に包まれるような音響の中にエレクトロニカらしいリズム感を得た"Beatific Planet(Matsusaka Daisuke Remix)"はアンビエントに対しての深い愛が伝わってくる。リミックスの中で最も情熱的だったのは当然と言うべきか、Kaitoによる"Mercury Breath(Hiroshi Watanabe aka Kaito Remix)"で、壮大なシンセストリングスと力強いビート感を伴って完全に彼の熱き感情が込み上げる世界観へと上塗りされており、輝かしくも激情が展開するテクノだ。最後はこれまたアンビエントでは独特の個性のある"Return to The Galaxy(Inner Science Remix)"で、豊かで色とりどりの音の粒が湧いてくる心地良いアンビエント・トラックは実に可愛らしい。それぞれのリミックスにそれぞれのアーティストの個性が確かに反映されており、リミックスとしての面白みは十分な事は間違いく、初のアルバムながらもリミックスも盛り込んだ事は野澤氏の本作に対する意気込みの強さが伝わってくるだろう。オリジナル音源、リミックス共にこれぞテクノソウルと呼びたい感情性豊かな音楽で、何度でもリピートして聞いている自分がいる。



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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ EMMA presents NITELIST MUSIC 5 "ACID CITY 3" (Nitelist Music:NM-21039)
DJ EMMA presents NITELIST MUSIC 5 ACID CITY 3
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DJ EMMAが取り組んでいるアシッド・ハウス再燃への意識が作品化したのが、2013年に始まったこの『Acid City』シリーズだ。日本のテクノ/ハウス、メジャー/アンダーグラウンドの垣根にとらわれる事なく、EMMAが信頼するアーティストにアシッド・ハウスをコンセプトに作品を制作してもらい一枚のコンピレーションとして纏め上げているが、偏にアシッド・ハウスと言ってもバラエティーは豊かで色々な表現が可能である事を示しつつそのジャンルとしての深さも含んでおり面白いシリーズになっている。最新作となる第3弾も今まで以上にユニークなアーティストが参加しており、例えば大沢伸一&石野卓球による新ユニットのRubber Bankは注目せずにはいられないし、SERiや909stateといったアンダーグラウンド方面からアシッド・ハウスに焦点を絞って活動するアーティストや、今話題のロウハウス〜ディスコハウスでは世界的に知名度を高めているKeita Sano、そしてGonnoやKuniyukiにKen IshiiやNude(DJ Shimoyama & DJ EMMA)などお馴染みのアーティストまで、もう話題性だけでも興味を惹かれるのは間違いない。幕開けはEMMA & Hideo Kobayashiによる笑ってしまうタイトルの"ようこそAcid Cityへ"、いきなり激しいハイハットやブイブイ唸るアシッド・ベースに情熱的な女性ボーカルが入ってくるハイエナジーなハウスで、派手目の演出が感じられる今っぽいトラック。Zeebraをフィーチャーした"No Picture (On My Phone) [CHIDA Remix]"はロボット・ファンクと言うかエレクトロ気味と言うか、角ばったビート感に加工された不気味なラップも加わり鈍い中毒性が滲む。話題性で言えば一番のRubber Bankによる"Money"は、しかし可愛らしくユーモアの感じられるふざけたようなアシッド・ハウスだが、そのタレント性以上に期待を越えていく曲ではなかったか。その点Keita Sanoによる"Day And Night"はディスコを取り込んで個性を主張しつつも、じわじわと盛り上がってきてトランシーなアシッド・サウンドが入ってくる快楽的な流れが素晴らしく、ディスコ・アシッドと呼びたくなる華麗なアシッド舞踏会だ。その一方で極限まで無駄を削ぎ落とした構成でアシッド・ハウスに取り組んだのが909stateによる"#3 (Spinosaurus)"で、スカスカの骨だけになったようなリズムに単純なアシッドのラインの変化で流れを作っていくのだが、プロト・アシッドみたいな簡素な作風でも酩酊感を誘うのがアシッド・サウンドの魅力なのだ。そしてやはり特別な才能を発揮しているのはGonnoで、"3n55L7nE"では何とブレイク・ビーツを基底にヒプノティックなアシッドを散りばめながらズブズブと深い沼底は嵌めるような奇怪なトラックを披露しており、個性という意味で群を抜いている。他にもまだまだ面白い曲はあるのだが、それは各自で聞いてその魅力を知って頂きたい。アシッド・ハウスと言うジャンル/スタイルは決して一つに収束するものではなく、広がりがあり色々な表現によってトリップ感としても愉快なムードとしても作用する音楽で、実に魅惑的な魔力を持っている事を本作は証明している。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2017/12/15 EMMA HOUSE @ Sound Museum Vision
近年再度注目を集めているアシッド・ハウスと呼ばれる音楽は、TB-303(だけではないが)の不気味なベース・サウンドを用いて中毒的な快楽を引き出すハウスであり、シカゴを発端にした一大ムーブメントだった。その中でもイノベーターの一つとして挙げられるのがDJ PierreとEarl "DJ Spank Spank" Smithらによって結成されたPhutureであり、特に10分以上に渡って繰り広げられる幻覚的な"Acid Tracks"は今尚フロアを狂気へと誘い込むクラシックだ。今回は日本にて現在形で"Acid City"なるコンセプトネームでアシッド・ハウスへ再度取り組んでいるDJ EMMAのEMMA HOUSEへとPhutureの出演が決まったが、このタイミングこのパーティーでならアシッド・ハウスを体験するには絶好の機会であろう。
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| EVENT REPORT6 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Keita Sano - Keita Sano (Rett I Fletta:RIF 010 CD)
Keita Sano - Keita Sano
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2016年は大躍進を果たしたKeita Sano、瀧見憲司に見初められClue-L Recordsからアルバム『The Sun Child』(過去レビュー)をリリースするやいなや、今度はPrins Thomas主宰のRett I Flettaから更にアルバムである本作をリリースと、他にも同年に7枚のEPをリリースしている事を考えると異常な程のハイペースな量産体制に驚かずにはいられない。その活発な制作活動と共にテクノからニュー・ディスコにロウ・ハウスやブレイク・ビーツと的を絞らせない振り幅の大きな音楽性が彼の特性で、型破りにも思えるエネルギッシュな活動がOppa-laで彼のライブを見たPrins Thomasを刺激し、その結果として本アルバムのリリースに至ったのは実力主義が認められた証拠だ。そんな本作を本人は「テクノ、ハウス、ディスコを解釈したアルバム」と述べているが、正にその通りで当初からのごった煮なサウンドを彼らしいやんちゃなムードで染めており、Crue-LからリリースしたアルバムよりもSanoの初期の個性がより際立っている。ロウな4つ打ちとスネアがロールする光が溢れてくるディスコティックな"Full Of Love"から始まり、金属がひしゃげるような音が特徴のロウ・ハウスの"Leave The Floor"ではアシッド・ベースがうねり奇妙なトリップ感を生み出している。毒々しいトランス作用のあるアシッドから始まる"Honey"では、途中から祝祭感のある電子音やディスコなベースも走り出し、じわじわと多幸感を増していくアシッド・フィルター・ディスコでフロアでの作用も抜群に違いない。"Vood"は一風変わった曲で序盤はビートレスな中で鈍い金属音が持続し、途端に重厚なキックが入ると冷気を帯びたテクノへと変化するツール性の高い内容で、しかしこのトリッキーさもSanoの音楽性そのものだ。アルバムの中で最もパーカッシヴな"Sucker Pt. 2"は何か原始的な胎動も伝わってくるが、射し込んでくるキラキラした光のようなシンセがディスコ色に染める爽快な曲だ。僅か7曲のアルバムとは言えここにはSanoの音楽性が存分に展開されており、荒々しくもその初期衝動的なエネルギーや骨太さが、愉快痛快で気持良い位だ。



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| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Keita Sano - The Sun Child (Crue-L Records:KYTHM-158DA)
Keita Sano - The Sun Child
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今ではダンス・ミュージックにおいて日本のアーティストが海外で注目を集めるのも珍しくはなくなってきているものの、それでも尚この新生代を代表する一人のKeita Sanoの注目度は、特に海外でこそ高いのは稀有な事だろう。2012年頃から作品のリリースを始めたものの、デジタル/アナログ問わずに忙しない程のリリースを続け、Mister Saturday NightやHolic Traxを始めとした著名なレーベルのカタログに並ぶなど、今や時の人と言っても間違いではない。その作品の多作さは音楽性の幅広さ - それはある意味では纏まりの無い - に繋がっていて、錆びたロウ・ハウスやアシッド・テクノ、陽気なディスコ・ハウスに捻れた電子音が鳴るテクノなど、作品毎に姿を変えつつも踊る快楽を表現したダンス・ミュージックという点に於いては揺るぎない信頼を持っている。そして、待ちわびたニューアルバムは日本のダンス・ミュージックの秘境・Crue-l Recordsからと、また何か期待せざるを得ない蜜月の出会いとなった。何でもCrue-lのボスである瀧見憲司のDJを聴いたSanoが衝撃を受け、それを契機にほぼ一週間で衝動的に作った曲を纏め上げたのが本作だそうで、アルバムではありながら今までと同様に多彩な作風がダンス・ミュージックを軸に展開している。幕開けとなる"Babys"で既に勢いはトップへと達しており、迫り来る強迫的なリズム帯と躍動するベース、そして快楽的な上モノによって多幸感が爆発するハウスに一気に引っ張られていく。続く"The Sun Child (Album Version)"ではボイス・サンプルのループを用いて徐々に快楽へと上り詰めるようなDJ仕様で、過去にリリースしたディスコ・ハウスの作風を踏襲する。と思えば冷気漂い勢いが抑制されたミニマルやテック・ハウスの系譜上にある"Airport 77"、アシッド・ハウスとディスコ・ハウスが邂逅した"Dance (Album Version)"、視界も揺らめくサイケデリックなギターが咆哮するスローモーな"The Porno King"など、想像していた通りに作風は収束する事なく拡散するように曲毎に姿を変えている。しかし"Acid Romance (Album Version)"は底辺で蠢くアシッドのラインやコズミックな電子音によって官能と倒錯で包み込むニューディスコで、非常にCrue-lらしい奇妙な恍惚やトリップ感があり、そしてロマンティックでもある。本作では過去に見られたロウ・ハウスの質感は存在せず、以前よりも荒唐無稽ではっちゃけた雰囲気は抑えられており、アルバムというフォーマットを意識したのは当然だろう。EPに於ける爆発力とは異なるダンス・ミュージックとしての魅力があり、アーティストとしての可能性を示す事に成功している。

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| HOUSE12 | 13:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Keita Sano - Holding New Cards (1080p:1080P45)
Keita Sano - Holding New Cards
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アナログでも配信でもどちらでもよいが、熱心にダンス・ミュージックを追いかけている者ならば、最近Keita Sanoの名を目にする事は珍しくないだろう。岡山在住のこのトラックメーカーは2012年頃からデジタルでのリリースを開始し、2014年から2015年の2年間の間には何と10枚近くのアナログをリリースするようになり、その活動量の多さは日本だけでなく海外からも注目を集めている事を意味する。事実Mister Saturday Night RecordsやHolic Traxといった名のあるレーベル、または逆によりアンダーグラウンドなレーベルからと何処か一つのレーベルに固執する事なく、世界各地のレーベルから敢えて音楽性もバラバラに雑然と作品をリリースし、その個性を掴ませないような多面的な音楽性が受けているのではと推測している。本作は2015年5月にバンクーバーのカセット/デジタルのレーベルである1080pからリリースされたアルバムであり、ここでは各EPで展開されていた音楽性を纏めて一つの作品にぶち込んだような、つまりはアルバムの中で音楽性を収束させるのではなく拡散させる折衷主義が存在する。冒頭の"Fake Blood"から愉快で可愛らしいシンセを用いた曲は、テクノやハウスでもありながらシンセ・ポップのようなキャッチーな雰囲気もあり、これだけ聴けばアルバムは随分とドリーミーな物だと推測するだろう。しかし続く"Onion Slice"は古いレイヴ時代を思い起こさせる強烈なジャングルで、だが中盤からはプリミティブなメロディーも主張してドラマティックな展開をする瞬間はスリリングでさえある。と思えば荘厳に覆い被さるシンセや奇妙なボーカルを用いた"Ends How It Ends"は、持続感を打ち出したディープなミニマルで、すんなりと真夜中のフロアに馴染むような曲だ。そして昨今のロウハウスを思わせるノイジーなテクスチャを用いた"Holding Ne Cards"や、4つ打ちの中に奇っ怪なパーカッションを複雑にふんだんに詰め込んだ"African Blue"など、予想以上に曲毎にその音楽の姿を変える様は驚くしかないだろう。その中でもロウなマシンビートを軸に郷愁たっぷりなシンセで味付けをしたディープ・ハウス調の"Happiness"や、不気味なアシッド・ベースが蠢くアシッド・ハウスの"Escape To Bronx"や"Insomnia"は、初期シカゴ・ハウスのまだあどけなさが残るものの原始的な対応を帯びたクラシカルなハウスで、決して彼が特異な音楽性だけによって評価されるべきではない事を示唆している。彼の音楽性を理解するのにEPを集めるには大変だと言う人は、一先ずこのアルバムを聴けば十分にその多様性を理解しつつ、そこから生まれる奇妙な楽しさをきっと体感するだろう。



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