ROTLA - Waves (Inc Mark Barrott & L.U.C.A. Remixes) (Edizioni Mondo:MND009)
ROTLA - Waves (Inc Mark Barrott & L.U.C.A. Remixes)
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
Edizioni Mondoというレーベルは公式でもライブラリーミュージックに触発されたと述べており、ハウス・ミュージックの特に有機的な側面やバレアリック性をアピールしながら、リスニング志向の強い音楽性も追求している。そのレーベルからリリースされる作品はどれも注目すべきではあるが、このイタリアのアーティストである
Mario PierroことRaiders Of The Lost ARPによる新作EPは特に目が離せない。ROTLAと言えば過去にはUnderground Resistance一派がリミックスを手掛けた時にも少なからず注目を集めていたが、それもコズミック感溢れるディスコな性質があったからこそURと共鳴する点もあったのだろう。近年はFar Out RecordingsやEdizioni Mondoからの作品を聞く限りではよりバンド風な演奏のあるオーガニックかつバレアリックな方向へと向かっており、最早ダンスでなくとよい聞き込める音楽性を重視しているように思う。その流れは本作でも同様で、タイトル曲の"Waves"はサウダージを匂わせる切ないシンセのメロディーやコードにギターカッティングやベースの生っぽい湿っぽさを合わせ、肩の力が抜けたミッドテンポで緩やかなビートを刻むバレアリック・ディスコは、そのオーガニックな響きも相まって非常に感情性溢れる曲調になっている。揺らぐ波の表面にオレンジ色の光が反射するようなキラキラとした、そんな真夏の夕暮れ時の海辺を換気させる爽やかながもメランコリーに満たされるバレアリック感に、感傷的にならずにはいられない。"Babashh"はInternational Feel、特にMark Barrottの作風を思わせるニュー・エイジ/アンビエント志向な曲で、スローなダウンテンポのビート感に大空をゆったりと広がっていくようなシンセのメロディーやアコースティックギターの朗らかな音色により、オーガニック感も打ち出して自然の中で息衝く。そして本作の目玉はそのMark Barrottがリミックスを行った"Waves (Sketches From An Island Healing Hands Remix)"で、キックレスにビートを削ぎ落としつつ彼らしいネイチャーサウンド宜しくなエキゾチックなパーカッションの響きや咽び泣くようなギターに青々しく爽快な声も加えて、トロピカル感爆発なイビサ・バレアリックへ生まれ変わり完全にBarrott色へと染まった見事なリミックスを披露している。またレーベル・オーナーであるL.U.C.A.(Francesco De Bellis)が手掛けた"Waves (L.u.c.a. Quirky Version)"は逆に原始的なアフロ・リズムが躍動するディスコ・サウンドで、大地と共鳴するような力強いグルーヴとファンキーなギターのうねりに揺さぶられながら、陽気なバレアリック感に包まれるこちらのリミックスも素晴らしい。全曲文句無しの出来でバレアリック好きなら当然必聴なEPだが、もうそろそろアルバムもリリースされる情報もあり、期待は高まるばかりだ。



Check Raiders Of The Lost ARP
| HOUSE14 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi - Fabric 94 (Fabric:fabric 187)
Steffi - Fabric 94
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
ロンドンの名門クラブかつレーベルであるFabric、2001年に始動したMIXCDシリーズも時間にして15年、作品にして90枚を越えたが、その最新シリーズの94作目にはベルリンを拠点に活動する女性アーティストのSteffiがフィーチャーされている。Panorama Barでレジデントを務める実力派DJである事は今更説明も不要だろうが、アーティストとしての手腕も秀でており自身のアルバムではデトロイト・テクノやかつてのWarp Recordsが提唱したArtificial Intelligence等にも共振する音楽性を披露し、特に叙情性のあるメロディーを武器に現在のダンス・ミュージックを表現している。それは彼女が運営するDollyにも正しく反映されており、事実レーベルからはデトロイト・テクノからの影響を強く残した作品も少なくはない。そしてこのMIXCDだ、何と全てが新作、全てがDolly傘下のDolly Deluxeの為に用意された楽曲で、つまりはレーベル・ショーケース的な扱いである事は否定出来ないが、そういった制約を全く感じさせないレーベルの方向性とSteffiの音楽性の魅力が存分に伝わる内容になっている。彼女自身は遂に本作に対し「Artificial Intelligence」からの影響を公言している通りで、4つ打ちに終始しない多種多様なリズムの変遷とSFの世界観にも似た近未来感漂うシンセのメロディーを軸にした選曲を行っており、もしかすると彼女が普段クラブで披露するDJとは異なるのかもしれないがこれも彼女の魅力の一つになり得るだろう。アルバムの幕開けはアンビエントなトラックにボコーダーも用いてSF的な始動を予感させる"Echo 1"で控えめなスタートだが、直ぐに痺れるようなビートが脈打ち壮大な宇宙遊泳に誘われるシンセが広がる"Sound Of Distance"へと移行し、グラグラと横揺れしながらダンスのグルーヴへと突入する。緩急自在に続くSteffiとShedのコラボである"1.5"では速度感を落として幻想的なパッドとカクカクとしたエレクトロのリズムによって一息入れ、ダビーな音響の奥からデトロイト的なパッドが浮かび上がる"Freedom"や複雑なダブ・ステップ系のリズムながらも初期Carl Craigを喚起させる美しさがある"No Life On The Surface"など、深遠なる宇宙の叙情性を軸にリズムとテンポの幅を拡張しながら展開する。Answer Code Requestの"Forking Path"にしても重厚感と奥行きのあるダンス・トラックではあるものの、やはり何処か覚醒感あるフローティングするシンセが効いており、勢いに頼らずとも淡いムードで上手く世界観を作っている。中盤ではレトロ調なエレクトロ・ビートが何だか懐かしくもあるが、Duplexの"Voidfiller"によって希望に満ちた明るい道が切り開かれ、そのままArtificial Intelligenceらしいブレイク・ビーツやもやもやしたシンセの曲調中心になだらかに加工しながら眠りに就くようなクローズを迎える。レトロ・フューチャーな郷愁に浸りつつ、更にはダンス・ミュージックとして躍動的なリズムもあり、懐かしさと面白さを味わえる素晴らしいMIXCDであろう。



Check "Steffi"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
L.U.C.A. - I Semi Del Futuro (Edizioni Mondo:MNDCD02)
L.U.C.A. - I Semi Del Futuro
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
2013年にイタリアに設立されたEdizioni Mondoは60年代のモンド映画にインスパイアされ、有機的なハウス・ミュージックにダウンテンポやバレアリックなどの要素を持ち込んだ音楽を送り出しており、Music From MemoryやInternational Feel辺りを好む人とも共振するようなレーベルの一つだ。そんなレーベルを立ち上げたのがイタリアのDJ/プロデューサーであるFrancesco De Bellisで、Raiders Of The Lost ARPとして活躍するMario PierroともユニットであるJollymusicやMAT101としても活動をしたりと、イタリアのハウス/イタロ系としてはそれなりの経験を持つベテランだ。本作はそんな彼がL.U.C.A.名義でリリースした初のアルバムであり、この名義ではイタロ系と言うよりはレーベルを重視してサウンド・トラックやバレアリック性を重視しており、家の中で心を落ち着けて耳を傾けて聞きたくなるリスニング・アルバムとなっている。事実、L.U.C.A.の曲は橋本徹(SUBURBIA)が選曲したコンピ『Good Mellows For Seaside Weekend』(過去レビュー)にも収録されるように、大らかで瑞々しい有機的なサウンドとメロウな旋律はひたすら爽快で心地良い。本作の始まりとなる"In Principio"でも生のベースやギターをフィーチャーし、鳥のさえずりもサンプリングしながら如何にもなバレアリックな空気を放出しているが、ハウスともディスコとも異なる感覚は言葉に表すのが難しい。そこに続く"Il Valzer Del Risveglio"では優美なストリングスに豊潤なオルガンの響きと共に祝福の雄叫びも交えしっとりとした郷愁を誘い、"In The Sun"ではそのタイトル通りに燦々と日が降り注ぐ下で大海原の航海に出るようなオーシャン・フィールに溢れた清涼感があり、アルバムの雰囲気は野外や自然を強く匂わせる。滝のイメージかどうかはさておき、しなやかなストリングスに乗ってシタールらしき弦の音が幻惑的に響く"Niagara"はエキゾチックかつサイケデリックで、異国情緒の中にメロウネスが存在している。最後の"Plancton"に至っては完全にビートは消失し幻想の中に消え入るようなドローンが持続するアンビエントだが、テクノのアンビエントとは異なる生っぽさは特徴だろう。何か特定のジャンルに属すのではなく、モンドやサイケロックにディスコやハウスが融和して映画のような風景を喚起させる音楽と言うべきで、特に肉体を突き動かすのではなく心に染みるメロウな感覚はEdizioni Mondoというレーベル性を主張している。



Check "L.U.C.A."
| HOUSE12 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Edizioni Mondo - Collezione (Mondo:MNDCD01)
Collezione
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
公式サイトのインフォを引用すれば、60年代のモンド映画を元にしてライブラリー・ミュージック(TVや映画にラジオのBGMとして使用される、様々な用途に合わせた幅広いジャンルを持つ音楽の集大成)に影響を受けたレーベルだそうだ。このMondoと言うレーベルを主宰するのがイタリアのアーティストであるFrancesco De Bellisで、2013年にレーベルを開始してからは、自身の変名であるL.U.C.AとStudio 22、彼と共に活動を行っていたRaiders Of The Lost ARPことMario Pierroによる変名のROTLA、そして4人組のユニットであるOdeonの4アーティストによる4枚のEPをリリースしている。このレーベルを知るきっかけとなったのは橋本徹による『Good Mellows For Seaside Weekend』(過去レビュー)にL.U.C.Aの曲が収録されていた事で、そんな経緯を知ればMondoの音楽性も前述の情報を合わせれば、単に快楽的なダンス・ミュージックとは全く異なる魅力を想像出来るはずだ。そして本作は前述の4枚のEPを全て収録したコンピレーションとなっており、レーベルの音楽性を隈なく体験するには適切な作品と言えよう。何はともあれ冒頭の"Blue Marine"が素晴らしく、正にタイトル通りに透き通った海や空の青色が目に浮かぶ朗らかなバレアリック・サウンドで、爽快なギターサウンドや温かいストリングスの響きに波の音や鳥の鳴き声も混じりながら大きな海原へと航海を始めるようでもある。ROTLAによる"Laguna"は乾いて軽快なパーカッションに引っ張られながら、ぼやけたような淡いギターサウンドやシンセによって清涼感を生むオーガニックなニュー・ディスコ的で、穏やかな田園風景が広がるようだ。Studio 22による"Pic Nic"は生演奏しているようなファンキーなドラムや豪華なシンセ使いによって、正にタイトル通りにウキウキとピクニックに向かうご機嫌なイタロ・ディスコとファンクが融合した曲である。かと思えばねっとりと融解するバレアリック感を展開したのがOdeonによる"Anxur"で、生演奏と思われるギターやベースにドラムなど臨場感あるサウンドを打ち出しつつ、そこに快楽的な反復を見せるシンセや壮大な効果音等を散りばめて、映画音楽のような荘厳さの中にバレアリックなムードを11分にも渡って繰り広げるのだ。ダウン・テンポにアンビエント、サウンド・トラックにニュー・ディスコなど確かにジャンルに幅はありながら、しかしそのリラックスして何処までも開放的な雰囲気は正にバレアリックと呼ぶべきものであり、収録された4アーティストによる作品はばらばらになる事なく穏やかな桃源郷にまで響く音を鳴らしている。



Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Seaside Weekend (Suburbia Records:SUCD1001)
Good Mellows For Seaside Weekend
Amazonで詳しく見る

ジャンルに拘らずに良質な音楽をコンパイルする『Free Soul』シリーズを立ち上げ、そして現在のカフェ・ブームの発端となった仲間と寛げる場所である『Cafe Apres-midi』を手掛けた事で知られる橋本徹。そんな彼が新たに立ち上げたSuburbia Recordsは、入手困難ながらも良質な音楽をアナログ化、またはアナログ音源のみをCD/配信の商用に乗せるなど、彼が素晴らしいと思う音楽をフォーマットの領域を超えて広げていく事を目的としているようだ。そんなレーベルの第一弾は由比ヶ浜にあるバーガーショップ“Good Mellows”でDJを行なった時の経験を端緒としているそうで、タイトルからも分かる通り海辺の夕暮れ時のメロウな感覚を表現おり、『Free Soul』との違いはよりバレアリックやチルアウトの成分が強い事だろうか。オープニングにはいきなりJoe Claussell率いるMental Remedyによる"Just Let Go"を持ってきており、溶けるように絡み合う清らかなアコギとピアノの甘美な調べからは正に夕暮れ時のしみったれた感情が染み出し、人がコントロールし作り出す事の出来ない神聖な風景が目の前に広がるようだ。続く期待の若手であるAxel Bomanによる"Fantastic Piano"も、やはりピアノがフィーチャーされた桃源郷のような世界が広がるダウンテンポだが、単に甘いだけでなく癖のある奇抜な作風がイージーリスニングとは一線を画している。そしてバレアリック最前線のInternational FeelからL.U.C.A.による"Blue Marine"が続き、海鳥の鳴き声と波の音のイントロから始まり広大な海へとのんびりとした航海を始めるような大らかなダウンテンポにより、ジャンルを越えて音楽の旅へと繰り出していく。その後も優美な輝きを放つアシッド・ジャズ、しっとりと有機的なフュージョン・ディスコ、フォーキーなダウンテンポ、夢に浸るアンビエント感のあるニュー・ディスコなど垣根を越えながらも、メロウと言うコンセプトの元に週末の浜辺の長閑ながらも切ないムードに染めていく。アルバムの最後には正に真夏の一曲である憂愁が満ち溢れる"Summer Daze"を橋本徹がエディットしたものを配置したおかげで、しんみりとした余韻を残して最高の流れで幕を閉じる。派手なミックスを必要とせずに一曲一曲をフルにプレイするスタイルは、選曲重視で存分に曲の良さを引き出しながら、海辺のサウンド・スケープを描き出すへと繋がっているのだ。

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |