2019/4/19 Deep Distance @ KGR'n
神楽坂というクラブとは一見無縁の場所に生まれたクラブ・KGR'n。2017年5月にオープンだから既に2年が経過しようとしており、外国のいわゆるタレントに頼らずとも国内のアンダーグラウンド勢らがレジデントパーティーを開催するなどして、神楽坂にパーティーを着実に根付かせている。そんなレジデントパーティーの一つがその名も「Deep Distance」で、Dessous Recordings等からのリリースも高い評価を得ているIori Wakasaと様々なフェスやへの出演やDJ Wadaとのcontattoを主宰するKo Umeharaの二人が主宰となり、正にそのパーティー名通りに深い場所まで到達させてくれるであろうと予想される。このパーティーは3回目の開催となるが、ようやく遊びに行くタイミングが見つかったので、満を持してパーティーへと足を運んできた。
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| EVENT REPORT7 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi & Martyn - Air Texture Volume VI (Air Texture:AIR006CD)
Steffi & Martyn - Air Texture Volume VI
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2011年にニューヨークにて設立されたAir Textureは、KompaktのPop AmbientシリーズやExcursions In AmbienceにInstinct Ambientといったレーベルに触発されているそうで、端的に言うとアンビエントに焦点を絞ったそのレーベル名まんまのシリーズを提供している。それぞれの作品はCD2枚組で1枚のCDを1アーティストがコンパイルを担当し、そして収録曲は未発表曲のみで構成されているという、アンビエントのシリーズ作品としては十分に期待を寄せられるだけの魅力が伝わってくる(当方はこの6弾がリリースされるまで、このシリーズの存在を知らなかったが)。そして最新作はOstgut Ton等でも活躍し近年交流を深めているSteffi & Martynが担当しているのだが、過去のシリーズが比較的ノンビート中心でアンビエントやドローンに焦点を絞っていたのに対しここではダンス・フロアを沸かすDJの性質故か、基本的にはダンス・フロア寄りでありながらアンビエントな性質もある、もっと言ってしまうと現代版「Artificial Intelligence」と呼んでも差し支えない曲が選曲されている。事実Steffiが主宰するDolly周辺はAIテクノの影響を匂わせているし、Martynの作風にしてもダブ・ステップやデトロイト・テクノからの影響を滲ませ、両者とも単純な4つ打ちからの乖離してリズムの自由さやベッドルーム内での想像力を働かせる音楽性があり、それらが端的に表現されているのが本コンピレーションだ。AIテクノの現代版という説明は決して過去を懐かしむようなものではなく最新のアーティストによる曲がある事で、例えばApollo等でも活躍するSynkroの"Observatory"は夢の中へと落ちていくようなパッドを用いたねっとりとしたダウンテンポを披露しており、穏やかな近未来感が心地好い。Ostgut Ton一派のAnswer Code Requestもここでは普段のハードな作風は封印しているが、ハートービートのようなリズムに美しく広がる残響を用いたディープなアンビエントの"Pasiris"を披露し、熱狂に入っていく前のパーティー序盤の感覚がある。元祖AIで忘れてはいけないのがKirk DegiorgioことAs Oneで、"The Ladder"は90年代前半のそのAIテクノそのものな自由なブレイク・ビーツや流麗な響きのシンセのメロディーなど、一見踊り辛いようなテクノがしかし今の多様性の中では自然と鳴っている。他にも知名度の高いテクノ系のアーティストから殆ど作品をリリースしていないマイナーなアーティストまで、それらは区別される事なく収録されており、テクノやエレクトロにブレイク・ビーツやダブ・ステップなどのジャンルも、大きな枠で捉えるとアンビエント的な感覚に包まれている。これらがしかも全て未発表曲というのだから、その質の高さも含めて驚いてしまう。



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| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Ostati (Organic Analogue Records:OA 008)
HVL - Ostati

2013年頃からリリースを開始し、特に深い音響ディープ・ハウスを得意とするRough House Rosieの中心的アーティストとして頭角を現した東ヨーロッパはジョージアのGigi JikiaことHVLが、待ちに待ったキャリア初のアルバムを完成させた。活動初期からの不鮮明な音像の中から現れるアンビエント性を含む作風から、近年はKiyadama名義でのTB/TR系の音質を打ち出したオールド・スクールなアシッド・ハウスまで手を広げているが、そのどれもが空間性を感じさせる音響の美意識が通底しており、正にディープという表現が相応しいテクノ/ハウスの現在形のアーティストである。今までにリリースされたEPはどれも評判となっておりその才能は疑うべくもないが、このアルバム『Ostati』とは彼の生まれ故郷であるジョージア語では「自分たちの技術を習得した人」を意味するそうで、つまり自身の音楽の芸術的な面での完成をこのアルバムで成したと言う意味も込められていると当方は解釈する。ノンビートの状態に朧気で不鮮明なドローンの中から90年代レイヴ風なブレイク・ビーツが差し込んできて、幕開けに相応しくじわじわと高揚感を作っていく"Shesavali"で始まり、続く"Sallow Myth"では早速快楽的なアシッドが牙を向きヒプノティックな効果音が飛び交うトリップ感の強い世界を展開するが、それも途中から幽玄なパッドが入ってくるとうっすら情緒も帯びて洗練されたディープなテクノを形成する。続く"Daisi"はTR系の乾いて安っぽいリズムがころころと転がるように刻みオールド・スクール感がありながらも軽快に走るが、逆に"Under Libra"は鈍く蠢くアシッド・ベースを用いながらも弾力のあるドラムや軽い残響の効果によって地から足が離れるような浮遊感のあるダブ・ハウスを展開する。また"Askinkila"のチージーな音質で鋭く切り込んでくる厳ついビートはデトロイト・エレクトロの系譜だが、そこに続く"Sinister Sea"は全くビートが無く暗い闇底で朧気なノイズが歪むダーク・アンビエントになるなど、アルバムの中でも各曲がそれぞれ音楽的個性を持ってバラエティーは豊かだ。ラスト2曲は特にパーティー向けの盛り上がる曲で、アシッド・トランス気味な享楽的な雰囲気と流麗で荘厳なパッドの伸びやかな広がりが交じる"Futuro"から、浮遊感のあるパッドに覆われながら疾走する4つ打ちのテック・ハウス気味な"When Rivers Flow"はコズミックなメロディーも展開しながらエモーショナルなフロアの高揚感の中で鳴っているようだ。アルバムは今までのEPから更に拡張を成し遂げながらも、しかしHVLらしい夢幻のアンビエント性や隙間を活かしたディープな空間の構成から成り立っており、高い期待をも超えてきた素晴らしい完成度だ。アナログ販売に拘りを持つOrganic Analogueも当初はそれのみのリリースだったが、販売と同時に即座に完売してしまった本作への反響の大きさ故かBandcampでの配信へと至った事が、それだけの充実した内容である事を証明している。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deetron - DJ-Kicks (!K7 Records:K7359CD)
Deetron - DJ-Kicks
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3台のターンテーブルを駆使してヒップ・ホップ上りのミックステクでハード・テクノなDJをしていたのも今や昔、制作するトラックもいつしかメロウでソウルフルな感情性豊かな作品へと移行し、上手く時代の波に乗って進化を遂げてきたDeetron。マイペースで作品をリリースしアーティストとしての確かな評価を獲得しつつ、『Fuse』や『Balance』に『Fabric』等の名物MIXCDシリーズにも抜擢されてきたDJとしての手腕もあり、かつてのハードテクノ勢の中では面白い変化を見せながら独自の音楽性を確立しているが、遂にこの『DJ-Kicks』にも参戦とはやはり海外での評価は日本よりも確かなようだ。本作でも分かる通りテクノ〜ハウスの境目を融かすように混在させる選曲の審美眼、ダンスとリスニングの親和性、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのクラシックからモダンな時代の曲までと、どれにも偏らずに一つの流れへと組み込んでいくバランス感は比類なきモノで、80分34曲に渡るシームレスなミックスは優雅でさえある。オープニングからしてCarl Craigのガラス細工のような繊細な美しさを発する"Goodbye World"で始まり滑らかにビート入りの曲がミックスされ、古き時代の変異体ディスコの"School Bell / Treehouse"でアクセントも盛り込みつつ、シカゴ・ハウス名作の"Waterfall (Deetron's DJ-Kicks Version)"で垢抜けないながらも原始的なソウルの感情性を高めていく。そこからもジャズ・ファンク色なBurnt Friedmannからインテリジェンス・テクノな趣きのSpacetime Continuum、変異体テクノのMorgan Geistなどジャンルはばらばらなれどエモーショナルな共通項で雰囲気を作っていく。中盤ではDJ Kozeの甘美なサイケデリアの"Let's Love"からRon Trent & Chez Damierの幻想的でディープな朝方をイメージする"Morning Factory"へと繋がる瞬間が得も言われぬ程に素晴らしく、そこからはややテクノ寄りにグルーヴ強めの流れへと入り、リズムの崩れたダブ・ステップや逆にソウルフルなボーカル曲も用いて後半に向けて盛り上がる。そんな中にも古き良き時代のAIテクノのBlack Dog Productionsによる"Flux"を聞くと懐かしさが込み上げたりもするが、DeetronやDJ Boneによる骨太で激しいテクノもミックスしながら突入するFloorplanからTerraceにDerrick Mayのデトロイト系繋ぎの流れは非常にドラマティックで、非常に押し引きが上手い。そして混沌としたベース・ミュージック風な"Old Fashioned"から一気にテンションが落ちて、レフトフィールドなポップソングの"Strange Emotion"で今までの喧騒から解放される静謐な閉じ方は心残り無く綺麗に音が消えていく。いまいち日本に於いてはその実力に対しての正当な評価を獲得しているようには感じられないが、本作はそんな評価を覆すには最適なMIXCDで、Deetronのエモーショナルな音楽性を十分に堪能出来る事だろう。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2018/4/7 Contact 2 Year Anniversary Part 1 @ Contact
2016年4月1日にオープンしたContactも始動からようやく2年が経過、決して見通しが明るくない日本のクラブミュージックの業界で当初から変わる事なく単に集客すれば良いというスタンスではなく彼等なりの音楽観を持ってブッキングを行い、信頼に足るパーティーを作り上げている。さてそんなクラブの2周年記念の初日はイギリスからHot Since 82がゲスト出演するのだが、当方は全くその名前さえ知らないので調べてみると過去にはイビサのパーティーのレジデントを担当したり大型のフェスにも出演する人気DJだそうだ。そんな芸歴には特に惹かれる点は無かったものの、メインフロアには他にDazzle DrumsやCMTと日本から信頼のおけるDJが出演するのでならば楽しめるに違いないとパーティーへ参加する事にした。
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| EVENT REPORT6 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Irresistible Force - Kira Kira (Liquid Sound Design:LSD 103)
The Irresistible Force - Kira Kira
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まさかまさかの19年ぶりのニューアルバム、最早リリースされる事はないだろうと諦めていたアンビエント・ミュージックの伝道師であるMixmaser MorrisことThe Irresistible Forceによる新作が放たれた。1998年にNinja Tuneからリリースされた『It's Tomorrow Already』では当時ハマっていたと言うジャングルやドラムンベースの要素も持ち込み、繊細かつしなやかなリズムを持ったソフトなアンビエントを展開し、多少の物議を醸していたのは懐かしい話。しかし何故かそれ以降は一切新作をリリースする事はなく、新作は完成しているもののそのぶっ飛んだ内容にNinja TuneがリリースをOKしないだとかの噂も流れるなど、謎が謎を呼ぶ状態であった。何故今になって新作がリリースされたのかと言う理由は分からないままだが、日本語で「キラキラ」と名付けられた本作は19年前の前作の延長線上にある柔らかいブレイク・ビーツを用いた作風で、時を超えてThe Irresistible Forceの音楽性が続いているようだ。オープニングの"Call It Music"ではサンプリング・ボイスとしっとり湿ったブレイク・ビーツを刻み前作路線でいきなり夢現に引き込まれるが、胸を締め付ける感傷的なサクソフォンやMorrisによるメロウなピアノを用いる事で随分と生っぽい質感もあり、アンビエント・ミュージックではあるが随分とラウンジ的なムード性が強い。"Warmer Than The Sun"も大らかなダウンテンポを基軸に開放感やメロウネス溢れる上モノを被せ、豊かな新緑が満ちる田園風景を喚起させるオーガニックな響きをもって、正にアルバム・タイトル通りのキラキラサウンドが広がっている。"Laniakea"では優雅なピアノが舞い踊りつつオーケストラ風なストリングスの荘厳な装飾がなされ、そこに不思議の国で鳴るようなトリッピーな電子音や奇妙さを生むボイスが入り混じり、ユーモアと倒錯が交差するドリーミーな世界観が出来上がっている。"Suikinkutsu"は日本庭園にある水琴窟の事であり日本に馴染みの深いMorrisらしいネーミングだと思うが、恐らくその音色をサンプリングしたであろう水の響きらしきものも用いられ、正統派アンビエントらしい浮遊感や無重力感のあるスペーシーな楽曲は神秘的だ。そしてラストの"Space Elevator"はやはり男女の呟き風ボイスや滴るピアノにも似た電子音がタイトルまんまに宇宙への旅行感覚を誘うが、比較的ハウスのビートが刻まされている事からダンス・フロアでプレイする事も可能だろう。Morrisの初期の作品はどちらかと言えばチルアウト志向だったようにも思われるが、やはり『It's Tomorrow Already』から連なりダウンテンポやブレイク・ビーツのリズムはしっかりと入っていて夢の中を彷徨う甘さとメロウな成分が随分と馴染みやすいものとなっている。



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| TECHNO13 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2017/9/30 Sunset Lounge @ 江ノ島展望台
Sunset Lounge1

夏の季節限定、湘南は江ノ島の展望台で開催されているSunset Loungeも前身のFreedom Sunsetを含めれば14年目。普段クラブを賑わしている人気DJからこれからを担う新鋭、そしてクラブとは異なる場所で活動するバンドらもフィーチャーし、老若男女問わずに多様性あるダンス・ミュージックを体験し楽しめる場所、それがこのフェスの特徴だろう。今回はレギュラーとなっているCalmにDJ Yogurt、モーション・ブルー・ヨコハマを拠点に活動するafrontier DJ's (Jun Morita,TOJO,Takeshita)、ビートボックスを武器に様々なジャンルを表現する櫻井響、日本人の心に根付くダンスである盆踊りをコンセプトにしたイマジン盆踊り部らを招き、夏の終わりを迎える事になった。
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| EVENT REPORT6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
KiNK & Fabrice Lig - Charleroi DC (Melodymathics:MMOS003)
KiNK & Fabrice Lig - Charleroi DC
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リリースしているアーティストだけを見れば比較的デトロイト系を意識しているであろうベルギーの新興レーベルのMelodymathics。その新作を聞けば予想は確信へと変わるに違いない。なんとベルギーからデトロイトフォロワーの前線にいるFabrice Ligとブルガリアから一躍有名になったKiNKによる共同で作品を手掛けているのだが、その上リミキサーにはブギーなディープ・ハウスで人気を博すDetroit Swindle、これまたデトロイト愛は随一のIan O'Brien、そしてレーベル主宰のMelodymannが迎えられており、話題性も抜群の内容となっている。先ずはオリジナルである"House Version"、メロディアスなシンセの旋律や多幸感溢れる電子音の散りばめ方は確かに両者のエモーショナルな個性が発揮されており、そこに黒くはなくともデトロイトのそれとも共振する爽快なファンキーさも持ち込んで、実にオプティミスティックなテクノになっている。"Detroit Swindle Remix"はパーカッシヴな打楽器を加えつつもビートはざらついており、やや鈍いリズムトラックや荒削りな音質によって派手さを抑えてシカゴ・フィーリングな仕上げ方をしているが、中盤では原曲のエモーショナルな旋律を浮かび上がらせて感動的な瞬間を作っている。そして久しぶりに作品を手掛けた事になる"Ian O'brien Remix"、この手の音楽との相性は当然抜群であり、パワフルで地響きのような4つ打ちに輝きを帯びたコズミック感が炸裂するシンセのフレーズを追加して、宇宙の果てまでも突き抜けていく濃密なハイテック・テクノなリミックスが素晴らしい。対して"Melodymann Remix"は逆にすっきりと情報量を減らした事でビートにキレが出ており、疾走感のあるビート感が目立つデトロイト・テクノ風になっている。元々の原曲がポジティブな希望溢れるものを更に各アーティストが自身の個性を上塗りして、どれも心が晴れ晴れしくなるテクノな作風だ。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII (Vega Records:02VEG04)
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII
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Kenny Dopeと共に結成したMasters At Workに於けるハウス・ミュージックへの功績はもはや説明不要であろうが、ジャズやラテンをハウスに落とし込んだ特異性だけでなく、大勢のアーティストを起用し大規模な共同制作によってプログラミングだけに頼るのではなく生演奏の魅力も打ち出したセッションの高い音楽は、もはやハウス・ミュージックの枠に収まりきるものではなかった。Vegaは同様の手法をElements Of Lifeプロジェクトによる『Eclipse』(過去レビュー)でも用いたが、その延長線上としてソロ名義では初となる本アルバムでも多くのアーティストのとのコラボーレションを行う事で、ハウスの枠組みの拡張とソウルフルなハウスの再確認を同時に行っている。アルバムの始まりはFunkadelicとのコラボレーションと言うか、リミックスである"Ain't That Funkin' Kinda Hard On You? (Louie Vega Remix)"で、ねっとり熱量の高い原曲のP-Funkをラフな質感は残しつつも颯爽としたハウス・ビートへと生まれ変わらせ、出だしから軽快ながらもソウルフルな歌の魅力を発揮させている。続くは3 Winans Brothersの"Dance"のリミックスだが、ざっくりとしながらも軽快なラテンビートと怪しげなオルガンにリードされながらもコーラスも加わったボーカルにより、これぞNYハウスらしい温かみに溢れたクラシカルなハウスになっており、今の時代に於いても歌の重要性を説いているようだ。女性シンガーのMonique Binghamを迎えた"Elevator (Going Up)"は、舞い踊るピアノと甘くもキリッとしたボーカルが軽やかに疾走し、南アフリカのシンガーであるBucieをメインに、そして制作にBlazeのJosh Milanを迎えた"Angels Are Watching Me"はモロにBlazeらしいメロウかつ耽美なエレピや爽やかなコンゴが響き渡る歌モノハウスで、期待通り以外の何物でもないだろう。そして本作では所謂古典と呼ばれる名作のカバーも収録しており、Convertionによる”Let's Do It (Dance Ritual Mix)”やBobby Womackによる”Stop On By”、そしてStevie Wonderによる"You've Got It Bad Girl"まで、ハウスにR&Bやヒップ・ホップにファンク等の要素を自然に溶け込ませてクラシックを現在の形へと生まれ変わらせている。CD2枚組計28曲の大作が故に全てが完璧とは言えないものの、過去の作品への振り返りにより現在/未来へと良質な音楽の伝達を行い、そしてボーカリストに演奏者らアルバムの隅々まで数多くのアーティストの協力を得る事で、本作はハウス・ミュージックの一大エンターテイメントとでも作品である事に異論は無いだろう。ソウルフルで、古典的な、そして歌モノのハウスのその魅力を再度伝えようとしているのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/3/26 Xtal Debut Album “SKYGAZER” Release Party @ Circus Tokyo
長い活動の末、2016年2月に遂に初のソロアルバムをリリースしたCrystal改めXtal。Crue-l Recordsからリリースされたその作品は、それまでにフロアを賑わせてきたダンストラックを収録しつつシューゲイザーやポップな要素も兼ね備え、聴く者を光に包み幸せな気分にする素晴らしいアルバムとなった。そんなアルバムを祝うべくリリースパーティーが開催される事になり、レーベルの創始である瀧見憲司やアルバムで共同制作をしたGonnoらが集結し、Xtalは一晩でライブとDJを敢行するという実に充実した布陣が組まれる事になった。
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| EVENT REPORT6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/5/23 Nick Hoppner "Folk" Album Tour @ Air
一般的には硬質で無骨なテクノのBerghainに対し、官能的でしなやかなハウスのPanorama Barというイメージはある程度あるものの、過去にSteffiやこのNick Hoppnerのプレイを現場で聴く事によってその印象はより強まった経験がある。Berghain/Panorama Barが主宰するOstgut-Tonの元レーベルマネージャーであり、また両者のクラブでプレイをするHoppnerであればこそ、その音楽性への理解はレーベル関係者の中でも人一倍なのではないだろうか。そんなHoppnerが遂に自身のソロアルバムをリリースし、ワールドツアーの一環としてここ日本にも久しぶりに降り立つ機会がやってきた。
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| EVENT REPORT5 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cesar Merveille / Mirko Loko - Vagabundos 2013 Volume II (Cadenza Records:CADCD13)
Cesar Merveille Mirko Loko - Vagabundos 2013 Volume II
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チリアン・ミニマルを代表するレーベルとして名高いLuciano主宰によるCacenzaだが、近年はイビサを中心に世界各地でレギュラーパーティーとして“Vagabundos”を開催している。本作はそのパーティーに関連したMIXCDシリーズの3作目だが、ここではCadenzaからのヒット作で注目を集めたCesar MerveilleとMirko LokoがDJに起用されている。Cadenza自体は今でもチリアン・ミニマルとしての要素も残しているが、それ以上にバレアリックな多幸感や慎ましやかな優美さを追求しているようで、その傾向は本作にも如実に表れている。Cesarが担当した方はレーベルによれば「ディープでアンダーグラウンドなハウス」との事だが、ハードではないが安定感のあるリズムを刻みながらふらふらと酩酊するメロディーが漂い、確かに浮上する事のないアンダーグラウンドな感覚が通底している。快楽の殻を突き破る事もなく深い世界の中を迷い込んだままのような適度にヒプノティックな感覚が続き、ミニマル〜ディープ・ハウス〜テック・ハウスをしなやかに紡ぎ合わせ、後半に進むに連れてメランコリーが増す展開がえも言われぬ酩酊感を発しているのだ。対してMirkoが手掛けたミックスはよりメランコリーが強く打ち出されており、半ば恍惚のトランス感にさえ包まれる程に快楽的だ。"Dea"から"Tarzan (Âme Remix)"に繋がる瞬間の美しくも深い快楽に包まれるも、そこから一転して荒々しいシカゴ・ハウスの"House Room (Paul Du Lac Vocal Remix)"で目を覚まされ、そして繊細なピアノやストリングスが端正にメロディーを組みながら長くドラマティックに盛り上がる"The Rebirth"で一旦ピークを迎える。そこから終盤にかけては更に感情の吐露による揺さぶりをかけながら、ラスト間際ではMaster C & JとVirgoによる懐かしい物悲しさを含むシカゴ・ハウスが続き、ラストには正にコズミックな深宇宙が広がる"Cosmic Race"で感動的なフィナーレを迎える。2枚どちらもCadenzaに連綿と受け継がれてきたひれ伏してしまう神々しさ、官能的なエレガンスが最大限発揮されているが、特にMirko Lokoによるミックスがオールド・スクールとモダンが自然と溶け合っており素晴らしい。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hacienda 30 (Newstate Entertainment:newcd9121)
Hacienda 30
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1982年5月21日、ロンドンなどの先進都市に比べれば到底モダンとは言えない工業都市であるマンチェスターにて、後々語り草となるクラブ"Hacienda"はオープンした。途方もない資金を投資し野暮ったい街には似つかわしくないハイセンスなクラブを造り、エクスタシーが流行ったせいで酒が売れずに常に赤字経営にもかかわらず、クローズするまで妄信的にもHaciendaを走らせ続けた共同運営者の中にはNew OrderのPeter Hookもいた。決して経営的には成功とは言えないこのクラブが、しかし名声を獲得したのはジャンルを超越したオープンマインドな音楽性だった。当方も含め勿論リアルタイムでそれを体験している人はそれ程多くはないだろうが、それでもこのHacienda創立30周年記念のCDを聴けば幾らかは、いや十分に時代の空気を感じ取れる筈だ。本作でミックスを手掛けたのは前述のPeterに、HaciendaのレジデントDJでもあったGraeme ParkとMike Pickeringだ。Graemeは徹底的にハウスに拘りを見せ、ソウルフルで胸が熱くなるトラックから覚醒感のあるアシッディーなトラックを緩いBMPながらも跳ねたグルーヴで繋ぎ、Mikeは毒気付いたブリープ・ハウスから始まり粗悪なシカゴ・ハウスやレイヴィーなテクノまでクラブの混沌とした空間を描き出している。Peterはお世辞にも上手いDJとは言えないが(笑)、お得意のロッキンな曲もふんだんに使用しマッドチェスターな時代を再現している。ここにパッケージされたその多くの曲が、今となってはクラシックと呼ばれる時代を越えて愛される曲であり、Haciendaを狂乱の渦に包み込んでいた曲であったのだろう。決して新鮮味があるでもないし余りにも時代を象徴し過ぎている音はダサくもあるのだが、このごった煮な狂騒が一夜をどんなに素晴らしいものとしていたかは、きっと伝わってくるだろう。

Check "Graeme Park", "Mike Pickering" & "Peter Hook"

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| HOUSE8 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Luciano - Vagabundos 2012 (Cadenza Records:CADCD10)
Luciano - Vagabundos 2012
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近年は当初思っていたよりもアーティスティックと呼ぶべきか芸術的に崇高さも兼ね備えた音楽性を表現し、自身が主宰するCadenza Recordsも含め良くも悪くも上手く売る術を理解しているLuciano。とまあ少々皮肉を込めた言い方をするのは近年の作品の完成度が高いのは言うまでもないのだけど、初期の頃のもっと単純なワクワク感と言うものが薄れてきているからで、まあそれは活動が長くなれば仕方ない事でもあるのだが。そんな中で4年ぶりとなるこのMIXCDは先行でデジタル版がリリースされていたものの、CD版ではタイトルは同じでも内容は全く異なる選曲で纏められている。選曲を見れば分かる通りで本作はPCを使って各曲をパーツとしてミックスしながら再構築を行うデジタルミックスとなっており、曲の大半が近年リリースされたテックハウスやミニマルなものの、Lucianoらしい陽気なパーカッション使いや異国情緒漂う怪しさに相反する軽やかなエレガンスを伴う空気は流石と言うしかないだろう。特に文句の付けようもない程にバランス良く様々なエッセンスを取り込みしっとりしたグルーヴで品の良い音を聴かせてはくれるのだが、しかしPCを使ったにしても余りにも機械的と言うかかっちりと固めて制作し過ぎなのはミックスに必要なライブ感が欠けてやしないだろうか。展開も押し並べて平坦でクラブでのピークタイムのように突き抜ける瞬間も無く、良く言えばスムースに聞き流して何時の間にか終わってしまう印象なのだ。勿論彼が素晴らしいトラックを作ってきた事は事実だし、DJに於いても彼らしいチリアン発の個性はあると思うが、それでも少々Lucianoと言う名前だけが一人歩きしてしまっている感も否めないのである。真価は生でミックスを体験し評価するしかないのであろう。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Slam - Azure Remixes (Carl Craig & KiNK) (Soma Quality Recordings:Soma 333)
Slam - Azure Remixes (Carl Craig & KiNK)

UKはスコットランドを代表する老舗テクノレーベルであるSoma。1991年にSlamによって設立され初期はデトロイト・テクノに影響をうけつつ、その後はエレクトロやミニマルも消化吸収し時代を超えてフロアと蜜月の関係を持っている素晴らしいレーベルの一つだ。昨年でレーベル発足から20年を迎えた記念としてレーベルを主宰するSlamのリミックスEPシリーズがリリースされているが、本作はそのシリーズの一枚で大ヒットした"Azure"をCarl CraigとKiNKがリミックスした物。SlamはUKにしては珍しく図太いリズムトラックで硬派な音を鳴らしていたが、それと共にデトロイト・テクノにも影響を受けたであろうメロディアスな作風を得意としていた。"Azure"は正にそれを体現した曲でもあるが、そんな曲をデトロイトを体現するC2がリミックスしたとなれば結果は明白だ。原曲のメロディアスなフレーズはそのまま利用し更に泣きのシンセを付け加えノンビートのまま引っ張り続ける序盤、そして堰を切ったようにリズムが入ってからは一気に加速し宇宙へと飛翔する昂揚感が続く。無駄を省いたスリムな構成で、しかし硬く太く芯のあるキックがしっかりと打ちつける骨太なリズムトラックと共に、覚醒感を煽るように繰り返されるシンセのリフは美しくも儚い世界を描き、最後には全てを出し切り物静かに終わりを迎える激動の1曲だ。対してブルガリアから名乗りを上げたKiNKのリミックスは、原曲のメロディーは解体し微妙にアシッド気味なシンセと重いベースラインが主張するダークなエレクトロへと再構築させた。快楽的と言うよりは毒々しく禍々しい凶悪な音が滲み出ていて、リミックスと言う言葉が相応しい内容だ。両者全く異なるリミックスとなっているが、やはりここはC2に軍配が上がっている。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tom Trago - Iris (Remixes) (Rush Hour Recordings:RH 114 RMX)
Tom Trago - Iris (Remixes)
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オランダからデトロイト・テクノ/シカゴ・ハウスの復権を促すRush Hour Recordingsから、Tom Tragoの新作はなんとシカゴレジェンドのTyree Cooperをボーカルに迎えたリミックス集。しかもリミキサーにはこれまたシカゴ・ハウスの巨匠であるLarry Heardに、Firecracker Recordingsを主宰するLinkwood、そしてブルガリアからのKiNKを起用と話題性も抜群の一枚。格段に素晴らしいのが完全にLarry節全開となる"What You Do (Larry Heard's Fingers House Dub)"で、憂いを帯びた切なく物悲しいコードを展開するキーボード使いが素晴らしく、しみじみとした枯れ具合が心にそっと染みこんで労る様です。無駄を省いたシンプルなベースラインやキーボードの旋律などが目立つものの、何処までも丁寧に作り上げた作風こそLarryの心情を雄弁に物語るこれぞディープハウスと言う一曲です。一方Linkwoodによる"Being With You (Linkwood Remix)"は、フランジャーをかけたハットで抑揚を出しつつや浮遊感のある幻想的な上モノが広がり、それが未来的な初期デトロイト・テクノを思わせる良作。また音自体は綺麗だけれども懐かしさを感じさせる素朴な音色で満たされており、それが余計にメロウさを際立てています。一番シカゴ・ハウスらしいのが"What You Do (KiNK's Peaktime Remix)"で、ザクザクとしたハイハットや汚らしいスネア、不安を誘うオルガンのメロディーに狂気じみたTyree Cooperのボーカルが乗っかり、前述の二曲とは全く異なる暴力的なリミックスとなっています。全曲文句無しに素晴らしく、是が非でも聴いて欲しい一枚です。

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| HOUSE7 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jackin' House Beatz Edited and Mixed by NEBU SOKU (KSRCorp.:KCCD-474)
Jackin' House Beatz Edited and Mixed by NEBU SOKU
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"Jackin'"と言う言葉が冠されたタイトルならば条件反射で反応してしまうのは、シカゴ・ハウス好きな人の性。ハウス、特にUS西海岸ハウスやシカゴ・ハウスへの実直な愛情を表現しているKai Ishikawa & MEGUMILKによるNEBU SOKUが、"Jackin'"なハウスをコンセプトにしたMIXCDをリリースした。内容を語る前に先ずは"Jackin'"が何であるかを説明せねばならないが、昔のハウス・クラシックスに於いてはある種のステータス的にタイトルや歌詞で使われていた言葉だ。ライナーノーツにはKai Ishikawaによる解説がなされているので参考にして欲しいが、自分はクレイジーな猛威を奮う感覚的なモノだと捉えている。またはハンマーで叩かれたように痺れる感覚があり、黒いファンキーさを伴う中毒的なモノでもあるかもしれない。人によって感じ方は異なるだろうが、そこに何か共通する事があるかもしれない。それを解読する為に内容に移ろう。本作では幕開けから飛ばしまくっていて、ピアノやホーン等と熱の入った歌のオーガニックな面とド派手なサンプリングの面を生かしたハウスを中心にヒップホップやディスコ、ラテン、ロック等様々な要素を垣間見せながら疾走する。73分に36曲を詰め込んだメガミックス的な展開は息をつく暇もなく行き先も見えぬまま突っ走るが、ファンキーな跳ね感に妖しいエロスやソウルフルな情熱、洗練された洒脱な感覚もあったりとジャンルと共に様々な空気が入れ代わり立ち代わりで注ぎ込まれていく。自分は中盤以降のちょっとセンチメンタルにしっとりした音が出てくる所から終盤までの流れが気に入っているが、腰を揺らすグルーヴ感は徹頭徹尾貫いている。つまり本作は汗を伴う肉体感のパーティー・ミュージックである事を主張しており、それこそが"Jackin'"な音楽なのであろう。



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| HOUSE7 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Heartbeat Presents Mixed By Francois K.×AIR Vol.2 (Lastrum:LACD-0221)
Heartbeat Presents Mixed By Francois K.×AIR Vol.2
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クラブAIRが世界中で活躍するDJをフィーチャーして提供するMIXCDシリーズの最新作は、NYハウスの重鎮・Francois Kevorkianが担当。昨年3月にも同シリーズからMIXCDをリリースしたが、そこから一年半で更なる新作をリリースとは音楽への意欲は衰えるどころか尚盛ん。非常に長いDJ/アーティスト経験を持ちながらも常に前進する姿勢を持つ彼は、現在はターンテーブルの代わりにPCを用いてデジタルミックスを行なっている。それは単に楽をする為の道具としてではなく、アナログをCD以上の音質でPCに取り込む音への拘りや、デジタルミックスならではの有り得ないスムースな繋ぎを行う等、彼にとって最高のパフォーマンスを得る為の道具として導入している。あくまで品質を高める為、であるからしてエフェクターに関しては今でもハードウェアが中心と、全てが全てソフトウェア任せな事でもないところに職人気質を感じるだろう。さて前作では自身が主宰するWave Music音源を中心としたレーベルサンプラー的な意味合いもあったが、本作では最新のテクノを中心とした今を感じさせるプレイを披露している。幕開けは自身で本作の為に制作したSE的な壮大なトラックで始まり、そしてDonato Dozzyの揺蕩うアンビエントやAreaのディープテックで深みに嵌り、序盤にして最初のピークであるGonnoの"Acdise #2"が炸裂する。バレアリックな高揚感で昇天した後は再度ダビーテック、テックハウス辺りを彷徨いながらクラブでのドープな深い時間帯を匂わせつつ、終盤ではガス抜きされた様にテンションを抑えながらラストでSurgeonのSE的なトラックで幕を閉じる。非常に良く練られたストーリー性を持ち、そして上質と洗練を伴う展開でありながら、しかし老獪と言う言葉が似合わない新鮮でエネルギッシュなプレイには閉口するしかないだろう。Francois Kevorkianは正真正銘、今も現役なのだ。ただここ数年はテクノミックスが続いているので、そろそろジャンルと時代を横断するミックスも聴ければとも思う。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Trax Re-Edited : The Original Chicago House Label Reborn (Harmless:HURTCD098)
Trax Re-Edited The Original Chicago House Label Reborn
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シカゴハウスの歴史において重要な位置付けである二つのレーベル、一つはDJ International、そしてもう一つがTrax。なんでも2010年はTraxの創立25周年だったそうで、Harmless RecordsとDJhistory.comがチャット上でのその為に何か記録を残したいと言う話題が発展し、この度このTrax Re-Editedコンピレーションへと結実しました。Trax Recordsに関して言えばシカゴハウスの基礎となる音を形成したレーベルでもあり、アシッドハウス拡大に貢献したレーベルでもあり、そして音楽で一儲けしたいと淡い夢を抱いたアーティストが集結したレーベルでもあります。才能や理論に後押しされた音楽性ではなく、衝動や欲望を優先して作られたある意味一発屋みたいなアーティストも多かった。がそれでもそこにはハウスの初期衝動と可能性があったのでしょう。そんな偉大なるレーベルの音源をリエディットするのだからきっと大胆な事は出来なかったのであろうか、結論から言えばまあ予想通りでオリジナルの良さを越えられない平凡なリエディット集になっています。オリジナルの雰囲気はそのままに曲尺を伸ばしたり、ミニマルな展開でDJユースにしたりと使い勝手は良くなっているものの、25周年記念としての意味合いは正直余り無いかなと。オリジナルから遠からず的なトラックが多いので、入門者向けにシカゴハウスの歴史の道標としては意味合いがあると思います。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2010/12/18 Deep River @ 東京都現代美術館 content
Kenkouのアルバムリリースツアーの最終公演・Deep Riverに遊びに行ってきました。美術館地下にあるContentと言うレストランでの開催、そして土曜夕方から夜中までの時間帯と言う事でどんな感じになるか不安もありましたが、蓋を開けてみれば大盛況で素晴らしいパーティーとなりました。オープンから遊びに行ったものの、酒をガバガバ飲んで友達とも喋りつつ遊んでいたので、覚えているだけでの紹介をします。
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| EVENT REPORT3 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
I'm Starting to Feel Okay Vol.4 Mixed By KZA (Endless Flight:EFCD5)
Im Starting to Feel Okay Vol.4 Mixed By KZA
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昨年の夏に続いて一年ぶりにMule Musiqとその傘下のEndless Flightなどの音源を使用した、レーベルショーケース的なMIXCDが届きました。河崎氏率いるMule Musiqは日本と言う枠組みの中だけでなく世界規模で数多くのDJから賞賛を浴びるレーベルに成長しており、その勢いたるや2010年に入っても全く落ちる事なく怒涛の快進撃を続けております。面白いのはテクノだけでもなくハウスだけでもなく、華麗なジャズや煌きのニューディスコなどジャンルを越えて -いや敢えて言うならばダンスミュージックと言う枠はあるのかもしれないが- アンダーグラウンドな姿勢を保ちつつ、普遍性の高い音楽性を打ち出しているレーベルだと言えるでしょう。そんなレーベルなのだからオーナーである河崎氏が選曲したこのMIXCDは音色もテンポもリズムもばらばら…でありながら、Force Of NatureのKZAが違和感無くMule Musiqの世界観として一つに纏め上げております。今回はダンスミュージックとは言え落ち着いた印象が強く、その中で音の美しさや快楽性でズブズブとディープにはめていく流れがあり、ホームリスニング仕様かなと思いました。各トラックの個性を強く感じさせつつも、聴き終わる頃にはMule Musiqの魅力を存分に感じられるはず。

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| HOUSE6 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2010/06/26 Spinning Vol.2 @ 渋谷 Bar&Cafe特異点
友達と開催している"Spinning"の第二回は色々と課題は残っておりますが、無事終了しました。自分達レギュラー陣は割と大人しい選曲でメロウなハウスだったり緩めのセットでそんなに上げない内容でしたが、ゲストのDJ Aprilさんは古いシカゴハウスをパワフルにプレイしていかにもパーティー的な内容で盛り上げてくれました。時代が変わろうと本当に良い曲は変わらない良さがある訳で、そんな事を再認識させてくれるプレイだったと思います。

また次回に繋げる為に工夫なり努力が必要だと感じる点が多かったのですが、また必ずや次回開催したいと思います。遊びに来て頂いた皆様、どうもありがとうございました。

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| EVENT REPORT2 | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Michael Mayer - Immer 3 (Kompakt:KOMPAKT CD 83)
Michael Mayer - Immer 3
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KOMPAKTの共同設立者・主宰者であるMichael Mayerが手掛けるImmerシリーズ4年ぶりの3作目。KOMPAKTの他のコンセプトがあるMIXCDやコンピに比べると、このシリーズはMayer独壇場の好きな曲をプレイすると言うパーソナリティーの強い内容となっております。歌物テクノやベルリンミニマル、テックハウス、シューゲイザーなど一見まとまりの無い選曲ながらも、KOMPAKTの要素の一つであるポップなキュートさとニューウェーブ的な不安を感じさせる陰鬱な空気が混じり合い、今までのシリーズをほぼ継承しております。ただ前作に比べると多少重苦しくそしてクラブ的なダンスのグルーヴは弱まっていて、一つ一つの曲をじっくり聴く印象が強め。元々収録されている曲がどれも個性やアクが強い分、ミックスの流れや妙技を楽しむと言うよりはコンピ的な聴き方になってしまうのですね。Round Twoの傑作ディープハウスをクラシック風にカヴァーした"New Day"や、話題になっているMassive Attackの"Paradise Circus(Gui Boratto Remix)"など、確かに存在感のある曲がずらりと並んでいて気の利いた内容ではあるのかな。

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| TECHNO8 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Factory Records : Communications 1978-92 (Warner Music UK Ltd.:2564-69379-0)
Factory Records : Communications 1978-92
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イギリスのマンチェスターで創立された伝説のインディーレーベル・Factory。まさに音楽の工場的にJoy Division(New Order)やHappy Mondays、The Durutti Column、A Certain Ratioらを輩出した素晴らしく馬鹿馬鹿しいレーベルだ。そんなレーベルの音源を時代順に正しく収めた4枚組みのコンピレーションが本作。Factoryと言えばやはりクラブハシエンダを忘れてはならない。オマンチェブームの発端であり、UKにおいてアシッドハウス爆発のきっかけになったクラブでもある。しかしドラッグが流行ってお酒が売れないから常に赤字経営だったとか、ドラッグ抗争による危機に晒されていたとか、とにかくその知名度とは裏腹に不安定なクラブだったらしい。そして母体Factory、初期のニューウェーブから後期のダンスムーブメントまで時代を作っていったレーベルの一つである事は言うまでも無い。本作収録曲を見て驚いたのは、Cabaret VoltaireやJamesまでの作品もリリースしていたと言う事。確かに前衛的だったんだね。自分もNOやハピマン位は聴くものの他のアーティストに関しては聴く機会が無かったので、この手のコンピは大変有難い。時代が時代だけに音が古いんだけど、そのダサささえも愛らしい。そしてブックレットには収録曲の解説やジャケット絵も収録されていて、その美しいアートワークにも感動物だ。非常に美味しいコンピレーションですな。

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| ETC3 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Summer Sessions 2 Mixed By DJ Heather & Onionz (OM Records:OM-274)
Summer Sessions 2 Mixed By DJ Heather & Onionz
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ここ一週間猛暑が続いていて本当に死ぬかと思う位の暑さでしたが、週末でやっと快適な気温になりほっとしました。しかしラニーニャ現象だから猛暑だとかとってつけた様な解説を聞くけれど、○○現象ではなくて単純に温暖化してるだけだろうと突っ込みたくなります。○○現象のせいにするのではなく、現実に目を向けろと思うこの頃。

さて多少は暑さも解消された週末ですが、今日は猛暑にぴったりな夏向けの盛り上がりハウスMIXCDをどうぞ。リリースはやっぱり夏が似合うサンフランシスコのOM Recordsで、とにかく何も考えず開放的に踊りたいなら海が近い場所の音楽シーンなのです。一枚目はDJ Heatherなる女性DJがミックスを担当していて、シカゴハウス系の人だとか?確かにシカゴらしいスカスカでパンピンでファンキーな曲が数珠繋ぎになっていて、からっと乾燥した爽やかさとノリノリご機嫌なノリは夏向けと言うのが適切です。随分と明るい選曲で思考や意識とは別に誰でも盛り上がるのは明白ですが、個人的にはシカゴらしい凶悪で粗悪な音が前面に出る方が好きだったりします。でもまあ使い道としては海に向かうドライビング途中にでも爆音で聴けば、きっとスピード違反して海には着けない事でしょう。

しかし実は一枚目にはそこまで興味は無くて、テクノも使った二枚目に興味があったから購入したんです。だってFunk D'VoidもTechnasiaもLos HermanosもHardfloorもDeetronも入っているなんて、正に僕好みじゃありませんか!勿論ハウス中心のセットではあるけれど、その中にスパイスとしてクールなテクノがバランス良く入っているから、テクノ/ハウスのどちらのファンにも聴いて貰える様な内容です。ハウスにしても一枚目とは異なり多少ディープで感覚的に深みにはまっていき、ただ楽天的な一枚目とは雰囲気も音も違います。これは夏向けか〜?と疑問は湧いてくるけれど、むしろいつ聴いても楽しめる普遍的なミックスだからこっちの方が断然お勧め。テンションも一枚目より抑え目だし、ゆるゆるだらりと聴ける感じ。こちらは海から家に帰る途中のドライビング中に聴くと、喧騒の後の郷愁を味わえるかと思います。

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| HOUSE3 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alter Ego - Transphormed (Klang Elektronik:KLANGCD12)
Alter Ego-Transphormed
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今更ですが、Alter Egoの紹介。つか実はこのユニットは大して好きじゃないです。ぶりぶりベースなアシッディートラック「Rocker」の大ヒットがありますが、他は全然知らないです。「Rocker」はイベントでもよく耳にするので嫌でも覚えてしまいましたが、自分の好みの音ではないんですな。Alter Egoはジャーマンテクノの一種だけど、自分はKOMPAKTとかの音の方がタイプです。では何故このアルバムを購入したかと言うと、色々なアーティストの曲をAlter Egoがリミックスした曲を収録した盤と、逆にAlter Egoの曲を色々なアーティストがリミックスした曲を収録した盤の、2枚組セットだからです。まあ、単純に面白そうだったので購入した訳です。実際の所、Alter Egoがリミックスした曲は予想通りジャーマンディスコ系。歪む位にぶりぶりなベースラインやギトギトなシンセ音がが特徴で、素直に盛り上がれる曲が多いですね。80年代調のニューウェーブ感、もしくはゴシック的でやさぐれている雰囲気がありますね。あんまり期待してなかったけれど、予想に反して悪くはなかったかな。DISC2のAlter Egoの曲をリミックスした方は、色々なアーティストが参加しているのでざっくばらんでまとまりがないですね。あんまり聴いてないです。

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| TECHNO3 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Afterdark:Chicago (Kinkysweet Recordings:KSW013)
Afterdark:Chicago
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全然気付かなかったのだけど、いつの間にかその地方のレーベルに焦点を当てたハウスシリーズが出ていました。今回はChicago!今までに「New York City」「Paris」「San Francisco」など出ていますがやはりChicagoですよ。しかしChicagoと言えでもシカゴハウスでは無くて、ディープハウスのGuidance RecordingsとLarge RecordsのレーベルMIXCDであります。

Guidance Recordingsを担当するのはなんとディープハウス/クロスオーヴァーで大人気のAnanda Project!でもこの人ってDJ気質よりアーティストだよね?と言う事で予想通りお世辞にも余りMIXとは言えませんでした。ま、この人の場合選曲センスだよね。透き通る様でアトモスフェリック、基本的にちょっと憂いを帯びたメロディーのトラックが多い。ガツガツアッパーと言うよりは湿気を含み、ミドルテンポで緩急控えめに聴かせてくれる。もう夏間近なのに秋の夕暮れに合う様な、ムード満点のMIXCDだ。Guidance Recordingsのテーマ曲とも言える「Larry Heard-Theme From Guidance」、これを聴く為だけでも価値があります。Larry節満開の儚く、そして孤高の天上天下トラックだ。

片やLarge RecordsのMIXを担当したのは、Jask…ん〜全然知らないなぁ。そもそもこっちの選曲はちょっと微妙。Kerri ChandlerのDigitalsoulシリーズから一曲も入ってないし、Dennis FerrerやRoy Davis Jr.の曲も入っていない。どうゆうこっちゃぁぁぁぁ!!まあ内容は悪くないな。夏の海岸をドライビングしている時、真夏のビーチでバカンスする時、そんな気分にしてくれるアップリフティングでヘヴィーボトムなトラック満載です。ストレートな4つ打ちで腰をくねくね踊らせて、盛り上がれるでしょう。伸びのある切ないシンセ音が多用されて、微妙にテックハウス気味でもありますな。まあしかし何度も言うが、Digitalsoulシリーズ入れとけや…。このシリーズは良い曲一杯なのにな。MIXには合わないと言う事なのでしょうか?

どちらもMIXの流れを楽しむと言うよりは、レーベルの音を知る為のMIXCDって感じでしたな。どちらのレーベルも素晴らしい曲満載です。レコードを購入しない人にとっては、為になるMIX&コンピレーションCDです。

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| HOUSE1 | 20:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |