Black Spuma - Orme (International Feel Recordings:IFEEL066)
Black Spuma - Orme
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バレアリック・シーンを引率するInternational Feelが才能あるアーティストを多数擁しているのは言うまでもないが、その中でも特に底抜けな明るさを見せるイタロ・ディスコ的な音楽性を持つのがBlack Spumaだ。実はTuff City Kids名義でも活動するPhillip Lauerと、バンドや変名でも活動するニュー・ディスコ系のFabrizio Mammarellaによるユニットなのだから、イタロ・ディスコやニュー・ディスコといった要素が長い経験から得た確かなセンスをもってInternational Feelのバレアリック性へと融合し、Black Spumaの音というモノを形成している。現在は年に一枚のペースとのんびりとした活動ながらもどのEPも間違いのない豊かな響きと多幸感を含み、そしてそれは3枚目のEPとなる本作でも全く陰りを見せていない。特に彼等の音を特徴付ける要素の一つがアシッド・サウンドであるが、"Orme"でも透明感と輝きに満ちたシンセのメロディーに合わせてアシッド・ベースを軽くうねらせて、毒っぽい効果ではなく爽快にさえ感じられる清々しい空気を発するように用い、快活なイタロ・ディスコを鳴らしている。"Ceephab"も清々しく優しげなシンセのメロディーが広がるがリズムは力強く跳ねていて、そしてここでもアシッド・ベースは用いられているがやはり多幸感を誘発し色彩を鮮やかにするような使い方で、一切闇の無い太陽の下に響き渡るバレアリック・ハウスは開放感に満ちている。一方で"No Cube"は奇妙な声のようなメロディーと凛としたピアノ、そしてどっしりした4つ打ちで快活に闊歩するニュー・ディスコで、心地良いアシッドも弾け周る事で随分と陽気なムードだ。最後はエレクトロ色のあるベースラインが鈍くうねる"Presidential"、スローなテンポながらも叩き付けられるハイハットや刺激的なスネア等などが強烈で、激しくはなくともじわじわとくる攻撃的なトラック。過去の作品から全くテンションは落ちる事なく、バレアリックかつイタロなサウンドの中にアシッドという毒っ気を陽気に用いて開放的な音を鳴らしており、完全にBlack Spumaの個性は出来上がっている事は明白だ。後はこの勢いに乗ってInternational Feelらしくアルバムを期待したいものだ。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Talamanca System - Talamanca System (International Feel Recordings:IFEEL063CD)
Talamanca System - Talamanca System
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現行バレアリックを引率するInternational Feel自体が注目の的ではあるが、そんなレーベルからタレントが集まったプロジェクトであれば尚更興味を惹くのは当然だ。それこそレーベルを主宰するMark Barrott、Tuff City KidsからはPhillip LauerとGerd Janson(Running Backの主宰者でもある)が手を組んだプロジェクト、Talamanca Systemである。快楽的な真夜中のフロアとは異なる平穏な日常の視点でバレアリックを解釈するBarrott、イタロやオールド・スクールからの影響が強いニューディスコを得意とするTuff City Kids、そんな人達が集まれば当然の如くダンス・ミュージックという前提は崩れないがその音楽性は穏やかなメランコリーと豊かな色彩感覚を持ったものとなる。始まりのドスドスした簡素なリズムの"Transatlantique"でも古いディスコのような趣きがあるが、清涼感溢れるピアノのコードや透明感あるシンセのラインからは、太陽光が燦々と降り注ぐ野外のバレアリック感が伝わってくる。続く"104"はスローモーなニューディスコ系でブリブリとしたシンセベースが快楽的だが、ここでも凛とした光沢を持つピアノのコードが特徴的だ。"Ancona Ancona"に至っては潰れたようなドラムやゴージャスな光沢あるシンセ使いが80年台のシンセポップを思い起こさせるが、逆にしっとり妖艶で仄かに情緒的なディープ・ハウス性もある"Ocean Grill"ではじんわりと染みるようなメランコリーを発しつつ、そこに心地良いアシッド・サウンドが良い陽気なムードを付け加える。アルバムの後半は奇怪さが打ち出ており、原始の胎動を思わせる土着的なアフロ・リズムに奇妙な獣の鳴き声らしきものも聞こえる"Conga Cage"、ロウなビートに様々のトリッピーな効果音が用いられて恍惚感を煽るイタロ的な"Experc"、華々しい電子音がラストを飾るべく祝福を奏でてサントラ風と言うかシネマティックな叙情性を描くノンビートの"Aurorca"と、3人のアーティストが集まっただけに音楽性は多用さを獲得している。勿論そこにはバレアリックと要素が中心にあり、密閉されたフロアの中ではなく広大な空の下で豊かな自然に囲まれた開放感溢れる場所で聞きたくなる、そんな太陽に照らされた明るさが通底する。3人だからこそのマジック…というものではなく、予想を越えてくる作品ではないが3人の音楽性を丁寧に反映させており、アルバムからは正しく長閑なバレアリック感が広がっている。



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| HOUSE12 | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Spuma - Onda (International Feel Recordings:IFEEL057)
Black Spuma - Onda
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丁度一年前にバレアリック・ミュージック代表格のInternational Feelからデビューを飾った新星・Black Spuma、それから一年を経て同レーベルからの待望の新作をリリースした。新星とは言いながらも実はTuff City Kids名義でも活躍するPhillip Lauerと、Hell Yeah等からもリリース歴のあるFabrizio Mammarellaの二人によるユニットなので、緩くバレアリックな音楽性に関しては彼等お得意である事は極めて自然だ。尚且つこの名義ではレーベル性に合わせてより開放感や弛緩したムードが強調されており、そこにイタロ・ディスコな性質を持ち込んでオプティミスティックな鳴りを響かせている。ぐしゃっとしたドラムマシンのビートと官能的なシンセベースから始まる”Metallo Nero”は、ゆったりとした4つ打ちのイタロ・ディスコ色を打ち出してきているが、透明感のある上モノや光沢のあるシンセのメロディーが叙情的で、清涼な空気を放出する如くの正にバレアリックな一曲。"Hundred Fingers Man"も特徴のあるエグいベースがシーケンスを刻むが、空へと飛翔するように伸びる幻想的なシンセ・ストリングスと和んだシンセのフレーズが牧歌的な雰囲気を作り上げる中、次第に爽やかなアシッド・ベースが蠢きだして快楽的な世界へと突入する朝方にぴったりな曲だ。タイトル曲の"Onda"はややアップテンポでうきうきするようなビートで、そこに豊潤なシンセ・ベースと綺麗目の上モノのメロディーでスムースな展開を作る明るいイタロ・ディスコと、目立った個性はないものの明るく弾ける曲調は野外にもぴったりだろう。最後のブレイク・ビーツと毒気のあるアシッド・ベースを用いた"Gabula"は本作の中では異色なブリーピーな作品だが、それでも浮遊感のある電子音がすっと心地良く昇天するような感覚も含んでいる。どれもダンス・トラックでありつつリスニングにも耐えうる作品で、これならば更に多様性を展開出来て聴き込めるアルバムも期待せずにはいられず、是非ともアルバムを待ちたいアーティストだと思う。



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| HOUSE12 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Spuma - Oasi (International Feel Recordings:IFEEL048)
Black Spuma - Oasi
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現在のバレアリック・ミュージックを引率するInternational Feelは、2015年もこれからを期待される若手から信頼足りうるベテランまで、多くのアーティストの作品をリリースして一身に注目を集めていた。そしてまたもや耳にした事のないBlack Spumaなるアーティストがレーベルより送り出されたとなれば、当然興味をそそらずにはいられないのだが、蓋を開けてみれば全くの新人ではなく既に実力の認められたベテラン・ユニットなのだった。一人はTuff City Kids名義で人気を博すPhillip Lauer、もう一人はイタリアのDJでTelespazio名義でも活動するFabrizio Mammarellaであり、両者ともイタロ系の音楽性を共通に持つベテランだ。そんなイタロの共通項を持つ二人だからこそ、開放的な快楽の高さはInternational Feelのバレアリック性と馴染み、期待通りの音を聞かせてくれる。すっと湧くように入ってくる透明感のあるパッドとオプティミスティックなシンセのフレーズで始まる"Hype Around"は、その余りにも爽やかな空の青に落ちていくような清々しいまでのバレアリック・ハウスで、既にクラシックの様な風格さえ纏っている。対して"Spumatix"は一転してどっしりと地に根を張ったようなベースとリズムによるビート感があり、嬉々としたマリンバの音色にほっと和んでしまうディスコ・ハウスだ。アーティスト名がそのまま曲名となった"Black Spuma"は、ぐしゃっとした刺激的なマシン・ドラムとウニョウニョとしたベースと金物の音のようなシンセからはイタロ・ディスコの匂いが発せられ、しかしそこに柔らかなパッドが被せられるとほんのりと情緒的にもなったり、兎に角気分が高揚してしまう。特にレーベルの中でも比較的パーティーの賑わいを想起させるダンス的な要素が強く、このEPはダンス・フロアでこそエネルギッシュな快楽性が映えるのではと思う。



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| HOUSE11 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
I'm Starting To Feel Okay Volume 6 10 Years Edition (Mule Musiq:MULE MUSIQ CD 44)
Im Starting To Feel Okay Volume 6 10 Years Edition
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本作のリリースにより何時の間にか日本発のMule Musiqが、設立10周年を迎えていた事に気付いた。そこで思うのは、日本に於いては個々のアーティスト活動は海外からも認められながらも、しかしダンス・ミュージックのレーベルが世界規模で運営を継続する事は非常に稀な事で、世界的に認められるレーベルはなかなか育たない。だがMule Musiqに関していえば傘下のMule ElectronicやEndless Flightなどを含めると、テクノ/ハウスだけに限らない音楽性と知名度に頼らない国内外の実力あるアーティストを起用する事で、多様性を伴うダンス・ミュージックを世界に展開してきている。インディペンデントな立ち位置を守りつつも世界へとダンス・ミュージックを発信する役割を担うMule Musiqの活動は、嘘偽りなくシーンの中で重畳な存在になっている。さて、そんなレーベルの10周年、そして「I'm Starting To Feel Okay」シリーズの6作目は、遂に2枚組へのボリュームへと発展した。国内勢ではKuniyukiにGonno、KzaやThe Backwoods、海外勢ではFred PやEddie Cに新鋭のMatt KarmilやMuskまで、手広く新旧実力あるアーティストの新曲を収録してMule Musiqの魅力をあまねく披露している。CD1はディープめのトラックからビートダウンにミニマルな作風が多いが基本はハウスのグルーヴで纏められており、CD2はニューウェーブやディスコにクラウトロックなどの影響も見受けられるダンス・トラックが中心かと思うが、特にどの作品からも感じるのは流行の音に寄り添う印象は受けずに(レーベル性・アーティスト性として)自分たちの音を持っている事だ。これだけレーベルが大きくなれば多少なりとも商業的な面が出てくるのは少なくない事だが、しかしMule Musiqにはそれとは相反する普遍的でありかつアーティストの個性を尊重する姿勢が伺えるのだ。規模が大きくなろうとインディペンデントな姿勢は崩さない、だからこそMule Musiqが高く評価される所以の一つだろう。そしてこのCDにはDJ Kent(The Backwoods)が本作に収録されている音源を使用してミックスを行ったDJMIXのダウンロードコードも収録されているので、MIXCDとしての楽しみ方も出来るようになっており、Mule Musiqの魅力を十分に堪能出来る作品である事は言うまでもない。



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| TECHNO11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jovonn - Stump It EP (Mojuba Records:MU 2)
Jovonn - Stump It EP

ドイツはディープハウスの深層部に位置するMojuba Recordsは、積極的にオールド・スクールなシカゴ・ハウスの復刻作業も行なっている。本作は90年頃から活躍しているNYハウスの大ベテラン・Jovonnが、94年にリリースし今ではレア化している傑作のリイシューと言う事だ。Jovonnについて言えば大量の作品を残しながらそのどれもがアナログ中心で、CDアルバムとしては一枚しか作品が残っていない事もあり、DJからの評価は高いのだろうが恐らく一般的な人気と言う面からは正統な評価を得られていはいない。その意味では音楽的に信頼性のあるMojubaがJovonnの名作を、現代に掘り返した事は良い仕事をしていると言える。目玉は15分越えの大作ディープ・ハウスである"Garage Shelter"で、オルガンサウンドのシンプルなリフに「ガラ〜ジュ、シェルタ〜」と言う黒い呟きが反復する簡素で淡々としな作品ながらも、全体から滲み出る粗雑な力強さや音の圧力が堪らない。またチキチキとしたハイハットや古ぼけたキックにハンドクラップの使用などから受けるオールド・スクールな感覚など、90年代の空気を目一杯含んでいる。またその曲をGerd JansonとPhillip Lauerによるユニット・Tuff City Kidsがリミックスしているが、こちらは突き刺すようなリズムを加え攻撃的かつ疾走感を増したテクノ的な要素も打ち出した内容となっている。B1の"Love Destination"は音が割れている程に荒いキックの迫力があるが、上モノは色気のある幻想的なパッドがうねりながらホットな女性ボーカルがソウルフルに歌いあげており、これぞ人情味のあるNYハウスの真骨頂と言う出来栄えだ。またC2の"Tribal"は曲名通りの荒れ狂うリズムトラックから野性味が溢れ出るハウスで、野蛮なグルーヴの中に愁いのメロディーが流れ来るその対比に耳を奪われる。とダブルパックで十分なボリュームと高品質なハウスが収録されており、大変ありがたい復刻作品だ。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Walter Jones - Utopiano Project (HAKT Recordings:HAKT 001)
Walter Jones - Utopiano Project

90年代にカルト的なハウス作品をリリースしていたデトロイトのWalter JonesことWalt Jと同名義で紛らわしいのだが、今日紹介するのはニューオリンズ出身のWalter Jones。2003年にリリースしたデビュー作"All God's Children"で既に高い評価を得ているハウスアーティストだが、リリースは一年に一枚程度とのんびりとした音楽活動の為にまだまだ知名度が高いとは言えない。3年ぶりとなる新作はスマイルマークの上に華麗な華が舞い散るジャケットが印象的だが、そんなジャケット通りに至福感に満ちたバレアリック仕様なハウスが収録されている。安定感のある低身でファットな4つ打ちがグルーヴをキープしつつ、シュワシュワとフィルタリングされたコズミックなシンセに煌めきのあるキーボードソロが郷愁を誘う"Talk to Me"は、急がず焦らずゆっくりとだがじわじわと広大な空へと飛翔して行く快楽的なバレアリック・ディスコだ。"Made In Holland"もやはり煌めきながら透明感のあるシンセサウンドのソロが耳に残るのだが、こちらは4つ打ちではなく引っ掛かりのあるブレイク・ビーツが特徴的で、自然と体が動き出す跳ねるような躍動感が素晴らしい。一方裏面の"Hands In The Sand"はぐっとテンションを落としたトロピカル系ディスコで、Ailyの可愛らしいボーカルも相まって甘く気怠い時間を演出している。またそれにモダンなミニマル色を添加したLauerによるリミックスは、フロアで使いやすい仕様になっている。基本的にはどの曲もメロディアスなシンセの使い方が目立っており、ドライになり過ぎているシーンの中でこう言った豊かな旋律を聴かせてくれるアーティストには好感が持てる。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lauer - Phillips (Running Back:Rbcd04)
Lauer - Phillips
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テクノ、ミニマル、ディープハウスなど様々なダンスミュージックの発信がドイツ中心となっている今、ディスコ/リエディットと言うジャンルに於いてもドイツはRunning Backからの作品が注目を集めている。Tiger & WoodsやTensnake、Mark Eらが作品をリリースしていると聞けばレーベルの質も折り紙付きである事を理解するだろうが、このPhillip Lauerにとって初のソロアルバムとなる本作はまたしてもレーベルの存在をアピールするであろう。ディスコ・テイストを感じさせる粘り気と動きのキーボードやベースラインは何処か懐かしくダサくもあるが、イタロ・ハウスの派手派手しいサウンドやバレアリックな開放感・多幸感も纏っており、あっけらかんとした無邪気な楽しさはそう多くは体験出来ない物だ。どの曲もレイドバックした緊張感の無いビートながらも、コズミック感のあるブリブリとしたシンセサウンドはのどかで陽気なディスコ空間を創造し、哀愁のあるメロディーは胸の奥に閉まった切なさや懐かしさを呼び起こす。カラフルで艶のある音の使い方や豊かな広がりを聞かせるコード展開を一貫しており、気難しい実験的な事も無闇に熟考させるような事も全く無く、ミラーボールがクルクルと回転するポジティブなダンスフロアで無邪気に踊りたくなるディスコ・ハウスが整然と並んでいるのだ。目新しさを感じさせる流行の音楽ではないけれど、いつでも聴きたくなる良い曲が揃っている秀逸なアルバムだ。

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Check "Lauer"
| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |